第57回金融トラブル連絡調整協議会 議事録
1.日時:
令和元年6月26日(水曜日)15時00分~17時00分
2.場所:
中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室
○神作座長
皆様、本日はご多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、第57回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたします。
まず事務局より、人事異動等に伴う委員の交代に関しましてご紹介をお願いいたします。
○今西室長
事務局を務めます、金融庁金融トラブル解決制度推進室の今西でございます。よろしくお願いいたします。
委員就任の皆様をご紹介いたします。国民生活センターの影山様です。
○影山委員
影山でございます。
○今西室長
日本損害保険協会の森脇様です。
○森脇委員
森脇です。よろしくお願いいたします。
○今西室長
全国信用金庫協会の染川様です。
○染川委員
よろしくお願いします。
○今西室長
農林中央金庫の宇都宮様です。
○宇都宮委員
よろしくお願いいたします。
○今西室長
不動産証券化協会の深津様です。
○深津委員
よろしくお願いいたします。
○今西室長
厚生労働省の田中様です。
○田中(稔)委員
田中です。よろしくお願いいたします。
○今西室長
国土交通省の武藤様です。
○武藤委員
武藤です。よろしくお願いいたします。
○今西室長
なお、委員の交代はございませんが、総務省におかれては、代理の萩原様が出席されておられます。
○萩原委員
よろしくお願いいたします。
○今西室長
また、戸澤委員、諏訪委員、堀本委員は欠席でございます。ご紹介は以上でございます。
○神作座長
では、議事を進めたいと存じます。
本日は、まず平成30年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。また、本日の議題である「苦情・紛争の解決に向けた取組み(特に顧客の適合性、商品理解等を踏まえた対応)」につきまして、指定8機関よりご説明をお願いいたしたく存じます。これらの説明が終わったところで、一度ご質問、ご意見をいただきたいと思います。続いて、毎回ご報告を受けております、「『金融サービス利用者相談室』における相談等の受付状況等」、「『金融ADR連絡協議会』の概要」につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局からご説明をいただき、その後、ご質問、ご意見を頂戴したいと存じます。
それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。
○今西室長
ご説明いたします。
資料につきましては、1-1、1-2のそれぞれ1枚紙、及びホチキスどめの1-3となります。
指定紛争解決機関の平成30年度の業務実施状況でございますが、まず資料1-1「苦情処理手続実施状況」の表をご覧ください。表の左手タイトル、(1)「苦情処理手続件数」の、左から2番目の項目に、「当期の受付件数」及び「前年同期比」がございます。その一番下の欄で8機関合計をご覧いただきますと、7,378件を受け付けており、前年の29年度と比べて2%の増加となっております。前年比減少となった指定機関が多い中で、増加の要因といたしましては、上場投資証券の早期償還により損失が発生した事案に係る苦情がその大部分を占めており、その対応を担われましたFINMAC、証券・金融商品あっせん相談センターの欄をご覧いただきますと、91%の増加となっております。
1枚おめくりいただきまして、1-2「紛争解決手続実施状況」の表をご覧ください。先ほどと同じく左手、(1)「紛争解決手続件数」の一番下をご覧いただきますと、8機関合計で1,665件を受け付けておりまして、29年度と比べて53%の増加となっております。FINMACにおいて、先ほどご説明した投資証券の事案があり、492%の増加となっています。このほか、全銀協におかれましては証券業務関連での増加が見られたと聞いております。
続きまして、資料1-3の束に移っていただきます。表紙をめくっていただきまして、右下、ページ数の「1ページ」という表示があるグラフをご覧いただきますと、苦情処理受付件数の年度別推移を、指定機関ごとに色分けさせていただいております。先ほど申し上げた足元での状況がご確認いただけるかと思います。
紛争解決の受付件数につきましては、さらにめくっていただいて5ページでございます。同様の状況がご確認いただけるかと思います。なお、9ページ、一番最後のページでございますけれども、9ページでは、和解に至った件数の割合を指定機関別にお示ししております。FINMACにおかれましては、先ほど申し上げた事案に鋭意取り組まれてきていることにより、30年度の和解率は91%となってございます。
事務局からは以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございます。
続きまして、「苦情・紛争の解決に向けた取組み(特に顧客の適合性、商品理解等を踏まえた対応)」につきまして、各指定機関よりご説明をお願いしたいと存じます。
まず、冒頭、議題の趣旨等につきまして、事務局よりご説明をお願いいたします。
○今西室長
今回の議題でございます「苦情・紛争の解決に向けた取組み(特に顧客の適合性、商品理解等を踏まえた対応)」の趣旨につきまして、口頭になりますが、事務局よりご説明させていただきます。
苦情処理・紛争解決手続におきましては、金融機関が顧客に対して商品の説明を適切かつ十分に行ったか、指定ADR機関が確認していくこととなります。その際、形式的に説明を果たしたのかにとどまらず、そもそもその顧客にその商品を勧めることが適当であったのか、あるいは、説明の結果、顧客の理解度が十分であったか、実効性ある説明であったかといった点を含めて、顧客の適合性に十分配慮した営業であったか等の検討も求められるものと考えられます。金融機関が扱う商品は多様化しており、また顧客にもさまざまな背景を有する方々がおられます。こうした中、各指定機関ひいては各金融機関の対応が、なお向上していくことが期待されるところです。本日のご報告と意見交換を通じまして、まずは、ADR機関の間で、より望ましい手続の進め方・手法など、ベストプラクティスの共有を図ってまいりたいと考えております。
なお、顧客の適合性、商品理解等を踏まえた対応を工夫していく重要性につきましては、当協議会におきましてもこれまでも採り上げられているところでございます。
当時の委員のご発言を一部ご紹介いたしますと、例えば、金融機関と顧客の立場に開きが大きい場合でも、適合性原則、説明義務といった抽象的な規範について、ADRとしてどういうぐあいに運用していくかを示すというのは、実務的に大変貴重なこと。金融機関と顧客の双方がADRの和解案を尊重して、そこで出されたのであれば、まあ、というような信頼感が高まるように工夫・努力をお願いしたいといったご発言。
あるいは、適合性原則や説明義務が論点となる案件を和解に導くには、紛争解決委員の方で、できる限り実態把握を図ることが重要。顧客の取引歴、資産状況等を確認した上で、金融機関から客観的な資料の提供を得ることが非常に大事。こういったご指摘がございました。
こうしたところも踏まえまして、各指定機関におかれましては、金融機関・業界の理解・啓蒙を図りながら、金融商品の傾向などその時々の状況や業界の特性も踏まえつつ、より良い仕組みの構築に向けて努力を重ねておられることと思いますが、今回、その現状や実効性を高めるための工夫、今後の課題等について、改めてご報告をお願いしたものです。
ご報告に際して皆様にご覧いただく資料をご紹介いたします。2種類ございます。
まず、お手元、A3判のものでございます。4機関ずつ2冊、右肩に2-1-1と2-1-2に編綴いたしております。ご議論に資するよう、左側の着眼点に答える形をとりつつ、各指定機関に記述いただいているものでございます。
次に、A4判で資料2-2、「事例案」と書かれているものがございます。こちらは、各指定機関で紛争解決等に当たられてきた具体的事案の中から、今回の参考となるものとしてそれぞれセレクトいただいたものです。各機関におかれましては、金融機関・業界へのフィードバック、顧客への周知等の観点から、紛争解決等に当たった事案の概要をそれぞれのホームページ等を通じて公表されてきておりまして、今回の事案例はそうしたものをベースにされておられるところでございます。
委員の皆様には、以上2種類の資料をあわせてご覧いただきつつ、各機関からのご報告をお聞きいただければと存じます。事務局からは以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。
それでは、各指定機関よりご説明をお願いいたしたく存じます。なお、恐縮でございますけれども、8機関あわせて40分程度でお願いしたいと存じますので、ポイントと思われるところに焦点を当てつつ、事案も踏まえてご説明いただければと存じます。
まずは全国銀行協会の西村委員からご説明をお願いいたします。
○西村委員
全銀協、西村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、資料2-1-1をご覧ください。左から2列目に全銀協の回答をまとめさせていただいてございます。まず、最初の1、適合性の観点からの事情聴取の工夫でございますけれども、全銀協あっせん委員会では、適合性の観点から事案を検討していくためには、事情聴取に先立っての準備が重要だと考えてございます。事情聴取に先立ちまして、あっせんの申立ての受理を決定した段階において、申立書や銀行からの答弁書では不明であった事項について、事前に相手方の銀行・申立人、双方に対しまして、照会事項を作成して回答いただくようご依頼をさせていただいてございます。その際、申立人に対しましては、保有金融資産や投資経験の有無、知識や職歴、投資の目的など、また、事業者に対しましては、適合性を確認した際の各種の書面ですとか折衝記録など、適合性の判断基礎となる情報を照会することとしており、その回答を委員間で共有してございます。
続きまして3番をご覧ください。3の、両者の主張が異なる場合の取扱いでございますけれども、全銀協はあっせん型のADRでございまして、厳密な事実認定を行うという手続は採用しておりません。事情聴取における当事者双方の主張等を踏まえた上で、業者側に金融の専門家としてより適切な対応の余地がなかったか、さまざまな観点から検討して互譲の余地を測るということにしてございます。4番にも書いてございますが、チェックシートの「理解した」という部分につきましては、チェック印欄にチェックがあることのみをもって理解したという判断は行っておらず、取引時に用いられた資料や銀行の説明の内容を伺いつつ、どういう説明を受けたのか、それを受けてどのような設問と理解したのか、改めて申立人に確認してございます。理解不十分と見られる場合につきましては、その原因として、設問の理解ができなかったのか、時間が十分であったのか、顧客が落ち着いて考えられる状況であったのかなど、記入に至るやりとりを確認・検証してございます。特に高齢者につきましては、取り繕い反応として相手方に同調して対応してしまうという傾向もございますし、若干、見えを張ってしまうということもございますので、銀行に対しましては、単なるイエス・ノーで答えられる質問だけではなく、顧客の理解度を図りつつ丁寧に説明したか等につきまして事情聴取で伺い、深度のある実態把握に努めてございます。
続きまして5番をご覧ください。申立人が適合性の観点を主張していない場合でも、それ以外の論点につきまして幅広に検討を行って、互譲の糸口を探る運用を行ってございます。申立人は、ともすれば、説明を聞いていないですとか、こんなに損をするとは思わなかったということのみを主張するケースが多いのですが、リスク性資産比率ですとか、お客様のニーズに合致していたのかという適合性の観点といったものにつきましては、お客様の申立ての中になくてもあっせん委員会で主張を補って審議を行うということにしてございます。特に高齢者の場合につきましては、近い将来に医療費や介護費用などに多額の費用がかかることも想定され、余裕資金といっても、本当にその意味を理解しているのか、定期性預金の書きかえに来訪したお客様に本当にマッチした商品を売ったのかということ等につきまして検証を行ってございます。
続きまして7番をご覧ください。主張の隔たりが大きい場合にどのように取り扱っているかということでございますが、あっせん委員会はそのことだけをもって不調とするのではなく、双方の主張を丁寧に聞き、適合性の問題や説明内容、アフターフォローなどの論点につきまして、金融の専門家として利用者から期待されるレベルに達していたのか、利用者目線から見て問題がなかったのかを検証して、柔軟な解決に向けた努力を行っているところでございます。
続きまして、10番をご覧いただけますでしょうか。和解に至らないケースでございます。こちらは、個別具体的な事実確認を要するが当該事実の確認が困難なケース、あるいは最大限、そうした、先ほど来申し上げております指摘事項を探す努力をしても、指摘事項が見つからない、指摘するほどの落ち度が見られないというような場合については、残念ながら和解に至らないというケースもあります。また、申立人の側につきましては、金額の水準ですとか割合の内容に関する不満に関する事例が多いと考えております。
