市場へのメッセージ

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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔10月17日(木) 配信分〕

<目次>

  1. ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に係る風説の流布に対する課徴金納付命令の勧告について
  2. 「令和6事務年度 証券モニタリング基本方針」について
  3. 「令和5事務年度 証券モニタリング概要・事例集」について
  4. 株式会社サカイホールディングス株式に係る大量保有報告書等の不提出及び変更報告書の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について
  5. 「令和5事務年度 開示検査事例集」の公表について
  6. 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  7. 野村證券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

1.ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に係る風説の流布に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年7月26日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【事案の概要】
 課徴金納付命令対象者は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(以下「HMT」といいます。)の株式の価格を上昇させ、同株式を売り抜けて利益を得ようと考え、インターネット上の金融情報サイト「Yahoo!ファイナンス」内の電子掲示板に、HMTに関して、合理的根拠のない情報を投稿し、不特定かつ多数の者が閲覧できる状態に置き、これにより、同社の株式の価格を上昇させ、もって有価証券の売買のため、かつ、相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、当該風説の流布により有価証券の価格に影響を与えたものです。
 
【事案の特色】
 本件は、風説の流布(金融商品取引法第158条)を適用した初の勧告事案です。風説の流布とは、合理的根拠を有しない情報を不特定多数の者へ伝達される可能性がある状態に置くことをいうとされています(この情報が虚偽であるか結果的に真実であるかを問わず、「合理的根拠がないまま」に流布することが違法とされています)。
本件のようなインターネット上の電子掲示板を利用して風説を流布する行為は、情報が瞬時に多数の投資家に伝播するといった性質を利用した現代型の違反行為といえ、また、風説の流布によって相場の変動を図る行為は、相場操縦とは異なり、自らの資金を使うことなく、他人に資金を使わせることで相場の変動を図るという点で狡猾な違反行為といえます。
さらに、本件は、日本取引所自主規制法人から提供された情報等を参考として実態解明を行うなど、各機関との連携により、勧告に至ったものです。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件勧告を行うことで、相場操縦や内部者取引だけでなく、インタ-ネット上の投稿や書き込みによる風説の流布も見逃さないという強いメッセージを市場に知らしめることができ、また、合理的根拠のない情報で市場や投資家を混乱させることを防止していきたいと考えています。〇違反行為事実の概要について

2.「令和6事務年度 証券モニタリング基本方針」について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和6年8月2日に、「令和6事務年度 証券モニタリング基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を公表しました。
 
  • 金融商品取引業者等(以下「金商業者等」といいます。)を取り巻く環境、金商業者等を取り巻く規制の枠組み等の変更、昨事務年度の証券モニタリングを通じて判明した事項を踏まえつつ、金融庁の「金融行政方針」等も念頭に置きながら、金融庁関連部局等と連携し、証券モニタリングを実施していきます。
 
  • 業態横断的な検証事項
業態横断的な検証事項として、次の5つを掲げています。
  1.  適合性原則を踏まえた適正な投資勧誘等に重点を置いた内部管理態勢の構築や、顧客本位の業務運営を踏まえた販売状況(複雑又はリスクが高い商品が適切に販売されているか、合理性のない短期の乗り換え勧誘行為が行われていないか、銀証連携ビジネスにおける販売勧誘や顧客情報管理が適切に行われているか等)
  2. デジタル化の進展等を踏まえたビジネスモデルの変化と、それに対応した内部管理態勢の構築
  3. サイバーセキュリティ対策の十分性(インターネット取引における不正アクセス対策を含む)やデジタル化の進展に伴うシステムリスク管理(システム開発・運用管理や外部委託先の管理を含む)の対応状況
  4. マネー・ローンダリング対策、テロ資金供与対策に係る内部管理態勢の定着状況
  5. 内部監査の結果及び自主規制機関の監査等で指摘された事項に係る改善策及び再発防止策の取組状況
 上記のほか、金商業者等を取り巻く環境の変化等に応じて、機動的にその他の事項の検証についても取り組みます。
 
