金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第6回) 議事録

  • 1.日時:

    令和3年2月18日(木)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第6回)
令和3年2月18日
 
【神田座長】
 おはようございます。それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。市場制度ワーキング・グループの第6回目の会合を開催いたします。皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加いただきましてありがとうございます。本日の会合でございますが、本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただきます。メディアの関係者の方々には、金融庁内の別室にて傍聴をしていただいております。議事録は通常どおり作成し、金融庁のホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

 また、いつものことで恐縮でございますが、オンラインで参加される皆様方におかれましては、2点注意事項がございます。1点目として、御発言をされない間はミュート設定にしていただくようお願いいたします。2番目として、発言を御希望される際は、オンライン会議システムのチャット機能を使っていただいて、全員宛にお名前または協会名などの組織名を御入力お願いいたします。それを確認させていただきまして、私が御指名をさせていただきますので、御自身の名前を名乗っていただいた上で御発言をいただくという、これまでと同じですが、そういうことでお願いいたしたく存じます。

 それでは、本日ですが、テーマは「成長資金の供給の在り方に関する検討」ということでございまして、そのテーマで御議論いただきたいと思います。まず事務局から、事務局提出資料について御説明をいただきます。それに続きまして、株式会社日本クラウドキャピタルと株式会社東京証券取引所から、資料に基づいて、成長資金の供給の在り方についての御説明をいただきます。それを終えた後、皆様方から御質問、御意見等をいただきたいと存じます。

 それでは早速ですが、まず成長資金の供給の在り方に関する事務局の説明資料について、事務局からの御説明をお願いいたします。

【永山市場企画管理官】  
 ありがとうございます。市場課の永山でございます。よろしくお願いいたします。

 資料1の事務局説明資料に沿って御説明させていただきます。今回のテーマは成長資金供給の在り方ということで、昨年11月の第3回会合の際に一度、総論として御議論いただいておりますが、今回から具体的な施策というところで、個別の論点について何回かに分けて御議論いただければと考えております。

 おめくりいただきまして目次でございますが、本日御議論いただきたいテーマは大きく2つございまして、1つ目がⅠ.の非上場企業への成長資金供給に関する課題の全体像というところと、2つ目が、Ⅱ.の個別制度に関する論点のうち、今回は一般投資家関係の枠組みということで、株式投資型クラウドファンディングと、JPX、東証のベンチャーファンド市場について御議論いただければと思います。そのほかの個別の論点、プロ投資家関係の論点ですとか、あるいはVCやPEファンドを通じた資金供給の課題といったところについては、また次回以降、改めて御議論いただければと思っております。

 まず全体像というところですが、2ページ、3ページのところは、昨年11月の第3回会合、総論を議論した際の委員の皆様の主な御意見を紹介させていただいております。様々な観点から御指摘をいただいておりますが、成長資金供給が長年の課題となっている中で、制度面だけではなくて、実態面を含めて幅広い検討が必要ということを御指摘いただいたかと思います。

 続いて4ページですが、非上場株式の発行・流通の状況ということで、世界の状況を簡単に御紹介しております。

 左側が、非上場株式による企業への投資というところで、日本とアメリカの数字を御紹介しております。アメリカでは、企業の成長ステージに応じて非上場株式による投資が活発に行われておりまして、2019年ですと約98兆円の資金となっております。

 続いて右側のほうは、非上場株式のセカンダリー取引の量ということで、世界の推計値になりますが、世界的にも取引が増加しているという状況でございます。

 続いて5ページのところになりますが、非上場企業への資本性資金の流れについて、指摘されている主な課題を全体として示してみたものでございます。

 図のところですが、左側から、資金の出し手である投資家、家計・アセットオーナーから真ん中の金融仲介を担う枠組みやプレーヤーを介して右側の中堅・中小企業やベンチャー企業といった非上場企業に資金が流れていくという絵になっております。

 いろいろなプレーヤーを1つの図に入れ込んでおりますが、ボリューム的に大きな資金の流れとなっていますのは、この図でいう上半分の緑色の部分、機関投資家からのお金がVCやPEファンドを通じて流れていくという部分かと思います。四角囲みの中を御覧いただきますと、まず左上の国内の機関投資家というところですと、年金基金などの日本の機関投資家については、非上場株式への投資が限定的という状況ですので、こういった機関投資家からの資金供給を円滑化するにはどうしたらよいかという論点が考えられます。

 また、仲介を担っているVCやPEファンドですが、こちらも昨年11月に御議論いただいたように、投資額自体は拡大傾向にはありますが、欧米と比較すると、ファンドの規模や1件当たりの投資額というのはまだ小さいという状況にございまして、資金調達の場面でいいますと、内外の機関投資家からさらに資金を呼び込むためにはどうしたらよいか、資金を出していくところでいうと、成長する企業を見い出してさらに成長を支援することで運用力を高めていくためにはどうしたらよいかということが論点として考えられるかと思います。

 続いて、下の青っぽい部分ですが、左下の三角が個人の投資家を表しておりまして、上にプロ投資家というところで少し色を分けておりますが、個人のプロ投資家の制度の利用というのは、現在非常に限定的になっています。こういった観点から、個人のプロ投資家の基準が適切かですとか、そもそもプロ投資家になるメリットがあるのか、使い勝手がいいのかということが論点になるかと思います。

 また、その下の一般投資家というところで、人数としては多いですが、一般的にやはりリスクの高い非上場株式への投資ということについては、日証協の規則のほうでも投資勧誘が禁止されているというところもございまして、資金量自体は限定的かと思います。一方で、一般の投資家でも利用できる枠組みとして、株式投資型のクラウドファンティングやベンチャーファンド市場といったものが存在しています。こうした枠組みが、それぞれの特性に応じてその機能を発揮していくためにはどうしたらよいかという論点が考えられます。

 続いて仲介のところにございます証券会社でございますが、囲みで言うと右下になります。証券会社で「?」と付けておりますが、現状ですと、非上場株式の投資勧誘というのが日証協規則のほうで原則として禁止されておりますので、現状ではあまり仲介という役割は担っていないのかと思われますが、この投資勧誘の在り方も含めて検討した際に、証券会社に一体どういう役割が期待されるかというところが考えられるかと思います。

 最後に黄色い部分ですが、こちらは非上場株式のセカンダリー取引というのを表しておりまして、欧米ではこういったセカンダリー取引が活発に行われているということで、企業の側からすると、上場しなくても、成長ステージに応じて投資家が変わっていくことで、非上場のまま時間をかけて大きく成長することができるということが指摘されています。また、投資家からしても、投資回収の機会を見込むことができるということで、当初のプライマリー投資も行いやすくなっていると言われています。そうした観点から、日本でも非上場企業への資金供給を行いやすくするという観点から、こうした投資回収の機会を充実させるためにはどうしたらよいかという論点が考えられるかと思います。

 以上が、今後御議論いただきたいところの全体像として、一案としてお示ししているものでございます。そのうち今回御議論いただきたい部分は、ここの左下の一般投資家関係の枠組みとして示している部分でございまして、株式投資型クラウドファンディングとJPXのベンチャーファンド市場について、本日は御議論いただければと考えております。

 7ページでございますが、こちらは株式投資型クラウドファンディングの制度の概要でございます。いわゆる「クラウドファンディング」については、厳密に定義があるわけではないですが、一般的には、新規の成長企業等がプロジェクトを行うために必要な資金を、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ集める仕組みというふうにされております。

 クラウドファンディングとしては、一般的に寄付型、購入型、貸付型、株式投資型などが存在していると言われていますが、今回ここでは資本性資金の供給ということで、株式投資型のクラウドファンティングについて取り上げたいと思います。この金商法上の株式投資型クラウドファンディング制度については、新規成長企業への資金供給の円滑化という観点から、2015年に創設されています。枠組みとしましては、ここの図にありますように、少額要件、発行企業からしますと調達金額1億円未満、投資家からしますと投資金額50万円以下の投資の仲介を行う仲介業者に関しては、通常の一種業に求められる登録要件が一部緩和されるという枠組みになっております。

 8ページのところが、クラウドファンディング仲介業者、金商法上ですと第一種少額電子募集取扱業者に関する制度の概要でございまして、上半分のところが今申し上げた、登録要件などが一部緩和されているという内容でございますが、他方で、下半分にございますように、インターネットを通じて多くの方に投資勧誘が可能であるというところを踏まえて、発行体の審査や投資家保護に関して、通常の一種業よりも強化されている規制内容というのもございます。

 続いて9ページから、株式投資型クラウドファンディングの利用状況でございます。9ページのところ、現在取り扱っている仲介業者は6社ありまして、昨年末までに231件の取扱いがあって、目標額に到達したということで成約した案件が161件、累計の調達額は50億円超、平均の調達額で3,000万円強となっております。また、下の注に記載しておりますが、投資後の状況としまして、ヒアリングしているところですと、これまでの成約件数のうち、昨年末時点で、IPOやM&Aといった形でイグジットしている事例はまだございません。他方で、倒産・破産は3件、そのほか別の事業会社やVCなどによるクラウドファンディング株主の持分の買い付けといった形で投資回収している事例が3件となっております。ですので、まだほとんどの案件は投資が継続中という状況でございます。