最後に14番のところで、本協議会でのこれまでの議論を踏まえて取り組んできた点、改善した点について例示してくださいというご質問でございます。大きく分けて、業者へのフィードバックの充実と、消費者等への周知・啓蒙施策の拡充、あと他機関との意見交換会の実施という3点があるかと思いますけれども、特に、今まで申し上げてきたように、適合性の観点等につきましては、委員からの指摘、説明義務違反も含めまして、種々蓄積がされてございますので、あっせん委員からの指摘事項という形で冊子にしたものをまとめて、それを研修会の資料として銀行にフィードバックをして、業務改善を促しているという状況でございます。
続きまして、事例を幾つかご紹介させていただきたいと思います。資料2-2をご覧いただけますでしょうか。
資料2-2の1ページ目のところに、説明不十分で購入させられた投資信託の元本割れ相当額の損失補てん要求の事例を掲げました。こちらの申立人は、購入時には60歳、申立時には71歳の方でありまして、金融資産は3,000万円程度、投資金額500万円程度で、損失が大体150万円程度発生したという方でございます。知り合いの支店長就任祝いとして支店を往訪し、現金を持参して定期預金を作成しようとしたところ、損はさせない、ノルマがあるので協力してほしいというような言葉をかけられ、それを信用して、つき合いとして投資信託を購入したということで、これまで商品を購入したことはない、アフターフォローもなかったというような主張を行ってございます。あっせん委員会では、営業の都合による勧誘があったことについて、金融の専門家である銀行として適合性原則の検討を行っていないとも言え、説明方法やお客様の投資意向の確認、保有金融資産の確認について十分とは言えないということ、また少なくともアフターフォローの点については不備があるということで、あっせん案を提示し、和解に至りました。
続きまして2ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらは、説明不十分で購入させられた外貨建て変額個人年金保険の損失補てん要求に関するものでございます。申立人は購入時には65歳、申立時には66歳の方でありまして、元保険募集を職業とされておられた方で、ライフプランナーの資格もお持ちになっているという方でございます。過去に購入した生命保険商品が気に入ったので、同じような商品の購入を希望したと。それで銀行に行ったところ、その商品は取扱中止となり、同じような商品だと説明された他の商品を購入したが、元本保証と聞いていたのに元本割れをして、150万円程度の損失をこうむった、補てんしてほしいという不満の申立てでございます。あっせん委員会といたしましては、お客様にも思い込みがあり、説明をあまり真剣に聞いていなかったというような面が窺えたものの、保有金融資産の把握ですとか、リスク資産比率の検証が十分ではなかったということ、また、当該商品につきましては高リスクレベルに分類されており、適切な商品だったのか疑問が残るということを指摘し、和解に至ったという事例でございます。
続きまして、飛んで、最後に7ページをご覧いただけますでしょうか。不調事案を1事例、ご紹介申し上げます。これは、説明不十分で購入させられた投資信託の損失補てん要求でございます。購入時は4回に分けて購入してございますので、60歳から64歳で、申立時には65歳で申立てをされたという方でございます。高い分配金が受けられるという説明を受けて4回に分けて購入したものの、相場が悪くなったら直ちに連絡するよう約束していたとご主張されております。本件購入以前にも当該銀行でリスク資産の購入履歴はあるのですけども、目論見書は一切受け取っておらず、説明も聞いていないというようなご主張でございました。これに対し、相手方銀行の方からは、商品の販売について問題はなかったということ、運用状況については、悪くなったときに直ちに連絡するというような約束はしていないということ、またアフターフォローは継続的にしており、追加購入はそのアフターフォローの際に基準価額が下落していて、ナンピン買いのような形で購入希望があったと認識しており、元本割れをしているということについては十二分に認識があったはずだというようなご主張をされておりました。さらに申し上げますと、以前、同種の投資信託を当該銀行で購入しておりまして、通算すると利益が出ているというような主張もされているというものでございます。
あっせん委員会といたしましては、両者の主張に大きな隔たりがあり、事実確認が困難であるため、説明義務の観点から落ち度を指摘するのは困難と説明した上で、保有金融資産等に照らすとリスク資産比率が高率であるということを指摘しました。申立人としましては、このあっせん案の検討を踏まえまして、他のADR機関に、あっせん案を受諾した上でその残額について申立てをしたいというようなご意思、意向を示されたのですけれども、あっせん自体につきましては終局的な解決をするものでございますので、そのような取り運びはできない旨をご説明申し上げたところ、では、あっせんには応じないという意向が示され、残念ながら和解に至らなかったものでございます。
私からの説明は以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。続きまして、信託協会の高桑委員、お願いいたします。
○高桑委員
それでは信託協会でございます。
まず、本日のテーマが、あっせん委員会の運営にかかわるということです。まず、当協会のあっせん委員会について簡単にご説明させていただきたいと思います。あっせん委員は12名おりまして、この中から、弁護士2名を含む四、五名程度であっせん委員会を開いております。私どもが平成22年10月に指定紛争解決機関になって以降では、16件、案件がございまして、このうち和解が8件、打切り3件、取下げ2件、不受理3件、個人14件、法人2件といったところでございます。この不受理案件を除きました個人の申立案件では、実績配当型の金銭信託に係る、いわゆるリスク性商品に関してが2件、委託者が運用を特定するような特定金銭信託が3件、相続関連で4件、その他2件といったものとなっております。
信託業法では、リスク性商品にかかわるものを特定信託契約というふうに、金融商品取引法の12条ということでありますので、これは、リスク性商品に関してはまさにそのとおり、適合性の原則ということが当たるわけなのですけれども、特定信託契約ではない信託契約にあっても、商品理解を踏まえた対応という観点では、顧客説明を十分に行っているかどうかということを観点に見ておりまして、これは信託業法でも所有権が委託者から受託者に移りますので、委託者の知識・経験・財産の状況及び信託契約目的に照らして、適切に信託引受けを行っているかどうかといった形で業務運営を行うとなっておりますので、顧客説明に関しては我々もその観点で見ているということで、またさらに、教育資金贈与信託のようなものは、単に委託者だけでなく、贈与型であれば受益者にも説明もしているのかどうかという観点も踏まえて、我々の方では見ておるというところでございます。
本日の報告におきまして、適合性の観点という、ジャストフィットする案件は多くないものですから、16件ということで、回答は全件を踏まえた形となっております。こちらの資料2-1-1を見ていただきますと、私ども、まず最初の1番の質問に関しましては、数が少なくて申し訳ないのですが、個別具体的には申し上げられませんが、経緯を丁寧に聴取しているということに尽きるかなと思っております。また、申立人の多くが一般個人でありますので、話しやすい環境・雰囲気づくりに配慮しながら、いろいろな角度から質問させていただいているというのが、これまでの議事概要等、議事録を踏まえましても、感じられるところでございます。その際に、必要な情報を聞き出すなどの工夫を、委員間の相互連携といいますか、質問の間の中で把握されているのかなとは感じております。
また、あっせん委員会、今ここに、なお書きを書きましたのが、私どもの規定上のものでございます。先ほど申し上げましたように、12名の中から5名選んでおるところでございますけれども、弁護士委員も含めまして女性もいらっしゃいまして、必ず女性委員が入っているということを、付言といいますか、そういうことで、少し、女性の方が申立人になっても、しゃべりやすいのかなというふうに思っております。
次の2番目に関しましては、業者から協力を得られなかったことはないということで、あえて言えば、当該業者の担当者が退職して確認できない場合におきましても、業者の方で和解に向けた調整を行っていただいたという件もありました。
それから3番におきましては、最初の方では丁寧に事情聴取を行っているところでございますけれども、また両者の主張が異なる場合、どちらの主張が正しいのかということでございますけれども、あっせん委員会ではどちらの主張が正しいかを決める場ということではないので、私どももそうしたアプローチはとっておらないということでございます。また、申出人の商品理解については、再三申し上げますが、事情聴取の中で把握に努めているということでございます。
それから、5番は事例がないのですけれども、7番では、主張の隔たりが大きいとき、どのように対応していますかということで、具体的な5番としての適合性原則の事例はありませんが、他の事例も含めてお答えいたしますと、双方の主張の隔たりが大きいときには、できるだけ双方、歩み寄りをできるような努力を行っているということでございます。
また、8番でございますけれども、担当者がトラブル発生時と異なる場合でもできるだけ出席を求めますけれども、出席がかなわない場合には、出席者からヒアリングするように要請するというところでございます。
それから、11番では、過去において当事者双方の主張の隔たりが大きいなど、あっせんの成立の見込みがないと判断した場合には、あっせんを打ち切った例はありますが、業者があっせん案を正当な理由なく受諾しない事例はないということでございます。
それから13番は、何かサポートの工夫というところでございますが、例えばあっせんの申立書を十分に記載できていないと苦情者が懸念するわけでございますけれども、まずは書類送付してもらい、記載内容を確認し、事務局で本人に連絡し、できるだけ補完して、次のステップ、これは適格性の審査でございます。そこに進めるということになります。また、適格性の審査段階においても、資料不十分であっても、あっせん委員会を開いて、申立人から必要な書類を求めるなどの対応を行ったこともございますし、また、申立人本人が何らかの理由であっせん委員会に出席できなかった場合があるわけですけれども、この場合は配偶者の方に出ていただいて、あっせん委員会を行うなどの、申出人に寄り添った対応も行った事例もあるということでございます。
それから最後は14番ですけれども、このテーマにおいてはなかなか改善ということではないのですけれども、相談所の体制であるとかホームページ、あるいは業者への各種情報還元などにおきましては、これまでの各団体との意見交換会、この場でのご意見なども踏まえまして対応しているところでございます。今後についてということでございますけれども、本日の議論などを踏まえまして、あっせん委員との意見交換会の場を設けて、皆さんとともに情報共有を図っていきたいなと思っております。
信託協会は以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。続きまして、生命保険協会の高橋委員、よろしくお願いいたします。
○高橋委員
まず、1つ目でございます。適合性の観点を踏まえた検討ということでございますが、1番に記載してございますとおり、適合性など契約時の問題が争点となる事案につきましては、事前に契約関係資料、これがない場合には、業者に再現版ですとか、あるいはひな形の提供を求めるなどした上で、事情聴取におきまして、申立人にはできるだけ当時の状況を思い出していただきながら、説明内容ですとか、申立人が理解した内容について、実際に一連の過程を確認しながら丁寧に事情聴取を行うということで、場合によってはその募集場面を再現していただくということもしてございます。特に、市場リスクを有する商品の場合は、契約者の理解力や保険加入の目的・必要性などに加えまして、他の金融商品の取引経験ですとか財産の状況なども踏まえ、総合的に判断しているということでございます。
今後の対応のところにも記載させていただいてございますが、募集時の状況ですとか適合性を判断する上で、事情を丁寧に聴取していくというほかに、業者及び申立人に対しましては、金融資産の状況ですとかリスク性資産等の過去の取引状況等につきましての客観的な証拠の提出についても協力を求めていきたいと考えているところでございます。
次に、2ページをご覧ください。3番の、どのような説明を行ったかの検証でございますが、ただいまご説明申し上げましたとおり、契約に係る一連の過程を確認することとしてございまして、実際の説明内容及び意向確認書などにチェックをつけたときの手順ですとか方法などについても把握した上で、その評価を行ってございます。その判断を行うに当たりまして、チェック印があることのみをもって理解・不理解のいずれかの前提を置くことはせずに、両当事者の主張、証拠書類、事情聴取その他を総合的に斟酌した上で判断してございます。
4番にもあわせて記載してございますが、理解度が不十分であったと思われる場合には、今申し上げましたとおり、チェックをつけたときの手順等を確認するほかに、業者からの説明内容ですとか、申立人と業者とのやりとりなどを含め、募集の状況を確認した上で、業者側に不適切な対応が認められれば、それを理由に和解提案を行っていくということをしてございます。※印を付けてございますが、近年の契約でありますと、通常はチェック印がつけられてございます。紛争解決手続における契約無効請求、要は募集時の問題を扱った事案におきましては、123件中59件において和解提案を行っているということで、チェックがあるだけで判断はしていないということでございます。
