第145回自動車損害賠償責任保険審議会議事録


1.日時:令和5年1月13日(金曜)15時00分~17時00分

2.場所:オンライン開催

【藤田会長】
 それでは、時間が参りましたので、ただいまから第145回自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、改めて御礼申し上げます。
 既に当審議会の公開ルールについての資料をメールでお送りしておりますが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン会議により開催とさせていただき、会議の模様はウェブ上でライブ中継させていただいております。議事録は、通常通り作成の上、金融庁のホームページで後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
 今回、オンラインでの中継となりますので、2点注意事項がございます。まず、発言されない間はミュート設定にしていただくとともに、画像の設定をオフにしていただくようにお願いいたします。次に、発言を希望される際は、オンライン会議システム上のチャット上にて、全員宛てにお名前または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを確認して私が指名させていただきますので、御自身のお名前を乗っていただいた上で御発言ください。
 まず、今回より本審議会に参加されることになりました委員について御紹介申し上げたいと思います。まず、中嶋委員でいらっしゃいます。

【中嶋委員】
 日本損害保険協会の中嶋でございます。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 続いて、長島委員でいらっしゃいます。

【長島委員】
 全国共済農業協同組合連合会の長島でございます。どうぞよろしくお願いします。

【藤田会長】
 次に、川口特別委員でいらっしゃいます。

【川口委員】
 損害保険料算出機構の川口でございます。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 最後に、細川特別委員でいらっしゃいます。

【細川(秀)委員】
 皆さん、こんにちは。日本医師会の常任理事の細川でございます。どうぞよろしくお願いします。

【藤田会長】
 なお、事務局からは、金融庁、三好審議官及び三浦保険課長が出席されております。三好審議官、よろしければ、一言御挨拶をお願いいたします。

【三好審議官】
 金融庁の三好でございます。お忙しいところ、バーチャルでありますが、御参集いただきましてありがとうございます。
 私、昨年6月の下旬に着任いたしまして、もう半年以上経っているのですけれども、大多数の皆様には初めての挨拶となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様御案内のとおり、自賠責保険は、加入が義務付けられる公共性の高い強制保険でありますので、ほかの保険にも増して適正に運営することが求められております。私ども、そうした趣旨に基づきまして、様々な施策を行っているところではございますけれども、我々が視野狭窄に陥るようなことのないよう、この審議会の委員の皆様にお示し申し上げて、皆様の御審議、御助言をいただいて、自賠責保険制度の適切な運営に今後も努めていきたいと思っておりますので、皆様の御助言、御協力をお願いいたします。
 以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 さて、本日の議題としては、議事次第にありますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、来
年度の運用益の使途等についての御報告、自賠責保険審議会の運営についての御報告がございます。
 それでは、議題1、料率検証結果について御報告いただき御議論いただきたいと思います。まず、実際に料率
検証の作業を行った損害保険料率算出機構の川口特別委員に概要を御説明いただき、その後、事務局から補足し
ていただきたいと思います。
 それでは、川口特別委員、よろしくお願いいたします。

【川口委員】
 損害保険料率算出機構の川口でございます。今日はよろしくお願いいたします。
 それでは、令和4年度の検証結果につきまして、お手元の資料1に基づいて御説明をさせていただきます。目
次を飛ばして、1ページの自賠責保険・共済収支表を御覧ください。ここでは、全事業者の収入純保険料、支払
保険金、収支残、損害率につきまして、過年度の実績値及び2022年度と2023年度契約の見込み数字を記
載しております。表のA欄、収入純保険料を御覧いただきますと、2022年度は5,335億円、2023年度
は5,349億円を見込んでおります。これらは、2020年4月と2021年4月の2回にわたりまして純保険
料率を引き下げた結果を反映したものでございます。
 次に、B欄、支払保険金でございますが、2022年度は5,872億円、2023年度は5,771億円を見込
んでおります。
 次に、C欄の収支残でございますが、これは、収入純保険料と支払保険金との差額でございまして、2022年度、2023年度は、いずれも支払保険金が収入純保険料を上回っており、2022年度がマイナス537億円、2023年度がマイナス422億円の赤字となっております。その結果、損害率は、2022年度が110.1%、2023年度が107.9%となります。
 なお、欄外の注6に記載しておりますとおり、2021年4月の基準料率改定の際に想定されていた予定損害率は122.3%でございましたので、現時点で見込まれる損害率は当時の見込みを下回って改善をしております。
 以上が、純保険料率の検証結果です。
 次に、2ページを御覧ください。2ページは、警察庁の交通事故統計の数値をお示ししております。交通事故の動向を把握するための参考資料となります。まず、発生件数を御覧いただきますと、2004年をピークに発生件数は減少傾向にあります。死者数及び負傷者数も同様です。
 ここ数年の負傷者の推移を御覧いただきますと、2020年がマイナス20%と二桁の減少でありましたが、
21年はマイナス2.0%、22年はマイナス1.6%の減少にとどまっております。これは、2020年は新型コ
ロナ感染の拡大に伴う外出自粛要請等の影響により一時的に大きく減少したものと考えられます。その後、2021年以降になりますと、この影響がおおむね解消されており、対前年増減率は元の減少基調に戻ってきております。
 続いて、3ページを御覧ください。料率検証における主な予測要素であります収入純保険料関連及び支払保険金関連の2つについて御説明をいたします。
 まず、(1)の収入純保険料関連でございますが、2022年度と2023年度における車両保有台数を過年度の動向に基づいて予測をしております。2022年度、2023年度はほぼ横ばいで推移するものと見込んでおります。
 次に、(2)の支払保険金関連でございますが、事故率と平均支払保険金の要素に分けて予測をしております。まず、①の事故率でございますが、事故率は、自賠責保険共済の支払い対象となります事故の発生頻度を指しておりますが、これも過年度の実績動向、及び先ほど御説明をいたしました交通事故発生状況に基づいて予測しております。なお、予測に際しましては、新型コロナ感染拡大に伴う一時的な事故減少の影響を補正しております。
 次の4ページで事故率の推移をグラフと表でお示ししておりますので、先に4ページを御覧いただきたいと思います。ここにお示ししておりますのは事故率の推移でございまして、死亡、傷害、後遺障害別の事故率を記載しております。2019年度、2020年度は一時的に事故頻度が大きく減少いたしましたが、その後、2021年度以降は、コロナ前のに戻りつつあり、2022年度以降も同様に、元の基調で減少が続くものと予測をしております。
 続いて恐縮ですが、また3ページに戻っていただきまして、②の平均支払保険金について御説明をいたします。平均支払保険金に影響を与える主な要因といたしまして、賃金、治療費、支払基準改定がございます。
 まず、賃金上昇率でありますが、直近の賃金指数の動向に基づいて予測をしておりまして、2022年度には増加を見込んでおります。治療費上昇率は、1日当たりの平均的治療費の推移に基づいて予測をしておりまして、2022年度以降も、近年と同様の増加傾向が続くものと見込んでおります。
 次に、支払基準改定による上昇率でございますが、支払基準とは、自賠責保険共済から支払われる治療費、休業損害、慰謝料の算定方法等について定めた規程です。その規程の中で、逸失利益の算定に法定利率が適用されておりますが、法定利率は3年ごとに見直されることになっておりますので、そのタイミングで支払基準も改定されて、支払金額に影響が出ることを想定しております。2022年度と2023年度につきましては、支払基準の改定は予定されておりませんので、影響がないものと見込んでおります。
 続いて、5ページを御覧ください。5ページは、支払件数と平均支払保険金につきまして、契約年度別の推移をお示ししております。契約年度別というのは、当該年度に保険責任が開始した自賠責保険契約・共済におきまして、支払対象となる事故を集計したものです。したがいまして、例えば2019年度、あるいは2020年度に発生した事故でありましても、2018年度契約に基づいて支払われた案件につきましては、2018年契約年度の数値として集計をしております。この前提で御覧をいただきますと、支払件数は、新型コロナ感染の拡大の影響により、2019年度、2020年度の事故率が一時的に大きく減少したことを受けまして、2018年度契約及び2019年度契約を中心に、支払件数も比較的大きく減少をしております。
 一方、平均支払保険金は、2020年4月に支払基準改定がございまして、改定以降に発生した事故に適用されたことを受けまして、2018年契約年度以降の金額の増加率が上昇しております。しかしながら、2021年契約年度以降は、その影響も次第に薄れ、おおむね横ばいの推移となっております。
 続いて、6ページをご覧ください。支払保険金総額につきまして、契約年度別の推移を死亡、後遺障害、傷害の内訳別にお示ししております。合計金額は、網かけをした列のとおりでございまして、2022年度は5,872億円、2023年度は5,771億円を見込んでおります。
 続いて、7ページを御覧ください。ここでは、御参考といたしまして、重度後遺障害の支払件数の推移をまとめております。重度後遺障害とは、労働能力の喪失率が100%となる後遺障害を指しております。具体的には、後遺障害等級表の別表第一に規定する介護を要する後遺障害と、別表第二の1級から3級までに該当する後遺障害の件数を集計しております。
 続いて8ページを御覧ください。8ページは、運用益の発生と積立状況でございます。自賠責保険・共済につきましては、事業者が保険料を収受したときから、事故が発生して実際に保険金をお支払いするときまで、一定の期間タイムラグが発生いたします。その間、事業者が資金を運用することで収益が生まれることになります。自賠責保険共済におきましては、ノーロス・ノープロフィットの原則が採用されておりますので、各事業者は、この運用益を運用益積立金として積み立てることによりまして、運用益が事業者の利益に帰属しない仕組みが取られております。運用益の積立金残高につきましては、K欄のとおり、2021年度末で2,750億円となっております。
 続いて、9ページを御覧ください。この表は、滞留資金の推移を示しております。滞留資金とは、F欄にございます累計収支残の赤字補填後の金額に、G欄の運用益積立金残高を加えた金額を指しております。A欄の収入純保険料からB欄の支払保険金を差し引いた当年度収支残が発生いたしますが、これは、赤字の年度もあれば黒字の年度もあるというように変動いたします。制度の安定を図るために、過去の収支残に当年度分を加えた累計収支残に対しまして、赤字になった場合には、過去に積み立ててまいりました運用益積立金から赤字補填が行われる仕組みとなっております。
 表の一番下、2021年度を御覧ください。運用益積立金からの赤字補填を加味したF欄の赤字補填後の累計収支残は4,708億円の黒字となっております。G欄の運用益積立金残高が2021年度末時点で2,750億円ございますので、両者を加えたH欄の7,458億円が滞留資金となります。この滞留資金が黒字であれば、純保険料率の引下げに活用することになります。
 続いて、次の10ページは表の注記になりますので飛ばしまして、11ページを御覧ください。自賠責保険社費・共済経費の収支表は、自賠責保険・共済の運営に要した全事業者の社費経費の収支の推移を示したものです。2021年度は、単年度では53億円の黒字でございましたが、過去収支が赤字の年度もありましたため、累計収支残はマイナス60億円の赤字となっております。
 続いて、12ページを御覧ください。これまでご説明した内容のまとめでございます。まず、(1)の純保険料率水準の検証結果でございますが、2023年度契約は収支残マイナス422億円の赤字、損害率は107.9%と見込まれます。ただし、前回2021年4月改定時に見込んでおりました予定損害率は122.3%でございましたので、これと比較をいたしますと、マイナス11.8%ほど収支が改善される結果となっております。次に、滞留資金ですが、2021年度末時点で7,458億円となっております。
 また、(2)の社費水準は、2021年度における収支残が53億円の黒字となっております。
 以上が、今年度の検証結果の御説明です。
 最後に13ページを御覧ください。ここまで御説明してまいりました純保険料率水準の検証の流れを全体像としてまとめたものでございます。御参考としてお示ししております。
 私からの説明は以上です。

