金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第13回) 議事録
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1.日時:
令和3年12月6日(月曜)10時00分~12時00分
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2.場所:
オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室
金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第13回)
令和3年12月6日
【神田座長】
皆様、おはようございます。予定の時間になっておりますので、始めさせていただきます。
ただいまから市場制度ワーキング・グループの第13回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところ御参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日の会合ですけれども、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただいております。メディア関係の方々には金融庁内の別室にて傍聴をしていただいております。議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
いつものようにオンライン参加される皆様方におかれましては、2点注意事項がございます。まず御発言されない間は、マイクをミュート設定としていただき、ビデオもオフにしていただければと思います。次に、御発言を希望されるときには、これまでどおりオンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前または協会名などの組織名を御入力ください。私のほうでそれを確認し、御指名をさせていただきます。そうしましたら、御自身のお名前を名乗った上で御発言いただければと存じます。
本日ですけれども、事務局から前回御議論いただきました内容を踏まえた今後の検討課題を示していただきます。それと併せて「経済成長の成果の家計への還元促進」に関する事務局の説明資料について御説明をしていただきます。その後皆様方に御議論をいただくという流れで進めさせていただきます。
それでは、まず、事務局説明資料についての事務局からの説明をお願いいたします。
【島崎市場課長】
よろしくお願いいたします。お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。
1枚繰っていただきまして、目次を見ていただきますと、前回いただきました御意見と検討課題、それから、家計の資産形成に向けた市場仲介者の役割等々、なっておりまして、まず前回いただいた御意見と検討課題のほうから始めさせていただきたいと思っております。
皆様方におかれましては、前回、約30年ほどを振り返りまして、制度の改正ですとか、ここに至るまでの数字などを踏まえて幅広い観点から御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。そうした御意見を、「(1)経済成長の成果の家計への還元促進」ですとか、「(2)市場インフラ機能の向上」、「(3)成長・事業再生資金の円滑な供給」というふうに、トピックに沿って並べさせていただいております。一つ一つ御紹介することは控えさせていただきますけれども、オブザーバーの方々も含め、多様な意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
6ページ目でございます。前回会合の、私どもで準備させていただきました資料や、皆様方の御意見を併せまして整理いたしました検討事項が図の下にあります3つでございます。「経済成長の成果の家計への還元促進」、「市場インフラ機能の向上」、「成長・事業再生資金の円滑な供給」というように、一旦大きく分けまして、整理させていただきました。
上のほうの図にございますけれども、根源的な資金の供給者である家計のほうからの流れを見てみますと、取引所に上場されている株式を買うですとか、あるいはその他の金融商品を買うですとか、あるいはアセットオーナーですとか資産運用業者の方々を経由しての投資というのもあろうかと思いますけれども、そうしたものが企業や経済の成長とともに富を生み、膨らみまして、市場インフラという場を通じて還元されていって資産形成につながっていくという大きな流れではないか。資金が供給され、成果が還元されていくという観点が非常に大事なのではないかと思いまして設定しています。
もちろんこの過程では、運用業者とかPE・VCなどを通じて上場企業、非上場の資金ニーズが満たされていることは必須でございまして、こういう発行市場における成長・事業再生資金の提供、先ほど申し上げましたのは多少流通のほうに寄ったところかもしれないですけれども、そういったものも併せまして、投資先からリターンが得られていくことになろうかと思っており、3ポツのところでは「成長・事業再生資金の円滑な供給」というふうな大きなくくりにさせていただいております。
それぞれの検討課題について御説明しますと、「経済成長の成果の家計への還元促進」については、経済成長の成果の家計への還元を促し、安定的な資産形成を実現していくため、販売会社による顧客に対する勧誘・助言・説明の在り方、アセットオーナー・アセットマネジャーの役割、家計の金融リテラシーの向上のための取組について検討すると。
2番目の「市場インフラ機能の向上」ですと、デジタル化やサステナビリティへの関心の高まりといった世界の潮流の中で、デジタル・トークン等新たな商品を含む多様な金融商品がより円滑・安定的に取引されていくよう、市場の機能やレジリエンスの向上について検討する。
3番目、「成長・事業再生資金の円滑な供給」ということで、スタートアップや事業の再構築等に資する多様な形態による資金供給を促進することにより、企業活動やこれを支援する資金供給の成果が適切にステークホルダーに還元される方策について検討するということにしております。
それで、今回、討議事項として御議論いただきたいと思っているのは、1ポツのところでございます。次回以降、順次、2ポツ、3ポツと御議論いただく予定でございます。
7ページ目は、今回ご議論いただく「経済成長の成果の家計への還元促進」という部分をクローズアップしたものです。
資金仲介者が受託者等としての責任を果たし、最善の利益を追求するためプロフェッショナリズムを発揮していくことが重要ということで、これは後ほども出てまいりますが、先ほどの図のところで販売会社ということも載せておりましたが、助言会社の役割ということもありましょうし、アセットマネジャーのところには信託銀行(資産管理)といった、プレーヤーを細かくしてこちらのほうは書かせていただいています。
8ページ目と9ページ目では、「経済成長の成果の家計への還元促進」といったときにどういったことが論点となるのかということについていただきました御意見ですとか、私どもの基礎的な資料などをベースにしてまとめさせていただいています。
「問題意識」のところには、日本の家計資産の伸びのこと、あるいは販売者における説明・助言が主要なサービスとなっていく中での金融商品・サービスの在り方について述べさせていただいていまして、課題といたしましては、「家計の資産形成に向けた市場仲介者の役割」で、先ほど申し上げましたプロフェッショナリズムの発揮、それを通じた安定的な資産形成を実現していくため今後どのような取組が必要かと。
こちらの課題のところの内容が一番後ろの討議事項にもなっておりますので、ここで説明させていただくと、「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」では、これまで顧客本位の業務運営の進展に向け、重要情報シートによる顧客への分かりやすい情報提供や適切な対象顧客設定、顧客本位の商品提案力の向上等の取組が進められてきました。他方、重要情報シートの導入状況や、商品の費用や比較についての情報提供の内容、顧客の設定の適切性、ポートフォリオ全体を踏まえた提案、デジタルツールを活用した分かりやすい情報提供などの課題が指摘されていて、こうしたものにはどのような対応が必要か。このほか、大きなテーマとして、家計への還元についてどのような課題の対応が優先度が高いのか。
それから、②で、金商業における助言の本業化や、預り資産残高重視への動きなども踏まえて、勧誘・説明や助言について、どのような取組が必要か。
それから、ソーシャルレンディングや投資信託をめぐる不正事案を踏まえて、どのような取組が必要か。
続きまして9ページ目でございますけれども、運用機関についてでございます。問題意識として、組成・管理の在り方、ガバナンス等々についての問題意識を述べさせていただいております。取組は進められてはいるところですけれども、道半ばのところもございます。
それから、投資未経験者などが資産運用を行わない主な理由などを挙げながら金融リテラシーについて問題意識を書かせていただいています。
課題のところですが、資産運用について、ガバナンスの強化等を通じた高度化を図るとともに、プロダクトガバナンスをより適切に実践していく上で、海外の動向も踏まえつつ、どのような取組が必要か。
それから、家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上でございます。
こうした課題、討議事項にもさせていただいておりますけれども、こういったものについて、今日御議論いただくに当たって、11ページ目以降、基礎的な資料を添付させていただいております。
11ページ目が、「顧客本位の業務運営に関するこれまでの取組」ということで、「顧客本位の業務運営に関する原則」が、より良い取組を行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現ということで、2017年3月に策定されております。販売の実態であるとか、そういったものが問題意識の根源になっていて、金融行政方針などにも書いてきているところです。
12ページ目でございますけれども、2021年1月にはFD原則を改訂して、例えばライフプランを踏まえたポートフォリオに基づく商品提案ですとか、具体的な取組内容についての記載の充実のほか、重要情報シートの導入が提言されました。その他不適切事例のルールベースの対応のための監督指針の明確化・詳細化なども行われています。
業務運営の足元の状況は、皆様の御努力で進展も見られますけれども、同時に重要情報シートの導入状況や記載内容に課題もあるなど、道半ばで、例えばこの下のほうでいいますと、ライフプランに応じた提案などに取り組む方針を掲げる販売会社が増加していますが、同時に販売に関する仕組債等の苦情もございます。
続きまして13ページ目でございます。今挙げました重要情報シートの導入状況ということで申し上げますと、趣旨といたしましては、重要な情報を分かりやすくというところと業態を超えた類似の商品との比較ということを念頭に置いて導入が提言されたところです。現在の状況でいいますと、右側の真ん中ほどの資料にもございますけれども、投資信託ですとか、特定保険などについて順次導入が開始されています。他方、仕組債、ファンドラップ、外貨建て債券等については一部開始されたところもありますけれども、これからという状況になっております。
導入済みのシートについていいますと、定型的な記載が多く見受けられるなどの趣旨実現に向けての今後の取組が期待されるところもあろうと思います。
14ページ以降で個別の分野に入ります。仕組債でございますが、近年販売額が増加傾向にあって、苦情も寄せられております。日本証券業協会のほうでは注意喚起文書の交付や、重要事項説明などの取組を行われてきておられると思いますが、同時に、少し右側の中段に記載がありますが、欧州などでは仕組債の組成・販売に関するコストについて、販売価格と公正価格の差額の開示などの制度もあるようでございますけれども、今、日本で商品性に関わる情報であるコストというのは基本的に開示されていないという状況になっておろうかと思います。重要情報シートの導入もこれからということでございます。
15ページ目でございます。こちらは最近契約件数が伸びているファンドラップでございますけれども、こちらも重要情報シートは一部で導入が始まった段階でございますが、その中でバランス型投資信託との類似性ですとか、あるいはコストの面での管理費用などについての指摘もされているところでございます。
続きまして16ページ目でございますが、投資信託の費用開示です。もちろん費用の点、費用の比較というのは重要なポイントで、その中で事前に開示されるものと事後に確定して開示されるものがあるときに、最近ですと、事後に開示されているようなものでも直近のものを事前に提供したりする取組が業界でも検討されていると伺っております。
ただ、同時に、そういった形で開示される総経費率というものにおいても含まれているもの、含まれていないものがあろうということが現状かと思います。
もう一つあるのが、信託報酬についても、これは何を含めて計上するのかという点で、例えば右下にあるような法定書面の作成費用というのが事前に含まれているもの、含まれていないものというものがあろうというのが実態であるということが現状で言えるのではないかと思っています。
続きまして17ページ目の「同一のベンチマークに連動するインデックスファンドの費用体系」でございます。同一のベンチマークに連動するインデックスファンド、同じ商品性と考えられるわけですけれども、1つの販売会社、資産運用会社において信託報酬水準の異なるファンドが取り扱われています。
最近の動きですと、販売会社では、対面取扱いものについて、運用会社と協議の上で、同一ベンチマークの最低水準に統一するとか、あるいは最低水準でない銘柄を非勧誘とするといった取組が見受けられてきておりまして、結局、重要情報シートの活用などによって、信託報酬がより低いような商品というものは、内容が同じなのであれば勧めるということが期待されているのではないかと思っています。
続きまして18ページ目でございます。交付書面等のデジタル化の話でございます。「顧客に対する交付書面のデジタル化と顧客本位の業務運営の観点からの情報提供の推進」ということで、現状、顧客の意思表示があれば電磁的方法による提供が可能でして、重要情報シートを使用して所定事故を適切に説明した場合には目論見書等の電子提供が可能です。
こうしたものに加えまして、全般的な顧客交付書面の原則デジタル化ということについての御要望が日本証券業協会から規制改革推進会議に寄せられていまして、先日私どもも参加いたしまして、ヒアリングをいただいたところです。
委員の方々からは、スケジュール感を持って検討を進めるべきですとか、あるいは顧客の方々の理解の向上というのが大事で、情報提供の中身、方法を検討して、デジタル化などに当たっても顧客の方に極力ベストな形で進めるべきということ。それから、顧客の範囲、原則デジタル化の対象とされる範囲。電子メールアドレスを登録した方や、一定年齢以下の方といった御意見がそこではございました。販売会社の業務効率化に配慮すべきといった論点も指摘いただいているところで、こうしたことの検討を今後進めていくことになっております。
続きまして、大きく分けますと、先ほどまでが顧客本位の業務運営の私どもの取組と最近の状況ですが、投資助言の在り方ということで、昨今アドバイスの重要性ということ、20ページ目に記載させていただいていますけれども、アンケートを見ましても、金融機関の提案に対するニーズが強く見られるとともに、金融商品取引業者のほうでも、顧客の資産形成に関するコンサルティング、アドバイスに重点を置いたようなビジネスモデルへの転換の動きが進んでいると思います。
21ページ目でございますけれども、いわゆる残高連動手数料が導入される動きが見られております。これはコンサルティングやアドバイスの重視の流れの中、都度手数料に代えてというような文脈かと思います。
有償の投資顧問契約に基づいて投資助言を提供する場合は、投資助言・代理業に該当するわけですけれども、こうした残高連動手数料方式でのものを投資助言・代理業として提供するか、あるいは現在そのような位置づけになっています金融商品取引業の付随業務として提供するのかというのは対応が分かれているところです。
米国などですと、証券会社が残高連動手数料を徴収して投資助言を提供する場合、通常、投資助言業者の登録が必要となっていることかと思います。
例えば、海外でいいますと、ドイツでは、無償、有償にかかわらず、責務の程度に差はあるようでございますが、助言業の規律が用意されておるということになっていると承知しています。
なお、金融商品取引業者からは投資助言・代理業を選択しない理由として、下記の(2)のところにございますけれども、投資助言・代理業に関する規定の一部が、「顧客への金銭・有価証券の貸付け等の禁止」などが挙げられることもございますが、負担になるという御意見もございます。
続きまして、そうした「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」の中でも、行政処分の事例にも即した投資者保護の在り方との関連でいいますと、二種ファンドをめぐる動きがございまして、これはいわゆるソーシャルレンディングですが、インターネットを用いてファンドの募集を行って投資家からの出資を貸し付ける仕組みでございますけれども、こうしたものについて処分事例というのがございまして、例えばフォローアップや、モニタリングといったものについて、取得勧誘面について処分をした事例でございます。
こうしたものから敷衍して少し制度的な観点からいいますと、資料の下に、(2)、(3)とございますけれども、二種ファンドに関する運用の面、投資運用業に当たればルールがかかっている部分がありますけれども、一般的に二種ファンドの運用面、それから、募集面でなお検討していくべき点があろうかということについて論点があろうかと思っています。
もう一つ、24ページ目でございますけれども、「投資信託の運用財産の適切な管理・保全のあり方」でございます。投資先の運用体制ですとか運用方法、管理・保全状況、財産が確実に集めたものがあるのかといったものを委託者、受託者ともに把握していないような事案が発生しております。現段階では何かアプリオリにこれということでもないのですけれども、こうした顧客のお預かりした大事な財産について、所在などという基本的なことについて、関連される業者の方々がどういった責務を負って実行していくべきなのかというところというのは、なおどういった点を考えていくのかという検討の必要はあろうかという論点がございます。
25ページ目でいいますと、情報の内容等についてここまで部分的に御説明してまいりましたけれども、そもそも例えば不招請勧誘ですとか適合性原則の文脈で、そもそも販売ですとか、そもそも勧誘してよい顧客の範囲ということがございまして、これは自主規制規則のほうで策定することが求められておりまして、これを受けて各協会の方々は基準を定めております。こうした点についても、商品・サービスの提供ということでなお検討すべき点があるのかということが一つあろうかと思いまして記載させていただいております。
それから27ページ目以降ですが、ここまでのところは金融商品提供の在り方でしたが、資産運用の高度化でございます。私どもが2020年、2021年に出しています資産運用業高度化プログレスレポートに関していいますと、ガバナンスや、目指す姿、強み、経営体制、業務運営体制について、プロダクトガバナンスなどにも力点を置きながら運用高度化の重要性というものを指摘してきております。