 続いて10ページのところ、どういった企業が株式投資型クラウドファンディングを利用しているかというところを、仲介業者6社から御協力いただきまして、こちらで取りまとめたものでございます。

 まず利用企業のステージとしましては、シード・アーリーのステージの企業で9割以上。利用業種を見てみますと、IT・テクノロジーを中心に幅広い業種の企業が利用しています。資金調達の方法としてクラウドファンディングを利用した理由ですが、主に消費者向けの商品・サービス等を提供している事業者を中心に、自社の商品・サービスのPR、宣伝を兼ねてというような利用理由が多くなっています。そのほかには、VC調達と条件などを比較考慮したという回答が多くなっています。それから、一番右端ですが、クラウドファンディングを実施する前に他から資金調達をしたことがあるかという点では、何らか外部からの資金調達をした実績があるところが7割以上となっております。

 続いて11ページが、投資家の状況、どういう方が投資家として利用されているかというところですが、左側、年齢で見ますと40代以下で7割以上となっています。また年収で見ますと1,000万円未満の投資家で7割弱。クラウドファンディングを利用した理由としましては、発行会社を応援するためという理由が35%となっております一方、投資リターンを得るためですとか、長期のポートフォリオに組み入れるためといった投資目的の利用も多くなっています。

 こうした利用状況を踏まえまして、12ページでございますが、今回取り上げたい論点として3つ挙げております。1点目が、発行可能総額1億円未満の算定方法について。2点目が投資家の投資上限額である50万円以下の在り方について。3点目は、クラウドファンディングに関する業規制ということではなくて一般的な開示規制になりますが、少人数私募の人数算定の方法について、この3点について御議論いただければと思っております。

 まず1点目の、発行可能総額1億円未満の算定方法の見直しですが、現状、少額要件として総額1億円未満とされていまして、この1億円の算定方法については、小分けに何度か資金調達して潜脱することを防止する観点から、過去1年間に遡って資金調達額を合算することとされています。ただ、現在の条文上は、合算する対象が1年間の資金調達を全て合算するということになっておりまして、右下の図にありますように、例えばVCなどから少人数私募で8,000万円調達したとすると、そこから1年間は残りの2,000万円未満しかクラウドファンディングでは調達できないという状況となっております。

 14ページのところでございますが、実際の利用状況のところを見てみますと、左側のグラフにありますように、3,000万円程度の調達額が多くなっています。他方で、ほかの資金調達と合算して見てみますと、上限の1億円近い調達をしている実績も報告されています。

 4ポツの検討の方向性ですが、こうした状況も踏まえまして、発行可能総額1億円未満の潜脱を防止するという観点からは、発行可能総額を算定する際に合算する対象を、株式投資型クラウドファンディングで調達した金額に限定することが考えられるがどうか、としております。

 続いて、投資家の投資上限額50万円の在り方についてでございます。こちらも投資家の損失額を限定するという目的で、1人1件当たり50万円という上限が設けられています。

 2ポツの利用状況のところを御覧いただきますと、多くの投資家が10万円台の投資に集中しています。一方で、上限の50万円を投資している投資家も一定数存在します。仲介業者などからのヒアリングによりますと、やはり一部の投資家においては50万円を超える金額を投資したいというニーズがあるという声をいただいています。

 海外の状況というところで、16ページのところを御覧いただきますと、日本の場合は投資家の属性にかかわらず、一般投資家であってもプロ投資家であっても一律で案件ごとに50万円とされておりますが、アメリカ・イギリスの状況ですと、一般投資家については、年収や資産額に応じて、その何割といった形で年間通算の上限額が定められている一方で、いわゆるプロ投資家については上限が設けられておりません。

 こうした状況も踏まえまして、4ポツの検討の方向性ですが、日本においても、いわゆるプロ投資家である特定投資家については、自身でリスクを踏まえた適切な投資額を判断できると考えられることから、投資上限額を見直すことが考えられるがどうか、としております。

 他方で、実際の多くの投資家の利用金額は10万円にとどまっておりますし、また9ページで触れたように、現状ほとんどの案件が投資継続中ということで、クラウドファンディングの投資リスクを検証するには時期尚早であるということもありますので、一般投資家についての投資上限額の見直しについては、もう少し状況を見極める必要があると考えられるがどうか、としております。

 続いて3点目の、少人数私募の人数算定方法でございますが、こちらは開示に関する規制として、50名未満の人を相手とする少人数向けの勧誘については、基本的に開示が免除されています。この50人の算定の仕方については、過去6か月間に遡って通算するとされています。

 これをクラウドファンディングを利用した場合で適用いたしますと、クラウドファンディング自体がインターネットを通じて多数の者に勧誘を行うことになりますので、そこから6か月間は事実上少人数私募ができないという状況になっておりまして、機動的な資金調達を妨げているのではないかという指摘がございます。

 18ページですが、アメリカの状況を見てみますと、同様な枠組みである少人数向け募集について、人数算定方法の見直しが昨年11月に行われております。アメリカでも従前は過去6か月遡って通算するということだったのですが、今回の改正によって、この6か月が90日に短縮されています。また、クラウドファンディングについては、6か月とか90日という期間にかかわらず、個別具体的な事情に基づいて判断するとされています。

 4ポツ、検討の方向性ですが、日本においても事業環境の変化が加速する中で、より機動的な資金調達を可能にするという観点から、アメリカにおけるルール変更も参考に、この少人数私募の通算期間を6か月から3か月に短縮することが考えられるがどうか、としております。なお、アメリカでは、クラウドファンディングに関しては個別具体的な事情に基づいて判断するとされておりますが、日本の規制枠組みを考えると、運用執行面などで難しいところもありますので、まずは一律に3か月に期間を短縮するということが考えられるがどうか、としております。

 続きまして、東証のベンチャーファンド市場について御紹介させていただきます。

 20ページに制度の概要として挙げておりますが、東証のベンチャーファンド市場は、ベンチャー企業への資金供給と個人投資家への非公開企業への投資機会の提供という観点から、2001年12月に開設されておりまして、非上場企業に投資する投資法人を上場することで、その持分を投資家が売買できる市場となっています。過去に2つの投資法人が上場されましたが、既に運用期間満了に伴って償還されておりまして、現在は上場銘柄が存在しておりません。

 21ページでございますが、このベンチャーファンド市場については、現在、投資法人の新規上場を目指すという動きもございます。一方で、ベンチャーファンド市場の利用を活性化していこうという観点からは、JPXの規則に関して、よりファンドの柔軟な運営を可能とするよう見直せないかというような指摘もございます。

 具体的な内容につきましては、この後、東証のほうから御説明があるかと思いますので割愛させていただきますが、こうした市場を通じて資金供給の円滑化を進めていく観点から、JPXにおいてこうした規則の見直しを検討することが考えられないかとしております。

 事務局からの説明は以上になります。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、株式会社日本クラウドキャピタルの柴原代表取締役CEOから御説明をいただければありがたく存じます。

 柴原参考人、どうぞよろしくお願いいたします。

【柴原参考人】  
 よろしくお願いいたします。改めまして、日本クラウドキャピタル、CEOの柴原と申します。本日は貴重な御機会をいただき誠にありがとうございます。それでは、御説明のほうに移らせていただきたいと思います。

 まず、お手元の資料2ページ目を御覧ください。本日は、こちらに記載させていただいているとおり、まず簡単に我々の自己紹介と創業の背景、我々クラウドキャピタルの現状とベンチャー投資領域の現状、そして課題解決に向けて取り組むべき領域について、御説明させていただければと思います。

 続いての資料をお願いいたします。まず、我々の自己紹介をさせていただきたいと思います。我々日本クラウドキャピタルは、2015年11月26日に創業しております。今現在、資本準備金と合わせ18億円となっておりまして、我々がやっている業としましては、株式投資型クラウドファンディングを行っております。ですので、当然、業登録をさせていただいているのは第一種少額電子募集取扱業務を中心にビジネスをしております。

 続いてのページをお願いいたします。まず、我々がなぜこの会社を創業しているのかといいますと、日本のリスクマネーの供給量を高め、日本経済のボトムアップに貢献したいという思いで創業をしております。背景としましては、こちらの図が示しているとおり、近年、国内のファイナンスというのはミドル、レイターに集中する傾向がございます。しかし一方で、アーリーステージへの資金供給が不足しているという課題認識を持っております。

 続いてのページをお願いいたします。こちらの図は経産省が示されており、リスクマネーの供給に関する資料となっております。釈迦に説法になってしまって申し訳ございませんが、簡単に御説明させていただきます。こちらの図が示しているとおり、非上場企業目線でどのようにリスクマネーが供給されているのかについてを示しております。簡単に御説明させていただきますと、家計から、証券会社を通して、事業会社にお金が流れると。事業会社からベンチャーキャピタル、もしくはプライベートエクイティファンドを通して非上場企業にお金が流れる。もしくは事業会社から直接、最近はCVC等を通して非上場企業にお金が流れる。もしくは家計、銀行、銀行系キャピタル、非上場企業と、この図で表しているのは、端的に非上場企業目線で資金調達手段が少ないということと、もう1つが、景気循環に影響されやすいということを示しております。

