第25回金融機能強化審査会 議事要旨
1.日時:
令和2年8月26日(水)~ 令和2年9月15日(火)(持ち回り審議)
第25回金融機能強化審査会については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、金融機能強化審査会運営規定第10条等の規定に則り、書面会議(持ち回り審議)によって開催することとした。
2.議題:
(1)会長及び会長代理の選任
(2)経営強化計画(福邦銀行及び南日本銀行)の審議
3.議事内容:
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【議題(1):会長及び会長代理の選任】
○会長等の選任手続きを行った結果、委員による互選により、山本和彦委員が会長に、前田博委員が会長代理に選任された。 -
【議題(2):経営強化計画(福邦銀行及び南日本銀行)の審議】
○事務局より、福邦銀行及び南日本銀行から提出された新たな経営強化計画等について、委員に対し、説明を行った。
また、福邦銀行及び南日本銀行より、委員に対し、「経営強化計画の説明のポイント」の提出があった。
○その後、委員から、事務局宛に、銀行に対する質問・意見や金融庁に対する意見が寄せられ、福邦銀行及び南日本銀行並びに金融庁において回答書を作成し、事務局より委員に送付した。主な応答概要は以下のとおり。 -
<福邦銀行に対する主な質問・意見>
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・前経営強化計画のコア業務純益について、計画が達成できていないが、その要因等を説明いただきたい。また、経営強化計画を達成していく上での責任体制はどのようになっているのか。
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⇒市場金利の低下や他金融機関との競合に伴う貸出金利回りの低下による貸出金利息の減少に加え、円債償還分の運用難やヘッジコストの増加が計画未達の主な要因。
責任体制については、営業統括部、証券国際部等の各執行部門が業務を遂行し、経営陣が責任を負うこととなっており、担当部署及び経営陣がそれぞれの役割・責任を果たし、計画の達成を目指していく。
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・ミドルリスク層を拡大していく中で、「ふくほうのコンサルティングサービス」は重要と考えており、その人材育成や業務体制の強化策を説明いただきたい。
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⇒法人営業グループの行員を地域別・専門分野別(事業承継・M&A・企業再生等)で配置し、支店行員に帯同訪問等することにより、実践的な育成を実施。
また、今計画から、一定のコンサル業務実績等で付与する行内資格「法人営業マイスター」を、本部行員から全店行員に範囲を拡大し、資格取得状況を人事評価上の参考にするなど、コンサル業務の習得を促進。
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・ミドルリスク層を中心に金融包摂の役割を担い、「ふくほうのコンサルティングサービス」を用いて信用リスクの増加を抑制するといった方策は評価でき、金融機能強化法の趣旨にも合致している。
また、他行連携を通じて、オペレーションの効率化を図ろうとする経営姿勢も高く評価できる。 -
・「ふくほうのコンサルティングサービス」は、どの程度の顧客をカバーでき、どのような費用対効果を考えているのか。また、当該コンサル支援による顧客への効果をどのように捉え、今後にどのように活かしていくのか。
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⇒まずは当行のメイン先をカバーすることを考えており、それにより、顧客への付加価値提供を通じた資金需要の獲得や金利競争の回避を目指している。なお、追加的なコストはかからない。
また、コンサル支援の効果については、顧客の売上高や営業利益率といった経営指標等の2~3年の変化を分析し、次年度の取組向上につなげていく。
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・金融包摂を担っていくために、どのような人材育成を行っているか。
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⇒銀行員の基礎は、顧客・現場の観察力、決算書を読み解く財務知識、商流把握と考えており、顧客ごとの「ビジネスモデル俯瞰図」を作成するなど、行員の育成を兼ねた顧客の実態把握を実施。
また、融資・審査部門への短期トレーニーなどを通じて、基礎的な実務能力を高める本部研修も実施。
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・投信解約益に依存した経営には限界があり、その解消や計画達成に向けてどのように取り組んでいくのか。また、コロナ禍にある中、ミドルリスク層への貸出は、信用コストの増加につながることにも留意されたい。
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⇒貸出金利回りを改善し、貸出金利息収入の減少トレンドを反転させるほか、役務手数料収入の多様化を図ることにより安定的な収入を確保するなど、本業収益を伸ばしつつ、店舗削減等により経費を削減。
また、信用コストについては、過年度比で保守的に計上しているほか、本部企業経営支援室を増員するなど、支援強化によるランクアップやランクダウンの抑制を図っていく。
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<南日本銀行に対する主な質問・意見>
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・前経営強化計画のコア業務純益について、計画が達成できていないが、その要因等を説明いただきたい。また、経営強化計画を達成していく上での責任体制はどのようになっているのか。
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⇒WIN-WINネット業務を通じて、幅広い重点先事業者の貸出金残高増加やスプレッド改善を目指したが、結果として、業況の悪い事業者のランクダウン防止に手一杯となり、付加価値が提供できなかったその他の事業者のスプレッドが悪化したことが主な要因。
また、責任体制については、執行部門が業務を遂行し、取締役や部長等で構成する「経営計画推進委員会」や「ALM委員会」で進捗管理を行い、担当取締役が責任を負う体制としている。
