「サステナブルファイナンス有識者会議」(第7回):議事録

1.日時:

令和3年5月28日(金曜日)14時30分~16時30分

 
【水口座長】 皆様、こんにちは。水口です。ただいまより、「サステナブルファイナンス有識者会議」第7回会合を開催いたします。本日も御多忙のところ、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 
 初めに、毎回同様の注意事項ですが、御発言されない間は、必ずミュート設定にしてください。御発言されるときにミュートを解除し、発言が終わられましたら、再びミュートに戻していただくようにお願いをいたします。
 
 それでは、本日の議論に移りたいと思います。前回は、事務局説明資料という形で論点整理案をお示しし、皆様から御意見をいただきました。今回は、それを踏まえて事務局のほうで報告書の案を作成し、事前に皆様にお送りしました。時間が短くて申し訳ありませんでしたが、皆様から一旦コメントや御意見のフィードバックをいただきました。皆様の御意見等を踏まえまして、さらに修正したものを、昨日、お送りしていると思います。そして、本日、今朝に、クリーン版のほうをお送りしていると思います。本日は、この修正版の報告書(案)に対して御意見をいただきたい、このように思っております。
 
 それでは、最初に、修正版の報告書につきまして、事前に既にお送りしているものではありますけれども、事務局のほうから簡単に御説明をお願いします。
 
【岡田総合政策課長】 それでは、手短に。
 
 めくっていただきまして、1ページのところ、「はじめに」ですが、これは直近までのサステナブルファイナンスの流れを御紹介した後、2021年はとりわけ気候変動に関して重要な動きが見込まれる1年。日本においてもカーボンニュートラル2050年の目標を掲げ、この4月には2030年の温室効果ガスの削減目標引上げを表明したということを書いた上で、世界が脱炭素化へ向かう中で、日本の金融も新たな成長分野をつかんでいくことが必要。日本企業は貢献する高い技術・潜在力を有する世界のESG投資基金を日本に呼び込み、国内外の成長資金がこうした企業の取組を活用されるよう、適切に機能することが重要ということを掲げた上で、こうした観点から、2ページですが、本有識者会議が設置され、これまで議論をさせていただいたということ。
 
 その次は、この後の構成ですが、第1章はサステナブルファイナンスに関する基本的な視点と横断的な論点、第2章が投融資先となる企業、第3章は直接企業を中心とする市場関係者に関する内容、第4章は間接金融の内容を中心とする金融機関に関わる内容について整理しているということでございます。
 
 めくっていただきまして、3ページ以下、総論であります。「基本的視点」ということで、現在、幅広い社会的課題があって、いずれも社会の持続可能性を脅かす危機。中でも2050年カーボンニュートラルというのは重要である。そういう脱炭素化に向けては、大きな産業構造転換を伴うので、公正な移行という観点も重要というのを指摘しております。
 
 3段落目ですが、そうした中で、金融資本市場における投融資の判断にESGの要素を組み込むことをはじめとするサステナブルファイナンスを推進することは、こういう持続可能な社会を構築する上で鍵となる。金融資本市場に期待される役割は大きいとしております。
 
 また、次の段落は、逆に、持続可能な社会の構築は、それによって立つ金融資本市場、金融主体にも便益をもたらす。その一例はユニバーサルオーナーとか、それに近い立場の金融主体が例であるということを言っています。
 
 「さらに」のところには、ほかに金融にとってのESG、サステナブルファイナンスの大事な点として、リスクの低減、投資機会の発見につながるといったことを記させていただいた上で、以上のように、サステナブルファイナンスは経済・社会・産業が望ましい在り方に向けて発展していくことを支え、金融メカニズム、すなわち、持続可能な経済社会システムを支えるインフラと位置づけるべきではないかと。
 
 最後に、「したがって、民間セクターが主体的に取り組むとともに、制度的な枠組みづくりなどを通じて、政策的にも推進していくべき」とまとめております。
 
 その後、「横断的論点」の初めは、(1)は受託者責任であります。すなわち、他人の資金を管理運用する者が受益者の利益のために果たすべき責任と義務。
 
 その後は、それとESG要素考慮との関係について、主として海外の議論を御紹介させていただいた上で、6ページ辺りになりますが、我が国でも、2020年のスチュワードシップ改訂で、「運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮」というのを明記した上で、これまでのこの会議での議論をまとめております。
 
 すなわち、現状、ESG要素を考慮しなければ受託者責任に反するとまで言える状況にはないが、サステナブルファイナンスの意義を踏まえて、ESG要素を考慮することは、日本においても受託者責任を果たす上で望ましい対応の1つと位置づけることができると考えられるとしております。
 
 それから、インパクトの考え方が2番目に参ります。環境や社会課題が改善するなど、経済社会システム全体の便益に寄与することが期待されている中で、こうした環境的・社会的な効果は「インパクト」と呼ばれ、経済活動の尺度として活用されつつあるということで、インパクト投資についての議論については、経済的リターンまたはインパクトをどの程度重視するかによって幾つかの異なった見方が存在する点について留意が必要であるという御意見を紹介させていただいて、めくっていただきまして、しばらく先ですが、この分野では、例えば、環境省が設置している「ESG金融ハイレベル・パネル」で、ESG金融を通じて環境や社会へのポジティブなインパクトを生み出していくため、各金融主体がこのインパクトファイナンスの普及に向けて必要なステークホルダーと連携して取り組むことが宣言されていることの紹介。また、金融庁とGSG国内諮問委員会の共催で「インパクト投資に関する勉強会」も継続的に実施しているということを御紹介した上で、これらの動きをさらに推進するとともに、今後、さらに関係者で積極的な連携を図っていくことが望まれるとしております。
 
 (3)「タクソノミーとトランジション」であります。タクソノミーは、これまで定義が曖昧でありました「グリーン」や「サステナブル」といった概念に関して、明確な基準を制度化するものであります。これは、サステナブルファイナンスを推進する政策ツールとして可能性というのを秘めたものではありますが、幾つか課題が解決される必要があるとして、1つには、その基準に伴う様々なプロセスの中で科学性をどう担保するのか、中央集権的な基準設定に伴うコスト、高い頻度で見直さなければ固定化されるといったリスク。いずれにしても、コスト・ベネフィットが適切に判断されなければならない中で、我が国としても、タクソノミーについて、EU等の動向を注視するとともに、IPSF等での国際的な議論の日本への影響等も考慮しながら、適切に参画していくことが望まれるとしています。
 
 これに関連しますが、カーボンニュートラルに到達するトランジションの取組を適切に評価した上で資金供給を促していくことが大事ということで、その後ですが、ICMAの「ハンドブック」も踏まえたトランジション・ファイナンスの基本指針というのを既に策定しているところであります。
 
 今後、温室効果ガス排出産業を中心に、パリ協定と整合的な分野別ロードマップというものを政府において策定していく予定であります。
 
 それから、次、第2章ですが、「企業開示の充実」ということで、冒頭ありますが、1ポツの「サステナビリティ情報開示」の直前のところで、企業が投資家や金融機関とこのような建設的な対話を進めるに当たっては、サステナビリティ情報の開示が出発点になるとさせていただいた上で、サステナビリティ情報開示に関して、GRI、IIRC、SASB、TCFDなど国際的な基準やフレームワークは提供してきているところでありますし、2020年には、IFRSの設定主体であるIFRS財団が新たな基準設定主体の設置に向けた取組を進めているということを御紹介させていただいた上で、しばらく先のところですが、「主要国間の基準の分断化を避ける観点から、そうした国々が共通して依拠可能な国際的なサステナビリティ開示基準設定の仕組みと、それに基づく基準の統一化が図られる意義は大きい」というふうにまとめております。
 
 また、その2つ先の段落ですが、IFRS財団の市中協議文書では、非財務報告の対象につきまして、企業財務に影響を与える事項についての開示を求める考え方、シングルマテリアリティと、より幅広いステークホルダーにとっての重要性の観点から開示を求める考え方、ダブルマテリアリティとが示されているところです。さらに、社会にとって重要性の高い事項ほど、長期的に見れば経済に内部化され、財務的にも重要になる可能性が高くなるというダイナミックマテリアリティという考え方も出てきていると御紹介した上で、IFRS財団のサステナビリティ報告基準というものが、各国の追加的な開示事項と調和する柔軟性を持ちつつ、財務上の重要性という財務報告と共通の土台に立って策定されていくことの意義も大きいものと見込まれる。
 
 一方で、サステナビリティに関する取組の焦点は国や産業によって多様であるため、それらが適切に表現・評価され、さらなる取組の促進につながるような柔軟性を確保することも重要である。こうした観点を踏まえ、日本としては、IFRS財団における基準策定に積極的に参画すべきであるというふうにまとめております。
 
 以上がサステナビリティ全体ですが、気候関連開示につきましては、4段落目ですかね、12ページのところの。「現在」というところにありますが、その2行目、日本におきまして、本年、2021年4月に、コーポレートガバナンス・コードの改訂案が示され、「国際的に確立されたTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」とされているということで、その次の段落の最後のところですが、こうした今般の改訂を踏まえて、引き続き、企業開示の質と量の充実を促していくべきとしております。
 
 また、投資家からは、比較可能性を確保した、最も信頼性の高い法定開示書類における開示を進めることが望ましいという意見もある。他方で、法定開示に求められる正確性、訴訟リスクなどから、自主性や柔軟性のある開示のほうが望ましいという意見もあるということを御紹介させていただいた上で、COP26に向けた国際動向を注視しながら、気候変動関連開示の充実に向けた検討を継続的に進めていくことが重要であるとまとめております。
 
 以上が第2章で、第3章ですが、「市場機能の発揮」ということで、2段落目で、国内外の資金を呼び込み、グリーンボンド等の取引が活発に行われる「グリーン国際金融センター」を実現することによって、世界・アジアにおける脱炭素化、持続可能な社会の構築に向けた投融資の活性化に貢献すると考えられると趣旨を述べた上で、各論ですが、まず、「機関投資家」ということで、2段落目の最後、機関投資家の役割が重要ということで、スチュワードシップ・コードの受入れや、PRIへの署名、TCFD提言に基づく開示等、ESG投資の積極的な推進やエンゲージメントに向けたコミットメントを強化することが重要。
 
