金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第14回) 議事録

  • 1.日時:

    令和4年1月21日(金曜)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室
     

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第14回)
令和4年1月21日

【神田座長】 
 おはようございます。定刻になりましたので、始めさせていただきます。

 ただいまから市場制度ワーキング・グループの第14回目の会合を、開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加いただき、誠にありがとうございます。

 本日の会合ですけれども、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの開催とさせていただきます。また、一般傍聴はなしとさせていただきます。なお、メディアの関係の方々には、金融庁内の別室で傍聴していただいております。議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

 いつものように、恐縮ですけれども、オンライン参加される皆様方におかれましては、2点、注意事項がございます。まず、1点目として、御発言されない間は、マイクをミュートにしていただき、通信環境安定のため、ビデオもオフにしていただければありがたく存じます。次に、2点目ですが、御発言を希望される際には、これまでと同じですけれども、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てにお名前、または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを私のほうで確認をさせていただき、御指名をさせていただきますので、そうしましたら、御自身の名前を名乗っていただいた上で御発言をいただければと存じます。

 そこで、本日でございますけれども、まず、事務局から市場インフラ機能の向上に関する事務局説明資料について、御説明をいただきます。その後、皆様方に御議論をお願いするという流れで進めさせていただきます。

 それでは、事務局説明資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【島崎市場課長】 
 よろしくお願いいたします。資料1が説明資料でございます。資料2の参考資料、これまでの審議会報告ですとか、文献ですとか、最近の動向等を記しましたものも用いながら、御説明させていただこうと思います。

 それでは、資料1、1ページ目は目次でございますが、2ページ目、今回は、市場インフラ機能の向上でございます。まず、10月の市場制度ワーキング・グループでは、全体を遡ったところからの大きな御議論ですとか論点の指摘等をいただきまして、前回は、論点も示させていただいた中で、経済成長の成果の家計への還元促進をご議論いただきました。今日は、太枠にあります市場インフラ機能の向上ということで、デジタル化やサステナビリティへの関心の高まりといった世界の潮流の中で、デジタル・トークン等、新たな商品を含む多様な金融商品がより円滑、安定的に取引されていくよう市場の機能やレジリエンスの向上について検討するということでございます。

 本日、御議論をいただくべき事項につきましては、8ページ目に載っておりますが、3ページ目では、大きな見取図を示させていただいております。市場インフラということで、セカンダリー取引を意識しているわけですけれども、取引のプラットフォームに関する見取図のイメージ図でございます。横軸のところに、取引のプラットフォームを示させていただいています。縦軸が、商品、有価証券ですとかデリバティブ取引ということで、今回は奥行きも示させていただいていて、手前がマッチングの仕組み、それから後ろのほうがポスト・トレードの仕組みということで整理しております。従前より審議会等で御議論いただいてきた、取引所とPTSの市場間競争の促進というのが、大きな1つのトピックでございます。

 もう一つ、縦軸のところで最近、拡張も見られます、証券トークンも含めた多様な金融商品というものが取引される場について、プラットフォームでの多様な金融商品の適切な流通についてというのが、もう一つの大きいくくりのテーマでございます。それから、日本市場全体のレジリエンス向上ということで、取引所、あるいは取引所を超えたレジリエンス向上の取組なども御紹介させていただきながら、御議論いただければと思っております。

 4ページ目でございます。そのような取引の場ですとかプラットフォームですとか商品、それから拡張等、あるいはマッチング、ポスト・トレードについての制度の沿革について示させていただいています。こちらは参考資料を適宜、見ていただくとして、1997年の報告書等にもございますけれども、「市場参加者及び仲介者が、それぞれの取引ニーズに合わせて、最もふさわしい取引の場を自由に選択できるようにすべきである」といったフレーズにもありますように、金融システム改革上、4ページ目でございますが、投資家の多様なニーズに応え、魅力あるサービスをいかに効率的に提供し得るかという競争が市場間で行われるということを期待して、取引所集中義務が廃止されました。その後、市場間競争を高める方向での制度整備なども図られてきています。下の段、逐一ではございませんが、取引所集中義務の撤廃からPTSの認可制の導入、それからPTSにおける売買価格の決定方式の拡充ですとか、あとは、例えば2012年などで言いますと、TOBへの5%ルールの、これについては、取引所取引のうち立会取引と類似するPTSについてということで、立会外と類似するPTSについては、今、5%ルールの適用対象となっておりますが、立会取引と類似するPTSについて、いわゆる5%ルールの適用を除外したり、あるいは2019年、20年、この辺りではPTSの信用取引の解禁というものも行われていますし、市場間競争ということでいいますと、昨事務年度も御議論いただいた、最良執行方針等のあり方の見直しということも関連してくる取組でございます。

 右側、その他の非上場株式等の取引の場として、例えばグリーンシート銘柄制度についてですとか、あるいは株主コミュニティ制度についても、変遷を載せてありますし、直近で言いますと、後ほども出てまいりますが、証券トークンに係る制度整備というものもなされてきています。2個目の丸ですが、かつては紙媒体であった有価証券自体のデジタル化に関する取組も進められてきております。近年では日本においても、証券トークンの発行が始まり、制度整備もなされ、適切な流通や管理・振替が求められているということだと理解しております。一番右側は振替機関等のポスト・トレードの枠組みについての変遷も示させていただいております。

 5ページ目は制度と並び、市場運営者の変遷について記させていただいております。上から取引所、株式PTS、こちら現在は2社の参入ということになっています。店頭市場の動きについて、こちらのページで示させていただいております。

 続きまして、6ページ目でございます。金融商品取引の主なプラットフォームの現行制度について示させていただいています。現行制度上、主なプラットフォームとして取引所が開設する取引所金融商品取引市場と証券会社が運営するPTSの枠組みがございます。取引のプラットフォームの提供に関する業務に加えて、上場に関する業務を営む取引所については、より厳しい業務範囲規制や株主規制によって、業務の公正性、中立性が制度上、確保されております。下のほうの比較、こちらは、また別の資料としては、参考資料のほうでも載せているところではございますけれども、取引所とPTSとの比較について示させていただいております。主体としての側面ですとか、開業規制についてですが、取引所については免許制で、最低資本金が10億円と、PTSなどと比べると高いものになっています。株主規制も整えられており、業務範囲規制について、他業禁止ということになっております。営むことができる業務の範囲については、取引所について法律で限定されているわけで、市場開設業務と、それから附帯する業務が認められています。また、子会社といたしましては、取引所の関連業務を営む会社などが認められているということになります。

 こちらにPTSの運営会社、関連業務会社ということを記させていただいていますが、こちらのほうについては、こうした市場間競争ですとか、あるいは、様々な文脈で、審議会でも御議論いただいておりまして、例えば、PTS運営会社につきましては、参考資料のほうでは、2ページ目あたりにも載せさせていただいていますが、2007年の審議会報告では、例えばプロに限定した取引を行うものを念頭に、市場開設業務とPTS業務の共通点などから、PTS業務は取引所の関連業務に含まれますとされております。すなわち、取引所がPTS専業の金商業者を子会社として設立することを認めていくことが適当であると結論付けられています。こうした考え方は、プロに限定した取引を行うPTSに限られるものではなく、一般にPTS業務は取引所の関連業務に含まれると考えております。

 それから、もう一つ、切り口といたしまして比較で言いますと、業務について、取引所とPTSについては、上場関係で言いますと、PTSのほうは上場に関する業務というのはないわけですけれども、上場・上場廃止に関する業務というのは取引所のほうに記させていただいています。