 続いての資料をお願いいたします。我々は、こうした構造等の問題をまずは解決していこうと。その構造の問題を解決することによって、リスクマネーの供給量を高めることができるのではないかと考えまして、この図の示しているとおり、家計から直接、非上場企業にお金が流れる手段として、株式投資型クラウドファンディングを選択し、現在に至っております。

 続いての資料をお願いいたします。主なトラックになるのですが、19年に株式投資型クラウドファンディングで調達した金額は9億円でございました。20年は15億円と、調達額ベースで166%の成長をしております。もう1つ下のほうが、新規のメール投資家、ユーザーとなっておりまして、こちらは19年10月に5,740件でございましたが、20年は2万8,294件と493%の成長を図っております。特に投資家の御理解というところが、19年、20年と比べて広がっているというのを、数字でも現場でも感じている次第でございます。

 続いてのページをよろしくお願いいたします。こちらは、投資回収と倒産について御説明させていただきます。まず倒産の発生事例についてですが、調達企業138件のうち、倒産・解散に至った企業は3社ございます。当然、こちらはファンディーノで2段階のチェック機能を備えた厳正な審査を行っておりますが、倒産というものが3件発生しているという状況です。続いて投資回収についてですが、調達企業、こちらは4件の回収事例というものが発生しております。どういった回収事例になっているのかといいますと、基本的にはファンドが少数の投資家様の持分を買い取ってくださっているという投資回収が発生しております。事例としましては、19年に1社、20年に2社、21年に1社が発生しているという状況でございます。

 続いてのページをよろしくお願いいたします。続いては、現在のベンチャー投資領域について、まず御説明させていただきます。こちらの図は、直近3年間で調達金額は4,000億円を超えているものの、18年の2,428社をピークにして、調達企業が減少していると。20年は1,537件になっております。

 続いてのページをよろしくお願いいたします。調達をされる会社のピークは過ぎているものの、こちらの図は、1社当たりの調達金額の平均値、中央値を示しております。平均値では3.2億円となっておりまして、昨今のファイナンスは大型化しているということを示しています。

 続いてのページをお願いいたします。このような背景に対して、リスクマネーの供給量を高める上で、我々が課題認識をしているのが、さきに御説明をしてくださったとおり、1つが少額要件、1つが合算要件というところで、現在、案件の増加というところに対して、緩和についての議論を進めていただければと考えております。

 続いての資料をお願いいたします。こちらは、主な規制と発生している事象、また規制緩和の方向性について議論させていただければと思い、資料を作成しました。

 1つが、まず規制の1つ目で、同一の発行会社に対する投資家1人当たりの投資額50万円以下ということに対して、発生している現象としましては、魅力的な投資先であったとしても、また投資家自身が大きく支援したいとしても、50万円までしか投資ができないという現象が発生しております。事実、投資家にアンケートを取らせていただいておりますが、投資家のリスクに合わせて、50万円という規制ではなくて投資がしたいというようなニーズが上がってきております。また、こちらの50万円の緩和というところでもう1つ効果が見込めるかと考えているのが、発行会社、投資家にとっても必要な次回以降の調達になります。やはり株主の数が多いということが問題視されて、なかなかベンチャーキャピタル、もしくはCVCから、次回以降の調達が進まないという事象も発生しておりますので、そうした御理解いただくため、また投資家の数というところも柔軟に選んでいただくためには、こちらの50万円の規制というところは、議論をしていただければと考えております。

 続いてが少額要件、発行総額1億円未満についてでございます。こちらは、その時点で成長のために必要な調達希望額が1億円以上であった場合は、その目的を達成できずに、我々のサービス、ECFを断念するというようなケースが発生しております。こちらは特に、我々は今、平均の調達金額がおおよそ3,000万円でございますが、こちらは、お取り扱いさせていただく資金ニーズを満たせる会社が、1億円未満ですと、主にアーリーステージと言われている成長ステージにいる会社が中心になっていきます。そうしますと、時価総額の関係上、大きく調達すると株式のシェアが問題になってきますので、調達金額1億円未満というところでニーズを満たさせていただいていると。しかし、ミドル、レイターというのは1億円以上の資金ニーズがございまして、なかなか、そうした企業の資金ニーズを満たすことができないとなっております。

 その結果、平均の成約額というところが、アーリー中心になっているため3,000万円と。ただ、もしもこの1億円というところが緩和されていけば、また違ったステージの、ミドル、レイターと言われているような会社も取扱いが可能になりますので、より様々な会社のニーズが満たせるかなと考えております。また、アーリーステージの会社と比べると不確実性が少なく、低減されているという企業になりますので、こちらもぜひ議論の1つとして進めさせていただければと考えております。

 最後に、合算要件についてでございます。こちらは、さきに御説明してくださったとおり、過去1年間及び募集期間中に同一の発行会社が行った他の資金調達の額と合算して1億円未満であることという規制に対して発生しているのが、ECFでの資金調達を希望しても、直近1年間の調達額と合算して1億円を超えてしまっていたため、ECFの利用を断念するというようなことが発生しております。

 やはり成長意欲のある、もしくは他の機関投資家、VC、CVCから評価されている会社というのは、過去1年間を振り返ってみても、資金調達を1億円以上されているケースがございます。そうした場合は、我々のサービスを御利用したいというニーズがあっても、やはり断念せざるを得ないという事例が発生しております。そうした会社を投資家に御紹介するためにも、この規制緩和の方向性としましては、上限金額の判定に当たって、他の資金調達を合算せずに、当該ECFのみで判断をしていただけるかどうかというようなところも、議論の対象として掲載させていただきました。

 続いてのページをお願いいたします。最後に、我々ベンチャー投資におけるアーリーへのさらなる資金の供給という課題に対して、株式投資型クラウドファンディングが果たす役割というのは少なくないと感じております。

 また、我々日本クラウドキャピタルとしましても、リスクマネーの供給量を高め、日本経済のボトムアップに貢献したいというミッションに対して、全力で取り組んでいる次第でございます。日本の株式投資型クラウドファンディングの拡大に向けた環境整備について、何とぞ御検討のほどをよろしくお願いいたします。

 すみません、少し早くなってしまいましたが、私からの説明は以上となります。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、東京証券取引所の青執行役員から御説明をお願いいたします。青参考人、よろしくお願いいたします。

【青参考人】  
 東京証券取引所の青でございます。私からは、当取引所におけるベンチャーファンド市場に関する見直しの検討につきまして、御説明をさせていただければと存じます。

 それでは資料2ページ目を御覧いただけますでしょうか。

 ベンチャーファンドは、未公開企業を主な投資対象とする証券投資法人でございまして、ベンチャー企業への資金供給手段の多様化を図るとともに、個人投資家を含む投資家の方に、未公開株への投資機会を提供することを目的とするものでございます。

 これを踏まえまして、ベンチャーファンドについては、ベンチャー企業への資金供給機能を発揮するように、そしてその際に、個人その他の投資者に対する適切な保護を用意した上で、的確に投資をしていただくということにより、健全な発展を目指す観点から、市場制度が設けられております。

 ベンチャーファンド市場は、2001年に当時の大阪証券取引所に開設されまして、大阪府の支援の下に2つのファンドが上場いたしました。

 これらのファンドにおきましては、IPOやM&Aを実現した投資先もございましたが、その後、再投資先の選定が困難な状況が続いたようでございます。結局のところ、ベンチャーファンドの将来リターンへのマーケットの期待が低迷いたしまして、市場価格が純資産価額を下回る状況が続きましたので、両ファンドとも解散し、全財産を投資主に分配するに至っております。その後、新規上場銘柄はなく、現在、ベンチャーファンドの上場銘柄はございません。

 こういった状況でございますが、というより、むしろこういった状況であるからこそ、当取引所といたしましては、我が国経済の持続的な経営成長のための喫緊の課題であります、企業の中長期的企業価値向上とベンチャー企業の育成へのよき貢献を目指して、必要な制度の見直しを実施してまいりたいと考えている次第でございます。具体的には、現行制度につきまして、幾つかニーズが寄せられてきております。主なものを赤字で記載しておりますが、これらを中心に、今後検討してまいりたいと考えている次第でございます。

 具体的には、3ページ目のところでございます。まず、私どもに寄せられておりますニーズの1つ目は、資金の借入れ等です。現状、個人投資家向けの投資商品であるということを踏まえまして、過大なリスクを抑制するため、借入れなどのデットでの資金調達を禁止しておりますが。この点につきまして、機動的な投資、あるいは配当・税金等の支払いなどの資金繰りのために、借入れを行うニーズが出てきているところでございます。投資者保護の観点も踏まえながら、どのように対応していくか、検討してまいります。