 あわせまして、こうした広範にわたる企業のESG課題の知見の蓄積というのもテーマでありまして、その場合に、多様な組織から構成される国際的な取組への積極的な参画も有益であるということを指摘させていただいております。
 
 その次のページのところですが、こうした国際的な取組等に出ると、メリットとしては、いろいろ知見が得られるというところですが、英語によるコミュニケーション、その他が課題という声も聞かれる中で、国内投資家におきましては、国際的な取組への積極的な参画により、情報収集能力の向上に努めることが大事と指摘しております。
 
 それから、その次に、個人投資家に係る課題であります。2段落目で、こうしたESG、SDGsへの関心高まりを背景に、関連したアクティブ型の投資信託の設定が相次いでいるということでありますが、その次の段落にありますように、どのような基準に基づいて名前をつけるかとかいうのが、現在、各社の裁量、それから、最後のところにありますが、ESGスコアの算出基準は、目論見書などで説明されていないといったことを指摘した上で、顧客保護の観点からは、組成、販売に当たって、十分な丁寧な説明を行うとか、あるいは、その商品の名称が示唆する特性をどのように達成するかを明確に説明するといったことが課題で、金融庁においてもモニタリングを進めていくということが適当であるとしております。
 
 それから、3つ目で、ESG評価機関につきましては、世界的なESG投資の拡大を背景としまして、ESG評価機関の重要性が増しているというのを指摘させていただいた上で、18ページのところですが、課題が3つほどあります。そうした中で、信頼性向上は、ESG評価機関単体でなし得るものではないですが、いずれにしても、今後、日本の企業がESG評価機関に高く評価されるために情報開示というものが大事で、そうした中で、ビッグデータやAIの活用などで評価手法なども変化していくということを留意し得ることにも留意が必要としております。
 
 19ページですが、「ESG関連債プラットフォーム」ということで、1つには、有益な情報が得られる環境整備が必要ではないかということで、諸外国の証券取引所の取組を紹介した上で、20ページですが、日本取引所グループで既にいろいろな取組をされているというのを御紹介させていただいた上で、多くの企業と接点を有する取引所において、さらに実務的に一層有益なプラットフォームの構築などに積極的に努めていくことが期待される。また、企業がサステナビリティ開示をXBRLによりタグ付けすることなども、並行して検討していくことも考えられるとしております。
 
 それから、ESG関連債の信認確保につきましては、21ページのところですが、いわゆるグリーンウォッシュに対する批判等を踏まえれば、諸外国の取引所で、上場要件として、定期的な報告、外部評価の取得などを必須としている例もある中で、我が国として、客観的にESG関連債の適格性を保証する認証枠組みの構築というのが期待されるとしております。
 
 最後の第4章ですが、「金融機関の投融資先支援とリスク管理」。間接金融の比率が高い日本で、銀行をはじめとする金融機関が果たすべき役割は重要ということでありますが、22ページのところで、まず、「投融資先支援」ということであります。一番下のところにありますが、金融庁においては、環境省のESG地域金融の取組とも連携して、金融機関でSDGsの実践等を通じた持続的成長に向けた取組を支援することが望まれる。そのため、事業者との対話を含めた金融機関における気候変動への取組については、後で出てくる、金融庁の監督上の目線を盛り込んだガイダンスの中に盛り込んでいくなどの施策を詰めていくことが適当としております。
 
 それから、23ページで、リスク管理のところでありますが、この1つ目は、「金融機関における気候変動リスク」ということで、24ページの真ん中辺りになるかと思うんですが、銀行や保険会社等の金融機関で、それぞれの規模・特性に応じて、こうした気候変動リスクの特徴を踏まえた管理態勢の構築が重要ということで、NGFS等で監督上の重要項目が示されている中で、金融庁においても、監督上の目線を盛り込んだガイダンスを策定するなど、金融機関の対応を具体的に促していくことが適当と。
 
 めくっていただきまして、25ページの真ん中ら辺で、「シナリオ分析の活用」というのが出てまいりますが、この分野、過去のトレンドと大きく変わってき得るので、そういうシナリオ分析の実施が有効と考えられる中で、26ページですかね、金融庁においては、国際的な動向にも留意しつつ、共通シナリオを用いたシナリオ分析の手法活用の議論を着実に進めていくことが重要といったことを指摘しております。
 
 「おわりに」におきましては、サステナブルファイナンスとは、特定の金融商品ではなくて、持続可能な社会を支える金融の制度、仕組み、行動規範等の全体像を意味する。始まったばかりであるが、気候変動は緊急事態だということで、やっていく必要があるということで、脱炭素・持続可能な社会に必要な巨額の資金を動員することも非常に重要な使命である。しかし、他方で、民間セクターだけでは取れないリスクもあるので、官民の金融機関による協調融資など、政策支援というのも進めていくことが必要である。
 
 最後に、サステナブルファイナンスは発展途上であるがゆえに、今後も、金融庁をはじめとした関係省庁、市場関係者、金融機関、産業界、学界、NGOなどが連携して、横断統合的かつ継続的に議論していくことを強く望みたいということで、報告書(案)を締めくくっております。
 
 私のほうからは以上でございます。
 
【水口座長】 ありがとうございました。今、報告書(案)のポイントをかいつまんで説明をしていただきました。このように、いよいよ報告書の形ができてきました。議論も大詰めということです。
 
 今から16時半まで、2時間弱ですけれども、この間に皆様から御意見をいただきたいというふうに思います。大変失礼ながら、今回の27ページある報告書を4時半までに全体を見渡したいと思いますので、申し訳ありませんが、1回の発言は短く、結論だけをずばっと言っていただければと思います。
 
 また、御意見をいただきましても、全てがそのとおりになるとは限りませんので、その点はどうぞお許しをください。いろいろな方の御意見を入れながら、有識者会議全体としてバランスを取った報告書にしていきたいと考えております。
 
 御発言につきましては、直接声を上げる方法ということでお願いしまして、今画面に映っておりますけれども、このような時間配分で、やや既に押しているんですけれども、この時間配分で行きたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いします。
 
 今回は、最初に、全体を通してどうしても言いたいということがあれば、まず、それを伺いたいと思います。先ほども申しましたように、今回の報告書(案)は既に皆様に事前にお送りして、一旦御意見をいただいて、それを踏まえて修正をしたものです。ですが、その上で、さらに全体を通してこれだけは言っておきたいということがありましたら、最初に伺いたいということです。これは、時間切れで一番大事なことが最後に言えなくなったということにならないようにという意味ですから、細かい文言の修正ではなくて、とても重要なことで、全体観として言わなきゃいけないということがもしありましたら、最初に伺いたいと思います。
 
 いかがでしょうか。どなたからでも結構ですが、何かそういうことはありますでしょうか。どなたかお声ありますか。どうぞ。今、どなたか。林さんでしたか。
 
【林(礼)メンバー】 私ともう一人どなたかいたかと思いましたけれども、すみません、先に。
 
 ありがとうございました。全体をということで、1つはお疲れさまでしたということです。今回、我々有識者会議の提言ということだと思うんですが、2点ありまして、1つは27ページの大部だということでもございますので、もし可能であれば、エグゼクティブサマリー的なもの、総論は既に入っていますけれども、結論は何だったのというところがもうちょっと明確に分かる何か、1パラか2パラぐらいあってもいいのかなというふうに思いましたのと、あと、最後のところで、我々としても、これは本当にそのとおりだと思いますけれども、最後の「強く望みたい」という強い意識を感じていて、これを踏まえての今後、金融庁さんの御議論だと思いますけれども、継続的な議論の仕組みというものを何か具体的に示せるといいなというふうに思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。エグゼクティブサマリー的なものは、やはり作っていきたいと思います。渋澤さん。
 
【渋澤メンバー】 渋澤です。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【渋澤メンバー】 ありがとうございます。本当に、事務局の皆さん、御苦労さまでした。
 
 1つ思うことは、最近ESGとかSDGsを考えるときに、経済とか金融の目線、金融とか経済の下に環境社会があるみたいなイメージで話が展開する傾向ありますが持続可能な社会を支えるのが金融システムなので、どちらかというと、環境があり、社会があり、だから、経済があり、だから、金融があるみたいなそういうロジックを最初のところに立ててくれると、金融業界の我々にとっても1つの頭の整理にもなるんじゃないかと思いますので、そういう文言を最初に入れていただくといいかなとちょっと思いました。
 
【水口座長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。私は全く同じ気持ちを持っています。少し考えたいと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【小野塚メンバー】 小野塚です。よろしいですか。
 
【水口座長】 小野塚さん、お願いします。
 
【小野塚メンバー】 よろしくお願いいたします。今回、お疲れさまでした。
 
 「はじめに」とそれから「横断的論点」というところで1つ思ったことなんですけれども、何度か「日本の金融」とか、「日本企業」とか、「政府」というのが出てくると思うんですけれども、やはりもう少し日本の今後のあるべき姿に沿った、日本らしいですとか、地域性をもう少し重視したような文言というのを入れるべきではないかと思います。
 
 サステナブルファイナンス自体はグローバルの流れですけれども、我々がこれを考える文脈、コンテクストというのは、日本の明るい未来のためですので、その辺りがもう少し色濃く出るほうがいいのではないかと思いました。
 
【水口座長】 なるほど。日本にとっても、日本の未来だという感じ。どうぞ。
 
【岡田総合政策課長】 具体的にどう反映するか難しいですが、何か工夫ができないのか考えてみたいと思います。
 
【小野塚メンバー】 ありがとうございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
 ほかに何かありますでしょうか。
 
【高村メンバー】 すみません。高村でございます。よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【高村メンバー】 今、もう既におっしゃられたので、重複になりますけど、エグゼクティブサマリーと、それから、これは「おわりに」なのかもしれませんけれども、今後、こうした掲げた課題をどういうふうに進捗させていくかという仕組みづくり、林委員の御発言に賛同いたします。
 