続きまして5番目の部分になりますが、適合性の観点を主張していない申立てであっても、その観点からの検討をどのように行うかということでございます。私どもの紛争解決手続を行っていますのは裁定審査会という組織でございますが、裁定審査会では、ADRの趣旨を踏まえ、より柔軟な解決の糸口となる個別事情、ここでは当該商品を提案したことの合理的な理由の有無ですとか、保険会社の不適切な対応などの把握に努め、それらを反映・考慮した積極的な和解提案を行うこととしてございます。したがって、当事者の主張のみならず、事情聴取などを通じて把握した周辺事情も考慮した上で、当該紛争の解決を模索するということでございます。
私どもですと、苦情前置主義をとってございまして、苦情処理手続の中でも十分解決できなかったという事案が紛争解決手続に移行してまいります。そういう意味では、申立人は自己の主張について、十分な法的整理も含めた争点化がなかなかできないということもございますので、紛争解決委員の方で多くのことを拾い上げて争点化した上で解決につなげていくということを基本的な考え方としているものでございます。
続きまして6番の、当該商品がふさわしいものであったか、どのように考慮しているかといった点でございますが、こちらにつきましても、保障内容ですとか保険期間などの契約内容などが、加入目的、契約時の年齢、保有している資産及び家族構成などの観点を踏まえて、顧客にとってふさわしいものだったのかを考慮しているということでございます。
7番になりますが、両者の主張の隔たりが大きい場合の対応ということでございます。これは私どもの特徴でございますが、裁定型という手続をとってございます。双方の主張の隔たりが大きい場合でも、これまでご説明してまいりましたとおりの審理スタンスに基づきまして審理を行い、裁定審査会として妥当と思われる当該紛争の解決策を判断し、当事者に示すという対応をしてございます。
次に9番になりますが、約款や契約の内容が争点となる場合、どのように対応しているかということですが、保険金・給付金をめぐる紛争につきましては、多くはやはり約款規定に関する事案となってございます。このような事案につきましても、事案にもよるのですが、契約時の説明内容が争点となった場合には、募集時の状況について、当時の募集人に対する事情聴取などを行いまして、経緯、使用した資料、説明内容などを確認していくということをしてございます。
次に11番になりますが、金融機関側において和解に応じない場合、その要因は何かということですが、裁定審査会におきましては、最終的には特別調停案の提示を行ってございまして、原則として業者側による不受諾というのはないというのが現状でございます。近年、特別調停案によらないあっせん和解ということに取り組んでございまして、事案によってさまざまではあるものの、契約者間の公平性の観点から、個別解決としても応じられないというものですとか、和解金額が損失額や類似事案に照らして高額だといった主張が見られるというところでございます。
次に、一番最後、14番になります。これまでの議論を踏まえて取り組んできた点になりますが、ここでのご議論で頂戴したご意見、あるいは申立人の利用者アンケート及び裁定諮問委員会、これは第三者機関になりますが、こちらの指摘を踏まえまして、審理期間を中心に審査会の審理手続について検証し、裁定諮問委員会に報告を行いました。その結果、特段の問題の指摘はなかったということでございますが、その中で、冒頭、事務局からもお話がありました、納得感という観点も踏まえまして、短い時間での対応も必要かもしれないが、申出人の言い分に耳を傾けるプロセスは大切である、言いたいことに耳を傾けてもらうということであれば、多少、時間がかかろうとも最終的な満足度はそれなりにあるなどの意見があったことから、実際に紛争解決を行う裁定審査会においても改めて、今ご説明してまいりました事情聴取の意義等について確認したというプロセスをとってございます。以上が、資料2-1-1に関するものでございます。
少し事案をご紹介させていただきたいと思います。資料2-2の11ページになります。事案を4つご用意しているのですが、時間の関係で2つほどご紹介させていただきます。
まず、事案1ということで、11ページになります。こちらは募集人の説明不十分などを理由に、契約の取消し及び一時払保険料の返還を求めて申立てのあったものでございます。主張はそちらに記載してございますが、外貨建個人年金保険について、申立人の主張としましては、豪ドルで年金原資の130%が保証される内容であったにもかかわらず、日本円で130%保証されると誤信したという内容でございます。また、募集に際しましては、高齢で難聴のある者に対する配慮が欠けていたなどの主張がなされたというものでございます。
ちょっと飛びますが、「裁定の概要」の2番、「裁定結果」というところをご覧ください。今ご説明しましたような審理をしました結果、募集人の説明などに問題があったことや申立人に対する配慮不足は認められないことから、申立人の主張される契約の取消し及び一時払保険料の変更は認められないという結論となってございます。ただ、その下にも書いてございますとおり、以下の理由によって和解を勧告したという内容でございます。理由といたしましては、保険料には申立人が保有していた金融資産の大半が充てられており、そのことは募集人も理解していた。しかし、申立人の年齢、収入、生活状況、本契約は返戻金が元本割れの危険のある金融商品であることなどを踏まえると、ある程度の金融資産は申立人の将来のために保全しておく必要が認められる。この点、適合性確認書兼意向確認書では、日常生活資金を確保するための収入あるいは金融資産等を別途十分に確保しているかとの質問事項に対し「はい」と回答されていたのですが、この回答は募集人が記載しており、申立人の認識が反映されているものか疑問が残ったということでございます。申立人の意向・認識が反映されていたとしても、適合性の原則の趣旨を踏まえると、大半の金融資産を保険料に充てる募集は不適切であったと言わざるを得ないということで、和解を提案したものでございます。
また、2つ目の事案につきましても、契約内容について誤信していたという事案でございまして、こちらは、積立利率金利連動型年金保険、これも米ドル建てのものでございますが、「申立人の主張」の(1)に記載してございますとおり、マンションのラウンジでの提案を突然されたといった内容でございます。こちらにつきましても「裁定の概要」に記載してございますが、2番のところで、上記手続の結果、申立人が契約内容を誤信していたとしても、申立人には重大な過失があるため、契約の取消しを認めることはできないが、以下を理由に和解を提案しているものでございまして、その次のページ、13ページになりますが、募集人は、当時の募集代理店における高齢者ルールに従って、上司の同席のもと商品内容の説明を行ったが、短時間で契約内容の説明から申込手続まで済ませるということからすると、契約を急ぎ過ぎた感があり、高齢者に商品内容を十分理解させ、自由で冷静な判断のもとに申し込ませるという高齢者ルールの趣旨が尽くされていないなどの理由から、和解を提案したというものでございます。
残り2つ、事案がございますが、説明は割愛させていただきます。以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。続きまして、日本損害保険協会の森脇委員、お願いいたします。
○森脇委員
日本損害保険協会の森脇でございます。よろしくお願いいたします。
資料2-1-1の一番右側が損保協会の説明でございますので、こちらをご覧いただきたいと思います。まず、1ページ目の下の部分、2の部分ですけれども、金融機関から事情を聞く際の積極的な協力を得るための工夫といたしましては、保険会社側の意見聴取におきまして、保険募集人など関係の深い当事者の出席を要請しております。
次に、ページをめくっていただきまして、2ページの上の部分、3でございますけれども、顧客に分かるように説明が行われたかの判断及び主張が異なる場合の対応でございますけれども、申立人・保険会社双方から提出されました書面による主張及びヒアリングによりまして確認できた事案をもとに判断しているということでございます。保険会社から意向確認書面が資料として提出された場合であっても、チェック印があるという事実のみで判断するのではなく、申立人が署名等をした記憶があるかなどについて、ヒアリングで丁寧に確認を行っております。
また、3ページをご覧いただきたいのですけれども、中ほど、7.顧客と金融機関との主張に隔たりが大きい場合でございますけれども、この場合でも、双方からの主張の中で妥協点がないかということを検討いたしまして、和解の可能性について打診するよう対応を行っているというところでございます。
続きまして、ページをめくっていただきまして5ページになりますが、下の13番をご覧いただきたいと思います。苦情段階で次のステップを諦めてしまわないためのサポートといたしましては、苦情解決手続の開始直後に、紛争解決手続によります解決方法があるということをご案内するとともに、苦情解決手続後一定期間を経過しても解決に至っていないような場合には、紛争解決手続の詳細についてご案内しております。
次に、資料2-2をご覧いただきたいと思います。こちらの事例でございますけれども、17ページから20ページに事案例を掲載しております。事案内容といたしましては、契約時にニーズが十分に確認できていなかった事案、契約時に十分な説明を受けていないという主張が行われた事案、意向が十分に反映されていなかったとの主張が行われた事案、保険会社の説明と申立人の理解に乖離があった事案ということで掲載させていただきました。
私からのご説明は以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。続きまして、保険オンブズマンの小野委員、よろしくお願いいたします。
○小野委員
保険オンブズマンの小野でございます。
まず、私ども保険オンブズマンは、いわゆる事業者といたしましては、当局から事業免許を受けました、いわゆる外資系の損害保険会社、加えまして、これも保険業法による登録を経ています保険仲立人、この方々を事業者として扱って、あるいは受け付けております。
本日のテーマであります2点につきましては、詳しくは、ご覧の資料2-1-2、これで言いますと左から2番目、最初の項に保険オンブズマンがございますので、ここで詳細かつ詳しく私どもの取組みなり考え方を記させていただきます。ただ、時間の関係がございますので、この場では要約してお話し申し上げたいと思っています。
まず、適合性の原則についてなのでございますけれども、結果といたしましては、私どものところに、相談、苦情あるいは紛争解決ということで持ち込まれる申立人のケースは非常に少のうございます。ほとんどないと言ってもいいぐらいでございます。これはおそらく背景が2つございまして、今申し上げましたように、私どもが関係する事業者としましては、いわゆる外資系の損害保険会社でございますので、各社はいわゆる投資性もしくはリスク性商品というのをほとんど扱っていない、売っていないということもあると思います。それに加えまして、そもそも現時点におきましては、お客様、ご契約者とのご契約時あるいは募集時には、募集人によりもしくは保険会社により、いろいろな形でご意向なり、その方のご意思を確認するシステムなりプロセスになっておりますので、この段階で、ある程度、そのご契約者の方にはご理解なりご納得をいただいていることも、要因のひとつあるいは背景ではなかろうかとは思っております。
さはさりながら、いわゆる商品の理解ということで言いますと、私どもが扱うケースとしては、そこが争いになるところもございますので、私どもの方針といたしましては、オリジナルの書類、これは事業者側に依頼したりすることが多いわけでございますけれども、オリジナルの書類もしくは録音テープ等に当たりながら、その事実関係を確認しながら丁寧にフォローしていくという方針をとっております。これはもちろん、後日のお互いの争いなり誤解を防ぐためでもありますけれども、申立人の方のご理解を深める意味でもこういうプロセスを経ております。
加えまして、適合性の原則よりは商品の理解ということで言いますと、私どものケースで言いますと、いわゆる高齢者の方の、保険種目で言いますと傷害保険あるいは医療保険につきまして、後日その契約時における、あるいは契約継続時におけるご契約者の方のご理解が十分でなかったかもしれないというケースもありますので、その際は当然、もう一度そこに立ち戻りまして、申立人のご意思を私どもの方から項目ごとに確認いたしまして、丁寧にフォローいたしまして、申立人の方が何を望んでおられるのか等も確認しながら事を進めていく、私どもの手続を進めていくようにいたしております。そういう意味では、私ども、システムとして問題を防御できるように組んでおりますので、今後もその体制を整えたいと思っております。
以上です。
○神作座長
どうもありがとうございました。続きまして、日本少額短期保険協会の小泉委員、よろしくお願いいたします。
○小泉委員
