第18回金融審議会公認会計士制度部会議事録
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1.日時:
令和3年12月24日(金曜日)13時30分~15時30分
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2.場所:
オンライン会議(中央合同庁舎第7号館9階 共用第3会議室)
〇神田部会長
それでは、皆様方おそろいですので始めさせていただきます。ただいまから、第18回金融審議会公認会計士制度部会を開催させていただきます。
皆様方にはいつもお忙しいところを本日も御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日の会合ですが、これまでと同様に、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とさせていただきます。また、前回も確認させていただきましたが、会議は公開とさせていただいており、ウェブ上でライブ中継をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、まず、前回の会合におきまして、オブザーバーの東京証券取引所の青さんから御発言をいただきましたが、通信不良により御意見を十分にお伺いできなかったということがございます。そこで議事に先立ちまして、少しお時間をいただいて、青さんから、前回の御発言の要点を再度お伺いできればと思います。青さん、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
〇東京証券取引所
発言の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。前回、回線の都合で発言が途切れてしまい大変失礼いたしました。当日、このようなことを申し上げたかったということを、この場をお借りしてコメントさせていただければと存じます。
証券市場の運営者の立場から、本部会のオブザーバーとしてのコメントを3点申し上げます。
1点目が、上場会社監査事務所の体制についてでございます。上場会社監査事務所について、個人が共同監査等によって監査を行う場合も含みますが、パブリック・カンパニーたる上場会社の財務諸表の信頼性確保のために、公共財的な機能を持つものとして、高品質な監査と、そのための体制が重要だと考えております。
上場会社監査事務所の規模によりましては、リソースに限界があるという旨の御指摘に関しましては、一定の支援を行うこと自体は望ましいと考えておりますが、監査品質が低いこともやむを得ないと考えるのは適当ではなく、上場会社監査事務所は、いかなる規模であったとしても、高品質で信頼の得られる監査を行うに至る体制などをしっかりと確保していただくことが求められます。具体的には、審査体制や利益相反管理、監査時間の確保などが求められると考えております。これらを確保する観点から、ぜひ御検討、御審議をお願いできればというのが1点目でございます。
2点目が、監査法人のガバナンス・コードの関係でございます。上場会社監査事務所におかれましては、監査品質の向上を十分に図るために、自律的に質を高めていくこととなるという流れが重要と考えます。そのため、監査法人のガバナンス・コードは、規模等によって必要な改正等があれば、そういうものも行った上でということになるかと思いますけれども、コード自体については規模の大小を問わず対象とするということについて、御検討、御審議をお願いしたいと考える次第でございます。こちらは個人の共同監査においても同様でございます。
3点目が、日本公認会計士協会のレビューと公認会計士・監査審査会の検査体制の関係でございます。両者の品質管理レビュー、あるいは検査におきましては、上場会社監査事務所の高い監査品質の確保を担保していくために大変重要な役割を果たしていただいていると承知をしてございます。
近年、監査に関する品質管理の基準の改訂や倫理規程の改訂、あるいは不正会計発覚時の監査人の異動の状況など、様々な変化が起きておりますので、その時々の状況に応じて、機動的に重要な点に注力できるような対応や、あるいは主導的な機能を上手に活用するということなども含めまして、監査そのものの質の向上につながるような貢献を、ぜひ期待したいと考えている次第でございます。
私のほうで先日申し上げたかったことは以上でございます。どうもありがとうございました。
〇神田部会長
青さん、どうもありがとうございました。
それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日ですけれども、これまでの御議論をまとめさせていただきたいと思っており、当部会の報告(案)を事務局で用意していただいておりますので、これについて御議論をいただきたいと思います。
まず、事務局からの御説明をお願いします。廣川企業開示課長、よろしくお願いいたします。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。よろしくお願いいたします。
では、金融審議会公認会計士制度部会報告(案)について、簡単に御紹介をさせていただきます。
1ページ、「はじめに」からまいります。最初の段落で、監査法人・公認会計士が「資本市場のゲートキーパー」であるという役割を確認した上で、その後、公認会計士制度について2003年、2007年に法改正がなされておりますのでその御紹介を行っております。さらにその後、会計監査を巡る環境に大きな変化が生じているということを踏まえまして、監査基準の改訂などの取組みも進められているといったところを2ページにかけて御紹介をしております。
さらに2ページの中ほどからでございますけれども、本部会につながるものとして、会計監査における近時の環境変化を踏まえて、本年11月、「会計監査の在り方に関する懇談会」において論点整理がなされております。論点整理の概要もお示ししておりますけれども、特に公認会計士制度に関する問題提起としては、上場会社の監査に高い規律を求める制度的枠組みや、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直しなどについて検討の必要性が挙げられているというふうにされていたところでございます。
こうした議論を踏まえまして、論点整理に掲げられた内容のうち、公認会計士制度に関する事項を中心に検討を行ったというふうに書かせていただいております。
3ページにまいります。「会計監査の信頼性確保のための方策」ということで、ここから具体的な制度検討事項に入ってまいります。
1つ目は、「上場会社の監査を担う監査事務所の規律の在り方」ということでございます。こちらについては、中ほどにありますように、2007年より、日本公認会計士協会の自主規制として「上場会社監査事務所登録制度」が導入されているということでございますが、足もとの状況としまして、本文中、「こうした中で」とあるところ、1つ目、上場会社の事業活動のグローバル化や業務内容の複雑化・多様化が進み、それらに対応するための監査手続や品質管理体制にもより高い水準が求められているという認識でございます。
そして2番目に、上場会社の監査の担い手が大手監査法人から準大手監査法人や中小監査事務所に裾野が拡大しており、そうした中で監査の担い手全体の監査品質の一層の向上が急務となっているということでございます。
また、3点目に、先般改訂された監査に関する品質管理基準において、より充実した品質管理システムの整備・運用が求められるようになってきている等々、環境変化があります。これらを踏まえれば、上場会社の監査の担い手全体の監査品質確保のための制度的枠組みの整備は喫緊の課題と考えられるというふうに記してございます。
4ページの一番下ですけれども、「具体的には」ということで、自主規制としての「上場会社監査事務所登録制度」を運用してきた日本公認会計士協会の知見・ノウハウを最大限有効に活用できるよう、以下の制度枠組みとすることが適当であるということで、5ページから幾つか挙げられてございます。
第一に、上場会社等の財務書類についての監査証明業務を行う監査法人・公認会計士に、公認会計士法上、上場会社監査を行うことについての登録を求めるべきである。第二に、登録を受けようとする監査法人・公認会計士は、日本公認会計士協会に登録申請を行うこととし、日本公認会計士協会から上場会社監査を実施する者としての適格性の確認を受けることとすべきである。確認事項の具体的な内容については、例えば、登録申請者が業務停止処分中でないことや、監査法人の場合に一定の社員数を有することなどが挙げられる。この一定の社員数については、例えば現行の公認会計士法の監査法人制度に倣い、制度導入当初は公認会計士である社員を5人以上有することとしつつ、制度導入後における日本公認会計士協会による中小監査事務所への育成支援による体制整備の進展等を踏まえ、見直すことが考えられる。このため、日本公認会計士協会は、育成支援と併せ、それを踏まえた適格性に係る要件の見直しに向けて検討を行い、実行すべきである。