 それから、例えば、価格などの通知、公表の仕組みなどについても異なりまして、例えば、取引所のほうは毎日の総取引高、価格等の通知・公表があって、同時に取引量、価格等についての通知・公表というのは、PTSではございません。これは協会への報告という形になっております。それから、自主規制機能の有無というのも、もちろん参考資料のほうにもございますが、取引所のほうに位置付けられていて、PTSのほうは位置付けられていないわけですが、1つ、信用取引を入れたときに、過当投機防止のための規則制定や取引参加者の処分等の枠組みが必要ですが、PTSのほうはかかる権限がないため、認可金融商品取引業協会と連携して対応する枠組みなどが必要であろうということで、整備されてきているところであります。

 PTSのほうには、その他の上場有価証券を取り扱う場合については、後ろでも出てまいりますが、価格決定方式ごとに売買高等に上限が求められているということでございます。

 続きまして、7ページ目でございますが、こちらは参考資料ですが、世界の主要取引所グループの上場企業時価総額ということで、この後の問題意識のところにも入ってまいりますが、こちらは時価総額上位10個を取りまして、時価総額の構成割合の推移を記させていただいております。中国のあたりが伸びているということが言えると思います。

 8ページ目でございます。こちらは、最終ページにも出てきます、討議事項にもつながっていく問題意識と課題のほうを記させていただきました。問題意識といたしましては、これまでの市場インフラ機能の向上のための取組によって、上場数の増加など一定の成果を上げてきたが、国際的なプレゼンスは低下傾向にあるのではないかとの懸念があります。それから、市場間競争については、PTSのシェアは1割弱ほどでございますが、社数は2社で、競売買方式の活用も進んでいないなど、追加的な取組を求める意見があります。それから、PTSが取り扱う金融商品が現在、上場株式等のほか、一部の債券にとどまっているという状況にございます。

 こうしたことから、課題として設定しておりますのが、利用者ニーズに応えるとともに、国際金融センターとしての機能を向上させるため、市場インフラに求められる役割について、どのように考えるかということでございます。そして、市場インフラ機能の向上にどのように取り組んでいくべきかということで、まず大きくは、最初の大きな見取図でも示させていただいた市場間競争の促進でございますが、市場間競争の促進は重要な課題であり、これを促す観点から、売買高等の上限を見直すべきであるといった指摘もございますが、どのように考えるか。それから、後ろでも示させていただきますが、諸外国における取引プラットフォームにおいては、利用者ニーズを踏まえて多様な売買方式が試行導入されておりますが、こうした動きについてどのように考えるか。それから、多様な金融商品の流通の円滑化のあり方ということで、証券トークンの発行と、それからPTSでこれを扱いたいというニーズと関係しまして、適切な投資家保護の下で取り扱われていくためには、どう対応していくのか。それから、非上場の金融商品が流通する場合や、証券トークンも含め、商品の適切性の確保など、どのような配慮が必要か。それから、デジタル化が進む中で、電子的な取引のマッチングが全てPTSに該当するものでもないことを明確化することについて、どのように考えるか。

 それから、9ページ目でございますが、取引プラットフォームの観点から、日本の市場インフラ機能を向上させ、日本市場の国際金融センター機能を向上させるとともに、国際的なプレゼンスを高めるため、どのような取組を講じるべきか。外国企業の上場などについて、資料を用意させていただいています。

 それから、もう一つ、問題意識として、システム障害、2020年の東京証券取引所のシステム障害の際には、上場有価証券取引のほぼ全てが終日にわたり、停止する事態となったことなどから、レジリエンスを高めることが求められております。東京証券取引所においての課題のほうでございますが、取引時間の延長等を含め、レジリエンス向上のため、取組を進められています。再発防止策ですとか、あるいは、昨年10月に、レジリエンス等の向上に向けたプログラムをつくられていると思います。そのような中にこうした日本市場の取引時間の延長等が含んでいると思いますが、日本市場のレジリエンス向上に向けて、どのような追加的な取組を講じていくか。

 それから、挙げさせていただいたのはこうした論点ですが、これまでの取組なども踏まえ、その他、議論を行うべき事項はあるかといったことも示させていただいております。この課題に当たるものが討議事項にもなっておりまして、本日、御議論いただければと思っているところです。

 10ページ以降、御議論いただくに当たっての基礎的な資料を掲げさせていただいております。まず、10ページ目でございますが、上場株式等については、PTSが取り扱う場合に関して上限が設けられています。下の段、左ですが、PTSのシェアは1割弱に近い、7.6%ということになっています。市場間競争を促す観点から、上限を見直すべきであるとの指摘もあります。オークション方式については、右側にもございますが、取扱銘柄全体で1%、銘柄ごとに10%というような売買高の上限がありまして、他の価格決定方式とは異なる状況になっております。価格決定方式は、取扱銘柄全体で10%未満、あるいは銘柄ごとに20%未満となっております。

 11ページ目には、諸外国における市場間競争として、必ずしも取引所としての位置づけと代替的取引施設との位置づけや、各プラットフォーム内での数字が判然としていないところもあることが前提なのですけれども、各取引プラットフォームの占める割合ですとか、取引所外の取引の割合などについて、公表資料などから作成しております。いずれにせよ、取引所同士ですとか、あるいは代替的取引施設相互間において、市場間競争が行われているという現状がございます。

 12ページ目でございますが、いわゆる市場間競争の方式、売買方式に着目しまして、市場間競争はいろいろな角度があろうとは思いますが、売買方式というところでも、諸外国で、どういう競争が行われているのかというのを示させていただいています。一般投資家ですとかバイサイド投資家のニーズを踏まえて、多様な売買方式で一定のシェアを獲得しているということで、例えば、HFTなどの高速取引については、流動性の供給の評価もある一方で、バイサイド投資家などの中には注文の狙い撃ちなどを警戒する声などもありまして、こうした意向にも配意して、高速取引の優位性を低減する枠組みを導入している市場もあるという形での売買方式ということで、下にはNASDAQ等々を挙げております。例えば、長期投資家のニーズに配意して、連続時間ということでなくて、例えば10ミリ秒の待機時間経過後の価格の値付けをするであるとか、あるいは、例えばInvestors Exchangeのように、スピード・バンプですとか、あるいは、価格不安定時にシグナルを発するような仕組み、高速取引の優位性を低減する効果があるとされる枠組みがございます。それから、Members Exchangeにおける低コストのサービスですとか、Cboe Europeなどにおいても、同じように連続時間というよりも100ミリ秒以内のランダムでの注文受付時間というピリオディック・オークションを取り入れているようなものもありまして、この角度からの競争というのも考えられております。

 13ページ目でございます。多様な金融商品の流通の円滑化のあり方のトピックでございます。公募の証券トークン、外国株式についてですけれども、法律改正によって、証券トークンが金融商品取引規制の対象となることが明確化されております。公募の証券トークンも取り扱う取引プラットフォームやPTSを設立しようとする動きがございます。そのときに、どのような対応を投資家保護の観点からPTSや取引参加者に対して求めることが考えられるのかということが1つ、大きな課題であると考えております。

 2つ目の丸については、PTS市場の外国株式の取扱いについてはどうであろうかということでございます。

 3つ目の丸については、総論でございますが、適切な投資家保護の下で、多様な非上場有価証券が取引プラットフォームにおいて取り扱われるようにしていくため、今後、どのように対応していくことが考えられるのかという問題提起でございます。

 参考として、日本の証券トークンが、海外のデジタル取引のプラットフォームなどにおいて、取引が開始されているような例も挙げておりまして、日本での証券トークンを取り扱うプラットフォームの設立の動きなどと合わせて、海外のほうに載せていく動きというのも出てきていますということを示させていただいております。