 2つ目は、投資割合の制限でございます。現状、未公開株投資のリスク分散のために、特定の投資先への投資割合につきましては、純資産額の10%以下に制限をしているところでございます。この点につきまして、特に優良な投資先に関して、10%を超えて投資したいといったニーズが出てきておりますので、投資者保護の観点も踏まえながら、どのように対応すべきかを検討していくことを予定しております。

 3つ目と4つ目は、上場後の継続保有可能期間と、運用資産比率という点でございます。ベンチャーファンドのリターン構造や、未公開株中心に投資をするという特徴を踏まえまして、継続保有の可能な期間と運用資産の比率にも制限を設けているところでございますが、上場後も高い成長が期待される投資先への投資を継続したいというニーズが出てきておりますので、ベンチャーファンドの特性も踏まえた上で、どのように対応すべきかを検討していく予定でございます。

 ただいま申し上げましたように、ファンドの利便性向上に関するニーズを寄せていただいておりますので、これらのニーズを踏まえまして、魅力ある未上場企業への成長資金の円滑な供給の観点と、個人投資家に提供している商品であるということの両立を実現するように、精力的に検討を進めてまいりたいと考えている次第でございます。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、今いただきました3つの説明を踏まえて、委員の皆様方に御議論をしていただければと存じます。

 今回も多くの委員に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間の目安といたしましては、お1人当たり5分程度を目安にしていただければと存じます。4分を過ぎますと、事務局から発言時間残り1分という旨のチャットを、発言されている委員の方だけにお送りいたしますので、発言の御参考にしていただければと思います。

 それでは、どなたからでも御質問、御意見をお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。松本委員、お願いいたします。どうぞ。

【松本委員】  
 御説明ありがとうございました。まず1点目のクラウドファンディングについてですが、何点か気になるところがあります。クラウドファンディングの前にVC等から資金調達をする例があるという話だったのですが、クラウドファンディングの後、その発行体がVC等から資金調達をしづらくなっているという現状はないのかが、一点目です。その理由は、やはりベンチャーキャピタル、特に独立系ベンチャーキャピタルは、株主間契約を締結するときに、基本的に優先株で投資をするので、例えばドラッグアロングとか、シリコンバレーで一般的な優先条項をつけるベンチャーキャピタルも増えてきている中で、その時点で一般の株主数がすごく多くなってしまっていると、既存株主の同意取得といったコミュニケーションコストが高くなるのではないかという面で、クラウドファンディングが敬遠されるのではないかと思うからです。

 次に、クラウドファンディングの投資額の一律上限50万円という点は、見直しの余地はあると思うのですが、こちらについてちょっと気になったところは、投資目的が、応援目的以外のリターン目的の投資もかなり多いというところが、注意が必要だと感じております。この理由は、いわゆる一般の投資家がベンチャーの事業を目利きできるというのはなかなか考えられないので、上限額を引き上げてしまうと、一般投資家の損害のリスクも上がるのではないかと感じています。他方、プロ投資家に関しては、上限額を引き上げる、もしくは撤廃するというのは検討できるのではないかと考えております。

 合算規定については、1億円までという点につきましては、近年、VC等からの1件当たりの投資額が増加しているというお話があったと思うのですが、そういったことも含めますと、VCの投資額まで含めて合算してしまうと、発行体のクラウドファンディングの利便性というのはかなり制限されてしまうということもあって、クラウドファンディング内のみの合算規定に緩和してもよいのではないかと感じております。

 次に、ベンチャーファンド市場の規制緩和についてですが、私はここについてすごく詳しいわけではなく、問題ないようには思えるのですが、ただ気になるところは、これまで2つのファンドしか組成されていないという現状を見ると、規制緩和したところで、本当にベンチャーファンド市場が活性するのかという疑問はあります。活用されない理由は、もしかしたら他にあるのではないかというふうに感じます。

 ところで最近、アメリカで、皆さん御存じの特別買収目的会社、SPACがかなり活性化してきておりまして、2020年のデータを見ると通常のIPOよりも件数が多く、調達額もほぼ同規模まで大きくなってきています。SPACは、先にファンドを上場させておいて、ファンドがベンチャーを買収することで実質的にベンチャーを上場させるという、IPOとM&Aの中間のような仕組みなのですが、他方でベンチャーファンドというのは株式の流動性のないベンチャーに投資するためにかなり流動性という問題を抱え続けることを考えると、SPACのように一旦上場させてしまって流動性をつくるという方策も考えてみるのもいいのではというふうに感じております。

 以上となります。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいている順番で、続きまして、森下委員、お願いいたします。どうぞ。

【森下委員】  
 ありがとうございます。森下でございます。私からは、事務局の作っていただいた資料の16ページに関して、意見を申し述べたいと思います。

 今回、検討の方向性として、プロ投資家については投資上限額を見直すことが、他の一般の投資家についてはそのままでいいのではないかというような形の御提案だったと思います。

 ただ、今回の御提案の目的が、個人投資家による投資をもう少し後押しできないかというようなことだったとすると、特定投資家の要件については今後議論していくとしても、一般投資家について全く手をつけないことが、投資家保護、投資の多様な選択肢を与える、リスクマネーの供給を伸ばすということのバランスを考えた上でも、本当にそれがベストチョイスなのだろうかというところは、少し検討の余地があるのではないかと思います。

 そうしたところ、米国や英国というのは、一律50万ということではなく、年収や純資産に応じて決定するというようなスキームを取っているという御紹介がされているわけですが、日本において、こういう規制を入れることの可否とか難しさとか、いろいろそういうこともあるのかもしれませんが、この、一般投資家については一律50万円ですというような規定の仕方を、もう少し見直すことはできないのだろうかというような観点から検討していくことが必要なのではないかという印象を抱いております。

 ほかに、かなりリスキーな投資商品であったとしても、必ず50万円を超えたら投資できませんといったような規制を設けていないような投資商品もあるように思います、日本においても。そういうことを考えましても、一般投資家については必ず50万円というようなタイプの規制枠組み自体も含めて、この機会に検討がなされるべきではないかというのが、私の意見でございます。

 以上です。どうもありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、佐々木委員、どうぞ、お願いいたします。

【佐々木委員】  
 ありがとうございます。ただいまの森下委員の意見とも重なるところがございますが、今回50万円、1億円というところが問題になっていますが、それを考えるために、そもそもこの取扱い業務が少額であることが登録要件の緩和条件となっているのですが、これ自体が適当なのか、あるいはどういったことで必要になっているかということも、改めて確認しなければいけないのかなと思いました。

 つまり、この文中にあるのですが、発行体が破綻したときなどを考えると、投資家保護という観点でこのようなものが必要であると。また海外でも個人投資家の投資上限規制があるということが説明されているわけですが、そうしますと、この緩和に当たらない第一種金融商品取引業者が出している商品に対しても、個人投資家の投資というのは問題ないのかとか、あるいは先ほどの御意見にもありましたように、投資の個人に対する上限の規制というものが、その他にどういうものがあるのか、私も全部は把握しておりませんが、例えばFXのレバレッジの規制とか、そういったものはあると思いますが、一般的には各社がむしろ投資条件というのは設けているとは思いますが、規制として設けられているものはそんなに多くないのではないかなと思っています。

 ですので、そもそもこの50万円が適当か、1億円が適当かというところを考えるに当たって、何が目的――投資家保護と言われると全て正しいように思えてしまうのですが、ほかの規制とも比較して、これで本当にこの緩和条件の内容と見合っているのかどうか、また、その目的が何なのかというところを改めて整理してもいいのかなというのは感じました。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして上柳委員、どうぞ、お願いいたします。

【上柳委員】  
 ありがとうございます。2点ございます。1つは、いわゆる合算要件のところで、つまり、過去一定期間の調達について、クラウドファンディング以外のものを合算するかどうかという論点で、これは一方では、クラウドファンティングの少額投資者の方からいうと、他のVCその他から調達していたという事実はあまり関係がないというか、つまり、合算要件で緩和してもよいというふうに、一方では思います。特に、他のVCたちも含めて、目利きのある方が投資しているということは、少額投資者にとっても意味のあることと思います。ただ他方、利益相反というか、そういうプロの方々と、それからクラウドファンディングによって入ってくる、平均10万円の投資のようですが、その人たちとの間の情報収集能力、そのほかの格差を考えると、結構難しい問題もあるかなと危惧します。極端な例で言うと、VCたちの方が株主間契約なり、あるいは種類株なりで先立って投資回収ができるとか、そんな例はあまりないのかも分かりませんが、その辺は若干気になりました。それが第1点です。

 2つ目は、50万円という上限の問題で、私は、事務局の資料もそういうニュアンスかも分かりませんが、個人投資家についてはこの50万円を維持するのがよいのではないかと思っています。これは導入時に、ワーキング・グループそのほかでも結構議論したところだと思います。多分、事務局資料の16ページに米国の例がありますが、米国の考え方ですと、大体年収1,000万ぐらいまでの方は、その年収の5%を上限とする。それが50万円になるのです。日本の場合は年収1,000万円まで行かない方もかなり投資をされるかもしれないけれど、一々収入とかを調査するのも難しかろうということで、50万というふうに一律にしたのではないかと思います。ですので、もう一回、当時の議論は振り返ってみる必要があるということと、それから事務局資料の15ページにありますように、実際、投資者としては10万円前後の方が多いという事実は踏まえる必要があると思います。

