金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第5回) 議事録
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1.日時:
令和2年12月21日(月)10時00分~12時00分
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2.場所:
中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室
令和2年12月21日
【神田座長】
おはようございます。それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから市場制度ワーキング・グループの第5回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつもお忙しいところを本日も御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会合も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただいております。メディアの関係者の方々には、金融庁内の別室にて傍聴いただいております。議事録は、通常どおり作成し、金融庁のホームページにて公開させていただく予定ですので、よろしくお願い申し上げます。
これまでと同じことで恐縮ですが、オンラインで参加される方に、2点注意事項を申し上げます。第1点として、御発言されない間はミュート設定にしていただくようお願いいたします。第2点としまして、御発言を御希望の場合は、オンライン会議システムのチャット機能を使っていただき、全員宛てにお名前あるいは協会名その他の組織名等を御入力ください。それを私のほうで確認させていただき、指名をさせていただきますので、そういたしましたら御自身のお名前をお名乗りいただいた上で御発言いただければと存じます。
それでは、早速本日の議論に移らせていただきます。この市場制度ワーキング・グループですけれども、本年10月から議論を重ねてまいりました。本日でございますけれども、これまでの議論を取りまとめました第一次報告案について御議論をいただきたいと思います。そして、できれば取りまとめをお願いしたいと思います。そこでまず、事務局から資料について御説明をいただき、その後皆様方から御質問、御意見等をいただくということとさせていただきます。
いつものように本日も2時間という時間をいただいておりますけれども、もし問題がないようであれば、多少早めに終わらせていただくかもしれません。それでは、まず、事務局の説明資料につきまして、事務局からの御説明をお願いいたします。
【太田原市場課長】
資料1「金融審議会市場制度ワーキング・グループ第一次報告(案)―世界に開かれた国際金融センターの実現に向けて―」と表紙に書かれているものを御覧ください。
1ページです。「はじめに」として、コロナ後の新たな経済社会を見据え、我が国の銀行部門や資本市場が、コロナ後の実体経済の回復を支えつつ、産業構造の変革を力強く後押ししていくことが欠かせない、としています。2020年9月11日に金融担当大臣から諮問が行われ、10月から幾つかのテーマについて検討を行ってきました。このうち、我が国の国際金融センターとしての機能発揮については、経済社会の様々な情勢の変化の中で、国際的な金融ビジネスが分散・再配置されていく流れが想定される。こうした中、我が国金融市場が世界及びアジアにおける国際金融センターとしての機能を向上させることは、国内の雇用・産業の創出や経済力向上の実現に資する。さらに、我が国が世界及びアジアに対し、国際金融センターとして「公共財」を提供するとの意義を有すると考えられる、としています。こうした我が国における国際金融センターの実現のためには、海外金融機関等、とりわけ海外の投資運用業者等の受入れのための環境整備を一層加速させることが喫緊の課題であり、早期の対応が求められる。また、我が国金融機関と海外金融機関が同じ競争条件で国際的なビジネスを行うための制度整備も併せて必要である、としています。
3ページ、「Ⅰ.海外の投資運用業者等の受入れに係る制度整備」についてです。日本国内において投資運用業を行うためには、原則として当局に金融商品取引業者としての登録を行うことが必要です。例外が設けられており、適格投資家向け投資運用業では、出資者を限定し、運用財産総額を一定規模以下とするとともに、登録要件の一部が緩和されています。適格機関投資家等特例業務では、1名以上の適格機関投資家及び49名以内の特例業務対象投資家を対象とする場合に限り、当局への届出により、組合型集団投資スキーム持分の取得勧誘又は自己運用を行うことが可能となっています。
現行制度については、海外の投資運用業者等の受入れに関し、主として海外の資金を運用する海外事業者を必ずしも想定していない、海外の資金のみを運用する海外事業者について、海外での業務実績や現に海外当局による監督等を受けていることを勘案していない等の課題が指摘されています。
当ワーキング・グループでは、これらの課題を踏まえ、ファンドの投資家(顧客)が主として外国法人や外国居住の個人であることに着目すること、また、海外での業務実績や海外当局による監督等を受けていることを勘案した検討を行っていただきました。以下、その検討内容です。
「2.制度整備の在り方、(1)主として海外の資金を運用するファンド運用業の新たな類型」についてです。
まず、「①制度整備の趣旨」です。ファンドの主な投資家が外国法人等の場合、外国法人については、現行制度上、特定投資家とされていること、外国居住の個人については、一定の資産を保有する場合、投資に関する一定の知識・経験等を有すると考えられることを踏まえれば、一般投資家を顧客とする投資運用業と同等の規制とする必要性は低いと考えられます。
現行の適格機関投資家等特例業務については、一律に1名以上の適格機関投資家の出資を必須とし、特例業務対象投資家を49名以下としていますが、例えば、外国法人等が適格機関投資家となるためには、一定の資産を保有し当局に届け出る必要があるところ、実際には、必ずしも届出がなされることは期待できないなど、日本の金商法上の枠組みが必ずしも当てはまらず、特例業務制度を利用できない場合があります。
他方、上記のとおり、外国法人や一定の資産を保有する外国居住の個人を対象とする投資運用業については、通常の投資運用業と同等の規制とする必要性が低いと考えられることから、適格機関投資家による出資を必須とせず、出資人数の制限もない形で、届出により、日本国内で業務を行えるよう、新たな類型を整備することが適切であると考えられる、としています。
「②対象とする投資運用業の種類」としては、組合型集団投資スキーム持分の自己運用が、一般的にはその他の投資運用業の種類より自由度が高いと考えられること等から、組合型集団投資スキーム持分の自己運用を対象とすることが適当と考えられる、としています。
「③行為規制・監督対応等」についてですが、金商法は海外の投資家も一定の投資者保護の対象としていることから、基本的には適格機関投資家等特例業務と同様、通常の投資運用業者と同様の行為規制や当局による監督対応・立入検査等の対象とすることが適当と考えられると、しています。
「④国内投資家による出資の可否」についてです。海外投資家が主な顧客である場合でも、国内投資家の出資ニーズが生じることが想定され、海外の資金を呼び水にして国内の投資を喚起する観点からも、一定程度、国内投資家の出資を許容することは望ましいと考えられます。他方、国内の一般投資家も含めて出資を許容することは、新たな類型の趣旨や投資家保護の観点から適当でないと考えられます。したがって、運用上のニーズと投資者保護とのバランスを考慮し、プロと称される一部の国内投資家(適格機関投資家及び当該運用事業者の関係者)については、一定の出資比率、具体的には50%未満の範囲内で出資を認めることが適当と考えられる、としています。
「⑤対象とする事業者の範囲」についてです。上記の検討は、海外投資運用業者の受入れ促進を念頭に置いたものですが、国内の投資運用業者についても、ファンドの主な顧客が外国法人や一定の資産を保有する外国居住の個人であるといった制度上の要件を満たす場合、競争上の公平性確保の観点から、新たな類型の対象とすることが適当と考えられる、としています。
「⑥事業者による取得勧誘の可否」についてです。既存の適格機関投資家等特例業務では、届出により、組合型集団投資スキーム持分の取得会議を行うことが可能であり、新たな類型で参入する事業者についても、同様に届出により取得勧誘を行うことを可能とすることが適当と考えられる、としています。
次に、7ページ、「(2)海外の資金のみを運用する運用事業者の移行期間における新たな特例」についてです。
「①制度整備の趣旨」です。海外の資金のみを運用する事業者が、海外で一定の業務実績があり、一定の海外当局による許認可等を受けていることを勘案した上で、日本で登録等を得るまでの一定の期間に関し、届出により、引き続き日本国内で業務を行えるよう、新たな特例を整備すべきであると考えられる、としています。
「②業務可能な機関及び時限措置としての位置付け」についてです。海外事業者が日本で業務実績を積み、その後、金商法による登録等の手続を完了させる必要があることを踏まえれば、5年程度の期間とし、当該移行期間終了までに恒久的な類型に移行するよう求めることが適当と考えられる、としています。また、この(2)の特例について、恒久措置として設けることも考えられますが、海外事業者を日本に集中的に呼び込む趣旨を踏まえ、また、既存業者との競争上の公平性や投資者保護の観点から、本件新たな特例自体を3~5年程度の時限的な措置として設けることが適当と考えられる、としています。
「③対象とする事業者の要件」についてです。新たな特例の対象は、既に海外で運用業務を行っている事業者であり、海外当局の監督を受けて主として海外の有価証券の運用を行う事業者が想定されることから、(ア)日本で活動している間は、引き続き海外当局による許認可等を受けていること、(イ)海外で一定の業務実績があること、(ウ)ファンド全体として主な運用対象が海外有価証券であること、ファンド全体として運用対象とする国内有価証券の割合が50%未満であること等を勘案することが適当と考えられる、としています。また、適切な人的構成を有し、必要な体制整備を行っていることを法令上手当することが適当と考えられる、としています。
「④許認可等を付与する海外当局の範囲」についてです。海外当局の範囲については、投資者保護の観点から、我が国が行う調査協力の要請に応ずる保証がある外国金融商品取引規制当局であることに加え、日本と同様の市場ルール等が存在し、日本の監督当局と基本的に同じプリンシプルで実質的な金融監督が行われている外国であることを基本とすべきである、としています。
「3.金商法上の制度整備以外の取組み」についてです。海外の投資運用業者等の日本への受入れを促進していくためには、上記の制度整備による参入手続の簡素化のみならず、成長資金の供給促進も含め、日本市場を海外と比肩しうる魅力ある金融・資本市場へと改革していくことが本質的に重要である。また、税制面でのボトルネック除去や、英語対応、在留資格の緩和など、環境構築を引き続き総合的・戦略的に進めていくことが不可欠であると考えられる、としています。
9ページ、「Ⅱ.外国法人顧客情報に関する銀証ファイアーウォール規制(情報授受規制)の緩和」についてです。
1.では、経緯と目的を記載しています。
「2.現行制度の概要と課題」についてです。現行、銀証ファイアーウォール規制により、同一金融グループ内の「銀行」・「証券会社」間で顧客に関する非公開情報等を共有する場合、原則として書面による事前の同意取得が必要とされています。例えば、本邦金融機関が、クロスボーダーM&A等の案件を進めるために同一グループ内で非公開情報等を共有しようとする場合、原則として書面による事前の同意取得が必要となります。この点、情報授受規制が存在しない国では、現地企業からの同意書の取得に難航し、情報授受規制の適用を受けない海外金融機関との間で競争上不利となっているとの指摘等があります。
こうした指摘に対して、当ワーキング・グループでの議論においても、海外規制との同等性の確保、海外金融機関との国際競争力強化等の観点から、緩和する方向での検討が望ましい。諸外国において利益相反管理等の顧客保護に係る取組みが進展している中、当該顧客が経済活動を行う国における規制に上乗せして本邦規制を課す必要性は必ずしも高くない、との意見が出されたところです。こうした意見を踏まえ、外国法人顧客に係る非公開情報等について情報授受規制の対象から除外することが適当と考えられる、としています。
11ページ、「おわりに」です。今後、関係者において、本報告書に示された考え方を踏まえ、我が国の国際金融センターとしての機能発揮に向け、適切な制度整備が進められていくことを期待する。当ワーキング・グループでは、成長資金の供給の在り方、及び国内顧客に関する情報授受規制などの残された課題について、引き続き検討を進めていく、としています。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明を踏まえて、皆様方に御議論をお願いしたいと思います。いつものように多くの委員の皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、恐縮ですけれども、御発言の時間としては、お一人5分以内を目安にしていただければありがたく存じます。
それでは、委員の皆様方、御質問、御意見がおありの方は、チャット機能を通じて教えていただければと思います。いかがでしょうか。佐々木委員、どうぞお願いいたします。
【佐々木委員】
御説明どうもありがとうございました。よく分かりました。
1つは、これは質問ではなくて確認ですけど、まとめると、要するに前半、新たな類型というのは、顧客の50%以上が海外投資家である場合に入ることができる類型ということで、結果的には国内の業者であっても入れるということですので、そういった整理、理解でよろしいかどうかというのが1点確認したいことです。