 14ページ目は参考でございますが、証券トークンの管理、振替等で、証券トークンについては、売買マッチング、振替、DVP決済までなどをシームレスに処理する枠組みが構築されることで利便性が向上する可能性が指摘されているということで、現在は受益証券発行信託の受益証券などの権利義務関係が安定したものから実務上の取組が進められていると理解しています。こうした観点のほか、トークンの管理を行うシステムやネットワークに不具合が生じたときの利用者保護のために必要な対応の観点というのが、円滑な流通に向けてはあるのだと思っております。そうした観点、そして、その内数になるのだと思いますけれども、その運営に責任を持つ特定の主体の存在ということについて、どのように考えていくのかという点について、証券トークンの管理、振替などについて、例えば、公募の証券トークンなどを充実させていく上で、どのような点に配意していくのかという点があるのだと思います。

 続きまして、15ページ目でございまして、こちらは非上場株式の流通の円滑化のあり方で、こちらのほうは、昨年6月にワーキング・グループ第2次報告を受けまして、日本証券業協会においては、いわゆる取引所が開設するプロ向け市場以外にも、特定投資家私募制度を利用できるよう、関連規定の整備が進められております。これに関係して、特定投資家向け有価証券、特定投資家私募制度に基づいて発行される有価証券について、電子的に取引のマッチングを行う場合、全てPTSに該当するのではないかという懸念が示されていて、PTSの該当については、法律上、同時に多数の者を当事者として売買等を行わない場合には該当しないとされているところをどのように対応するのかというところや、株主コミュニティ銘柄については、どう考えるかといった問題がございます。

 それから、もう一つのお話といたしましては、PTSが特定投資家向けの有価証券を取り扱うことは禁止されておりますが、今後、PTSにおいて、そうした有価証券を取り扱うニーズが生じることも考えられまして、どのような点に留意することが考えられるかということでございます。

 16ページ目でございますが、先ほど冒頭でも申し上げました、国際金融センターの話でございまして、取引所のほうでも促進されている動きだとは思いますけれども、外国企業による日本の取引所への上場ということで、こうしたスキームは外国籍の企業が日本籍になるというパターンも含めて、スキームが複数あるところ、これらの利用促進に向けて、どのように取り組むことが考えられるかということで、外国籍のまま上場するということについて申し上げますと、直接上場ですとかJDRといった事例がございます。他方、日本籍で上場するということで申し上げますと、日本法人の設立などを介しまして上場が行われていくということで、それぞれ事例が出ております。

 17ページ目でございますけれども、レジリエンスの話でございます。日本の上場有価証券取引の大部分は、取引所が保有する特定のシステムにおいて処理されておりまして、単一障害点となっていると指摘されております。2020年10月の東京証券取引所のシステム障害の際には、同一システムを利用する地方証券取引所を含めまして、ほぼ全てが終日にわたり、停止する事態となりました。冒頭にも申し上げましたが、ここの下にありますように、東京証券取引所のほうでは再発防止策の対応策の公表とともに、参考資料の8ページに載せさせていただいていますが、市場のレジリエンスと利便性のさらなる向上に向けてということで、現物市場の機能強化に向けたアクション・プログラムをつくられ、取引時間の延長などについて、レジリエンスの観点から示されているところと理解しております。

 こうしたものは進められているとして、どのようなことをさらに考えていくべきかということで、冒頭、少し申し上げました、PTSという観点というのも1つ、議論の素材となるのだと考えております。海外ですと、取引参加者に対して、主市場の停止時には代替市場に注文できるように体制整備を求めている国もあるということでございまして、下にオーストラリアの例を示させていただいております。

 以上、議論の基礎となる資料について御説明させていただきました。討議事項については、先ほど御説明いたしました課題の部分に対応するところでございますが、太字のところだけ申し上げますと、市場インフラに求められる役割と日本市場の機能向上ということでございまして、どのように取り組んでいくかご議論いただければと思います。市場間競争の促進という観点、それから、多様な金融商品の流通の円滑化のあり方、国際金融センター機能の向上という観点があろうと思います。また、今、御説明しました日本市場のレジリエンス向上や、その他の論点として議論を行うべき事項はございますでしょうかということでございます。

 私からの説明は以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、今の御説明を踏まえて、皆様方から御質問、御意見をお出しいただければと思います。今、御説明にありましたように、資料の最後のページ、18ページに討議事項として一覧がありますので、適宜御参照いただければと思います。

 いつものことで恐縮ですけれども、多くの委員の方々に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間としましては、大体、お一人当たり5分程度を目安にしていただければと思います。4分を過ぎますと、事務局から発言時間、残り1分である旨のチャットを、発言しておられる委員のみに送付させていただきますので、御参考にしていただければと思います。

 それでは、御質問、御意見につきまして、まず、委員の方からお伺いし、その後、オブザーバーの方々にもお伺いする機会を設けたいと思います。チャットに全員宛てに入れていただければありがたく思います。今、チャットをいただきまして、ありがとうございます。上柳委員、どうぞお願いいたします。

【上柳委員】 
 恐れ入ります。ありがとうございます。

 討議事項の全体に関わると思うのですけれども、総論的な視点を1つだけ述べさせてください。PTSも含めてなんですけれども、市場の多数化と言いますか、多様化が進むとすれば、従来以上にそれぞれの市場のシステムの安定性と信頼性はもちろん、それは広い意味でのレジリエンスだと私は思っているのですけれども、それに加えて、それぞれのシステムとその運用が公正、公平であること、透明性が確保されなければ、公正な市場価格の形成ももちろんできませんし、投資家の信頼、あるいは世界からの信頼も得られないと思います。

 このようなレジリエンス、あるいは公正、公平、透明性の実効性を確保するためには、各システムが自律的にきちんとやっていただくとともに、自主規制も含めてですけれども、レギュレーターサイドと言いますか、規制当局による監督監視の工夫が必要だと思います。とりわけレギュレーターの人材確保ですとか、御指摘がありましたけれども、デジタル化への対応、あるいは、デジタル技術の活用が重要だと思います。

 あわせて申し上げたいのは、万一であってほしいですけれども、どこかの市場で不具合があったり、あるいは不正があったりして投資家、そのほかに被害が発生した場合に、その被害を救済するためのいわゆる民事訴訟制度の充実、あるいは、活用できるような基盤整備がもっと検討されるべきだと思います。例えば、これも従来から申し上げていることですけれども、本当に改めて、今の時点でレギュレーターの方々、規制当局が監督監視の過程で取得されたデータを民事訴訟でも活用できるとか、あるいは、民事訴訟において、いわゆるクラスアクション的な集団訴訟制度の導入なども真剣に検討されなければいけないと思います。

 以上、申し上げたことは、市場制度設計の当然の前提で、問題はそれぞれ、どう具体化するかということだと思いますけれども、改めて市場間競争はレジリエンス、公正公平、あるいは透明性をいかに実効的に、かつ、社会的な費用を含めて効率的に提供できるのか、これらを総合して、顧客が市場を選択するという競争であるべきだと思います。

 一言だけですけれども、PTSについては、取引所よりもシステムとしては軽量かもしれないけれども、例えば、我がPTSは、このような限定的な商品、あるいはサービスについては、顧客に対して自信を持ってレジリエンス、公正公平、透明性を確保しつつ、提供できるのだと、そういう競争であるべきだと思います。

 以上、市場の多様化に関する制度構築に当たって、常に念頭に置かれるべきことを申し上げました。以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。多くの方からチャットをいただきありがとうございます。その順番ですと、有吉委員、佐々木委員、神作委員の順になると思います。有吉委員、どうぞ、お願いいたします。

【有吉委員】 
 有吉でございます。私からは上場株式、セキュリティトークン、非上場株式、それから外国株式のそれぞれの取引について、少しずつコメントさせていただければと思います。