 以上でございます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。上柳委員、ちょっと最後のあたり、若干音声が乱れましたので、御発言については、後ほど事務局から御確認いただいて、議事録で確認させていただければと思います。ただ、基本的なところは伝わっていたと思いますので、このまま先へ進ませていただきます。ありがとうございました。

 それでは続きまして、チャットの順番で野村委員、どうぞ、お願いいたします。
 
(システム調整)

【神田座長】  
 すみません、神田でございます。私の声が、今切り替えたので聞こえていると思いますが、金融庁のシステムに若干不具合がありまして、大変御迷惑をおかけして申し訳ございません。ただいま別のWebex会議ということで、皆様方には入り直していただくことをお願いして、多くの方々には既に入り直していただいており、私のほうでも画面にて確認させていただいております。

 今しばらくお待ちいただいて、ほかの方々に入り直していただければと存じます。申し訳ありません。
 
(システム調整)

【神田座長】  
 それでは再開させていただきます。金融庁のほうのシステムの不具合があり、別の会議というかシステムに変更させていただき、皆様方には接続をし直していただくことになりました。申し訳ございませんでした。それで、上柳委員にいただいた御発言の最後の部分が少し乱れたのですが、少しだけでしたので、後ほど事務局から確認して、議事録のときにきちんとさせていただきたいと思います。内容、御趣旨は承ったと思いますので、このまま先へ進ませていただきます。

 それでは続きまして、チャットの順番で野村委員になると思いますので、野村委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【野村委員】  
 ありがとうございます。野村資本市場研究所の野村でございます。私のほうからは、事務局の資料について少し質問とコメント、それから東証、日本クラウドキャピタルに簡単な質問をさせていただければと思います。

 まず事務局の資料なのですが、5ページに議論の全体像を示していただけたのがとてもよかったかと思います。簡単な質問という意味では、今回、一般投資家向けということですが、株主コミュニティについては特段取り上げていらっしゃらない、これは何故なのかという質問がございます。

 また、非上場株式のセカンダリーも挙げていただいておりまして、これは次回以降なのかと思っているのですが、非常に重要な論点かと。やはり両輪ですので、両方整備していかないと資金調達のところにも影響すると理解しておりますので、重要な論点かと思いました。

 また、同じページの右下のところ、「?」ともされている証券会社ですが、非上場株式の投資勧誘は原則禁止ということですが、この辺りの論点は今回どうされるのかという点もございます。

 これはコメントになるのですが、一般投資家の議論というのは、そもそも論として、一般投資家にこれらに投資するというニーズがある、ないし、これは一般投資家が利用するに値する、利用すべきものなのだという理屈、ロジックに立脚するのが重要なことかと思っております。

 市場が発展すること自体が自己目的化してしまいますと、一般投資家の利用という観点からすると、本末転倒ではないですが、違うのかなと思います。では一般投資家の利用のニーズの有無という点では、私はあると、イエスだと思っております。やはり超低金利という環境でございますので、分散投資を追求する等、もろもろのニーズがあるのではないかと思います。それ以外のニーズもあるかもしれませんが、いずれにしましても、投資機会の提供というのはあるべきだろうと思っております。

 今回事務局のほうから出していただいているのは、言うなれば当面の制度改正の落としどころというような、具体的なところと理解します。ただ、ぜひそこだけにとどまらないで、より幅広い議論を追求していただければと思います。

 11月の会合でも、総合的な政策パッケージが必要であるといった御指摘があったかと思います。資金調達での投資家から非上場企業への資金フロー円滑化や、先ほど申したような流通市場の整備、これでエグジットの選択肢が拡大するといった利点。あるいは投資家の種類の拡大、アメリカの自衛力認定投資家が参考になるかというようなこともあったかと思いますが、いずれにしましても、幅広い論点の議論をぜひ追求していただければと思います。

 東証と日本クラウドキャピタルへの御質問なのですが、まず、東証におかれては幾つか課題を挙げていただいているわけですが、優先順位みたいなものはあるのかなという点です。もしそういうものがあるなら、挙げていただければと思います。また、日本クラウドキャピタルにおかれては、幾つか重要な御指摘、現状について非常に示唆深い御発表をどうもありがとうございました。ぜひ御社の御経験から、今回御指摘があった50万円や1億円といった上限につきまして、どの程度引き上げるとよいと思われるのか、もしイメージがあれば御教授いただければありがたいと思いました。

 以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。今、クラウドキャピタルさんに対する御質問があったと思うのですが、もし御回答をいただければお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【柴原参考人】  
 御質問ありがとうございます。御質問の内容としましては、少額要件緩和に伴って、具体的にどの辺の金額感で緩和をすればよいのかという御質問でよろしいでしょうか。

【野村委員】  
 はい、お願いいたします。

【柴原参考人】  
 ありがとうございます。まず、少額要件の1つ目、発行会社が1年間で1億円までという上限に対しての金額感なのですが、こちらは5億円程度が望ましいのではないかと考えております。

 理由としましては、昨今、先ほどデータで示させていただいたとおり、平均の調達額が大幅に伸びているという現象があります。その中で、現在時点では平均値3億円でございますが、今後、ミドル、レイターといった会社のバリエーション感を見ていきますと、やはり非上場であっても50億を超える会社が存在しております。そうした中で、キャップシェアの問題というところと調達を考えていきますと、5億円付近が望ましいのではと考えております。

 また、個人の投資家に対しましては、上限というよりは、やはり個々のリスクに合わせた投資環境の整備が必要ではないかと考えております。当然、金融資産、投資経験、また年収の高い投資家もいらっしゃいますし、それに見合っていない投資家もいらっしゃると考えております。

 ですので、50万円一律というよりは、投資家保護という観点、また我々がお取扱いさせていただいている商品は非常にリスクが高く、流動性の乏しい商品でありますので、この投資家のリスクに見合った金額感というのは、投資家ごとに設定できるような市場になればと考えております。

【野村委員】  
 ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは次へ進ませていただきたいと思います。チャットが一旦切れてしまったのですが、私の手元のメモでは、次は松尾委員になると思います。松尾委員、どうぞ、お願いします。

【松尾委員】  
 ありがとうございます。大阪大学の松尾でございます。私からはクラウドファンディングの投資上限について、2つほどお尋ねしたいことがございます。

 1つは、この規制の目的との関係で、先ほども少し議論になりましたが、現在の説明では、投資家の損失を限定することが主たる目的であると説明されていると理解しております。ただ、アメリカと違って、日本のこの投資上限はあくまで1案件当たりとなっていますので、例えば10万円しか投資していなくても、6つ以上の案件に投資すると50万円を超えるということになります。そのこととの関係で、トータルでクラウドファンディングを通じて50万円以上投資していらっしゃるというような例があるのかないのか、あるとしてどのぐらいあるのかということが、もしお分かりであればお教えいただきたいというのが1点目です。

 もう1つ、投資上限を緩和してほしいという要請への対応は、個人のほうは変えないで、特定投資家については上限を撤廃するということですが、現行の特定投資家の要件ですとかなり狭いので、今後、これは次回以降ということでしたが、特定投資家の要件をどこまで広げるかということが問題になろうかと思います。

 ただ、特定投資家のほうは、このクラウドファンディングに限らず、ほかのところでも影響してきますので、なかなか難しいところもあるのかと考えております。そうすると、もう少しこのクラウドファンディングに特化して投資上限を何かいじれないかということが問題になるかもしれません。その辺りを議論する前提としまして、先ほども具体的にお話がありましたが、1案件に50万円以上投資したい、あるいは投資してもいいとおっしゃっている投資家もそれなりにおられるということなのですが、それがどういう属性の方で、例えば1案件どのくらいまでなら投資してもいいと言っておられるのか、その辺ももしお分かりで、お教えいただけるのであれば、ぜひ教えていただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。すみません、クラウドキャピタルの柴原参考人、もし何か御発言いただけるようであればお願いできませんでしょうか。

【柴原参考人】  
 御質問ありがとうございます。御質問は、1つが、複数の案件にわたって50万円以上を御投資されている投資家がどの程度いるのかということについて、御回答させていただきます。

 こちらは、回答になるかというのが少し判断が難しいですが、まず20回以上、投資をされている投資家、過去全て、我々がサービスを開始してから現在に至るまで、20回以上の御投資経験がある投資家は226名、該当しております。全体の3.2%になります。

 また、この226名のステータスとしましては、50%以上が金融資産3,000万円以上の方になります。我々、3,000万以上は測定といいますか、お聞きしていないので、3,000万円という形で御回答させていただきます。

 また、この226名の方にアンケートを取らせていただいておりまして、投資する目的としまして、アンケートにお答えしていただいて、一番多いのが企業を応援したいという方が45%。ポートフォリオの構成のためと御回答されている方が25%。その他、リターン等を含むというところで25%の御回答を得ております。