実際、取組に一定の進展が見られていることもあり、例えば経営体制などでも、少し長期視点での運用というのを意識する動きが見られます。一方で、なお、中長期的に持続可能な運用成果を実現していったり残高を拡大していくためには、より一層実効性のある取組をしていく必要があろうということで、参考となるような仕組みとして、28ページ目、29ページ目に欧米の例を挙げさせていただいていまして、例えば28ページでいいますと、英国の施策は、米国をお手本としている部分もあろうかと思いますけれども、例えば独立取締役の設置ですとか、あとは手数料に見合った価値についての評価プロセス、あるいは開示プロセスがございます。右側のアメリカについても会社型ファンドということですけれども、独立取締役の設置ですとか、運用契約の評価プロセスというのを設けておりまして、そうしたものを参考にされたということですが、一連の施策を実施しています。
同時に、下のほうにもありますけれども、大半の資産運用について求められる水準についてはそこまでいっていないというようなレビューも見られているところです。
29ページ目が、「資産運用会社の運用高度化」の中で、アメリカで2001年に施行されているSECのNames Ruleというのがございまして、現在、広く今の制度についての意見募集をしたところですが、制度改正等の具体的なスケジュールは未公表です。
右下にも例がございますが、ESGとか、定量的な評価が難しい投資カテゴリーを名前に冠したファンドの増加などを意識した動きだと理解しておりまして、基本的な制度としては、ファンド名に特定のアセットクラスですとか、そういった産業、国・地域に関係する場合には、そのファンドは、ファンド名に冠したカテゴリーの資産に一定以上投資しなければいけない等々の制度だと理解しています。
31ページ目以降がリテラシーのことでございまして、少しデータを挙げさせていただきますと、リスク性金融商品を購入しない理由の回答の割合として、余裕資金のことや、知識、不安を感じるからなどが挙げられていまして、左下の国際的に比較してみますと、ここにあるものに関していいますと、日本でいうと2016年から大きな変化は見られず、また水準が高いとも言えない状況になっているのかと考えています。
それから32ページ目でいいますと、これまでの金融経済教育に関する主な取組として、教材の中身の話としてのコンテンツの作成ですとか、あるいは、出張授業ですとか、先生向けの指導教材の作成ですとか、出張授業等も財務局等で行ってきております。
33ページ目では、新学習指導要領における記載、21年、22年度からそれぞれ中高で実施されますが、記載の拡充、それから34ページ以降、各団体のほうで、学生向けや、社会人向けということで、広くは、対象ごとに、教材の作成や、あるいは出張講座ですとか、多岐にわたりますので、逐一は控えてさせていただきますけれども、取組を強化されていっているのではないかと思います。
36ページ目、37ページ目については、時間の都合もございますので、冒頭、8ページ目のところでも申し上げました課題でございます。
私からの説明は以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、今いただきました御説明を踏まえて皆様に御議論をいただければと思います。
今、言及がありましたけれども、今日の主要テーマを最後の36ページと37ページで討議していただきたい事項としてまとめておりますので、適宜御覧いただければと思います。
いつものように、まず委員の皆様方から御発言をいただき、その後でオブザーバーの皆様方からもし御発言があればお伺いするということにさせていただきます。
これもいつものことで恐縮ですけれども、多くの皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、発言のお時間としましては5分を目安にしていただければと存じます。4分を過ぎますと事務局から発言時間残り1分の旨のチャットが発言されている委員の方のみに送付されますので、発言時間の御参考にしていただければと思います。
ということでございますけれども、本日御欠席の上柳委員から御意見をいただいておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【島崎市場課長】
上柳委員からいただいたものとして、私のほうから読み上げさせていただきます。
家計の安定的な資産形成のためには、顧客本位原則を個々の金融事業者が現場で工夫をして実現していくことがポイントである。その観点から、事務局説明資料13ページに指摘されている重要情報シートの趣旨実現、14ページの欧米の例のような仕組債のコスト開示、21ページに関連して、無償と整理される場合も含めて投資助言の質の確保、23ページの二種ファンドのルールの整備、25ページの各社の取引開始基準について、その履行状況のモニタリングは当面の具体的課題だと思います。
併せて28ページに紹介されたアメリカやイギリスでの資産運用会社のガバナンスや評価基準、履行確保の工夫は家計からの信頼確保に資するもので、大いに参考とするべきものと考えますという御意見を頂戴しております。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方から御質問、御意見をお出しいただければありがたく存じます。チャット欄に全員宛てに発言希望などと入れていただければありがたいのですけれども、いかがでしょうか。それでは、佐々木委員、どうぞお願いいたします。
【佐々木委員】
御説明ありがとうございました。また前回の意見を踏まえていろいろ御準備いただきまして、ありがとうございます。よく分かりました。
私からは、大きな意見はないのですが、1つは、やはりすごく大きい流れとして、顧客本位の業務運営というのを徹底される中で、回転売買などが減少する一方、仕組債やファンドラップが上昇しているように見えます。もし顧客が、仕組みをしっかり分からないままに仕組債とかファンドラップを利用していると仮定したら、誤解を恐れず言うと、回転売買で目に見えた形だったコストがある意味包括されて見えない形で資産が運用されて、どっちにしろ理解できてないというような可能性もあると思います。今回まとめていただいた中に書いてあるのですけれど、投資助言というのが個人投資家に、個人の資産運用にもコンサルテーションというのが必要であり、また、それに支払う意味があるということを、やはりリテラシーといっても、細かい金融の仕組みとかシステムがどうなっているとかということじゃなくて、そういうことも理解できるようなリテラシーをつけていくことが重要なのではないかと感じました。
また、意見のところに入れていただきましたが、前回申し上げましたように、やはり税額控除というのは個人の資産形成に非常に大きな影響を与えていると思いますので、これも一緒に、どこに税額控除というのを入れていくかということで、そこの資産が伸びるということと関係があると思いますので、引き続き注目していっていただけたらと思います。
以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、続きまして、有吉委員、どうぞお願いいたします。
【有吉委員】
有吉でございます。私からは事務局説明資料36ページ以下の項目についてそれぞれ少しずつコメントさせていただきたいと思います。まず①顧客本位の業務運営の関係について、ただいま佐々木委員がおっしゃられたことの1点目と若干関連するかもしれませんが、もちろん顧客への情報提供を充実させることが重要であることは間違いないと思うのですが、例えば仕組債については、コストの詳細の開示をしさえすればよいというものではなくて、顧客が商品の仕組みやリスクを十分に理解できることが投資の前提になるのではないかと思います。そういった意味で、情報提供の内容だけではなくて、適合性原則の考え方とうまく組み合わせて適切な対応を検討していくということが必要ではないかと思います。
また、提供される情報が増え過ぎるとかえって重要な情報が伝わりにくくなるという面もあると思いますので、何でも形式的に有用な情報であれば書面への記載を求めるということではなくて、分かりやすさやめり張りの観点についても引き続き十分考慮して情報提供の在り方を考えていくべきであると思います。
それから、デジタル化の観点につきましては、個人的にはぜひ推進すべきだと考えております。もちろんデジタルのほうに進んでしまうと必要な情報を受け取ることができないという方が出てくる可能性があり、これは問題であるということは承知しております。そういった意味で、紙が必要とされる場面が引き続き残るということを否定するつもりはございません。ただ、紙であるから常に伝わるということでもないはずだと思いますし、それから業者側の業務の効率性という観点だけではなくて、保存とか検索の点ではデジタル化を進めたほうが顧客にとって利便性が高いという場合も多いと思います。そういった意味で、紙が原則でデジタルが例外だという考え方からはいいかげん脱却すべきではないかと強く思うところでございます。
それから、36ページの②の点でございますが、証券会社のビジネスモデルが変わりつつあるということに加えて、家計からの投資促進を進めるという観点からも、適切な範囲での証券会社によるコンサルティングや助言行為は促進すべきものであると思っております。そういった中で、投資助言・代理業規制の形式的な適用が負担になるという面が実務的に課題となっているのであれば、例えば一定の範囲では第一種金融商品取引業として有償の助言を行うこともできるようにするといった制度の見直しもあり得るのではないかと思います。その際、証券会社の中には、日本の規制だけではなくて欧米の規制も併せて適用されるような、そういった会社も多いと思いますので、うまく整合性の取れた制度設計が必要ではないかと思います。
それから、36ページの③の点のうちのソーシャルレンディングのほうでございますが、特に不動産や再生可能エネルギー施設に対する投資目的のスキームについては、業態として不祥事例が散見されているということに加えて、個々の案件のリスク評価があまり簡単ではないという実態もあると思います。したがって、業者にある程度体制整備や責任を求めるような方向での規制強化というのは検討されるべきと感じておりますが、一方で規制強化をするとしても、イノベーションを過度に阻害することにならないように対象範囲は慎重に検討していただきたいと思います。
一方で投資信託のほうについては、信託銀行の役割や善管注意義務の範囲というものについて当局側と業界とでうまく目線をそろえていただくことがまず必要なのではないかと思います。その上で、信託銀行に一定のモニタリング機能を求めるということは制度としてはあり得るのではないかと思います。ただ、そのようにしてしまうとどうしてもコストがかさんでいくということも考慮する必要があると思います。そのため、仮に投資信託において不祥事が発生することが現状それほど大きな割合を占めていないということであれば、投信委託会社の責任に委ねて、信託銀行にはある程度緩やかな対応でとどめるというほうが合理的という考え方もあるのではないかと思います。信託銀行によるモニタリングの必要性とコストのバランスの観点から信託銀行の適切な役割を模索していただきたいと思います。
最後に、37ページのほうでは、リテラシーの点について感想的なことだけ申し上げさせていただきたいと思います。いろいろな取組をなさっていることはすばらしいことだと思うのですが、単に学校で講義を行うというだけであまりリテラシーが進むわけではないような気がいたします。例えば授業の中で実際に少額の資金を用いて投資を行うとか、何かゲーム感覚的な形で実体験ができるような対応などをしないとなかなか大きな効果は上がらないのではないかという気がいたします。
あわせて、前回もコメントさせていただきましたが、教育ということとともに、投資助言や情報提供サービスの利用促進を図ることも非常に重要ではないかと考えております。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいている順番で、次に福田委員、どうぞお願いいたします。
【福田委員】
ありがとうございます。事務局からは詳細な御説明ありがとうございました。かなり重要な論点を網羅していただいたのではないかと思います。
私からは3点コメントをさせていただければと思います。まず第1点は、投資家というのは、プロ以外の投資家であっても様々な投資家が存在しているということなのだろうと思います。その際に、金額ベースで見るのと人数ベースで見るのでは投資家の見方もかなり違ってきます。金額ベースで見ると、特定の人たちがかなり大きな投資家としてやはり存在していて、そういう人たちに対してどういう配慮をしていくかということというのは1つあります。
他方で、人数ベースで見ると、少額の投資、あるいはそもそも投資してない人がたくさんいるということで、そういう人たちへの配慮というのも重要になってくる。そういう意味では、有吉委員からもありましたけど、重要情報というのをどういうふうに提供するかという観点は重要になって、全ての人が必要な情報というのは共通ではない。その中で重要情報を全ての人に対応できるように一律に供給すると、やたら詳しくなり、あまり関係ない情報も重要情報に入ってきて分かりにくくなってくるということもあります。やはりどういう情報が投資家ごとに重要なのかということというのは、ある程度きめ細かな差別化をして、分かりやすい重要情報を提供するという仕組みづくりは大事なのではないかと思います。これが1点目です。
それから2点目も、やや1点目と関係しているのですけど、リテラシーという場合も、いろんなタイプの投資家に対して、きめ細やかなリテラシーの向上を図ることが重要です。それなりに分かっている人の更なるリテラシーの向上と、それから、基本的に投資には関心ないのだけれども、やはり最低限知っておかないといけないリテラシーをどういうふうに高めていくかということというのが大事なのだろうと思います。
その際、学校は半強制的にみんな授業を受けさせられますので、やり方自体は有吉委員が言われたようにもう少し工夫が必要かもしれませんけど、強制的に皆が学ぶという特徴があります。けれども、社会人向けの取組を拝見させていただくと、基本的にはそういう説明会に来る人が対象という形になっていて、そういう説明会には私は関心ありませんみたいな人は、基本的にリテラシーの向上の機会というのが、事務局の説明だと何となく提供されていないということはあるのだろうとは思います。ただ、そういうリテラシーの説明会に来ないような社会人一般の人たちにもリテラシーの向上というのは当然必要で、投資に騙されないとか、あるいはいろんな意味でのリテラシーの向上、幅広い国民のリテラシーの向上ということになると、開催する会にそもそも関心がないような人もリテラシーの向上というのは当然必要ですので、そういう取組も幅広くやっていただきたいということです。
それから最後は、デジタル化の取組で、私も基本的にはデジタル化の方向性を推進すべきですし、基本的にはデジタル化を推進することを前提に何がその場合に問題なのかという観点で議論を進めていってほしいと思います。
その際は、個人的にいろいろとデジタル化について気になる点は、どれぐらいデジタルで過去のいろんな書類を閲覧できるかということです。普通は関心事ではないけれども、書類だと何だかんだと保存してあったりして昔のものを見れたりします。一方、デジタル化されたものだと、ある程度時間が経つと見れなくなってしまうみたいなこともあったりして、多少不都合が起こったりもするというのが個人的な経験です。このため、その保存期間、閲覧できる期間を、毎回毎回もちろん報告書は送られてくるのですけど、デジタル化だと見なかったりするということが多くて、後で見ようと思ったらもうなくなっていますみたいなことというのはやはり困る点はあるとは思います。
それから、全てデジタル化にしたときに、本人以外がそれにアクセスする機会がなかなか難しくなる。具体的に言うと、例えば高齢者、それなりに高齢の方が認知症になられた、あるいはそもそもお亡くなりになられたというときに、家族の方がどういう資産をその方が持たれていたのかということを、郵送だと、こういう資産を持っていたのかみたいなことというのは分かることは多いのですけれども、全てデジタル化すると、なかなかパスワードとか、そういうもので閲覧して家族の人たちが調べるということというのはできなくなってしまいます。このため、デジタル化は基本ですけれども、一定程度は非デジタル化の情報提供というのも最低限は残す必要はあるのではないかと思います。
私からは以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に井口委員、どうぞお願いいたします。
【井口委員】
よろしくお願いいたします。井口です。まず、事務局の御説明ありがとうございました。
私は運用機関におりますが、主に運用フロント、アナリストですので、今回のアジェンダのすべての実務について通じてない部分もありますが、事務局説明資料の35ページ以降の討議事項の論点に沿って幾つかコメントをしたく思っております。
最初の顧客への商品・サービスの提供の在り方ですが、事務局説明資料にもありますように、顧客本位の業務運営に関する原則に従って、受益者のために各主体が自社の状況を踏まえて創意工夫によってサービス提供のクオリティーを上げていくということは重要と考えております。
また、前回申し上げましたが、サステナブル社会への移行の重要性が日本経済全体としても高まる中、それを支えるサステナブルファイナンスの役割も重要になってくると思っておりますので、こういった原則の中でも、サステナブルファイナンスに関わる最終投資家の志向に対応するという事項が、より重要になってくるのではないかと考えております。
あと、サステナブルファイナンスの確立には、討議事項の最後のポイントの金融リテラシーの向上というところとも関係してくると思っておりまして、ESGあるいはサステナブルファイナンスに関する啓蒙活動もより重要になってくるのではないかと思っております。
あと、一番下のところの③の投資家保護のところですが、この中でもソーシャルレンディングにつきましては、今後FinTechが一段と広がるということが予想される中で重要な事象と考えております。ソーシャルレンディングにおける過去直近の不祥事の事例を見てみますと、集められた資金が顧客に説明したとおりに適切に使われなかったという点で、比較的不祥事の内容が共通していると理解しております。当局には既に開示についてのガイダンスを出していらっしゃると理解しておりますが、今後とも最終投資家が投資判断を行う上で重要な事項を可能な限り開示させる仕組みづくりというのも必要ではないかと考えております。
次に、討議事項のポイントの資産運用会社の高度化のところとなります。事務局説明資料の28ページで、FCAの施策の中で独立社外取締役の活用というルールが記載されております。ここまできめ細かく社外取締役の責任を設定するということは日本では時期尚早かとは思いますが、私の経験も踏まえて考えますと、企業におけるコーポレートガバナンスと同様、資産運用会社においても今後社外取締役の活用というのはより重要になるのではないかという感触を持っております。大手機関投資家は既に社外取締役を設置しているところが多いと思います。
また、スチュワードシップ・コードの原則2の利益相反管理において第三者の目を入れることを定めているところもあり、スチュワードシップ活動の監督者として外部有識者を社外取締役の他に招致し、委員会を作っている会社も多いと思います。各社、様々な対応していると思っておりますが、私のいる運用会社でも社外取締役を設置しておりまして、かつ同時にこの社外取締役がスチュワードシップ活動の監督を行うという体制を取っています。
私は現場の責任者として、2017年から4年くらいにわたり、現在は3人になる社外取締役とスチュワードシップ活動の在り方についての議論を行ってきています。正直、いつも意見が一致するわけではありませんが、多くの議論を通じ、運用現場の人間として支えられているという感覚をもっており、こういったこともあり、自らのスチュワードシップ活動を大きく発展させることができたもの、と考えています。