 まず、上場株式に関するPTSの取扱いということでございますが、投資家の側、その中でも、HFT業者や、機関投資家などのプロの投資家が日本市場において、具体的にどういったニーズを持っているのかということを十分に酌み取って、どのような売買方式が日本の市場において求められているのかといったことをうまく把握していただき、その上で制度設計をしていただきたいと感じております。そういった実態把握の上で、売買高の上限などの規制が、求められているサービスの妨げになっているということであれば、サービスの柔軟性を高める方向での規制緩和を、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 次に、セキュリティトークンの関連でございますが、セキュリティトークンについて、電子的に発注情報を掲示して取引を行うといったことが可能になるプラットフォームサービスが、規制面において利用できるような形で制度整備をすべきだと強く思っております。こういった取組は、日本市場の国際的な競争力の向上にもつながっていくのではないかと考えます。その際、現行法でのPTSの枠組みによるのか、PTSに該当しない店頭取引として一定の範囲の取引を認めるのか、あるいは、その両方の制度を用意するのかといったことについては、ここも実務の具体的なニーズをうまく酌み取れるよう、実態把握を進めていただきたいと思います。

 他方で、私募の商品はさることながら、仮に公募の商品であったとしましても、セキュリティトークンというのは、非常に多様な類型の商品が組成され得るという性質のものでございますので、無制限に一般投資家が投資できるようになってしまうということは、詐欺的な事案等で当事者被害が生じて、その結果、まっとうなセキュリティトークンの商品を含めて、そういった商品一般の信頼が毀損してしまうといったことになりかねないように思います。そういった事態を防ぐためにも、特に一般投資家が参加し得るプラットフォームについては、投資家保護という観点が十分に図られるよう、制度設計を検討していただきたいと思います。

 それから、3点目、非上場株式の関連でございますが、こちらについても、特定投資家向け私募などによって発行された非上場株式の取引を広げることは、次回のテーマかもしれませんが、成長資金の供給にもつながるものであると思いますので、参加できる投資家が特定投資家に限定されるような仕組みが備わっていることを前提に、電子的な取引プラットフォームでの取扱いが可能になるよう、制度整備を進めていただきたいと思います。この点についても、PTSの枠組みがよいのか、店頭取引の仕組みを拡張していくほうがよいのかということについては、セキュリティトークンのケースと同様、実際のニーズをうまく把握していただきたいと思います。

 最後に、外国株式の関連でございます。外国企業による日本の取引所への上場が進むということは、もちろん好ましいと感じておりますが、結局のところ、外国企業が日本で上場することにメリットを感じるかどうかという問題に尽きるように思います。そういった意味で、まずは日本で上場している外国企業がどういった目的で、あるいは、どういったメリットを感じて日本で上場しているのか。また、日本で上場を検討したもののうまくいかなかった、断念してしまった外国企業というものを見つけ出して、何が障害であったかといったことをうまく把握して、メリットの面、それから課題の面を洗い出していただきたいと思います。

 その結果、例えば、日本語の問題であるとか、日本の会計基準の問題が大きな障害になって、なかなか進まないということなのであれば、そういった分野について、経済的なサポートを行うとか、そういった政策的な取組もぜひ御検討いただきたいと感じております。

 私からは以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】 
 ありがとうございます。それでは、非常に大きい観点から意見を述べさせていただきます。

 PTSについてなんですけれども、既存の取引所と補完的にしたいのか、それとも代替的なものにして競争を施したいのかという点につきまして、明らかにしていただくとわかりやすいと思いました。今は、PTSは夜間取引ができるといったように、いろいろな意味で補完的になっている部分が大きいかなとは思うのですが、補完的にするのであれば、PTSを東証などと似たようにする必要はないと思います。あるいは、競争的にするのであれば、どんどん制限を緩和して、または必要に応じて規制を強化して、東証と似たものをつくっていくという形になると思います。現状から見ると、もう少し制限を緩和してもいいのではないかということかなとは思いますが、お話をお伺いして、補完的な市場にしたいのか、代替的な市場にしたいのか、どちらが重要なのかというあたりが、いま一つ分からなかったので、そこをはっきりさせていただくと非常に議論が整理されて分かりやすいのかと思いました。

 また、障害発生時の対応ということで、例えばオーストラリアとかでは、主市場の停止時には代替市場で注文できるよう対応しているということですが、もちろん基本はそれぞれの取引所でしっかり対応してほしいということだと思いますが、もしいくつか取引所があることで、それを何かあったときのために用いるということを考えるのであれば、当局が中心となって、実際それぞれの市場が互いに何かあったときに代わりに使えるような形になっているかというデザインみたいなものが必要だと思います。

 例えば、ほかのところとかでよく見られることなのですが、関東地方が地震で機能しなくなったときに、関西にサブシステムを置くということがあります。似たようなものが似たようなときに駄目になってしまうのでは意味がないので、本当に一つが駄目になったときにもう一つが代わりに働くのかどうかといった見地からも検討して、デザインしていくことが必要なのかと思いました。

 以上です。どうもありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に神作委員、どうぞ、お願いいたします。

【神作委員】 
 御指名ありがとうございます。神作でございます。

 私は、市場間の競争促進及びPTSとそれに対する監督の在り方について、御発言申し上げます。市場間競争を促進することには、市場の活性化、イノベーションの促進、投資者利便の向上、リスク分散、市場全体の向上性、強靱性の向上など様々なメリットがあると思います。他方、PTSの売買高等の制約を緩和していけばいくほど、PTSと市場の機能がますます近づいてきますから、レベルプレイングフィールド、すなわち、公正な競争条件をそろえるということが必要になると考えられます。その場合に、PTSと取引所に共通する特徴としては、多数当事者の売買に係る需要が突き合わされて、明確なルールに則って当該市場、またはシステムの中で売買契約が完結し、かつ市場価格がつき、市場価格が監視され、コントロールされるということが中心的な要素になると思われます。反対に、このような観点から、PTSと、それ以外の電子的な取引システムとを区別することが考えられるように思われます。

 PTSによって、非上場の金融商品が流通する場合には、先ほど述べた市場、またはシステムにふさわしいものとなるよう、そもそも秩序だった取引ですとか、価格付けの対象になり得るような金融商品が取り扱われるということが確保されなければならないと思われます。そのほか、取引の仕組み自体が投資者への差別的取扱いにならないようにすること。そして、投資者が平等、公平に取り扱われるということが確保されること、価格が公表されること、明確で公正なルールを策定し、変更するための手続が確保されていること、市場価格の急変などから市場を守るための措置が講じられていること、利益相反の防止、リスク管理体制の整備など、PTSを運用する業者に対する規制を、いま1度、総合的に見直す必要があると思われます。もっとも、最終的にはそのような方向というのが1つ想定されると思いますけれども、競争条件の確保とPTSに対する制約の緩和もしくは除去については、実務、実態に鑑み、漸進的に進めていくということが現実的であるように思われます。

 また、御説明の中にございました、証券トークン、セキュリティトークンの管理から売買マッチング、振替、資金決済、これをシームレスに処理する電子的なスキームにつきまして、一言コメントさせていただきます。法律関係を安定させるためには、そこで取引されている金融商品が、当該スキーム、システムの中で完結的に取引され、決済されることが重要であり、言わば、閉じられた世界を構築することが重要になると思われます。社債株式振替法は、有価証券法理を機能的に取り入れて、善意取得などの私法上の法的効果についても詳細な規定を置いており、監督法のみならず、民事法の観点から様々な規定を設けています。これは証券トークンに係る取引システムの1つのモデルになると思います。