また、質問ですけど、5ページの上のほうになります。対象とする投資運用業の種類ですが、これは(ア)の分類のところが対象となるということですが、私の知識が足りなくて、こういった形の部分というのもかなりの取引が見込まれて、入ってきたいという希望がある程度あるということで間違いないのかどうか。全体として、(ア)の部分のシェアというのは、どれくらいなのかと思いましたので、これが1つ質問です。
それと、7ページの、登録を得るまでの一定期間の制度、この制度ですね。時限的にこの部分が設けられるということですが、一般的にいって、この登録を得るまでの一定期間というのは、全く私のイメージがないので、何年もかかるものなのか、1年ぐらいのものなのかというのが分からないので、平均的に考えて、どれくらいのものと通常考えればいいのかということと、あと、これを適用される場合、特にその手続をし始めているとかいう、何か情報とかというものは特になく、海外の個人であれば認められるということなのかというのが2つ目の質問です。
また、質問ではないのですが、ファイアーウォール規制のほうは、国内顧客に関してはまだ議論が残っていますので、そういった意味で、この外国顧客のみ認める場合に、何か齟齬が生じることがないのかというのは、これは具体的なものではなくて、どうなのかと思ったという感想です。以上です。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、お願いします。
【太田原市場課長】
御指摘、御質問ありがとうございます。順に現時点で答えられる範囲で申し上げますと、まず、1点目の御質問は、海外資金が50%以上ということに結果的になるのかという御質問は御理解のとおりだと考えております。
【佐々木委員】
これは金額でということですか。
【太田原市場課長】
はい、そのように考えております。
【佐々木委員】
分かりました。ありがとうございます。
【太田原市場課長】
次に、5ページの(ア)の類型で、どのくらいの取引が見込まれるのかということは、恐らくこの制度だけがネックではなくて、税制ですとか英語対応ですとか、いろいろなものが相まって判断されていくということだろうと思いますので、この類型でどういう数字があるのかということは、手元にあるわけではございません。
7ページの移行期間の一定期間につきまして、これは資料2の絵のほうを御覧いただくほうが分かりやすいかもしれませんが、右側に、投資運用業、プロ向け投資運用業、プロ向けファンド等々、登録制、届出制とございまして、あと今回の提案でもある類型では届出制とあります。したがって、登録制の場合と届出制の場合でも、多分期間は異なるのであろうと思います。一般的には、登録制の方が時間を要するものでありますし、届出制は短い期間で対応できるのかと考えております。平均がどのくらいかというのは、いずれにしても手元にはございません。
ファイアーウォールにつきまして、海外の制度と国内顧客との齟齬が生じないかということにつきましては、まさにそういう齟齬が生じないように、10ページの注21にあるように、国内顧客に関する規制との整合性というのは考えて、制度設計を当面はしていくということを考えております。以上でございます。
【佐々木委員】
分かりました。どうもありがとうございます。
【神田座長】
よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。それでは、チャット欄の順番で、次に有吉委員、どうぞお願いいたします。
【有吉委員】
有吉でございます。報告書案の作成をありがとうございます。この内容につきましては、海外の投資運用業者の受入れ関連の特例と、それから後段の外国法人顧客に関するファイアーウォール規制の緩和のいずれの内容についても、私から異存はなく、このままの方向で進めていただければと思っております。その上で3点ほど規制の運用的なところなどについて、コメントというか意見を申し上げさせていただきたいと思います。
3点の意見とも、前半の海外の投資運用業者の受入れ関連の特例についてでございますが、まず1つ目としまして、この新しい2つの特例の届出の運用についてでございます。実務的にはこういった届出というのは、申請を受け付ける場面での当局の運用とかさじ加減によって、参入障壁が緩くもなり、厳格にもなると、こういうものだと実務的に感じておるところでございます。
もちろん投資者保護の視点は重要でございますので、何でも届出が出ればそれをそのまま通してしまうということは問題なわけでございますけど、一方で届出要件を厳格に運用することで、過度に制度の利用が制限されるといったようなことにはならないよう、ぜひバランスの取れた制度運用をお願いしたいと思っております。
それから2点目は、報告書(案)では8ページにございます、2つ目のほうの特例の許認可等を付与する海外当局の範囲と書いてある項目のところでございます。具体的にどの国の許認可を受けていればよいということになるのか、現時点ではよく分からないところでございますが、ぜひこの点については、投資者保護の確保ということはこちらも十分図っていただく必要があるのだと思いますけど、関係者の方々、実際にこの制度を利用したい、利用する可能性があるといった方々から、実務のニーズを的確に聴取していただきまして、対象範囲が狭くなり過ぎないように運用していただきたいと。また、将来的に新しい国からのニーズが生じた場合に、柔軟に調整を図っていただくようなことも御対応をお願いしたいと思っておりますので、この部分も運用をぜひうまく進めていただきたいと思っております。
それから3点目は、先ほど佐々木委員からお話があった点等とも若干関連するところでございますけど、1つ目のほうの特例の対象になる業務の範囲につきまして、今回の見直しの関係では、報告書案では5ページのところの(ア)の組合型の集団投資スキーム持分の自己運用を対象に制度を設計されるということで、この点について特にこれ以上、現時点でコメントがあるわけではないのですが、ただ、将来的にこちらも実務的なニーズとの関係で、例えばここで言えば(エ)の投資一任契約に基づく投資運用といったものについても、実際のニーズが高いということが出てくるようであれば、改めてこの制度を広げる方向での検討なども進めていただきたいと。今回の制度改正で全てが完結して硬直的になってしまうということにはならないよう、引き続き実務のニーズなどもうまく収集していただければと思っております。私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
有吉委員、御指摘ありがとうございます。
まず、1点目の、当局のさじ加減によって広くなったり狭くなったりというような御指摘につきましては、8ページの注13にございますように、「予見可能性の高い、できる限り具体的・客観的な要件を設定することが重要であるとの意見があった」ということを入れさせていただいております。
同じく8ページになります。海外当局の範囲につきまして、投資者保護の観点あるいは実務のニーズ、まさにこういった要素を勘案して、今後制度をつくるときには、その海外当局の範囲について設定していければと考えております。
5ページの投資一任契約等、将来的なニーズが出てくればということで、これは将来的な課題となるかと思います。そういったニーズについても、今後も、アンテナを張っていくべきであろうとは考えております。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは、続きまして、井口委員、どうぞお願いいたします。
【井口委員】
よろしくお願いします。まず、事務局からの御説明ありがとうございました。また、事務局には様々な意見を取りまとめて報告書を作成していただき、ありがとうございます。簡単ではありますが、報告書案に対する意見と、あと1点、報告書案での確認をさせていただければと思っております。
まず、最初に報告書の後段にあります外国法人顧客等に係る非公開情報等の取扱いですが、既に当審議会でも発言させていただいておりますが、海外での規制状況や国際競争力の観点、顧客の状況を踏まえまして、情報授受規制の対象から除外することが妥当と考えておりまして、報告書案の趣旨に賛同いたします。
前段のほうにあります海外の投資運用業者等の受入れについてです。これも既に申し上げていますが、私の基本姿勢といたしましては、国際金融都市の確立に向けての制度整備を行うということで、その中でも海外金融機関等の受入れを行うことは重要な施策と考えております。この観点で見ましたときに、今回の報告書案というのは、投資者保護の観点とともに、国内の既存の金融取引業者との競争の公平性の観点にも考慮したものと考えております。また、これまでの委員の方々の議論も適切に反映されていると考えまして、報告書案に賛同したく思っております。
ということで報告書案には賛同しておるのですが、この当審議会の検討の範囲外になるかもしれませんが、海外運用機関の特例措置について、1点だけ確認させていただければと思っております。確認させていただきたいと思っている箇所は、8ページの1パラグラフ目のところとなります。以前の委員会でも申し上げましたように、たとえ移行期間であったとしても、投資者保護の観点から、海外当局の許認可の継続とか、あるいは国内での体制整備、重要な事項への監督というのは必要であると思っております。
これは有吉委員がおっしゃったことと近いかもしれませんが、一方、集中的に海外金融機関を呼び込むという目的がある中、詳細については今後決められると思いますが、8ページの1パラグラフ目のところにあります。「適切な人的構成を有し、貴重な体制整備を行っていることを法令上手当」というところについては重要になってくるのではないかと思いまして、この辺の詳細は今後とは思っておりますが、考え方について教えていただければと思っております。以上でございます。
【神田座長】
ありがとうございました。
【太田原市場課長】
井口委員ありがとうございます。最後の点につきまして、まさに適切な人的構成を有し、必要な体制整備を行うということが適当としておりますが、その趣旨としましては、届出制という簡素な枠組みにしているということの裏腹で、適切でない業者というのが入ることは望ましくないと考えておりますので、そういったことに対する歯止めとなる、金融当局の監督権限が及ぶような形というものを要件として設けることが適切と考えているというところでございます。
【井口委員】
分かりました。ありがとうございます。
【神田座長】
ありがとうございました。それでは続きまして、野村委員、どうぞ。
【野村委員】
野村でございます。報告書の取りまとめをどうもありがとうございます。御説明もどうもありがとうございます。海外投資運用業者、それから情報授受規制のところ、そして今後につきまして、コメントないし質問も含まれるかもしれませんが、発言させていただければと思います。
本日の内容は、これまでの議論の中から、言うなれば合意形成できるもの、かつ時間軸という意味では、来年の国会での法案の手当等々も必要と理解しておりますので、それらのことを勘案の上、第一次報告として取りまとめられたものと理解しております。
先ほど来の発言とも重複する部分もあるかもしれませんが、何事も実際の運用になりますと、詳細が決め手だったりすると存じますので、その辺りは現場との会話をよく行った上で進めていただくのが重要かと思っております。
内容につきまして、海外の投資運用業者のところですが、新しい類型の内容については、確かに出発点が海外資金、海外顧客中心の海外運用業者に対する規制緩和ということでした。ただ、ロジカルに考えると、6ページに書いてあるように、国内投資家の参加も認めるけれども、主たる投資家が海外であることに鑑みて、国内投資家の出資比率は50%未満ということ、あるいは公平性の観点から、⑤のように、国内の運用業者も新類型を利用可能とする、となる。ロジカルに考えると、このようになるのだろうということは理解いたします。
それは理解するのですけれども、結果的に出来上がりの図を見ますと、何ゆえこの新類型が加わるのかというのが見えづらいと申しますか、これらの経緯を全く御存じない方がいきなり、ぱっと出来上がった図を見ますと、制度が複雑化したという御指摘も得るような気がいたしております。
したがいまして、海外運用業者の受入れという趣旨といいますか、目的、なぜ今行われるのかといったことも含めて、そういった趣旨や目的がきちんと伝わっていくことが極めて重要であろうと思いますし、併せてコストベネフィットの観点から、この新類型の意義を確認していくことも必要になってくるのではないかと考えます。
また、繰返しになりますけれども、日本の市場を魅力的にしていくこと、これは内外問わずかと思いますが、活発なプレーヤーによる資産運用業を築いていくことが恐らく本来の目的であろうと理解しますので、8ページにある金商法以外の取組みというのをきちんと続けていくことが重要であろうと思います。
もし可能であれば、海外投資運用業者受入れに関連する税制面の手当てなども話題になっているかと思いますので、共有できるようなことがあればぜひ、本日お願いできればと思います。
情報授受、ファイアーウォール規制のところですが、これは海外法人顧客のニーズがあることを前提に規制緩和をすると理解いたしました。ただ、あくまでも海外において厳格な規制・監督等によって顧客保護が十分確保されているという点には留意するべきであろうと思います。
また、次の議論、この後の議論につきましては、繰返しになりますけれども、規制緩和の対象範囲、何を議論しているのか、これを常に明確にした上でやっていくことが大事だと思います。
最後に今後についてでございますけれども、可能な範囲で、今後の議論の予定、あるいは時間軸といったようなものについても御教示いただければと思います。
情報授受規制、ファイアーウォール規制のところなど、なかなか容易に合意形成というわけにもいかず、議論を続けていくということだと理解いたしますが、それ以外にも成長資金供給は重要なテーマでありますし、必要であれば時間をかけて、まさに数十年の計での制度改正といったスタンスで臨みたいと思っております。例えば成長資金と一言で言っても、何をもって成長するのかというのが問われているのが今の状況ではないかと思います。サステナブルファイナンス、これが世界的な潮流になっており、日本においても2050年に温室効果ガス排出実質ゼロということを打ち出したところですし、それに関連した金融の在り方というものも、成長資金をめぐる話題ではないかと思います。