もちろん社外取締役を設置するだけでは十分ではなく、運用現場や担当部署からプロアクティブに社外取締役と議論を行い、現場の状況をよく知ってもらって、その知見を会社全体の意思決定を行う取締役会での判断に生かしてもらうといった仕組みや、担当部署の社外取締役に対する認識、有効な活用についての意識も必要とは考えます。
ただ、資産運用高度化上の課題ばかりではなく、例えば1つ目の討議事項の顧客への商品・サービスの提供の在り方も、アジェンダの幾つかは、フィナンシャルの非常にテクニカルなことというよりも、資産運用会社の業務に合理的な目をどう入れていくかという視点であると考えますので、私の個人的な経験も踏まえますと、社外取締役の積極的かつ実効的な活用というのは1つの解になるのではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に原田委員、どうぞお願いいたします。
【原田委員】
ありがとうございます。原田でございます。意見と質問が1つございます。
まず意見のほうから述べさせていただきますと、何人もの委員の方がおっしゃっている社会人向けのリテラシーの向上について少し申し上げます。31ページに学校教育向けのリテラシーの向上策についてはいろいろ具体的なものが作られ、定まってきていまして、例えば高校生ですと、来年から家庭科で資産運用を少し学べるようになります。家庭科というのが不安だと思っていましたけれども、サンプル教材は業界から提供していただくということで、より具体的に学べるようでよいと思っています。
ただ、社会人向けのリテラシー向上策については、31ページを見ますと、先ほど福田委員もおっしゃいましたけれども、あまり具体的ではないといいますか、協力を依頼するとか、ウェブサイトで情報発信するという形の記載もあり、あまり多くの人に届いていないのではないかと感じます。
社会人向けの中でも、特に定年を迎える、退職金を手にするような方々に向けてのリテラシーの向上というのはニーズもあるところなのではないかと思っております。定年退職をしてしまいますと、月々入ってくる分配金がある人もあれば、ない人もいるかと思うのですけれども、そうすると、運用で月々にインカムとして入ってくる金融商品に魅力を感じる人がいます。安全かつ利回りの高い金融商品を持ちたいとか、そういったニーズがあるかと思います。それがよくない商品を買ってしまうという結果にもつながっているのではないかと思いますので、高齢の方にもう少し学んでもらう機会を提供できればよりよいのではないかと思います。
関連しまして、重要情報シートについてですけれども、重要情報シートで、導入状況にばらつきがあるということが書かれております。業態的にばらつきがあるのは改善するべきだと思うのですけれども、商品横断的に幅広い商品で同じ形で導入を進めるというのは少々現実的ではない面があるのかもしれないと感じております。
例えば、配付していただいている資料ですと、16、17ページ辺りに投資信託の費用開示というのがあります。インデックス型という非常に分かりやすいシンプルな商品で、費用開示をしていただいて、図示もしていただいておりますけれども、この一番分かりやすいパッシブ型のインデックス運用の商品、こういう商品であっても、100%明らかにはならない部分というのがあります。例えば商品の残高によってインデックスの使用料が変わってくるインデックスもありますし、運用会社と販売会社の間で力関係によって信託報酬の取り分が違うですとか、いろいろな細かな差があります。一番シンプルな商品でもそういう状況ですので、導入が見られないとある仕組債については、重要情報シートのフォーマットにそぐわないという面があり、導入が進まない面があるのではないかと思います。
先ほど事務局のほうから御説明いただいた際にも、業界では自主規制があると。仕組債の販売・勧誘などが規制されているとおっしゃいましたけれども、自主規制に準じる規制を、より幅広い、地域銀行系の証券会社ですとか、そういうところにも促していただくというのがよいのではないかと思います。自主規制の徹底を促すなどということも1つの策であろうかと思います。あと、欧米のような開示というのも1つの策かと思いました。
あとすみません、もう1点だけ。交付書面の電子化など、デジタル化は進めていっていただければと思います。
あと一つ、質問がございまして、二種業は各社に任されているということが25ページの一番下のところに書かれてありますけれども、二種業、そもそも加入率が低かったかと思うのです。幅広い業務内容をおこなう業者がいることから、加入は義務化されていないはずです。数年前の金融審議会で、二種業協会への加入が促進されるようになったかと思うのですけれども、その後、加入がどのくらい増えているのか、わかれば教えてください。あと、二種業者が取引の対象とする分野は幅広いですけれども、幾つかのカテゴリーに分けて自主規制の策定は考えられているかですとか、そういったことが分かるようでしたらお教えください。
以上になります。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、御質問のあった点について。
【島崎市場課長】
御質問ありがとうございます。今の時点で、手元にそういった資料がございませんので、少し整理させていただいて、然るべきタイミングで御返答させていただければと思います。
【神田座長】
それではそういうこととさせていただければと思います。ありがとうございました。では、続きまして、野村委員、どうぞお願いいたします。
【野村委員】
野村でございます。私からは、スケジュール的なところの御質問が1つと、それからテーマについて幾つかコメントをさせていただければと思います。
まずスケジュール的な質問のほうですけれども、6ページに記載していただいた3つの論点を順次取り上げていかれるものと理解いたしました。本日の「経済成長の成果の家計への還元促進」という、このトピックについて、本日以降ももう1回議論する場ないし御予定があるものなのか。全体的なスケジュール感のほうを御教示いただければと思っております。
8ページから9ページにおいて様々なタイプの課題を挙げていただいているという印象を持っておりまして、このワーキング・グループで扱うテーマとして何が適当なのかという観点から、ある程度は絞り込む必要があるのではないかと思います。
例えば5年後にやっておいてよかったと思うようなことや、時間がかかるので今から着手しないと、ということを優先的に扱うとよいのではないかと思っております。
次に、幾つかのトピックについてのコメントでございます。まず、金融リテラシーの強化についてです。これまでもいろいろと取り組んでこられたということを今日御説明いただきまして、その上で、今、追加で取り組むべきことは何なのかということだと思います。
まず1点目として、複数の主体の取組、いろいろと今日御教示いただきましたけれども、これらの相互連携や効率化、そういったことを追求していく必要があるのではないかと感じました。
2点目ですけれども、今申した効率化、相互連携にも関わるのですが、国全体の戦略とそれから司令塔、これが必要なのではないかと思います。金融リテラシーの向上というのは、国全体の人材、人的資本に関する重要な課題だと思います。米英では国家戦略として金融リテラシーに関するものを策定していると理解しておりますし、その目的は国民のファイナンシャルウエルネスの向上にあると聞き及んでおります。そのような国全体のマターとしての戦略、そして司令塔が必要ではないかと思います。
3点目に、いわゆる学齢期につきましては、既に何人かの委員の方からもコメントございましたけれども、教員の方たちに対するサポートに注力する必要があるのではないかと思います。コンテンツは既に十分に用意されているように思いましたが、あえて言ってしまえばこれが十分に届いていないというのが課題ではないかと思います。
したがって、なぜ届いていないのか、これを究明する必要がございますし、地域ごとに課題が違うですとか、足元ですとコロナ禍対応で大変なのだといった事情もあるかと思います。いずれにしましても、これは省庁を越える必要があると思いますので、それゆえに国家戦略、司令塔ということになると思っております。
家庭科のほうについては、これは個人的な感覚ですけれども、外国語教育ですとかデジタル教育に相通ずるところがあるかなと思います。身につければ社会に出てから若い方たちの選択肢が広がる、そういうタイプの重要な教科ではないかと思います。
また、社会科、公民科につきましては、これは金融というよりは資金循環の理解を得ること、国全体、社会全体の資金循環の理解を得ることが重要ではないかと思っております。特にこれからの若年世代については、言うなれば膨大な借金を負った国で社会人になるわけですから、今まで以上に重要ではないかなとも思います。
4点目に社会人ですけれども、これは職域における取組への注力ではないかと思います。広範に届けるプラットフォームとしてこれに勝るものはないと思います。社会人についてはそう思います。確定拠出年金、DCですとか、職場つみたてNISAの投資教育は一つの入り口になると思います。長期分散投資を実践すること、これは資産形成の目的達成のための手段の1つになりますけれども、長期分散投資という手段、手法を身につけることができれば人生における強力なツールになると思います。足りないのは、知識もかもしれませんが、知識よりも、どちらかというと経験ではないかなとも思っておりまして、職域で経験していただいて、ほかでも使えるようになる、これがファイナンシャル・ウエルネスの向上につながると思っております。
そして、個人の総合的な資産形成支援と現行の金融法令・制度の関係の部分でございますけれども、顧客本位業務運営原則を通じまして、ライフプランに沿ったファイナンシャルプランの提供が個人向け投資サービスの中心的なものであるというのは、共有されていると思っております。業態が異なるので法令や規制が異なるというのは、これは金融業界の事情ですので、個人には理解されないと思います。基本理念は、同種のサービスを提供するなら、同じような規制をするということかと思います。
ただ、新しい展開でもありますので、既存法令とマッチしない部分が出てくるのは仕方がないとも言えますし、実務上の負担も踏まえてきちんと整理していく必要があるのだと思っております。
金融サービス仲介業も追加されて異業種の参入も推進される方向と思いますので、健全な競争環境の確保に努めることも大事だと思っております。個人から見るとDCも重要な資産形成の一部ですので、これも取り込んでいく必要があると思います。
投資アドバイスは、将来の資産価格が言うなれば定義上不確定なわけですけれども、その中にあって顧客に対価の支払いを求めることになります。ただ、将来が不確実だからこそ価値があるとも言えますので、このサービスの付加価値について理解を得て、それに見合う対価を得るという、このビジネスが成り立つのかどうかが問われていくと思いますし、その有用性を理解し使いこなすのは個人になりますので、金融リテラシーの課題にもつながると思っております。
最後に、重要情報シートについては、本来の趣旨・目的・意味を常に念頭に置くのが大事だと思います。すなわち個人にとって異なる業態からのものであったとしても、横比較しやすいようにすること、これが本来の趣旨であろうかと思っております。
また、開示書類等のデジタル化は早急に進めていただければと思っております。
私からは以上です。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。スケジュールについての御質問がありましたが。
【島崎市場課長】
お答えさせていただきます。御質問ありがとうございました。本日は、前回幅広い課題から3つぐらいに検討課題を絞らせていただいて、今回はその1つ目ということで、恐らく来年になると思いますけれども、他の分野、2つ目、3つ目の課題も進めていきますが、同時に本日も多くの意見いただくと思いますし、より検討も必要だと思いますので、また深まった議論というのは来年然るべきタイミングでさせていただき、御意見を賜りながら検討を進めていくということだと基本的には思っています。そうしたスケジュールで進めさせていただければと思います。
【野村委員】
ありがとうございます。
【神田座長】
今日いただきました御意見を踏まえて、また次の議論をお願いする機会があると、そういう進め方かと思います。どうもありがとうございました。それでは、続きまして、神作委員、どうぞお願いいたします。
【神作委員】
ありがとうございます。討議事項の1の(1)及び1の(2)を中心に総論的な御発言を1点、また各論3点についてコメントさせていただきたいと思います。
まず総論としまして、顧客と接点を持つ市場仲介業者の現代的な存在意義として次の2点が重要であると考えております。第1は、市場仲介業者が顧客に対して的確な情報を提供して、顧客と業者との間の情報の非対称性を緩和すること。それによって市場の失敗を緩和するということです。第2は、市場仲介業者が適合性の原則を遵守して、顧客のベストインタレストを図ることによって、利用者、投資者の市場に対する信頼を確保し高めていくことです。
特に後者の市場仲介業者の顧客のベストインタレストを図る義務というのは、比較法的に見ましても、単にソフトロー上のものではなく、むしろハードローとして規律される傾向にあると認識しています。
また、さらに単なる情報提供を超えてより積極的に助言を行うということが重要であることは、単なる説明だけによる情報の非対称性の解消には限界があるということ等からも明らかであると思われます。
市場仲介業者が期待されている役割を具体的に果たすために次の3点が望まれると思います。第1は、市場仲介業者が販売・仲介する金融商品・金融サービスを適切に理解するということ。第2は、市場仲介業者が顧客の属性や投資目的、投資経験、財産状況などを知ること、すなわちノウ・ユア・カスタマー・ルールをきちんと実践した上で的確な販売がなされること。それから第3は、投資に当たっての助言・アドバイスが真に顧客の利益に合致するようになされることです。
第1点については、討議事項の1の(2)に関連すると思いますけれども、プロダクトガバナンスの考え方が参考になると思います。市場仲介業者が販売・仲介しようとしている金融商品・金融サービスについて、ターゲットとして想定されている顧客層ですとか商品特性をよく理解することを求めるとともに、顧客と接点を持っている市場仲介業者としてターゲットとしている想定顧客のニーズに本当に合致している金融商品であるのかどうか、顧客の満足度はどうか等の情報を顧客から吸い上げて、金融商品等の組成業者にそれをフィードバックするという循環がうまく機能するということが期待されていると思います。
第2点については、ノウ・ユア・カスタマー・ルールというのが、日本法の下ではハードロー上の位置づけも必ずしも明確ではないと理解しております。顧客のポートフォリオ全体を視野に入れて、より適切な販売や助言を行うための大前提として、顧客情報をきちんと収集し、それを適切に利用することが望ましいと考えられます。特に重要情報シートの利用がより拡大し、活発に利用され、かつそれが有効に利用されると望ましいと思います。先ほども御発言がございましたけれども、重要情報シートの意義として、いわば業界横断的、業務分野横断的に同様の機能を持つ金融商品・金融サービスを横断的に比較できることがありますので、そのような観点から、しかも情報を絞ったポイントを簡潔・的確に開示するという観点からさらに工夫が凝らされることに期待しています。
それから第3点でございますけれども、投資助言に係る規律については、比較法的に見ても、定義をはじめとして国によりかなり異なっておりますので、御参考までに、例えば米国とドイツの状況を簡単に述べさせていただいて、日本に対する示唆を述べたいと思います。
米国における投資助言の定義のポイントは、日本法の定義と非常に類似していると思いますけれども、次の2つです。第1は、有価証券に係る投資助言・推奨を行うこと。第2は、そのサービスに対して対価、すなわち報酬を受け取ることです。
ところが、米国では重要な適用除外があって、ブローカー・ディーラーが本業である証券業に専ら付随して助言を行い、かつ当該助言等の行為について特別の報酬を受領していない場合には投資顧問業には該当しないとされています。
米国では投資助言業者とブローカー・ディーラーの法的地位がどのように違うと説明されてきたかというと、投資助言業者はフィデューシャリーであるのに対し、ブローカー・ディーラーというのはベストインタレストレギュレーションによって顧客のベストインタレストを図る義務を課されてはいますけれども、フィデューシャリーではないと解されていると理解しています。
フィデューシャリー・デューティーとベストインタレストに係る義務との間にどのような違いがあるかというと、例えば一例を挙げますと、投資助言業者の負うフィデューシャリー・デューティーは、顧客との関係全体について継続的に適用されると解されているのに対し、ブローカー・ディーラーのベストインタレストに係る義務は、顧客に対してサービスを提供する時点においてのみ適用されます。このような継続的関係なのか、それとも、個々の助言・推奨行為等にスポットを当てた義務なのかといった点のほかにも幾つか違いがございますけれども、このような違いがございます。
恐らくこのような性質を反映して、米国では一般に個々の取引ごとにコミッションを課す方式が通常のブローカー・ディーラーのサービス提供に係る対価の徴収方法であるのに対して、資産残高に応じてフィーを徴収するという方式は、投資助言サービスの対価の一般的な徴収方法であると言われていると思います。
これに対して、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、ドイツにおいては、投資助言は金融商品に係る取引に関する個別の推奨であって、投資者に適合するものとしてなされるものと定義されています。この定義の大きな特徴は、助言に対して報酬を受け取るかどうかということを問題にしていない点にあります。投資助言の特徴というのは、投資仲介や取次ぎなど、他の有価証券サービスとともになされるのが通常であるとドイツでは認識されています。
例外的に、通常の証券業務を行っていて、投資助言に当たらないというのはどのような場合かというと、取引の執行だけを行うエグゼキューションオンリーの場合ですとか、顧客には他の投資助言者が既についていて、当該投資助言者の指図に基づいて投資者が売買する場合において、それを仲介するというような場合に限定されています。
証券業者自体、誠実公正義務を課されておりますけれども、投資助言業者はこの義務に加えて、追加的な義務を課されています。特に情報開示について、投資助言業者には通常の証券業者に比べて加重された開示義務等が課されています。
さらに、投資助言業者の中でも、独立した報酬を受け取る業者については、さらに上乗せの規制がかかっておりまして、例えば市場に提供されている十分に広範な金融商品の品ぞろえに配慮した助言を行う義務が課されています。
このように比較法的にも、投資助言の捉え方、それから規制の在り方が大きく異なっておりますけれども、冒頭に述べた市場仲介業者の現代的な意義に鑑みますと、報酬を得ているかどうかということを問わず、投資助言業に含めた上で、報酬を受領する投資助言業者については上乗せの規制をするといったグラデーションのある規律の体系を考えることは、日本にとっても示唆的であると思います。
少し長くなくなりましたけれども、私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。それでは、続きまして、松尾委員、どうぞお願いいたします。
【松尾委員】
松尾でございます。よろしくお願いいたします。私からも個別の点について幾つか申し上げたいと思います。