 そして、もう一つ、今、2人の先生、渋澤先生と小野塚先生がおっしゃったのは、恐らく、「おわりに」の一番冒頭のところに、ファイナンスそのものが持続可能な社会をつくっていく1つの重要な基盤であると、「それと整合的なシステムでなければいけない」といった辺りに、その思いは事務局のほうからも入れていただいているように思っていまして、恐らく、こうしたものをむしろ頭のところで展開していただくという形の解決方法もあるかなというふうに思っております。
 
 以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 
【足達メンバー】 足達です。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【足達メンバー】 繰り返しになるところもありますけれども、林さんがおっしゃったようにエグゼクティブサマリーを書く必要と同時に、提言内容(今回が中間取りまとめなのか最終なのか分かりませんが)はこれなんだということが浮き彫りになるように、その部分を明らかに分かるように書くというのがよろしいのではないかなということを提案したいと思います。ゴシック体を使うでも何でもいいと思うんですけれども、一体、幾つの提言が収められているんだというようなことが分かったほうがいいという考えであります。
 
 以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
【岡田総合政策課長】 サマリーが必要とのご意見、今の足達様の御意見もそうかもしれませんが、この報告書について「こういうことでよろしい」とまとまった形になった後、対外向けに、私たちの通常の実務ですと横の資料だったりしますけど、概要みたいなものを作成いたしますので、今日のいろいろな御意見を踏まえて考えてみたいと思います。
 
【水口座長】 せっかく報告書を作ったら、世間に伝わりやすいという形が重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【長谷川メンバー】 経団連の長谷川です。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【長谷川メンバー】 総論のインパクトの考え方に関するところ。7ページにも、今、金融庁も含めて様々な会議体等で勉強会が開かれているとか、それによって知見や議論の深化が進んでいるように書かれており、この動きをさらに推進するとなっておりますが、推進するために、具体的にどういったことが考えられるでしょうか。
 
 よく言われているように、大学や研究機関で理論を研究している人と、実践で商品を開発している人たちを仲介する人がいないとか、そういう場がないとかいう話もよく聞きます。今後どういうことをするのかや、今、既にいろいろな研究機関や大学で蓄積されている業種別、地域別の様々なインパクトに関するデータをどこかのデータセンターで整理するといった、具体的な御提案もあるといいかなと思いました。
 
 以上です。
 
【岡田総合政策課長】 ありがとうございます。そのあたりも含めて、具体的にどういうことをやるかというのも含めて、このインパクト投資勉強会もございますし、それに限らず考えていきたいという形で、ちょっと現時点で具体的に何をするかということまで、今回の議論で必ずしもそこまで行かなかったところはあるのかなと思いますが、いずれにしても、そういったことは当然、今後やっていきたいと考えております。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
 徐々に具体の話にも入ってまいりましたので、「総論」、全体感のことと含めて、「はじめに」とそれから第1章の「総論」まで、文言も含めまして、御意見いただきたいと思います。「はじめに」から第1章の「総論」までのところ。あと、全体観も含めて、御意見があればどんどん言っていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 
【井口メンバー】 意見あります。井口です。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【井口メンバー】 まず、事務局の方には、多様な御意見をまとめていただきまして、ありがとうございました。
 
 全体観というよりも、具体的な本文のほうで幾つかコメントをさせていただければと思います。
 
 1つは、「受託者責任」のところで、6ページの最後の文書となりますが、「ESG要素を考慮することは、日本においても受託者責任を果たす上で望ましい対応の一つと位置づけることができる」のところとなります。すみません、以前の委員会で、私もそういうことを申し上げたのかもしれませんが、ただ、スチュワードシップ・コードの中でも、既に、サステナビリティへの配慮をするということはスチュワードシップ責任の中にも入っているということもありますし、すでに方向性が出されているということと理解しています。
 
 また、今後、サステナブルファイナンスを推進することが必要という意味では、「受託者責任を果たす上で望ましい対応」と言い切ってもいいのではないかと思っていまして、「一つ」というのを取って、「望ましい対応と位置づける」と修文していただくほうがいいのではないかと思っております。
 
 6ページのインパクトのところは、今回、様々なインパクト投資の形態があるということをはっきり書いていただいたのと、受託者責任の中でどう位置づけるかということを明確にしていただいた点で非常に意義がある記載だと思っております。
 
 ただ、先ほどの長谷川委員の御発言と似通うかもしれませんが、最後のほうに、インパクト投資には企業の開示が非常に重要である、ということが記載されておりますが、では、それを政策的にどうするのかとか、解決法が記載されていない気がしています。今後、いろいろな研究会で明確化されると事務局のほうから御説明ありましたが、そのような印象を持ちました。
 
 最後、タクソノミーのところですが、これも今後の課題ということで、このような記載の方法をされているとは思って、そこは理解できますが、前回の議論の中でも、たしか足達委員とかも日本版タクソノミーの重要性を日本版のというようなお話をされていた――もしされていなかったら、すみません。というような意見があったような気がして、ここで書いていらっしゃるのは、そういう日本版はつくらずに、一足飛びに国際的な規範をつくるということを言ってらっしゃるのでしょうか。
 
 そこだけ確認させていただければと思います。ありがとうございます。
 
【水口座長】 まず、1点目ですけれども、1点目は、ですから、この「受託者責任を果たす上で望ましい対応と位置づけることができる」というふうに言ってもいいのではないかということですかね。あまり・・・。
 
【井口メンバー】 そうです。すでにスチュワードシップ・コードに署名している機関投資家にとっては、そのような方向になっているので、全然、問題ないと思っております。また、「対応と位置づける」と言ったほうが、サステナブルファイナンスを進めるという意味では望ましいのではないかというふうに思っています。
 
【水口座長】 2点目、3点目を含めて、もしコメントがあれば、すみません、事務局のほうで何かありますか。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局です。
 
 タクソノミーについては、ここに書いてあるとおり、課題といった点も幾つか挙げられますが、金融庁としても、IPSFという国際的な取組みの中でこのタクソノミーについては考えていくということがまず1つあるのと、もう一つ、その後、トランジションの文脈で書いてはおりますけれども、脚注15ですね。これから分野別のロードマップといったものを作っていきますので、こういったものが国際的に信頼性高く認められるような形で、タクソノミーと同じような効果を持つものがつくられていくということが期待される。ここが重要なメッセージかなと思っております。
 
【井口メンバー】 分かりました。他の方も御発言あると思いますので、私はこの辺で発言を止めさせていただきます。ありがとうございました。
 
【水口座長】 手塚さん、いかがでしょうか。手塚さん。
 
【手塚メンバー】 聞こえていますでしょうか。
 
【水口座長】 どうぞ。
 
【手塚メンバー】 ありがとうございます。大変よくまとまった資料を拝見して、ほとんど異論はないんですけれども、1点、このタクソノミーのところで、8ページなんですけれども、コメントをさせていただきたいと思います。
 
 「こうしたタクソノミーが」というところから始まるパラグラフの中で、タクソノミーにはまだ課題があるということが指摘されていて、基準の統一化というのは二分論的な議論であり、メリットもあるけれども、中央集権的にやるというのにはいろいろ問題もあるんじゃないかと指摘されているんですけれども。実は、このパラグラフの後ろ、「コスト・ベネフィットが適切に判断されなければならない」というところの後ろに、もう一点、地域によって適切なタクソノミーは違うということを入れていただいたほうがいいんじゃないかと思うんです。
 
 具体的には、サステナブルな経済活動の基準というのは、国や地域の置かれている自然環境、あるいは、発展段階、経済や社会状況などの条件によって異なる制約を受けているために、世界共通のタクソノミーの設定というのは必ずしも適切ではないわけで、国や地域の実情に合わせて適切なタクソノミーが設定されていく必要があるというような記述をぜひ入れていただきたいなと思います。
 
 といいますのは、今、ISOの世界で、このタクソノミーのISO化というのができないかという検討が産業セクターごとに、進んでいまして、我々の業界なんかも参加しているんですが、先行しているEUのタクソノミーをコピペでもってISO化するという、ある意味無謀な動きがございます。実際には、各国、地域で様々な事業、あるいは、技術、産業セクターごとに置かれている状況がまるで違いますし、先進国、後進国でも違うでしょうし、使っている生産プロセス、あるいは、原材料の特性も違うわけですから、同じものが世界一律に適用されるということは難しいんですね。
 
 したがって、それぞれの地域なり国なりに適したタクソノミーがつくられていく必要があるわけです。ISOの中でも、まさにそういうような記述をするべきだということを日本の産業界としてはISO委員会のほうにインプットしておりますので、ここもぜひ、そこら辺の平仄を合わせていただければと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
 今のタクソノミーのことについて、もしほかの方で御意見あればいただきますが、いかがですか。
 
【足達メンバー】 足達です。よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 はい。お願いします。
 
【足達メンバー】 前回の私の発言を井口メンバーが引用してくださったので、ちょっとコメントいたします。今回の報告書(案)では、「タクソノミーがあり、そして、トランジションがあり」という複数併記にはならなかった、そういう選択はされなかったというふうに私は理解しております。これは議事録に残していただきたくて発言するようなところもありますが、手塚メンバーがおっしゃったように、それぞれの地域でまずタクソノミーをつくるべしというのは、私もそのように思います。
 
 今の段階で一律に同じものをつくるべきではない。しかし、複数のものがあることによって、初めて対話が始まる。どこがどうハーモナイズできるかという議論が始まる。こういうことも踏まえて、もしトランジションとグリーンタクソノミーが両立するということが書けるのであれば、そういう脈略で書いていただきたいということを改めて提言として申し上げたいと思います。
 
 以上です。
 
【水口座長】 なるほど。ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょうか。今のお二人の発言は、平仄は合っていると理解していいですか。
 
 ありがとうございます。ほかに、別の箇所も含めて、「はじめに」から「総論」までのところで何か御意見があればいただきますが、いかがでしょうか。
 
【吉高メンバー】 吉高ですが、よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【吉高メンバー】 大変よくまとめていただき、ありがとうございました。
 