さらに、欲を言ってしまえば、前の市場ワーキング・グループで扱った高齢社会の金融サービスの課題は引き続き重要なテーマであろうかと思います。人生100年時代への備え、またその一方で、コロナ禍によって、いろいろな課題が家計部門において顕在化してきている。経済的な脆弱性にどう対応するのかといったような、いろいろなトピックがどんどん出てきているということかと思いますので、ぜひ野心的に取り組んでいければよいと期待しているところでございます。私からは以上です。どうもありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
幾つか野村委員から御指摘いただきました。その中で、私からは、まず制度が複雑化したのではないかというお話があったかと思います。今回、取りまとめられた場合には、今回の趣旨、目的あるいは制度の概要などは、丁寧にPRをしていくということが重要であろうと考えております。
今後の進め方につきまして、まさに最後の11ページにありますように、成長資金の供給の在り方及び国内顧客に関する情報授受規制などの残された課題につきましては、まだ具体的なスケジュールは置けておりませんけれども、年明けに引き続き御議論いただければと考えております。
税制面については、総合政策局から発言があればお願いします。
【柳沢総合政策監理官】
総合政策監理官の柳沢でございます。国際金融センターに関係しまして税制改正要望を行っておりましたところ、その結論について御説明させていただきます。
まず、関連する税として大きく3点、要望させていただいておりました。1つ目が法人税でございまして、役職員の業績連動報酬の損金算入が上場会社等に限られてしまう形になっていたのを、上場会社等以外にも広げていこうということで、結論といたしましては、投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等については、その業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイト等に公表するといった場合には、損金算入を認めるという形で与党の税制改正大綱に記載いただいております。
2点目といたしまして、相続税でございます。現状、直近15年内で、10年以上日本に居住される外国の方につきましては、国外の資産についても相続税が課税されるため、日本に長く腰を落ち着けて業務をしていただく際のネックになっているという指摘がございましたので、緩和の要望をしておりましたところ、就労等を目的として日本に居住される外国の方が亡くなった場合には、居住期間に関わらず国外の財産を相続税の課税対象外とするという形で同じく大綱に記載いただいております。
3点目として所得税分野でございます。ファンドの運用を委託されているファンドマネジャーについても、ファンドの持分を持っていただくということが海外では一般的であり、それがインセンティブになっているということがございます。ただ、海外におきましては、ファンドマネジャーがお持ちになっているファンド持分については、金融所得であるということで通常取り扱われておりますが、日本の場合は、金融所得なのか、累進課税の対象となるようなその他の所得なのかというのが必ずしも明確ではなかったということで、こちらにつきましては、利益の配分に経済合理性がある場合につきましては、累進課税の対象ではなく、その金融所得の対象として一律20%の課税という形で明確化していくということで、与党の大綱に記載いただいたというところでございます。以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【野村委員】
ありがとうございました。
【神田座長】
次に進めさせていただきまして、原田委員、どうぞお願いいたします。
【原田委員】
ありがとうございます。報告書案の取りまとめもありがとうございました。瑣末なことで恐縮ですが、文言について1点と、要望が1点ございます。
「はじめに」の3段落目になりますか、「公共財」という文言がある箇所になります。少々違和感を覚えるという感想ですけれども。「公共財」と入れる意図がどこにあるのかということを思いました。通常、一般の人が、「公共財」でイメージするのは、公園など誰でも利用できるものであろうかと思います。そう考えますと、しっくり来ないと感じました。
ここでは恐らく、次の段落でその意図を紹介していただいているのであろうとは思いますけれども、例えば国際金融センターとしての活躍の場を提供するとの意義を有するとか、別の表現のほうがよろしいのではないかという、瑣末なことではありますが、1点申し上げます。あと、括弧というのも、この括弧書きも取ってもいいのではないかということも感じました。現状、大阪・福岡対東京といったような誘致の競争のようなものもあるように感じますので、公共財としては捉えにくいのではないかというのが率直な感想であります。これがまず1点目になります。
先ほど野村委員も、ほかの委員の方々もおっしゃっていた8ページに書いていただいている金商法上の制度設計以外の取組み、ここは非常に重要なところであろうと思います。ですが、英語対応ということは昔からも言われてきたところでありましたし、日本市場を海外と比肩しうる魅力ある金融・資本市場へと改革していくということ、これが本質的だと書いてありますが、これも以前から言われてきたところであります。今回追加の内容としましては、今先ほど御説明いただいたような、税制面でのボトルネックの除去など、新しい点もありますけれども、この3.に挙げていただいている重要な論点、これは今後も実際に整備を頑張ってやっていかないといけないと感じます。特例が多い今回の対応で、どのくらい呼び込めるのかというところが、実際に始めてみて、今後の課題になろうかと思いますが、日本に来てくれた海外の投資運用業者の実数などは、開示、確認をしていっていただきたいと思います。以上、感想めいたことになります。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございます。
【太田原市場課長】
原田委員、御指摘ありがとうございます。1ページの「公共財」のところですけれども、言葉遣いが適切かどうかは、また今後の座長とも相談になろうかと思いますけれども、書いた趣旨を申し上げますと、海外の事業者を呼び込むということが日本のためになるという面は当然あろうかと思います。人材あるいは事業者が来て、ノウハウというものが日本国内でも展開されていくというような効用はあるのではないかと考えておりますけれども、単に日本のためのみならず、こういう拠点をアジアの中で選択肢を広げるというようなことが、国際的にも有用なのではないかと。
したがって、端的に言えば、日本だけではなくて世界のためにも役に立つようなことになるのではないかと、そういう考え方を持って、「公共財」と表現させていただいたところでございます。
2点目につきましては、日本に来てくれた投資運用業者についての開示・確認が必要ということは今後、留意して検討していきたいと考えます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。1点目については、原田委員が御指摘のように、別の表現にしたほうがいいかもしれませんね。趣旨は今、太田原課長からも説明があったとおりですけれども。ありがとうございます。
【原田委員】
ありがとうございます。
【神田座長】
それでは続きまして、森下委員、どうぞ、お願いいたします。
【森下委員】
ありがとうございます。私も報告書の方向性については賛成させていただきたいと思います。修文をお願いするというわけでありませんけれども、2点、意見を申し上げたいと思います。
1点目は、5ページのところですけれども、5ページの下のところでは、金商法は海外の投資家も一定の投資者保護の対象としていると。その上で、基本的には、通常の投資運用業者と同様の行為規制や当局による監督対応等が必要であるという記載があります。日本の金商法がどの範囲で海外の投資家に適用されるのか、されるべきなのかというのはそれ自体、なかなか難しい問題だと思うのですけれども、今回の対象としているのは、海外の投資家を主に対象とする業者であって、あとは、投資運用業の規制のかなりの部分が投資家保護ということを目的としているということを考えますと、海外の本国における規制と日本における規制がだぶって適用されるというようなことになってしまうと、結果的に負担が重くて、なかなか参入しにくいというようなこともあるのではないかと思います。
報告書では、「基本的には」とお書きになられていますし、あとは海外の投資家を主たる投資家とするという場合であったとしても、国内投資家による出資も可能とされていますので、当然、国内投資家などに対する部分では、日本の規制をしっかり及ぼしていくということが必要だと思うのですけれども、海外の投資家を主たる対象とするファンドに対して、どの範囲の日本の規制を及ぼしていく必要が本当にあるのかという点については、あまり過剰というか、規制の重複になることにより不都合が生じないように、細かな点にも留意しながら検討して頂けると良いと思います。この点は「基本的には」というところに含まれていると思いますけれども、そういった観点も大事ではないかというのが1点目です。
2点目は、8ページのところで、これは何人かの委員の先生方からも、法令以外が重要であるという御指摘があったところですけれども、これは私が多分最初のほうの会合で申し上げさせていただいたと思うのですけれども、今、金融監督の世界では、テクノロジーをうまく使うと、RegTechですとか、SupTechということが、非常に重視されていまして、監督ですとか報告の負担を軽減すると、より効率的にするということが、事業者が活動しやすくなる環境を提供するとともに、監督のクオリティーを上げるためにも重要であるという認識が国際的にも高まっているかと思います。
特に海外の事業者が日本のマーケットに入りやすくなるということを考えた場合には、英語というのはもちろんですけれども、それにとどまらず、テクノロジーをいい形で利用することによって、ペーパーベースでの報告ですとか、同じような報告を何度もするとか、そういうことがないようにする、あるいは監督当局の立場からしても、テクノロジーを利用することによって、よりクオリティーの高い監督ができるようにするというような観点からの国際競争というのはあると思います。
外国の当局なども結構活発に取り組んでいると思いますので、既に金融庁も対応されているのだと思いますけれども、日本としても、より一層、そういったような視点を、リソースも確保していただいて、積極的に進めていただくということが、今回の報告書に現れている趣旨をより実現していくためには重要ではないかと思います。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは続きまして、松本委員、どうぞお願いいたします。
【松本委員】
よろしくお願いいたします。今回の2点、いずれも内容に異存はございません。その中で、私自身がまだ理解が追いついてない部分があるかもしれず、意見というより質問に近いのですが、海外投資運用業者に本当に抜け道が存在しないか、まだ明確にこういう抜け道があると思いついているわけではないのですけれども、気になっているところです。
最終的な投資家が日本の居住者であっても、例えば規制の緩い海外に外国法人をペーパーカンパニー的に設立して、外国法人としてそこからファンドに投資して、海外投資運用業者として届出で済む類型を利用するとか、そういった形とかも考えられるのではないでしょうか。
当然、海外で許認可されて、一定のトラックレコードがあるということで、ある程度リスクというのは担保されているとは思いますけれども、ここでいう外国法人というものの条件もある程度、明確にしたほうが安全ではないかとも考えますし、特にこの新しい類型に極端にメリットがあり過ぎると、こうした抜け道を考える業者も出てくるのではないかと懸念しています。もちろん要件が厳し過ぎると今回の目的にそぐわないですし、逆にこちら側が極端に国内に比べて手続が簡易的過ぎると、そういったことを考える人も出てくると思いますので、そのバランスを考えなければいけないのではないかと思いました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
森下委員、松本委員、ありがとうございました。森下委員の1点目と松本委員の御質問、御懸念とは、論点としては、つまるところ同じかと考えておりますけれども、まず、海外の規制がかかっていると。森下委員からはだぶって規制がされるのではないかというお話がございました。既に言及されておりますように、8ページの④のところで、日本と同様の市場ルール、あるいは日本の監督当局と基本的に同じプリンシプルという、そういう国を想定しているものですから、あまり過度に負担感が増すようなことにはならないようになるのかと思いますけれども、具体的に何か不都合があるかどうかは、つぶさに今後制度設計をしていく上で検討したいと思います。
ここの部分が、松本委員の御懸念とも関連するかとは思いますけれども、規制の緩い海外当局ということは、今回の対象とはしない方向で考えておりますので、そこで抜け道にならないように、範囲をしっかり、必要十分な範囲にしていきたいと考えております。
あと森下委員から2点目の御指摘につきましては、まさに8ページの注17に、「当局への報告負担の減少、監督上のコストの減少などの面で、RegTechの取組みを積極的に推進していくことが重要等の意見があった」と注釈をつけさせていただいているところでございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次へ進ませていただきまして、松尾委員、どうぞお願いします。
【松尾委員】
ありがとうございます。松尾でございます。私も、報告書の内容につきましては全く異存ございません。適切におまとめくださり、ありがとうございます。その上で、今後について2点ほど希望というか、要望を申し上げたいと思います。