【藤田会長】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの料率検証結果の報告を受けて、三浦保険課長、補足説明をお願いいたします。

【三浦課長】
 金融庁保険課長の三浦でございます。それでは、ただいま資料1の12ページ、今画面に映っているところですけども、そこに沿いまして、事務局から補足説明をさせていただきます。
 ただいま川口委員からも御説明がありましたとおり、今年度の検証結果といたしましては、近年、衝突軽減ブレーキ等の普及率の向上による交通事故の減少等を背景に収支は黒字を見込んでおり、支払保険金を収入純保険料で割った値である損害率は、令和5年度に107.9%になる見込みです。令和3年4月、前回の基準料率改定時には、予定損害率は122.3%でございましたので、改定時の見込みとの比較で申し上げますと、乖離率は約11.8%程度となる見込みです。当審議会で継続的に料率検証を行うようになりました昭和59年度以降の数字と比較させていただきますと、料率改定を行った年度における予定損害率と検証結果の乖離率の平均は10.7%となっております。これに照らしますと、今般の検証結果は、料率改定を行った年度の乖離率を上回る乖離というふうになっております。
 また、運用益積立金残高等を考慮した滞留資金につきましては、新型コロナによる交通量の減少等により、令和3年度末の残高は7,458億円を見込んでおり、こちらは増加傾向にあるということでございます。
 以上の損害率の乖離の拡大、そして滞留資金の増加、この2点の要素に加え、料率の安定性、社費の収支状況等も踏まえまして、令和5年4月以降の基準料率改定の必要性につき、委員の皆様に御論議をお願いしたいと考えております。
 なお、基準料率の改定を行うとする場合は、滞留資金を活用する期間を設ける必要がございます。すなわち、滞留資金を向こう何年かけて契約者に還元するかということでございます。従前、料率改定を行う際には、この期間を5年と設定しております。これは、自賠責保険の契約期間の最も長い期間、最長が5年でございますので、契約者間の公平性等を考慮して5年としたものでございます。基準料率の改定を行おうとする場合、今回も、特段の御異論がなければ、従前同様に5年とすることが適当と考えておりますが、もしこの点につきましても何かございましたらコメントいただければと考えております。
 事務局からは以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの料率検証結果の報告と補足説明に関しまして、御質問、御意見があればいただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。発言の方は、チャットの方に発言希望ということをお書きていただければ、私のほうから指名させていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、自動車総連の方から、金子委員の代理の粕谷様、お願いいたします。

【金子委員代理(粕谷)】
 ありがとうございます。自動車総連で代理出席の粕谷と申します。本日、委員の金子は、ちょっとまだ時間に間に合っていませんので、私のほうから意見のほうを代読させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず、今の検証結果についてですが、現行の予定損害率と損害値の予測値に大きな乖離があり、黒字幅も大幅になる見込みであるということから考えると、今回の料金改定は妥当な判断であると考えます。その上で、料率の改定時、特に今回は新たな賦課金への対応もありまして、それの改定に伴うコストとか、組合員の作業負荷の増加が見込まれることから、そこへの配慮を、労働組合の立場としてもぜひともお願いしたいなというのがあります。
 また、自賠責保険の保険料率は、安定的に運用していくことが基本であると考えます。加えて、ノーロス・ノープロフィットの原則やユーザー負担の軽減の観点、そして、今後の経済活動の本格的な再開に伴う交通量の増加等も見据えた中長期的な収支予測なども十分に配慮した料率設定に引き続き努めていただければと考えています。
 一方、損害保険料率算出機構様はじめ、やはり運用益の事業に携わるそれぞれの企業とか団体が、それぞれの役割を今後もしっかりと果たせるべく、適切な費用の確保などにも十分配慮いただきたいと思っています。その上で、社費の削減に向けては、より一層の効率化やユーザーの利便性向上の実現の観点も含めて、契約や異動手続の簡素化、カメラ映像など損害調査への警察情報の活用、さらには医療機関等とのネットワークの機構など、行政と業界が連携した効果的な取組をぜひとも検討していただきたいなという点がございます。特に、コロナ禍を経て、手続書類の削減とか、非対面手続に対するユーザーの関心が非常に高まっていることに加えて、昨年の臨時国会、具体的には2022年4月、道路交通法が改正されて、現行の自賠法においては自賠責保険証明書の備付けが義務づけられている中、証明書の備付けが難しい電動キックボードが新たにモビリティとして認められて、今後普及が見込まれることから、この機に全ての車両における自賠責保険証明書のペーパーレス化について、行政機関での連携を図りながら、具現化に向けたロードマップをしっかり描いて、早期に実現していただきたいと思います。
 私からの代読は以上になります。ありがとうございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。基準料率の改定を支持するという御意見に続いて、若干その他の御意見及び御要望などをいただいたと思いますが、ただいまの意見について、事務局あるいは料率機構から何か返答ございますでしょうか。

【三浦課長】
 事務局の金融庁保険課でございます。まず、御意見いただき誠にありがとうございます。今いただいた御意見につきましては、基本的に全ておっしゃるとおりではないかというふうに思っております。賦課金等の対応につきましては、もしかしたら別途国交省のほうから御説明があるかもしれないので、具体的な言及は差し控えますが、運用の安定性、ノーロス・ノープロフィットの原則を踏まえまして、より合理的な運用というのをしっかり機構様と一緒に進めていくということ、あと、ペーパーレス化のデジタル化の推進ということにつきましては、政府全体の方針とも整合的でありますので、こちらについてもできるところからこちらについても一歩ずつ進めていくというようなことに尽きるのかなというふうに考えてございます。もちろん、どういったスケジュールで現実的にスケジュール進められるかという議論は別途あるかもしれませんが、おっしゃっている基本方針といいますか方向性については、我々としては全くそのとおりじゃないかというふうに考えているところでございます。
 事務局からは以上です。