この点に関連して、現在、公認会計士個人の方についてですけれども、少数ではありますが、公認会計士個人が上場会社監査を行っている現状を踏まえると、直ちにこれを一律に制限することは必ずしも現実的とは考えられないとした上で、6ページにまいりますけれども、直ちに一律制限するのではなくて、まずは日本公認会計士協会においてスケジュールを明示した上で、中小監査事務所の育成支援の一環として、監査法人への移行に向けた取組みを進めるべきであるというふうに記してございます。
次に、6ページの中ほどから、第三に、登録を受けた監査法人・公認会計士には、上場会社監査に係る体制整備や情報開示等について、より高い規律付けを求めることとし、登録後に上場会社監査を公正・的確に実施する体制が整備されていないこと等が確認された場合には、日本公認会計士協会において、登録を取り消すことができることとすべきである。
この規律付けに当たっては、法令(ハードロー)とソフトローとを組み合わせることが適切としておりまして、6ページの一番下のほうですけれども、監査法人のガバナンス・コードの受入れ自体は上場会社監査を行う全ての監査事務所に求めることが考えられるとしてございます。
7ページにまいりまして、1つ目の段落の最後のほうですが、このコードについて、必要に応じて、その内容に改訂すべき点がないか検討されるべきであるとしてございます。
第四に、被監査者側である上場会社等について、金融商品取引法の規定により提出する財務計算に関する書類及び内部統制報告書の監査証明を、登録を受けた監査事務所から受けなければならないこととすべきであるとしてございます。
8ページにまいります。2つ目の「公認会計士・監査審査会によるモニタリング」でございますけれども、2つ目の段落、現行の公認会計士法上の規定でございますが、一般的な報告徴収や立入検査の権限を金融庁に付与した上で、当該権限のうち監査法人等の「業務の運営の状況」に関して行われるものを公認会計士・監査審査会に委任する立て付けとしている。このため、虚偽証明等に係る監査手続の検証など、「業務の運営の状況」以外についての調査・検査等は金融庁のみが行うこととされてございます。
中ほどの段落で、こうした中で、例えばですけれども、公認会計士・監査審査会が検査実施中の監査法人等に虚偽証明等の疑義が生じた場合であっても、金融庁が別途、虚偽証明等に関する調査を行う必要性が生ずるなど、効率的・効果的にモニタリングを実施する上での課題が指摘されているとしてございます。
一番下ですが、当局において効率的・効果的なモニタリングを実施できるよう、報告徴収や立入検査の権限の委任規定を見直すべきである。
9ページにまいりまして、具体的には、報告徴収や立入検査の権限のうち、監査法人等の業務の運営の状況に関して行われるもののみを公認会計士・監査審査会に委任するとの限定はなくし、その次の段落で、「これにより」ということですけれども、例えば、虚偽証明等の疑義がある監査法人等に対して公認会計士・監査審査会が立入検査を行う際、当該監査法人等の業務の運営の状況の検証を行うとともに、虚偽証明等の検証を併せて行うという運用が想定されるというふうにしているところでございます。
10ページにまいります。「公認会計士の能力発揮・能力向上に向けた環境整備」でございます。そのうちの、「1.能力発揮に向けた環境整備」の、「(1)監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限」でございます。
1つ目の段落で、監査法人の社員の配偶者が会社等の役員等である場合に、当該監査法人による監査証明業務の提供を制限する規定が設けられているということでございます。他方、中ほどの段落ですが、近年、共働き世帯の増加や監査法人の大規模化も相まって、実際に、配偶者が会社等の役員等であることを理由として、監査法人の社員への登用を見合わせた事例が出てきているとの指摘があり、こうした事例は、今後、監査の分野における女性活躍の進展や上場会社の女性役員比率の高まりに伴い、さらに増大することも見込まれる。
この点につきましては、当該被監査会社等の監査証明業務に直接従事する場合、あるいは何らかの影響を与えるような立場にない限り、監査法人の独立性に及ぼす影響は限定的であると考えられる。また、諸外国においても一律に業務制限の対象とすることはなされていないということで、11ページの最後ですが、これらを踏まえ、監査法人の社員の配偶者が会社等の役員等である場合に当該監査法人の監査証明業務が制限されることとなる社員の範囲を、現行の全ての社員から、当該会社等の財務書類について当該監査法人が行う監査証明業務に関与する社員等に限ることとすべきであるとしてございます。
