市場へのメッセージ

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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔3月27日(木) 配信分〕

<目次>

  1. Global Investment Lab株式会社(グローバルインベストメントラボ社)及びその役員等3名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて
  2. 金融庁職員による内部者取引事件の告発について
  3. 東京証券取引所社員が関与した内部者取引事件の告発について
  4. 株式会社出前館との契約締結交渉者の従業員から伝達を受けた海外居住者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  5. 株式会社WCPに対する検査結果に基づく勧告について
  6. 株式会社ガーラにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

1.Global Investment Lab株式会社(グローバルインベストメントラボ社)及びその役員等3名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

証券取引等監視委員会は、令和6年6月25日、東京地方裁判所に対して、Global Investment Lab株式会社(グローバルインベストメントラボ社。以下本節において「当社」といいます。)及びその代表取締役である伊藤良(以下「伊藤」といいます。)並びに当社会員の主要メンバーである山田武穂(以下「山田」といいます。)及び栗原稔昌(以下、伊藤及び山田と併せて「伊藤ら」といいます。)に金融商品取引法違反行為(無登録金商業)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました
 
【事案の概要】
当社は、平成30年4月頃に組合として結成され(業務規模の拡大に伴い令和2年6月5日にGIL合同会社が設立され、令和4年6月15日に株式会社へ組織変更)、海外金融商品への出資に関するサポート業務を提供するとともに、合同会社の匿名組合出資や社債の勧誘を行うほか、当社の業務を代行するために登録した販売代理店(個人)の管理を行っていました。
 
伊藤らを含む当社に登録している販売代理店は、当社の管理・指導のもと、金銭問題に関する勉強会、SNS、有志の交流会、知人からの紹介等を通じて、資産運用に興味をもっている一般投資家に対して、海外法人であるSTERLING HOUSE GROUP LTD(以下「SHG社」といいます。)が組成する海外金融商品STERLING HOUSE TRUST Series7 Greenback Program(以下「スターリングハウストラスト」といいます。)に関し、説明資料を示して当該商品の概要や利点等を説明する方法により、出資の勧誘を行い、出資を希望した一般投資家に対して、契約の締結等の事務手続に関するサポートを行っていました。
なお、スターリングハウストラストの勧誘等に関する業務を行うには、SHG社に対して販売代理店となるための申請を行う必要があるところ、SHG社は、スターリングハウストラストの取扱いを希望する個人との間で、スターリングハウストラストの勧誘等に関する販売代理店契約(Distribution Partner Agreement)(以下「DP契約」といいます。)を締結していました。
スターリングハウストラストの販売代理店には、伊藤らなどのSHG社との間でDP契約を締結した者であるDistribution Partner(12名、以下「DP」といいます。)と、DPに紐づけられた勧誘員であるSales Partner(少なくとも約470名、以下「SP」といいます。)が存在していました。
SPは、自身が紐づくDPの管理・指導のもと、スターリングハウストラストの勧誘等に関する業務を継続していました。
これにより、当社及び伊藤らは、平成27年3月から令和6年5月までの間に、約1万9900名の一般投資家に対し、合計約806億円の出資をさせました。
当社及び伊藤らの上記行為は、無登録で外国の法令に基づく集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱いを業として行うものとして、金商法第28条第2項第2号に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反します。
 
伊藤らに対しては、令和6年10月31日に、東京地方裁判所から、当該金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずる決定が出されています
なお、当社に対しては、令和6年11月19日に、当社が同年8月6日付けの株主総会決議により解散し、清算手続中であることから、現時点において、当社による金融商品取引法違反行為が継続するおそれは低いものと認められることなどを踏まえ、申立てを取り下げています
 
証券取引等監視委員会においては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、無登録業者等に対して厳正に対処してまいります。投資者の皆様におかれては、無登録業者等と取引を行うことがないように、注意してください。
 
【顧客の皆様へ】
〇 東京地方裁判所は、証券取引等監視委員会の申立ての内容どおり、当社の役員等3名(以下「伊藤ら」といいます。)による金融商品取引法違反行為(無登録金商業)を行っていたことを認め、当該行為の禁止及び停止を命令しました(令和6年10月31日)。
 
〇 伊藤らは、いずれも金融商品取引業の登録等を受けた業者ではありません
 
〇 伊藤らは、金銭問題に関する勉強会、SNS、有志の交流会、知人からの紹介等を通じて、資産運用に興味をもっている顧客に対して、スターリングハウストラストはリスクが極めて低い好条件の海外金融商品(元本保証であること、毎月出資金の1%(年12%)に当たる配当を行うこと等)である旨を説明する方法により、当該商品への出資の勧誘を行い、出資を希望する顧客に対して出資契約の締結等の事務手続きに関するサポートを行っていました。なお、出資金について、出資後2年間は解約手数料が発生するほか、販売代理店は、顧客から解約したい旨の連絡を受けると、解約しないよう引き留める活動を行っていました。
 