【藤田会長】
 料率算定機構からは何かございますでしょうか。

【川口委員】
 川口でございます。今三浦課長からお話がありましたとおり、私どもとしましても、制度の安定的な運用につながるような料率算出をしっかり関係各位と連携しながら務めてまいりたいと思っております。ありがとうございました。

【藤田会長】
 国交省から何かございますでしょうか。

【出口参事官】
 国交省でございます。社費の部分については金融庁さんの話かと存じますが、この後、運用益の部分で、現在の検討状況については御説明させていただく予定でございます。
 以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、細川特別委員から挙手がありましたので、御発言お願いいたします。

【細川(秀)委員】
 日本医師会の細川でございます。昨年に引き続きですけども、前任の長島より提示しておりました5つほどの問題点について発言させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 まず1つは、物件事故に対する自賠責の支払いについてでございます。交通事故発生数が減少傾向にある一方で、警察統計に含まれない物件事故扱いでの自賠責保険の支払いが増加傾向であると見られております。統計上は大幅に負傷者が減っているということで、本来必要である対応、対策が十分になされてない可能性があると思います。その対策として、前年と同様でございますが、被害者や警察現場の負担をなるべく減らしながら、人身事故の届出をしやすくするということ、被害者は適切な人身事故の届出を促す働きを推進していただきたいと思います。それについて取り組んで、ぜひいただきたいと思います。
 また、昨年の当審議会で、人身事故切替の説明に関するモニタリング調査を検討するということでしたが、調査の進捗状況を教えていただきたいと思っております。
 続きまして、2つ目でございます。自賠責保険における柔道整復施術費の適正化についてでございます。柔道整復師の長期間にわたる施術や過剰な施術が行われている実態を踏まえ、自賠責保険における適正化の必要があると考えております。自賠責保険は、交通事故被害者救済を第1目的とした保険制度であり、限られた財源で多くの被害者を手厚く救済する必要があると考えております。施術費の適正化の検討が早急に必要であるというふうに日本医師会は考えております。
 続きまして、3つ目でございます。支払限度額の120万円についてでございますけども、限度額120万のカバー率は大体85%程度で、大部分をカバーしているというのは承知しておりますが、特にこれからは再生医療とか医療技術の進展、進歩によって医療費が大きくなることも考えられますので、カバー率だけではなく、120万を超えた事案がどのような分布であるか検証をしていただきたいと思っております。
 続いて4つ目です。自賠責診療報酬基準案の制度化についてでございます。現在、自賠責診療報酬基準案の普及率は、全国的に6割ぐらいになっております。当基準については、昭和59年の当審議会の答申にありますとおり、全国的に浸透し定着した段階で制度化を図ることを最終的な目的としていることから、算定基準の制度化に向け、さらなる普及促進のために検証が必要な段階にきているのではないかと考えております。
 最後に5つ目でございます。社会保険利用率についてでございます。社会保険の利用率については、ここ数年10%台と大きな増減は見られないのですが、依然と10%ぐらいあるという。医療現場では、いまだに健康保険の使用を損保保険担当者が誘導しているような話もあります。
 実態を把握するため検証が必要であると考えておりますので、これらの5つのことについてぜひよろしくお願いします。
 私からは以上でございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。従前から、日本医師会からは同様の御意見をいただいておりますが、5つほどのポイントがあったかと思います。物件事故証明扱いの話、柔道整復師の施術の支払いの適正化、傷害の支払限度額120万円の扱い、検証の必要性、診療報酬基準案の制度化と、最後、社会保険利用についての御意見だったと思います。ほとんどは損保協会のほうからお答えいただきたいと思うのですが、傷害の支払限度額の120万円については、国交省のほうから御返答いただきたいと思います。まず、損保協会からお願いいたします。

【中嶋委員】
 日本損害保険協会、中嶋でございます。日本医師会の皆様には、自賠責保険運営において終始お世話になっておりまして、誠にありがとうございます。また、本日御指摘、御質問いただきましてありがとうございます。私のほうから御回答させていただきます。
 まず1点目でございます。物件事故における自賠責のお支払いについてでございます。これまでの御説明の繰り返しとはなりますが、損害保険会社は、事故証明書の区分によって保険金の支払いに差を設けることなく、人身事故、物件事項に関わらず、事故によるお怪我であるかを1件1件事案の内容を精査の上、保険金のお支払いをしております。この保険金支払い対応の過程において、人身事故として届出がなされていない場合、損害保険会社の立場から、事故当事者の方に届出を強制することは当然できないものの、警察に届出をしていただくよう促しております。
 続いて、御指摘いただきましたモニタリング調査につきましては、損保協会の会員会社において事案を抽出して、人身事故の切替えの手続に関する説明をどの程度実施しているか確認を行いました。その結果、警察への診断書の提出の状況確認は、ほぼ全ての事案で行っておりました。また、警察への診断書の提出が行われていない事案についても、事案対応終了までには手続の案内や診断書の提出事項の確認をするため、被害者の意向を踏まえつつ、おおむね必要な手続の実施ができているものと考えております。しかしながら、個別の事案においては、より相手の状況に沿った御案内を行ったほうがよい事案も存在したことから、引き続き、損害保険会社においても、被害者に必要な手続を御案内するように周知を図って参ります。
 続きまして、柔道整復施術費の適正化についてでございます。私ども、損害保険会社としましても、被害者の方が早期に回復され社会復帰されることが望ましいと考えております。お怪我をされた方の症状はそれぞれ異なりますので、自賠責保険としては、自賠責の支払基準である、必要かつ妥当な実費の範囲内かどうか、1件1件請求内容を確認の上、保険金をお支払いしております。また、交通事故による受傷であるか疑いがある場合などは、必要に応じて医師に意見を求めるなど、適正なお支払いに努めております。適正化に向けた論議に当たっては、関係省庁や関係団体とともに協議検討していくことになる課題と認識しております。
 続きまして、いわゆる新基準、診療報酬基準案の制度化についてでございます。御指摘いただきましたとおり、自賠責診療報酬基準案の普及率は全国平均で約6割となっておりますが、約2割の実施にとどまる都道府県もございます。このように、各都道府県での実施状況の差が大きいことから、日本医師会様はじめ関係各位の御協力を得て、引き続き自賠責診療報酬基準案のさらなる定着に努めていきたいと考えております。
 最後でございます。社会保険の利用率についてでございます。御指摘のとおり、社会保険の利用率は10%台から大きな増減がなく、業界として社会保険の利用を強く勧めているような実態はありません。社会保険の利用は、最終的には、過失割合や損害総額の多寡を踏まえて、被保険者様、いわゆる被害者になりますが、の御判断によるという考え方を原則として運営しております。損害保険会社としては、被害者の方が適切な判断がなされるよう、引き続き各保険会社において研修の実施などにより被保険者に正しい案内が行われるよう努めてまいります。また、個別の事案で問題が生じた場合は、適切に対応してまいりたいと存じます。
 私からは以上でございます。

【藤田会長】
 国交省のほうからお願いいたします。

【出口参事官】
 国土交通省保障制度参事官の出口でございます。120万円という自賠責保険金の支払限度額、傷害の部分におきまして、120万円を超えた事案のその分布についてということで御質問いただいております。
 おっしゃっていただきましたとおり、傷害に関する自賠責保険のカバー率につきましては、現在85%程度で推移というところでございます。その上で分布という御質問でいただいておりますが、冒頭、金融庁さんの方からもお話がございましたとおり、自賠責保険につきましては、強制保険、公道を走るからには、すべからく自賠責保険に入っていただく必要があるという極めて強いものでございまして、そのために、保障の範囲というものが、最低限の基本保障を確保するという性質で制度として設計されているものでございます。
 そういった性質を踏まえ、また、賃金、物価等の社会情勢、保険料率に与える影響、そういったもろもろのことも踏まえ、また、こちらのほうを見直すとなった場合に、自動車ユーザーの方の負担増にもつながり得るということもございますので、今後とも、もろもろの情勢を見ながら慎重に判断していく必要があると考えております。
 以上でございます。

【藤田会長】
 細川特別委員、よろしいでしょうか。

【細川(秀)委員】
 ありがとうございます。毎年になりますけども、やはりこの5つの問題というのは考えていかなければならないかなというふうに日本医師会は考えておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 そのほか、御意見、御質問などございますでしょうか。武田委員、お願いいたします。