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・消費者ローンについて、コロナ禍でのプロパー化は、支払保証料の削減はできるが信用リスクの増加につながることに留意する必要。こうした中、デフォルトを見極める態勢強化や人材育成をどのように進めていくのか。
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⇒プロパー化を進めるに際し、各種分析を行ったところ、顧客の約定弁済負担を減らす目的で条件変更を実施することにより、顧客のローン返済に対する動機付けが高まることが分かってきたほか、将来的に見込まれる信用コストの上限管理も適切に行っていく。
また、態勢強化や人材育成については、「ローン事業部」を新設し、「ローンの受付、審査、管理」までを一元的に行う態勢とするほか、デフォルトの端緒となる延滞状況や原因分析、顧客の格付システムの運用・管理を行う中で、ローン業務精通者を計画的に育成していく。
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・WIN-WINネット業務という地域商社的な取組みは高く評価できるが、同業務の高度化に向けて、どのような取組みを行うことを考えているか。
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⇒従来の行内研修やOJTによる人材育成を継続することとし、更なる特別な取組みについては、今後、検討していくが、豊和銀行の「Ⅴサポート」の考え方やフロー等も参考にしながら、WIN-WINネット業務の高度化を目指していきたいと考えている。
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・事業者の経営安定化に向けて、長短借入の適正化に向けた取組みを行っているか。また、単なる資金繰り支援のみでなく、資本性ローンを含む財務コンサルティングを行っているか。なお、コロナ禍の中、信用コストについてどのように考えているか。
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⇒追加融資審査時や経営改善支援を協議する中で、既存融資の短期継続融資への組換えを検討するなど、長短借入の適正化を図っている。コロナ禍においては、事業者へのファイナンスとオペレーションの両面での支援が責務であり、短期継続融資や返済額軽減などの対応を積極的に行っていく。
また、財務コンサルティングについては、事業性評価を行った上で、既存債権の劣後化等を行っているほか、設備資金については、日本政策金融公庫の資本性ローンとの協調融資により、長期安定的な資金供与を行っている。今後は、政府系金融機関の新型コロナ対策資本性ローンや外部ファンドを活用した資本供与も検討していく。
なお、信用コストについては、コロナ禍を踏まえ、一定のストレスシナリオの下、保守的に計上している。
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<金融庁に対する主な質問・意見>
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・福邦銀行及び南日本銀行の経営強化計画のフィージビリティを高めるためには、コンサルティング力の向上が不可欠であり、金融庁において、長期的にモニタリングされたい。
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⇒両行は経営強化計画の達成に向けて、「ふくほうのコンサルティング」「WIN-WINネット業務」を中心とする本業支援を実施し、顧客に付加価値を提供していくことが重要と認識し、人材育成の取組みを進め、コンサルティング力を向上させていくこととしている。
このため、こうした人材育成の進捗状況を計る指標を設定するほか、履行状況のヒアリング等の機会を活用して、人材育成がどの程度進んでいるかなどについて、継続的に深度ある対話を実施していくこととしたい。
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○上記応答結果を踏まえて、福邦銀行及び南日本銀行の新たな経営強化計画について、各委員から意見が寄せられ、会長の下で、以下のとおり、審査会としての意見が提出された。
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・福邦銀行及び南日本銀行の新たな経営強化計画について、審査会として承認する。
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・なお、福邦銀行の「ふくほうのコンサルティングサービス」や南日本銀行の「WIN-WINネット業務」など、両行の経営強化計画は地域経済の下支えや顧客満足度の向上に資するものと考えられるところ、引き続き、その実現に向けて取り組み、それが貸出金利回りの改善等の結果として表れてくることが期待される。そのために、上記取組みの実効性を担保し、持続的なビジネスモデルの構築に資するKPIを設定していくことが望まれる。
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・さらに、公的資金の返済については、福邦銀行については既に公表している福井銀行との包括連携「Fプロジェクト」が、また、南日本銀行においてはWIN-WINネット業務に加えて今後の資本政策が重要となるため、金融庁においてもフォローしていただきたい。
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・今後は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う地域経済及び銀行経営への影響が徐々に大きくなってくるとみられるところ、それが両行の経営強化計画の実現にどのような影響を与えるかについても、慎重に注視していく必要がある。
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○以上のとおり、今回提出を受けた福邦銀行及び南日本銀行の新たな経営強化計画については、審査会として了承することとされた。
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お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局 銀行第二課
(内線3759・3393)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。