次に、12ページにまいりまして、「(2)組織内会計士向けの指導・支援を広げるための方策」でございます。現行の公認会計士法における公認会計士名簿への登録事項というのは、監査法人での勤務又は事務所の開業等を念頭においた規定となってございまして、他方で近年、組織内会計士、いわゆる企業等でお勤めの公認会計士の方々が増加傾向にあるということで、こうした公認会計士の方々が登録に際して、便宜的に自宅等を個人事務所として登録する例が多いと指摘されているということでございます。日本公認会計士協会において、こうした組織内会計士に対して、指導・支援の充実に向けた環境整備の一環として、組織内会計士の場合における公認会計士名簿への登録事項に、監査事務所以外の勤務先を追加することが適切であるとしてございます。
13ページにまいります。「2.能力向上に向けた環境整備」の、「(1)実務経験期間の見直し」でございます。現行、公認会計士法上、公認会計士となる資格を得るためには、公認会計士試験への合格及び実務補習の修了のほか、2年以上の実務経験(業務補助・実務従事)を有することが求められてございます。こうした実務経験の期間につきましては、中ほどですけれども、監査の現場で運用・適用できる能力を養う観点から、実務経験を通じて学ぶ知見の重要性が高まっているという指摘がございます。また、国際的に見ますと、国際教育基準では、3年の実務経験を求めることを例示しており、欧州の各国では3年以上の実務経験要件が設けられております。これらを踏まえ、公認会計士の資格要件である実務経験の期間について、現行の「2年以上」を「3年以上」と見直すこととすべきであるということでございます。
14ページにまいります。「(2)継続的専門研修の確実な受講を通じた公認会計士の能力向上」ということでございますけれども、公認会計士法上、公認会計士は知識の習得や自己研鑽の機会として継続的専門研修を受けるということが求められてございます。しかしながら、近年、不適正な受講に加えて、受講単位数が不足したまま改善が認められなかったという事例も確認されてございます。
こうした事例のうち、懲戒処分によっても、なお受講単位数が不足したまま改善されないケースに備え、公認会計士の登録抹消も含む厳格な対応方策を準備することが適切と考えられる。
具体的には、継続的専門研修の受講状況が著しく不適当な公認会計士については、資格審査会の議決に基づき、登録を抹消することができることとすべきであるとしてございます。
それから15ページにまいりまして、最後の段落ですけれども、加えまして、虚偽の申請等に基づいて登録を受けた場合や、2年以上継続して所在が不明である場合についても資格審査会の議決に基づき、登録を抹消することができることとすべきであるというふうにしてございます。
16ページにまいります。「(3)会計に関する教育・啓発活動」ということでございます。会計に関するリテラシーは、生活・ビジネスで有用な素養となっているということで、社会における会計リテラシーの定着と会計の有用性に関する認識向上を図ることは、将来的に能力ある公認会計士の裾野を広げることにつながるとともに、資本市場の信頼維持にも資するものと考えられるということでございます。
会計に関する教育・啓発活動の推進というのは、日本公認会計士協会によってなされているところでありますが、公認会計士法上の位置付けというのは規定されておらず、自主的な取組みとなっているというところでございます。一方で、金融や租税に関する教育・啓発活動については、金融商品取引法や税理士法において一定の位置付けが規定されているということでございます。
会計に関する教育・啓発活動の重要性に鑑み、これに対する日本公認会計士協会の役割・位置付けを明らかにする観点から、日本公認会計士協会の会則において、会計に関する教育その他知識の普及・啓発のための活動に関する事項の記載を求めることとし、日本公認会計士協会に対して、会計教育の一層の推進を求めていくべきであるというふうにしてございます。
17ページ、「その他」でございます。こちらは、中長期的な課題に関する問題提起があり、これらについてできるだけ早期に検討を開始することが期待されるとの指摘があったということで、以下3点、記させていただいてございます。1つ目、現行制度は5人以上の公認会計士により設立される監査法人を一様に規律しているが、一部の監査法人の大規模化に伴い、監査法人の運営実態が極めて多様になる中、制度が実態を十分反映したものとなっていないのではないか。中長期的にはサステナビリティ情報に関する保証業務のニーズが高まることが想定される中で、監査法人の形態や監査法人の業務範囲の在り方についても早期に検討が必要ではないか。2つ目、公認会計士としての能力開発について、実務補習や継続的専門研修とともに、公認会計士試験制度も含めた一体的な検討が必要ではないか。3つ目、大学在学中の者で公認会計士試験に合格する者が多数存在する。こうした者の実務補習の受講や業務補助等への従事について、学業との両立に課題があるのではないかということでございます。