少額短期保険協会の小泉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題でございます、顧客の適合性、それから商品理解ということでございますが、私どもの保険相談室で常日ごろ思っていることというのは、この保険が本当に顧客にとって必要な保険・保障(補償)であったのか。そして、どういうやりとりの中でどういう理解がなされていくのかといったことを解き明かしていくことということを考えてございます。そういった観点に立ったときに、2-1-2の資料の1番目のところでございますが、苦情の場合、申出人からの苦情内容はできるだけ丁寧に聴取する。基本的に本人が話し切るまで遮ることはしない。その上で補足点を尋ね、申し出事項のポイントを整理して本人に確認を求めるということの中で、丁寧な形で、ご本人の理解のプロセスも含めてしっかりと理解しようと考えてございます。申出人の中には、いろいろと話が途中で紆余曲折して脱線する場合もあるわけですけれども、その脱線した話の中に、案外、本人の理解のきっかけになったような事象も含まれているケースもございますので、その辺は丁寧に聞くことがまず大事だと。そして、それをポイントとして確認をしていくということがまずは大事なことだという具合に理解してございます。
そして、2ページ目のところに入りまして、3のところで、顧客に分かるように業者説明を行ったのかなどという話のところにつきましては、自分の主張点と相手の回答というのが、お互いがどのように理解しているのか。双方から聴取した内容で、すり合わせがきっちりして一致しているか一致していないのか。やはりこの辺をポイントにして対応しているというところでございます。
それから、下の方の5番目ですが、申立人から提出された資料について、申立てに至った原因・背景を申立人から詳細にヒアリングして中身を確認しているということでございますが、3ページ目に入りまして、6のところで申し上げてございます、顧客にとってふさわしい金融商品であったのかなどという話ですが、私どもは、先ほどオンブズマン様が仰ったのと似ておりまして、実は少額短期というのは極めて補償(保障)額も少なく、そして期間は一、二年という短期保険でございます。したがいまして、月額の保険料で言えば、数百円から最大でも2,000円ぐらいまでというような商品でございますので、そういった観点に入りますと、貯蓄商品があるわけでもございません。それから年金資産があるわけでもございませんので、あくまで掛け捨て保険のみということの概念からいったときには、いわゆる金融商品的なものからは一番遠いところにあるのかなとは思ってございます。ただ、そうは言いつつも、先ほど一番冒頭に申し上げたとおり、不要な補償額ではなかったのか。その辺については、しっかりと確認をさせていただいているというのが今の現状でございます。
今回の主たるテーマについてのご説明は以上でございます。
○神作座長
ありがとうございました。続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森委員、よろしくお願いいたします。
○三森委員
証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森と申します。よろしくお願いいたします。資料2-1-2でございます。右から2つ目の欄のところでございますが、着眼点に沿ってご説明をさせていただきます。
まず着眼点の1でございますが、紛争解決手続、私どもはあっせんと呼んでおりますけれども、あっせんでの事情聴取におきまして、あっせん委員が、顧客が取引をした当時の顧客の属性がどうであったか、また、その他の顧客の環境がどうであったかといったことを確認いたしまして、それを踏まえて商品や取引についての仕組みですとかリスクを、どの程度、顧客が理解していたのか。丁寧に事情聴取、お聞きしながら、その顧客の適合性についても検討して、和解に向けた話し合いが進むように努めております。
次のページに飛んでいただきます。着眼点の3番、4番のところでございますが、事業者と顧客との主張が異なることもございますが、事業者にはどのように顧客に対して説明をしたのか、その場合は内容だけではなくて説明の場所、例えば店頭なのか、顧客の自宅を訪問したのか、あるいは電話なのか。こういったことの周辺状況も含めて事情聴取を行いまして、一方で顧客には、実際にどういう説明を受けたのか、資料を受け取ったのか、あるいはそれをどのように理解していたのかといったことなどについて事情聴取をして、顧客の知識・経験に照らして適切な説明であったのかどうか、できる限り把握するということにしております。
4番にありますが、顧客が理解をしたというチェック印をつけた客観的な資料が、事業者から提示されることもございますが、それをすぐに、理解をしていた証拠だと決めつけるのではなく、チェックをした当時の顧客の認識・理解がどうであったのか。これをやはり丁寧に事情聴取を行って、事実関係、実態面の把握に努めております。その上で、和解に向けて双方の歩み寄りを引き出すようにしております。
5番に書きましたが、証券取引の紛争の中で、やはり相対的に勧誘に関する紛争が多いので、基本的に適合性の観点からの検討というのはほとんどのケースで行っているということでございます。したがいまして、ほとんどのケースで事業者からは、顧客の属性を記録した顧客カード、あるいは取引の内容を記録しました顧客勘定元帳というのを資料として提出してもらいまして、それらにつきましても顧客に確認しながらあっせんを行っております。
次の7番のところに飛んでいただきたいと思います。7番のところで、顧客と事業者との主張の隔たりが大きいときでございますけれども、やはり顧客・事業者の双方に対する丁寧な事情聴取を行うことが最も大事なことだと思っております。事業者には、顧客の属性に照らして当時の説明が十分であったかどうかといった点を、丁寧に聞き取りをしまして、その上で、何らかの不十分な点といったものがなかったかどうかというようなことを探りまして、その点を指摘し、歩み寄りができないか、譲れるところはないだろうかといったことで、和解に向けての合意形成に進むように努めております。
しかし、次の10番、11番になりますが、やはり顧客と事業者の主張が真っ向から対立して平行線のままというケースもございます。事業者としてもルールを遵守して必要十分な説明をしたということですと、結果としては和解に至らないものもございます。
次に、13番のところでございますけども、苦情段階で納得がいかないという顧客につきましては、紛争解決手続、あっせんがあるということはお伝えしております。それをお話しいたしますと、多くの顧客の場合は、当センターのあっせんの利用を検討されています。苦情段階でもそうですけれども、あっせんの手続でも丁寧なご案内を心がけております。
最後、14番のところでございます。本日のテーマに関しての制度的な改善という点ではございませんけれども、最近取り組んでいる事項を記載いたしました。私ども、FINMACにとって、やはり認知度が低いという点が重要な課題の一つと考えておりまして、ここ一、二年ぐらいの間で広報活動の見直しを行っております。その際には、「効率化」と書きましたが、やはりまず費用対効果の面ももちろん考慮するということもありますが、広告媒体の多様化にも取り組んでおります。そちらに記載しましたけれども、グーグルですとかヤフーのウエブサイトを活用したバナー広告ですとか、リスティング広告などを実施いたしました。今後も継続して、より多くの方々に当センターを知ってもらうための広報活動に取り組んでまいりたいと思っております。
続きまして、事案例に移りたいと思います。資料2-2でございますが、ページは25ページからでございます。6事例、そちらの方に提示させていただきましたが、時間の関係もございますので、3つほどご紹介したいと思います。
25ページのところからでございますが、商品は店頭FX取引での紛争でございます。申立人、顧客は、取引の仕組みについて理解できないまま担当者主導で売買を繰り返されて、損害をこうむったという主張でございます。これに対しまして、被申立人、事業者からは、顧客に十分に説明し、確認書を受け入れている、自己責任であるという主張でしたけれども、紛争解決委員、あっせん委員から適合性の観点での指摘がありまして、双方がお互いに譲歩した結果、和解したという事案でございます。
続きまして28ページに飛んでいただきたいと思います。28ページは外国債券での紛争であります。申立人は、商品内容を理解できないまま、強引な勧誘で外国債券を買ったが、結果としては損害をこうむったという主張でございます。これに対しまして事業者からは、為替相場ですとかリスクについて説明をしていて、勧誘時に不備はないという主張でございました。あっせん委員が事情聴取を双方に行いまして、和解の道を探る努力はいたしましたが、双方の主張が真っ向から対立したまま平行線で、お互い譲らずということで、結果としては不調打切りとなった事案でございます。
最後でございます。30ページでございます。商品は、先ほども事務局からお話がありましたが、上場していた投資証券ということで、VIXインバースETNでの紛争でございます。2018年度では、この商品のあっせん手続が大変多くございました。勧誘時の説明不足、それから適合性の観点から不適切な勧誘であったという主張が申立人からございまして、被申立人、事業者側も、この商品にありました早期償還条項の説明が欠けていた点を認めていまして、これも双方がお互いに譲歩した上で、結果として和解した事案でございます。
私からは以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。それでは最後に、日本貸金業協会の遠藤委員、よろしくお願いいたします。
○遠藤委員
日本貸金業協会の遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料の2-1-2、右端でございます。まず1番目でございますが、適合性ということでございますけれども、金銭の貸し借りということが、私ども貸金業協会でございますので、ほとんどこういった事案はございませんでした。ただし、やはり法律にしっかりと乗っているかどうかということと、申立人がしっかりそれを理解しているかどうか。それを確認する上で、時系列的に、いつ契約をされてどのような形で取引をされたかということを細かく丁寧に聴取するということを、気をつけているところでございます。
次に2番目でございます。積極的な協力を得ているというところでございますが、こちらもそうでございますが、やはり聞き取りについては、どのような形で契約をしたということが重要になってまいりますので、しっかりとその内容を確認するということと、やはり公平中立的な立場でそれを積極的に行っていく。相談員の感情が入らないようにするということに努めているということと、日々、月に1度でございますが、カウンセリング的な、やはり思いやりを持った形で相談を行う手法を、研修を行いながらスキルアップしているというところでございます。
次の3番でございます。2ページの3番でございます。分かるように説明を行ったかというところでございますが、貸金に関しましては、皆さんご存じのとおり、契約までに2回、説明を行うことになっております。まず契約前の説明として、16条書面ということで、契約書と同じ内容でございますが、説明をした上で確認をし、よろしいですかという確認をして、17条書面、本契約という形に入ってまいります。この2回確認をすることによって、そこで、誤解だとか自分の今取引をしようとする内容などについてしっかりと理解をしていただいて、ただし、そうでない場合、録音などについても確認をするということも行っております。本人が後から、少し違うと言うようなことがあるということもありますので、しっかりと相手方の内容を丁寧に確認する。事実を、判断をそこでおさめるという形にさせていただいております。
4番目、商品理解度を深めるためということで、チェックシートなどを証拠にして今まで事案で争うということはございませんでしたが、そればかりではなくて、やはり申立人、それから会社側の理解をしっかりと確認した上で、理解できていないものであれば他の資料などで、双方に極力、提出を求め、納得感のある和解案を進めるということをしているところでございます。適合性の観点を主張しないという形であれば、当事者双方へしっかりと聴取し、必ずこういうものが出されている、行われているということを確認した上で、次の資料等々の事実認定を行っているということでございまして、間違った方向にいかない形で進めさせていただく。
次のページ、3ページの黄色い部分でございますが、やはり紛争解決委員自体も、こういった内容について理解がない場合につきましては、意見交換など、勉強会などを行いながら検討し、しっかりと内容を確認しているというところでございます。
次、飛んでいただきまして、9番でございます。契約の内容が論点となる場合でございますが、今一番多いところでございます。クレジットカードの不正使用でございまして、キャッシングというところでございます。やはり、暗証番号の取引ということで、個人の暗証番号の責任義務がございます。この辺のところについて、やはり論点が異なる場合が出ているというところでございます。
そこで、10番と11番につながってまいります。拒否するケース、それから和解に応じないケースというものも、同じようにクレジットカードの不正使用のキャッシング。このキャッシングの暗証番号についてどのような形で管理していたかというようなところが争点になりまして、やはり拒否するという業者さんが出るということも実際にございます。例として、海外でカードを自ら渡していたり、それから昏睡状態で自分でわからなかった。そういうところで事故が起きた場合には、やはり拒否するケース、それから和解に応じないというケースが出ているというところでございます。