 ですので、アンケート結果からいたしますと、全体の3.2%が20回以上投資をされていて、その方々は金融資産が3,000万円以上の方が多いと。また、投資する起因としましては、企業を応援したいと御回答される投資家の属性というところで、アンケート結果が出ております。

 こちら、お答えになっておりますでしょうか。

【松尾委員】  
 ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは次へ進ませていただきます。次は有吉委員、どうぞお願いいたします。

【有吉委員】  
 有吉でございます。よろしくお願いいたします。私からは主に事務局説明資料に書かれておりますことについて、何点かコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、株式投資型クラウドファンディングの位置づけ的なものについての考えなのですが、投資家のアンケートの回答にもございますとおり、その発行会社の応援のための制度という観点からは促進すべきものであると思っております。

 ただ、投資家が投資リターンを得る手段として利用するとか、逆に発行会社のほうが上場、あるいはユニコーンを目指すという観点からの資金調達の手段として、この投資型クラウドファンディングというものを活用すべきなのかどうかという点については、もう少し海外の事例、具体的にはアメリカやイギリスにおいてどういった企業がクラウドファンディングを利用して、またクラウドファンディングを利用した企業がどうやって成長しているのか、あるいは成長していないのかといったようなことを調査した上で、慎重に検討していくべきではないかと考えております。

 その上で、事務局説明資料の中で論点として掲げられている項目について、それぞれ簡単にコメントさせていただきますと、まず、1億円未満の発行可能総額の算定方法の見直しという点については、ベンチャーキャピタルを通じての調達と、クラウドファンディングを並行するというニーズがあり得るというのは御指摘のとおりかと思いますので、あまり違和感はなかったところでございます。

 それから50万円の投資上限の見直しという点については、先ほど述べたようなクラウドファンディングに対する捉え方から、一般的に緩和するということについては、現時点では反対といいますか、少なくとも時期尚早なのかなと思うところでございますが、エンジェル投資家などを念頭に、特定投資家に限って緩和をするという発想は賛成できるところでございます。

 ただ、その特定投資家の範囲として、原則が一般投資家である者が、申出によって特定投資家として取り扱われる、いわゆる特定投資家成りをするような一般投資家も対象とするという想定なのだとすると、クラウドファンディング業者が特定投資家成りを認めるに際しては、単純に資産があるということだけではなくて、十分な知識・経験を有するものであるかどうかということを、特に適合性の観点から慎重に判断することが必要なのではないかと考えております。

 それから、少人数私募の人数通算期間の見直しの点につきましては、技術の進展などにより、ビジネスや取引の流れがかつてよりは急激に速くなっているという状況にもございますし、また情報伝達手段なども充実しているという状況にあると思いますので、これはクラウドファンディングとはあまり関係なく、資金調達一般の円滑化に資するものということで賛成いたします。

 最後に、東証のベンチャーファンド市場に関してでございますが、非上場会社が一般投資家から資金調達をすることを考えるに当たっては、まずは直接、個別の非上場株式へ投資を行うという方向ではなくて、分散投資がなされ、またゲートキーパーも設定される投資信託とかファンドといったものを介して行うということを中心に考えるべきではないかと思っております。

 そういった意味で、このベンチャーファンド市場の利用活性化ということについては、これまでは必ずしもうまくいってなかったということかもしれませんが、今後の発展には期待をしているところでございます。私から、じゃあどう直せば発展していくのかというような具体的な改善点を御指摘することはできないのですが、この点については、ぜひ投資運用の専門家の皆様から、具体的な課題やニーズを的確に把握していただいて、有効活用されるようなうまい制度整備を図っていただきたいと思っております。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは続きまして、福田委員、どうぞ、お願いいたします。

【福田委員】  
 ありがとうございます。非常に多角的な資料を、事務局あるいは株式会社日本クラウドキャピタルと株式会社東京証券取引所の方々から御用意いただきありがとうございました。私からは、こういう改革をするときに、やっぱり全体像をみることが大事だという観点からコメントをさせていただきたいと思います。

 そういう観点からは、事務局資料の4ページが、私は非常に大事なことだと考えております。非上場株式の発行・流通の状況ということですが、投資規模をカテゴリー別に日米比較をしてみますと、PEファンド投資、VC・CVC投資、エンジェル投資は、米国と比べて日本が大きく後れを取っています。これに対して、株式投資型クラウドファンディングでは、日本の市場が米国の市場に比べてそれほど後れを取っているとは言えないと思います。特に、4ページの数字は2019年のものですが、事務局資料の9ページにありますように、日本の株式投資型クラウドファンディング市場での調達総額は、2018年では約15億円、2020年では約22億円に達しています。ですので、米国と日本の経済規模の差や市場規模の差を考えたときに、株式投資型クラウドファンディングだけに関しては、日本も比較的順調にいっているというふうに思います。先ほどご指摘のあった点とも関連いたしますけれども、株式投資型クラウドファンディング以外の非上場株式の発行・流通の状況も踏まえて、株式投資型クラウドファンティングを位置づけていくことも必要ではないかと思います。

【神田座長】  
 すみません、神田ですが、途中で遮って申し訳ございません。福田委員の御発言の音声がちょっと途切れておりますので、大変恐縮ですが、ほかのメンバーの方々におかれましては、一旦カメラをオフにしていただけますでしょうか。

 ありがとうございます。それで、福田委員、もう一度試みていただけませんでしょうか。全体については、後ほど事務局から確認をさせていただきますが、要点だけ、もう一度繰り返しで御発言を試みていただけると、大変ありがたく存じます。

【福田委員】  
 今は聞こえますでしょうか。

【神田座長】  
 大丈夫です。

【福田委員】  
 はい。ちょっと手短にはさせていただきたいのですが、私のポイントとしては、こういう問題を考えるときに、株式投資型クラウドファンディングだけのことを見て考えるのではなくて、やっぱり非上場株式市場全体を見て考えるべきだという意見を持っております。そういう意味では、株式投資型クラウドファンディングは総体的には日本は善戦していて、これは業者様の努力とかもあって、比較的順調に行っている。むしろ問題なのはPEであったりVCであったりというところが米国と比較して大きな規模の差があるということなのだと思います。そうした中で、単純に株式投資型クラウドファンディングだけをアメリカと比較してどうこうという視点でいいのかということはあるとは思います。

 そうはいっても課題はないわけではないので、発行額の問題だとか、投資上限の問題というのはある程度見直していくということは賛成です。ただ現状、一般投資家から非常にニーズがあるということは、やや慎重に考えなければいけないと思います。現状では、きわめて金余り状況だという状況があるのだろうとは思います。超低金利だけではなくて、給付金も様々な形で配布されたことによって、個人投資家がともかくお金が余っているということがあって、いろいろな形で投資したいというニーズはあるのだろうとは思います。しかし、そういった特殊な状況のときに、それを基に制度変更を考えるべきかというと、私はやっぱりそれはそれで慎重に考えるべきだとは思っております。

 そういう意味では、事務局の、一般投資家の見直しは状況を見て見直しという意見には賛同しております。プロ向けには上限額を見直すとか、発行額の総額に関しても、ある程度、合算に関しては見直すということはあり得るとは思いますが、以上の点から、見直しは徐々に行っていくべきではないかと考えております。

 話が途切れて申し訳ありませんでしたが、私からは以上でございます。

【神田座長】  
 福田委員、どうも大変ありがとうございました。議事録の記載につきましては、事務局のほうから御相談させていただきます。

 それでは、あと、チャットをいただいております順番で、井口委員、原田委員、そして松岡委員の順で御発言いただき、その後オブザーバーの方々に御発言いただきたいと思います。

 それで、多分ビデオはオンにしていただいても結構かと思います。井口委員、どうぞお願いいたします。

【井口委員】  
 よろしくお願いいたします。まず、事務局を含め、御説明いただき、ありがとうございました。最初にクラウドファンディングのほうですが、アーリーステージの企業に対する資金供給というクラウドファンディングの役割ということを改めて理解できまして、投資上限引上げもプロ投資家に絞られているということもありますので、事務局資料の14、16、18ページの検討の方向性には賛同いたしたく思っております。

 もう1つの論点であるベンチャーファンド市場ですが、この事務局資料の21ページに3つの論点を書いていらっしゃいますが、①の借入れ制限、あるいは③の投資割合制限というのは、そもそもリスクのある商品ということで撤廃には賛同いたします。②の上場後の継続保有期間の制限も必要ないと思いますが――すみません、間違えました、②については、多くの新規上場の新興企業株式を入れて、ポートフォリオに占める割合が大きくなってしまいますと、そもそもベンチャー企業に資金を供給する意義とか、あるいはベンチャーファンドの市場区分の意義がなくなりますので、ある程度は新規上場した会社を入れるというのはいいと思うのですが、その割合というのはある程度、絞ったほうがいいのではないか、と思っております。

 もう1つは、そもそものベンチャーファンド市場についてなのですが、REIT市場は個人投資家の引込に成功していると思うのですが、これは高い配当利回りに魅力があって、それがあるので運用会社も投資信託をつくって、そこにREITを入れて販売して成功しているということだと思います。