 ただし、証券トークンに表示された権利の性質や内容は様々であり、それに応じて、民事法上の規律も区々別々になりますから、一律の規律を行うということは困難であると思われます。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次は福田委員、原田委員、野村委員の順になると思います。福田委員、どうぞお願いいたします。

【福田委員】 
 ありがとうございます。事務局からは非常に詳細な資料をありがとうございます。非常に有益な資料だったと思います。私も市場間競争上で、市場の活性化は非常に重要でメリットも大きいとは思います。ただ、その際の投資家保護と、いろいろな配慮も必要で、そういう点での御検討は皆さんも御発言のように、非常に重要だと思います。

 その際、私の視点として重要なのは、投資家には様々なタイプがいるということです。ある意味で、プロの投資家もいれば一般の投資家もいる。それぞれの投資家の保護に対して配慮するということだと思います。例えば、PTSを例に挙げさせていただきますと、時間帯によって、投資家のニーズというのはかなり違ってくるのではないかと思います。取引所が開いている時間帯でのPTSの参加者というのは主としてプロなのではないかと思います。取引所でも取引できるのに、そこで鞘を抜くというのは、一般の投資家は基本的にはできないと思いますので、基本的にはプロの投資家が参加する時間帯なのではないか思います。他方で、取引所が閉まっている時間帯に関して言えば、一般の投資家にも、かなりのニーズが潜在的にはあるのではないかと思います。

 特に、私も含めて、昼間働いている人たちは、昼間取引所で株を売買するというのはなかなか難しいわけです。けれども、夜にじっくりと株の売買をするということは、PTSのナイトタイムセッションでもできるわけです。また、夜の時間帯であれば、海外からの情報というのがいろいろ入ってくる時間帯でもあります。PTSはそういった時間帯でも取引できるというメリットがあって、これは一般投資家でもやってみたいと思う方はいるのではないかと思います。さらには、外国企業が日本の市場に上場している場合、外国企業の本国の時間帯というのは、当然、日本の夜の時間帯になったりするケースもあります。そういった取引なんかも、PTSのナイトタイムセッションに一般投資家も含めてニーズはあるのではないかと思います。

 そういう意味では、同じPTSでも時間帯によっても取引者が違ってくるということもありますので、売買高の制限等も含めて、どういうタイプの投資家なのかということも考えて、きめ細かな規制、あるいは投資家保護の視点というものを構築していくということが大事なのではないかと思います。

 私からは以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、原田委員、どうぞお願いいたします。

【原田委員】 
 ありがとうございます。私のほうからは、市場インフラ機能の向上に関してと、株主コミュニティ制度に関して、それぞれ意見を述べさせていただきます。

 まず、市場間競争の特徴という点で、今日の資料でも、東証とPTSという議論になっているかと思います。時代を遡りますと、資料2のほうで、1990年代の議論とか、2000年に入ってすぐくらいの議論があります。資料2のほうの1990年代の議論ですと、取引所に集約されてきたけれども、今後はPTSの活用も予想されると書かれています。そして、2003年の議論ですと、東証に集中するのは、市場参加者が流動性を求めた結果であって、市場間競争を促進するには有力な対抗勢力が存在したほうがいいと。そのほうが、東証自身も効率経営に向けたインセンティブが働くからよいと書かれていまして、ここで言う有力な対抗勢力というのは何だろうと考えました。PTSではなく、地方の証券取引所でもなく、恐らく大阪の取引所のことだったのかと考えました。

 皆さん御存じのように、東証と、ライバルだった大証は経営統合しまして、今、日本取引所グループになっています。今日の資料にもチャートがありますけれども、国内には、まだ名古屋、福岡、札幌にも証券取引所が残っています。3つの取引所ですけれども、残念ながら、今、ワーキング・グループで議論している市場間競争の議論の中には入ってきていないという状況です。一つの理由としては、それぞれの市場のシステムは、今は東証のシステムを利用しているということも理由としてはあるかと思います。地方の取引所からあまり声も聞こえてきませんので、今後も独立を維持するかどうかの意思が強いのかというところも、よく分かっていません。さて、日本市場のレジリエンスの向上という観点で、追加的な取組をどうするかという議論も書いていただいているところであります。その中に、地方の取引所の役割を何か見いだすことはできないだろうかと思っております。売上高で見ても営業利益で見ても減少している地方の取引所で、今後も回復するということは難しいと思いますので、東証のシステムを利用していまして、立地は地方にありますので、先ほど佐々木委員がおっしゃったような観点で、地震など災害の際に、地方の取引所をうまく活用するという方法はあるのではないかと思います。ですので、統合しないなら、レジリエンスの向上という面から、地方の取引所に役割は見いだせないだろうかということを意見として述べさせていただきます。

 あと、ワーキング・グループで議論されている市場間競争の促進という観点からは、これは何人かの委員の方もおっしゃっていましたけれども、上場株式に関するPTSの売買高の上限などの規制は、この上限を緩めることは必要なのではないかと思います。オークション方式の取引高に関する上限が導入された経緯、なぜ上限が導入されたのかというところが分かるようでしたら、教えていただきたいと思います。

 そして、2点目、株主コミュニティ制度になりますが、投資家の勧誘の対象を広げるということは純粋に参加者を増やすことにつながりますので、活性化策の1つになり得るだろうと思いますし、現状、考え得る施策としてはよいと思います。ただ、一方で、参加する証券会社が少ないというのも、現状の問題の1つとしてあると思います。株主コミュニティの制度は地方経済の活性化につながる役割も担っているということを考えると、地方銀行傘下の証券会社などにも入ってもらえるようになれば、もう少し活性化につながるかと思います。上場株だと、配当ですとか株主優待もありますので、株主コミュニティ制度でも優待などを導入していけるようになれば、地域住民にメリットのある株主優待などを提供でき、よりよいのではないかと考えます。

 あと、株式型クラウドファンディングという制度も今はありますので、目的が違うと言えば違うかもしれませんけれども、宣伝ですとか認知度向上策などで株主コミュニティ制度と何か一緒にできるようなことがあれば、より制度の認知という点でもいいのではないかと考えました。資金調達側からも、投資家側からも比較検討できるのはよいはずです。

 私のほうからは以上になります。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。御質問があったと思いますけれども、お願いします。

【島崎市場課長】 
 当時の審議会の報告なども活用しますと、自主規制機能ですとかガバナンス等ですとか、資料のほうにも載せさせていただいていますが、そういったものを勘案して、PTSについては一定以上の取引量となる場合には免許取得を義務づけることとし、取引所市場とPTSは取引量という量的基準による区別の導入が適当であるとしたと思いまして、恐らくお尋ねは、なぜその量だったのかということだと思うのですけれども、それは、当時の他の取引所の量ですとか、その他の状況も勘案して決めたものなのだと理解しています。

【神田座長】 
 よろしいでしょうか。もともとPTSは、オークション方式はなかったですよね。

【島崎市場課長】 
 はい。まず、順番から言いますと、オークション方式が認められていなかった状況から、そこの点についても記させていただきましたが、その点については認めてもいいのではないか、価格決定方法を法令で限定せずということで、2ページ目の資料にございますが、それは認めた上で量的なものを設定することになり、機能とそれにかかっている規制とに着目して、量的基準を設けました。その水準については、そのときの他の取引所の状況等もいろいろ勘案しながら決めたものと理解しています。

【神田座長】 
 原田委員、よろしいでしょうか。

【原田委員】 
 ありがとうございます。

【神田座長】 
 そういう意味では、おっしゃるように、さらに緩和の方向を志向するというのは自然な流れと言えるかもしれませんね。ありがとうございました。

 それでは、次に進ませていただきます。チャットの順番で申しますと、野村委員、松尾委員、松本委員、森下委員、井口委員になると思います。野村委員、どうぞお願いします。

【野村委員】 
 どうもありがとうございます。野村でございます。私からは全体的な議論の枠組みのようなお話と、それから、討議事項の内容に沿ったコメントをいくつかさせていただければと思います。