次に、14番、最後でございますが、今までの議論を踏まえて行っていることといいますと、やはり皆様の各団体の意見を踏まえまして、柔軟な対応で行うということ。それから、定期的に業者との意見交換を行いながら、この会議体などの内容も踏まえ、しっかりとこちらの進み具合を説明させていただいております。ADRについても、業者の方でもまだ理解していないところがございますので、しっかりと取組内容をフィードバックしながら理解を求めていく。また、高齢者の対応についても議論されているところでございますが、まだまだ私どもでも高齢者のどれだけの取引があるかというところを調査し始めたばかりでございますので、今後とも実態の調査に努め、生かしていきたいと考えているところでございます。
貸金業協会からは以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。
それでは、8機関からご説明をいただきました。ここから、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等を頂戴したいと存じます。どなたか、ご質問、ご意見、ございますでしょうか。それでは森下委員。
○森下委員
ありがとうございました。各機関、本当にいろいろ工夫されて取り組まれているということが大変よくわかって、勉強になりました。
大きく分けると2点かとは思うのですけれども、まず1点目、事実を決められるかどうか、あるいは決める必要があるかどうかというような点が、お話に上がっていたかと思います。裁判ではありませんので、事実を決める必要もないとは思いますし、あとは、そのための手続も用意されていないというのは分かるのですけれども、やはり事案の個性をできるだけ把握するということに向けた努力を重ねていくということは、とても重要なのかなと感じております。既に各機関でいろいろ工夫をされているというようなことは、伺っていてそう思いました。
その中で特に印象的なのが、やはり聞いてもらったということに対する満足度ということで、生保協会さんの資料の中にそのようなお話があったと思いますが、それは非常に重要なのではないのかなと思っております。あとは、双方の言い分が食い違うということはあるにしても、やはりいろいろな事情をよく積み重ねていくと、こうだったのではないのかなということが窺われるような事案もあると思うのです。そういった事案の解明に向けた努力というのは、やはり今後、同じような事案の発生を防いでいくという意味でも大変重要だと思いますので、いろいろ案件が重なってきて、そうするとどうしても類型的な処理に傾きがちなこともあるとは思うのですけれども、そういった、事実を決められないまでも、事実を解明するための努力というのは、ぜひ継続していっていただくのが望ましいのではないかと思っております。
そのとき、やはり重要なのは、事業者さんからの説明だと思うのです。個人の側が一々記録をとっておくというようなことはなかなかないと思いますので、そうすると、事業者さんがどれだけしっかりと説明できるかというようなことが重要であって、そのようなことは常日ごろ、ADR機関さんから事業者さんに、それが決め手になりますよ、それを重視しますよというようなことを求めていいのではないかと思っております。
それとの関連で、チェックシートのお話があって、これは大変興味深いポイントだと思ったのですけれども、チェックシートがあるのみでは判断はしないと。それは現状としては必要なのだと思いますけれども、では、そのチェックシートはあった方がいいのはそうなのですけれども、チェックシートが信用できないとか、事実と異なるチェックシートが作成されているというようなことを物語っているようにも思われまして、そうしますと、そこは、さらに事業者の方々が、正しい、望ましい勧誘あるいは販売を行っていく上で、チェックシートにただチェックするだけではなくて、どうしたらより実質的な記録をとれることになるのか、あるいは実質的なやりとりのプラスになるような、何というのですか、記録のとり方、記録の作成の仕方につながるのかというのを考えていただけるヒントが、そこにあるのではないのかなと思います。
2点目なのですが、説明義務というのはどちらかというと、事実認定が重要であり、言ったか言わないかの問題になると思うのですけれども、この商品はお客さんに合っていたのでしょうかという適合性の問題は、どちらかというと事実認定よりも、事後的に見ても、こんな人にこの商品を売るのはやっぱりひどいよねというような事案ですとか、あるいはお客さんがこんなニーズを持っていないだろうと。こんな商品を買うニーズがないのは、後でよく見たら、大体分かるのではないかというようなケースも少なくないとは思うのです。先ほどお話をお伺いして興味深いと思いましたのは、例えば110歳になるまでの年金を支払うような商品ですとか、あるいは例えばバランス型で投資をしたいというような投資意向を示されている方に、同一の通貨とリンクしたような商品、ある特定通貨のリスクのポジションをとってもらうとか、そういうのは、お客さんが特にそれでも欲しいというようなケースはあるかもしれませんけれども、よほど特別な投資意向なり特別なニーズをお持ちになられていない限り、そのような商品がお客さんに合うと業者の方が考えるというのは、なかなかないことだと思うのです。
そうすると、やはり今日のテーマですけれども、適合性原則というのは非常に重要な役割を果たすと思います。事実認定ができないというADR機関さんだったとしても、適合性原則という観点から紛争に切り込んでいくというようなことというのは、非常によくできるのかなとは思いますし、やはりそこで得られた知見を、こんな商品を売ってはいけないよねとか、あるいは事業者の方がもっと顧客のニーズをしっかりと確認する。説明した記録を残すというよりも、顧客のニーズをしっかりと確認したかということについての記録をしっかりととっていくというようなことに意識を向けていただけるような役割を、ADR機関さんにしていただけるといいのではないかと思います。今申し上げたような、顧客ニーズを把握したかという事実であれば、後で紛争になったときであったとしても、比較的確認が容易、言ったか言わないよりも、顧客のニーズをしっかりと確認したかということの記録を確認する方が容易だと思いますので、ちょっとお話をお伺いして、やはり適合性というようなものをADR機関さんの方でしっかりと確認、重視していっていただくということが、すごく大事なのではないかと思いました。
長くなって申し訳ありません。
○神作座長
貴重なご意見、ありがとうございました。ただいまの森下委員のご指摘につきまして、各ADR機関の方から何かご発言はございますでしょうか。それでは、西村委員、よろしくお願いします。
○西村委員
全銀協、西村でございます。どうも貴重なご意見をありがとうございました。
確かに適合性のところにつきましては、言うならば、あっせん委員会としては指摘をしやすい部分でもございまして、客観的な数字等を持って、ご説明を両方に求めていくというような観点から、合理的なあっせん案を模索していくということについて、今後も頑張っていきたいと思っております。特に、なぜその商品を売ったのかということについて事後的に説明できるような体制をとっておくということは、非常に示唆に富むご指摘だと思っておりますので、まさに適合性という観点からは、この商品が本当にこの人に必要なのか、先ほど生保協会さんからもありましたが、実際に支払う段になって、年金の受取終了期間がもう100歳を超えるというような事案ですとか、相続のためにやるんですよということを言っておられるのに相続税の非課税枠は既に使い切っているですとか、そのような事例は幾つもございますので、そういったところは、私どもはこういうことを指摘しますよということを研修会等で周知いたしまして、銀行にも注意していただくというようなことを進めていきたいと思っております。
あともう一点、チェックリストの件につきましても、私どもも、当然のことながら一旦はチェックしていただいているので、それが所与のものとしてはあるのですけれども、それを必ずしも全て善解するというものではなくて、チェックリストの、そもそも項目自体が分かりにくいようなケースというのも幾つもあるんです。例えば、中期的視野に立ったキャピタルゲイン重視というような項目があって、これが、高齢者に分かるんですかねというようなところ等、指摘をして、金融機関においてもそういった、チェックシートの項目、目的のところを見直すきっかけになるのではないかと。このようなPDCAを回していきたいと考えている次第でございます。以上です。
○神作座長
どうもありがとうございました。他の機関から何かご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、樋山委員、お願いいたします。
○樋山委員
まず1点、銀行協会さんにお伺いしたいのですが、和解の割合が、29年度と30年度で大分数字が変わってきているようで、数字だけにとらわれることがいいのかどうかということは別としまして、この原因がもしお分かりでしたら教えていただきたいということと、あともう一つは、先ほど生保協会さんと貸金業協会さんが、納得感という言葉をとても大切にされていることを伺いました。それで、裁判ではなくて柔軟に、お互いが話し合いで解決できるようにというのが、そもそものADRの趣旨でしたので、解決までに何週間かかったとか何カ月かかったというよりも、まずこの納得感を得ることがとても大切なことなので、この対応については高く評価できるのではないかなと思いました。
あともう一つは、FINMACさんにお伺いします。顧客カードを参考にして適合性などについて検討していくというお話だったのですけれども、その顧客カードというのは、いつごろ取りつけたものなのか。というのは、長い投資歴の方については、得てして顧客カードの取りつけが大分以前だったりする場合があると思います。それで、高齢者の場合は一度認知症が始まりますと、あっという間にどんどん進んでいくというケースもまま見受けられますので、そういったことからすると、顧客カードの取りつけの方法を、頻繁に行っていらっしゃる現実があるのかどうかについてお伺いしたいと思います。
○神作座長
どうもありがとうございました。ご質問が2つあったと思います。西村委員からお答えいただけますでしょうか。
○西村委員
ご質問ありがとうございます。和解率の低下というところで、私ども、ちょっと忸怩たる思いがあるのですけれども、今期は和解率が35%でございました。 29年度は51%というところで低下しているというご指摘かと存じます。私ども、平成22年からあっせんをやっているのですけれども、45~46%が平均的なところだったのですが、昨年度はかなり件数が少なく、申立件数も128件でございまして、相対的に高い率になったというところでございます。今回、30年度が30数%に落ちたというところにつきましては、まず、商品別に分析をいたしますと、リスク性商品に関する和解率が低下いたしました。保険業務、証券業務というのはリスク性商品に分類されるものなのですけれども、それぞれ数十%ポイント落ちているというところでございます。
こちらは、まずリスク性商品で今回特徴的だったのは、家族による申立てが幾つか寄せられました。特に1つの家族で5件申立てを行ったというような事例がありまして、それは、あるお母さんが説明を受けて実際に買ったのだけれども、その説明不足があったのだけれども、それを家族の息子、娘、夫等に推薦して、結局みんな買ってしまって、全員、損をしてしまったというものでございまして、お母さんに対しては説明不足という点は認定できるのですけれども、その他の方々につきましては、そこは認定しがたいだろうということで、4件は和解に至らなかったということ。そういった家族ですとか夫婦のものが幾つか来ますと、大体、和解になるか、打切りになるかというのは、両方とも一蓮托生となります。そうすると、ちょっと打切りの方に振れますと、和解率が大きくぶれるというような部分がございます。
あと、今回の特徴的なところといたしましては、高齢者からの申立てが多いというところもございまして、高齢化社会を反映している部分だと思うのですが、本人が死亡された後に家族の方から、うちの父はこんな商品を買うはずではなかったなどというような申立てが幾つかございました。こういったものは、やはり本人以外の方が申し立てておりますので、当時の説明等を聞くわけにはいかないですから、なかなかそれが和解に至るというのは難しい。こういう事例が幾つか重なったというところでございます。
あともう一点は、不受理事案が前期よりも8%ポイントアップしているというところでございます。これはもう、その時々の申立てとしてどのような事案が来るかということによるのですが、やはり高齢化社会を反映してか、相続預金に関する生前の第三者払戻し、言うならば同居していた親族の方が払い戻していたのだけれども、その時点ではもう認知能力がなかった、意思能力がなかったというような申立てが、離れて住んでおられる方から申し出があるというような事例が複数件、寄せられましたし、あとは預金の存在として数十年前の預金があるはずだという申立てですとか、ATMの払い戻した金額の現金過不足が問題にされるケースですとか、なかなか、あっせんになじみにくい案件が今期集中して申し立てられたかなということを分析してございます。
説明は以上でございます。
○神作座長
樋山委員、追加のご質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
○樋山委員
ありがとうございました。
○神作座長
それでは次に、三森委員に対しまして、顧客カードの時期についてのご質問があったと思います。よろしくお願いいたします。
○三森委員