〇 伊藤らは、当該商品の提案、勧誘を行うに当たり、顧客に対して、利回りの良さ等を謳った説明を行っていますが、当該商品の運用成果を保証するものではありません。
 
〇 裁判所の命令は、伊藤らによる金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずるものであり、顧客への投資資金の返金を禁止するものではありません。
 
〇 【一般投資家の皆様へ】も、併せてご確認ください。
 
【一般投資家の皆様へ】
〇 無登録業者が、実際には契約内容のとおりの取引を行っていなかったなどのトラブルが多発しています。無登録業者には、金融庁の監督権限が及ばず、投資者保護規定に基づく処分等が行えませんので、ご注意ください。
 
〇 仮に、海外当局の登録を受けた業者であったとしても、当該海外当局は、他国民との取引について監督指導等を行わないことや、金融庁と同等の監督権限がないことなどがあります。海外当局の登録を受けたことをもって日本と同等の投資者保護を担保するものではありません。
 
〇 一般に、無登録業者は、実際には契約内容のとおりの取引を行っていない商品であったとしても、返金等を希望する顧客に対し、他の顧客の投資資金を交付することで、返金等に応じることがあります。これまでに返金等を受けることができていたとしても、そのことをもって、直ちに当該商品が信頼できるとは言えませんので、ご注意ください。
 
〇 日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引の相手方が登録を受けているか、こちらでご確認ください。
 また、無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告を行った者の名称等は、こちらをご確認ください。
 
〇 その他、投資の際に留意すべき点等については、こちらをご確認ください。

2.金融庁職員による内部者取引事件の告発について

 証券取引等監視委員会は、令和6年12月23日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発しました。
 
【事案の概要】
 犯則嫌疑者は、金融庁企画市場局企業開示課課長補佐として、同課が所掌する公開買付届出書等の審査及び処分等の職務に従事していましたが、令和6年4月中旬頃から同年8月下旬頃までの間、その職務上の権限の行使に関し、合計10銘柄の東京証券取引所上場株券に対する公開買付けの実施に関する事実を知り、いずれも、その公表前の同年4月中旬から同年9月上旬までの間、自己名義で、前記10銘柄の株券合計1万1800株を代金合計約951万円で買い付けたものです。
 
【本件の意義】
 本件は、裁判官出向者として金融庁において公開買付届出書等の審査及び処分等の職務に従事していた犯則嫌疑者が、その職務上の権限の行使に関し、公開買付けの実施に関する事実を知り、その公表前に、自己名義で合計10銘柄に及ぶ株券を買い付けたものです。裁判官出向者である国家公務員として高い倫理観が求められ、市場を監督する立場にある金融庁職員が行った証券取引の公正を害する内部者取引の事案であり、市場の公正性に与えた影響等諸般の事情に照らし、悪質性が認められます。
 証券取引等監視委員会は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違法行為に対し、厳正に対応していきます。

3.東京証券取引所社員が関与した内部者取引事件の告発について

 証券取引等監視委員会は、令和6年12月23日、金融商品取引法違反(内部者取引、情報伝達)の嫌疑で、嫌疑者2名を東京地方検察庁に告発しました。
 
【事案の概要】
 犯則嫌疑者Aは、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)上場部開示業務室の従業員として勤務していましたが、令和6年1月下旬頃から同年3月下旬頃までの間、上場会社との株券上場契約の履行等に関し、3銘柄の東京証券取引所上場株券に対する公開買付けの実施に関する事実を知り、あらかじめ同銘柄の株券を買い付けさせて利益を得させる目的をもって、実父である犯則嫌疑者Bに対し、各公開買付けの実施に関する事実を伝達し、伝達を受けたBが、いずれも、その公表前の同年1月下旬から同年4月上旬までの間、B名義で、前記3銘柄の株券合計1万5200株を代金合計約1706万円で買い付けたものです。
 
【本件の意義】
 本件は、東京証券取引所上場部開示業務室において、上場会社から適時開示の事前相談を受ける職務に従事していた犯則嫌疑者Aが、株券上場契約の履行等に関し、公開買付けの実施に関する事実を知り、利益を得させる目的をもって、実父である犯則嫌疑者Bに対し、同公開買付けの実施に関する事実を伝達し、Bが、その公表前に、B名義で3銘柄の株券を買い付けたものです。証券市場の公正性・信頼性を守るべき東京証券取引所の社員が関与した内部者取引等の事案であり、市場の公正性に与えた影響等諸般の事情に照らし、悪質性が認められます。
 証券取引等監視委員会は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違法行為に対し、厳正に対応していきます。