まず、13枚目のスライドのところの重要情報シートに関するところですけれども、仕組債については、今のところ普及していないというところが気になりました。少し細かいことではありますが、仕組債のような商品こそ、重要情報シートの活用が望まれるのではないかと思います。特に販売しているのが地域銀行ということですから、これは組成する者と販売する者が異なるということになり、組成に係る手数料と販売に係る手数料、それぞれ入るところが別ということになりますので、そういったことも含めて、顧客に開示する必要があるのではないかと思います。重要情報シートが利用されていないのは何か理由があるのかと思いますけれども、ぜひここは利用を促進していただきたいと思います。
それから、18ページ目のデジタル化のところですけれども、今回は検討されているのは主に情報提供手段のデジタル化ということかと思いまして、これはぜひ速やかに実現していただきたいと思いますけれども、課題のほうで書かれておられたとおり、ぜひ資料の内容についてもデジタルマテリアルを活用するということを考えていただきたいと思います。重要情報シートを通じた商品横断的な説明ということになりますと、デジタルのマテリアルというのは非常に有効に使えるのではないかと思います。既に使っておられるところもあるかもしれませんけれども、例えば現行の規制がそういったデジタルマテリアルの利用の妨げとなっているというようなことがあるのであれば、その点は早く改正、修正をしていただきたいと思います。
それから21ページ目の投資助言業の規制につきましては、今、神作委員から詳細に御説明いただいたとおりかと思いますけれども、やはり有償、無償の区切りで規制がかかるかかからないかが分かれるというのは無理が来ているのではないかと思います。特に残高に応じた手数料を徴収するということになり、さらに商品横断的な説明ということになりますと、そこには投資助言的なものが必ずサービスとして含まれてくると思いますので、その対価が無償であると業者が言えば無償ということになるというのは難しいのではないか、有償、無償での区切りというのは難しいのではないかと思います。その上で現行の投資助言業に関する規制に過度な負担があるということであるのであれば、そこは緩和して軽減していく必要があるのではないかと考えました。
最後に23枚目からの二種業に対する規制のところですけれども、クラウドファンディングの規制等が入りまして、やや二種業に対する規制のアンバランスというものが際立っているように思います。二種業については、比較的、一種に比べると緩やかな規制の下、イノベーションを促進するというような理念があったかと思いますけれども、必ずしもその理念どおりの展開にはなっていない、かえって乱用されるような事例が目立ってきているということかと思います。
じゃあ、何が必要かということですけど、まずは25ページに書いていただいているとおり、自主規制として取引対象基準を設けられるということですけれども、少し気になるのは、二種業には、先ほど原田委員からの御質問もございましたけれども、非常に多様な業者がおりますし、扱っている商品も様々なものがあると思います。そうすると、本当に利害が一致して、適切な自主規制を定めることができるのかというのは少し疑問に思うところもありますので、最低限意見が一致するようなところだけですと不十分なものになりはしないかという懸念がございます。場合によっては法令による規制というのが必要になってくるのではないかということで、慎重に見ていく必要があろうかと考えております。
以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。では、次に武田委員、どうぞお願いします。
【武田委員】
ありがとうございます。事務局におかれましては、大変詳しい御説明をありがとうございました。意見を3点申し上げます。
1点目は、「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」についてです。御説明いただいたとおり、商品の費用、信託報酬と比較できるようにすること、見える化していくことは極めて重要だと考えます。今回、ファンドラップ、あるいは同じインデックスファンドの費用体系等のデータを比較し御提供いただいたことは大変よい取組で、今後、顧客本位を進める観点では、こうした比較を顧客からも可能にし、よりよい金融機関を選択できるようにしていくべきと考えます。
加えて今後大切になる情報は、投資先である企業のパーパスや社会価値、非財務価値についての情報も大切になってくると考えます。若い世代は、利益追求のみならず、サステナビリティへの貢献や、社会課題の解決にビジネスで貢献する企業を応援する視点で投資を捉える傾向も見られているように思います。
日経新聞社によるZ世代に対する調査結果を拝見いたしますと、SDGsを意識した行動に取り組みたいかという質問に対し、そう思うと答えられた方が7割以上に達しておりました。投資を通じて、社会価値を追求する企業を応援したいという考えが広がれば、家計の金融資産形成の裾野の広がりにもつながるのではないかと期待しています。
したがって、見える化という観点では、パーパス、創出する社会価値、人材の多様性などの非財務価値の情報開示、こちらも進めていくことが大切と思います。
2点目は、金融リテラシーに関してです。この点に関しては、先ほども御意見が出ておりましたけれども、私は財政も含めて、全体の資金循環、資金の流れを説明する必要があると思います。
また、先ほど御説明した若い世代の意識変化を踏まえますと、サステナブルファイナンスやESG投資、つまり、Eだけではなく、SやGへの理解も高めていくことは、若い世代を含めて、家計の中長期的な資産形成において重要性が増していると考えます。
最後、3点目です。資産運用の高度化に関連しての意見ですが、顧客本位の業務運営の観点から、運用財産の適切な管理、ファンドのガバナンスが重要と思います。
資料にもございましたが、ESG投資への関心が高まる中で、ESG商品の適切な基準と見える化の重要性は増していると思います。ESGを掲げたファンドは多数存在しますが、定義がばらばらで、顧客もその点を理解せずに商品に投資をしている可能性もございます。
また、世界的にも基準を明確にしていこうとする動きがございます。むしろこの点で日本が遅れずに、ルールづくりから参加することで、日本として主張すべきところは主張するとともに、適切なガバナンス体制を構築していく。そうした観点からルールメイキングにもぜひ積極的に御参加いただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に、松岡委員、どうぞお願いいたします。
【松岡委員】
どうもありがとうございます。松岡でございます。
まずは事務局のプレゼン、また、皆様の貴重な御意見等を伺わせていただきまして、本日もありがとうございます。
討議のポイントに関連して、企業の立場で申しますと、まず発行体としての企業がございます。金利や為替などを除いたあらゆる金融商品の中で、企業はクレジット及びエクイティーの発行の主体という立場があるわけでございますけれども、そういったところからは、仲介者、金融機関の役割は大変に大きなものでございますので、家計を含みました投資家へのアクセス、それから御説明、そして取引において、ぜひ適切かつより効果的な機能発揮をお願いしたいということがございます。
いろいろな御指摘も既にございましたけれども、投資家に対しては、特にライフプランに合わせたアドバイザリーの充実というのは日本ではまだ発展の余地が大きいのではないかとも感じております。
また、投資家たる企業及び家計の担い手としての社会人の集合体としての企業の立場もございます。ウェブ会議を含め、いろいろなデジタルツールを駆使して、先ほど来の御指摘もありましたけれども、何らか横断的また総合的な取組みが可能ではないかという点について考えていくのもよろしいかと思っております。
一例ではございますけれども、弊社におきましても、年金の運用セミナーの開催も積極的に実施しておりまして、非常に高い参加率を得ております。また、IRに関連して、資本市場の見方に関する説明会も繰り返し行っております。
企業のリソースやケイパビリティーは実に様々ですし、また、多様な金融機関の健全な競争も担保する必要がございます。職域での自主的な取組みに頼るということのみではなく、デジタルアプローチがしやすくなった今、何らか横断的かつ総合的な取組みが可能かどうかを考える価値はあるかもしれないと思っております。
いずれにいたしましても、社会人にとって強制的に意識する機会は比較的限定的な場合も多いと思われますので、リテラシーは一夜にして成らずということで、早いうちからの教育とともに、触れる機会、考える機会、そして実際の体験というのがとても重要ではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に松本委員、どうぞお願いいたします。
【松本委員】
御説明ありがとうございました。簡単にコメントさせていただきます。
まず1点目は、交付書面のデジタル化はぜひ進めていただきたいと思っております。
2点目が、松尾委員もおっしゃっていましたが、やはり私も気になったのは、重要情報シートの件でして、仕組債のほうで導入が進んでいないというところが非常に気になりました。このような投資に関連する重要な情報がフォーマット化されて開示されるというのは非常に必要であると思っている一方で、仕組債こそ本当にリスクや仕組みが非常に分かりづらい商品だと思っておりますので、こちらの導入をどのように進めたらいいかも考えるのが必要ではないかと感じました。
導入が進まない理由は幾つかあると思いますが、少し意地悪な見方をしますと、仕組債を組成する側からすると、プレーンな商品よりもこういう複雑に組み合わせた仕組債にしたほうが、いわゆるフェアプライスというものが分かりづらくなるため、それによって顧客から、言い方は悪いですが、スプレッドをチャージしやすくするといった背景が商品性としてどうしてもあると思います。そういう背景からすると、なかなかこういった詳細の開示には及び腰になるのは仕方ないのではないかと感じます。
一方で、もう少し擁護する立場でお話ししますと、仕組債自体が、単なる投資という一般的な投資だけではなくて、顧客のニーズに合わせた商品性というカスタマイズ性が高いものでもありますので、単に最初からスプレッドをとられたからといって悪いというわけでなくて、顧客のニーズに合っていれば、いわゆる資本政策に合った商品であれば、商品として非常に価値のあるものと感じることもできますので、何かしらそういった仕組債であっても開示がしやすいフォーマットを別途考えるというのも1つの手ではないかと感じております。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、監督局証券課の八木課長からチャットをいただいておりまして、先ほどの原田委員からの御質問に御回答いただけるということです。八木課長、どうぞお願いします。
【八木証券課長】
金融庁証券課の八木でございます。
先ほど原田委員から御質問いただいた二種業協会の加入状況でございますけれども、委員のおっしゃっていただいたとおり、2015年5月に協会加入促進を目途にしまして、加入していない場合に、自主規制規則に準じた社内規則を整備しなければいけないという制度整備がされまして、それによって、2014年末の時点ではまだ六十数社ぐらいの加入でありましたが、その制度改正を踏まえて、約290社ぐらい増えまして、2015年末には約350社ほどの加入に増えました。
足元でございますけれども、その頃から二種業の登録件数自体は約1,200社ということでそれほど大きく変わっていませんけれども、足元の加入状況は586社と、約半数弱が今、二種業協会に加入している状況でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方につきましては、本日御参加の皆様方全員の方から御発言をいただきました。いつも貴重な御発言をいただきましてありがとうございます。
それでは、オブザーバーの皆様方からもし御発言があれば承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。チャット欄に記入いただければありがたく存じます。今のところ特にチャット欄で御発言希望はいただいてないと思いますけれども、オブザーバーの方々よろしゅうございますでしょうか。
どうもありがとうございます。日本証券業協会、松本オブザーバー、どうぞお願いします。
【松本オブザーバー】
日本証券業協会の松本でございます。御発言の機会いただきまして、ありがとうございます。
仕組債の重要情報シートにつきまして、多くの委員の皆様から御発言いただきましたので、一言私から発言させていただきたいと存じます。
日本証券業協会におきましては、今年の1月に重要情報シートを協会員の方に活用していただく、もしくはきちんと理解をしていただくためにQ&Aを作ってございまして、その後、3回にわたって改定し、内容の充実を図っているところでございます。今、仕組債の重要情報シートにつきましても、Q&Aですとか考え方を示すということで検討を行っているところでございます。
その中で、本日、委員の多くの皆様から業界を横断した比較可能性ですとか、めり張りのある開示が必要という御意見がございましたので、そういったことも参考に検討を進めたいと思ってございます。また、欧米での開示についての御意見もございましたが、これにつきましては、現地の業界団体からの評価ということも伺っていますので、こういったことについても参考にしたいと思っております。
特に仕組債について重要と思ってございますのが、委員の方からもございましたが、リスクをどういうふうに理解していただくかということでございます。仕組債と一言で言いましても、参照指数を株価指数とするもの、個別株とするもの、為替レートとするもの、金利とするもの、様々ございますし、また償還の方法についても、償還の金額が変動するもの、他の商品に転換されるもの、早期に償還されるもの、様々ございます。こういったスキームに沿ったリスク特性の説明が重要情報シートでなされるように、今後、考え方等を示していきたいと思ってございますので、引き続き御指導のほどお願いできればと思います。
私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは次に、全国銀行協会、伊藤オブザーバー、どうぞお願いいたします。
【伊藤オブザーバー】
全国銀行協会の伊藤です。発言の機会を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。私からは2点、申し上げたいと思います。
1点目は、顧客本位の業務運営についてです。顧客本位の業務運営につきましては、プリンシプルベースを原則として、まずもって会員各行が創意工夫により、継続的にその取組を高度化して、真に利便性の高い金融サービスを提供できるように努めていく必要があると認識しているところです。
その上で、委員の方からもいろいろ御意見いただいておりました重要情報シートにつきましては、これもあくまで各行が主体的に導入を進めていくものであると考えておりますが、全銀協としましても、ケース・バイ・ケースで、銀行商品について一部考え方を整理して会員行に還元するといったことも検討しておりまして、引き続き各業界とも緊密に連携を行いながら、各行の取組の水準の向上をサポートしていきたいと考えております。
2点目は、家計の金融リテラシー向上についてです。これは資料34ページにも概要をお示しいただいておりますが、全銀協としましては、従前より、中学生、高校生、大学生向けに授業や地域単位でのセミナーに講師を派遣、教材の作成・配布等にも注力してまいったところです。近年、ウェブ広告の展開等も並行して進めておりまして、業界として様々なアプローチを試みているところでして、今後も精力的に活動を進めていきたいと考えております。
これも御意見ございましたが、やはり金融経済教育につきましては、銀行界も大きな役割を期待されていると認識しておりまして、まさに現場での地道な取組の積み重ねなどをどのように実際に効果につなげていくかというのが課題だと考えております。ここにつきましては、銀行界のみならず、金融業界全体に当てはまるということでもありまして、業界横断的な連携というものも今後一層図っていきたいと考えております。
私からは以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、国際銀行協会の中村オブザーバー、どうぞお願いします。
【中村オブザーバー】
国際銀行協会の中村でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
私からは2点ほど申し上げたいと思います。まず、情報提供という意味で、ここではあまり取り上げておられないのですけども、リサーチの提供というのが日本と欧米では若干差があるのかと思っております。海外では、最善のアドバイスを提供することが求められ、ハウスビューというのが明確に示されて、ハウスビューに従った助言等が原則とされております。逆に言うと、ハウスビューに従わない販売を推奨した場合には、会社としてはそれをチェックしないといけないということで、投資リターンを追求していく上で、世界中からエキスパートを集めて行っているリサーチに対して、会社は責任を持ち、それを推奨していくという形になっております。日本でいいますと、比較的個別のセールス、助言が行われているのではないかという印象を持っております。これから経済成長の果実が、どういった分野からもたらされるのか、あるいはESGその他を含めて、どういう分野が推奨されるか、最善のリサーチを有効に活用していくということが重要なのではないかと思っております。
2点目は、顧客のリスク許容度に合わせたポートフォリオを構築しなければならないというスタンスをもっと明確にしたほうが良いのではないかと思うことです。今後、ベンチャーキャピタルとか、そういったものへの投資もある程度お客様に、日本の個人のお客様にも推奨していかないといけないというフェーズに入っていると思うのですけども、そういった意味でも、どの程度流動性のリスクを取っていただくかということも含めて、ポートフォリオという意味でのアプローチもまだまだという感じがいたします。その辺は、日本の経済成長の果実を家計に分配するという意味では、どういった形でリスクを取っていただくか、ポートフォリオとしての適合性を考えて運営をしていくかというのが重要なのではないかと思います。そうあってこそ、適切なリスクマネーの供給が可能になると思います。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方、それからオブザーバーの皆様方もですけれども、追加でもし御発言があればお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
特によろしゅうございますでしょうか。なかなかチャットに書き込んでいただくのに少し時差が必要かとは思いますけれども、追加での御発言は特にないと思います。それでは、少し時間は早いですけれども、今日はこの辺りとさせていただければと思います。
いつものように皆様方からは貴重な御意見をたくさんいただきまして、誠にありがとうございました。もし追加でお気づきの点等がございましたら、ぜひ事務局まで、電話でも、電子メールでも結構ですので、いただければ大変ありがたく存じます。
本日いただきました御意見等を踏まえまして、今後さらに具体的な検討を進めていきたいと思います。それでは、最後に事務局から御連絡がございましたらお願いいたします。
【島崎市場課長】
本日は、皆様、貴重な御意見ありがとうございました。次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、事務局より別途御案内させていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