 
  • 規模・業態別の主な検証事項
規模・業態別の主な検証事項の一部を紹介します。詳細は基本方針を参照してください。
・ 大手証券会社グループ:国内外の業務展開を支えるガバナンスやリスク管理態勢の整備状況、不公正取引等の検知・防止のための態勢整備を始めとした内部管理態勢の整備状況等
・ 外国証券会社:バックオフィス業務の海外委託の進展等に対応した内部管理態勢やシステムリスク管理態勢の整備状況等
・ ネット系証券会社:金融商品仲介業者を活用した対面営業の拡大等のビジネスモデルを踏まえた外部委託先の管理態勢や、新たな商品及びサービスの提供等のビジネスモデルの変化を踏まえた業務運営態勢の整備状況、さらに、新しいNISA制度が開始した中、増加する新規口座開設数や取引量に応じた実効的な売買管理態勢を始めとした内部管理態勢の整備状況等
・ 準大手証券・地域証券会社等:持続可能なビジネスモデルの構築・検討状況、適合性原則への対応、主要株主や経営体制が変更された証券会社に対しては、ビジネスモデルやガバナンスの観点から内部管理態勢の機能発揮状況
・ FX業者:広告規制、販売・勧誘規制に対する適正な内部管理態勢の整備状況、ストレステストの実施を含めた店頭FX業者の決済リスク管理の状況等
・ 投資運用業者:運用の実態把握、運用管理態勢(外部委託運用に対するものを含む)、利益相反管理態勢の整備(取引の妥当性について、事後的に検証できる態勢となっているかを含む)状況等
・ 投資助言・代理業者:虚偽の説明による勧誘行為・広告手法や忠実義務違反、主要株主や経営体制が変更された業者に対しては、ビジネスモデルやガバナンスの観点から内部管理態勢等
・ 第二種金融商品取引業者、適格機関投資家等特例業務届出者:高利回りを掲げたファンドや出資対象事業の実在性等、主要株主や経営体制が変更された業者に対しては、ビジネスモデルやガバナンスの観点から内部管理態勢等
・ 登録金融機関:投資勧誘等の適正性や、適合性原則への対応の適切性など、内部管理態勢の整備状況等
・ 金融商品仲介業者:投資勧誘等の適正性、所属金融商品取引業者による管理態勢の十分性等
・ 無登録業者:裁判所への違反行為の禁止命令等の申立てに係る調査権限の積極的な活用、無登録業者の名称・代表者名・法令違反行為等の公表等を含めた情報発信の一層の強化等
 
  •  証券モニタリングの進め方
・ 証券モニタリングの対象業者について、金融庁関連部局等と連携し、金商業者等におけるリスクの特定・評価を行い、リスクベースで検査対象先を選定、以下のような状況である場合を中心に検査を実施します。
  1. 個別の法令違反や業務運営態勢に懸念があり、早期に深度ある検証が必要な状況
  2. モニタリングでは業務運営等の実態が必ずしも把握できない状況(検査未実施先や長期未実施先、買収等による株主構成の変更に伴い、ビジネスモデルや業務運営態勢を変更した先を含む)
  3. 取り扱う金融商品のリスクや分別管理の適切性など、実態把握が必要な状況
・ 検査では、実質的に意味のある検証及び問題点の指摘に努めるほか、単に問題点を指摘し行政処分勧告等を行うにとどまらず、問題の全体像を把握し、発生原因を究明することにより、実効性のある再発防止策につなげていきます。さらに、問題が顕在化していないものの、業務運営態勢等について改善が必要であると認められた場合には、証券監視委の問題意識を検査対象先と共有し、実効性ある内部管理態勢の構築等を促していきます。
 
  • 関係機関との連携・検査結果の情報発信
・ 各財務局等とは、モニタリングや検査の計画策定から緊密に連携し、調整機能を発揮して財務局の取組を支援するほか、必要に応じて合同検査も実施し、財務局間での検査応援等についても柔軟に行います。
・ 自主規制機関とは引き続き緊密に連携するとともに、更に連携の拡大・深化を図り、タイムリーかつ双方向に検査・監査等で検知した内容やその時々の問題意識を共有することにより、証券モニタリングを効果的・効率的に進めます。
・ 検査を通じて把握した問題点や究明した根本原因等については、必要に応じて、金融庁関連部局等と連携して金商業者等に対してフィードバックを行い、これらの監査関係者及び社外取締役に対しても、検査結果を共有することにより、改善に向けた自主的な取組を促します。
・ 証券監視委の問題意識等が対外的にも的確に伝わるよう、「証券モニタリング概要・事例集」等により、具体的で分かりやすい情報発信に努めます。なお、令和5年8月1日に公表しました証券モニタリング概要・事例集より、利便性向上のため、検査の結果に基づき勧告を行った業者名について、記載することにいたしました。 