4.株式会社出前館との契約締結交渉者の従業員から伝達を受けた海外居住者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和7年1月17日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【事案の概要】
 本件は、大韓民国に居住する課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)が、株式会社出前館(以下「出前館」といいます。)と株式引受契約等の締結の交渉をしていたLINE株式会社(現LINEヤフー株式会社)の従業員であった者から、同人が同契約等の締結の交渉に関し知った、出前館の業務執行を決定する機関が、同社の発行する株式を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、重要事実の公表前に出前館株式を買い付けたものです。
 
【事案の特色】
(1)  本件は、大韓民国に居住していた対象者が、日本でも大韓民国でもない第三国に開設した親族名義の口座を使って、インサイダー取引を行ったという事案です。
(2)  調査は香港、大韓民国、シンガポール、タイ、アメリカの各金融規制当局(Hong Kong Securities and Futures Commission、Korea Financial Services Commission/Financial Supervisory Service、Monetary Authority of Singapore、Securities and Exchange Commission of Thailand、United States Securities and Exchange Commission)から支援を受けて進めたほか、日本取引所自主規制法人から提供された情報等も参考として、実態解明を行いました。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件違反行為を勧告することにより、たとえ海外居住者が日本でも居住国でもない第三国に開設した自己名義ではない口座を利用して取引を行ったとしても、証券監視委が幅広い調査・分析を行って違反行為を特定し、不公正取引として摘発することを社会に示すことができたと考えています。
 本件では5か国の当局からの調査協力を得ており、今後も海外金融規制当局や国内の自主規制機関等との連携を通じて、複数国に跨るような不公正取引に対しても厳正に対処し、我が国の証券市場の健全性を確保していきます。
違反行為事実の概要について

5.株式会社WCPに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和7年1月17日、金融庁に対して、株式会社WCP(以下「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告しました。
 
【事案の概要等】
・投資者の同意を得ることなくファンドと当社取締役との間における取引を行うことを内容とした運用を行う等、忠実に投資運用業を行っていない状況
(1) 当社は、ファンドの運用として、投資者の同意を得ることなく、当社の取締役と実質的に同一であると認められる法人と取引を行っていました。今回検査では、利益相反取引である当該行為について、投資運用業者の禁止行為である、取締役との間における取引を行うことを内容とした運用を行ったもの、と認定しています。
(2) また、当社は、これらの取引の内容について、運用報告書に記載すべき事項を記載していませんでした。
(3) さらに、当社は、ファンドの運用として、未上場会社が行った新株発行の引受けにおいて、発行会社から提示された価格よりも高い価格で当該株式を取得していました。このような当社の行為は、ファンドの投資者の利益を害するものと認められます。
 
 上記(1)の行為は、金融商品取引法第63条第11項によって適用される同法第42条の2第1号に規定する取締役と間における取引に該当するものと認められます。
 上記(2)の状況は、法令で定められた運用報告書の記載事項に不備があると認められることから、同法第63条第11項によって適用される同法第42条の7第1項に規定する運用報告書の交付義務に違反するものと認められます。
 また、上記(1)~(3)の状況は、投資者のために忠実に投資運用業を行っていないと認められることから、同法第63条第11項によって適用される同法第42条第1項に規定する忠実義務に違反するものと認められます。
 
【証券監視委からのメッセージ】
  • 上記の法令違反行為は、当社において、内部管理態勢の構築を先送りにして営業を推進していたことや、法令等遵守意識が著しく欠如していること等に起因して発生したものであり、投資家保護上重大な問題が認められたものです。
  • 証券監視委は、このような投資者保護上問題のある行為に対して、今後も厳正に対処してまいります。
※当社に対しては、令和7年2月13日に、関東財務局長から 新しいウィンドウで開きます / open new window業務停止命令(一か月)及び業務改善命令が発令されています。

6.株式会社ガーラにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社ガーラ(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和7年1月28日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【法令違反の内容】
当社は、本来費用計上しなければならないソフトウェアの開発費について、資産として過大計上する不適正な会計処理を行ったことにより、「重要な事項につき虚偽の記載」がある下記の開示書類を関東財務局長に提出しました。
 
(継続開示書類)
・令和2年3月期有価証券報告書(令和2年6月29日提出)
(発行開示書類)
・有価証券届出書(令和2年5月25日提出)

【不適正な会計処理の概要】
不適正な会計処理の概要その1
不適正な会計処理の概要その2

証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、
引き続き厳正に対処してまいります。

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