繰り返しになりますけれども、本日も長時間にわたり熱心に御参加いただきまして誠にありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
皆様、おはようございます。予定の時間になっておりますので、始めさせていただきます。
ただいまから市場制度ワーキング・グループの第13回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところ御参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日の会合ですけれども、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただいております。メディア関係の方々には金融庁内の別室にて傍聴をしていただいております。議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
いつものようにオンライン参加される皆様方におかれましては、2点注意事項がございます。まず御発言されない間は、マイクをミュート設定としていただき、ビデオもオフにしていただければと思います。次に、御発言を希望されるときには、これまでどおりオンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前または協会名などの組織名を御入力ください。私のほうでそれを確認し、御指名をさせていただきます。そうしましたら、御自身のお名前を名乗った上で御発言いただければと存じます。
本日ですけれども、事務局から前回御議論いただきました内容を踏まえた今後の検討課題を示していただきます。それと併せて「経済成長の成果の家計への還元促進」に関する事務局の説明資料について御説明をしていただきます。その後皆様方に御議論をいただくという流れで進めさせていただきます。
それでは、まず、事務局説明資料についての事務局からの説明をお願いいたします。
【島崎市場課長】
よろしくお願いいたします。お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。
1枚繰っていただきまして、目次を見ていただきますと、前回いただきました御意見と検討課題、それから、家計の資産形成に向けた市場仲介者の役割等々、なっておりまして、まず前回いただいた御意見と検討課題のほうから始めさせていただきたいと思っております。
皆様方におかれましては、前回、約30年ほどを振り返りまして、制度の改正ですとか、ここに至るまでの数字などを踏まえて幅広い観点から御意見を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。そうした御意見を、「(1)経済成長の成果の家計への還元促進」ですとか、「(2)市場インフラ機能の向上」、「(3)成長・事業再生資金の円滑な供給」というふうに、トピックに沿って並べさせていただいております。一つ一つ御紹介することは控えさせていただきますけれども、オブザーバーの方々も含め、多様な意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
6ページ目でございます。前回会合の、私どもで準備させていただきました資料や、皆様方の御意見を併せまして整理いたしました検討事項が図の下にあります3つでございます。「経済成長の成果の家計への還元促進」、「市場インフラ機能の向上」、「成長・事業再生資金の円滑な供給」というように、一旦大きく分けまして、整理させていただきました。
上のほうの図にございますけれども、根源的な資金の供給者である家計のほうからの流れを見てみますと、取引所に上場されている株式を買うですとか、あるいはその他の金融商品を買うですとか、あるいはアセットオーナーですとか資産運用業者の方々を経由しての投資というのもあろうかと思いますけれども、そうしたものが企業や経済の成長とともに富を生み、膨らみまして、市場インフラという場を通じて還元されていって資産形成につながっていくという大きな流れではないか。資金が供給され、成果が還元されていくという観点が非常に大事なのではないかと思いまして設定しています。
もちろんこの過程では、運用業者とかPE・VCなどを通じて上場企業、非上場の資金ニーズが満たされていることは必須でございまして、こういう発行市場における成長・事業再生資金の提供、先ほど申し上げましたのは多少流通のほうに寄ったところかもしれないですけれども、そういったものも併せまして、投資先からリターンが得られていくことになろうかと思っており、3ポツのところでは「成長・事業再生資金の円滑な供給」というふうな大きなくくりにさせていただいております。
それぞれの検討課題について御説明しますと、「経済成長の成果の家計への還元促進」については、経済成長の成果の家計への還元を促し、安定的な資産形成を実現していくため、販売会社による顧客に対する勧誘・助言・説明の在り方、アセットオーナー・アセットマネジャーの役割、家計の金融リテラシーの向上のための取組について検討すると。
2番目の「市場インフラ機能の向上」ですと、デジタル化やサステナビリティへの関心の高まりといった世界の潮流の中で、デジタル・トークン等新たな商品を含む多様な金融商品がより円滑・安定的に取引されていくよう、市場の機能やレジリエンスの向上について検討する。
3番目、「成長・事業再生資金の円滑な供給」ということで、スタートアップや事業の再構築等に資する多様な形態による資金供給を促進することにより、企業活動やこれを支援する資金供給の成果が適切にステークホルダーに還元される方策について検討するということにしております。
それで、今回、討議事項として御議論いただきたいと思っているのは、1ポツのところでございます。次回以降、順次、2ポツ、3ポツと御議論いただく予定でございます。
7ページ目は、今回ご議論いただく「経済成長の成果の家計への還元促進」という部分をクローズアップしたものです。
資金仲介者が受託者等としての責任を果たし、最善の利益を追求するためプロフェッショナリズムを発揮していくことが重要ということで、これは後ほども出てまいりますが、先ほどの図のところで販売会社ということも載せておりましたが、助言会社の役割ということもありましょうし、アセットマネジャーのところには信託銀行(資産管理)といった、プレーヤーを細かくしてこちらのほうは書かせていただいています。
8ページ目と9ページ目では、「経済成長の成果の家計への還元促進」といったときにどういったことが論点となるのかということについていただきました御意見ですとか、私どもの基礎的な資料などをベースにしてまとめさせていただいています。
「問題意識」のところには、日本の家計資産の伸びのこと、あるいは販売者における説明・助言が主要なサービスとなっていく中での金融商品・サービスの在り方について述べさせていただいていまして、課題といたしましては、「家計の資産形成に向けた市場仲介者の役割」で、先ほど申し上げましたプロフェッショナリズムの発揮、それを通じた安定的な資産形成を実現していくため今後どのような取組が必要かと。
こちらの課題のところの内容が一番後ろの討議事項にもなっておりますので、ここで説明させていただくと、「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」では、これまで顧客本位の業務運営の進展に向け、重要情報シートによる顧客への分かりやすい情報提供や適切な対象顧客設定、顧客本位の商品提案力の向上等の取組が進められてきました。他方、重要情報シートの導入状況や、商品の費用や比較についての情報提供の内容、顧客の設定の適切性、ポートフォリオ全体を踏まえた提案、デジタルツールを活用した分かりやすい情報提供などの課題が指摘されていて、こうしたものにはどのような対応が必要か。このほか、大きなテーマとして、家計への還元についてどのような課題の対応が優先度が高いのか。
それから、②で、金商業における助言の本業化や、預り資産残高重視への動きなども踏まえて、勧誘・説明や助言について、どのような取組が必要か。
それから、ソーシャルレンディングや投資信託をめぐる不正事案を踏まえて、どのような取組が必要か。
続きまして9ページ目でございますけれども、運用機関についてでございます。問題意識として、組成・管理の在り方、ガバナンス等々についての問題意識を述べさせていただいております。取組は進められてはいるところですけれども、道半ばのところもございます。
それから、投資未経験者などが資産運用を行わない主な理由などを挙げながら金融リテラシーについて問題意識を書かせていただいています。
課題のところですが、資産運用について、ガバナンスの強化等を通じた高度化を図るとともに、プロダクトガバナンスをより適切に実践していく上で、海外の動向も踏まえつつ、どのような取組が必要か。
それから、家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上でございます。
こうした課題、討議事項にもさせていただいておりますけれども、こういったものについて、今日御議論いただくに当たって、11ページ目以降、基礎的な資料を添付させていただいております。
11ページ目が、「顧客本位の業務運営に関するこれまでの取組」ということで、「顧客本位の業務運営に関する原則」が、より良い取組を行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現ということで、2017年3月に策定されております。販売の実態であるとか、そういったものが問題意識の根源になっていて、金融行政方針などにも書いてきているところです。
12ページ目でございますけれども、2021年1月にはFD原則を改訂して、例えばライフプランを踏まえたポートフォリオに基づく商品提案ですとか、具体的な取組内容についての記載の充実のほか、重要情報シートの導入が提言されました。その他不適切事例のルールベースの対応のための監督指針の明確化・詳細化なども行われています。
業務運営の足元の状況は、皆様の御努力で進展も見られますけれども、同時に重要情報シートの導入状況や記載内容に課題もあるなど、道半ばで、例えばこの下のほうでいいますと、ライフプランに応じた提案などに取り組む方針を掲げる販売会社が増加していますが、同時に販売に関する仕組債等の苦情もございます。
続きまして13ページ目でございます。今挙げました重要情報シートの導入状況ということで申し上げますと、趣旨といたしましては、重要な情報を分かりやすくというところと業態を超えた類似の商品との比較ということを念頭に置いて導入が提言されたところです。現在の状況でいいますと、右側の真ん中ほどの資料にもございますけれども、投資信託ですとか、特定保険などについて順次導入が開始されています。他方、仕組債、ファンドラップ、外貨建て債券等については一部開始されたところもありますけれども、これからという状況になっております。
導入済みのシートについていいますと、定型的な記載が多く見受けられるなどの趣旨実現に向けての今後の取組が期待されるところもあろうと思います。
14ページ以降で個別の分野に入ります。仕組債でございますが、近年販売額が増加傾向にあって、苦情も寄せられております。日本証券業協会のほうでは注意喚起文書の交付や、重要事項説明などの取組を行われてきておられると思いますが、同時に、少し右側の中段に記載がありますが、欧州などでは仕組債の組成・販売に関するコストについて、販売価格と公正価格の差額の開示などの制度もあるようでございますけれども、今、日本で商品性に関わる情報であるコストというのは基本的に開示されていないという状況になっておろうかと思います。重要情報シートの導入もこれからということでございます。
15ページ目でございます。こちらは最近契約件数が伸びているファンドラップでございますけれども、こちらも重要情報シートは一部で導入が始まった段階でございますが、その中でバランス型投資信託との類似性ですとか、あるいはコストの面での管理費用などについての指摘もされているところでございます。
続きまして16ページ目でございますが、投資信託の費用開示です。もちろん費用の点、費用の比較というのは重要なポイントで、その中で事前に開示されるものと事後に確定して開示されるものがあるときに、最近ですと、事後に開示されているようなものでも直近のものを事前に提供したりする取組が業界でも検討されていると伺っております。
ただ、同時に、そういった形で開示される総経費率というものにおいても含まれているもの、含まれていないものがあろうということが現状かと思います。
もう一つあるのが、信託報酬についても、これは何を含めて計上するのかという点で、例えば右下にあるような法定書面の作成費用というのが事前に含まれているもの、含まれていないものというものがあろうというのが実態であるということが現状で言えるのではないかと思っています。
続きまして17ページ目の「同一のベンチマークに連動するインデックスファンドの費用体系」でございます。同一のベンチマークに連動するインデックスファンド、同じ商品性と考えられるわけですけれども、1つの販売会社、資産運用会社において信託報酬水準の異なるファンドが取り扱われています。
最近の動きですと、販売会社では、対面取扱いものについて、運用会社と協議の上で、同一ベンチマークの最低水準に統一するとか、あるいは最低水準でない銘柄を非勧誘とするといった取組が見受けられてきておりまして、結局、重要情報シートの活用などによって、信託報酬がより低いような商品というものは、内容が同じなのであれば勧めるということが期待されているのではないかと思っています。
続きまして18ページ目でございます。交付書面等のデジタル化の話でございます。「顧客に対する交付書面のデジタル化と顧客本位の業務運営の観点からの情報提供の推進」ということで、現状、顧客の意思表示があれば電磁的方法による提供が可能でして、重要情報シートを使用して所定事故を適切に説明した場合には目論見書等の電子提供が可能です。
こうしたものに加えまして、全般的な顧客交付書面の原則デジタル化ということについての御要望が日本証券業協会から規制改革推進会議に寄せられていまして、先日私どもも参加いたしまして、ヒアリングをいただいたところです。
委員の方々からは、スケジュール感を持って検討を進めるべきですとか、あるいは顧客の方々の理解の向上というのが大事で、情報提供の中身、方法を検討して、デジタル化などに当たっても顧客の方に極力ベストな形で進めるべきということ。それから、顧客の範囲、原則デジタル化の対象とされる範囲。電子メールアドレスを登録した方や、一定年齢以下の方といった御意見がそこではございました。販売会社の業務効率化に配慮すべきといった論点も指摘いただいているところで、こうしたことの検討を今後進めていくことになっております。
続きまして、大きく分けますと、先ほどまでが顧客本位の業務運営の私どもの取組と最近の状況ですが、投資助言の在り方ということで、昨今アドバイスの重要性ということ、20ページ目に記載させていただいていますけれども、アンケートを見ましても、金融機関の提案に対するニーズが強く見られるとともに、金融商品取引業者のほうでも、顧客の資産形成に関するコンサルティング、アドバイスに重点を置いたようなビジネスモデルへの転換の動きが進んでいると思います。
21ページ目でございますけれども、いわゆる残高連動手数料が導入される動きが見られております。これはコンサルティングやアドバイスの重視の流れの中、都度手数料に代えてというような文脈かと思います。
有償の投資顧問契約に基づいて投資助言を提供する場合は、投資助言・代理業に該当するわけですけれども、こうした残高連動手数料方式でのものを投資助言・代理業として提供するか、あるいは現在そのような位置づけになっています金融商品取引業の付随業務として提供するのかというのは対応が分かれているところです。
米国などですと、証券会社が残高連動手数料を徴収して投資助言を提供する場合、通常、投資助言業者の登録が必要となっていることかと思います。
例えば、海外でいいますと、ドイツでは、無償、有償にかかわらず、責務の程度に差はあるようでございますが、助言業の規律が用意されておるということになっていると承知しています。
なお、金融商品取引業者からは投資助言・代理業を選択しない理由として、下記の(2)のところにございますけれども、投資助言・代理業に関する規定の一部が、「顧客への金銭・有価証券の貸付け等の禁止」などが挙げられることもございますが、負担になるという御意見もございます。
続きまして、そうした「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」の中でも、行政処分の事例にも即した投資者保護の在り方との関連でいいますと、二種ファンドをめぐる動きがございまして、これはいわゆるソーシャルレンディングですが、インターネットを用いてファンドの募集を行って投資家からの出資を貸し付ける仕組みでございますけれども、こうしたものについて処分事例というのがございまして、例えばフォローアップや、モニタリングといったものについて、取得勧誘面について処分をした事例でございます。
こうしたものから敷衍して少し制度的な観点からいいますと、資料の下に、(2)、(3)とございますけれども、二種ファンドに関する運用の面、投資運用業に当たればルールがかかっている部分がありますけれども、一般的に二種ファンドの運用面、それから、募集面でなお検討していくべき点があろうかということについて論点があろうかと思っています。
もう一つ、24ページ目でございますけれども、「投資信託の運用財産の適切な管理・保全のあり方」でございます。投資先の運用体制ですとか運用方法、管理・保全状況、財産が確実に集めたものがあるのかといったものを委託者、受託者ともに把握していないような事案が発生しております。現段階では何かアプリオリにこれということでもないのですけれども、こうした顧客のお預かりした大事な財産について、所在などという基本的なことについて、関連される業者の方々がどういった責務を負って実行していくべきなのかというところというのは、なおどういった点を考えていくのかという検討の必要はあろうかという論点がございます。
25ページ目でいいますと、情報の内容等についてここまで部分的に御説明してまいりましたけれども、そもそも例えば不招請勧誘ですとか適合性原則の文脈で、そもそも販売ですとか、そもそも勧誘してよい顧客の範囲ということがございまして、これは自主規制規則のほうで策定することが求められておりまして、これを受けて各協会の方々は基準を定めております。こうした点についても、商品・サービスの提供ということでなお検討すべき点があるのかということが一つあろうかと思いまして記載させていただいております。
それから27ページ目以降ですが、ここまでのところは金融商品提供の在り方でしたが、資産運用の高度化でございます。私どもが2020年、2021年に出しています資産運用業高度化プログレスレポートに関していいますと、ガバナンスや、目指す姿、強み、経営体制、業務運営体制について、プロダクトガバナンスなどにも力点を置きながら運用高度化の重要性というものを指摘してきております。
実際、取組に一定の進展が見られていることもあり、例えば経営体制などでも、少し長期視点での運用というのを意識する動きが見られます。一方で、なお、中長期的に持続可能な運用成果を実現していったり残高を拡大していくためには、より一層実効性のある取組をしていく必要があろうということで、参考となるような仕組みとして、28ページ目、29ページ目に欧米の例を挙げさせていただいていまして、例えば28ページでいいますと、英国の施策は、米国をお手本としている部分もあろうかと思いますけれども、例えば独立取締役の設置ですとか、あとは手数料に見合った価値についての評価プロセス、あるいは開示プロセスがございます。右側のアメリカについても会社型ファンドということですけれども、独立取締役の設置ですとか、運用契約の評価プロセスというのを設けておりまして、そうしたものを参考にされたということですが、一連の施策を実施しています。