3.「令和5事務年度 証券モニタリング概要・事例集」について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和6年8月2日に、「令和5事務年度 証券モニタリング概要・事例集」(以下「事例集」といいます。)を公表しました。
 
 事例集は、証券監視委が、金融商品取引業者等(以下「金商業者等」といいます。)への検査、無登録業者への調査を通じて把握した問題点等を取りまとめ、公表しているものです。
 今般公表した事例集では、令和5事務年度に検査・調査により問題が認められた以下の事案を事例形式で掲載しています
・  金商業者等について、勧告を実施した10事案(8者)を中心とした計24事案(13者)
・  無登録業者について、裁判所への禁止命令等の申立てを実施した1事案
 
 また、近時、無登録業者である可能性がある者からの勧誘による投資詐欺被害が多発していること等を踏まえ、「監視委コラム」において、無登録業者への対応について解説しています。
 
 証券監視委としましては、事例集が幅広い方々に読まれることにより証券監視委の活動に対する理解が深まるとともに、金商業者等の皆様の内部管理態勢等の充実・強化のための自主的な取り組み等に活用して頂ければ幸いです。また、無登録業者による詐欺的な投資勧誘の事例等も掲載しており、投資者被害の防止に繋がることを期待しています。

4.株式会社サカイホールディングス株式に係る大量保有報告書等の不提出及び変更報告書の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社サカイホールディングス株式に係る大量保有報告書及び変更報告書における開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和6年9月10日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告を行いました。
 
【法令違反の内容】
 株式会社サカイ及び株式会社サンワは、令和4年10月~令和5年1月までにかけて、法定提出期限(※)までに大量保有報告書又は変更報告書を提出せず、また、重要な事項につき虚偽の記載があり、記載すべき重要な事項の記載が欠けている変更報告書を提出しました。
 ※大量保有報告書及び変更報告書の提出期限は、各提出事由の発生日の翌日から5日(土曜、日曜及び祝日等を除く。)である。

 【不正行為の概要】
図1
 ※土曜、日曜及び祝日等は除く(以下、同)。
図2
 証券監視委は、本事例のような大量保有報告書及び変更報告書における開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

5.「令和5事務年度 開示検査事例集」の公表について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和6年9月11日、「令和5事務年度 開示検査事例集」を公表いたしました。
※「開示検査事例集」は、適正な情報開示に向けた市場関係者の自主的な取組みを促す観点から、証券取引等監視委員会による開示検査の最近の取組みや開示検査によって判明した開示規制違反の内容、その背景・原因及び是正策等の概要を取りまとめたもので、毎年公表しています。 

 今般公表しました「令和5事務年度 開示検査事例集」では、開示検査によって開示規制違反が認められ課徴金納付命令勧告を行った事例や、課徴金納付命令勧告は行わなかったものの、開示規制違反の背景・原因を上場会社と共有し適正な情報開示に向けた体制の整備を促した事例等、さまざまな事例を積極的に紹介しているほか、令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)に実施した開示検査の概要・事例等を新に追加しています。
 
 また、「令和5事務年度 開示検査事例集」の特徴的な内容は、次のとおりです。
  • 令和5事務年度における課徴金納付命令勧告の事例について、大量保有報告制度違反や特定関与行為に係る新類型・非定型事案等、特徴的な開示規制違反事例を追加しています。
  • 令和5事務年度における課徴金納付命令勧告事案の分析を行い、以下の結果が見られました。
・ 「違反行為者の業種別分類」で見ると、「情報・通信業」が全体の43%と最も多い。
・ 「主な不適正な会計処理の内容等」で見ると、「売上の過大計上等」が全体の36%と最も多く、次いで、「資産の過大計上」(21%)、「売上原価の過少計上」(14%)と続いている。
・ 主に共通して認められた「開示規制違反の背景・原因」として、「ガバナンス・内部統制に関する不備」、「コンプライアンス意識の欠如」及び「会計リテラシーの不足・会計監査人との連携不足」が挙げられる。
  • 「監視委コラム」では、開示実務において参考にしていただけるよう、大量保有報告制度の概要等の紹介のほか、開示検査を通じてクローズアップされた開示制度や内部統制報告制度について最近の制度改正を踏まえた解説をしています。
※大量保有報告制度に関しては、外国人及び外国法人等(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者)も対象となることから、以下のとおり、大量保有報告制度違反に対する課徴金納付命令勧告事例や大量保有報告制度に関するコラムを英文でも紹介しています。 