 まず、全体的な話でございますけれども、市場インフラ機能の向上に向けた全体像のようなものを定めて、そこに向かって短期的に必要な対応、そして、中長期的に対応せねばならないこと、こういった議論の枠組みがあるといいのかと思います。

 これまでもいろいろな改革をしてきたわけですけれども、残された課題が何なのか、そして、それを改めながら、どのような市場の構造を目指していくのかということ、これが定まっていないと、何のために制度を変えて、何に向かって制度を変えていくのかが分からなくなってしまうことが懸念されるからです。そういった目指すべき姿のようなものを踏まえた上で、何をすぐやらなくてはいけないのか、何が少し時間はかかるけれど頑張って進めていく必要があるのか、そういう整理をするとよいのではないかと思いました。

 もちろん幅広い参加者にとって、市場の利便性が向上する、これが非常に重視されるというのは全くもって同意いたします。また、競争なくして成長、発展が難しいというのが現実的なところだと思いますので、その認識の下で競争促進が求められると、これも理解できます。そういたしますと、今の市場の構造が適切なのか、もっと言ってしまうと、東証に非常に多くのものが集中している、この状況がよいのだろうかという課題、また、レジリエンスの観点からもこういう集中が大丈夫なのかという課題認識になるのかと思います。

 仮に競争促進の前提として集中が問題だという認識だといたしますと、今、原田先生からも御指摘がありましたけれども、地方証券取引所の議論というのはなくていいのだろうかと、まず、思いました。つまりPTSをめぐる論点だけでいいのだろうかということです。また、PTSがさらに大きくなったら、どうするのか、つまり、どのような全体のバランスを想定していくのか、志向していくのかと、そういう全体像が必要なのではないかと思います。また、投資家は投資判断を踏まえて取引を発注していくわけですけれども、そのときに、一定のロジックがあり、機関投資家であれば、その一番の根幹にあるのは受託者責任であると思います。それに基づいて、業者に対して裁量執行義務の履行を求めてくるということになると思います。言うなれば、米国はこのようなロジックが競争促進の牽引力のようになったのかと理解しておりますので、この議論というのは投資家の裾野拡大ですとか、資産運用の高度化の議論とも密接につながってくるものだと思います。

 さらに言うならば、取引所が提供する上場審査を含めた機能、その他自主規制機能の話も本日、御説明にもありましたけれども、これを全体としてどうやって構築していくのかという議論も併せて出てくるのではないかと思います。例えば、米国では、御案内のとおり、かつてNYSEレギュレーションとNASDを統合してFINRAにしたといったことが行われているわけですが、そういった全体的な規制の機能をどのように構築していくのかというのも論点になってくるのではないかと思いました。

 また、ポスト・トレードも御説明では言及がありましたけれども、これも、それ自体を制度として議論する必要があるのではないかという点、そして、流通市場活性化の観点から取引対象をいろいろと議論するというのは賛成なのですけれども、PTSでセキュリティトークンという話に飛んでしまう前に、債券市場とか先物市場の話はなくてよいのだろうかと思います。非上場株式というのは、基本的には流通を前提としていないわけですので、これをある程度流通させるとなると、本当にポスト・トレードなどいろいろ含めた、大がかりな話ではないかという気もいたしまして、その辺りは確認が必要なのかと思いましたし、フェニックス市場や上場廃止銘柄の受皿といったような議論も併せて、しなくていいのかなとも思いました。要するに、いろいろ申しましたけれども、市場インフラ機能向上に向けた全体像がある程度、必要ではないかと思いました。

 最後に、討議事項のページに沿ったコメントでございますけれども、PTSの売買高の上限緩和については、これは競争促進の観点から緩和が必要だというのは理解いたします。ただ、どの程度まで、どういうロジックに基づいて緩和するのかという考え方、これは非常に重要だと思います。かつて1%、10%を入れたときは、その当時の実情などを踏まえてと、先ほど課長はおっしゃいましたけれども、そういうことも適宜、参考になるのか、ならないのかも含めて、何かしらのきちんとしたロジックが必要ではないかと思います。それは市場の全体の構造をどのようにしたいのかということにも関わると思います。

 また、セキュリティトークンは、それ自体が非常に大きなトピックですので、流通の話だけを切り出してやるのがいいのかという違和感のようなものもありました。これは次回以降の話にも関わるかもしれませんけれども、セキュリティトークンをめぐって、ユーザーサイドから一体何が求められているのか、これをきちんとヒアリング等をして踏まえた上で議論されるといいかと思います。また、非上場株式は先ほど申しましたとおり、非常に大きな話かと思いますし、そこでの投資家保護と挙げておられますけど、どういったことをイメージされているのかと思いました。

 最後に、ここでおっしゃっているレジリエンスですけれども、基本的にレジリエンスとは何なのかということもあろうかと思います。売買機会を提供し続けるということもあるかと思いますし、価格発見機能を維持していくとか、いろいろあると思うのですけれども、レジリエンスとは何か、何を意味しているのか。自然災害発生時にどういう対応をするのかというのは、今まで複数の委員が御指摘のとおりで、そういった場合の対応も入ってくるのだろうかと思いました。

 いずれにしましても、複数の非常に重要なトピックが多数盛り込まれておりますので、それぞれについて、きちんと議論していくのが大事かと思いました。

 私からは以上です。どうもありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松尾委員、どうぞお願いいたします。

【松尾委員】 
 ありがとうございます。松尾でございます。

 私からも市場間競争の促進と、それから多様な金融商品の流通の円滑化について、意見を申し上げます。

 まず、市場間競争の促進については、これは重要であるということは既に御指摘のとおりかと思います。その点では、新規参入者にとっては、取り扱う金融商品、もしくは売買方式の点で、既存の取引所等と差別化を図れるのでないと、なかなかシェア拡大が難しいということなのかと理解しまして、本日の御説明も売買方式の選択肢を広げるとか、あるいは、取り扱う金融商品の幅を、選択肢を広げるという方向が示されていたものと理解しました。そのうちの売買方式についてですけれども、多様な選択肢を置くというのはよいことだとは思うのですけれども、これも既に御指摘があったところですが、本来は、日本で取引を希望する投資家の側から、現状の売買方式に対する不満ですとか、別の売買方式でのニーズというものが出てきて、それに応えたいというPTSの運営者等が、何か規制が邪魔になっているので緩和してほしいとか、明確化してほしいということが出てきて、そこに応えるための規制の見直しをやるという順序になるのだと思います。そういう意味では、まずは投資家のニーズであったり、PTS運営業者のニーズを把握したいということになるかと思います。

 参考例として示していただいた諸外国の例、そこに示されている売買方式については、日本の投資家にもニーズがあっても不思議ではないと思いますので、ぜひニーズの把握をしていただきたいと思います。それから、オークション方式での取引額の上限の緩和については、何か具体的な緩和をしてほしいという指摘があるという御説明であったかと思いますので、まずは上限の見直しについてから手始めにと言いますか、取りかかるべきであろうかと思います。

 続きまして、多様な金融商品の流通の円滑化についてですけれども、証券トークンを含む、非上場の商品をPTSで扱うということになりますと、これまでPTSが必ずしも担ってこなかった上場審査と言いますか、どういう商品を自分のところで扱うことにするのかというところが新たに加わってくるかと思います。特に証券トークンですとかについては、一般投資家は、特定のPTSなりプラットフォームで取引されていると、だから大丈夫だということで信頼して取引に入ると、そういうことも予想されるところですので、PTSなりプラットフォームで扱う商品を選択すると言いますか、そういったことをするようになるのであれば、そこに対する規制、上場審査についての自主規制的なものほど重くなくてもいいとは思いますけれども、そういった商品選択という役割を適切に果たすこと、それを確保するための規制が必要になるのではないかと思いました。