同時に、下のほうにもありますけれども、大半の資産運用について求められる水準についてはそこまでいっていないというようなレビューも見られているところです。
29ページ目が、「資産運用会社の運用高度化」の中で、アメリカで2001年に施行されているSECのNames Ruleというのがございまして、現在、広く今の制度についての意見募集をしたところですが、制度改正等の具体的なスケジュールは未公表です。
右下にも例がございますが、ESGとか、定量的な評価が難しい投資カテゴリーを名前に冠したファンドの増加などを意識した動きだと理解しておりまして、基本的な制度としては、ファンド名に特定のアセットクラスですとか、そういった産業、国・地域に関係する場合には、そのファンドは、ファンド名に冠したカテゴリーの資産に一定以上投資しなければいけない等々の制度だと理解しています。
31ページ目以降がリテラシーのことでございまして、少しデータを挙げさせていただきますと、リスク性金融商品を購入しない理由の回答の割合として、余裕資金のことや、知識、不安を感じるからなどが挙げられていまして、左下の国際的に比較してみますと、ここにあるものに関していいますと、日本でいうと2016年から大きな変化は見られず、また水準が高いとも言えない状況になっているのかと考えています。
それから32ページ目でいいますと、これまでの金融経済教育に関する主な取組として、教材の中身の話としてのコンテンツの作成ですとか、あるいは、出張授業ですとか、先生向けの指導教材の作成ですとか、出張授業等も財務局等で行ってきております。
33ページ目では、新学習指導要領における記載、21年、22年度からそれぞれ中高で実施されますが、記載の拡充、それから34ページ以降、各団体のほうで、学生向けや、社会人向けということで、広くは、対象ごとに、教材の作成や、あるいは出張講座ですとか、多岐にわたりますので、逐一は控えてさせていただきますけれども、取組を強化されていっているのではないかと思います。
36ページ目、37ページ目については、時間の都合もございますので、冒頭、8ページ目のところでも申し上げました課題でございます。
私からの説明は以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、今いただきました御説明を踏まえて皆様に御議論をいただければと思います。
今、言及がありましたけれども、今日の主要テーマを最後の36ページと37ページで討議していただきたい事項としてまとめておりますので、適宜御覧いただければと思います。
いつものように、まず委員の皆様方から御発言をいただき、その後でオブザーバーの皆様方からもし御発言があればお伺いするということにさせていただきます。
これもいつものことで恐縮ですけれども、多くの皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、発言のお時間としましては5分を目安にしていただければと存じます。4分を過ぎますと事務局から発言時間残り1分の旨のチャットが発言されている委員の方のみに送付されますので、発言時間の御参考にしていただければと思います。
ということでございますけれども、本日御欠席の上柳委員から御意見をいただいておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【島崎市場課長】
上柳委員からいただいたものとして、私のほうから読み上げさせていただきます。
家計の安定的な資産形成のためには、顧客本位原則を個々の金融事業者が現場で工夫をして実現していくことがポイントである。その観点から、事務局説明資料13ページに指摘されている重要情報シートの趣旨実現、14ページの欧米の例のような仕組債のコスト開示、21ページに関連して、無償と整理される場合も含めて投資助言の質の確保、23ページの二種ファンドのルールの整備、25ページの各社の取引開始基準について、その履行状況のモニタリングは当面の具体的課題だと思います。
併せて28ページに紹介されたアメリカやイギリスでの資産運用会社のガバナンスや評価基準、履行確保の工夫は家計からの信頼確保に資するもので、大いに参考とするべきものと考えますという御意見を頂戴しております。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方から御質問、御意見をお出しいただければありがたく存じます。チャット欄に全員宛てに発言希望などと入れていただければありがたいのですけれども、いかがでしょうか。それでは、佐々木委員、どうぞお願いいたします。
【佐々木委員】
御説明ありがとうございました。また前回の意見を踏まえていろいろ御準備いただきまして、ありがとうございます。よく分かりました。
私からは、大きな意見はないのですが、1つは、やはりすごく大きい流れとして、顧客本位の業務運営というのを徹底される中で、回転売買などが減少する一方、仕組債やファンドラップが上昇しているように見えます。もし顧客が、仕組みをしっかり分からないままに仕組債とかファンドラップを利用していると仮定したら、誤解を恐れず言うと、回転売買で目に見えた形だったコストがある意味包括されて見えない形で資産が運用されて、どっちにしろ理解できてないというような可能性もあると思います。今回まとめていただいた中に書いてあるのですけれど、投資助言というのが個人投資家に、個人の資産運用にもコンサルテーションというのが必要であり、また、それに支払う意味があるということを、やはりリテラシーといっても、細かい金融の仕組みとかシステムがどうなっているとかということじゃなくて、そういうことも理解できるようなリテラシーをつけていくことが重要なのではないかと感じました。
また、意見のところに入れていただきましたが、前回申し上げましたように、やはり税額控除というのは個人の資産形成に非常に大きな影響を与えていると思いますので、これも一緒に、どこに税額控除というのを入れていくかということで、そこの資産が伸びるということと関係があると思いますので、引き続き注目していっていただけたらと思います。
以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、続きまして、有吉委員、どうぞお願いいたします。
【有吉委員】
有吉でございます。私からは事務局説明資料36ページ以下の項目についてそれぞれ少しずつコメントさせていただきたいと思います。まず①顧客本位の業務運営の関係について、ただいま佐々木委員がおっしゃられたことの1点目と若干関連するかもしれませんが、もちろん顧客への情報提供を充実させることが重要であることは間違いないと思うのですが、例えば仕組債については、コストの詳細の開示をしさえすればよいというものではなくて、顧客が商品の仕組みやリスクを十分に理解できることが投資の前提になるのではないかと思います。そういった意味で、情報提供の内容だけではなくて、適合性原則の考え方とうまく組み合わせて適切な対応を検討していくということが必要ではないかと思います。
また、提供される情報が増え過ぎるとかえって重要な情報が伝わりにくくなるという面もあると思いますので、何でも形式的に有用な情報であれば書面への記載を求めるということではなくて、分かりやすさやめり張りの観点についても引き続き十分考慮して情報提供の在り方を考えていくべきであると思います。
それから、デジタル化の観点につきましては、個人的にはぜひ推進すべきだと考えております。もちろんデジタルのほうに進んでしまうと必要な情報を受け取ることができないという方が出てくる可能性があり、これは問題であるということは承知しております。そういった意味で、紙が必要とされる場面が引き続き残るということを否定するつもりはございません。ただ、紙であるから常に伝わるということでもないはずだと思いますし、それから業者側の業務の効率性という観点だけではなくて、保存とか検索の点ではデジタル化を進めたほうが顧客にとって利便性が高いという場合も多いと思います。そういった意味で、紙が原則でデジタルが例外だという考え方からはいいかげん脱却すべきではないかと強く思うところでございます。
それから、36ページの②の点でございますが、証券会社のビジネスモデルが変わりつつあるということに加えて、家計からの投資促進を進めるという観点からも、適切な範囲での証券会社によるコンサルティングや助言行為は促進すべきものであると思っております。そういった中で、投資助言・代理業規制の形式的な適用が負担になるという面が実務的に課題となっているのであれば、例えば一定の範囲では第一種金融商品取引業として有償の助言を行うこともできるようにするといった制度の見直しもあり得るのではないかと思います。その際、証券会社の中には、日本の規制だけではなくて欧米の規制も併せて適用されるような、そういった会社も多いと思いますので、うまく整合性の取れた制度設計が必要ではないかと思います。
それから、36ページの③の点のうちのソーシャルレンディングのほうでございますが、特に不動産や再生可能エネルギー施設に対する投資目的のスキームについては、業態として不祥事例が散見されているということに加えて、個々の案件のリスク評価があまり簡単ではないという実態もあると思います。したがって、業者にある程度体制整備や責任を求めるような方向での規制強化というのは検討されるべきと感じておりますが、一方で規制強化をするとしても、イノベーションを過度に阻害することにならないように対象範囲は慎重に検討していただきたいと思います。
一方で投資信託のほうについては、信託銀行の役割や善管注意義務の範囲というものについて当局側と業界とでうまく目線をそろえていただくことがまず必要なのではないかと思います。その上で、信託銀行に一定のモニタリング機能を求めるということは制度としてはあり得るのではないかと思います。ただ、そのようにしてしまうとどうしてもコストがかさんでいくということも考慮する必要があると思います。そのため、仮に投資信託において不祥事が発生することが現状それほど大きな割合を占めていないということであれば、投信委託会社の責任に委ねて、信託銀行にはある程度緩やかな対応でとどめるというほうが合理的という考え方もあるのではないかと思います。信託銀行によるモニタリングの必要性とコストのバランスの観点から信託銀行の適切な役割を模索していただきたいと思います。
最後に、37ページのほうでは、リテラシーの点について感想的なことだけ申し上げさせていただきたいと思います。いろいろな取組をなさっていることはすばらしいことだと思うのですが、単に学校で講義を行うというだけであまりリテラシーが進むわけではないような気がいたします。例えば授業の中で実際に少額の資金を用いて投資を行うとか、何かゲーム感覚的な形で実体験ができるような対応などをしないとなかなか大きな効果は上がらないのではないかという気がいたします。
あわせて、前回もコメントさせていただきましたが、教育ということとともに、投資助言や情報提供サービスの利用促進を図ることも非常に重要ではないかと考えております。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいている順番で、次に福田委員、どうぞお願いいたします。
【福田委員】
ありがとうございます。事務局からは詳細な御説明ありがとうございました。かなり重要な論点を網羅していただいたのではないかと思います。
私からは3点コメントをさせていただければと思います。まず第1点は、投資家というのは、プロ以外の投資家であっても様々な投資家が存在しているということなのだろうと思います。その際に、金額ベースで見るのと人数ベースで見るのでは投資家の見方もかなり違ってきます。金額ベースで見ると、特定の人たちがかなり大きな投資家としてやはり存在していて、そういう人たちに対してどういう配慮をしていくかということというのは1つあります。
他方で、人数ベースで見ると、少額の投資、あるいはそもそも投資してない人がたくさんいるということで、そういう人たちへの配慮というのも重要になってくる。そういう意味では、有吉委員からもありましたけど、重要情報というのをどういうふうに提供するかという観点は重要になって、全ての人が必要な情報というのは共通ではない。その中で重要情報を全ての人に対応できるように一律に供給すると、やたら詳しくなり、あまり関係ない情報も重要情報に入ってきて分かりにくくなってくるということもあります。やはりどういう情報が投資家ごとに重要なのかということというのは、ある程度きめ細かな差別化をして、分かりやすい重要情報を提供するという仕組みづくりは大事なのではないかと思います。これが1点目です。
それから2点目も、やや1点目と関係しているのですけど、リテラシーという場合も、いろんなタイプの投資家に対して、きめ細やかなリテラシーの向上を図ることが重要です。それなりに分かっている人の更なるリテラシーの向上と、それから、基本的に投資には関心ないのだけれども、やはり最低限知っておかないといけないリテラシーをどういうふうに高めていくかということというのが大事なのだろうと思います。
その際、学校は半強制的にみんな授業を受けさせられますので、やり方自体は有吉委員が言われたようにもう少し工夫が必要かもしれませんけど、強制的に皆が学ぶという特徴があります。けれども、社会人向けの取組を拝見させていただくと、基本的にはそういう説明会に来る人が対象という形になっていて、そういう説明会には私は関心ありませんみたいな人は、基本的にリテラシーの向上の機会というのが、事務局の説明だと何となく提供されていないということはあるのだろうとは思います。ただ、そういうリテラシーの説明会に来ないような社会人一般の人たちにもリテラシーの向上というのは当然必要で、投資に騙されないとか、あるいはいろんな意味でのリテラシーの向上、幅広い国民のリテラシーの向上ということになると、開催する会にそもそも関心がないような人もリテラシーの向上というのは当然必要ですので、そういう取組も幅広くやっていただきたいということです。
それから最後は、デジタル化の取組で、私も基本的にはデジタル化の方向性を推進すべきですし、基本的にはデジタル化を推進することを前提に何がその場合に問題なのかという観点で議論を進めていってほしいと思います。
その際は、個人的にいろいろとデジタル化について気になる点は、どれぐらいデジタルで過去のいろんな書類を閲覧できるかということです。普通は関心事ではないけれども、書類だと何だかんだと保存してあったりして昔のものを見れたりします。一方、デジタル化されたものだと、ある程度時間が経つと見れなくなってしまうみたいなこともあったりして、多少不都合が起こったりもするというのが個人的な経験です。このため、その保存期間、閲覧できる期間を、毎回毎回もちろん報告書は送られてくるのですけど、デジタル化だと見なかったりするということが多くて、後で見ようと思ったらもうなくなっていますみたいなことというのはやはり困る点はあるとは思います。
それから、全てデジタル化にしたときに、本人以外がそれにアクセスする機会がなかなか難しくなる。具体的に言うと、例えば高齢者、それなりに高齢の方が認知症になられた、あるいはそもそもお亡くなりになられたというときに、家族の方がどういう資産をその方が持たれていたのかということを、郵送だと、こういう資産を持っていたのかみたいなことというのは分かることは多いのですけれども、全てデジタル化すると、なかなかパスワードとか、そういうもので閲覧して家族の人たちが調べるということというのはできなくなってしまいます。このため、デジタル化は基本ですけれども、一定程度は非デジタル化の情報提供というのも最低限は残す必要はあるのではないかと思います。
私からは以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に井口委員、どうぞお願いいたします。
【井口委員】
よろしくお願いいたします。井口です。まず、事務局の御説明ありがとうございました。
私は運用機関におりますが、主に運用フロント、アナリストですので、今回のアジェンダのすべての実務について通じてない部分もありますが、事務局説明資料の35ページ以降の討議事項の論点に沿って幾つかコメントをしたく思っております。
最初の顧客への商品・サービスの提供の在り方ですが、事務局説明資料にもありますように、顧客本位の業務運営に関する原則に従って、受益者のために各主体が自社の状況を踏まえて創意工夫によってサービス提供のクオリティーを上げていくということは重要と考えております。
また、前回申し上げましたが、サステナブル社会への移行の重要性が日本経済全体としても高まる中、それを支えるサステナブルファイナンスの役割も重要になってくると思っておりますので、こういった原則の中でも、サステナブルファイナンスに関わる最終投資家の志向に対応するという事項が、より重要になってくるのではないかと考えております。
あと、サステナブルファイナンスの確立には、討議事項の最後のポイントの金融リテラシーの向上というところとも関係してくると思っておりまして、ESGあるいはサステナブルファイナンスに関する啓蒙活動もより重要になってくるのではないかと思っております。
あと、一番下のところの③の投資家保護のところですが、この中でもソーシャルレンディングにつきましては、今後FinTechが一段と広がるということが予想される中で重要な事象と考えております。ソーシャルレンディングにおける過去直近の不祥事の事例を見てみますと、集められた資金が顧客に説明したとおりに適切に使われなかったという点で、比較的不祥事の内容が共通していると理解しております。当局には既に開示についてのガイダンスを出していらっしゃると理解しておりますが、今後とも最終投資家が投資判断を行う上で重要な事項を可能な限り開示させる仕組みづくりというのも必要ではないかと考えております。
次に、討議事項のポイントの資産運用会社の高度化のところとなります。事務局説明資料の28ページで、FCAの施策の中で独立社外取締役の活用というルールが記載されております。ここまできめ細かく社外取締役の責任を設定するということは日本では時期尚早かとは思いますが、私の経験も踏まえて考えますと、企業におけるコーポレートガバナンスと同様、資産運用会社においても今後社外取締役の活用というのはより重要になるのではないかという感触を持っております。大手機関投資家は既に社外取締役を設置しているところが多いと思います。
また、スチュワードシップ・コードの原則2の利益相反管理において第三者の目を入れることを定めているところもあり、スチュワードシップ活動の監督者として外部有識者を社外取締役の他に招致し、委員会を作っている会社も多いと思います。各社、様々な対応していると思っておりますが、私のいる運用会社でも社外取締役を設置しておりまして、かつ同時にこの社外取締役がスチュワードシップ活動の監督を行うという体制を取っています。
私は現場の責任者として、2017年から4年くらいにわたり、現在は3人になる社外取締役とスチュワードシップ活動の在り方についての議論を行ってきています。正直、いつも意見が一致するわけではありませんが、多くの議論を通じ、運用現場の人間として支えられているという感覚をもっており、こういったこともあり、自らのスチュワードシップ活動を大きく発展させることができたもの、と考えています。
もちろん社外取締役を設置するだけでは十分ではなく、運用現場や担当部署からプロアクティブに社外取締役と議論を行い、現場の状況をよく知ってもらって、その知見を会社全体の意思決定を行う取締役会での判断に生かしてもらうといった仕組みや、担当部署の社外取締役に対する認識、有効な活用についての意識も必要とは考えます。