樋山委員からのご指摘、まさしく顧客カードを直近の状態にリニューアルするという、非常に大事なことだと思っておりまして、今は手元にルールとか細かいところはないのですが、各証券会社とも、定期的にいわゆるリニューアルをするために、顧客に現在の状況を通知して確認していただくことをやっているものと認識しております。また、新しい情報が加わった場合には、更新された場合には、その更新された情報の写しを顧客に交付するといった行為もしているものと認識しております。
私も研修講師を務める際には、そのあたりのことを、あっせんの事案を紹介する際の非常に大切なポイントとしてお伝えしておりまして、顧客カードにはさまざまな情報はあるのですけれど、昨今、やはり、先ほども出ましたが、高齢者の話がありましたが、特にその中で資金の性格というのは非常に大事かなと私は思っております。通常は余裕資金で証券投資をするという話ではあるのですけれども、あっせんの事案で具体的に事情聴取をしますと、数年後に老人ホームに入るための資金だったんだみたいな話が申立人から出てくるようなこともありまして、そういう資金性格に応じて、やはり、そこも適合性ということだと思うのですけれども、見ていくということが大事ではないかなと思っております。以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。樋山委員、追加でご質問はございますか。
○樋山委員
実際、相談でも余裕資金と、丸をつけたのはいいのですが、数カ月後に、有料老人ホームに入ることになったので、それは余裕資金ではなくなったというようなご相談も入っておりまして、やはり高齢者が余裕資金をどう捉えているのか、それについて証券会社の方でどのような説明をしているのかということについて十分ご注意いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○神作座長
どうもありがとうございます。ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。坂委員、お願いいたします。
○坂委員
ありがとうございました。今日のテーマに関して、先ほどの森下委員のご指摘と少し重なるところもあるのですけれども、述べさせていただければと思います。
金融ADRの機関としては、金融の専門機関ということですので、専門性を生かした紛争解決というものが期待されるところではないかと思っておりまして、適合性ですとか、あるいは商品理解に至る説明があったかということについても、そういった専門性を生かした検討が求められているところなのではないかと思っています。このうち、適合性について、客観的検討を比較的行いやすいというのは、先ほどご指摘のとおりかと思います。個別の事例を拝見させていただいても、適合性への疑義が把握された案件において、比較的、和解解決に至っているものが多いのではないかという印象を受けております。紛争解決の場では、改めてその顧客の属性ですとか、あるいはその商品情報を得て検討・検証を行うということかと思いますけれども、ぜひここについては緻密な検討をお願いできればと思います。
事案の中には、比較的安全な取引を継続して行ってきた顧客が、リスク性の取引を頻繁に行うようになる事案だとか、取引の傾向が変わるような事案もあろうかと思います。こういった場合には、特に新たな取引の適合性について慎重な検討をお願いできればと思います。
また、顧客が勧められるままに取引を行ってきたような場合には、従前の取引は必ずしも顧客の経験の蓄積になっていないような場合もあろうかと思いますし、また、ご指摘があったところかもしれませんが、高齢者が加齢とともに、従前行っていた投資判断ができにくくなるような例もあろうかと思います。こういった点についても十分ご検討いただければと思います。
それから、投資意向について的確な把握に努めるということも非常に重要で、これは顧客の経験や財産状況等も踏まえて把握することが必要かと思います。いただいている資料の中では、例えば資料2-2の事例の中では、13ページ以下の事案3ですとか、あるいは5ページから6ページにかけて紹介されている事案等では、顧客のニーズ等について検討が行われているというような事案かと思います。高齢者のリスク商品購入事案等の場合には、当該高齢者の属性に照らして、高リスクを許容する意向を持っていたとはあまり考えられないような事案もあり得ると思いますので、ここは十分なチェックをしていただければと思います。
また、金融ADRの手続は、顧客の適合性確認に必要な視点を提供する、ある意味で、その範を示す意義も持ち得るところと思います。この点、銀行協会さんの報告の中では、リスク性資産の比率ですとか、あるいは高リスク商品かどうかですとか、顧客のニーズとの合致等について具体的な検討と視点を示していただいているところかと思います。他の機関等からもご報告いただいておりますけれども、こういった検討や情報提供の深化をぜひお願いしたいと思います。
それから次に、説明についてですけれども、これはご報告の中でも、顧客の十分な説明がなかったという主張に対し、業者側が行ったと言う主張が対立したり、あるいは断定的な判断の提供について、あった、なかったという対立によって、和解に至らないケースが多いというご指摘があります。しかし、この乖離をいかに縮めることができるかということが、金融ADRに期待されることの一つではないかと思います。なかなか難しいところではあるのですけれども、適合性の原則とも関係しますが、当該契約が当該顧客にとって合理的なものかどうかというのは1つの視点かと思います。合理性に疑義があると疑われる場合には、顧客が理解できなかった蓋然性というのは高まると思われます。
例えば事例集の中では、12ページから13ページに記載された事案2などはそういう事例かと思います。高齢顧客のハイリスク商品の契約事案では、やはり契約の合理性や商品の複雑性等から、理解できる説明が疑われるような事案もあろうかと思いますので、こういった点については十分なチェックをお願いできればと思います。
また、今の事例ですとか、あるいは3ページに挙げられている事例等を拝見しますと、顧客の属性に照らして比較的短い時間で契約に至っているか否かも、説明の適切さを検討する上では視点となり得るところと思います。高齢者の場合には高齢者の勧誘ルールも関係するところと思います。
それから勧誘資料については、これはどんな勧誘資料が使われたかということ自体が争点となる場合もあろうかと思いますけれども、仮に事業者側が示した勧誘資料を前提としたとしても、中には勧誘資料の記載自体が間違いではないのだけれども、必ずしも一般の人には分かりやすくないような事案も、あり得ると思います。例えば、外貨建て保険の勧誘資料等で、現地通貨の元本保証がある場合などについて、為替リスクや途中解約リスクが一般の目線で分かり易いかどうかというのは1つのチェックポイントではないかと思ったり致します。それから、顧客が十分な理解に至っていないのではないかという事案において、その原因を探求する視点も重要かと思っておりまして、いただいている事案の中では、例えば13ページから14ページの事案3に記載されている中身は、そのような例の一つと受けとめております。
あと、勧誘に関して録音を検討いただいているというケースもあるとありましたが、録音は客観的な資料として有力であると思いますけれども、その評価は慎重に行う必要があると思います。説明がされているかだけではなくて、理解できる説明がされたかどうかの検証が必要で、録音の検討については、勧誘者の説明が正確か、理解できる内容かということとともに、顧客が理解できた反応をしているかどうか、あるいは理解できていない反応をしていないかどうかということを、ぜひ慎重にご検討をお願いできればと思います。
それから、あとご報告の中で、和解できない業者側の事由として、和解することで事業者の不備を認める結果となったり、担当者等の処分につながることを懸念して、和解に応じないということが指摘されていますけれども、ADRの趣旨からしますとこれは本末転倒と思いますので、ぜひ業界内での理解が進むように検討をお願いできればと思います。
それから、1点質問なのですけれども、先ほどFINMACさんから紹介がありました一番最後の事例です。VIXインバースのETNですけれども、これはかなり高いリスク、しかも必ずしも投資判断が容易でない、特異なリスクを持つ商品であったのではないかと思いますが、上場商品であることから、比較的広範な勧誘が行われて、紛争に至ったものと認識しております。公表資料などを拝見しますと、約200件の和解の成立をさせているとお伺いしておりますけれども、この事例で特に顧客の適合性や、あるいはその商品理解等を把握する上で、手続上の工夫が何かされたところについて、もしありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○神作座長
たくさんのご指摘ありがとうございました。では三森委員、またVIXに関連してご質問があったかと思います。お答えいただけますでしょうか。
○三森委員
まずVIXインバースETNの点につきましては、既に和解が成立して終結しているものが、約550ぐらい、もうちょっとですね、600弱ぐらいまで、もう既に終結しております。昨年の5月ぐらいからあっせんがずっと継続しており、現在でもやっているのですけれども、そういう状況です。これはもう、各社ごとに説明、さまざま工夫がありますので、私も全部を知っているわけではないのですが、やはり今ご指摘のとおり、非常に、いわゆる株式ですとか債券だとか投資信託とはまた違ったものでありまして、早期償還条項がついていたという、そういった点については非常に、他の商品と比較すると、その面だけでもリスキーなものであったと思います。その点で工夫をしている業者もあります。ある業者ではその商品特有の説明資料を別途作って、それでご説明をされていたというケースもございました。以上でございます。
○神作座長
坂委員、追加でご質問等ございますか。
○坂委員
ありがとうございました。ぜひ解決を進めていただければと思いますけれども、VIXインバースのETNというのは、デリバティブが組み合わされている商品かと思いますけれども、同様の商品というのはかなり、既に上場商品で出ているようにも思いますので、同じようなリスクあるいは複雑性を持った商品については、これに倣う形で積極的に解決を進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○神作座長
どうもありがとうございました。坂委員からはたくさんのご指摘をいただいたと思いますけれども、各ADR機関の方から何かご発言はございますでしょうか。それでは高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員
どうもいろいろとありがとうございました。
先ほど坂先生から引用いただきました12ページから13ページにかけての事案でございますが、まさにご指摘のとおり、この事案は審理の中で、そもそもこの保険商品自体がお申立人にとって必要だったのかどうなのかということが疑問視された事案でございます。例えば13ページに記載してございますが、配偶者は既に亡くなられていて、かつ子供もいらっしゃらない。そういう意味では、相続財産を残す必要はないにもかかわらず、年金受取期間が34年間というような、非常に、見るからに不適切な商品であったということが、1つ理由として挙げられています。また、14ページに記載させていただいていますのは、終身保険にさらに追加で入ったというような事案でございまして、これもその必要性はなかったのではないかということでございます。実際、審理をする中では、意向確認書というものが当然出されてくるのですが、それも先ほどご説明しましたとおり、それだけでは判断せずに、実際に先ほど森下委員からもありましたが、客観的に見てどうだったのでしょうかというアプローチも忘れないようにしてございます。その中で、やはりニーズに合っていないということがもしわかれば、それは当然、和解の理由にしていくという取組みを行ってございます。
また、我々が審理の過程で気づくことは、ご本人自身があまり気づかれていないということも実はございまして、そういうものも事情聴取等の中で丁寧に聞き取りを行うということで、和解に導くということを行ってございます。
あともう一点、高齢者ルールの話も先ほど少し出てまいりましたけれども、各社、高齢者ルールを設けて取り組んでいるところなのですが、私どもの見方としましては、単に外形上、高齢者ルールが適用されているかどうかだけではなくて、そもそも高齢者ルールの趣旨は何だったのかといったところまで踏み込んで、その趣旨に合った適用がなされているかといった点も検討させていただいているというものでございます。
坂委員からは、いろいろな示唆に富むご意見を頂戴しました。今後の参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○神作座長
どうもありがとうございました。他の方からご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。沖野委員、お願いいたします。
○沖野委員