既に何人もの委員の方から御発言のあったところでありますけれども、ぜひ英語対応ですとか、特に税制、先ほど順調に進んでいるように情報をいただきましたけれども、できればこの制度の導入と同時に、そういったこともセットで提供できるようなスケジュールで進めていただけると、非常にありがたいと思います。せっかく作る制度ですので、より多くの人に利用していただきたいという希望があります。
また、先ほど既にこれも御指摘になったところで、今回の特例の対象となる業務の範囲のところでありますけれども、まずは組合型持分、ファンド持分の自己運用が対象になるということですが、特に、投資一任契約については、これは投資家の有する権利が転々流通するというような懸念もないところでありますし、そういう意味では、保有者の要件の潜脱ということもあまり気にする必要もないかと思いますので、今後、ニーズがあるということであれば、迅速柔軟に御対応いただきたいということが2つ目の希望です。以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。ほかにございますか。委員の皆様方で、ほかに御質問とか御意見はございますか。上柳委員、どうぞ。
【上柳委員】
ありがとうございます。特に報告書の中で、5ページの下から8行目辺りでしょうか。「この点」ということで、留意事項として監督対応のことをまとめていただきました。ありがとうございます。それから情報授受については、10ページ、注21の後段で、潜脱そのほかが起こらないように気をつけるということも大事だろうと思います。
その上での今後の要望といいますか、課題ということで一つ思いますのは、監督当局、あるいは監視委員会も含めてかもしれませんけれども、外国の当局との、人的にも情報的にも交流が深まっていく、あるいは信頼が高まっていくというところが、投資者保護の点からも実効的、あるいは合理的な規制ということから重要だと思います。
私は、それがひいては8ページのほうで議論されております、日本の市場が国際的に認知されていく、あるいは必要な資本が入ってくることにもつながるのではないかと思います。そういう意味で、制度ということから少し離れるかも分かりませんけれども、金融庁、あるいは監視委員会には、さらにそのような点を進めていただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは武田委員、どうぞ、お願いいたします。
【武田委員】
どうもありがとうございます。まず、事務局におかれましては、様々な意見を大変丁寧に取りまとめていただきまして、どうもありがとうございました。内容としては理解いたしました。基本的に、こちらの取りまとめの内容で異存はございません。その上で、今後も見据えて、2点意見を申し上げたいと思います。
1点目でございますけれども、国際金融センター実現に向けた全体戦略ビジョンの必要性でございます。8ページ、3ポツに金商法上の制度整備以外の取組みに書かれておりますとおり、こうした受入れを促進していくためには、成長資金の供給促進も含め、日本市場を魅力ある市場へと改革していくこと、これが本質であると考えます。
海外とのイコールフッティングの観点が、どうしても議論の中心となりますが、日本として何を強みとするのか、他の成長戦略とどう位置づけて進めていくのか、そうした日本の戦略の全体像・ビジョンが求められると思います。また、そうしたビジョンを世界に発信することが、国際金融センターの実現に向けて欠かせない取組みになるのではないかと考えます。
その点、本ワーキング・グループの範囲は超えているかもしれませんが、そうした議論が既に行われている、あるいは行う予定であるといったことがございましたら、御教示いただければ幸いでございます。
2点目はデジタル化の推進でございます。先ほどRegTechに言及がございましたけれども、政府全体で行政のデジタル化が課題になっております。国際金融センターの観点でも、デジタルの3原則、すなわちワンストップ、ワンスオンリー、コネクテッド、こうした取り組みがどこまでできており、どう進めていけばいいのか。これらも今後の検討課題ではないかと考えます。以上2点です。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
武田委員、ありがとうございます。いずれも企画市場局だけではなく、金融庁あるいは政府全体として取り組んでいるものでございます。私から簡単に申し上げますと、まず国際金融センターにつきましては、今月取りまとめた政府の経済対策の中にも、今回のこの金商法上の制度を念頭に置いたくだりもありますが、それ以外の日本の資本市場の魅力を向上させるという策も幾つか束ねております。金融庁の取組みあるいは、政府全体の話について総合政策局からも、本日出席しておりますので、補足があればお願いします。あと、デジタル化ももし何か言えればお願いします。
【井藤政策立案総括審議官】
総合政策局の井藤でございます。先ほど太田原課長からありましたように、この国際金融センターの実現に向けた取組みというのは、政府の成長戦略の中でも重要な課題として位置づけられていまして、そういう面では、パッケージ化していて、多様な政策を総動員しようということで、政府部内連携して議論を進めてきております。その一つの取りまとめが今回の経済対策の中で、かなりの分量を割いて取りまとめられてございます。
それで金融庁の英語による対応等もございますけれども、例えばビザの緩和でありますとか、あるいは居住環境に関する情報提供の充実、等々、様々な課題を進めようということで取組んでまいりまして、そういう面ではここに掲げられている制度改正以外にも、全体として、できることは何でもやろうという観点から進めてきているということでございまして。今後はいかに、こういう取組みについて海外の方々も含めて認知していただくことが重要だと思っていまして、PR戦略等々にも積極的に取り組むことにしているということでございます。
また、デジタル化につきましても、デジタル庁の設立はもとより、政府全体として、対面の廃止といった文脈も含めて、強力に推進しているところでございまして、またその観点では、これは私の担当では必ずしもないですけれども、届出先が複数になっている、報告の一元化等も含めて、金融庁としても強力に推進しているところでございます。
もちろんそのシステム対応等々、あるいは制度面の対応含めて、すぐに明日から全面的にというわけにもいかない部分もありますけれども、着実に、そういった点も対応していきたいと考えてございます。若干の抽象的な部分もありましたけれども、私からは以上説明させていただきました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。
【武田委員】
御丁寧なご回答、ありがとうございました。
【神田座長】
いずれも非常に重要な点の御指摘で、ありがとうございます。全体の中での部品ということですが、今回、取りまとめをいただくという重要な部品というか、重要な部分を成しているということかと思います。
それでは、ほかに委員の皆様方で御発言はございますか。もしよろしければ、オブザーバーの皆様方でもし御発言があれば、承りたいと思います。全国銀行協会の林さん、どうぞ、お願いいたします。
【林オブザーバー】
林でございます。10月以降の本ワーキング・グループでの議論のまとめとして本日報告書案を頂戴いたしました。神田座長、並びに金融庁の皆様、ワーキング・グループのメンバーの皆様に心から御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
銀証ファイアーウォール規制のうち、本邦金融機関の海外金融機関に対する競争上の不利を生み、またお客様が銀証一体となった提案を受ける機会を制約しております、外国法人顧客に関する情報授受規制を見直す方向で記載いただいており、私どもといたしましては、今回の報告書案に賛同でございます。
一方、これらの指摘は外国法人顧客についてのみ当てはまることではなく、国内の法人顧客を含めた全てのお客様に対しても該当するところと私どもは考えております。本報告案の「おわりに」のパートで、「残された課題」と記載いただいておりますが、外国法人顧客以外の顧客に関する情報授受規制のほか、ホームベースルール、外務員二重登録禁止の規制、発行体向けクロスマーケティング、引受け関連の諸規制につきましても、今後、1つのパッケージとして見直しの議論を頂戴できますこと、これを期待しております。
また、その際には、各論の議論も重要でございますが、我が国がポストコロナの時代において直面する様々な社会課題の解決、金融資本市場の発展、持続的経済成長の実現、国際競争力の強化などに向けて、我が国の金融産業が、銀行・証券といった垣根なく、いかに貢献していくのか、そのために必要な金融規制はどういったものか、こうした大きな視点も踏まえながら、御議論を賜りたいと考えております。私ども全国銀行協会といたしましても、積極的に意見発信を継続させていただければと考えております。以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
林さん、どうもありがとうございました。ほかにオブザーバーの方々で、御発言の御希望はございますか。日本証券業協会の荻野さん。どうぞ。
【荻野オブザーバー】
日本証券業協会、荻野でございます。海外の投資運用業者の受入れ制度の緩和、それから外国法人顧客に対するファイアーウォール規制の件につきまして、迅速にまとめていただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
その上で、最後の11ページのところでコメントをさせていただければと思います。ファイアーウォール規制の緩和につきましては、外国法人顧客においては、文字としては書かれておりませんけれども、銀行の優越的地位が認められないという整理ができたからこそ、緩和が妥当だと判断されたのだと理解しております。同頁に記載していただきましたとおり、今後も当ワーキング・グループにおきまして、成長資金の供給のあり方と併せて、国内顧客に関する情報授受規制につきましても、引き続き検討いただくということになっておりますが、こちらのほうにつきましても、慎重な御議論を切にお願いしたいと申し上げたいと思います。以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、国際銀行協会の平山さん、どうぞ。
【平山オブザーバー】
ありがとうございます。本日はこのような貴重な機会を与えていただきまして、感謝いたします。また事務局におかれましては、このような報告書案を取りまとめていただきまして、どうもありがとうございます。手前どもから1点述べさせていただきたいと思います。
第一次報告書案では、外国法人顧客を適用除外とするところまで結論を見ました。一方で、国内における規制に関しましては、この脚注21及び文末にあるとおり、今後も検討を継続していただける旨、確認できました。本件を前進していただけるよう、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。
なお、ここで止まってしまいますと、例えば邦銀さんは、米国において法人顧客の情報を共有できるようになる一方で、米銀は日本において法人顧客の情報を共有したビジネスが認められないという、アンバランスな、非対称的な状態が生じることになってしまいます。そしてそれが固定化してしまうことを手前どもは非常に懸念しております。
10月の手前どものプレゼンで申し上げましたとおり、銀行、証券会社を抱える外資系金融機関が、東京に地域本部、リージョナルヘッドを設置できない理由の一つに、この非公開情報授受規制の存在があります。日本の国際金融都市構想の実現のためにも、非公開情報授受規制の骨太な見直しの検討ができればと存じます。以上となります。本日はどうもありがとうございました。失礼いたします。
【神田座長】
どうもありがとうございました。ほかに、オブザーバーの皆様方、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
それでは、本日は、冒頭にも申し上げましたように、この市場制度ワーキング・グループとしては第一次ということで、これで終わりではなくて、皆様方にはさらに年明け以降、難問に取り組んでいただかなければいけないわけでございますけれども、今日は、御説明をさせていただいた第一次の報告案というものについて、取りまとめをさせていただければと存じます。
この案につきまして、大筋におきましては、皆様方から御賛同いただけたものと思います。本日、貴重な御意見を幾つかいただきました。先ほどの原田委員からの言葉、表現の問題、それから、例えばということで申しますと、有吉委員、松尾委員から、5ページ辺りの組合型の自己運用という、ここは、ビークル自体の法形式と業務がワンセットになっているものですから、現在から見ると、まずは(ア)で適当ではないかということで、その「まずは」というニュアンスがもう少し出せないかということとか、その他の御意見をいただきました。
表現ぶりとか、それから全体の表現の平仄などと併せて検討をさせていただき、また、精査をさせていただきたいと思いますけれども、そうした作業につきまして、大変恐縮ですけれども、私に御一任いただければ、ありがたく存じます。そしてまた報告の公表等の取扱い、公表時期等を含めてですけれども、私に御一任いただけると大変ありがたく存じますけれども、そのような形で取りまとめをさせていただいてもよろしゅうございますか。
おはようございます。それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから市場制度ワーキング・グループの第5回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつもお忙しいところを本日も御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会合も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただいております。メディアの関係者の方々には、金融庁内の別室にて傍聴いただいております。議事録は、通常どおり作成し、金融庁のホームページにて公開させていただく予定ですので、よろしくお願い申し上げます。