ただ、資産運用高度化上の課題ばかりではなく、例えば1つ目の討議事項の顧客への商品・サービスの提供の在り方も、アジェンダの幾つかは、フィナンシャルの非常にテクニカルなことというよりも、資産運用会社の業務に合理的な目をどう入れていくかという視点であると考えますので、私の個人的な経験も踏まえますと、社外取締役の積極的かつ実効的な活用というのは1つの解になるのではないかと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に原田委員、どうぞお願いいたします。
【原田委員】
ありがとうございます。原田でございます。意見と質問が1つございます。
まず意見のほうから述べさせていただきますと、何人もの委員の方がおっしゃっている社会人向けのリテラシーの向上について少し申し上げます。31ページに学校教育向けのリテラシーの向上策についてはいろいろ具体的なものが作られ、定まってきていまして、例えば高校生ですと、来年から家庭科で資産運用を少し学べるようになります。家庭科というのが不安だと思っていましたけれども、サンプル教材は業界から提供していただくということで、より具体的に学べるようでよいと思っています。
ただ、社会人向けのリテラシー向上策については、31ページを見ますと、先ほど福田委員もおっしゃいましたけれども、あまり具体的ではないといいますか、協力を依頼するとか、ウェブサイトで情報発信するという形の記載もあり、あまり多くの人に届いていないのではないかと感じます。
社会人向けの中でも、特に定年を迎える、退職金を手にするような方々に向けてのリテラシーの向上というのはニーズもあるところなのではないかと思っております。定年退職をしてしまいますと、月々入ってくる分配金がある人もあれば、ない人もいるかと思うのですけれども、そうすると、運用で月々にインカムとして入ってくる金融商品に魅力を感じる人がいます。安全かつ利回りの高い金融商品を持ちたいとか、そういったニーズがあるかと思います。それがよくない商品を買ってしまうという結果にもつながっているのではないかと思いますので、高齢の方にもう少し学んでもらう機会を提供できればよりよいのではないかと思います。
関連しまして、重要情報シートについてですけれども、重要情報シートで、導入状況にばらつきがあるということが書かれております。業態的にばらつきがあるのは改善するべきだと思うのですけれども、商品横断的に幅広い商品で同じ形で導入を進めるというのは少々現実的ではない面があるのかもしれないと感じております。
例えば、配付していただいている資料ですと、16、17ページ辺りに投資信託の費用開示というのがあります。インデックス型という非常に分かりやすいシンプルな商品で、費用開示をしていただいて、図示もしていただいておりますけれども、この一番分かりやすいパッシブ型のインデックス運用の商品、こういう商品であっても、100%明らかにはならない部分というのがあります。例えば商品の残高によってインデックスの使用料が変わってくるインデックスもありますし、運用会社と販売会社の間で力関係によって信託報酬の取り分が違うですとか、いろいろな細かな差があります。一番シンプルな商品でもそういう状況ですので、導入が見られないとある仕組債については、重要情報シートのフォーマットにそぐわないという面があり、導入が進まない面があるのではないかと思います。
先ほど事務局のほうから御説明いただいた際にも、業界では自主規制があると。仕組債の販売・勧誘などが規制されているとおっしゃいましたけれども、自主規制に準じる規制を、より幅広い、地域銀行系の証券会社ですとか、そういうところにも促していただくというのがよいのではないかと思います。自主規制の徹底を促すなどということも1つの策であろうかと思います。あと、欧米のような開示というのも1つの策かと思いました。
あとすみません、もう1点だけ。交付書面の電子化など、デジタル化は進めていっていただければと思います。
あと一つ、質問がございまして、二種業は各社に任されているということが25ページの一番下のところに書かれてありますけれども、二種業、そもそも加入率が低かったかと思うのです。幅広い業務内容をおこなう業者がいることから、加入は義務化されていないはずです。数年前の金融審議会で、二種業協会への加入が促進されるようになったかと思うのですけれども、その後、加入がどのくらい増えているのか、わかれば教えてください。あと、二種業者が取引の対象とする分野は幅広いですけれども、幾つかのカテゴリーに分けて自主規制の策定は考えられているかですとか、そういったことが分かるようでしたらお教えください。
以上になります。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、御質問のあった点について。
【島崎市場課長】
御質問ありがとうございます。今の時点で、手元にそういった資料がございませんので、少し整理させていただいて、然るべきタイミングで御返答させていただければと思います。
【神田座長】
それではそういうこととさせていただければと思います。ありがとうございました。では、続きまして、野村委員、どうぞお願いいたします。
【野村委員】
野村でございます。私からは、スケジュール的なところの御質問が1つと、それからテーマについて幾つかコメントをさせていただければと思います。
まずスケジュール的な質問のほうですけれども、6ページに記載していただいた3つの論点を順次取り上げていかれるものと理解いたしました。本日の「経済成長の成果の家計への還元促進」という、このトピックについて、本日以降ももう1回議論する場ないし御予定があるものなのか。全体的なスケジュール感のほうを御教示いただければと思っております。
8ページから9ページにおいて様々なタイプの課題を挙げていただいているという印象を持っておりまして、このワーキング・グループで扱うテーマとして何が適当なのかという観点から、ある程度は絞り込む必要があるのではないかと思います。
例えば5年後にやっておいてよかったと思うようなことや、時間がかかるので今から着手しないと、ということを優先的に扱うとよいのではないかと思っております。
次に、幾つかのトピックについてのコメントでございます。まず、金融リテラシーの強化についてです。これまでもいろいろと取り組んでこられたということを今日御説明いただきまして、その上で、今、追加で取り組むべきことは何なのかということだと思います。
まず1点目として、複数の主体の取組、いろいろと今日御教示いただきましたけれども、これらの相互連携や効率化、そういったことを追求していく必要があるのではないかと感じました。
2点目ですけれども、今申した効率化、相互連携にも関わるのですが、国全体の戦略とそれから司令塔、これが必要なのではないかと思います。金融リテラシーの向上というのは、国全体の人材、人的資本に関する重要な課題だと思います。米英では国家戦略として金融リテラシーに関するものを策定していると理解しておりますし、その目的は国民のファイナンシャルウエルネスの向上にあると聞き及んでおります。そのような国全体のマターとしての戦略、そして司令塔が必要ではないかと思います。
3点目に、いわゆる学齢期につきましては、既に何人かの委員の方からもコメントございましたけれども、教員の方たちに対するサポートに注力する必要があるのではないかと思います。コンテンツは既に十分に用意されているように思いましたが、あえて言ってしまえばこれが十分に届いていないというのが課題ではないかと思います。
したがって、なぜ届いていないのか、これを究明する必要がございますし、地域ごとに課題が違うですとか、足元ですとコロナ禍対応で大変なのだといった事情もあるかと思います。いずれにしましても、これは省庁を越える必要があると思いますので、それゆえに国家戦略、司令塔ということになると思っております。
家庭科のほうについては、これは個人的な感覚ですけれども、外国語教育ですとかデジタル教育に相通ずるところがあるかなと思います。身につければ社会に出てから若い方たちの選択肢が広がる、そういうタイプの重要な教科ではないかと思います。
また、社会科、公民科につきましては、これは金融というよりは資金循環の理解を得ること、国全体、社会全体の資金循環の理解を得ることが重要ではないかと思っております。特にこれからの若年世代については、言うなれば膨大な借金を負った国で社会人になるわけですから、今まで以上に重要ではないかなとも思います。
4点目に社会人ですけれども、これは職域における取組への注力ではないかと思います。広範に届けるプラットフォームとしてこれに勝るものはないと思います。社会人についてはそう思います。確定拠出年金、DCですとか、職場つみたてNISAの投資教育は一つの入り口になると思います。長期分散投資を実践すること、これは資産形成の目的達成のための手段の1つになりますけれども、長期分散投資という手段、手法を身につけることができれば人生における強力なツールになると思います。足りないのは、知識もかもしれませんが、知識よりも、どちらかというと経験ではないかなとも思っておりまして、職域で経験していただいて、ほかでも使えるようになる、これがファイナンシャル・ウエルネスの向上につながると思っております。
そして、個人の総合的な資産形成支援と現行の金融法令・制度の関係の部分でございますけれども、顧客本位業務運営原則を通じまして、ライフプランに沿ったファイナンシャルプランの提供が個人向け投資サービスの中心的なものであるというのは、共有されていると思っております。業態が異なるので法令や規制が異なるというのは、これは金融業界の事情ですので、個人には理解されないと思います。基本理念は、同種のサービスを提供するなら、同じような規制をするということかと思います。
ただ、新しい展開でもありますので、既存法令とマッチしない部分が出てくるのは仕方がないとも言えますし、実務上の負担も踏まえてきちんと整理していく必要があるのだと思っております。
金融サービス仲介業も追加されて異業種の参入も推進される方向と思いますので、健全な競争環境の確保に努めることも大事だと思っております。個人から見るとDCも重要な資産形成の一部ですので、これも取り込んでいく必要があると思います。
投資アドバイスは、将来の資産価格が言うなれば定義上不確定なわけですけれども、その中にあって顧客に対価の支払いを求めることになります。ただ、将来が不確実だからこそ価値があるとも言えますので、このサービスの付加価値について理解を得て、それに見合う対価を得るという、このビジネスが成り立つのかどうかが問われていくと思いますし、その有用性を理解し使いこなすのは個人になりますので、金融リテラシーの課題にもつながると思っております。
最後に、重要情報シートについては、本来の趣旨・目的・意味を常に念頭に置くのが大事だと思います。すなわち個人にとって異なる業態からのものであったとしても、横比較しやすいようにすること、これが本来の趣旨であろうかと思っております。
また、開示書類等のデジタル化は早急に進めていただければと思っております。
私からは以上です。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。スケジュールについての御質問がありましたが。
【島崎市場課長】
お答えさせていただきます。御質問ありがとうございました。本日は、前回幅広い課題から3つぐらいに検討課題を絞らせていただいて、今回はその1つ目ということで、恐らく来年になると思いますけれども、他の分野、2つ目、3つ目の課題も進めていきますが、同時に本日も多くの意見いただくと思いますし、より検討も必要だと思いますので、また深まった議論というのは来年然るべきタイミングでさせていただき、御意見を賜りながら検討を進めていくということだと基本的には思っています。そうしたスケジュールで進めさせていただければと思います。
【野村委員】
ありがとうございます。
【神田座長】
今日いただきました御意見を踏まえて、また次の議論をお願いする機会があると、そういう進め方かと思います。どうもありがとうございました。それでは、続きまして、神作委員、どうぞお願いいたします。
【神作委員】
ありがとうございます。討議事項の1の(1)及び1の(2)を中心に総論的な御発言を1点、また各論3点についてコメントさせていただきたいと思います。
まず総論としまして、顧客と接点を持つ市場仲介業者の現代的な存在意義として次の2点が重要であると考えております。第1は、市場仲介業者が顧客に対して的確な情報を提供して、顧客と業者との間の情報の非対称性を緩和すること。それによって市場の失敗を緩和するということです。第2は、市場仲介業者が適合性の原則を遵守して、顧客のベストインタレストを図ることによって、利用者、投資者の市場に対する信頼を確保し高めていくことです。
特に後者の市場仲介業者の顧客のベストインタレストを図る義務というのは、比較法的に見ましても、単にソフトロー上のものではなく、むしろハードローとして規律される傾向にあると認識しています。
また、さらに単なる情報提供を超えてより積極的に助言を行うということが重要であることは、単なる説明だけによる情報の非対称性の解消には限界があるということ等からも明らかであると思われます。
市場仲介業者が期待されている役割を具体的に果たすために次の3点が望まれると思います。第1は、市場仲介業者が販売・仲介する金融商品・金融サービスを適切に理解するということ。第2は、市場仲介業者が顧客の属性や投資目的、投資経験、財産状況などを知ること、すなわちノウ・ユア・カスタマー・ルールをきちんと実践した上で的確な販売がなされること。それから第3は、投資に当たっての助言・アドバイスが真に顧客の利益に合致するようになされることです。
第1点については、討議事項の1の(2)に関連すると思いますけれども、プロダクトガバナンスの考え方が参考になると思います。市場仲介業者が販売・仲介しようとしている金融商品・金融サービスについて、ターゲットとして想定されている顧客層ですとか商品特性をよく理解することを求めるとともに、顧客と接点を持っている市場仲介業者としてターゲットとしている想定顧客のニーズに本当に合致している金融商品であるのかどうか、顧客の満足度はどうか等の情報を顧客から吸い上げて、金融商品等の組成業者にそれをフィードバックするという循環がうまく機能するということが期待されていると思います。
第2点については、ノウ・ユア・カスタマー・ルールというのが、日本法の下ではハードロー上の位置づけも必ずしも明確ではないと理解しております。顧客のポートフォリオ全体を視野に入れて、より適切な販売や助言を行うための大前提として、顧客情報をきちんと収集し、それを適切に利用することが望ましいと考えられます。特に重要情報シートの利用がより拡大し、活発に利用され、かつそれが有効に利用されると望ましいと思います。先ほども御発言がございましたけれども、重要情報シートの意義として、いわば業界横断的、業務分野横断的に同様の機能を持つ金融商品・金融サービスを横断的に比較できることがありますので、そのような観点から、しかも情報を絞ったポイントを簡潔・的確に開示するという観点からさらに工夫が凝らされることに期待しています。
それから第3点でございますけれども、投資助言に係る規律については、比較法的に見ても、定義をはじめとして国によりかなり異なっておりますので、御参考までに、例えば米国とドイツの状況を簡単に述べさせていただいて、日本に対する示唆を述べたいと思います。
米国における投資助言の定義のポイントは、日本法の定義と非常に類似していると思いますけれども、次の2つです。第1は、有価証券に係る投資助言・推奨を行うこと。第2は、そのサービスに対して対価、すなわち報酬を受け取ることです。
ところが、米国では重要な適用除外があって、ブローカー・ディーラーが本業である証券業に専ら付随して助言を行い、かつ当該助言等の行為について特別の報酬を受領していない場合には投資顧問業には該当しないとされています。
米国では投資助言業者とブローカー・ディーラーの法的地位がどのように違うと説明されてきたかというと、投資助言業者はフィデューシャリーであるのに対し、ブローカー・ディーラーというのはベストインタレストレギュレーションによって顧客のベストインタレストを図る義務を課されてはいますけれども、フィデューシャリーではないと解されていると理解しています。
フィデューシャリー・デューティーとベストインタレストに係る義務との間にどのような違いがあるかというと、例えば一例を挙げますと、投資助言業者の負うフィデューシャリー・デューティーは、顧客との関係全体について継続的に適用されると解されているのに対し、ブローカー・ディーラーのベストインタレストに係る義務は、顧客に対してサービスを提供する時点においてのみ適用されます。このような継続的関係なのか、それとも、個々の助言・推奨行為等にスポットを当てた義務なのかといった点のほかにも幾つか違いがございますけれども、このような違いがございます。
恐らくこのような性質を反映して、米国では一般に個々の取引ごとにコミッションを課す方式が通常のブローカー・ディーラーのサービス提供に係る対価の徴収方法であるのに対して、資産残高に応じてフィーを徴収するという方式は、投資助言サービスの対価の一般的な徴収方法であると言われていると思います。
これに対して、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、ドイツにおいては、投資助言は金融商品に係る取引に関する個別の推奨であって、投資者に適合するものとしてなされるものと定義されています。この定義の大きな特徴は、助言に対して報酬を受け取るかどうかということを問題にしていない点にあります。投資助言の特徴というのは、投資仲介や取次ぎなど、他の有価証券サービスとともになされるのが通常であるとドイツでは認識されています。
例外的に、通常の証券業務を行っていて、投資助言に当たらないというのはどのような場合かというと、取引の執行だけを行うエグゼキューションオンリーの場合ですとか、顧客には他の投資助言者が既についていて、当該投資助言者の指図に基づいて投資者が売買する場合において、それを仲介するというような場合に限定されています。
証券業者自体、誠実公正義務を課されておりますけれども、投資助言業者はこの義務に加えて、追加的な義務を課されています。特に情報開示について、投資助言業者には通常の証券業者に比べて加重された開示義務等が課されています。
さらに、投資助言業者の中でも、独立した報酬を受け取る業者については、さらに上乗せの規制がかかっておりまして、例えば市場に提供されている十分に広範な金融商品の品ぞろえに配慮した助言を行う義務が課されています。
このように比較法的にも、投資助言の捉え方、それから規制の在り方が大きく異なっておりますけれども、冒頭に述べた市場仲介業者の現代的な意義に鑑みますと、報酬を得ているかどうかということを問わず、投資助言業に含めた上で、報酬を受領する投資助言業者については上乗せの規制をするといったグラデーションのある規律の体系を考えることは、日本にとっても示唆的であると思います。
少し長くなくなりましたけれども、私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。それでは、続きまして、松尾委員、どうぞお願いいたします。
【松尾委員】
松尾でございます。よろしくお願いいたします。私からも個別の点について幾つか申し上げたいと思います。
まず、13枚目のスライドのところの重要情報シートに関するところですけれども、仕組債については、今のところ普及していないというところが気になりました。少し細かいことではありますが、仕組債のような商品こそ、重要情報シートの活用が望まれるのではないかと思います。特に販売しているのが地域銀行ということですから、これは組成する者と販売する者が異なるということになり、組成に係る手数料と販売に係る手数料、それぞれ入るところが別ということになりますので、そういったことも含めて、顧客に開示する必要があるのではないかと思います。重要情報シートが利用されていないのは何か理由があるのかと思いますけれども、ぜひここは利用を促進していただきたいと思います。