 総論として申し上げたいのは、世界的にサステナブルファイナンスの動きがあまりにも早いので、「おわりに」にある、継続的な議論というのは本当にしないといけないと思っています。そうでなければ、日本にとって大きなリスクになると思っているので、ぜひこれはお願いしたい。「はじめに」の最後の文章に「報告書を契機としてサステナブルファイナンスの一層の進展」とありますが、そうではなく、日本におけるサステナブルファイナンスのこれが契機になるということだと思います。ここから始まって向上させていくということを明記していただきたいというのがございます。それが1点でございます。
 
 もう一点ですが、トランジションのとりわけ気候変動分野において、「グリーンに分類されないとされる事業」というのがありますが、グリーンを分類していないのに、されないというその分け方の定義がちょっとよく分からなかったので、どのように定義されるかを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局ですけれども、最後の吉高さんの御質問なのですが、御指摘のとおり、グリーンか否かというのを分類していないので、このトランジションのところにグリーンを定義したことを前提としたような文章はちょっと書きづらいなということで、「一般的にグリーンと分類されないとされる」という形で文言を丸くしたというところが経緯であります。現状、このグリーンでないものを明確にここで書くことは難しいと思っています。
 
【吉高メンバー】 これは英語に訳します場合大変難しくなるかと思います。ありがとうございます。
 
【林(礼)メンバー】 すみません。林ですけれども、よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 はい。お願いします。
 
【林(礼)メンバー】 EUとかでのタクソノミーがある世界では、グリーンとは何かというのがあると思いますが、例えば、国際資本市場協会においても、別に何がグリーンかとあまりはっきり言っていないと思うんです。もしグリーンに分類されないとされる事業というのを、グリーンという言葉を使わないのであれば、もういっそ「多排出産業」と言ってしまうのかなとも思うんですけれども、それがかえって難しいのであれば、例えば、よく英語の世界では「high remission」とか「hard-to-abate」とかいうふうに言うかと思いますけれども、そういう表現を使ってもいいのかもしれないなというふうには思いました。
 
 以上です。
 
【水口座長】 ちょっとここの表現ぶりは研究していただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
ほかに、第1章で・・・。
 
【渋澤メンバー】 渋澤です。
 
【水口座長】 どうぞ。お願いします。
 
【渋澤メンバー】 今のタクソノミーの話で、「グリーン」ということに限定されたわけではありませんが、サステナブルファイナンスという意味では、UNDP国連開発計画のSDGインパクトの基準づくりが参考になるかもしれません。これは債券、プライベートエクイティファンド、そして、会社がSDGs達成にアラインメントしているかという考えです。その基準づくりがほぼ完成していまして、この基準を用いた第三者機関による「SDGsインパクトシール」という認証制度の企画が進行しています。
 
 そして、日本国内ではR&Iが既に格付機関として手を挙げていて、それで、制度が始まるのであれば、取り組みたいという意思表明しています。グリーンのタクソノミーという文脈に限定されていませんが、サステナブルということであれば、こういう動きがあるということをどこかでちょっと入れておいたほうがいいのかもしれません。
 
【水口座長】 ありがとうございます。これ、よろしいでしょうか。入れていただける感じかなと思います。ちょっと検討していただきたいと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【岸上メンバー】 岸上ですけれども、よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 どうぞ。
 
【岸上メンバー】 今のタクソノミーのところに関してですけれども、8ページのところで、今議論されていた中身にも関連しますが、グリーンに分類されないものの脱炭素化を後押しするとなった場合に、やはり、では、グリーンのものは何かという定義が必要になってくるのではないかなと思います。
 
 あと、1点、「はじめに」に戻りますが、渋澤委員の最初の御発言に賛同すると同時に、それに加えまして、1人の生活者としてこのサステナブルなファイナンスとの関係性ということが、地球環境全体に加えて、関連性が最初のところにあると、より全員にとって理解度が高まるのではないかと思います。
 
【岡田総合政策課長】 ちょっと難しい御指摘ですが、どういうことが対応できるかどうかもちょっと考えてみたいと思います。
 
【岸上メンバー】 ありがとうございます。
 
【水口座長】 ほかにいかがでしょうか。
 
 一旦、先に進んでもよろしいでしょうか。それでは、ちょうど時間的にもぴったりなので、この辺で第2章に入っていきたいと思います。
 
 第2章は「企業開示」の部分ですが、ここのところで、文言も含めて、御意見、御指摘等あればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【井口メンバー】 井口です。発言あります。
 
【水口座長】 はい。お願いします。
 
【井口メンバー】 よろしいですか。ありがとうございます。
 
 最初、10ページにあります、企業開示の重要性の記述のところで、一番、最後の段落のところで、「企業が投資家や金融機関とこのような建設的な対話を進めるに当たっては、サステナビリティ情報の開示が出発点になる」と書いてらっしゃいます。これはまさにそのとおりではあるのですが、報告書の後段で、投資家の開示とか、あるいは、金融機関の開示というところにおいても、この企業の開示は肝になってくるということは、ここで明記しておかないと、報告書全体がつながらないのではないか、と思いました。
 
 ですので、企業の開示は、サステナブルファイナンスのインベストメントチェーンの成否の鍵になるという趣旨の文言を入れていただければありがたく思います。この意味では、12ページに書いてらっしゃっる、今回のガバナンス・コード改訂で、プライム市場上場企業に対してTCFDの枠組みでの開示を求められた、ということは、その最初の一歩としてはすごく大きな意義があったことと思っています。
 
 13ページの気候関連開示の最後の段落のところですが、私は、発表の機会をいただいて、気候変動が投資判断や議決権行使においてもすごく重要になってきていますので、開示の場所として投資家が最も注目する、グローバルな意味でのアニュアルレポート、つまり、有価証券報告書での開示の必要性をプレゼンさせていただきました。今回の報告書では、そこまでは記載されず、今後の課題ということで認識しましたが、13ページに書かれていますように、今後、議論を深めていくことが非常に重要であると思っております。以上でございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。何かコメントありますか。よろしいですか。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
【渋澤メンバー】 渋澤です。ありがとうございます。
 
 先ほどインパクトの定義って何ですかという御発言がいろいろありましたが、Impact-Weighted Accounts Initiative、インパクトウエイト会計という動きがあります。ハーバードのビジネススクールの研究であって、要は、財務的な会計制度に環境的インパクト、社会的インパクトもマネタイズして、それをきちんと会計制度として反映しましょうという研究です。別に国際基準ではありませんがそういう研究が始まっています。
 
 去年こういう動きがあるということを知って、ある一部の会社にこの話をしたら、その会社というのは、ずっと自分たちの研究開発とか企業とか人件費は単年度で見ると費用だけど、それが遅延して、実はPBRを高めることをデータとして検証して、因果関係ではないんですけど、相関関係があると発表しています。ハーバード大のインパクト会計に似ているなと思って、おつなぎしました。
 
 それがとんとんと進んで、研究が進んで、今年の10月から、そのImpact-Weighted Accounts Japan、IWAIジャパンを立ち上げるという道筋まで見えてきました。企業のこじんまりとしたネッワークを立ち上げるという程度の話なんですけど、これは投資家としてすごく大事だなと思っているのは、日本の多くの会社のPBRの1.0割れが4割ぐらいあります。
 
 企業の非財務的な価値がきちんと可視化できていないということです。環境インパクトと社会的インパクトがきちんと評価される形で数値化できて、会計制度として反映できるのであれば、万年割安の日本の企業が資本市場からもっと適正に評価される可能性があると思います。
 
 これはポストESGだという人もいます。ESGは非財務的な価値を企業が開示しましょうということですが、これからは、企業が環境や社会にどのようなインパクトを与えていて、それをきちんと測定できていて、そして、測定できるのであれば、それを目標設定していますか。これが次の時代の流れであるという声が上がっていて、私もそうなんじゃないかと思います。
 
 それをただメジャーメントするということだけでなく、会計制度として表現できるのであれば、結構大きなゲームチェンジになる可能性が僕はあると思います。もちろん、これは基準ではありません。けれども、研究の段階で手を挙げて一緒に研究していくということは、日本企業としてもすごく大切なことだと思うんです。
 
 だから、このようなImpact-Weighted Accountsという考えが世の中にあって、そこにきちんと日本企業も関与し始めていて、その研究にもっと関与すべきであり、そこに日本企業は乗り遅れては駄目であるということを掲載していただければなと思います。
 
【水口座長】 ありがとうございます。コメントありますか。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局です。7ページ、脚注12におきまして、これまでも御紹介いただいておりましたので、このハーバード大のインパクト加重会計の話に触れさせてはいただきましたけれども、紙面の都合で非常に長くは書いていないのですが、ここで、とりわけこの点を記載してほしいという点がもしあれば、検討したいと思います。
 
【渋澤メンバー】 すみません。脚注まで読まなかった。申し訳ないです。
 
 脚注じゃなくて、こういう動きがあることを掲載していただきたいと思います。日本企業が研究の段階から関与することが大事なポイントだと思っています。よく日本であるのは、基準が決まった後に知らないところで決まっちゃいましたではなく、最初から入っていて、自分たちはこう思うということを研究の段階から入ることが大事だと思います。よろしくお願いします。
 
【桑田総合政策企画室長】 日本企業が研究段階から入ることが重要というような点について、御指摘を踏まえて考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
 第2章「企業開示」に関して、ほかにもし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
 
【吉高メンバー】 よろしいでしょうか。吉高です。
 
【水口座長】 はい。お願いします。
 
【吉高メンバー】 第2章の開示は、第3章直接金融、第4章間接金融両方に関わっている横断的事項と考えますが。そうしますと、例えば、第4章23ページに、「投融資先における新しい脱炭素技術の開発を推進するためにも、新技術によって実現される排出削減量の市場価値を定量的に測定することにより、事業価値を評価」という文章がありますが、その評価するための情報の開示として、この2章の気候開示のところに記載したほうがよいのではないかという御質問です。今、機関投資家やアセットマネジメントもカーボンプライシングで企業評価を始めており、間接金融だけの話ではないと思いますがいかがでしょうか。
 