【武田委員】
 ありがとうございます。弁護士の武田でございます。3ページの資料のところで、純保険料水準の検証結果関連ということで、検証における主な予測要因の中で、賃金上昇率に関して、2022年度がプラス0.7%、2023年度以降が0.0%据置きというふうに書かれているのですが、昨今かなり賃金上昇見込まれる部分が多いと思いますが、この点を、この検証においてはどのように考慮されたのか。こういうふうに検証の前提とされておられたことについて御説明をお願いできればありがたいです。

【藤田会長】
 それでは、料率算定機構のほうからお願いいたします。

【川口委員】
 料率機構でございます。今御指摘の点、大変重要な御指摘だと思っております。私どもも非常にここの点悩みまして、いろいろ考えたところでございますが、賃金上昇率につきましては、毎月勤労統計の実績動向を使用して把握をしております。2023年度に関しましては、春闘で賃上げの動きが出てきていることは報道等で認識しておりますが、具体的な数値というものが存在しないことによりまして、このところは、2023年度から据置きとしてはどうかというふうに考えた次第です。
 今後、賃金上昇が起こる可能性も否定はできませんが、その場合には、次回の改定時に、滞留資金の仕組みによって調整されることになりますので、その時点でまた改めて評価をし直すということでやらせていただければと考えた次第でございます。
 以上です。

【藤田会長】
 武田委員、よろしいでしょうか。

【武田委員】
 ありがとうございます。これから賃金を上昇させていくというのが岸田政権の御政策なのかなとも思っておりましたので、その点、お伺いさせていただいた次第です。ありがとうございました。

【藤田会長】
 ありがとうございました。そのほか、どの点でも御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議論はこの辺りまでにさせていただければと思うのですが、今回の料率検証結果について、最初に御発言いただいた自動車総連のほうから、見直しに賛成であるということを明示的に御意見いただきました。保険収支の状況などを見た場合、交通事故の減少等によって損害率においては107.9%と、前回の基準料率改定時の想定以上の黒字となっていること、保険契約者への還元に活用される滞留資金の残高は増加傾向にあるということを勘案しますと、令和5年度より自賠責保険の収支、収入と支出が見合う料率水準とする、端的に言うと保険料を下げるという方向が適切と考えますが、いかがでしょうか。この点について明示的な御意見いただいた方ばかりではありませんので、もし御異議があるようでしたら、チャットで意見を求めていただければと思います。特に発言を求める方はいらっしゃらないでしょうか。
 もし御異議ないようでしたら、御了承いただいたということで取り扱わせていただきます。
 そうしますと、併せて滞留資金の還元期間をどのようにするかということを決める必要があります。先ほど事務局から御説明がありましたけれども、還元の期間は、契約者間の公平等を考慮し、従前より5年と設定しておりました。今回も、これまでの例に倣って5年ということで決定するということでよいかと思うのですが、いかがでしょうか。この点についても、もし御意見があるようでしたら、チャットでお知らせいただければと思います。特に御意見ないでしょうか。
 もしないようでしたら、事務局からの御提案のように、従前どおり5年という還元期間で扱わせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、以上を踏まえまして、損害保険料率算出機構におかれましては、速やかに新たな基準料率の案を作成いただき、今後開催する自賠責保険審議会において御提案及び御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【川口委員】
 承知いたしました。

【藤田会長】
 よろしくお願いします。
 それでは、引き続き、令和5年度の運用益の使途等について御報告いただければと思います。国土交通省、日本損害保険協会、JA共済連の順で御説明いただき、一括して議論いただければと思います。
 それでは、今申し上げた順で御説明お願いいたします。