随分と重なる点もあるのですけれども、商品理解についての点だけ1点、発言させていただきたいと思います。今までの中でも、事業者の方は、やはり商品理解の確保のための説明が非常に重要だということで、いろいろな資料をご準備なさったり、あるいは手順などをしっかりと作っておられるということが窺われるのですけれども、他方で商品理解のための説明というのは、それぞれの相手方が理解できるような形で説明するということがとても大事ですので、基本的にはこの線でということがあっても、それがまさに当該契約の相手方にとってどうかという観点から検証するものでなければならないのだろうと思います。ですから、事例など拝見しておりますと、きちんと資料に即して説明したといったようなお話が出てきますけれども、それで本当にいいのかという観点は、実際に紛争が起こったときに問う必要があるのではないかと思っております。
また、その際に、説明をしているといっても、いろいろな形で理解というのが誘導されていくという面があります。しばしば言われることですけれども、一例を出しますと、例えば銀行窓口で売られるようなものだと、銀行自体の信用や安定性や、預金に対する一定のイメージが、もう最初の入口にあって、そういう前提がすでに形成されている中で説明を聞くことになるとか、あるいはこれまでの担当者との間の人的関係から、この人が言っていることは大丈夫だろうというような、そういうところから入ってくる。あるいは、紛争の中で真っ向から対立している事案があるわけなのですけれども、例えば、ちょっとした言葉尻で、いろいろなところで何か数値などが出てきて、例えば3%などという場合もありましたねなどというのを聞いた途端に、3%は大丈夫なんだというような刷り込みになってしまって、それを訂正するのが難しくなっている。そうではないということは資料にも書いてあるのだけれどもというような、具体的なやりとりの中で出てくるという問題もあるかと思いますので、説明だとか商品理解というのは、むしろそういう問題なのだと。当該契約関係における相手方の理解というのを具体的に見ながらやっていくということなのだという、その基本認識はいろいろなところで強調していく必要があり、それは、紛争の場というのは1つの有用なところではないかと考えておりますので、既にやってくださっているとは思うのですけれども、ぜひ改めてその点を強調させていただきたいと思っております。
○神作座長
ご指摘ありがとうございました。ただいまの沖野委員のご発言に対してコメントございますでしょうか。西村委員、お願いいたします。
○西村委員
ご指摘ありがとうございました。確かに仰るとおりでありまして、まさに説明したということが重要なのではなくて、その説明が理解されたということが重要だと認識してございます。私どもも研修会等で申し上げているのは、個人の属性に応じた説明というのが重要なのだということで、自分の都合のよいように思い込んでしまうようなお客様もいるので、対話を通して酌み取れる顧客の属性に応じた、説明の仕方、話し方を工夫して、理解できるまでご説明するということが求められていますよということを説明してございます。
また、銀行への信頼というのも確かに仰るとおりでありまして、銀行が販売する商品だから安全だとか、銀行が販売する商品については元本割れしないものだというような、強い信頼感をお持ちのお客様も多々おられます。こういった方につきましては、当該商品のリスクが顕在化する可能性につきまして冷静に説明することが必要だということも、研修会では周知をさせていただいているところでございます。特に、個人的な見解として、この商品は私も持っていますとか家族も持っていますとかいうような説明の仕方をするというのも避けるべきであるということも、あわせてご説明させていただいているところでございます。
以上です。
○神作座長
どうもありがとうございました。ほかに、沖野委員のご発言に対して何かコメント等ございましたらどうぞ。よろしゅうございますでしょうか。斎藤委員、お願いいたします。
○斎藤委員
各機関のご報告で、あっせんの丁寧な審理状況が窺えました。ありがとうございました。
2つ質問させてください。1つは、金融機関が和解案を受け入れないケースについて、幾つか資料でご説明いただいていますけれども、金融機関としては、株主や預金者に対する責任もありますし、企業として和解案を受け入れるというためには合理的な根拠が必要だと思います。その中で、ADR機関側としては、なぜこういう和解案を出しているかという理由を丁寧に説明するというのがとても大切なのかなと思います。資料の中でも幾つか例を挙げていただいているように、法的責任まではないのだけれども、こういう事情で、例えば顧客が非常に高齢である、また高齢者のルールは一応守っているけれども、ちょっと趣旨に反しているのではないかとか、あるいは余裕資産と一応言ってはいるが、資産の大部分を使って投資している、など、いろいろな事情を酌み取って、そのような事実を適示しながら、法的責任はないけれどもこういう事情があるから解決のために互譲の精神で支払ったらどうですかというような和解案だと、多分、受け入れられやすいと思うし、金融機関側の社内でも説明がつくわけですよね。
全銀協さんは、現在はどうやっているか分かりませんけれども、確か、書面で理由も記載して和解案を提示するプラクティスがあったと思います。ああいう形だと、金融機関としては社内の決裁もとりやすいし、受け入れられやすいと思います。質問としましては、今、全銀協さんで和解案の提示の仕方をどういうふうにされているのか、他の機関の参考にもなると思いますので、少しご説明いただきたいということが一つ、その他の機関についても、もしご意見があれば、和解案の提示の仕方についてご紹介いただければと思います。理由も付して和解案を書面で提示するのは、手続が長くなるとか、あっせん人に負担がかかるなどの事情もあると思いますので、全件、書面で和解案、理由まで付して説明するというのは難しいのかもしれませんけれども、そのあたりのプラクティスについて、もしお考えがあれば、ぜひ伺いたいと思います。
それから2点目の質問は、保険に関するところです。前回の当協議会でも、保険の場合は、勧誘をする募集人・代理店が、保険会社の外部の委託先という特殊性があるというお話が出ましたけれども、そのような構造の中で、損保協会さんの報告では保険会社側の意見聴取では保険募集人の出席も要請している、とありますが、この点は非常に大事だと思います。そして、募集人の出席が難しい場合には、当該当事者への詳細なヒアリングを保険会社に依頼しているとのことで大変よいことだと思います。この関連で懸念されるのが、苦情処理手続の段階で、どの程度、保険会社が募集人から勧誘の状況をヒアリングしているか、です。私の実務経験から仄聞したところによると、苦情処理手続の段階で、保険会社が代理店まで行って、どういう募集状況だったかということを調査して回答するというプラクティスは十分になされていないのではないか、という懸念がございます。実際、苦情処理手続の段階で、保険会社が代理店に対して、特に相手が銀行のような場合には、どこまで協力要請できるかという、個々の会社と会社との問題はあると思うのですけれども、保険会社が、代理店が募集に問題はないと言っていますから問題ありませんと顧客に回答するだけでは、苦情処理の段階での解決は難しくなると思います。その辺、苦情処理の段階でも、保険会社が募集人や代理店から勧誘状況をヒアリングするように、ある程度、協会としてリードできないのだろうか、と思いますが、そのあたりのご意見を伺えたらと思います。
○神作座長
どうもありがとうございました。まず第1のご質問、直接的には全銀協の西村委員に向けられていたと思いますけれども、お答えいただけますでしょうか。
○西村委員
ご質問ありがとうございます。私どものあっせんの事情聴取の流れ等を申し上げますと、あっせんの申立人の方に、まずヒアリングをいたしまして、その後、対面式ではありませんので、申立人には出ていただいて、銀行の方から事情聴取を行うという形です。その上で、あっせん委員間で合議をしてあっせん原案というのを検討して、それを申立人と相手方銀行に投げる。そのときには口頭でお伝えするのですけれども、こういう事実の認定をしました、あるいはこういう点について不足があったということを、あっせん委員会として考えていますということを、理由を説明しつつ、あっせんの案としてはこういったものでどうでしょうかということを、互いに席をかわっていただきつつ示すというような形をしてございます。
その上で、両者がそれについて合意ができる場合、あるいは持ち帰りという場面もございますけれども、持ち帰った場合に何日以内に了解できるかということについて回答いただいて、両者が原案について合意できるということであれば、それを書面に落として、具体的なあっせん案という形で、しっかりとしたものとして、あっせん委員会としては、こういうあっせん案を考えています、事実として認定したものはこういうものです、理由としてはこういうものですということを、書面にした上で双方に提示して応諾か不応諾かということを回答してもらって、めでたく応諾という形になれば、具体的な和解契約書の締結に進んでいくというような手続を行っております。
以上です。
○神作座長
ありがとうございました。他の機関の方からも、もし和解案の取扱いについて、ぜひ教えていただければと思います。それでは、高橋委員。
○高橋委員
私どもも基本的には全て書面で和解案を提示することとしてございます。先ほどご説明いたしました特別調停案という形で提示してございます。その中には、事案の概要ですとか、両当事者の主張、それと裁定審査会の判断について、理由を付して提示することとしてございます。裁定型ということでございますので、和解に至らなかった事案、すなわち、お申立人の主張が認められない事案につきましても、理由を付して、書面で、申立人、保険会社の双方に提示するという実務で運営してございます。以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
2つ目のご質問についてはいかがでしょうか。これは、保険、生保協会、それから損保協会に対するご質問であったと思いますけれども、保険会社と代理店、それからADR機関の3者の関係についてのご質問であったと思います。お答えいただけますでしょうか。では森脇委員。
○森脇委員
いただいたご質問ですけれども、我々ADR機関としましては、やはり保険会社を通じてということにならざるを得ませんので、なかなか苦情処理の段階において直接的に代理店とやりとりをするというところは難しい部分がございます。ただ、処理が終了してから、代理店に原因があったということであれば、代理店の指導をしっかり行っていただくという形でのやりとりはできると考えております。
○神作座長
ありがとうございます。
○斎藤委員
どうもありがとうございました。
○神作座長
小野委員、お答えいただけますでしょうか。
○小野委員
追加して補足申し上げます。私どものケースに限って申し上げますと、最初の段階で、これは苦情にしても紛争解決にしても、事案として私どもが見る限り、募集あるいは保険契約締結に当たった代理店のアクションに対する苦情なり紛争解決というケースがあり得ます。その際は、私どもが関係する事業者はあくまでも損害保険会社でございますので、加えまして、募集締結は契約締結のための代理権を当該保険会社が当該代理店に付与しているものでありますので、私どもの理解ですと、その法律効果は保険会社に及ぶと理解しておりますものですから、事案によって、いろいろ聴取なり事実確認なりと、内容の把握に努めております。申立人が仰ることを前提とする際は、基本的に当該保険会社、事業者に照会なり事実確認依頼を申し上げる。それで、今までの私どもの事例で申し上げますと、当該保険会社はきちんとそこは代理店のところまで行きまして、こういうことがありました、こういう事案でした、というのは、きちんと、場合によっては書面も含めて報告を受け、私どものところにて受け付け、それから先は、申立者との間で何か和解なり、間に入ってできることはないかという作業を続けておりますので、基本的には、少なくとも私どもに限って言いますと、そこのところは他の案件と同じように、協力と言うとちょっと語弊がありますけれども、いわば自身の業務として保険会社にも情報提供していただいていると理解しております。
これに関連して、ここから先は私の個人的な見解であり、また理論的にも少し難しいところはあるかなと思う点は、保険仲立人のケースです。これは実際、そういうケースは全くないのですけれども、理論的にはあり得ると考えるのが、保険仲立人は、代理店と異なり保険契約の締結にあっては保険会社が代理権を付与したものではないものですから、その法律効果は、直接には保険会社に及ぶものではない、との理解をしていますので、もしそのような、争いと申しますか、意見の相違が、申立人が契約した保険会社と契約をめぐる過程であった場合は、それぞれの立場、法的な立場もあるものですから、そこは私どもとしても資料の提供等についても今後考えていく必要はあるかなとは思っています。最終的には私どもは申立人の考えなり申立ての内容を十分把握しながら、何かそこから和解なり中立点がないかを探るのは私どもの業務でありますので、それに資するための方策を考えていきたいと思っております。
以上です。
○神作座長
ありがとうございました。高橋委員からご発言はございますでしょうか。
○高橋委員
苦情処理手続におきまして、やはり代理店等とは、損保協会さんと同じで、直接やりとりする機会はございません。私ども、苦情処理手続に移行しますと、保険会社から定期的に、苦情対応の進捗状況について報告を受けてございます。その範囲で代理店への対応を把握するというのが現状でございます。その後、紛争解決手続に移行しました場合には、募集担当者、これは代理店も含めてでございますが、直接事情をお伺いする機会というのを設けさせていただいています。以上でございます。
○神作座長
ありがとうございました。斎藤委員、ご発言はございますか。
○斎藤委員
どうもありがとうございました。