【水口座長】 いかがですか。
 
【桑田総合政策企画室長】 13ページの脚注の25に、これはたしか、事前に吉高さんにいただいたコメントを踏まえて入れさせていただいたはずですが、こういったようなイメージですか。
 
【藤井メンバー】 藤井ですけど、私はそこの脚注26かなと。
 
【吉高メンバー】 なるほど。分かりました。すみません。ありがとうございます。
 
【岡田総合政策課長】 恐らく、事前にいただいていたコメントなので。
 
【水口座長】 そうですか。
 
【岡田総合政策課長】 手間取り、大変申し訳ありませんでした。
 
【水口座長】 ちょっと御覧いただいて、この書きぶりでよいかどうかまた御意見をということでしょうか。
 
 企業の開示は、でも、TCFDの開示は進めるということになっていますので、当然、そこには入るわけですよね。TCFD開示は、コーポガバ・コードには入るので、そこには入ってくると思ってはいるのですけど。
 
 ほかに開示の部分、開示といいましょうか、企業ということなのですけど、いかがでしょうか。一旦よろしければ、先を急ぐようですが。田代さん、どうぞ。
 
【田代メンバー】 そんなに大きいことではないですが、過去の議論においては、大企業は対応できるけど、中小企業はなかなか難しいよねという話をしていたと思います。そのような問題提起を、みんなで同じことは難しいかもしれませんが、中小企業も含めてどう対応するかというような言及はしなくていいのかなと思いました。
 
【岡田総合政策課長】 ちょっと御質問ですが、開示に関していうと、基本的には開示義務が、上場企業が対象なのでが、たしか後ろのほうの金融機関の融資先のところでは若干そういうニュアンスもあったと思うのですけど、開示対象企業の中でグラディエーションをつけてといった御質問というか、御指摘でしょうか。
 
【田代メンバー】 そうですね。間接金融ではなく直接金融のところでも、債券を発行する会社はそれなりの規模だと思うのですけれども、スタートアップとか、もっと規模の小さいところの会社にも、資金調達という意味では開示が大切ですし、評価もされてくると思います。そういう会社も投資対象になるためには、ここではちょっと話が小さ過ぎて入らないのかもしれませんが、大きな会社だけではないというのは意識しなきゃいけないのかなと思いました。
 
 そこまで気にすることではないかもしれませんが、大企業だけを相手に考えてはいけないのかなというのをすごく意識しています。
 
【水口座長】 ちょっと検討していただくことにしまして、市場で調達する以上、一定の開示は当然求められるわけですけれども、対応力に違いがありますねということと、それを恐らく踏まえて、もちろん施策はされるんだろうとは思いますけれども、ちょっと検討はしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
 ほかにいかがでしょうか。
 
 では、一旦開示のところを進みまして、先に第3章の市場機能の発揮というところ、ちょっと量が多いのですけども、第3章全体に関して、どこでも結構です。御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。井口さん、お願いします。
 
【井口メンバー】 すみません、大事なところなので、長くなるかもしれないですが、よろしくお願いします。
 
 最初の機関投資家のところについては、ご記載どおり、スチュワードシップ・コードに定められる事項への対応を通じて実力を高めていくことが重要です。このことがスチュワードシップ・コードでも明確に定められていて、ここは、すごく大事だと思っていますので、異論全くありません。ご記載ありがとうございます。
 
 16ページの個人投資家のところでコメント、あるいは可能ならば修文していただきたいと思っているところがあります。この16ページの最後から17ページの最初にかけてのところです。個人投資家保護の観点から、丁寧に説明するということは非常に大事だと思っていますが、私が懸念しているのは、この「期待される環境的・社会的な効果を可能な限り具体的な指標を用いて説明する」というところになります。
 
 私の理解では、ここの環境的・社会的な効果を直接的に測定する、というのは、インパクト投資の世界で、広義のESG投資ではない、と考えています。環境・社会に関わるリスクと機会を配慮して中長期的な投資リターンの最大化を目指すということがESG投資になるからです。あと、欧州のSFDRはすごく厳しいと言われていますが、それでも8条ファンドと9条ファンドを分けて、9条ファンドのみ、こういった直接的な環境社会への影響について開示することを求められるということと理解していますので、ここで一緒にして、こういった記載を出しますと、ESG投資の定義が一義的にすごく狭くなって、これまで順調に拡大してきたESG投資、真摯に対応している機関投資家もたくさんいらっしゃると思いますが、これが一気に縮小して、意図せざる結果を招くことになるのではないか、懸念しております。
 
 あと、これに加えまして2つほど、既存のルールとの整合性で課題と思っておりまして、1つはスチュワードシップ・コードです。コードの中のスチュワードシップ責任の中でも、サステナビリティに配慮して、中長期的な投資リターンの拡大を図る責任ということで、シングルマテリアリティで話をしているのですが、ここでおっしゃっているのはダブルマテリアリティというように聞こえ、話がかみ合わないのではないかということです。2つめは、もし、大々的に、このような環境・社会への直接的な効果の算出を行う場合には、EUで既にやられておりますが、企業にもダブルマテリアリティの開示を求めるということが必要不可欠のことになってくると思います、そこまで踏み込んでやっていく必要があるのではないか、と思います。
 
 インパクト投資だけにインパクトの指標の開示が求められるということでしたら大きな問題にはならないと思いますが、ESG投資全体になると、巨額な投資マネーが動くことになるので、制度的に第2章の企業の開示にしっかり定めていくということも必要ではないか、と思っております。
 
 個人的にはもちろんIFRS財団にオールジャパンで出した意見書もシングルマテリアリティで出しておりますので、シングルマテリアリティで行くのがいいとは思っております。ここの箇所は、今後、御検討されるということでしたら、明確には記載せずに検討する、というように書いていただくとありがたく思います。
 
 あと、17ページの資産運用業者のTCFD開示は、個人的にも重要と思っています。ただ、私も今こういった作業をやっていますが、どうしても企業の開示による限界ということがあって、まさに注釈の37に書いていただいたように、資産運用業者の開示を促すにあたって、企業開示の質と量が重視される、というところは大事だと思います。
 
 最後、18ページのESG評価機関のところになります。最後の文章のところが意味が分からないので、教えていただきたいと思うのですが、18ページの最後のところ、「ESG評価機関の信頼性向上が不可欠である」、ここまでは分かるのですが、その後、「もっとも」というところからが、文章のつながり方が分からなくて、「この信頼性向上というのはESG評価機関単体でなし得るものではない。」と書いていらっしゃるのは、ESG評価機関ではなくて、ESG評価の信頼性というふうにも読み取れたのですが、もし私の理解が間違っていたら教えていただければと思います。
 
 もう一つ、さきほど資産運用者のTCFD開示でも申し上げましたが、ESG評価機関に一緒に含んでらっしゃるのかもしれませんが、ESGデータベンダーの役割も重要になってきていて、データ収集を正確に、透明性高くやっていただく、ということにも、報告書で触れた方がいいのではないか、と思います。
 
 IOSCOの議論でも、ESG評価機関とESGベンダーということで、ESGデータベンダーを分けて議論されていると理解しています。ESG評価機関だけではなくて、ESGデータベンダーは、投資家や金融機関の、TCFD開示などにおいては非常に重要ということを入れていただければと思っております。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございました。ESGデータベンダーということは入っていないですね、確かに。これは評価機関のところに並べて1個加えたほうがいいのかなと思いました。
 
 それと、最初の点、17ページの、確かにあれですよね、「ESG関連投資信託の組成販売に当たっては、投資銘柄の選定基準も含めて丁寧に説明を行うとともに、期待される環境的・社会的な効果を可能な限り説明する」というところと、「投資信託にESGやSDGs等の名称をつける場合には、顧客がその名称の趣旨を誤認することのないよう、その商品が当該名称の示唆する特性をどのように達成するかを、可能な限り指標等を用いて明確に説明すべき」という、この2つは関連していますけど、効果の測定というとハードルが高いですよね。
 
【井口メンバー】 ありがとうございます。私は後段のほうの、どういう手法でやっているのか、例えば、自社のESGデータや自社のESGレーティングが使っているのだったら、そういうものを使って可能な限り具体的に説明しなさいというのは理解できるのですが、前段のほうは、これ水口先生に申し上げるのも釈迦に説法かもしれませんが、「期待される環境的・社会的な効果を具体的に指標を用いて説明する」というのは、全然、別の世界になってしまいます。多分、今後、詳細な事項は御検討されるということだとは思いますが、そういうことでしたら、この報告書というのは機関投資家や資本市場にかなり大きな影響力を持つと思いますので、今後検討するというふうに修文していただいたほうが、意図せざる結果をもたらさないで済むのかなと思っております。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局です。井口先生もおっしゃっているとおり、ここの文章はあくまで顧客保護の観点から丁寧な説明が必要ではないか、そういったことを議論していきたいと思うというメッセージであるわけですけれども、決してダブルマテリアリティ云々の話をしているわけではなくて、通常のESGを考慮する投資の中でも、自分の販売商品にESG等の名称をつける場合、つけなくてもマーケティングにおいてESGを踏まえているということを訴えているような場合、そういったことが実際の投資の目的とか効果とか、そういったことと整合的かどうかということは、やはり誤解なきよう、分かりやすく説明していくということが顧客保護の観点からは必要ですので、この文脈はインパクト投資に限らず、広く、今後どういった形が具体的に望ましいかを議論すべきだとは思うんですけれども、そんな中で、確かに環境的・社会的な効果、具体的な指標というのが、用いて説明できるものや全く沿わないもの、いろいろケース・バイ・ケースであるかとは思うのですが、そういった点も踏まえて、今のところは「可能な限り」と記載したのですけれども、ダブルマテリアリティとか、そういったことを想定しているとかいうわけでは決してないのですね。
 
【井口メンバー】 ありがとうございます、桑田室長。まさにおっしゃったように、しっかり開示すべきだと思いますし、後段の部分はおっしゃるとおりだと思うのですが、前段の部分、「可能な限り」とは書いていただいているのですが、かなり大きな影響力をこの報告書が持つことになると思いますので、もし、今後、投資家保護の観点でルールを決めていかれるということでしたら、個人投資家に丁寧な説明を行うことは必要だと思いますが、「期待される環境・社会的な効果を可能な限り具体的な指標を用い説明する」という表現は、変えていただいたほうがいいのではないか、と思っております。以上でございます。
 