 また、同じようなことですけれども、こういった商品については、決済、精算まで一貫してシームレスに行うということですので、現在、PTSはそういった清算については外部に委託しているかと思います。それを自前で何かしら扱うことになれば、清算の部分が確実に行われる、投資家保護の観点からは、そこは非常に重要かと思いますので、そのような清算に関して期待される機能を果たすための規制というのも必要になるのではないかと思います。

 最後に、特定投資家向け有価証券の電子的なマッチングシステムが全てPTSに該当するものでないことを明確化するということですが、これは何かセーフハーバー的なものを設けるという御議論かと思いますけれども、特定投資家向け有価証券の取引、あるいは特定投資家向けの私募というのは、プライベートエクイティへの資金供給を拡充する上で非常に重要になると考えておりますので、行く行くは私募、発行の場面からセカンダリーの取引のところまで一貫して行うようなプラットフォームと言いますか、そういったシステムができるということを見越して、規制の方向を考えていただきたいと考えております。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に松本委員、どうぞお願いいたします。

【松本委員】 
 ありがとうございます。私からは、PTSの売買高の上限と売買方式の選択肢の拡大について、コメントさせていただきたいと思います。

 まず、PTSの売買高の上限につきましては、現状でもPTS業者が2社、合計のシェアが7.6%であれば、売買高の上限設定のために、オークション形式が形骸化してしまっていると思いますので、投資家ニーズに応えて活用を促すのであれば、上限を引き上げるというのは、方向性としては、私は賛成です。しかし、そもそも当時、上限を設定した理由が何だったのかというのは、私も詳しくはないのですけども、例えば、障害が発生したときのインパクト、悪影響を制限するという目的であったならば、本質的には、売買高の上限設定よりもPTSのシステムや体制のレジリエンスの向上と監視監督の強化を先に考えるのが自然ではないかと考えます。

 次に、諸外国の売買方式につきましては、各取引所とも様々、工夫がされておりまして、非常に興味深く拝見いたしました。日本においても、売買方式を取り入れていくというのは、様々な投資家ニーズに応えていくという上で検討の余地があると考えております。特に、日本において取り入れるならば、後発のメリットとして、これらの売買方式が実際にどの程度、活用されているのか、活用のメリット、実際にどのような問題点が発生しているのか否か、そういったところを詳しく精査して、よいところを日本の投資家の特性に合わせて取り入れていくのがよいのではないかと感じております。

 少し気になったのは、売買方式の中にはHFTなどの高速取引の優位性を低減するものが散見されたわけですけれども、HFTの弊害はいろいろあるとは思うんですが、中には、いわゆる見せ板と言われるようなことが、今はどれぐらいなのか分かりませんが、私が取引をしていたときは、かなり頻繁に行われておりました。簡単に言いますと、寄付や引けで大きい注文が入っているように見せかけて、直前でキャンセルを0.何秒でしてしまうといった、とても人間ではできないことをプログラムできてしまうのですが、こうした行為は、投資の意思決定を錯誤、誤認させるという非常に悪質な行為だと考えておりますので、こういった点につきましては、売買方式で対応するよりも、まずは規制を厳しくするということも、先に検討すべきことではないかと考えております。

 私からは以上となります。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、森下委員、どうぞお願いいたします。

【森下委員】 
 ありがとうございます。いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。

 まず、市場間競争との関係ですけれども、市場間競争はあったほうがいいと思うのですが、ただ、現状、PTSが育っていないというのが日本の大きな課題のように思います。その際のネックが、取引の上限ですとか、あるいは方法に関する制限ということで、なかなかフィージブルにPTSのビジネスがやりにくいということなのであれば、見直すということは十分考えられるのではないかと思っております。上限を設けたのは、PTSにあまり高度な価格形成機能を持たせないようにしようということが、1つ大きな理由であったと理解をしておりますけれども、例えば、上場株式についてのオークション方式について、これを例えばほかの売買方法のスケールとそろえるというのは、1つ緩和の在り方だと思うのですけれども、それによって、大きな価格形成に関する点でのゆがみというものが生じないのであれば、そういった形で緩和するということは考えられるのではないのかというような気はいたします。

 売買方法については、少しずつ、少しずついろいろメニューを増やしてきたという経緯があるかと思いますけれども、売買方法について、制約がないような国もあると理解をしておりますし、先ほどの御説明では、諸外国でもいろいろと工夫をされているということがありました。いろいろなテクノロジーなども進んで、売買価格の形成方法、しっかりとした透明性ということは大事だと思いますけれども、可能性も増えてきているのであれば、ここは、例えばプリンシプルベース的な考え方に立って、限定列挙という規制の方法から1つ転換を図るということがあってもいいのではないかと思います。

 なお、PTSが育って、いろいろなマーケット間の競争が激しくなってくると、今度は最優良執行方針というようなものがしっかりと実現されていくことや、あるいは、異なる市場間の情報が容易に共有されるといったことも、その先にある課題として大事なのではないかと思います。

 次に、証券トークンについてです。証券トークンに関しては、今までほかの委員からもお話があったように、多様なものが出てきていると思いますし、流動性、セカンダリーのようなマーケットを必要とする流動性の度合いなども様々なように思います。ただ、流動性が期待されるようなトークンが出てきている、あるいは出てくるであろうということは確かなことであって、そういったものについて、マーケット、市場が整備されていないというのは問題なように思います。市場があることによって、価格の透明性が増すということもあって、逆に、投資家の保護ということにも資するような気もいたします。

 ただ、そういう証券トークンなどについての市場は、PTSは多分、上場株式における補完的な役割ということではなく、先ほど松尾先生もおっしゃったと思いますけれども、場合によっては、主たるマーケットということになるわけですから、そこで取り扱われているということにより、信用付与効果というものが生まれてくるのだとすると、ある種、上場機能、上場に準ずるような何らかの審査ということについてのルールをプラスアルファした上で、そういう役割を担っていただくということが十分考えられるのではないかと思います。

 なかなか、いろいろな多様なものがあるし、テクノロジーもどんどん進化するとか、いろいろなことがあると思いますので、細かな規制を逐一、リストアップするというのは難しいかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたが、プリンシプルベース的なもので、こういったものを認めていくということがあってもいいのではないかと思っております。

 なお、私法上の問題についても、資料の中でも言及されています。社振法というのは1つのモデルだと思いますし、市場における取引が、ファイナリティーなどを持ちつつ、しっかりと動いていくというためには、やはり私法上のルールの整備も大事だと思います。一定のそういった機能を果たす、あるいは要件を満たすようなPTSに乗っかっているトークンだけでもいいと思うのですけれども、そういったトークンについては、例えば、トークンの所在についての記録が、有価証券などの紙の所持と同じような法的な効果を持ちますというぐらいのことを、ある程度クリアにすることができれば、それでも大分変わってくると思います。

 確かに、トークンの中身もいろいろだと思いますけれども、証券と同じですというところを、例えば、PTSに関するルールの中で書くことができるというだけで、大分実務に対するインパクトも違ってくると思いますので、そういうことも含めて、この機会に御検討いただくのがいいのではないかと思います。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、井口委員、どうぞお願いいたします。