これまでと同じことで恐縮ですが、オンラインで参加される方に、2点注意事項を申し上げます。第1点として、御発言されない間はミュート設定にしていただくようお願いいたします。第2点としまして、御発言を御希望の場合は、オンライン会議システムのチャット機能を使っていただき、全員宛てにお名前あるいは協会名その他の組織名等を御入力ください。それを私のほうで確認させていただき、指名をさせていただきますので、そういたしましたら御自身のお名前をお名乗りいただいた上で御発言いただければと存じます。
それでは、早速本日の議論に移らせていただきます。この市場制度ワーキング・グループですけれども、本年10月から議論を重ねてまいりました。本日でございますけれども、これまでの議論を取りまとめました第一次報告案について御議論をいただきたいと思います。そして、できれば取りまとめをお願いしたいと思います。そこでまず、事務局から資料について御説明をいただき、その後皆様方から御質問、御意見等をいただくということとさせていただきます。
いつものように本日も2時間という時間をいただいておりますけれども、もし問題がないようであれば、多少早めに終わらせていただくかもしれません。それでは、まず、事務局の説明資料につきまして、事務局からの御説明をお願いいたします。
【太田原市場課長】
資料1「金融審議会市場制度ワーキング・グループ第一次報告(案)―世界に開かれた国際金融センターの実現に向けて―」と表紙に書かれているものを御覧ください。
1ページです。「はじめに」として、コロナ後の新たな経済社会を見据え、我が国の銀行部門や資本市場が、コロナ後の実体経済の回復を支えつつ、産業構造の変革を力強く後押ししていくことが欠かせない、としています。2020年9月11日に金融担当大臣から諮問が行われ、10月から幾つかのテーマについて検討を行ってきました。このうち、我が国の国際金融センターとしての機能発揮については、経済社会の様々な情勢の変化の中で、国際的な金融ビジネスが分散・再配置されていく流れが想定される。こうした中、我が国金融市場が世界及びアジアにおける国際金融センターとしての機能を向上させることは、国内の雇用・産業の創出や経済力向上の実現に資する。さらに、我が国が世界及びアジアに対し、国際金融センターとして「公共財」を提供するとの意義を有すると考えられる、としています。こうした我が国における国際金融センターの実現のためには、海外金融機関等、とりわけ海外の投資運用業者等の受入れのための環境整備を一層加速させることが喫緊の課題であり、早期の対応が求められる。また、我が国金融機関と海外金融機関が同じ競争条件で国際的なビジネスを行うための制度整備も併せて必要である、としています。
3ページ、「Ⅰ.海外の投資運用業者等の受入れに係る制度整備」についてです。日本国内において投資運用業を行うためには、原則として当局に金融商品取引業者としての登録を行うことが必要です。例外が設けられており、適格投資家向け投資運用業では、出資者を限定し、運用財産総額を一定規模以下とするとともに、登録要件の一部が緩和されています。適格機関投資家等特例業務では、1名以上の適格機関投資家及び49名以内の特例業務対象投資家を対象とする場合に限り、当局への届出により、組合型集団投資スキーム持分の取得勧誘又は自己運用を行うことが可能となっています。
現行制度については、海外の投資運用業者等の受入れに関し、主として海外の資金を運用する海外事業者を必ずしも想定していない、海外の資金のみを運用する海外事業者について、海外での業務実績や現に海外当局による監督等を受けていることを勘案していない等の課題が指摘されています。
当ワーキング・グループでは、これらの課題を踏まえ、ファンドの投資家(顧客)が主として外国法人や外国居住の個人であることに着目すること、また、海外での業務実績や海外当局による監督等を受けていることを勘案した検討を行っていただきました。以下、その検討内容です。
「2.制度整備の在り方、(1)主として海外の資金を運用するファンド運用業の新たな類型」についてです。
まず、「①制度整備の趣旨」です。ファンドの主な投資家が外国法人等の場合、外国法人については、現行制度上、特定投資家とされていること、外国居住の個人については、一定の資産を保有する場合、投資に関する一定の知識・経験等を有すると考えられることを踏まえれば、一般投資家を顧客とする投資運用業と同等の規制とする必要性は低いと考えられます。
現行の適格機関投資家等特例業務については、一律に1名以上の適格機関投資家の出資を必須とし、特例業務対象投資家を49名以下としていますが、例えば、外国法人等が適格機関投資家となるためには、一定の資産を保有し当局に届け出る必要があるところ、実際には、必ずしも届出がなされることは期待できないなど、日本の金商法上の枠組みが必ずしも当てはまらず、特例業務制度を利用できない場合があります。
他方、上記のとおり、外国法人や一定の資産を保有する外国居住の個人を対象とする投資運用業については、通常の投資運用業と同等の規制とする必要性が低いと考えられることから、適格機関投資家による出資を必須とせず、出資人数の制限もない形で、届出により、日本国内で業務を行えるよう、新たな類型を整備することが適切であると考えられる、としています。
「②対象とする投資運用業の種類」としては、組合型集団投資スキーム持分の自己運用が、一般的にはその他の投資運用業の種類より自由度が高いと考えられること等から、組合型集団投資スキーム持分の自己運用を対象とすることが適当と考えられる、としています。
「③行為規制・監督対応等」についてですが、金商法は海外の投資家も一定の投資者保護の対象としていることから、基本的には適格機関投資家等特例業務と同様、通常の投資運用業者と同様の行為規制や当局による監督対応・立入検査等の対象とすることが適当と考えられると、しています。
「④国内投資家による出資の可否」についてです。海外投資家が主な顧客である場合でも、国内投資家の出資ニーズが生じることが想定され、海外の資金を呼び水にして国内の投資を喚起する観点からも、一定程度、国内投資家の出資を許容することは望ましいと考えられます。他方、国内の一般投資家も含めて出資を許容することは、新たな類型の趣旨や投資家保護の観点から適当でないと考えられます。したがって、運用上のニーズと投資者保護とのバランスを考慮し、プロと称される一部の国内投資家(適格機関投資家及び当該運用事業者の関係者)については、一定の出資比率、具体的には50%未満の範囲内で出資を認めることが適当と考えられる、としています。
「⑤対象とする事業者の範囲」についてです。上記の検討は、海外投資運用業者の受入れ促進を念頭に置いたものですが、国内の投資運用業者についても、ファンドの主な顧客が外国法人や一定の資産を保有する外国居住の個人であるといった制度上の要件を満たす場合、競争上の公平性確保の観点から、新たな類型の対象とすることが適当と考えられる、としています。
「⑥事業者による取得勧誘の可否」についてです。既存の適格機関投資家等特例業務では、届出により、組合型集団投資スキーム持分の取得会議を行うことが可能であり、新たな類型で参入する事業者についても、同様に届出により取得勧誘を行うことを可能とすることが適当と考えられる、としています。
次に、7ページ、「(2)海外の資金のみを運用する運用事業者の移行期間における新たな特例」についてです。
「①制度整備の趣旨」です。海外の資金のみを運用する事業者が、海外で一定の業務実績があり、一定の海外当局による許認可等を受けていることを勘案した上で、日本で登録等を得るまでの一定の期間に関し、届出により、引き続き日本国内で業務を行えるよう、新たな特例を整備すべきであると考えられる、としています。
「②業務可能な機関及び時限措置としての位置付け」についてです。海外事業者が日本で業務実績を積み、その後、金商法による登録等の手続を完了させる必要があることを踏まえれば、5年程度の期間とし、当該移行期間終了までに恒久的な類型に移行するよう求めることが適当と考えられる、としています。また、この(2)の特例について、恒久措置として設けることも考えられますが、海外事業者を日本に集中的に呼び込む趣旨を踏まえ、また、既存業者との競争上の公平性や投資者保護の観点から、本件新たな特例自体を3~5年程度の時限的な措置として設けることが適当と考えられる、としています。
「③対象とする事業者の要件」についてです。新たな特例の対象は、既に海外で運用業務を行っている事業者であり、海外当局の監督を受けて主として海外の有価証券の運用を行う事業者が想定されることから、(ア)日本で活動している間は、引き続き海外当局による許認可等を受けていること、(イ)海外で一定の業務実績があること、(ウ)ファンド全体として主な運用対象が海外有価証券であること、ファンド全体として運用対象とする国内有価証券の割合が50%未満であること等を勘案することが適当と考えられる、としています。また、適切な人的構成を有し、必要な体制整備を行っていることを法令上手当することが適当と考えられる、としています。
「④許認可等を付与する海外当局の範囲」についてです。海外当局の範囲については、投資者保護の観点から、我が国が行う調査協力の要請に応ずる保証がある外国金融商品取引規制当局であることに加え、日本と同様の市場ルール等が存在し、日本の監督当局と基本的に同じプリンシプルで実質的な金融監督が行われている外国であることを基本とすべきである、としています。
「3.金商法上の制度整備以外の取組み」についてです。海外の投資運用業者等の日本への受入れを促進していくためには、上記の制度整備による参入手続の簡素化のみならず、成長資金の供給促進も含め、日本市場を海外と比肩しうる魅力ある金融・資本市場へと改革していくことが本質的に重要である。また、税制面でのボトルネック除去や、英語対応、在留資格の緩和など、環境構築を引き続き総合的・戦略的に進めていくことが不可欠であると考えられる、としています。
9ページ、「Ⅱ.外国法人顧客情報に関する銀証ファイアーウォール規制(情報授受規制)の緩和」についてです。
1.では、経緯と目的を記載しています。
「2.現行制度の概要と課題」についてです。現行、銀証ファイアーウォール規制により、同一金融グループ内の「銀行」・「証券会社」間で顧客に関する非公開情報等を共有する場合、原則として書面による事前の同意取得が必要とされています。例えば、本邦金融機関が、クロスボーダーM&A等の案件を進めるために同一グループ内で非公開情報等を共有しようとする場合、原則として書面による事前の同意取得が必要となります。この点、情報授受規制が存在しない国では、現地企業からの同意書の取得に難航し、情報授受規制の適用を受けない海外金融機関との間で競争上不利となっているとの指摘等があります。
こうした指摘に対して、当ワーキング・グループでの議論においても、海外規制との同等性の確保、海外金融機関との国際競争力強化等の観点から、緩和する方向での検討が望ましい。諸外国において利益相反管理等の顧客保護に係る取組みが進展している中、当該顧客が経済活動を行う国における規制に上乗せして本邦規制を課す必要性は必ずしも高くない、との意見が出されたところです。こうした意見を踏まえ、外国法人顧客に係る非公開情報等について情報授受規制の対象から除外することが適当と考えられる、としています。
11ページ、「おわりに」です。今後、関係者において、本報告書に示された考え方を踏まえ、我が国の国際金融センターとしての機能発揮に向け、適切な制度整備が進められていくことを期待する。当ワーキング・グループでは、成長資金の供給の在り方、及び国内顧客に関する情報授受規制などの残された課題について、引き続き検討を進めていく、としています。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明を踏まえて、皆様方に御議論をお願いしたいと思います。いつものように多くの委員の皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、恐縮ですけれども、御発言の時間としては、お一人5分以内を目安にしていただければありがたく存じます。
それでは、委員の皆様方、御質問、御意見がおありの方は、チャット機能を通じて教えていただければと思います。いかがでしょうか。佐々木委員、どうぞお願いいたします。
【佐々木委員】
御説明どうもありがとうございました。よく分かりました。
1つは、これは質問ではなくて確認ですけど、まとめると、要するに前半、新たな類型というのは、顧客の50%以上が海外投資家である場合に入ることができる類型ということで、結果的には国内の業者であっても入れるということですので、そういった整理、理解でよろしいかどうかというのが1点確認したいことです。
また、質問ですけど、5ページの上のほうになります。対象とする投資運用業の種類ですが、これは(ア)の分類のところが対象となるということですが、私の知識が足りなくて、こういった形の部分というのもかなりの取引が見込まれて、入ってきたいという希望がある程度あるということで間違いないのかどうか。全体として、(ア)の部分のシェアというのは、どれくらいなのかと思いましたので、これが1つ質問です。
それと、7ページの、登録を得るまでの一定期間の制度、この制度ですね。時限的にこの部分が設けられるということですが、一般的にいって、この登録を得るまでの一定期間というのは、全く私のイメージがないので、何年もかかるものなのか、1年ぐらいのものなのかというのが分からないので、平均的に考えて、どれくらいのものと通常考えればいいのかということと、あと、これを適用される場合、特にその手続をし始めているとかいう、何か情報とかというものは特になく、海外の個人であれば認められるということなのかというのが2つ目の質問です。
また、質問ではないのですが、ファイアーウォール規制のほうは、国内顧客に関してはまだ議論が残っていますので、そういった意味で、この外国顧客のみ認める場合に、何か齟齬が生じることがないのかというのは、これは具体的なものではなくて、どうなのかと思ったという感想です。以上です。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、お願いします。
【太田原市場課長】