【出口参事官】
 ありがとうございます。国土交通省の自動車局保障制度担当参事官の出口と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、国土交通省の方で、自動車安全特別会計の運用益の使途について御説明させていただければと思います。資料のほうも投影しております。説明に移らせていただきます。
 まず最初のページ、1ページ目でございます。自動車安全特別会計の運用益活用事業についてでございますが、上の四角のところにございますとおり、事故被害者のその救済のために、重度後遺障害者の方々に対して被害者救済対策を実施することと、新たな自動車事故被害者を生まないための事故防止対策ということで、左側、赤枠の赤字でございますが、被害者救済対策と、右側、青字で書いて青枠の事故防止対策、この2本柱で事業を実施してございます。
 左側、赤字で書いてございます被害者救済対策でございますが、療護施設と私ども呼んでございます。遷延性意識障害、非常に重い意識障害を負われている方々に対する専門的治療を実施するような施設の設置運営ですとか、重い障害を負われた方で在宅のケアを行っておられる御家庭の介護料の支給、訪問支援の実施、また、そういった方々が短期間病院に入院されたり施設へ入所されたりできるような、病院などの受入体制の整備、また、在宅の重度の後遺障害者の方が、今介護されている方が高齢になられていく中で、介護者なき後というのが問題になっております。そういう場合に備え、グループホームなどの障害者支援施設に入所していただいて、安心して生活していただけるような事業所の受入れ体制の整備などを行ってございます。
 右側の事故防止対策でございますが、安全総合対策事業ということで、ASVなどと申しますが、先進安全自動車、衝突被害軽減ブレーキとかそういったものが付いているものでございますが、そういったものの普及ですとか、過労運転防止機器の導入支援、また、自動車安全性能の評価、自動車アセスメントと呼んでおりますが、そういった結果の公表により車両の安全性能の向上などを行ってございます。これらの事業につきまして、令和3年度の実績及び令和4年度の取組、さらに令和5年度の予算案を次の資料で御説明させていただきます。
 まず、令和3年度の実績でございますけれども、被害者救済対策関係では、介護料につきまして、感染症対策に万全を期するために必要だということで、これまでの支援に、さらに消毒液や医療マスクといったものを支給対象に追加いたしました。また、介護者なき後を見すえた日常生活支援の充実ということでは、人材雇用費の対象に、看護職員や理学療法士等を追加するという拡充を実施しております。
 事故防止対策といたしましては、自動車アセスメントにおいて、衝突被害軽減ブレーキ、自転車に対応したものでございますが、こういったものを追加できるような最終検討などを令和3年度においては行ってございました。
 続きまして、3ページ目でございます。令和4年度の取組でございますけれども、被害者救済対策といたしましては、介護料の充実におきましては、リハビリ目的での短期入院を利用する場合における、1回当たりの利用日数の上限を30日までに拡大するといったことを今実施してございます。また、その療護施設の老朽化対策につきましては、老朽化対策に合わせて最適な機能強化に取り組むための調査研究を今実施しているところでございます。介護者なき後を見据えた日常生活支援の充実につきましては、障害者支援施設やグループホームに対し、器具の導入、人材確保、求人情報発信や研修等の受講に係る経費の補助などを実施しているところでございます。
 2つ目の柱でございます事故防止対策に関しましては、令和3年度に行っておりました対自転車の被害軽減ブレーキをアセスメントの性能評価の対象に追加するなどの事業を現在実施しているところでございます。
 続きまして、予算成立前ではございますが、令和5年度の予算案でこういった事業を実施する予定ですということの御説明でございます。被害者救済対策関係といたしましては、まずは脊髄損傷に対応した療護施設の新設でございます。重度の脊髄損傷を負われた方々が、長期にわたって継続的にリハビリを受けられるような環境整備というものを、新たに行っていくところでございます。また、被害者・遺族等団体の相談支援ということで、被害者・遺族等の方々からのご相談に、今ボランティアで被害者・遺族等団体の方々が対応していただいているところでして、かなりの御負担になっているという現状を踏まえ、こういう団体の方々が、相談窓口の構築や、その相談を継続できるよう支援するという事業を新たに始める予定でございます。また、介護者なき後を見据えた対策の充実でございますけれども、こちらにつきましても、新規開設や介護人材の確保の支援により、短期入院・入所の利用の促進を進めていく予定でございます。さらに、事故被害者の方々へのアウトリーチ、必要な情報をちゃんとお届けするということでございますが、また、自賠法の改正に伴います賦課金の使途拡大もございますので、ユーザーの方々に御理解いただくための広報を進めていくといったことを令和5年度では予定してございます。
 事故防止対策につきましては、自動車アセスメント事業の充実ということで、「通信を利用した衝突回避支援技術」の評価に向けた調査などを推進していく予定でございます。
 自動車事故対策業務予算の推移という一番下のところでございますが、こちらにつきまして、令和5年度の予算案としては約200億でございます。こちら、今御説明した事業につきまして、詳細な一覧表を資料としてはつけてございますが、説明は割愛させていただきます。
 続きまして、これまで御説明した事業につきましては、私どもの自動車安全特別会計、こちらのほうの自動車事故対策勘定の運用益積立金を原資として行っているところでございますが、こちらのほうから、一般会計に繰入れが行われております。こちらの繰戻しについて、現状の御説明でございます。
 概要でございますけれども、一般会計に過去繰り入れられた1兆1,200億円につきまして、約6,000億円が繰り戻されていない状況でございます。毎年の繰戻し額につきましては、法律や大臣間合意に基づきまして、財務省と国交省で協議の上、決定しておりまして、令和5年度予算におきましては、繰戻し額約60億円という状況でございます。これまで御説明してきた被害者救済対策や事故防止対策、こういったものを持続的、安定的に行うということで、現在、当省の検討会で検討しておりまして、そちらにつきまして、次の資料で御説明させていただければと思います。
 「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会の検討状況について」という資料を御覧いただければと思います。「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」でございますけれども、自賠審の会長であられる藤田教授に座長をお願いしておりまして、一昨年の令和3年の8月末からずっと検討していただいて、議論をいただいているという状況でございます。来週の月曜日に、第12回の検討会を予定しているところでございます。
 検討を行ってきた状況でございますが、次のページに参りまして、左上でございますけれども、交通事故の死者数が大幅に減ってきている、グラフで申しますと右の赤線でございます。一方で、介護を要する重度後遺障害者数は横ばい、右のグラフで申しますと青線でございます。そういった中で、被害者支援と事故防止について、しっかりと実現していく必要があるというところで、右下で求められている施策ということでございますが、被害者支援に関しましては、高齢の親御さんが事故に遭われたお子さんを介護できなくなる、介護者なき後の対策といったことが強く求められているところでございます。グループホーム等の設置運営支援ですとか手厚い介護体制構築のための支援、また、これまでのところは脊髄損傷の方ですとか高次脳機能障害の方、こういった方々への支援が行えていなかったところでありまして、令和5年度から新たな施策として取り組んでいる部分もございますが、そういったことが求められているという中で検討が始まったものでございます。
 また、事故防止の充実ということで、より先進的な安全機能、運転者の方に異常があった時の自動停止機能ですとか、事故が発生したときの自動緊急通報機能といったニーズがある中で検討が始まったものでございます。
 次のページでございますけれども、その原資となる財政事情についてでございます。1つ目の積立金の運用益、もともとは運用益のほうで被害者支援や事故防止対策をやっていくという想定で制度ができておりましたが、矢印の右側、低金利で今後、ほぼゼロになる見込みというところでございます。
 積立金の取崩し、2つ目でございますが、こちらにつきましても、右下でございますが、現在のペースで取り崩していくと、近々に枯渇する見込みとなっております。
 3つ目が、一般会計予算繰戻しというところでございます。着実な繰戻しというものが、全額の繰戻しに向け、着実に繰戻しが行われると、引き続き行われることは当然ではございますが、現状の厳しい財政状況で大幅な増額を見込むことは困難であるという中で、真ん中の赤字でございますが、被害者支援、事故防止を持続的に実施できる仕組みの転換が必要ということで、1年以上にわたり、御検討いただいてまいりました。
 その結果、次のページでございますが、昨年の夏、令和4年に自賠法と特会法の改正を行いまして、制度の見直しを行っております。概要といたしましては、被害者支援と事故防止対策の持続的な財源確保のために、もともとひき逃げ被害者と無保険車事故の被害者、そういった被害者の救済のために、保険料の一部からいただいております賦課金を拡充し、元の賦課金、ひき逃げや無保険車事故の被害者救済のための賦課金に加えて、新たな賦課金をいただくということで、様々な被害者支援等に活用する改正を行い、今度の4月から施行予定でございます。
 こちらにおきまして、法案審議の際に附帯決議をいただいておりまして、説明責任を果たすとともに、被害者等支援・事故防止対策の維持に責任を果たすということは、一般会計からできる限り早期かつ着実に繰り戻す措置を講じること、被害者支援について、介護者なき後対策、高次脳機能障害への対応、御遺族の方々の精神的ケアなどの充実を図る。また、4つ目でございますが、被害者等支援や事故防止対策の現状、課題について、積極的に発信して、賦課金の必要性について丁寧な説明を行うなど、自動車ユーザーの方々の御理解をいただけるよう、また、ユーザーの方々の御負担を極力抑えるように努めること、また、効果検証を適切に行うとともに、毎年実施するといった附帯決議をいただいているところでございます。
 こういったところを踏まえまして、検討会で様々検討を行っていただいたのが次からでございまして、まず、原資となっている積立金でございますが、これまでの議論と改正自賠法で今、御紹介した附帯決議を踏まえまして、まずは、一定期間、図で申しますと、真ん中の「フェーズ1」とグラデーションになっている3色のところでございますが、こちらでは積立金を自動車ユーザーの方々の負担の抑制に活用するとしております。ただ、全額使い切って枯渇してしまうと、自然災害への対応など臨時的な歳出があった場合に困るということで、検討会で御議論いただく中で、500億円程度は確保する必要があるという御議論をいただいております。そこまでに至る期間までは積立金を取り崩しまして、そこに達したところからは積立金の取崩しを行わないと、そういう前提で財源構成の割合について御議論をいただきました。
 その結果が次のページでございますけれども、これまでの議論及び改正自賠法附帯決議のポイントという上の四角でございますが、積立金は一定期間、先ほどのページでフェーズ1と書いていたものでございますが、歳出の一部に充てて、負担の抑制を図りつつ、この水準をできる限り長期間維持するということと、運用状況の大幅改善等の環境変化が生じた場合は、見直しを行うという中で御検討いただいた結果でございますが、右側、積立金の取崩しペースと自動車ユーザーの負担を勘案し、事故被害者の介護環境を確保する必要性、自動車技術の進展を考慮し、高齢者人口が最大となるなど社会の大きな転換点となる2040年頃、約20年後ということでございますが、そちらをターゲットとして設定する、賦課金の規模感としては約100億円ということで、御議論をいただいたところでございます。
 不測の事態が発生した場合というのは、先ほど500億円という話をした部分でございます。その前提で、賦課金について、さらに御議論いただきまして、次のページでございますが、新しい賦課金につきましては、上の図の一番右端、新設というところでございますが、付加保険料率の一部としていただくということとしております。
 また、自賠責保険料が車種、車の種類によりまして、資料に掲載しておりますのはタクシーと自家用普通乗用車、いわゆるマイカー、原付と出しておりますが、10万円近い法人タクシーから自家用普乗用車、これ1年の契約ですので、1万2,700円となってございますが、原付ですと約7,000円と、大分差があるという状況でございます。こういった状況を踏まえて、こういった御議論の中で、全車種一律ではなく、何らかの差異を設けるという方向で検討会の中で合意をいただきまして、それを踏まえて、車種別の保険料を一定程度勘案しつつ、3つのグループに分類して検討を行うというところで、現在、検討中でございます。
 次のページでございますが、保障事業に充てる賦課金額の見直しによるユーザーの方々の負担軽減でございます。保障事業、ひき逃げとか無保険車につきましては、こちらのほう、すぐに自賠責が出ない状況でございますので、国のほうで一旦、自賠責と同じ額の保障金というものをお支払いしております。こちらの支払額、右のグラフでございますが、平成24年などから比べると大分下がってきております。令和3年度は若干上がっているんですが、コロナなどの影響で、令和元年、2年に大きく下がっている中で、手続の遅れとか、そういったことの反動が若干出ていると聞いております。ただ、全体としては、車の安全性能、衝突被害軽減ブレーキなどの影響もかなり大きくあるようで、支払額は中長期的に見て減少傾向だということがございますので、左下、今回見直しのポイントでございますが、全ての車種において3分の1程度、具体的には、いわゆるマイカー、自家用普通乗用車については、現行の16円から5円程度の見直しというものを図ることとしてございます。
 最後のページでございます。附帯決議でもいただいておりました、被害者の方へのアウトリーチ、必要な方に、介護料なども含めた必要とされておられる情報をお届けするというものです。また、今回御負担をお願いするユーザーの方々の御理解をいただくための取組、広報でございます。まず、1つ目は新たなポータルサイトということで、2月以降開設すべく現在、準備を進めてございます。
 また、被害者の方に必要な情報をお届けするということで、被害者ノートというものを去年の12月に作成して、配布を開始してございます。また、被害者救済対策や自動車アセスメントなどの事業を行っております、ナスバ((独)自動車事故対策機構)という法人のほうでツイッターも開設いたしまして、広報に努めているところでございます。
 右側、ユーザーの方々の理解促進でございますが、新車購入時や車検時といった確実にドライバーの方々のお手元に届くような形でチラシを配布する方向で現在進めていたり、また、SNSやマスメディアを活用した周知なども行っていくべく事業を進めているところでございます。
 長くなりましたが、国土交通省からは以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。それでは、引き続き、令和5年度民間保険会社の運用益の使途について、中嶋委員より御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【中嶋委員】
 日本損害保険協会、中嶋でございます。私からは、令和5年度の民間保険会社の運用益の使途につきまして、御報告を申し上げます。お手元の資料3を御覧ください。
 この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成される協会長の諮問機関である自賠責運用益使途選定委員会で了承されたものであり、2月16日開催の日本損害保険協会理事会で最終決定する予定です。令和5年度の事業案の策定にあたりましては、これまでの自賠責保険審議会の答申や「今後の自動車損害賠償補償制度のあり方に係る懇談会」で示された方向性を踏まえ、自動車事故の被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の環境変化を踏まえて、交通事故被害者を生まないための自動車事故防止対策にも、より一層注力することを基本方針としております。
 それでは、運用益拠出事業案のポイントを御説明させていただきます。資料の1ページを御覧ください。令和5年度の拠出予定合計額は、昨今の社会環境や自動車事故被害者の皆様、関係者の皆様のお声をお聞きし、各団体からの御意見、御要望を踏まえ、必要な事業を積み上げた結果でございまして、資料右上に記載のとおり、17億888万円、前年度対比で約7,183万円の減額となっております。
 まず、拡充する主な事業について御説明いたします。自動車事故防止対策の分野で2つの新規事業がございます。具体的には地域の安全を守る高齢者安全運転点検・助言の実施と、中学生の事故防止自己学習システムの構築、体調起因性事故予防に向けた効果的なドライバーモニタリング及び運転支援技術の検討への支援を実施いたします。
 次に、自動車事故被害者対策の分野では、1つの新規事業、高次脳機能障害者のピアサポーター養成のための実践的研究への支援を実施いたしますとともに、継続事業においても、交通事故被害者への情報提供、研修会等開催費用補助への支援の増額を実施いたします。
 また、救急医療体制の整備の分野でも1つの新規事業、交通外傷で受傷した開放骨折患者に明るい未来をもたらす日本全国で運用可能な外傷ネットワークの構築への支援を実施いたします。
 今後も引き続き、各団体の事業や研究の執行状況を精査しつつ、適切な被害者支援の在り方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、減額する主な事業について御説明いたします。事業の見直しによる減額方針に基づき、自動車事故防止対策における交通事故防止用機器の寄贈と、救急医療体制の整備における公的病院への救急医療機器購入費補助を減額しております。また、相談件数の減少による事業の実態などを踏まえ、自動車事故被害者対策における交通事故無料相談事業支援の減額を行っております。
 令和5年度の事業案の概要は、以上のとおりです。総額としては、前年度対比で減額となっておりますが、これは必要な事業を充実させる一方、個々の事業内容の精査、見直しも行うなどして、各事業を積み上げた結果でございます。
 なお、資料2ページ以降に、令和5年度の個々の拠出事業内容、直近5年間の拠出額の推移、令和3年度の運用益拠出事業の実施状況報告を添付しておりますが、時間の関係から説明は割愛させていただきます。
 民間損保といたしましては、本拠出が自動車事故の被害者の皆様への支援、並びに事故防止対策に資するよう、今後とも自賠責保険運用益の有効かつ適正な拠出に努めてまいりたいと考えております。
 以上、御報告申し上げます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、令和5年度JA共済の運用益の使途について、長島委員より御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【長島委員】
 JA共済連の長島でございます。
 それでは、資料ナンバー4に基づきまして、令和5年度のJA共済の運用益の使途について、御報告申し上げます。
 まず、運用益の拠出事業の計画の策定に当たりましては、外部調査機関における各施策の実施状況や効果、課題などの検証とともに、交通事故の発生状況等の環境認識を踏まえた方向性を整理いたしまして、先ほどの損保協会様と同様に、外部有識者などから構成されます使途選定委員会にて御審議をいただいた上で決定をしております。また、検討に当たりましては、これまでの自賠責保険審議会における御意見も参考とさせていただいております。
 それでは、早速でございますが、資料の1ページを御覧ください。まず、上段に記載しておりますとおり、令和5年度の計画額の合計額は、11億5,331万円を予定しております。
 次に、令和5年度の施策における主な変更点について御説明いたします。まず、自動車事故防止に資する新規施策を2点、実施いたします。1点目が交通安全啓発活動の浸透、定着に向けた取組になります。これは警察庁やPTA協議会といった交通安全啓発活動を実施する関係団体や行政等に対しまして、弊会がこれまで制作した様々な交通事故防止対策コンテンツにつきまして、一元的に、まとめた情報発信を定期的に実施することで、啓発活動の効果的な展開、促進を図ってまいるという内容でございます。
 次に、2点目は歩行者向けの交通安全啓発活動の実施になります。これは薄暮時間帯や夜間の歩行者の事故削減に向けた啓発活動でございまして、服装の輝度を測定するソフトウエアを活用したプログラムの実施を通じまして、反射材の着用促進を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、見直しを行う取組が3点でございます。まず、1点目でございますが、シルバー世帯向け交通安全教室となります。この取組は、高齢者を対象にいたしました、交通安全講話等を行う交通安全教室となっており、特にコロナ禍の影響により、実施がしにくい状況であること、およびこれまでの開催実績を踏まえ、計画額を800万円減額させていただいております。
 また、2点目は救急医療機器等の購入費補助についてでございます。救急医療機器の整備が一定進んでいるということから全体計画額におけます占率等を勘案いたしまして、2,000万円減額をいたしております。
 また、3点目といたしましては、交通事故の無料法律相談事業・機関の支援になります。交通事故に関します無料法律相談事業や機関を支援しまして、被害者救済を図るものでございますが、自動ブレーキ、あるいは安全装置の普及、そしてコロナ禍における事故の減少を受けまして、相談件数等が減少しておりますので、900万円の減額とさせていただいております。
 最後に、予算の推移につきまして、ページの最下段に記載をしておりますけども、令和4年度と比較いたしますと、金額で7,200万円、割合にいたしまして、約5.9%の減額となっております。
 なお、次ページ以降は令和5年度の本運用益拠出事業の計画の詳細と、令和3年度の実施結果を記載しておりますので、御覧おきいただければと存じます。
 弊会からの報告につきましては、以上でございます。