証券監視委としては、「開示検査事例集」を通じて、上場会社、会計監査人や投資者等の皆さんに、開示規制違反の手法、背景・原因等や証券取引等監視委員会の取組みについてご理解いただいた上で、上場会社とその会計監査人である公認会計士・監査法人とのコミュニケーションや上場会社とその投資者等の皆さんとの対話を活発に行っていただくことによって、適正な情報開示が積極的に行われることを期待しています。

6.株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年9月13日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【事案の概要】
課徴金納付命令対象者は、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド(以下「ミンカブ」といいます。)の役員であった者から、同人がその職務に関し知った、ミンカブの業務執行を決定する機関が、LINE株式会社(以下「LINE社」といいます。)によって新たに設立される会社の全株式を取得し、同社をミンカブの完全子会社とすることについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、本件重要事実の公表前にミンカブ株式を買い付けたものです。
 
【事案の特色】
本件は、重要事実等の情報管理に関して特に注意することが求められる上場企業の役員が、正に安易に重要事実を知人に伝達してしまい、その知人がインサイダー取引を行ったという事案です。
 
【証券監視委からのメッセージ】
毎回繰り返しになりますが、重要事実を知得した上で取引を行った場合は、たとえ僅かな取引であっても、必ず我々証券監視委が調査するため、くれぐれも取引を行わないようにしていただきたいということを重ねてお願いします。
なお、この場を借りて、一般的なケースを紹介したいと思います。先般公表した課徴金事例集のコラム(P11「9 情報管理の重要性 ③ ~プライベート編~」)でも取り上げたとおり、インサイダー情報の伝達が行われる場面の中で最も多いのが会食です。上場企業の役職員の方、特に重要事実に接する機会の多い方におかれては、改めてこういった会食の場に注意していただきたいと考えています。
違反行為事実の概要について

7.野村證券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年9月25日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年9月25日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【事案の概要】
 本件は、野村證券のトレーダーが、長期国債先物2021年3月限月(大阪取引所上場)について、同先物の売買を誘引する目的をもって、同先物の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、大阪取引所における同先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及びその申込みをした、見せ玉による相場操縦事案です。
 
<取引形態の一例>
 本件における取引形態の一例(売り見せ玉の局面※)を紹介します。
(1) 最良売り気配又はこれに劣後する価格に複数の売り注文(売り見せ玉)を重層的に発注します。
   これにより、下値に第三者の売り注文が誘引されます。
 
(2) 誘引された売り注文に対当するように買い注文の発注を行い、買い付けます(安値での買付け)。
 
(3)  (1)で発注した複数の売り注文を取り消します。
  ※ 買い見せ玉の局面(高値の売付け)では、売りと買いが逆になります。
 
 野村證券は、上記形態の取引を売りと買いを交互にして繰り返し、見せ玉による価格変動によって先物の注文を自己に有利な価格で約定させていました。
 
【事案の特色】
(1)  本件は、証券会社により行われた見せ玉による相場操縦事案であり、長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金勧告事例としては、5件目となります。
 
(2) 本件は、日本取引所自主規制法人から提供された情報等も参考として、実態解明を行った事案です。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件は、市場のゲートキーパーとして、市場の公正・透明性の確保に努めなければならない立場にある野村證券が、市場デリバティブ取引において行った見せ玉事案であり、証券会社の信用を失墜させる重大な違反行為であったといえます。本件違反行為が勧告されたことを踏まえ、証券会社各社においては、金商法等の法令を遵守し、市場のゲートキーパーとしての責務を全うすることを改めて自覚してもらうとともに、内外の市場関係者においても、証券監視委が市場デリバティブ取引についても適切に監視していることを十分に認識してもらいたいと思います。
 証券監視委としては、今後とも、自主規制機関等との連携により、現物取引であるか市場デリバティブ取引であるかを問わず、証券市場における違反行為が認められた場合には、引き続き厳正に対処していく所存です。
〇違反行為事実の概要について
 

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