 ベンチャーファンド市場を考えたときに、例えばクラウドファンディングのように個別企業の将来の夢を買うということもない、配当もない、それでリスクが高いとすると、個人投資家にとって、ベンチャーキャピタルファンドの魅力というのは何なのかな、ということは個人的には思っておりまして、その辺をもう少し、どういうところに魅力があるのかということを打ち出していく必要があるのではないか、と思っております。

 以上でございます。

【神田座長】  
 井口委員、どうもありがとうございました。それでは、続きまして原田委員、どうぞお願いいたします。

【原田委員】  
 ありがとうございます。意見が1点と質問が1点ございます。

 まず、前回のこのワーキング・グループでも出た意見になりますが、規制は投資家の投資の機会の減少につながっているですとか、利用の控えにつながっているというようなことがあれば、関係している規制は見直しを進めるべきであるというのは、やはり原則として考えていかなければいけないことであろうと思っておりまして、今日、ほかの委員の方々のお話をお伺いしていまして、そういった見直しをすすめる上位に来るものとしましては、株式投資型クラウドファンディングの少額要件の緩和ということになるかと思いました。これに関しては、見直しの方向で議論していくのが市場の成長に寄与するであろうと考えました。

 ただ、先ほどからも皆様の意見にも出ておりますが、個人とプロという形で、今現状は分かれておりまして、事務局の資料1の17ページのところでありますが、この分け方が必ずしもしっくりこないといいますか、個人のエンジェルの人たちもいたりしますので、なかなか線引きがうまくいかないところがあるのかもしれません。50万円の上限というのは、ベンチャーキャピタルからの株式投資型クラウドファンディングへの投資が促進されるなどが期待できますので、ここのところは見直しというのは1つのステップであろうかと考えました。この50万円という上限があることで、株式投資型に特有の、株主数が多いことで発生しているコストというのもばかにならないものがあるのではないかと考えております。

 それで、少し質問をさせていただきたいことがございまして、これはクラウドキャピタルの柴原参考人にお伺いできればと思います。事務局では株式投資型クラウドファンディングと呼んでいて、柴原参考人の資料ではECFと書いてありまして、包含関係はほぼ重なっていると理解しているのですが、もしそこのところが間違っていたら修正していただきたいのですが、このECF、株式投資型クラウドファンディングのほうですが、コストがかかるところのひとつとして株主総会は議決権の行使も含めて、どういう形で現状、処理なさっているのかと。ITをどう駆使しておられるのかどうかといったところを確認させていただきたいということが、質問としてございます。

 この制度が2015年にできたときは、数年でここまで成長するということは想定できておりませんでした。そういう意味では、TSEのベンチャーファンドが、今現在は上場銘柄なしですとか、株主コミュニティ制度がうまくいっていない現状などに比べると、クラウドファンディングのほうはかなり成長してきたということが言えるはずでして、今後も成長していってほしいと思いますので、そうしますと、見直しでより規制を緩和して、成長につながるのであれば、ぜひとも前向きに検討していきたいと思いました。発行可能総額の見直しも含めて、よりよい成長に期する緩和というものを考えていっていただきたいという意見になります。

 柴原参考人、少しお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 ありがとうございました。柴原参考人、いかがでしょうか。

【柴原参考人】  
 はい。御質問いただいた内容としましては、多くの投資家様の株主管理コストと、それに伴う総会運営がどうなっているのかということについて、御回答させていただきます。

 我々は当然、発行会社にひもづいている株主、いわゆる株主管理というところは、システム上、管理ができるような体制となっております。また、株式投資型クラウドファンディングにおける株主総会等の運営に関しましては、我々でもサポートのほうをさせていただいております。少し、この我々のサービスもアップデートもしておりまして、今、ファンディーノというプラットフォームを通して投資をしてくださった投資家に向けて、次なるやり方としましては、ファンドアという、少しプロダクトの名前が似ているのですが、サービスのほうも提供させていただいております。こちらは、株主が多い会社を対象に、オンライン株主総会のサービスというところを打ち出しております。内容としましては、株主管理コスト低減のため、電子的株主総会の電子的招集通知、また電子的決裁を可能にしているシステムでございます。

 我々も、立ち位置としましては株式投資型クラウドファンディングというところで、会社の内容としましてはITを駆使するというところもございますので、こうしたIT、特に昨今言われているDX化というところは、総会運営においても進めている次第でございます。

 また、1つコメントさせていただきますが、我々日本クラウドキャピタルは、日本のリスクマネー供給を高めるために本気で活動を進めております。投資家保護の観点というところは継続して重視しつつも、挑戦する企業に対して多様なリスクマネーの供給をするという環境整備をしていかなければならないと考えております。日本経済は、挑戦する企業が躍進することによってボトムアップを図ることができると考えております。だからこそ、リスクマネーの在り方を議論して、さらに、加速した実行力を持っていかなければ、次世代の産業、次世代へのバトンを渡すことができないと考えております。世界との激しい競争環境の中で、次世代の企業を育てるために、我々も鋭く反応して、実行力を高めていかなければならないと考えております。

 改めまして、こうした議論の場というのは引き続きお願いしたい次第でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。原田委員、よろしゅうございますでしょうか。

【原田委員】  
 はい、ありがとうございました。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、続きまして松岡委員、どうぞお願いいたします。

【松岡委員】  
 発言の機会をいただきましてありがとうございます。私ども企業の立場からは、本日提示がございました要件に関するコメントは特にございませんが、企業にとって様々な調達の機会が広がる、また投資家にとって投資の機会が広がることは大変意義があることだと思っております。

 ただ一方で、投資家の投資経験や精通度、洗練度、そして対象企業の監査や開示などの透明性の観点などにも鑑みますと、仲介者の役割・機能というのは非常に重要だと思いますし、そういったところの信頼性の確保や確立、そして投資家においてもその理解や投資経験が積み上がり、そういったことをベースに段階的な発展が図られることも重要だと思っております。

 また、当社におきましては、ファンドを通じて大変多くの世界中のスタートアップ企業を見ております。また、事業を通じて、SPACを含めた海外の企業の調達手段の広がりや投資家の投資の在り方、仲介者やファンドの役割の変化や広がりというのを身近に見ておりまして、日本においても、バランスの取れた形で様々な企業の調達や、投資家の投資機会が増えて発展をしていくことに期待したいところでございます。

 私自身も、日本証券業協会において金融証券教育委員会のメンバーを務めさせていただいておりますが、多方面の取組を通じて、日本において全体的な投資、特にリスクキャピタルたるエクイティー投資に対する認識や精通度を上げていくことは必要だと思っております。また、先ほど東証のお話にもございました、上場ファンドが増えない根本原因や、今まで、そういった投資の広がり、発展を阻害していた原因の理解、そして、先ほど御指摘もございました欧米の違いも十分に把握して、どこに問題や課題があるのかをピンポイントでアドレスしながら、バランスを見つつ、段階的な発展や広がりを図っていくことが重要なのではないかと思っております。

 この機会を捉えて、そういったところの理解を促進できるのは大変ありがたいと思っておりますので、何かございましたら、ぜひ御教授いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 以上で委員の皆様方からは一通り御発言をいただきました。それで、オブザーバーの方々からも御発言希望があればお伺いしたいと思いまして、今、ベンチャーキャピタル協会の赤浦オブザーバーからチャットをいただきましたので、赤浦オブザーバー、どうぞ、お願いいたします。

【赤浦オブザーバー】  
 発言の機会をありがとうございます。お時間が限られるかと思いますので、急ぎ申し上げさせていただきます。

 まず、最初に発言がございました松本委員の意見に完全に同意でございます。問題は、株式投資型クラウドファンディングとベンチャーキャピタルは住み分けられてしまうことにございます。株式投資型クラウドファンディング実施先には、ベンチャーキャピタルは投資できないということが問題だと考えます。

 ポイントを4点述べさせていただきます。まず1番目に、応援でなくリターン目的となった場合に、その株式の価値評価の妥当性の問題、また回収期間が長い、回収可能性が低いという問題があると思います。

 次に、スクリーニングの問題です。VCの中には、業務プロセスとして、株主や役員、取引先等に反社会勢力等のスクリーニングを遵守されている事業者が少なからず存在いたします。特に二種免許事業者や金融機関系VC、または機関投資家、LPを抱える大手ベンチャーキャピタル等がそのような状況です。このようなVCにとっては、クラウドファンディング事業者がスクリーニングをしていたとしても、独自に確認作業を行う必要があります。このため、個人にかかわらず、株主数が多いスタートアップは株主属性の確認が困難となり、投資対象として避けられやすくなります。

 次に3番目、議決権行使の問題がございます。議決権が分散してしまうこともベンチャーキャピタルにとって投資対象としてのハードルを高める要因になります。スタートアップは、資金調達を含め、経営に関わる重要な意思決定を頻繁に行う必要があるため、臨時株主総会を開くことも多々ございます。また、全株主合意が必要となるケースも少なからず出てきますが、成長著しい企業ほど株主数が増え過ぎてしまうことは、その企業の成長スピードを抑えてしまう可能性があると考えます。