御指摘、御質問ありがとうございます。順に現時点で答えられる範囲で申し上げますと、まず、1点目の御質問は、海外資金が50%以上ということに結果的になるのかという御質問は御理解のとおりだと考えております。
【佐々木委員】
これは金額でということですか。
【太田原市場課長】
はい、そのように考えております。
【佐々木委員】
分かりました。ありがとうございます。
【太田原市場課長】
次に、5ページの(ア)の類型で、どのくらいの取引が見込まれるのかということは、恐らくこの制度だけがネックではなくて、税制ですとか英語対応ですとか、いろいろなものが相まって判断されていくということだろうと思いますので、この類型でどういう数字があるのかということは、手元にあるわけではございません。
7ページの移行期間の一定期間につきまして、これは資料2の絵のほうを御覧いただくほうが分かりやすいかもしれませんが、右側に、投資運用業、プロ向け投資運用業、プロ向けファンド等々、登録制、届出制とございまして、あと今回の提案でもある類型では届出制とあります。したがって、登録制の場合と届出制の場合でも、多分期間は異なるのであろうと思います。一般的には、登録制の方が時間を要するものでありますし、届出制は短い期間で対応できるのかと考えております。平均がどのくらいかというのは、いずれにしても手元にはございません。
ファイアーウォールにつきまして、海外の制度と国内顧客との齟齬が生じないかということにつきましては、まさにそういう齟齬が生じないように、10ページの注21にあるように、国内顧客に関する規制との整合性というのは考えて、制度設計を当面はしていくということを考えております。以上でございます。
【佐々木委員】
分かりました。どうもありがとうございます。
【神田座長】
よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。それでは、チャット欄の順番で、次に有吉委員、どうぞお願いいたします。
【有吉委員】
有吉でございます。報告書案の作成をありがとうございます。この内容につきましては、海外の投資運用業者の受入れ関連の特例と、それから後段の外国法人顧客に関するファイアーウォール規制の緩和のいずれの内容についても、私から異存はなく、このままの方向で進めていただければと思っております。その上で3点ほど規制の運用的なところなどについて、コメントというか意見を申し上げさせていただきたいと思います。
3点の意見とも、前半の海外の投資運用業者の受入れ関連の特例についてでございますが、まず1つ目としまして、この新しい2つの特例の届出の運用についてでございます。実務的にはこういった届出というのは、申請を受け付ける場面での当局の運用とかさじ加減によって、参入障壁が緩くもなり、厳格にもなると、こういうものだと実務的に感じておるところでございます。
もちろん投資者保護の視点は重要でございますので、何でも届出が出ればそれをそのまま通してしまうということは問題なわけでございますけど、一方で届出要件を厳格に運用することで、過度に制度の利用が制限されるといったようなことにはならないよう、ぜひバランスの取れた制度運用をお願いしたいと思っております。
それから2点目は、報告書(案)では8ページにございます、2つ目のほうの特例の許認可等を付与する海外当局の範囲と書いてある項目のところでございます。具体的にどの国の許認可を受けていればよいということになるのか、現時点ではよく分からないところでございますが、ぜひこの点については、投資者保護の確保ということはこちらも十分図っていただく必要があるのだと思いますけど、関係者の方々、実際にこの制度を利用したい、利用する可能性があるといった方々から、実務のニーズを的確に聴取していただきまして、対象範囲が狭くなり過ぎないように運用していただきたいと。また、将来的に新しい国からのニーズが生じた場合に、柔軟に調整を図っていただくようなことも御対応をお願いしたいと思っておりますので、この部分も運用をぜひうまく進めていただきたいと思っております。
それから3点目は、先ほど佐々木委員からお話があった点等とも若干関連するところでございますけど、1つ目のほうの特例の対象になる業務の範囲につきまして、今回の見直しの関係では、報告書案では5ページのところの(ア)の組合型の集団投資スキーム持分の自己運用を対象に制度を設計されるということで、この点について特にこれ以上、現時点でコメントがあるわけではないのですが、ただ、将来的にこちらも実務的なニーズとの関係で、例えばここで言えば(エ)の投資一任契約に基づく投資運用といったものについても、実際のニーズが高いということが出てくるようであれば、改めてこの制度を広げる方向での検討なども進めていただきたいと。今回の制度改正で全てが完結して硬直的になってしまうということにはならないよう、引き続き実務のニーズなどもうまく収集していただければと思っております。私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
有吉委員、御指摘ありがとうございます。
まず、1点目の、当局のさじ加減によって広くなったり狭くなったりというような御指摘につきましては、8ページの注13にございますように、「予見可能性の高い、できる限り具体的・客観的な要件を設定することが重要であるとの意見があった」ということを入れさせていただいております。
同じく8ページになります。海外当局の範囲につきまして、投資者保護の観点あるいは実務のニーズ、まさにこういった要素を勘案して、今後制度をつくるときには、その海外当局の範囲について設定していければと考えております。
5ページの投資一任契約等、将来的なニーズが出てくればということで、これは将来的な課題となるかと思います。そういったニーズについても、今後も、アンテナを張っていくべきであろうとは考えております。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは、続きまして、井口委員、どうぞお願いいたします。
【井口委員】
よろしくお願いします。まず、事務局からの御説明ありがとうございました。また、事務局には様々な意見を取りまとめて報告書を作成していただき、ありがとうございます。簡単ではありますが、報告書案に対する意見と、あと1点、報告書案での確認をさせていただければと思っております。
まず、最初に報告書の後段にあります外国法人顧客等に係る非公開情報等の取扱いですが、既に当審議会でも発言させていただいておりますが、海外での規制状況や国際競争力の観点、顧客の状況を踏まえまして、情報授受規制の対象から除外することが妥当と考えておりまして、報告書案の趣旨に賛同いたします。
前段のほうにあります海外の投資運用業者等の受入れについてです。これも既に申し上げていますが、私の基本姿勢といたしましては、国際金融都市の確立に向けての制度整備を行うということで、その中でも海外金融機関等の受入れを行うことは重要な施策と考えております。この観点で見ましたときに、今回の報告書案というのは、投資者保護の観点とともに、国内の既存の金融取引業者との競争の公平性の観点にも考慮したものと考えております。また、これまでの委員の方々の議論も適切に反映されていると考えまして、報告書案に賛同したく思っております。
ということで報告書案には賛同しておるのですが、この当審議会の検討の範囲外になるかもしれませんが、海外運用機関の特例措置について、1点だけ確認させていただければと思っております。確認させていただきたいと思っている箇所は、8ページの1パラグラフ目のところとなります。以前の委員会でも申し上げましたように、たとえ移行期間であったとしても、投資者保護の観点から、海外当局の許認可の継続とか、あるいは国内での体制整備、重要な事項への監督というのは必要であると思っております。
これは有吉委員がおっしゃったことと近いかもしれませんが、一方、集中的に海外金融機関を呼び込むという目的がある中、詳細については今後決められると思いますが、8ページの1パラグラフ目のところにあります。「適切な人的構成を有し、貴重な体制整備を行っていることを法令上手当」というところについては重要になってくるのではないかと思いまして、この辺の詳細は今後とは思っておりますが、考え方について教えていただければと思っております。以上でございます。
【神田座長】
ありがとうございました。
【太田原市場課長】
井口委員ありがとうございます。最後の点につきまして、まさに適切な人的構成を有し、必要な体制整備を行うということが適当としておりますが、その趣旨としましては、届出制という簡素な枠組みにしているということの裏腹で、適切でない業者というのが入ることは望ましくないと考えておりますので、そういったことに対する歯止めとなる、金融当局の監督権限が及ぶような形というものを要件として設けることが適切と考えているというところでございます。
【井口委員】
分かりました。ありがとうございます。
【神田座長】
ありがとうございました。それでは続きまして、野村委員、どうぞ。
【野村委員】
野村でございます。報告書の取りまとめをどうもありがとうございます。御説明もどうもありがとうございます。海外投資運用業者、それから情報授受規制のところ、そして今後につきまして、コメントないし質問も含まれるかもしれませんが、発言させていただければと思います。
本日の内容は、これまでの議論の中から、言うなれば合意形成できるもの、かつ時間軸という意味では、来年の国会での法案の手当等々も必要と理解しておりますので、それらのことを勘案の上、第一次報告として取りまとめられたものと理解しております。
先ほど来の発言とも重複する部分もあるかもしれませんが、何事も実際の運用になりますと、詳細が決め手だったりすると存じますので、その辺りは現場との会話をよく行った上で進めていただくのが重要かと思っております。
内容につきまして、海外の投資運用業者のところですが、新しい類型の内容については、確かに出発点が海外資金、海外顧客中心の海外運用業者に対する規制緩和ということでした。ただ、ロジカルに考えると、6ページに書いてあるように、国内投資家の参加も認めるけれども、主たる投資家が海外であることに鑑みて、国内投資家の出資比率は50%未満ということ、あるいは公平性の観点から、⑤のように、国内の運用業者も新類型を利用可能とする、となる。ロジカルに考えると、このようになるのだろうということは理解いたします。
それは理解するのですけれども、結果的に出来上がりの図を見ますと、何ゆえこの新類型が加わるのかというのが見えづらいと申しますか、これらの経緯を全く御存じない方がいきなり、ぱっと出来上がった図を見ますと、制度が複雑化したという御指摘も得るような気がいたしております。
したがいまして、海外運用業者の受入れという趣旨といいますか、目的、なぜ今行われるのかといったことも含めて、そういった趣旨や目的がきちんと伝わっていくことが極めて重要であろうと思いますし、併せてコストベネフィットの観点から、この新類型の意義を確認していくことも必要になってくるのではないかと考えます。
また、繰返しになりますけれども、日本の市場を魅力的にしていくこと、これは内外問わずかと思いますが、活発なプレーヤーによる資産運用業を築いていくことが恐らく本来の目的であろうと理解しますので、8ページにある金商法以外の取組みというのをきちんと続けていくことが重要であろうと思います。
もし可能であれば、海外投資運用業者受入れに関連する税制面の手当てなども話題になっているかと思いますので、共有できるようなことがあればぜひ、本日お願いできればと思います。
情報授受、ファイアーウォール規制のところですが、これは海外法人顧客のニーズがあることを前提に規制緩和をすると理解いたしました。ただ、あくまでも海外において厳格な規制・監督等によって顧客保護が十分確保されているという点には留意するべきであろうと思います。
また、次の議論、この後の議論につきましては、繰返しになりますけれども、規制緩和の対象範囲、何を議論しているのか、これを常に明確にした上でやっていくことが大事だと思います。
最後に今後についてでございますけれども、可能な範囲で、今後の議論の予定、あるいは時間軸といったようなものについても御教示いただければと思います。
情報授受規制、ファイアーウォール規制のところなど、なかなか容易に合意形成というわけにもいかず、議論を続けていくということだと理解いたしますが、それ以外にも成長資金供給は重要なテーマでありますし、必要であれば時間をかけて、まさに数十年の計での制度改正といったスタンスで臨みたいと思っております。例えば成長資金と一言で言っても、何をもって成長するのかというのが問われているのが今の状況ではないかと思います。サステナブルファイナンス、これが世界的な潮流になっており、日本においても2050年に温室効果ガス排出実質ゼロということを打ち出したところですし、それに関連した金融の在り方というものも、成長資金をめぐる話題ではないかと思います。
さらに、欲を言ってしまえば、前の市場ワーキング・グループで扱った高齢社会の金融サービスの課題は引き続き重要なテーマであろうかと思います。人生100年時代への備え、またその一方で、コロナ禍によって、いろいろな課題が家計部門において顕在化してきている。経済的な脆弱性にどう対応するのかといったような、いろいろなトピックがどんどん出てきているということかと思いますので、ぜひ野心的に取り組んでいければよいと期待しているところでございます。私からは以上です。どうもありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
幾つか野村委員から御指摘いただきました。その中で、私からは、まず制度が複雑化したのではないかというお話があったかと思います。今回、取りまとめられた場合には、今回の趣旨、目的あるいは制度の概要などは、丁寧にPRをしていくということが重要であろうと考えております。
今後の進め方につきまして、まさに最後の11ページにありますように、成長資金の供給の在り方及び国内顧客に関する情報授受規制などの残された課題につきましては、まだ具体的なスケジュールは置けておりませんけれども、年明けに引き続き御議論いただければと考えております。
税制面については、総合政策局から発言があればお願いします。
【柳沢総合政策監理官】
