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証券取引等監視委員会 中期活動方針
(第11期:2023年~2025年)
~時代の変化に対応し、
信頼される公正・透明な市場のために~

2023(令和5)年1月27日
証券取引等監視委員会

証券監視委の使命

  • 的確・適切な市場監視による

  • 1.市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護の実現

  • 2.資本市場の健全な発展への貢献

  • 3.国民経済の持続的な成長への貢献

  

 証券監視委は、取引の公正を図り、市場に対する投資者の信頼を保持することを目的として平成4年に設置され、今般、節目となる30周年を迎えるとともに、第11期が発足しました。
 この間、累次の制度改正等により、市場監視権限の充実・強化が図られるとともに、新たな商品・取引等の出現により、市場監視対象の拡大・複雑化・高度化・グローバル化が進展しました。加えて、足下、新型コロナウイルス感染症や地政学リスクの高まり、経済安全保障を巡る情勢等により、市場を取り巻く環境は大きく変化しているほか、第11期の期間中においても、新たな環境変化が生じる可能性もあります。

 証券監視委は、こうした大きな環境変化の中で、市場に対する幅広い監視、課徴金調査・検査や証券検査といった行政機能の迅速な発揮、重大・悪質な事案に対する厳正な対処、といった機能を引き続き適時適切に活用することで、自らの使命を果たしてまいります。
 具体的には、以下のとおり、「Ⅰ.網羅的な市場監視に向けた情報収集・分析」「Ⅱ.効果的・効率的な調査・検査」「Ⅲ.市場規律強化に向けた実効的な取組み」の好循環の実現に努めてまいります。また、市場監視の専門機関としての能力を向上させ、市場監視の好循環の礎とします。

具体的な施策

.網羅的な市場監視に向けた情報収集・分析

(1)有用情報の収集

  • 証券監視委の市場監視業務にとって「情報」は要であり、情報提供窓口・自主規制機関等を通じて、市場全体について幅広く有用な情報を収集し、活用します。
  • 市場監視の過程で得られた有用な情報や知見を集約・分析・蓄積し、必要に応じ金融庁・財務局等とも共有するなど、市場監視全般に多面的・複線的に活用します。

(2)市場の変化等の適切な把握・分析

  • 株式市場と債券市場、現物市場とデリバティブ市場、発行市場と流通市場等の市場全体に日常的に目を向けるとともに、国内外の市場環境の変化を適時に把握・分析することで、問題の未然防止・早期発見につなげます。
  • 市場・上場企業を取り巻く環境変化や制度見直しの進展等を踏まえつつ、新たな商品・取引や監視の目の行き届きにくい商品・取引、上場企業による開示の充実に向けた取組み等へ的確に対応し、市場監視の空白を作らない取組みを行います。

(3)国際連携の強化

  • 証券監督者国際機構(IOSCO)等の国際的な枠組みを通じた情報共有を進め、グローバルな市場監視を強化するとともに、海外当局との積極的な連携を通じて、法執行事例等の情報や市場監視に係る問題意識等を交換し、市場監視に活用します。

.効果的・効率的な調査・検査

(4)リスクベースアプローチに基づく証券検査

  • 金融商品取引業者等について、監督部局や財務局等と連携しつつ、リスクベースで検査先を選定し、実質的に意味のある検証や問題点の指摘に努めます。問題が認められた場合、事案の全体像を把握し、その根本原因を究明することにより、自主的な改善の促進を通じて、再発防止・未然防止につなげます。

(5)不公正取引や開示規制違反への迅速な対応

  • 課徴金納付命令勧告を視野に入れた調査・検査の迅速な実施により、不公正取引や開示規制違反の実態を解明します。事案の全体像を把握し、根本原因を究明した上で、当事者等との深度ある議論を通じて、再発防止・未然防止につなげます。
  • クロスボーダーの法令違反行為やグローバル企業の開示規制違反に対しては、海外当局と連携しつつ、事案の特質に応じた調査・検査を行います。

(6)重大・悪質事案への告発等による厳正な対応

  • 違反行為のうち重大で悪質なものについては、犯則調査の権限を行使し、厳正に対応します。その際、捜査・訴追当局や海外当局等の関係機関と連携し、実態の解明や責任追及を効果的に行います。

(7)投資者被害事案に対する積極的な取組み

  • 顧客本位の業務運営の確保等を通じた多様な投資者の保護の観点から、金融商品の不適切な販売・勧誘等に対する証券検査や、国内外に拠点を有し無登録で金融商品取引業を行う者及び無届で有価証券の募集等を行う者に対する裁判所への禁止命令等の申立て等、投資者被害事案に対して積極的に取り組みます。

(8)非定型・新類型の事案等に対する対応力強化

  • 証券監視委として過去に勧告・告発等した類型にも引き続き対応しつつ、市場を取り巻く環境変化等も踏まえ、市場の公正性を脅かしかねない非定型・新類型の事案等(例えば、潜脱的な大量保有・買付け、新たな類型の偽計等)についても、積極的に対応します。

.市場規律強化に向けた実効的な取組み

(9)情報発信の強化

  • 投資者被害の未然防止等に資するよう、投資者への注意喚起等の情報発信を充実させます。
  • 個別事案や事例集の公表等において、事案の意義、内容及び問題点を明確にした、具体的で分かりやすい情報発信を行います。これにより、意図せざるものを含む法令違反・不適切行為の未然防止や、情報提供窓口・自主規制機関等を通じた一層の情報収集につなげます。

(10)関係機関との更なる連携強化

  • 市場の構造的な問題を把握した場合には、より良い市場環境の整備に向け、積極的な貢献を行います。
  • 共通の目的を有する自主規制機関等が一層主体的な役割を果たせるよう、情報・問題意識を適時に共有するなど連携を強化し、市場監視の実効性を高めていきます。

市場監視の専門機関としての能力向上

〇 デジタル技術を活用した市場監視業務の高度化・効率化

  • 市場監視業務の高度化・効率化を図るため、取引監視システム等における一層のデジタル化やデータ処理力の更なる向上を図るとともに、デジタルフォレンジック技術の一層の向上及び情報システムの高度化を推進します。

〇 職員の戦略的な育成・活用等

  • 市場監視の力の源泉は職員であり、職員誰もがいきいきと働き、全ての職員が能力を最大限に発揮できるよう環境整備を進めます。
  • 証券監視委の使命を適切に果たしていくため、高度な専門性と幅広い視点を持った職員の育成に引き続き取り組みます。
  • その上で、こうした職員の能力と、法律、会計、システム、不動産、金融工学等の多様な専門家の知見とを結集し、関係機関とも連携して、複雑化・高度化する市場に対応していきます。

〇 財務局との協働・連携の推進

  • 市場の公正性・透明性の確保や投資者保護の実現には、各地において市場監視機能の一翼を担う財務局との協働・連携が不可欠であり、証券検査をはじめとする様々な分野において更なる情報共有を進め意思疎通をしっかりと確保し、一体的な業務運営を図っていきます。





証券取引等監視委員会情報提供窓口のご案内
 
1 市場監視とは、市場モニタリング、取引審査、証券検査、取引調査、開示検査、犯則調査等を含む、証券監視委の活動全般を指す。
2 証券監視委の委員長及び委員の任期は3年とされており(金融庁設置法第13条第1項)、この3年の期間を「1期」と呼んでいる。


 
図1(証券取引等監視委員会中期活動方針(第11期))
 

サイトマップ

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