【藤田会長】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの3者の報告に関し、御質問、御意見はございますでしょうか。金子委員お願いいたします。

【金子委員】
 発言の機会いただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いします。
 御説明は承知をいたしました。各論での話ではないんですが、3点、申し上げたいと思います。
 1点目は自動運転に関わるところなんですけれども、先月、政府で、レベル4の運行許可制度を盛り込んだ道路交通法が改正されて、4月1日施行ということで認識をしております。これは、まさに自動運転社会の第一歩をまさに踏み出したと認識しておるところであります。こういった節目において、我々としても自賠責保険制度をより安心で、持続可能な制度にしていくために、引き続き、知恵を出していきたいと考えているのが1点です。
 2点目は、運用事業全般の観点なんですけれども、言うまでもなく、これは自動車ユーザーが支払った保険料の運用益によって賄われているものであります。これまで同様、被害者救済対策、また、自動車事故防止対策というものを充実させていくということが必要かと思っております。
 ただ、特に新たな賦課金を自動車ユーザーに強いる、課すということになってきておりますので、そういう意味では、よりこのような審議会を通じて、引き続き透明性を持った精査をしていく必要があると考えておりますので、その点、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
 そして、3点目は、国交省さんからの説明があった繰戻金についてであります。令和4年度の補正予算で12.5億、そして、今回、令和5年度においての予算案では60億ということで、この点は関係されている皆さんに、本当に感謝申し上げたいと思っております。ただ、これは単年度で、必要とされる事業費用にも満たない額でありますので、また、先ほど申し上げたように、新たにユーザーに負担を強いるような、こういった状況に鑑みますと、ユーザーにとってはこういった状況は、正直、理解しがたいものではないかとも考えております。
 いまだ5,900億円余が未返済ということになっております。このお金は、共助社会の実現に向けて、自動車ユーザーが支払った保険料で積み立てられたものであります。そして、こういった借金が返済されていない、こうした時期に今、議論しております事業運営を、支障をきたさないようにということで、新たな賦課金を自動車ユーザーに負担いただくという状況にあるということは、我々含めて、みんなで再度、認識をするべきことだと思っています。
 被害者家族、そして遺族の将来不安、被害者と、被害者家族の将来不安払拭に向けて、早期に特別会計への繰戻しを完済するよう国に強く求めたいと思っております。あわせて、自動車ユーザーに新たな賦課金を強いるということに当たっては、自賠責制度の持続可能性を高める意味でも、ユーザーの納得感を醸成していくということは極めて肝要だと思っております。その観点からも、衆参両議会の附帯事項にもあるとおり、自動車ユーザーの理解が得られるよう、ユーザーへの丁寧な説明の実効性を早期に高めていただくこと、そして、積極的な情報発信を国交省さんにも強くお願いをしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。幾つか御意見いただきました。自動運転に関する御意見、さらに被害者救済、事故防止対策の透明性の確保の問題、さらに一般会計からの繰戻しの在り方についての御意見、最後にユーザーへの説明の充実、こういった御意見いただいたかと思うのですが、事務局のほうから、ただいまの御意見、あるいは御要望に対して何か御返答ございますでしょうか。金融庁、あるいは国土交通省から、もし御発言ございましたらお願いいたします。

