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令和6年1月23日
ITbookホールディングス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、ITbookホールディングス株式会社(法人番号6010001195295)(以下「当社」という。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
当社及び当社の連結子会社は、投資有価証券の過大計上及び売上の過大計上等の不適正な会計処理を行った。
この結果、当社は、関東財務局長に対し、金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある以下の有価証券報告書及び四半期報告書を提出した(「重要な事項につき虚偽の記載」の内容は別紙1の表の番号1から番号5のとおり)。
・令和2年9月第2四半期四半期報告書(令和2年11月16日提出)
・令和2年12月第3四半期四半期報告書(令和3年2月15日提出)
・令和3年3月期有価証券報告書(令和3年6月30日提出)
・令和3年9月第2四半期四半期報告書(令和3年11月15日提出)
・令和3年12月第3四半期四半期報告書(令和4年2月14日提出)
(2)発行開示書類
ア 当社は、関東財務局長に対し、令和2年12月16日、上記(1)の重要な事項につき虚偽の記載がある令和2年9月第2四半期四半期報告書を組込情報とする金融商品取引法第172条の2第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(新株予約権証券の募集)を提出し、当該有価証券届出書に基づく募集により、令和3年1月4日、30,000個の新株予約権証券を1,817,550,000円(当該新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた(「重要な事項につき虚偽の記載」の内容は別紙1の表の番号6のとおり)。
イ 当社は、関東財務局長に対し、令和4年3月14日、上記(1)の重要な事項につき虚偽の記載がある令和3年3月期有価証券報告書、令和3年9月第2四半期四半期報告書及び令和3年12月第3四半期四半期報告書を参照情報とする金融商品取引法第172条の2第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(株式の募集)を提出し、当該有価証券届出書に基づく募集により、令和4年3月30日、764,700株の株式を344,879,700円で取得させた(「重要な事項につき虚偽の記載」の内容は別紙1の表の番号7のとおり)。
3.課徴金の額の計算
【別紙1】有価証券報告書等の虚偽記載内容
番号 | 対象書類 | 虚偽記載 | ||||
提出日 | 書類 | 会計期間 | 記載項目 | 主な内容(注) | 主な事由 | |
1 | 令和2年11月16日 | 第3期第2四半期(令和2年7月1日~同年9月30日)に係る四半期報告書 |
令和2年4月1日~同年9月30日の第2四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
親会社株主に帰属する四半期純利益が ▲925,686千円であるところを ▲793,936千円と記載 |
売上の前倒し計上及び棚卸資産の過大計上 |
2 | 令和3年2月15日 | 第3期第3四半期(令和2年10月1日~同年12月31日)に係る四半期報告書 | 令和2年4月1日~同年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
親会社株主に帰属する四半期純利益が ▲1,139,816千円であるところを ▲972,825千円と記載 |
売上の前倒し計上及び棚卸資産の過大計上 |
3 | 令和3年6月30日 | 第3期(令和2年4月1日~令和3年3月31日)に係る有価証券報告書 | 令和2年4月1日~令和3年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
営業利益が ▲252,854千円である ところを 152,439千円と記載 経常利益が ▲208,406千円である ところを 196,887千円と記載 親会社株主に帰属する当期純利益が ▲843,457千円であるところを ▲358,005千円と記載 |
売上の過大計上、ソフトウェア仮勘定の過大計上及び棚卸資産の過大計上 |
4 | 令和3年11月15日 | 第4期第2四半期(令和3年7月1日~同年9月30日)に係る四半期報告書 | 令和3年4月1日~同年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
親会社株主に帰属する四半期純利益が ▲730,367千円であるところを ▲563,656千円と記載 |
投資有価証券の過大計上及び関係会社株式売却益の過大計上 |
令和3年7月1日~同年9月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が 1,784,020千円であるところを 2,348,855千円と記載 |
||||
5 | 令和4年2月14日 | 第4期第3四半期(令和3年10月1日~同年12月31日)に係る四半期報告書 | 令和3年4月1日~同年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
親会社株主に帰属する四半期純利益が ▲907,915千円であるところを ▲654,121千円と記載 |
投資有価証券の過大計上及び関係会社株式売却益の過大計上 |
令和3年10月1日~同年12月31日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が 1,647,012千円であるところを 2,298,930千円と記載 |
||||
6 | 令和2年 12月16日 |
有価証券届出書 (新株予約権証券の募集) |
「第四部 組込情報」 |
番号1に掲げる第3期第2四半期に係る四半期報告書を組込み | 番号1を参照 | |
7 | 令和4年3月14日 | 有価証券届出書 (株式の募集) |
「第三部 参照情報」 |
番号3~5に掲げる第3期に係る有価証券報告書並びに第4期第2四半期及び第3四半期に係る四半期報告書を参照 | 番号3~5を参照 |
(注)金額は千円未満切捨てである。
【別紙2】課徴金の計算方法
(1) 金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、令和2年9月第2四半期四半期報告書、令和2年12月第3四半期四半期報告書及び令和3年3月期有価証券報告書ごとに算出した額(以下(1)において「個別決定ごとの算出額」という。)は、
ア 当社が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
・令和2年9月第2四半期四半期報告書に係る額 785,933円
・令和2年12月第3四半期四半期報告書に係る額 823,976円
・令和3年3月期有価証券報告書に係る額 708,789円
が、いずれも
イ 6,000,000円
を超えないことから、
・令和2年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
・令和2年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
・令和3年3月期有価証券報告書については、6,000,000円
となる。
ここで、これらの開示書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した下記の金額が、これらの開示書類に係る課徴金の額となる。
・令和2年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、1,500,000円
・令和2年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、1,500,000円
・令和3年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、3,000,000円
となる。
(2) 金融商品取引法第172条の4第2項の規定により、令和3年9月第2四半期四半期報告書及び令和3年12月第3四半期四半期報告書ごとに算出した額(以下(2)において「個別決定ごとの算出額」という。)は、
ア 当社が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
・令和3年9月第2四半期四半期報告書に係る額 615,414円
・令和3年12月第3四半期四半期報告書に係る額 578,012円
が、いずれも
イ 6,000,000円
を超えないことから、
・令和3年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
・令和3年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となる。
(3) 金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、令和2年12月16日提出の有価証券届出書(新株予約権証券の募集)に係る課徴金の額は、
重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた新株予約権証券の発行価額の総額(当該新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)1,817,550,000円の100分の4.5に相当する額である81,789,750円
に、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、
81,780,000円
となる。
(4) 金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、令和4年3月14日提出の有価証券届出書(株式の募集)に係る課徴金の額は、
重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株式の発行価額の総額344,879,700円の100分の4.5に相当する額である15,519,586円
に、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、
15,510,000円
となる。