【藤井メンバー】 藤井です。恐らく今のやりとりは、「期待される環境的・社会的な効果を」の「効果」というワーディングが引っかかっているのだと思います。誤解を避けるという意味では、何らかの「可能な限り」以下はやっぱり必要だと思いますが、「効果」と言ってしまうと、厳密なエフェクトを出さないといけない意味になってしまうという御指摘だと思いますので、この辺の表現を事務局に考えていただければ、合意点はあるかなというふうにお聞きしました。以上です。
 
【井口メンバー】 藤井さん、どうもありがとうございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。今の議論を踏まえて、ちょっと事務局で考えて、また御相談させていただければと思います。
 
【渋澤メンバー】 渋澤です。ここはすごく大事なポイントと思っています。個人向けの投信の仕事を携わっている中で、最近危惧しているところがあります。あるプロジェクトで、ESG投信を紹介するサイトを作成するためにいろいろ意見交換していますが、ESGファンドとか言いながらも、SDGsファンドと言いながらも、また、最近ではインパクト投資ファンドと言いながらも、目論見書の中にはその説明が書いていなかったとか。あるいは、「ESGを考慮しながら」と掲載するだけで運用プロセスの説明がないケースもあります。スコアリングを実施することだけがESGだと全く思っていません。だけど、ESG投資と言うのであれば、SDGsファンドと言うのであれば、インパクト投資ファンド言うのであれば、きちんと目論見書に書いてあることと看板に掛けてあることが合致していないと本当にミスリーディングだなと思います。ここは丁寧に文言を考えていただいて、その意識が広まるようにお願いします。
 
【水口座長】 お願いします。
 
【田代メンバー】 すいません。幾つかあります。1つは、今の渋澤さんの御意見のところの部分で、これは組成する委託会社と販売する証券会社と両方の問題というのか、課題になってくると思うのですけども、この第3章の市場機能の発揮のところに、2つ目の文章で、市場の主要なプレーヤーである機関投資家、金融機関、販売業者、取引所、ESG評価機関といった記載があるのですが、この中に、証券会社の機能がどこにも入っていないと思います。
 
 なので、証券会社とするか、金融機関なのかは分からないですが、市場機能の発揮にはかなり大きな役割を果たすことになると思いますので、先ほどの個人への販売における機能も当然そうですし、発行体とかアナリストとか、いろんな機能があると思うので、ぜひ、機関投資家、個人投資家、取引所、ESG評価機関の項目に、金融機関としての証券会社を追加して入れていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局です。田代さん、ありがとうございます。
 
 第3章1ポツから4ポツまで、それぞれのプレーヤーに対してこういったことが考えられるのではないかと、一応それなりに提言といった形でまとめているんですが、証券会社に対してはこういった改善が必要であるという提言はどういった形で入れましょうか。
 
【田代メンバー】 証券会社といたしましては、今の個人に対する販売業者としての機能というものと、あとは債券の部分ですと、サステナビリティボンドとかサステナビリティリンクボンドがありますが、今後規模を追っていくためにはどうやって効率的にやるのかとか、投資家に対してどういう情報提供をするのかとか、フォローアップはどうやっていくのかとか、そういった役割を証券会社が機能として負っていくと思います。ここにも一部入っておりますが、価格の発見機能においてももっと効率的にやっていかないと、コストを低くできず、発行体も債券を発行しにくい状況が続くと思われ、日本の発行も増えないと思いますので、そういう機能を果たすといった内容になるのかと思います。
 
 ちょっともう少しまとめて文章にして、お送りしたほうがよいのであれば、もちろんそうさせていただきます。
 
【桑田総合政策企画室長】 ありがとうございます。ちょっとまた御相談させてください。
 
 先ほどカバーできなかった井口さんの御質問で、18ページのところでESG評価機関単体でなし得るものというのは、ESG評価でしょうかというようなお話あったと思うんですけれども、ここは1つ前のパラグラフとかでESG評価機関の課題という形で、ちょっと企業サイドの意見を並べているだけではあるんですが、課題を指摘しています。
 
 ただ、ESG評価機関自身がその課題をクリアすれば全てがうまくいくわけではなく、ESG評価機関だけを指摘するとややバランスを欠くので、それ以外のプレーヤーもという意味で、企業サイドの英語で利用されやすい形式の情報開示とか、そういったことを19ページの冒頭から書くことにしてはどうかと、そういった御意見をちょっといただいたもので、こういったパラグラフになっております。
 
【水口座長】 情報ベンダーにつきまして、足達さんからチャットでコメントいただきました。ありがとうございます。外出したほうがよいですよねということと、脚注には書いてありますけどという御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 
【長谷川メンバー】 経団連の長谷川です。まさに今の部分で意見を述べたいと思います。18ページに、ESG評価機関に関する課題が書いてあり、評価の透明性・公平性や、評価基準・手法が異なっているとか、様々な課題が書いてあるのですが、それらに対する解決策、対応が記載されておりません。脚注の40に、欧州証券市場監督機構や欧州の一部の国ではESG評価機関を当局の規制・監督対象に組み込むべきという見解を示している旨を記載していただいているので、ここを本文に上げて、例えば、18ページの一番下の段落について、サステナブルファイナンス市場の拡大において、その重要な役割を果たすESG評価機関の信頼性向上のためには、欧州証券市場監督機構や欧州の一部の国で指摘されているように、規制や監督を行うとともにといった対応策を書いていただければという意見でございます。
 
【桑田総合政策企画室長】 事務局です。御意見ありがとうございます。
 
 ここのESG評価機関に関する出口ですけれども、今回の有識者会議でそれなりに時間をかけていろんな、岸上さんにもプレゼンしていただいて、大分議論はしていただいたのですが、非常に今後これ重要な議題だと思っていますので、19ページの上から2つ目のパラ、3行目辺りから「企業と投資家をつなぐESG評価機関に期待される行動規範のあり方等について議論を進めることが期待される」と記載しています。ここはもう少し企業サイドであるとか、ESG評価機関、ベンダーであるとか、もうちょっと議論を深掘りして、その望ましい形というものを議論させていただかないといけないと思っています。
 
 欧州の状況というのは1つの諸外国における動向ですので、その議論を待たずに結論を先取りするよりは、今のところまず1つの参考情報として脚注に置いておくのが適切かと思っています。
 
【岸上メンバー】 関連したESG評価のところですけれども、ここの文章でもまとめていただいているように、サステナブルファイナンスにおいて、評価機関及びデータベンダーが縁の下の力持ちとして、役割が非常に企業サイドから見ても投資家サイドから見ても期待されている役割なのではないかと思います。だからこそ、いろいろと課題点が挙げられているかと思います。
 
 尚、脚注の38に上げていただいているように、評価やデータを提供する組織がそもそも多様ですので、その多様な機関によって出てくる課題も異なってきます。ですので、全ての課題が全ての組織で存在するというよりも、それぞれの組織の状況に合わせて出てきているという多様性があるということを踏まえた上で、結果的にこういった課題が出てきているのは事実ではないかなと思います。
 
一方で、こうした課題を、仮に評価機関で、末端で評価に携わっている、またはデータを提供している側の視点で見てみますと、この課題の指摘だけでは、より質のよい評価を提供するモチベーションにつながるかというと、そうではないと思います。先ほど長谷川委員がこの箇所において出口が明確ではないとおっしゃっていたかと思いますが、私ももう少しここは具体的な提案が増えてもいいのではないかなと感じております。
 
 例えばですけれども、ここに書かれているような必要な人材が実際に登用されるような仕組みやインセンティブづくりができるのではないかと考えましたので、提案させていただきます。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。検討していただくということで。
 
 ほかにいかがでしょうか。お願いします。
 
【足達メンバー】 足達ですが、1点お願いします。21ページの中ほどにあります「ESG関連債の適格性を客観的に保証する認証枠組みの構築が期待される」は今回の提言の1つとするのでしょうか。あまりこれまでの6回で議論したという記憶はないんですが、提言とするのであれば、もう少しきちんと書き込む必要があるのではないかと。つまり、認証する主体は誰なのかという点です。
 
 前の文章を読むと、上場要件というのがありますから、今後ESG関連債は上場を前提として、上場する取引所が認証を行うというイメージを与えることもできます。いやいや、ICMAのエクスターナルレビューが書いている、今までと同じようななかの認証というものをイメージしているという解釈も成り立つ。あるいは新たに日本で業界団体をつくって、そこが認証基準をつくり、そして、第三者が認証するのかとか、いろんなこれイメージを膨らませることができると思います。そこのところをもう少し丁寧に書く必要があるのではないかということを提起しておきたいと思います。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。今の段階でコメントがあれば。
 
【岡田総合政策課長】 その点については、前回の論点整理の資料で御紹介して、議論はさせていただいたと認識をしています。その上で、今、足達様から御指摘のあった点、具体的にどういう認証枠組みで誰がどうやるのかというのは確かに、これまでの議論では恐らくは今回の有識者会議で答えを詳細なところまで出すという形にはならないんだと思うんですけれど、この前にありますとおり、全体としてグリーンウォッシュ等の批判などを受けないように、いろんなグリーンボンド等が適格性を持つんだという信頼されるような信任確保というのは大事ということは恐らく御異論ないんじゃないかと思いますので、その他の具体的な枠組みは、ほかの論点もそうなんですけれど、今後詰めていかなきゃいけないところがあるというのは全く御指摘のとおりというふうに思っております。
 
【水口座長】 To be continuedで今後も検討を続けていくという。
 
【岡田総合政策課長】 はい。さらに御議論させていただきながら、検討させていただければと思っております。
 
【水口座長】 ほかにいかがでしょうか。
 
【岸上メンバー】 岸上ですけれども、今の足達委員に付け加える一言ですけれども、認証枠組みという箱だけではなく、それを提供する側の人材育成も同時に必要になってくるかと思いますので、その具体的なことをここで全て列挙しないにしても、枠組みづくりに向けてのそういった行動も必要ということは追記いただければと思います。
 