済みません。私の言葉が足りなかったのですが、もちろん代理店に直接、協会から何か言うという関係ではないということは十分承知しています。しかし、小野委員が仰ったように、保険会社には代理店管理の責任があります。また、募集人が募集時に顧客に損害を与えた場合は保険会社が賠償しなければいけないという業法上の規定もありますので、保険会社が自社の問題として募集行為の状況を把握しなければならないのは、社内であっても代理店の募集人であっても変わらないと思いますので、苦情処理段階においても、募集人が外部だからといってなおざりにせずに、きちんとヒアリングして勧誘状況を把握するようなプラクティスをご指導いただければと思っております。
○神作座長
よろしゅうございますでしょうか。それではほかにご質問、ご意見がございましたら、どうぞ。高橋委員。
○高橋委員
こちらが質問するのはあまり例がないかと思うのですが、せっかくの機会なので、1つぜひお伺いしたいことがございますので、質問させていただきます。
本日の議論の中で、主に顧客の適合性というものが議論されてきていますが、先ほど沖野委員から、当該顧客に理解されるために必要な方法・程度により、説明が行われることが非常に重要だというご指摘をいただいたかと思っています。当然、私どもADR機関としましては、業者側の説明が本当に当該顧客の理解を得るために十分だったのかという点を検証する必要があるという認識を持ってございます。実際、手続を行っている中では、とりわけご高齢のお申出人の理解力とか理解度というのが問題になる場合で、かつ特に契約締結から紛争が発生するまで相当の期間が経ってしまっているような場合において、事情聴取などを行いましても、実際に契約当時の状況についての心証を得ることがなかなか難しいというのが現状としてございます。私ども8団体は、定期的に情報交換を行う場を設けていただいているのですが、本日ご参加いただいている他の機関あるいは団体の皆様方で、金融分野に限らずということなのですが、契約締結時におけるご高齢の申出人の理解力ですとか理解度というものをどのようにして把握しているのか、あるいは認定されるのか、どのような工夫をされているのかということをご披露いただいて、参考にしていきたいと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
○神作座長
ただいま非常に大きなご質問が出されましたけれども、それ自体、また別の会で扱うような非常に大きなテーマとは存じますが、今この場で何かこのように対応しているというようなことがありましたら、教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。各機関において、どのような工夫、努力をされているか。それでは影山委員、お願いいたします。
○影山委員
国民生活センターの紛争解決委員会の、私は影山と申します。
私どもの紛争解決委員会は、消費者紛争を扱っておる関係がございますので、必ずしも金融事案を専門に扱っているというわけではございません。大体、金融事案は全体の2割弱ぐらいの件数となっております。そういうわけで、必ずしも専門的に何か申し上げられることがあるかというと、そういうわけではないのですが、高齢者の問題につきましては、多くのADR機関様からもお話があったように、大変難しい問題であります。特に事実認定の関係で、当事者から話を聞くときに、大体もう忘れてしまったというようなことが多いかと思います。我々のADR手続も、いわゆる調整型、あっせん型ADRでございます。事務所が1つしかないということもあって、我々の場合どうしているかというと、基本的には高齢者とか障害者の申請、消費者からの聞き取りに関しましては、できるだけ来ていただく。もしくは遠隔地の場合には、我々が仲介委員の先生方に現地に直接行ってもらって、気長に話を聞いていただくと。特にもう一つは、先ほども出ましたけれど、家族の方、そういった方を代理人とか付添人という形で、一緒に聴取をさせていただく。そういうことで、できるだけ丁寧に聞き取りをするということしか現実的には手がないのかなと考えております。私どもとして工夫しているのはこのようなことであります。ご参考になればと思います。
○神作座長
国民生活センターの例をお話しいただいて大変ありがとうございました。他の機関からお話をいただけますでしょうか。それでは田中委員、お願いします。
○田中(圭)委員
私どもも金融商品に限ったということではないのですが、例えば高齢者からのご相談の場合、できるだけ、その時はどうでしたかというような形で、時間をかけてゆっくり、例えば、1人の方に対して、時に三時間、四時間かかることもありますけれども、お話を伺います。同時に、できれば話を伺うときに、双方に同意を得た上で、そのときに一緒にいたであろう、あるいは当時のことをよくご存じのご家族の方も、その場に同席していただく場合もあります。そのときには話が違う方向に飛んでしまうような場合もあるかもしれませんが、あのときああだったじゃないかといろいろお話しを伺う中で、当時の様子を確認していくことがあります。双方の間で話が食い違ってしまうようなことはあるのですけれども、その2人の間を調整しながら、では一体そこで何が起こったのでしょうねといったところを、確認していきながら、そこで起こった事実が一体何だったのかというところを明確にしていくことがあります。今、国民生活センターの影山さんからもお話がありましたけれども、現場に行って、その方の家でお話を伺ったりというようなことの中で、1つずつわかってくるというところがあります。
先ほど全銀協さんのお話のように、ご家族の方からのご相談とか苦情があり、多分、話の食い違いというところも出てくるところがあるのですが、金融商品によって随分違うところだと思っています。ご家族と一緒にそこを確認するということができない商品と、ご本人が周りの家族の方と一緒に、商品のそういうときの状況がどうだったのかというところが確認できるものと、両方あると思います。同時にADRとしての当事者とは誰なのかという問題が、大きな問題として出てくると思います。そこは丁寧な説明をしながら、この問題は当事者は一体誰なのでしょうという点をご家族にはまず納得していただいく必要も出てくると思います。当高齢者自身が当事者という場合には、周りのご家族も含めて一緒にご説明をしたり、ヒアリングをさせていただくという作業をさせていただいているといった状況です。
○神作座長
どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。唯根委員、お願いいたします。
○唯根委員
ありがとうございます。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の唯根と申します。消費者相談を永年やらせていただいている中で、ご高齢者に関しましては、確かに「書類や何かがない」、「もう忘れた、知らない」という最初の発言の突破口として、その方の生活信条などを丁寧に聞いていく中で、勧誘時、保険に関しては、特に長期にわたるものやその後の勧誘員とのお付き合いや何かというところで、思い出していただいたり、それから最初に誰に声をかけられたとか、どうしてその商品を知ったのかという、本当に最初のきっかけのところを丁寧に聞き取らせていただくところから聞き直しを始めると、意外と書類や何か、勧誘員さんの名刺だったり、計画表のようなものがでてきたりすることが、きっかけがつくれるケースというのが結構あります。ただ、それは相当丁寧に、対面であったり何度か聞き取りをしていったりする必要があります。
それから、ご高齢者とご家族で意見が違うというケースの場合も、高齢者の方では特に金融関係に関しての考え方で多く見られます。意外とプライドをお持ちになっていて、ご家族に内緒で、私はお金に関しては大丈夫という意識を高くお持ちになっていらっしゃるので、相談の場合にご家族と一緒でない方が逆に本音を聞き出せるというケースも結構あったりということも、今までの経験の中ではあります。
そういう意味では関係者の方々には本当に地道なというか、丁寧な取組みをしていただく必要があると思います。また、高齢者の場合にはそれこそ耳が聞こえにくいとか、目が悪くて見にくくなってしまっているとか、それから専門用語がわからないというところで、結構、お話が通じないというところが多々ありますので、その辺については、ぜひ皆様の知見というかご努力で、今後も一歩ずつ進めていただきたいと思います。以上です。
○神作座長
貴重なご指摘ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。樋山委員。
○樋山委員
全相協の樋山でございます。
何年も前のご契約ということになると、生命保険さんなどの場合は無理なのかもしれないですが、例えば投資信託とか、そういった類いで、この1年とかその程度の場合に、私どもが時々センター内であっせんをすることがあるのですけれども、医師の診断書とか医師の意見、契約時に、そのご高齢者の方の認知度がどの程度であったのかというようなことを、診断書としていただくようなこともしておりますので、それも1つの手段になるのかなと思います。
あともう一点は、今、唯根さんが仰ったように、ご本人様と家族と意見が違う場合があります。ご家族としては相続財産が減ってしまうので、リスク商品には手を出してもらいたくない。だけれども、本人としては、ちょっとやってみたいというような場合がございます。そうすると、当事者は高齢者であるので、やはり高齢者の意見を優先させていくというような形で、そのときの高齢者がどういう希望があったのかというニーズをしっかりとつかんで、ご家族との関係とはまた別に意思確認をしっかりとっていただきたいなとは思いますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。
○神作座長
どうもありがとうございました。私の司会の不手際で、時間が過ぎておりますけれども、何かご発言はございますでしょうか。
○坂委員
一言だけ、いいですか。
○神作座長
坂委員、どうぞ。
○坂委員
今の点は大事な点だと思うので、一言だけなのですけれども、その方の理解をその方の記憶だけに頼るというのは、やはりなかなか限界があるかなとは思ってはおります。先ほどあったように、医療記録ですとか、あるいは介護記録等が客観的にあれば、それは1つの根拠ではあるのですけれども、そういったものがない場合には、やはり本人の記憶等だけではなくて、どういった契約の内容なのかとか、契約の勧誘の時間がどうであったのかといった、外形的なところや周辺事実から事実解明をやっていくということも重要な視点かと思います。
○神作座長
ご指摘どうもありがとうございました。ほかに、ただいまの点につきまして、ご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、冒頭に私、後半の議題として、金融サービス利用者相談室の受付状況、それから金融ADR連絡協議会(18回及び19回)の模様についてご説明いただいて、ご質問等を受けるということを申し上げましたけれども、時間となりましたので、資料3-1から資料の3-3及び資料の4をご覧いただきまして、また何かございましたら事務局等にご質問等いただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
それでは最後に、消費者庁の尾原委員よりご発言をいただけるということですので、よろしくお願いいたします。
○尾原委員
一番最後に、「消費者ホットライン188啓発ツール」と書いた1枚紙を入れさせていただきました。本日、議題となっております金融トラブルだけではなくて、消費生活上のさまざまなトラブルにつきまして、消費者が1人で悩まずに、地元の消費生活センターに相談いただくことが大変重要だと我々は考えております。188の啓発ツールとして、動画、それからポスター、チラシ等を我々は用意しております。現在、金融機関の事業者団体の皆様に対して、会員事業者様の方で、例えばATM等で動画配信を使っていただける等でご協力いただける事業者さん、銀行等ございましたら、ご協力させていただきたいということを、事業者団体さんの方にお願いしておるところでございます。つきましては、ぜひご理解を賜りまして、会員企業様にその旨、周知をいただければと思っております。この場を借りてお願いでございます。以上でございます。
○神作座長
どうもありがとうございました。本件につきまして、何かご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。樋山委員。
○樋山委員
188は郵便番号を入力して案内されるのだと思うのですけれども、ご自分が地元の区なのか、それとももっと広域な自治体なのかわからない、自分が相談したセンターがわからないことがしばしばございまして、私ども時々混乱しております。ですので、どこかメッセージの中で、つながるおそれがあるところは複数なんだよというような案内をしていただけると大変ありがたいと思いますので、よろしくご検討ください。
○神作座長
ご指摘ありがとうございます。ほかに本件につきまして、ご質問あるいはご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、時間を若干延長してしまいましたけれども、本日の協議会はこれで終了したいと存じます。
なお、次回、第58回の協議会につきましては、本年12月ごろを予定しておりますけれども、詳細につきましては、追って事務局からご連絡していただきます。
皆様、大変お忙しいところ、どうもありがとうございました。
それでは、これで閉会いたします。