【井口委員】 
 ありがとうございます。私のほうは、事務局資料の18ページの論点の市場間競争の促進というところの①と②について、コメントいたします。

 ①のほうにつきましては、市場間競争を促進するという観点から売買高の見直しというのは、1つの施策と思っております。ただ、この結果として、PTSの資本市場全体に対する影響力が高まるとか、あるいは、PTSに参加する投資家が増えるということを考えますと、資本市場の健全性を確保する観点から取引所に求められる投資家保護の規制の仕組みというのも一定程度導入していく措置も併せて必要ではないかと思っております。

 あと、②の利用者ニーズに対する対応というところですが、取引所が様々なサービスを提供するということは投資家の利便性に資するとは思っております。ただ、PTSは流動性が乏しいということもありまして、どこまでいっても投資家、機関投資家が主体的に売買する市場とはなり得ないという可能性もあると思っておりまして、こういった特色のあるサービスとか、あるいは資料の15ページにありますような未上場企業の売買の仲介といったことをPTSが担っていくということも検討の余地があるのではないかと思っております。

 簡単ではありますが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 以上で、今日、最初から御参加いただいている委員の皆様方からは全員の方から御意見をいただきました。途中から御参加いただいている松岡委員、もし御意見等ございましたら承りたいのですけれども、いかがでしょうか。

【松岡委員】 
 ありがとうございます。発展的な市場となるために、先ほども御指摘がございましたとおり、様々な投資家のニーズに応える形で、また、グローバルな比較も視野に入れながら、お進めいただけるのがよいのではないかと思っております。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、次にオブザーバーの皆様方から御質問、御意見があれば承りたいのですけれども、今、チャットをいただいております、日証協オブザーバー、野村證券の飯山さん、どうぞお願いいたします。

【飯山オブザーバー】 
 野村の飯山です。お時間いただきまして、ありがとうございます。多くの意見が出ていますので、簡単に1点だけお話ししたいと思います。

 市場インフラ機能の向上というのは、2つ観点があると思っていまして、1つは発展性とかイノベーション、要は新しい商品を上場するといったこと、もう一つは信頼性ということがあるかと思います。これは、システムを止めないというのも1つですけれども、日々とか決算期の価格の確からしさみたいなことを担保するとか、そういったことがあるのかと思います。そういった機能向上のために競争原理を働かせるというのは、これはもう論を待たないと思うのですけども、そのためには責任と権限をそろえるということが非常に大事かと思います。

 権限というのは、先ほどからお話が出ています、上限の緩和とかそういったことかと思うのですけれども、もう一つ、非常に大事なのは責任のほうだと思います。6ページにPTSと取引所の比較の表が出ていますけれども、例えば、上場に関して、上場する証券、もしくは企業等の情報の開示、ここのオーナーシップと言いますか、そこの責任の所在といったものを明確にする、そういったことが大事かと思います。特に、新しいタイプの証券を上場するといった場合には、どういった内容の証券なのかということについて、ちゃんとした情報が提供されないと、投資家にとっても適切な投資判断ができませんので、そういった開示の責任も明確にするということが非常に大事なのかなと思いました。

 以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に国際銀行協会、平山さん、どうぞお願いいたします。

【平山オブザーバー】 
 国際銀行協会、平山と申します。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。簡単に、2点ほどお話しさせていただきます。

 1点目、PTSについてです。PTSにおける売買高上限の見直しは、市場における執行の多様性が広がり、また、その結果、流動性が高まり、市場間競争の促進に貢献すると思いますので、本ワーキングでの前向きな議論を期待いたします。

 2点目、証券トークンについてです。証券トークンの御検討は、前向きで非常によいと思います。なお、せっかく御検討いただくのであれば、この御時世でございますので、デジタル化を前提として検討いただきたく思います。金融都市構想と符合すると思いますので、よろしいかと存じます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、日本取引所グループ、二木さん、どうぞお願いいたします。

【二木オブザーバー】 
 日本取引所グループの二木と申します。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回のワーキングの問題意識は、我々としても重々共有しているところでございます。中でも、自主規制や清算を含め、市場を安定的に運営していくということは、当社の最も重要なミッションですので、今回、御指摘をいただいております、レジリエンスの向上に向けまして、引き続き、関係者の皆さんとも密に連携させていただきたいと考えてございます。

 また、先ほど御紹介いただきました、多様な金融商品に関しましては、適切な投資家保護を講じた上でという前提ではありますが、社会的にそうした御要望があるということでありましたら、当社から何らかの取引の場を提供させていただくということも、今後、検討していきたいと思います。

 その場合、株式と同じように取引所取引という形で提供することも考えられますし、他方で、まずは、御関心のある方々を対象にして、取引所とは少し違う形で提供することに価値が見いだし得るのであれば、あるいはPTSのような枠組みの活用を検討させていただくことも十分にあると思っています。

 いずれにしましても、投資家の皆さんの幅広いニーズにお応えしていくということは、当社の責務でありますので、適切な価格発見機能、それから円滑な流通機会の御提供ということを引き続き実現できますように、売買制度等の見直しにも積極的に取り組んでいきたいと思っており、また、多様な金融商品の提供と相まって、日本市場の魅力を高めるということにもつなげていきたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。ほかにオブザーバーの方々で、御発言ございませんでしょうか。

 それでは、時間に若干、今日は余裕があると思うのですが、委員の皆様方さらに追加での、もし御発言があれば、ぜひ承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。それでは、上柳委員、どうぞお願いいたします。

【上柳委員】 
 ありがとうございます。思いつき的なことですが、市場間競争を考えるときに、グローバルの中での位置づけというのを認識しておく必要があるのではないかと思いました。私自身が勉強を始めた頃に、取引所集中義務とか頭に刷り込まれたせいか、取引所一本でいいのではないか。何でわざわざ、あちこちでお金をかけて、新しいものを作らなければいけないのかと思っていたのですけども、これも外為法の改正が中心かもしれませんけれども、グローバルな中でそんなことは言えないようになってきていると思っております。逆に言えば、日本の投資者なり、あるいは消費者も自分の好きな商品なり、市場なり、あるいはサービスを日本だけではなくて、外国に求めてもいいわけですけれども、ただ、大きな違いというのは、今の主権国家を前提とすれば、基本的には日本にある市場とか、あるいはPTSは日本の規制なり、あるいは規制関係者のところで置かれているところだろうと思っております。ですから、そこのところを、ぜひ多様な金融サービスが不可避的に出てきていると思いますので、それに対応する体制が必要だろうと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、特によろしゅうございますでしょうか。それでは、私から1点だけ感想を申し上げたいと思うのですけれども。今後ということで言いますと、先ほどトークンのところでも少し御指摘ありましたけれども、何か有価証券なり、何らかの価値に結びついたようなトークンを有価証券として捉えるのか、みなし有価証券を含めてですけれども、あるいはデリバティブとして設計することも可能ですので、この2つがあまりに違いがあると、少しどうかと感じていまして、PTSとの関係、その他を含めて1つの課題かと思っておりますので、感想として申し上げます。

 それでは、今日は少し時間が早いですが、以上とさせていただきたいと思います。なかなか市場制度ワーキング・グループは難問が多くて、今日も一つ一つ、すごく難問で、大きな政策とか方向性も必要ですし、それから、ロジックももちろん必要ですし、具体的にどうしていくのかという各論のところもあまり簡単ではないと思いますけれども、皆様方には、また、引き続きお気づきの点がございましたら、ぜひ事務局まで電話、メール等でお知らせいただければありがたく存じます。

 本日、いただきました御説明や御意見等を踏まえ、今後、さらに具体的な検討を行ってまいりたいと思います。本日も貴重な御意見を多数いただきまして、ありがとうございました。

 それでは、事務局のほうから御連絡等ございましたら、お願いいたします。

【島崎市場課長】 
 誠にありがとうございました。次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、また、別途御案内させていただければと存じます。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
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