【水口座長】 なるほど。ありがとうございます。枠組みとその認証できる人ですよね。はい。ありがとうございます。
 
 ほかにいかがでしょうか。お願いします。
 
【吉高メンバー】 ありがとうございます。本当にささいなことなのですが、15ページの最後のパラグラフに英語によるコミュニケーション能力の不足の文言がありますが、もし本報告書の英語版を作り海外に発信されていくと、あまり印象がよくないのではないかと思います。例えば、「国際的な議論のできるサステナブルファイナンス分野における専門人材」のような表現で書いていただくと、13ページで「グリーン国際金融センター」を目指すこともいれていただいておりますし、英語版が作成されることを考慮して、少し文言を御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【水口座長】 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。この文章は英語になる可能性が高いと思いますので、英語にしたときにあまり変なことにならないように気をつけたいと思います。
 
【林(礼)メンバー】 BofAの林です。ありがとうございます。今の英語にということで、21ページの先ほどのESG関連債の適格性を客観的に保証する認証枠組みというふうにありまして、保証って多分ギャランティーということだと思うんですが、評価機関がギャランティーは多分しないと思うんですよね。
 
 何かギャランティーにすると、もし何かあったときに、債権の保証だと代わりに誰か払ってくれるって話になるんだと思うんですけれど、恐らくその適格性は保証はなかなかできないんじゃないかなと思って、ベリファイという言葉を意味されているのか何なのかというのがあると思うんですが、この保証という言葉は、前回コメントさせていただければよかったんですが、少し気になるなというふうに思いましたので、正しい日本語が何なのか分かりませんけれども、認証される機関の方の組織の行為を保証と呼ぶのか、何と呼ぶのかというのはちょっともう1回考えたほうがいいかなというふうに思いました。以上です。
 
【桑田総合政策企画室長】 ありがとうございます。御指摘を踏まえて考え直したいと思います。
 
【水口座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 
 それでは、一旦第4章に入ろうかと思いますが、第4章は金融機関の投融資先支援とリスク管理というところです。ここにつきまして、この第4章に関しまして御意見、コメント等あればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。
 
【林(尚)メンバー】 全銀協の林です。22ページの「1.投融資先支援」の最初のパラグラフに私ども金融機関が申し上げておりました二正面対応の難しさの指摘につきましても盛り込んでいただきまして、どうもありがとうございました。
 
 ここに記載いただいておりますとおり、まさに二正面でございまして、既に実行済みの貸出資産、これを抱えながら新たなファイナンス、トランジションにも貢献していく立場にあるという、そういった難しさでございますが、直面する現実、これも十分に御理解を賜りながら、この報告書に書かれているような監督の在り方も含めて、今後の御検討を進めていただけると大変ありがたく思ってございます。
 
 その中で特にシナリオ分析の活用につきまして1点申し上げますと、大変有益な分析手法でございますし、一部私どもを含めて試験的に実施もしてございますけれども、やはりその手法とか分析結果の使用目的等はこれから試行錯誤を続けながらというところだと思ってございます。
 
 気候変動に関する時限性やインパクトの正確な予測等はまだまだこれから熟成をさせていくべきものというふうに考えてございますので、リスクの所在の把握、それから理解の深化、また、規模感を把握するためのものとまず位置づけて蹴り出すということにつきましては、御理解をいただけているというふうに思ってございます。
 
 欧州においてシナリオ分析の実施が先行していることにつきましても、十分理解してございます。決して一度の分析でリスクが正確に把握できるというふうにも考えてはございませんので、様々な前提やリスクを基に分析を繰り返していくことで、しっかりと実務を積み上げてまいりたいと、経営のPDCAを回していきたいと、こういうことであろうと思ってございます。
 
 ちょっと戻って恐縮なんですが、実は冒頭「第1章総論」のプライシングとか資金供給のところで1点だけ申し上げますと、6ページ以降の「(2)インパクトの考え方」にも記載いただいておりますが、繰り返しで恐縮でございますけれども、次世代の技術開発にはリスクが伴うと、こういったことがございます。よって、グリーンな案件は適用条件が優遇されていて、借手側に有利であると、そういった単純な議論ではなくて、事業のリスクと将来期待されるインパクト、実現可能性等に適切なプライシングで資金が供給される枠組み、これが立ち上がっていくことがサステナブルな資金導入の実現につながっていく、このように思ってございますので、この点につきましては繰り返し申し上げているところでございます。
 
 私のところから以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
【水口座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうかね。
 
 ほかにいかがでしょうか。手塚さん、どうぞ。
 
【手塚メンバー】 今、全銀協さんから22ページの1ポツの最初のパラグラフについてコメントありましたけれども、大量排出、すなわちhard-to-abate産業であって、銀行さんから大量に資金を供給いただいている鉄鋼の立場で、ちょっとここについてコメントさせてください。
 
 2行目から3行目に「建設的な対話によってGHG削減に向けた対応の前倒し実施に導くことにより移行リスク低下を図るとともに」とあるんですけども、対話によってこれが行われるということは、基本的に友好的に行われるということが前提なんですけども、あまり低コストでもってGHG削減を行えるようなオプションが残っていない。つまり、長期にわたる技術開発とか革新的な技術の導入が必要となってくる産業の立場からすると、前倒しの実施に導くと、要するに非常に高いコストの対策を取らなければいけなくなって、移行リスクは下がるんですけども、財務リスクのほうは上がるという状況が起きることが想起されるんです。
 
 したがって、この表現はもう少し丸めてというか、抽象的にしていただいて、「GHG削減に向けた対応の加速を促すことにより、移行リスクの低下を図るとともに」ぐらいのほうが落ち着くのかなと、我々にとってはカンファタブルかなというふうに思います。
 
 それから、下半分のパラグラフ、同じパラグラフの下半分の「他方で」というところで、これは銀行さんが非常に悩まれているところだろうと思うんですけれども、融資を受けている我々も悩むところでございまして、現在は大量排出な事業をやりながら、グリーンあるいはカーボンニュートラルなプロセスに時間をかけて移行していかなければいけないという立場にあるわけです。
 
 そうしますと、既にある資産を持ちながら脱炭素へという部分はちょっと補筆をいただいて、「既にある貸出資産を持ち続けて、従来からの企業活動を維持しながら脱炭素への移行に向けた新たなファイナンスにも取り組んでいくという二正面の難しさに係る指摘もあり」としていただき、さらにその後で、「こうした点も踏まえて脱炭素社会への移行」だけではなくて、「こうした点も踏まえて、混乱のない、あるいはスムーズな脱炭素社会への移行への貢献を検討していく必要がある」ぐらいにしていただいたほうが、本当に直面しているジレンマがより明確になるのではないかというふうに思うところであります。
 
 それから、大変申し訳ないんですけども、少し前の企業による情報開示のところでコメントを1つ加えさせていただきたいんですけど、よろしいでしょうか。
 
【水口座長】 どうぞ。
 
【手塚メンバー】 情報開示の最後の辺りですね、13ページの第3章というところの上にある2つのパラグラフで、自主性や柔軟性のある開示が望ましいとの意見があるということに加えて、最後のパラグラフで「投資判断に必要な情報を十分かつ適時に分かりやすく提供することや、建設的な対話に資する情報開示を促進していくため」云々というのがあるんです。これについて、実は昨年の7月、2020年の7月に私も所属しておりますTCFDコンソーシアムでは、「よりディシジョンユースフルなTCFD開示の促進に向けて」という提言というか、ポジションペーパーを発表させていただいておりまして、その中で、TCFDコンソーシアムとしては、「よりディシジョンユースフルなTCFD開示に向けて、各企業の置かれた状況に応じた自主性・柔軟性を維持しつつ、企業から積極的に開示がなされるようなTCFD開示の制度的な枠組みが各国において確保されるよう、我が国及び世界の政策担当者及びステークホルダーに呼びかけるものである。」と記述しています。
 
 これが、その時点でTCFDコンソーシアムに参加していた200社余りの企業の共通のポジションということでございますので、これを引用されるような形で、より投資判断に有用に使えるような開示が行われているということを促進していくような政策を取っていく、こういうことが追記されるとよろしいのではないかというふうに考えるところであります。ありがとうございました。
 
【水口座長】 ありがとうございます。建設的な対話に資するという、ディシジョンユースフルというのは投資判断に資するというのはそのとおりですよね。何か考えていただく感じで。
 
【桑田総合政策企画室長】 いずれも有益なコメントをいただき、ありがとうございます。それを踏まえて、また御相談させていただきたいと思います。
 
【水口座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。お願いします。
 
【半田メンバー】 損害保険協会の半田でございます。24ページの4番目のパラグラフでございます。モニタリングですとか、あるいは監督につきましては、定量化のツールも含めまして、現在、なかなか十分な手法が確立する状態には至っていないのではないかというふうに考えておりまして、まずは金融機関と御当局との対話、それからコミュニケーションを重ねていくということが重要じゃないかということを申し上げております。
 
 この中で、監督の目線を盛り込んだガイダンスを策定するというふうに記載をされてございますけれども、その前段階であります対話を丁寧に実施をするということが重要であるというメッセージをクリアにしていただけるとありがたいなというふうに考えております。
 
 具体的に申し上げますと、例えばですけれども、簡潔に、金融庁においても金融機関との対話を重ねつつ、対応を促していくことが大切であるというような表現はいかがかなというふうに思っております。以上でございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
【桑田総合政策企画室長】 ありがとうございます。御指摘を踏まえて検討いたします。
 
【水口座長】 ほかにいかがでしょうか。じゃ、小野塚さん、そして高村先生と行きましょうか。
 
【小野塚メンバー】 ありがとうございます。24ページから25ページのところですけれども、これは金融機関だけではないと思うんですが、TCFDに係るガバナンスのところで、ここに「気候変動リスクに関するガバナンス体制を構築し、関連する組織や」というふうに25ページ冒頭あるんですけれども、できればここに、いわゆる執行だけの監督だけではなくて、例えば、ビジネスモデルや戦略との整合を踏まえた取締役におけるモニタリング等、というふうに、取締役会の関与というのを入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 
【桑田総合政策企画室長】 ありがとうございます。考えさせていただきます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。では、高村先生、お願いします。
 