それから、18ページ目のデジタル化のところですけれども、今回は検討されているのは主に情報提供手段のデジタル化ということかと思いまして、これはぜひ速やかに実現していただきたいと思いますけれども、課題のほうで書かれておられたとおり、ぜひ資料の内容についてもデジタルマテリアルを活用するということを考えていただきたいと思います。重要情報シートを通じた商品横断的な説明ということになりますと、デジタルのマテリアルというのは非常に有効に使えるのではないかと思います。既に使っておられるところもあるかもしれませんけれども、例えば現行の規制がそういったデジタルマテリアルの利用の妨げとなっているというようなことがあるのであれば、その点は早く改正、修正をしていただきたいと思います。
それから21ページ目の投資助言業の規制につきましては、今、神作委員から詳細に御説明いただいたとおりかと思いますけれども、やはり有償、無償の区切りで規制がかかるかかからないかが分かれるというのは無理が来ているのではないかと思います。特に残高に応じた手数料を徴収するということになり、さらに商品横断的な説明ということになりますと、そこには投資助言的なものが必ずサービスとして含まれてくると思いますので、その対価が無償であると業者が言えば無償ということになるというのは難しいのではないか、有償、無償での区切りというのは難しいのではないかと思います。その上で現行の投資助言業に関する規制に過度な負担があるということであるのであれば、そこは緩和して軽減していく必要があるのではないかと考えました。
最後に23枚目からの二種業に対する規制のところですけれども、クラウドファンディングの規制等が入りまして、やや二種業に対する規制のアンバランスというものが際立っているように思います。二種業については、比較的、一種に比べると緩やかな規制の下、イノベーションを促進するというような理念があったかと思いますけれども、必ずしもその理念どおりの展開にはなっていない、かえって乱用されるような事例が目立ってきているということかと思います。
じゃあ、何が必要かということですけど、まずは25ページに書いていただいているとおり、自主規制として取引対象基準を設けられるということですけれども、少し気になるのは、二種業には、先ほど原田委員からの御質問もございましたけれども、非常に多様な業者がおりますし、扱っている商品も様々なものがあると思います。そうすると、本当に利害が一致して、適切な自主規制を定めることができるのかというのは少し疑問に思うところもありますので、最低限意見が一致するようなところだけですと不十分なものになりはしないかという懸念がございます。場合によっては法令による規制というのが必要になってくるのではないかということで、慎重に見ていく必要があろうかと考えております。
以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。では、次に武田委員、どうぞお願いします。
【武田委員】
ありがとうございます。事務局におかれましては、大変詳しい御説明をありがとうございました。意見を3点申し上げます。
1点目は、「顧客への金融商品・サービス提供のあり方」についてです。御説明いただいたとおり、商品の費用、信託報酬と比較できるようにすること、見える化していくことは極めて重要だと考えます。今回、ファンドラップ、あるいは同じインデックスファンドの費用体系等のデータを比較し御提供いただいたことは大変よい取組で、今後、顧客本位を進める観点では、こうした比較を顧客からも可能にし、よりよい金融機関を選択できるようにしていくべきと考えます。
加えて今後大切になる情報は、投資先である企業のパーパスや社会価値、非財務価値についての情報も大切になってくると考えます。若い世代は、利益追求のみならず、サステナビリティへの貢献や、社会課題の解決にビジネスで貢献する企業を応援する視点で投資を捉える傾向も見られているように思います。
日経新聞社によるZ世代に対する調査結果を拝見いたしますと、SDGsを意識した行動に取り組みたいかという質問に対し、そう思うと答えられた方が7割以上に達しておりました。投資を通じて、社会価値を追求する企業を応援したいという考えが広がれば、家計の金融資産形成の裾野の広がりにもつながるのではないかと期待しています。
したがって、見える化という観点では、パーパス、創出する社会価値、人材の多様性などの非財務価値の情報開示、こちらも進めていくことが大切と思います。
2点目は、金融リテラシーに関してです。この点に関しては、先ほども御意見が出ておりましたけれども、私は財政も含めて、全体の資金循環、資金の流れを説明する必要があると思います。
また、先ほど御説明した若い世代の意識変化を踏まえますと、サステナブルファイナンスやESG投資、つまり、Eだけではなく、SやGへの理解も高めていくことは、若い世代を含めて、家計の中長期的な資産形成において重要性が増していると考えます。
最後、3点目です。資産運用の高度化に関連しての意見ですが、顧客本位の業務運営の観点から、運用財産の適切な管理、ファンドのガバナンスが重要と思います。
資料にもございましたが、ESG投資への関心が高まる中で、ESG商品の適切な基準と見える化の重要性は増していると思います。ESGを掲げたファンドは多数存在しますが、定義がばらばらで、顧客もその点を理解せずに商品に投資をしている可能性もございます。
また、世界的にも基準を明確にしていこうとする動きがございます。むしろこの点で日本が遅れずに、ルールづくりから参加することで、日本として主張すべきところは主張するとともに、適切なガバナンス体制を構築していく。そうした観点からルールメイキングにもぜひ積極的に御参加いただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に、松岡委員、どうぞお願いいたします。
【松岡委員】
どうもありがとうございます。松岡でございます。
まずは事務局のプレゼン、また、皆様の貴重な御意見等を伺わせていただきまして、本日もありがとうございます。
討議のポイントに関連して、企業の立場で申しますと、まず発行体としての企業がございます。金利や為替などを除いたあらゆる金融商品の中で、企業はクレジット及びエクイティーの発行の主体という立場があるわけでございますけれども、そういったところからは、仲介者、金融機関の役割は大変に大きなものでございますので、家計を含みました投資家へのアクセス、それから御説明、そして取引において、ぜひ適切かつより効果的な機能発揮をお願いしたいということがございます。
いろいろな御指摘も既にございましたけれども、投資家に対しては、特にライフプランに合わせたアドバイザリーの充実というのは日本ではまだ発展の余地が大きいのではないかとも感じております。
また、投資家たる企業及び家計の担い手としての社会人の集合体としての企業の立場もございます。ウェブ会議を含め、いろいろなデジタルツールを駆使して、先ほど来の御指摘もありましたけれども、何らか横断的また総合的な取組みが可能ではないかという点について考えていくのもよろしいかと思っております。
一例ではございますけれども、弊社におきましても、年金の運用セミナーの開催も積極的に実施しておりまして、非常に高い参加率を得ております。また、IRに関連して、資本市場の見方に関する説明会も繰り返し行っております。
企業のリソースやケイパビリティーは実に様々ですし、また、多様な金融機関の健全な競争も担保する必要がございます。職域での自主的な取組みに頼るということのみではなく、デジタルアプローチがしやすくなった今、何らか横断的かつ総合的な取組みが可能かどうかを考える価値はあるかもしれないと思っております。
いずれにいたしましても、社会人にとって強制的に意識する機会は比較的限定的な場合も多いと思われますので、リテラシーは一夜にして成らずということで、早いうちからの教育とともに、触れる機会、考える機会、そして実際の体験というのがとても重要ではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に松本委員、どうぞお願いいたします。
【松本委員】
御説明ありがとうございました。簡単にコメントさせていただきます。
まず1点目は、交付書面のデジタル化はぜひ進めていただきたいと思っております。
2点目が、松尾委員もおっしゃっていましたが、やはり私も気になったのは、重要情報シートの件でして、仕組債のほうで導入が進んでいないというところが非常に気になりました。このような投資に関連する重要な情報がフォーマット化されて開示されるというのは非常に必要であると思っている一方で、仕組債こそ本当にリスクや仕組みが非常に分かりづらい商品だと思っておりますので、こちらの導入をどのように進めたらいいかも考えるのが必要ではないかと感じました。
導入が進まない理由は幾つかあると思いますが、少し意地悪な見方をしますと、仕組債を組成する側からすると、プレーンな商品よりもこういう複雑に組み合わせた仕組債にしたほうが、いわゆるフェアプライスというものが分かりづらくなるため、それによって顧客から、言い方は悪いですが、スプレッドをチャージしやすくするといった背景が商品性としてどうしてもあると思います。そういう背景からすると、なかなかこういった詳細の開示には及び腰になるのは仕方ないのではないかと感じます。
一方で、もう少し擁護する立場でお話ししますと、仕組債自体が、単なる投資という一般的な投資だけではなくて、顧客のニーズに合わせた商品性というカスタマイズ性が高いものでもありますので、単に最初からスプレッドをとられたからといって悪いというわけでなくて、顧客のニーズに合っていれば、いわゆる資本政策に合った商品であれば、商品として非常に価値のあるものと感じることもできますので、何かしらそういった仕組債であっても開示がしやすいフォーマットを別途考えるというのも1つの手ではないかと感じております。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、監督局証券課の八木課長からチャットをいただいておりまして、先ほどの原田委員からの御質問に御回答いただけるということです。八木課長、どうぞお願いします。
【八木証券課長】
金融庁証券課の八木でございます。
先ほど原田委員から御質問いただいた二種業協会の加入状況でございますけれども、委員のおっしゃっていただいたとおり、2015年5月に協会加入促進を目途にしまして、加入していない場合に、自主規制規則に準じた社内規則を整備しなければいけないという制度整備がされまして、それによって、2014年末の時点ではまだ六十数社ぐらいの加入でありましたが、その制度改正を踏まえて、約290社ぐらい増えまして、2015年末には約350社ほどの加入に増えました。
足元でございますけれども、その頃から二種業の登録件数自体は約1,200社ということでそれほど大きく変わっていませんけれども、足元の加入状況は586社と、約半数弱が今、二種業協会に加入している状況でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方につきましては、本日御参加の皆様方全員の方から御発言をいただきました。いつも貴重な御発言をいただきましてありがとうございます。
それでは、オブザーバーの皆様方からもし御発言があれば承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。チャット欄に記入いただければありがたく存じます。今のところ特にチャット欄で御発言希望はいただいてないと思いますけれども、オブザーバーの方々よろしゅうございますでしょうか。
どうもありがとうございます。日本証券業協会、松本オブザーバー、どうぞお願いします。
【松本オブザーバー】
日本証券業協会の松本でございます。御発言の機会いただきまして、ありがとうございます。
仕組債の重要情報シートにつきまして、多くの委員の皆様から御発言いただきましたので、一言私から発言させていただきたいと存じます。
日本証券業協会におきましては、今年の1月に重要情報シートを協会員の方に活用していただく、もしくはきちんと理解をしていただくためにQ&Aを作ってございまして、その後、3回にわたって改定し、内容の充実を図っているところでございます。今、仕組債の重要情報シートにつきましても、Q&Aですとか考え方を示すということで検討を行っているところでございます。
その中で、本日、委員の多くの皆様から業界を横断した比較可能性ですとか、めり張りのある開示が必要という御意見がございましたので、そういったことも参考に検討を進めたいと思ってございます。また、欧米での開示についての御意見もございましたが、これにつきましては、現地の業界団体からの評価ということも伺っていますので、こういったことについても参考にしたいと思っております。
特に仕組債について重要と思ってございますのが、委員の方からもございましたが、リスクをどういうふうに理解していただくかということでございます。仕組債と一言で言いましても、参照指数を株価指数とするもの、個別株とするもの、為替レートとするもの、金利とするもの、様々ございますし、また償還の方法についても、償還の金額が変動するもの、他の商品に転換されるもの、早期に償還されるもの、様々ございます。こういったスキームに沿ったリスク特性の説明が重要情報シートでなされるように、今後、考え方等を示していきたいと思ってございますので、引き続き御指導のほどお願いできればと思います。
私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは次に、全国銀行協会、伊藤オブザーバー、どうぞお願いいたします。
【伊藤オブザーバー】
全国銀行協会の伊藤です。発言の機会を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。私からは2点、申し上げたいと思います。
1点目は、顧客本位の業務運営についてです。顧客本位の業務運営につきましては、プリンシプルベースを原則として、まずもって会員各行が創意工夫により、継続的にその取組を高度化して、真に利便性の高い金融サービスを提供できるように努めていく必要があると認識しているところです。
その上で、委員の方からもいろいろ御意見いただいておりました重要情報シートにつきましては、これもあくまで各行が主体的に導入を進めていくものであると考えておりますが、全銀協としましても、ケース・バイ・ケースで、銀行商品について一部考え方を整理して会員行に還元するといったことも検討しておりまして、引き続き各業界とも緊密に連携を行いながら、各行の取組の水準の向上をサポートしていきたいと考えております。
2点目は、家計の金融リテラシー向上についてです。これは資料34ページにも概要をお示しいただいておりますが、全銀協としましては、従前より、中学生、高校生、大学生向けに授業や地域単位でのセミナーに講師を派遣、教材の作成・配布等にも注力してまいったところです。近年、ウェブ広告の展開等も並行して進めておりまして、業界として様々なアプローチを試みているところでして、今後も精力的に活動を進めていきたいと考えております。
これも御意見ございましたが、やはり金融経済教育につきましては、銀行界も大きな役割を期待されていると認識しておりまして、まさに現場での地道な取組の積み重ねなどをどのように実際に効果につなげていくかというのが課題だと考えております。ここにつきましては、銀行界のみならず、金融業界全体に当てはまるということでもありまして、業界横断的な連携というものも今後一層図っていきたいと考えております。
私からは以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、国際銀行協会の中村オブザーバー、どうぞお願いします。
【中村オブザーバー】
国際銀行協会の中村でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
私からは2点ほど申し上げたいと思います。まず、情報提供という意味で、ここではあまり取り上げておられないのですけども、リサーチの提供というのが日本と欧米では若干差があるのかと思っております。海外では、最善のアドバイスを提供することが求められ、ハウスビューというのが明確に示されて、ハウスビューに従った助言等が原則とされております。逆に言うと、ハウスビューに従わない販売を推奨した場合には、会社としてはそれをチェックしないといけないということで、投資リターンを追求していく上で、世界中からエキスパートを集めて行っているリサーチに対して、会社は責任を持ち、それを推奨していくという形になっております。日本でいいますと、比較的個別のセールス、助言が行われているのではないかという印象を持っております。これから経済成長の果実が、どういった分野からもたらされるのか、あるいはESGその他を含めて、どういう分野が推奨されるか、最善のリサーチを有効に活用していくということが重要なのではないかと思っております。
2点目は、顧客のリスク許容度に合わせたポートフォリオを構築しなければならないというスタンスをもっと明確にしたほうが良いのではないかと思うことです。今後、ベンチャーキャピタルとか、そういったものへの投資もある程度お客様に、日本の個人のお客様にも推奨していかないといけないというフェーズに入っていると思うのですけども、そういった意味でも、どの程度流動性のリスクを取っていただくかということも含めて、ポートフォリオという意味でのアプローチもまだまだという感じがいたします。その辺は、日本の経済成長の果実を家計に分配するという意味では、どういった形でリスクを取っていただくか、ポートフォリオとしての適合性を考えて運営をしていくかというのが重要なのではないかと思います。そうあってこそ、適切なリスクマネーの供給が可能になると思います。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方、それからオブザーバーの皆様方もですけれども、追加でもし御発言があればお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
特によろしゅうございますでしょうか。なかなかチャットに書き込んでいただくのに少し時差が必要かとは思いますけれども、追加での御発言は特にないと思います。それでは、少し時間は早いですけれども、今日はこの辺りとさせていただければと思います。
いつものように皆様方からは貴重な御意見をたくさんいただきまして、誠にありがとうございました。もし追加でお気づきの点等がございましたら、ぜひ事務局まで、電話でも、電子メールでも結構ですので、いただければ大変ありがたく存じます。
本日いただきました御意見等を踏まえまして、今後さらに具体的な検討を進めていきたいと思います。それでは、最後に事務局から御連絡がございましたらお願いいたします。
【島崎市場課長】
本日は、皆様、貴重な御意見ありがとうございました。次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、事務局より別途御案内させていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
繰り返しになりますけれども、本日も長時間にわたり熱心に御参加いただきまして誠にありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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