総合政策監理官の柳沢でございます。国際金融センターに関係しまして税制改正要望を行っておりましたところ、その結論について御説明させていただきます。
まず、関連する税として大きく3点、要望させていただいておりました。1つ目が法人税でございまして、役職員の業績連動報酬の損金算入が上場会社等に限られてしまう形になっていたのを、上場会社等以外にも広げていこうということで、結論といたしましては、投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等については、その業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイト等に公表するといった場合には、損金算入を認めるという形で与党の税制改正大綱に記載いただいております。
2点目といたしまして、相続税でございます。現状、直近15年内で、10年以上日本に居住される外国の方につきましては、国外の資産についても相続税が課税されるため、日本に長く腰を落ち着けて業務をしていただく際のネックになっているという指摘がございましたので、緩和の要望をしておりましたところ、就労等を目的として日本に居住される外国の方が亡くなった場合には、居住期間に関わらず国外の財産を相続税の課税対象外とするという形で同じく大綱に記載いただいております。
3点目として所得税分野でございます。ファンドの運用を委託されているファンドマネジャーについても、ファンドの持分を持っていただくということが海外では一般的であり、それがインセンティブになっているということがございます。ただ、海外におきましては、ファンドマネジャーがお持ちになっているファンド持分については、金融所得であるということで通常取り扱われておりますが、日本の場合は、金融所得なのか、累進課税の対象となるようなその他の所得なのかというのが必ずしも明確ではなかったということで、こちらにつきましては、利益の配分に経済合理性がある場合につきましては、累進課税の対象ではなく、その金融所得の対象として一律20%の課税という形で明確化していくということで、与党の大綱に記載いただいたというところでございます。以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【野村委員】
ありがとうございました。
【神田座長】
次に進めさせていただきまして、原田委員、どうぞお願いいたします。
【原田委員】
ありがとうございます。報告書案の取りまとめもありがとうございました。瑣末なことで恐縮ですが、文言について1点と、要望が1点ございます。
「はじめに」の3段落目になりますか、「公共財」という文言がある箇所になります。少々違和感を覚えるという感想ですけれども。「公共財」と入れる意図がどこにあるのかということを思いました。通常、一般の人が、「公共財」でイメージするのは、公園など誰でも利用できるものであろうかと思います。そう考えますと、しっくり来ないと感じました。
ここでは恐らく、次の段落でその意図を紹介していただいているのであろうとは思いますけれども、例えば国際金融センターとしての活躍の場を提供するとの意義を有するとか、別の表現のほうがよろしいのではないかという、瑣末なことではありますが、1点申し上げます。あと、括弧というのも、この括弧書きも取ってもいいのではないかということも感じました。現状、大阪・福岡対東京といったような誘致の競争のようなものもあるように感じますので、公共財としては捉えにくいのではないかというのが率直な感想であります。これがまず1点目になります。
先ほど野村委員も、ほかの委員の方々もおっしゃっていた8ページに書いていただいている金商法上の制度設計以外の取組み、ここは非常に重要なところであろうと思います。ですが、英語対応ということは昔からも言われてきたところでありましたし、日本市場を海外と比肩しうる魅力ある金融・資本市場へと改革していくということ、これが本質的だと書いてありますが、これも以前から言われてきたところであります。今回追加の内容としましては、今先ほど御説明いただいたような、税制面でのボトルネックの除去など、新しい点もありますけれども、この3.に挙げていただいている重要な論点、これは今後も実際に整備を頑張ってやっていかないといけないと感じます。特例が多い今回の対応で、どのくらい呼び込めるのかというところが、実際に始めてみて、今後の課題になろうかと思いますが、日本に来てくれた海外の投資運用業者の実数などは、開示、確認をしていっていただきたいと思います。以上、感想めいたことになります。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございます。
【太田原市場課長】
原田委員、御指摘ありがとうございます。1ページの「公共財」のところですけれども、言葉遣いが適切かどうかは、また今後の座長とも相談になろうかと思いますけれども、書いた趣旨を申し上げますと、海外の事業者を呼び込むということが日本のためになるという面は当然あろうかと思います。人材あるいは事業者が来て、ノウハウというものが日本国内でも展開されていくというような効用はあるのではないかと考えておりますけれども、単に日本のためのみならず、こういう拠点をアジアの中で選択肢を広げるというようなことが、国際的にも有用なのではないかと。
したがって、端的に言えば、日本だけではなくて世界のためにも役に立つようなことになるのではないかと、そういう考え方を持って、「公共財」と表現させていただいたところでございます。
2点目につきましては、日本に来てくれた投資運用業者についての開示・確認が必要ということは今後、留意して検討していきたいと考えます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。1点目については、原田委員が御指摘のように、別の表現にしたほうがいいかもしれませんね。趣旨は今、太田原課長からも説明があったとおりですけれども。ありがとうございます。
【原田委員】
ありがとうございます。
【神田座長】
それでは続きまして、森下委員、どうぞ、お願いいたします。
【森下委員】
ありがとうございます。私も報告書の方向性については賛成させていただきたいと思います。修文をお願いするというわけでありませんけれども、2点、意見を申し上げたいと思います。
1点目は、5ページのところですけれども、5ページの下のところでは、金商法は海外の投資家も一定の投資者保護の対象としていると。その上で、基本的には、通常の投資運用業者と同様の行為規制や当局による監督対応等が必要であるという記載があります。日本の金商法がどの範囲で海外の投資家に適用されるのか、されるべきなのかというのはそれ自体、なかなか難しい問題だと思うのですけれども、今回の対象としているのは、海外の投資家を主に対象とする業者であって、あとは、投資運用業の規制のかなりの部分が投資家保護ということを目的としているということを考えますと、海外の本国における規制と日本における規制がだぶって適用されるというようなことになってしまうと、結果的に負担が重くて、なかなか参入しにくいというようなこともあるのではないかと思います。
報告書では、「基本的には」とお書きになられていますし、あとは海外の投資家を主たる投資家とするという場合であったとしても、国内投資家による出資も可能とされていますので、当然、国内投資家などに対する部分では、日本の規制をしっかり及ぼしていくということが必要だと思うのですけれども、海外の投資家を主たる対象とするファンドに対して、どの範囲の日本の規制を及ぼしていく必要が本当にあるのかという点については、あまり過剰というか、規制の重複になることにより不都合が生じないように、細かな点にも留意しながら検討して頂けると良いと思います。この点は「基本的には」というところに含まれていると思いますけれども、そういった観点も大事ではないかというのが1点目です。
2点目は、8ページのところで、これは何人かの委員の先生方からも、法令以外が重要であるという御指摘があったところですけれども、これは私が多分最初のほうの会合で申し上げさせていただいたと思うのですけれども、今、金融監督の世界では、テクノロジーをうまく使うと、RegTechですとか、SupTechということが、非常に重視されていまして、監督ですとか報告の負担を軽減すると、より効率的にするということが、事業者が活動しやすくなる環境を提供するとともに、監督のクオリティーを上げるためにも重要であるという認識が国際的にも高まっているかと思います。
特に海外の事業者が日本のマーケットに入りやすくなるということを考えた場合には、英語というのはもちろんですけれども、それにとどまらず、テクノロジーをいい形で利用することによって、ペーパーベースでの報告ですとか、同じような報告を何度もするとか、そういうことがないようにする、あるいは監督当局の立場からしても、テクノロジーを利用することによって、よりクオリティーの高い監督ができるようにするというような観点からの国際競争というのはあると思います。
外国の当局なども結構活発に取り組んでいると思いますので、既に金融庁も対応されているのだと思いますけれども、日本としても、より一層、そういったような視点を、リソースも確保していただいて、積極的に進めていただくということが、今回の報告書に現れている趣旨をより実現していくためには重要ではないかと思います。以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは続きまして、松本委員、どうぞお願いいたします。
【松本委員】
よろしくお願いいたします。今回の2点、いずれも内容に異存はございません。その中で、私自身がまだ理解が追いついてない部分があるかもしれず、意見というより質問に近いのですが、海外投資運用業者に本当に抜け道が存在しないか、まだ明確にこういう抜け道があると思いついているわけではないのですけれども、気になっているところです。
最終的な投資家が日本の居住者であっても、例えば規制の緩い海外に外国法人をペーパーカンパニー的に設立して、外国法人としてそこからファンドに投資して、海外投資運用業者として届出で済む類型を利用するとか、そういった形とかも考えられるのではないでしょうか。
当然、海外で許認可されて、一定のトラックレコードがあるということで、ある程度リスクというのは担保されているとは思いますけれども、ここでいう外国法人というものの条件もある程度、明確にしたほうが安全ではないかとも考えますし、特にこの新しい類型に極端にメリットがあり過ぎると、こうした抜け道を考える業者も出てくるのではないかと懸念しています。もちろん要件が厳し過ぎると今回の目的にそぐわないですし、逆にこちら側が極端に国内に比べて手続が簡易的過ぎると、そういったことを考える人も出てくると思いますので、そのバランスを考えなければいけないのではないかと思いました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
森下委員、松本委員、ありがとうございました。森下委員の1点目と松本委員の御質問、御懸念とは、論点としては、つまるところ同じかと考えておりますけれども、まず、海外の規制がかかっていると。森下委員からはだぶって規制がされるのではないかというお話がございました。既に言及されておりますように、8ページの④のところで、日本と同様の市場ルール、あるいは日本の監督当局と基本的に同じプリンシプルという、そういう国を想定しているものですから、あまり過度に負担感が増すようなことにはならないようになるのかと思いますけれども、具体的に何か不都合があるかどうかは、つぶさに今後制度設計をしていく上で検討したいと思います。
ここの部分が、松本委員の御懸念とも関連するかとは思いますけれども、規制の緩い海外当局ということは、今回の対象とはしない方向で考えておりますので、そこで抜け道にならないように、範囲をしっかり、必要十分な範囲にしていきたいと考えております。
あと森下委員から2点目の御指摘につきましては、まさに8ページの注17に、「当局への報告負担の減少、監督上のコストの減少などの面で、RegTechの取組みを積極的に推進していくことが重要等の意見があった」と注釈をつけさせていただいているところでございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次へ進ませていただきまして、松尾委員、どうぞお願いします。
【松尾委員】
ありがとうございます。松尾でございます。私も、報告書の内容につきましては全く異存ございません。適切におまとめくださり、ありがとうございます。その上で、今後について2点ほど希望というか、要望を申し上げたいと思います。
既に何人もの委員の方から御発言のあったところでありますけれども、ぜひ英語対応ですとか、特に税制、先ほど順調に進んでいるように情報をいただきましたけれども、できればこの制度の導入と同時に、そういったこともセットで提供できるようなスケジュールで進めていただけると、非常にありがたいと思います。せっかく作る制度ですので、より多くの人に利用していただきたいという希望があります。
また、先ほど既にこれも御指摘になったところで、今回の特例の対象となる業務の範囲のところでありますけれども、まずは組合型持分、ファンド持分の自己運用が対象になるということですが、特に、投資一任契約については、これは投資家の有する権利が転々流通するというような懸念もないところでありますし、そういう意味では、保有者の要件の潜脱ということもあまり気にする必要もないかと思いますので、今後、ニーズがあるということであれば、迅速柔軟に御対応いただきたいということが2つ目の希望です。以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。ほかにございますか。委員の皆様方で、ほかに御質問とか御意見はございますか。上柳委員、どうぞ。
【上柳委員】
ありがとうございます。特に報告書の中で、5ページの下から8行目辺りでしょうか。「この点」ということで、留意事項として監督対応のことをまとめていただきました。ありがとうございます。それから情報授受については、10ページ、注21の後段で、潜脱そのほかが起こらないように気をつけるということも大事だろうと思います。