【出口参事官】
 国土交通省でございます。今、3点いただきました。
 まず、自動運転についてでございます。レベル4ということで、始まるということはおっしゃるとおりでございます。レベル4までの自動運転システムの利用中の事故ということにつきましては、平成30年に、こちらのほうで検討しておりました、「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」におきまして、レベル4までについては、従来の運行供用者責任を維持することが適当であるということの報告でいただいております。したがいまして、今、実用化される部分につきましては、自賠責保険で、原則対応できることにはなるかと思っております。
 ただ、引き続き、様々技術が進展してまいることにはなるかと思いますので、そちらのほうは、国としてもしっかりと注視をして、対処していきたいと考えております。
 2つ目でございますけれども、運用事業についての適正化を、透明性をきちっと持たせるべきであるという御指摘、ありがとうございます。附帯決議におきましても、効果検証をしっかり行っていくということをいただいておりまして、国交省におきましても、新たに効果検証の場というものを立ち上げて、そちらのほうでもしっかりと御説明させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 3点目、繰戻しについてでございます。6,000億まだ残っているというのは御指摘のとおりでございます。ただ、被害者団体の方々、会長からも被害者の方々の安心のためにという貴重な言葉をいただきました。ありがとうございます。どうしても事故に遭われる方の中に、特に若年層の方というのが、それなりにおられるというような状況でございまして、これらの方々、介護者なき後の話もごくごく簡単に御説明いたしましたが、そういった状況を踏まえる中で、どうしても非常に長期の被害者救済対策ということを見据える中で、被害者、その御家族の方々の不安を解消できないかということで、検討会以降でも様々な御議論をいただいたところでございます。
 ただ、その中で、きちっと取り組んでいくということは当然だと当省としても考えておりまして、全額の繰戻しに向け、引き続き、着実に繰戻しを求めていくと。今回、その補正と、当初予算の繰戻しについて、過分なお言葉を頂戴し、ありがとうございます。ただ、当然、引き続き全額の繰戻しに向けて、しっかりと取り組んで参ります。また、ユーザーの方々の御理解をいただくこと、こちらのほうについてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 先ほど、広報のところでチラシの配布といったことも含め、あるいはSNSなどの活用、そういったことも含めて、様々取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 国土交通省からは以上でございます。

【藤田会長】
 金融庁から何かございますか。

【三浦課長】
 金融庁でございます。もう今、ほとんど御説明いただいたので、特段補足すべき事項はないのですが、いずれにせよ、こちらの自賠審におきましても、運用益の使途等についてちゃんと透明性も持った形で議論させていただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上です。

【藤田会長】
 金子委員、よろしいでしょうか。

【金子委員】
 ありがとうございます。引き続きどうかよろしくお願いします。

【藤田会長】
 それでは、次に、京井委員、お願いいたします。

【京井委員】
 お世話になります。私、京井のほうから、当事者の団体として数点、お伺いしたいことがございます。
 今日、被害者遺族等の団体支援のほうを充実していくと言っていただきました。とてもありがとうございます。その中で、当事者の団体が手弁当でやっているということを何度もお話をさせていただいていまして、その辺を見ていただく。それと同じように、被害者、遺族、団体のネットワークづくり、交通事故の団体というか当事者団体、結構、全国にあります。そこで、ネットワークづくりを、また国交省を中心になってやっていただければと思います。それが今後の人材育成にもつながるのではないかなと。当事者だけでフォローしていくというのはなかなか難しく、全国にも被害者支援センターやいろいろ警察の支援室とかございますので、そちらのほうにも連携を今後していけるような形づくりを、背中を押していただければうれしいなと思っております。
 あと、高齢者の先ほども介護者なき後というお話が出たんですが、もちろん子供たちが、親御さんが年を取っていくということがあるんですけど、子供たち、親が鬱病になったり障害を持って、ヤングケアラーと言われているんですけど、交通事故の被害者の方々には、そのような形で子供たちが親の面倒見ていると、家族の面倒見ているというのが結構あります。こちらのほうも、少し力を入れていただけるようにしていただければ、うれしいなと思います。
 それと似たようなことは、遺族の育成金、奨学金とかそういうところが今だんだん少なくなっております。もちろん片親になった場合、パートナーをなくした場合、片親で、ひとり親で、お子さんを育てるという形であれば、奨学金や育成金がいろいろなところ、皆さんよく御存じなのは、あしなが育英さんだと思いますし、今日のJAさんとかもあったと思うんですけど、損保協会さんやNASVAさんとかあると思うんですけど、両親がそろっていて、子供を亡くして、そして親のほうがもう生きる気力をなくしてしまってという形もあります。それとか子供がなくなって、パートナーが自死をしてしまったとか、そうなればあれなんですけど、親御さんが2人そろっていても経済的に苦しいということもありますので、まず、交通のこちらのほうで、そういう子供たちに対しての、遺族に対しての育成金や奨学金を、少しまた考えていただければと思います。
 それと、あと、いろいろなところとの省庁のつながり、本当に横のつながりをしていただくということがとても大事だなということを前々からお話しさせていただいています。今回も厚生労働省さんとかと特別休暇のお話もありますし、それももっと、これが義務化ではないんですけど、義務としてそういうことが起きた場合、していただければと思いますし、あと就労支援、障害を持たれた方たちの就労支援というのは少しずつ広がっています。ですが、遺族に対しての就労支援というのがなかなか進んでおりませんので、そういう就労支援をしていただければと思います。
 そういう意味で、自賠責のほうがいろいろな形で使っていただいている中を、ユーザーの方に知っていただくにはどうしたらいいかということで、チラシの配布とか、あと車の免許を取ったときとか、あと、車を購入したときに、自動車メーカーさんと連携してできないのですかというお話をしている中で、今回、2月からやっていただけるということを決めていただいて、こういうことを知っていただくことによって、皆さんが自賠責をどのように使われていて、ちゃんと被害者とか安全対策とか考えているんだということを知っていただけることが、今から子供たちも、若い子たちが今、車を購入するということがとても少なくなっている世の中になっていて、私は山口に住んでいるんですけど、山口にいる子供たちでさえ、今は軽自動車を買ったりとか、そうですね、私はもう二十数年前ですけど、30年かな。私たちの若い頃というのは、軽自動車というのはほとんどなくて、どんな車を買おうかというのだったんですけど、そういうふうに子供たちが車に興味を持っていない。興味を持っていない中で、また、いろいろなこういう事故が起きてしまうということがあったりするので、いろいろな方たちに理解を深めていただいて、また、理解をしていただきながら、うまく運用していただければと思っております。
 話が長くなりました。よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 ありがとうございました。御意見と合わせて、幾つか御要望もいただいたと思うのですが、国土交通省から、もし何かありましたら御返答いただければと思います。

【出口参事官】
 国土交通省でございます。貴重な御意見ありがとうございます。
 いただいた中で、ヤングケアラーの話、ありがとうございます。御紹介させていただいた被害者ノートを作成する際にも、ヤングケアラーについても何らかの工夫ができないかということで、僅かではあるんですが工夫はしております。ただ、いただいた貴重な御意見を踏まえて、また、今後、様々検討させていただければと思います。貴重な御意見、今後の検討に活かさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 よろしいでしょうか。

【京井委員】
 ありがとうございます。被害者ノートのほうも、何年か後に見直しをしながら、また新しくしていただければと思います。ありがとうございました。

【藤田会長】
 それでは、続きまして、損保協会のほうから発言をお願いいたします。

【中嶋委員】
 損保協会、中嶋でございます。大変貴重な御意見ありがとうございました。まさに当事者の団体様からの御意見、大変貴重でございますので、いただいた御意見、参考にさせていただいて、今後の拠出事業の検討の際に参考させていただきたいと思います。
 いただいたコメントの中で、まず、ヤングケアラーへの支援については非常に必要だと思います。ヤングケアラーへの支援として、交通遺児等育成基金や交通遺児育英会に資金援助していることもありますので、そちらのほうでケアをさせていただきたいと思います。また、御遺族様からの相談についてですが、御遺族様との相談に対しては、適切な相談窓口を紹介したり、行政機関とのつなぐことのできるコーディネーターの存在を、確かに必要かと考えますので、人材育成という観点からも、遺族支援の在り方を考えてまいりたいと思います。御遺族の方も、就労に関わる現状についても目を向けまして、交通事故被害者の方々の就労支援の在り方も同時に考えてまいりたいと思います。御意見ありがとうございました。
 以上です。