 4番目に、種類株式及び株主間契約に関する問題。ベンチャーキャピタルは、残余財産優先分配条項やドラッグアロング条項などを付した種類株式を用いて投資することが多くあります。これによりベンチャーキャピタルはリスクを軽減でき、スタートアップはより有利な条件で資金調達を行うことができますが、この種類株式を用いた優先分配スキームを実行するには、全株主の同意が前提となります。ポジティブなM&Aによるイグジットが実現し、全ての投資家がリターンを得られる場合はあまり問題になりませんが、ネガティブなM&Aによるイグジットの場合、シニアクラスの種類株式を有するVCは投資額の一定割合を優先的に受領できますが、普通株式を有する個人投資家は投資回収ができないといったケースも想定されます。これらを事前に説明していたとしても、そのような事態に直面した際に、各個人が納得してスキームの実行を受け入れていただけるかについても危惧いたします。

 まとめますと、IPOを目指す発行会社にとっては、株主管理、反社会勢力排除等の観点から、不特定多数の投資家を受け入れるのは望ましくない。さらに、IPOを目指し、ベンチャーキャピタルから出資を受ける企業の株主となる場合、株主間契約による株主間の利害調整やスピーディーな意思決定が求められます。一般投資家が一株主としてこれらの権利を行使することは現実的ではありません。

 そこで提案ですが、個人投資家がクラウドファンディングを通じて未上場企業に投資をする場合は、ファンドの形式で名義を一本化し、ファンドを代表する者が株主としての意思決定を行う仕組みを検討してはどうでしょうか。クラウドファンディング参加者の属性管理はクラウドファンディング業者が行うこととし、取引所における上場審査に当たっては、クラウドファンディングに参加する個別投資家の属性確認まで求めないようになれば、発行会社、ベンチャーキャピタルともに、株主管理上の懸念をクリアできるものと考えます。

 また、この場合には、個人投資家へのリスク説明やクレーム対応についても、発行会社には訴求せず、クラウドファンディング業者に義務づける必要があると考えます。株式投資型クラウドファンディングの規制緩和については、発行会社の資本政策リスクの観点や投資家保護の観点などから、解決すべき課題がいまだ多いと思われ、健全な市場構築のためにも、しっかりと環境整備をした上で実施すべきと考えます。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、続きまして日本証券業協会の松本オブザーバー、どうぞお願いします。

【松本オブザーバー】  
 日本証券業協会の松本でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。

 私ども日本証券業協会でございますが、非上場株式についての自主規制を持っているところでございます。そういったこともございまして、昨年の11月に、非上場株式について検討する懇談会を立ち上げまして、今、投資家保護等を図りながら、どうやったら非上場株式を発行・流通の両面で活性化できるかという検討を行っているところでございます。

 その中で、本日資料にございますクラウドファンディングについての3点、発行可能総額の算定方法の見直し、また投資上限額、さらに少人数私募の人数算定の見直し、こちらは我々のほうの懇談会でもアジェンダとして載ってございます。ぜひこちらにつきましては、今日提案された方向でというふうに思ってございます。

 また、既に委員の方からもお話がございますが、クラウドファンディング自体は実際に始まったのは2017年からということで、まだ新しい制度ですので、まだまだ成長段階にあるというところかと思います。ですので、今回、もしかしたら全てのことについて見直しや議論ができないかもしれませんが、引き続き、こういった機会を設けて、クラウドファンディングや非上場株式についての検討を引き続き行っていただきたいと思ってございます。

 あと最後に1点、野村委員からお話がありました株主コミュニティにつきましては、私どもの懇談会のほうではきちんと検討させていただきたいと思ってございます。

 私からは以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、プライベート・エクイティ協会の木村オブザーバー、どうぞお願いいたします。

【木村オブザーバー】  
 どうも、プライベート・エクイティ協会の木村です。お時間をいただいてありがとうございます。

 先ほどのペーパー、事務局にお作りいただいた説明資料の3ページのところで、非上場株式の流通市場の活性化というテーマがありましたが、我々が属するプライベート・エクイティにとって非常に重要だと思っていますし、個別株式だけではなくてファンドごと、ファンド自体の流通市場の活性化ということも我々はテーマだと思ってございまして、それにもつながってくると思いますので、大いに賛成させていただきたいと思っています。

 それには、非上場株式の公正価値ベースの評価の浸透等々、ファンド自体の時価評価の浸透というのがテーマになってくるかと思いますが、これを充実させることで、日本と欧米の非上場株式の厚みの違いを解消する一つの手段になるだろうということで、検討していただければと思っております。

 もう1つは、4ページの金融庁にお作りいただいている資料の中で、先ほど福田委員からも御指摘がありますが、PEファンドの投資の金額の日米比較で、これはもうほとんど1兆円対74兆円ということで非常に差があるのですが、私の感覚からすると、日米比較というのが1対20という、バイアウトに限って言えばそういうことなので、PEファンド全体の中で、バイアウトだけに切り口をすると、米国の比率、この74兆のうちの一部なのかなと思いました。

 米国の中には当然、セカンダリーのファンドのバイアウトであるとか、セカンダリーバイアウトであるとか、あとグロースキャピタルというような取引も存在していますので、日本にはそういうのがあまりありません。したがってバイアウトファンドのみということなので、1兆円というのは間違いないと思うのですが、数字がかなり違っているのではないかなということで、かなりPEファンド投資の頑張りが少ないなというような印象が、先ほど福田委員の御指摘でもあったようなので、私の実感からするとちょっと違うかなというふうに思います。

 それから、このデータのところのソースによると思うのですが、これは非上場株式の資金調達額ということで、企業の調達額というふうな定義づけになっているのかと思うのですが、我々が認識しているその1兆円のPEファンドの投資という金額は、これは完全にトレードセールのみなんです。したがって、やっぱりオーナーとか大企業が持っている株式をPEファンドが受ける場、買収ですね、このトランザクションに関わるものなので、ニューマネーの資金調達で係り合うということは非常にレアケースなんです。

 したがって、ニューマネーの調達ということに関与しているという取引実績ではないのではないかなと思っていますので、一方、米国の場合はそういうケースもかなり、グロースキャピタルですとありますので、そういうことも含まれているのではないかと思いますので、ちょっと、金融庁の事務局の皆様には申し訳ないですが、この辺のところをもう一回整理をしていただければと思いました。

 以上、コメントです。長くなりましたが、よろしくお願いします。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。ほかに、オブザーバーの方々で御発言の御希望はございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。今日御参加の委員の皆様方からは全員から御発言をいただき、今、オブザーバーの方々からも御発言をいただきました。

 全体を通じて、事務局のほうから何かありますでしょうか。

【太田原市場課長】  
 金融庁の太田原でございます。本日は途中、システムの不具合が生じたのか音声が途切れて、またサイトも移っていただきまして、いろいろお手数をおかけしまして申し訳ございませんでした。

 本日色々と、また有益な御議論をしていただいたかと思います。その中で何点かコメントをさせていただければと思います。

 野村委員から、幅広い議論をということですとか、福田委員からは全体を見て考えるべきという御指摘、あるいは松岡委員からも資金調達の広がりというようなお話があったかと思います。本日は、各論は一部だけを取り上げた形にはなっておりますが、御指摘のように、全体を見ながら考えないといけないという趣旨で、最初に全体像を示しております。次回以降もまた、関連する各論、あるいはまた全体像に立ち返った御議論をしていただければと思います。

 その次に、特に各論の中では、株式投資型クラウドファンディングの50万円の上限についての御指摘が多かったと思いました。米国型のように個々人のケースに応じてという制度の作り方もあるとは思いますが、この制度を作ったとき、あるいは現状でも、どれだけ個々に判断できるのかというところの難しさを考慮した上で、一律にというふうに設定した経緯がございます。それでよいのかどうかというのはあろうかと思いますが、現状の考え方としてはそういうところがございます。

 また、上限を全体的に引き上げるべきかどうかというのも、まさにクラウドファンディングという仕組み自体、いろいろな関係者の皆様方にとって、ここまでになってはいるものの、説明の中にもありましたが、まだ大部分が投資継続中で、どのようになるのか見定めなければいけない状況かなという思いも持っております。そういった理想と現実とを両方見ながら考えていきたいというふうに、今のところは考えているところでございます。

 私の方からは以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。今日も皆様方から多数の貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 1人50万円の議論が非常に盛り上がったと思いますが、確かに一般投資家と特定投資家という、二分法というのですか、分類は少し柔構造化してというか、三分類とか、そういう分類の仕方も含めて、ふさわしいルールは何かということを、また今後、皆様方にも議論いただければと感じました。

 それでは、少し不具合が生じて大変御迷惑をおかけしましたが、予定の時間になっておりますので、今日はこの辺りとさせていただき、本日いただきました御説明や御意見、御指摘等を踏まえ、今後さらに具体的な検討を行ってまいりたいと思います。次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等につきましては、後日、事務局から御案内をさせていただきます。

 それでは、以上をもちまして本日の会議は終了とさせていただきます。本日もどうもありがとうございました。

 
―― 了 ――
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金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局市場課(内線:2352、3970)

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