その上での今後の要望といいますか、課題ということで一つ思いますのは、監督当局、あるいは監視委員会も含めてかもしれませんけれども、外国の当局との、人的にも情報的にも交流が深まっていく、あるいは信頼が高まっていくというところが、投資者保護の点からも実効的、あるいは合理的な規制ということから重要だと思います。
私は、それがひいては8ページのほうで議論されております、日本の市場が国際的に認知されていく、あるいは必要な資本が入ってくることにもつながるのではないかと思います。そういう意味で、制度ということから少し離れるかも分かりませんけれども、金融庁、あるいは監視委員会には、さらにそのような点を進めていただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは武田委員、どうぞ、お願いいたします。
【武田委員】
どうもありがとうございます。まず、事務局におかれましては、様々な意見を大変丁寧に取りまとめていただきまして、どうもありがとうございました。内容としては理解いたしました。基本的に、こちらの取りまとめの内容で異存はございません。その上で、今後も見据えて、2点意見を申し上げたいと思います。
1点目でございますけれども、国際金融センター実現に向けた全体戦略ビジョンの必要性でございます。8ページ、3ポツに金商法上の制度整備以外の取組みに書かれておりますとおり、こうした受入れを促進していくためには、成長資金の供給促進も含め、日本市場を魅力ある市場へと改革していくこと、これが本質であると考えます。
海外とのイコールフッティングの観点が、どうしても議論の中心となりますが、日本として何を強みとするのか、他の成長戦略とどう位置づけて進めていくのか、そうした日本の戦略の全体像・ビジョンが求められると思います。また、そうしたビジョンを世界に発信することが、国際金融センターの実現に向けて欠かせない取組みになるのではないかと考えます。
その点、本ワーキング・グループの範囲は超えているかもしれませんが、そうした議論が既に行われている、あるいは行う予定であるといったことがございましたら、御教示いただければ幸いでございます。
2点目はデジタル化の推進でございます。先ほどRegTechに言及がございましたけれども、政府全体で行政のデジタル化が課題になっております。国際金融センターの観点でも、デジタルの3原則、すなわちワンストップ、ワンスオンリー、コネクテッド、こうした取り組みがどこまでできており、どう進めていけばいいのか。これらも今後の検討課題ではないかと考えます。以上2点です。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。
【太田原市場課長】
武田委員、ありがとうございます。いずれも企画市場局だけではなく、金融庁あるいは政府全体として取り組んでいるものでございます。私から簡単に申し上げますと、まず国際金融センターにつきましては、今月取りまとめた政府の経済対策の中にも、今回のこの金商法上の制度を念頭に置いたくだりもありますが、それ以外の日本の資本市場の魅力を向上させるという策も幾つか束ねております。金融庁の取組みあるいは、政府全体の話について総合政策局からも、本日出席しておりますので、補足があればお願いします。あと、デジタル化ももし何か言えればお願いします。
【井藤政策立案総括審議官】
総合政策局の井藤でございます。先ほど太田原課長からありましたように、この国際金融センターの実現に向けた取組みというのは、政府の成長戦略の中でも重要な課題として位置づけられていまして、そういう面では、パッケージ化していて、多様な政策を総動員しようということで、政府部内連携して議論を進めてきております。その一つの取りまとめが今回の経済対策の中で、かなりの分量を割いて取りまとめられてございます。
それで金融庁の英語による対応等もございますけれども、例えばビザの緩和でありますとか、あるいは居住環境に関する情報提供の充実、等々、様々な課題を進めようということで取組んでまいりまして、そういう面ではここに掲げられている制度改正以外にも、全体として、できることは何でもやろうという観点から進めてきているということでございまして。今後はいかに、こういう取組みについて海外の方々も含めて認知していただくことが重要だと思っていまして、PR戦略等々にも積極的に取り組むことにしているということでございます。
また、デジタル化につきましても、デジタル庁の設立はもとより、政府全体として、対面の廃止といった文脈も含めて、強力に推進しているところでございまして、またその観点では、これは私の担当では必ずしもないですけれども、届出先が複数になっている、報告の一元化等も含めて、金融庁としても強力に推進しているところでございます。
もちろんそのシステム対応等々、あるいは制度面の対応含めて、すぐに明日から全面的にというわけにもいかない部分もありますけれども、着実に、そういった点も対応していきたいと考えてございます。若干の抽象的な部分もありましたけれども、私からは以上説明させていただきました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。
【武田委員】
御丁寧なご回答、ありがとうございました。
【神田座長】
いずれも非常に重要な点の御指摘で、ありがとうございます。全体の中での部品ということですが、今回、取りまとめをいただくという重要な部品というか、重要な部分を成しているということかと思います。
それでは、ほかに委員の皆様方で御発言はございますか。もしよろしければ、オブザーバーの皆様方でもし御発言があれば、承りたいと思います。全国銀行協会の林さん、どうぞ、お願いいたします。
【林オブザーバー】
林でございます。10月以降の本ワーキング・グループでの議論のまとめとして本日報告書案を頂戴いたしました。神田座長、並びに金融庁の皆様、ワーキング・グループのメンバーの皆様に心から御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
銀証ファイアーウォール規制のうち、本邦金融機関の海外金融機関に対する競争上の不利を生み、またお客様が銀証一体となった提案を受ける機会を制約しております、外国法人顧客に関する情報授受規制を見直す方向で記載いただいており、私どもといたしましては、今回の報告書案に賛同でございます。
一方、これらの指摘は外国法人顧客についてのみ当てはまることではなく、国内の法人顧客を含めた全てのお客様に対しても該当するところと私どもは考えております。本報告案の「おわりに」のパートで、「残された課題」と記載いただいておりますが、外国法人顧客以外の顧客に関する情報授受規制のほか、ホームベースルール、外務員二重登録禁止の規制、発行体向けクロスマーケティング、引受け関連の諸規制につきましても、今後、1つのパッケージとして見直しの議論を頂戴できますこと、これを期待しております。
また、その際には、各論の議論も重要でございますが、我が国がポストコロナの時代において直面する様々な社会課題の解決、金融資本市場の発展、持続的経済成長の実現、国際競争力の強化などに向けて、我が国の金融産業が、銀行・証券といった垣根なく、いかに貢献していくのか、そのために必要な金融規制はどういったものか、こうした大きな視点も踏まえながら、御議論を賜りたいと考えております。私ども全国銀行協会といたしましても、積極的に意見発信を継続させていただければと考えております。以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
林さん、どうもありがとうございました。ほかにオブザーバーの方々で、御発言の御希望はございますか。日本証券業協会の荻野さん。どうぞ。
【荻野オブザーバー】
日本証券業協会、荻野でございます。海外の投資運用業者の受入れ制度の緩和、それから外国法人顧客に対するファイアーウォール規制の件につきまして、迅速にまとめていただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
その上で、最後の11ページのところでコメントをさせていただければと思います。ファイアーウォール規制の緩和につきましては、外国法人顧客においては、文字としては書かれておりませんけれども、銀行の優越的地位が認められないという整理ができたからこそ、緩和が妥当だと判断されたのだと理解しております。同頁に記載していただきましたとおり、今後も当ワーキング・グループにおきまして、成長資金の供給のあり方と併せて、国内顧客に関する情報授受規制につきましても、引き続き検討いただくということになっておりますが、こちらのほうにつきましても、慎重な御議論を切にお願いしたいと申し上げたいと思います。以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、国際銀行協会の平山さん、どうぞ。
【平山オブザーバー】
ありがとうございます。本日はこのような貴重な機会を与えていただきまして、感謝いたします。また事務局におかれましては、このような報告書案を取りまとめていただきまして、どうもありがとうございます。手前どもから1点述べさせていただきたいと思います。
第一次報告書案では、外国法人顧客を適用除外とするところまで結論を見ました。一方で、国内における規制に関しましては、この脚注21及び文末にあるとおり、今後も検討を継続していただける旨、確認できました。本件を前進していただけるよう、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。
なお、ここで止まってしまいますと、例えば邦銀さんは、米国において法人顧客の情報を共有できるようになる一方で、米銀は日本において法人顧客の情報を共有したビジネスが認められないという、アンバランスな、非対称的な状態が生じることになってしまいます。そしてそれが固定化してしまうことを手前どもは非常に懸念しております。
10月の手前どものプレゼンで申し上げましたとおり、銀行、証券会社を抱える外資系金融機関が、東京に地域本部、リージョナルヘッドを設置できない理由の一つに、この非公開情報授受規制の存在があります。日本の国際金融都市構想の実現のためにも、非公開情報授受規制の骨太な見直しの検討ができればと存じます。以上となります。本日はどうもありがとうございました。失礼いたします。
【神田座長】
どうもありがとうございました。ほかに、オブザーバーの皆様方、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
それでは、本日は、冒頭にも申し上げましたように、この市場制度ワーキング・グループとしては第一次ということで、これで終わりではなくて、皆様方にはさらに年明け以降、難問に取り組んでいただかなければいけないわけでございますけれども、今日は、御説明をさせていただいた第一次の報告案というものについて、取りまとめをさせていただければと存じます。
この案につきまして、大筋におきましては、皆様方から御賛同いただけたものと思います。本日、貴重な御意見を幾つかいただきました。先ほどの原田委員からの言葉、表現の問題、それから、例えばということで申しますと、有吉委員、松尾委員から、5ページ辺りの組合型の自己運用という、ここは、ビークル自体の法形式と業務がワンセットになっているものですから、現在から見ると、まずは(ア)で適当ではないかということで、その「まずは」というニュアンスがもう少し出せないかということとか、その他の御意見をいただきました。
表現ぶりとか、それから全体の表現の平仄などと併せて検討をさせていただき、また、精査をさせていただきたいと思いますけれども、そうした作業につきまして、大変恐縮ですけれども、私に御一任いただければ、ありがたく存じます。そしてまた報告の公表等の取扱い、公表時期等を含めてですけれども、私に御一任いただけると大変ありがたく存じますけれども、そのような形で取りまとめをさせていただいてもよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。皆様方の精力的また建設的な御議論に厚く御礼申し上げます。
それで、先ほども申し上げましたけれども、このワーキング・グループは10月以来5回にわたって皆様に御議論をしていただきました。大変お忙しい中を、毎回積極的に御参加いただき、またオンラインという慣れないというか、大分慣れてきたかもしれませんけれども、通常でないやり方の中で、非常に活発かつ精力的な御議論をいただきましたことに厚く御礼申し上げます。
先ほども申し上げましたが、本日は、第一次報告の取りまとめをお願いしたに過ぎませんので、この後がまだ控えております。年明け以降、成長資金の供給の在り方、そして国内顧客に関する情報授受規制等、大変難しい問題が残されておりまして、これらの論点につきまして、引き続き、皆様方には、このワーキング・グループにおいて検討をしていただくということになります。従いまして、また年明け以降、引き続き皆様方の積極的な御参加、そして御議論をお願いしたく存じます。
それでは、第一次報告に関する今後の流れにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【太田原市場課長】
委員の皆様方におかれましては、第一次報告の取りまとめに向けて、精力的に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。第一次報告につきましては、神田座長に最終的な御確認をいただき、なるべく速やかに公表させていただきたいと考えております。その後、年明けになろうかと思いますが、金融審議会総会へ報告するという段取りを想定しております。以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。次回のこのワーキング・グループの日程及びテーマ等につきましては、後日事務局から御案内をさせていただきます。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうか皆様よいお年をお迎えください。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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