【京井委員】
 どうもありがとうございました。

【藤田会長】
 ありがとうございました。続きまして、加藤委員、お願いいたします。

【加藤委員】
 日本自動車会議所の加藤です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 実は、今朝のNHKの「おはよう日本」で、この賦課金の話で、具体的な額の方向性が出ました。それを受けて、共同通信も追っかけて記事にしているようです。それを受けた反応を、SNSのほうで一部炎上しているようでして、実際に載っている例がここにあるんですけども、ある自動車雑誌、月刊誌のツイッターを見ると、本日、夕刻の自賠責保険審議会で保険料値下げを決め、月曜日に賦課金上げを決める。トータルでは保険料は下がりましたと言って、自賠責保険加入者の抵抗感を削ぐ作戦ですと。こういう非常に辛辣な書き込みがなされております。
 せっかく自動車賠責保険の制度というのは、自動車ユーザーのみならず、自動車を使わない交通弱者を含めた、交通参加者にとっても非常に安心して自由に移動できるために必要な、不可欠な制度であると思います。そういった意味では、必要不可欠な自賠責の保険制度をずっと永続的にも維持するためにも、ここは前からもお話ししているとおり、自動車ユーザーの理解が得られるように説明をしっかりやっていただくとともに、抜かれているというか、安易なリークといいますか、こういうことのないようにしていただきたいと思います。
 特に、例えば民間企業であれば、社長人事だとかある会社を買収するなんていうのが漏れますと、必ずプレスリリースで、本日のマスコミの報道については、当社から発信したものでございませんということを必ず言っていると思うんですけども、改めて国土交通省なりの側から、しっかりとこの内容について説明をすれば、国民の納得というか、ユーザーを含めた納得性はあると思うんですけども、その辺、こういった形で一方的にリークされて何もしないでいくと、結局こうやって曲解されていくというところが非常に心配です。
 先ほどから申し上げているとおり、自賠責保険の持続性というのを担保するためにも、何回も申し上げているとおり、ユーザーへの丁寧な説明、それから、マスコミを含めてしっかりと説明責任を果たすということが重要になってくると思いますので、それについて1つ意見として言わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。

【藤田会長】
 御意見どうもありがとうございました。国交省から何か御返答、あるいはご御意見ございますでしょうか。

【出口参事官】
 国土交通省でございます。報道が出ていることに関して、お騒がせしておりまして、申し訳ございません。賦課金自体につきましては、先ほど16日の国土交通省における検討会で御報告させていただいた上で、最終的に決定するということにしてございます。
 こちらのほう、どういった経緯で情報が漏れたかとか、そういうことについては、こちらのほうとしても非常に遺憾ではございますが、あくまで16日の検討会で御報告した上で、国土交通省としては、決定させていただくこととしてございます。
 その上で、広報につきましては、当省のほうの検討会におきましても、きちっとしたユーザーの方々への御理解をいただくために、広報を引き続きしっかりと取り組んでいくべきという御意見は、かねがねより頂戴しているところでございますし、御紹介させていただいた国会の附帯決議においても、ユーザーの方の御理解をいただくために発信を、ということはいただいているところでございますので、先ほどその一端を御紹介させていただいたところではございますが、準備中のものも含めまして、しっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【藤田会長】
 加藤委員、よろしいでしょうか。

【加藤委員】
 どうもありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 それでは、続けて、桑山委員、お願いいたします。

【桑山委員】
 全国遷延性意識障害家族の会の桑山です。国土交通省には、本当に様々な施策をしていただいて日頃から感謝しております。
 様々な施策をしていただいていますが、非常に障害の重い者にとっては、施策がありながらもなかなかグループホームが増えていないという残念な現実がありまして、今後、またほかの団体と一緒に、実際に実効性のあるような施策になるようにしっかりと検証していきたいと、そんなことを考えていました。
 以上です。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。国土交通省から何か御返答ございますでしょうか。

【出口参事官】
 国土交通省でございます。御意見ありがとうございます。
 グループホームにつきましては、いろいろな施策に取り組んでいるところでございます。引き続き、執行状況とその効果検証について、しっかりと行っていき、また、桑山さんをはじめとする皆々様の御意見を頂戴しながら、できるだけ実効性を上げていくべく今後も努力してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

【藤田会長】
 それでは、損保協会からさらに御発言ございますでしょうか。

【中嶋委員】
 御意見ありがとうございます。貴重な御意見と受け止めまして、重要なポイントだと思いますので、今後の拠出事業の検討の際に参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。そのほか、どなたでも御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、委員の皆様から御意見は一通りお伺いできたかと思いますので、議論はこの辺りまでにさせていただきたいと思います。
 次に、自賠責保険審議会の運営について、御意見、御議論いただきたいと思います。金融庁の三浦保険課長から、まず、御説明お願いいたします。

【三浦課長】
 金融庁保険課長の三浦でございます。今、投映されている資料に基づきまして、説明をさせていただきます。
 これまで基準料率の改定を行う際には、料率決定の必要性に関する審議を行った後、具体的な料率改定、内容について審議する2回目の自賠審を同じ年度内に遅滞なく開催するというような方式を取ってきたところでございます。まさに今、今年やっているスタイルでございます。
 我々、事務局といたしましては、来年度以降の自賠審の運営については、業務効率化や働き方改革の推進等々の観点から、基準料率改定の際には、2回開催していた審議会を原則1回にまとめて開催してはどうかと考えております。具体的には、議事の中身は変更することはございません。料率検証結果を踏まえた料率改定要否に関して、まず、本日同様御議論をいただきます。議論の結果、料率改定が必要だというようなことになれば、改定案について、同日の同じ審議会の中で御議論いただいてはどうかと考えているところでございます。
 なお、料率改定がない年につきましては、従来どおり、料率検証結果の報告の場として審議会を1回開催するということを考えているところです。これらの案については、全て議論の質を落とさないということが全ての大前提となってございます。
 したがって、例えば議題が多い場合や議論に非常に時間がかかることが想定される場合などについては、原則1回というようなところにこだわらず、審議会を同じ年度内に複数回開催するなど、柔軟な運営を心がけていきたいというようなことを考えてございます。このように、我々事務局といたしましては、基準料率を改定する場合でも、自賠責保険審議会を原則年に1回開催する、繰り返し申し上げますけども、議論の質は落とさないという形で、原則年に1回開催するという方向に変更することを考えております。
 説明は以上になります。

【藤田会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関し、御意見、あるいは御質問ございましたらお願いいたします。特に御意見等はございませんでしょうか。オンラインの場合は、各委員の表情が読めないので、少し困るんですけれども、チャットに発言希望がないということは特に異論がないと理解してよろしいでしょうか。
 もし、特に御異論がないようでしたら、令和5年度以降の自賠責保険審議会の運営につきまして、事務局から御提案のありましたとおり、審議会の開催は原則年1回とする。これは保険料率の改定がある場合も含めて、原則年1回として、他方、事務局においては、審議会の開催時点での議題や、議題となり得る事案等を十分勘案した上で、審議会の開催回数や所要時間を柔軟に決定する。そのことを通じて、議論の質が落ちたりすることがないように留意すると。こういう形の運営に変更するということにさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。もし何か異論、あるいは御意見がございますようでしたら、チャットで発言がある旨、お知らせいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 特に御異議がなかったようですので、御了承いただいたということで、来年度以降の審議会については、ただいま決定したとおり、原則1回という形の運営にさせていただければと思います。
 これで、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。全体について、もし特段の御意見があれば、この際、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、御意見がないようでしたら、最後に事務局より連絡事項がございますので、よろしくお願いいたします。

【三浦課長】
 ありがとうございました。それでは、事務局より連絡事項ということで申し上げさせていただきます。
 次回の自賠審についてでございますが、スケジュール調整をしたところ、来週、1月20日、金曜日の15時からオンラインで開催させていただきたいと考えております。委員の皆様におかれましては、可能な限り、御出席賜りますよう何卒よろしく申し上げます。
 本日はありがとうございました。
 私からは以上です。

【藤田会長】
 ありがとうございました。
 それでは、これで本日の会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
以上

 

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金融庁監督局保険課

03-3506-6000(代表)(内線:2335、2657、2816)

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