【高村メンバー】 ありがとうございます。4章なんですが、ほかの章にも関わるんですけれども、2点申し上げたいと思います。
 
 1つは、私、見え消し版を見ているので、注が49なんですが、多分、今見え消しじゃないと48だと思うんですけれども、主に今回の会合、有識者会議が、47ですね、ごめんなさい、ありがとうございます。47になっていました。今の会議はサステナブルファイナンスというのは、全体見ながら、しかし、気候変動にある意味でフォーカスを置いたということで最初議論を始めてきていると思います。
 
 これは最初の会議でどなたか委員の方おっしゃったんですけれども、これはすいません、「はじめに」か第1章なんですが、サステナブルファイナンスでここで扱っているのはどういうスコープなのかというのをお書きいただいたほうがいいということが1つです。
 
 4章との関係でいくと、この注に問題があるというよりは、ここに書いてくださっているように、特に自然資本と、それから循環経済に関わる動きは、金融の皆さんには釈迦に説法ですけれども、同様の動きが急速に高まっているという認識をしていまして、この状況認識は恐らく本文の中に書いていただいたほうがいいというふうに思います。恐らく「はじめに」か「おわりに」だと思うんですけれども、そういう意味では、ここで申し上げたかったのは、すいません、47に関わって、この文章を変えてくださいということではないんですが、ここに書かれている状況認識を明確に書いていただくことと、この報告書のスコープを、サステナブルファイナンスだけれども、フォーカスは当面、気候変動のところに置いて主に展開しているということを書いていただくのがいいというふうに思います。
 
 2つ目は、シナリオ分析についてです。先ほど小野塚さんですか、おっしゃったように、ここのシナリオ分析の前後って、実は企業さんの情報開示のところにも共通する問題だと思うんですが、シナリオ分析も、ですから、イコールなんですけれども、これ恐らく金融庁さんではなく、ほかの省庁の、しかし、国の役割だと思うんですけれども、とりわけ物理的リスク、場合によっては移行リスクについても、恐らく国よりスペシフィックなシナリオというものを、あるいはシナリオ分析ができる情報を提供するということが国の役割として非常に重要だと思います。
 
 既に文科省さんなどのところで、そういう金融や企業さんのシナリオ分析に資する気候変動予測情報の創出ということを考えられていると思いますけれども、やはり国の役割として、このシナリオ分析を支える情報の創出ということは位置づけていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。
 
【岡田総合政策課長】 最初のスコープの点ありがとうございます。生物多様性のところをどう少しこの議論が加速していくみたいなのはちょっと検討させていただきたいと思います。
 
 その上で、一応、この会議の射程として全体がサステナブル全体であって、ただ、当面、とりわけカーボンニュートラルの議論がある中で気候変動に焦点を当てるというのは、「はじめに」の最初の3段落とか総論の基本的視点の最初のほうとかで、一応ちょっとそういうことを表現しているつもりではありますが、さらに何かいるかどうかというのは、御指摘を踏まえて、書き足すのがいいかどうかは検討させていただきます。
 
【桑田総合政策企画室長】 後半のシナリオ分析の国の貢献などは、金融の分野でも、国際的ネットワークなどで議論したことを国内の金融機関との対話でも還元しながらというようなことはありますけども、御指摘の点をどのように織り込めるか考えてみたいと思います。ありがとうございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。大分時間も押してきました。最後の「おわりに」も含めて御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。お願いします。
 
【井口メンバー】 4章の金融機関のところですが、気候変動のリスクへの取組を高めていくという方向性には賛同します。
 
 気になりましたのは、23ページの2.リスク管理の上の箇所となりますが、欧州では、EUタクソノミーを参照し、グリーンな資産の割合等の指標の開示を求める規制が提案されているということで、こういったことも参考にする、というところになります。かなり表現も弱めていただいたと思うのですが、先ほど冒頭にありましたように、EUのタクソノミーが中央集権的とか、地域の実情を考慮していないとかいう議論を皆さんされていたと思います。このような欧州のタクソノミーを当てはめてると、逆にトランジション・ファイナンスの考え方を阻害するような要因になるリスクもあるのではないかと思っておりますので、そこはまた関係者にでも聞いていただいて、ここの与える影響についてご考慮いただければと思っています。
 
 あと、24ページからの監督項目のところですが、ここは監督当局の話なので機関投資家は関係ないのかもしれませんが、機関投資家としてTCFDを見させていただくこともありますが、そのときに重要になるのは、TCFDの最後の開示項目である、指標とターゲットとなります。ここでしっかりどこまで実効性のあるプランを立てていらっしゃるかということに機関投資家の目が完全に移ってきているということだと思うので、ここに書くか、企業の開示で記載されるか、はよく分からないですけど、そういうふうな視点というのも入れていただければ、と思います。
 
 最後は、最近、三菱UFJさんがカーボンニュートラル宣言を出されて、ネットゼロバンキングアライアンスに加盟されました。こういう取組は投資家から見ると、非常に歓迎する取組みだと思います。機関投資家のところで国際的な機関投資家団体の記載がありましたので、このような団体というのもほかにもあるのかもしれませんが、ここに記載されてもいいのではないか、と思いました。以上でございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。投資家側にはその団体いろいろ書いてありましたね。ネットゼロバンキングアライアンス。ありがとうございます。
 
 ほかに、最後のところまで、終わりまで含めて御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。
 
【高村メンバー】 2章のところです。すいません、戻って恐縮でございますけれども、細かな点は申し上げないようにしようと思うんですが、1つは、3ページのところにやはり投資の拡大、この分野に投資拡大が必要だ、規模の拡大が脱炭素の点でも重要だと書いていただいているんですが、もう一つは恐らく、私も報告の中で申し上げたIPCCのデータ等もお見せしたと思うんですが、投資のパターンを変えるということは、従来の投資のパターンから変わるということを明確にメッセージとして出したほうがいいんじゃないかというのが1つです。
 
 2つ目は、先ほどタクソノミーのところの8ページでしょうか、議論で、手塚委員それから足達委員、いろんな委員の方の御意見を聞いていてですけれども、手塚委員も足達委員もおっしゃっていた国や地域の状況をしっかり踏まえた、しかし、タクソノミーがなぜつくられたかという点でいくと、こうした形でお金の流れを金融が投融資しやすくするといった促進の方策として取られているということを踏まえたときに、日本はもちろん国際的なところで議論に臨むって今の書きぶりというのはもちろん重要なんですけれども、先ほどまたあった金融商品への表示、何がグリーンかということも含めると、日本や地域の独特な状況も踏まえた上で、それをどういうふうに使うかはともかく、何がグリーンかというタクソノミーに関わるような資金フローの資金の促進策について、促進の方法について、タクソノミーといったようなやり方も含めて、しっかり踏み込んだ検討をさらにする必要があるのではないかというふうに思います。
 
 これはまさに国際的な議論に臨むためにも、日本として、じゃ何が、こういうものが必要だというのを示していくためにも、継続検討課題として入れていただけないかというふうに思います。
 
 最後はトランジション・ファイナンスのところです。これちょっと細かくて恐縮ですが、パリ協定に基づいてといったような言葉になっていたと思うんですけど、多分おっしゃりたいのはパリ協定の長期目標だと思います。それから併せて、国の2050年、30年の目標との整合性ということもまた、先ほどの国や地域の状況と合わせていくと、必要な記載、記述ではないかと思います。
 
 最後はタクソノミーと同様ですけど、やはりここはトランジションがしっかり評価されるためには、そのトランジション経路戦略の見直しが不断に多分必要になるので、その見直しの観点も入れておいていただきたいと思います。以上です。
 
【水口座長】 ありがとうございます。今、桑田さんがメモを取っていただいたので、多分大丈夫だと思います。
 
 ほかにいかがでしょうか。お願いします。
 
【小沼メンバー】 取引所の小沼ですけれども、先ほど田代委員から企業開示のところで御指摘があって、会社も大企業から中小企業からいろいろグラデーションがあるというようなニュアンスをどうしましょうかというような話をいただいていて、まさに御指摘のとおりだというふうに思いますし、多分私が議論の中でいろいろあるんですと言ったことを踏まえていただいた部分もあるのかなと思います。
 
 今回、開示の内容はガバナンス・コードのほうに落とし込まれてきておりますが、このガバナンス・コードはプライムとスタンダードとグロースと3つのある意味、会社のグラデーションがあって、それに合わせて、こういった開示についても、少し求められるものについてもグラデーションが設定されているというような、そういう進め方になっているということを御参考までにお伝えをして、もし報告書の中でこの辺について何か工夫がというときにはそういったことも参考になるかもしれないなと思って、コメントをさせていただきました。ありがとうございます。
 
【水口座長】 ありがとうございます。ほかに何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 
 皆さんにご配慮いただいて、多分そろそろ時間だなと思っていただいているのかなと思うんですけども、まだまだ御意見はあるかもしれませんが、そろそろ定刻となってまいりました。本日の議論はここまでにしたいと思います。
 
 もし本日の会合で言い足りなかったことや補足したいことなど追加の御意見がある場合には、後ほど事務局に書面で、メールで御提出いただければと思います。各メンバーの方にも共有させていただきたいと思います。
 
 次回ですが、本日いただきました御意見、御指摘を踏まえて、報告書案をさらに修正をさせていただきまして、報告書の取りまとめの議論をしたいというふうに考えております。また、この有識者会議の下部会合でありますソーシャルボンド検討会議での議論の状況についても御報告したいというふうに思っております。
 
 最後に、事務局のほうから御連絡ありましたら、お願いいたします。
 
【岡田総合政策課長】 本日も大変活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の日程につきましては、改めて御案内申し上げます。以上でございます。
 
【水口座長】 大変いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。桑田さんが頑張っていろいろ直していただけると信じておりますので、皆さん期待して待っていただければと思います。
 
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

 

 ―― 了 ――
 

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