最後18ページ、19ページは「おわりに」ということで、この報告(案)をまとめる形で、2つ目の段落では、上場会社監査の話で、上場会社等の監査の担い手全体の監査の質の一層の向上を図ることが急務であるということで、先般、監査に関する品質管理基準の改訂が行われたが、この改訂の実施と歩調を合わせて、上場会社監査を行う監査事務所への規律付けを進めていくことが望ましいとしております。
また、2つ目の点については、社会における働き方に変化が見られる中で、公認会計士の一層の能力発揮に向けた環境整備に早急に取り組む必要があるとして、その上で、下のほうですが、今後、本報告を踏まえ、金融庁等関係者において、公認会計士制度の早期見直し、その円滑な施行、実効的な運用等の取組みが進められることを期待したいとしてございます。
また、公認会計士制度部会では、制度面を中心に検討を行ってきたということでございますけれども、それ以外、例えば中小監査事務所におけるデジタル対応や人的基盤整備の支援といった取組み、それから、継続的専門研修等の能力開発に十分取り組むことができるような監査事務所の環境整備など、制度以外の取組みの重要性についても多くの指摘があったとしてございます。
最後の段落ですけれども、公認会計士制度部会としては、こうした制度面以外の対応も含め、会計監査の信頼性確保や公認会計士の能力発揮・能力向上に向けた取組みの進捗を点検し、必要に応じ、検討を進めていくという形で示させていただいてございます。
私からは以上です。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方から御質問、御意見をお出しいただきたいと思います。御発言いただける方は、ウェブ会議システムのチャット機能を利用して、全員宛てに発言希望などと書いていただければと思います。私のほうで拝見して、御指名をさせていただきます。そうしましたら、お名前を名乗ってから御発言いただければと思います。御発言の際には、ミュートをオフにして御発言いただき、御発言が終わりましたら、恐縮ですけれども、またミュートをオンに戻していただければと思います。
今、チャットをいただきました手塚委員、どうぞお願いいたします。
〇手塚専門委員
ありがとうございます。日本公認会計士協会の手塚です。
神田部会長、そして委員の皆さんには、公認会計士制度の充実に向けた真摯な御議論をいただき、ありがとうございます。皆様が監査や公認会計士制度に対して、理解に基づく示唆に富んだ御意見を多く出していただいたことに感謝しております。事務局にも、短期間での報告(案)の取りまとめ、お疲れさまでした。
当協会は、この部会の議論の結果を踏まえて、中小監査事務所の経営基盤強化や上場会社監査事務所登録制度の実効性の向上に向けて、必要な施策を講じてまいりたいと思います。
ただ一方で、中小監査事務所や個人事務所に関する議論については、前回申し上げたとおり、新規参入を排除したり、現在登録されている事務所に退場を強制したりするようなものにならないように、丁寧に事を進めるべきだというふうに考えていますので、その点について、まず文案について、私どもの考え方をお話し申し上げます。
御説明いただいた5ページでございますが、「確認事項の具体的な内容については」という段落があります。ここで、「このため、日本公認会計士協会は、育成支援策と合わせ、それを踏まえた適格性に係る要件の見直しに向けた検討を行い、実行すべきである」という一節がありますが、この一節はその前の部分の文脈を踏まえると、日本公認会計士協会が社員数の見直しに向けた検討を行い、実行すべきであるというふうに読まれる可能性があります。
当協会は、社員数が監査法人の経営基盤の充実を図る際の1つの重要な要素だと考えておりますが、前回御説明したとおりそれにとどまらず、総合的に経営基盤強化を図るべきだという考えです。また、重ねて申し上げますと、新規参入を排除したり、現在登録されている事務所に退場を強制したりするような制限を行うべきではないという考えも変わりません。したがって、社員の総数の変更に当たっては、今後の中小監査法人の実態の変化を踏まえて慎重に議論を進めるべきだと思っています。したがって、日本公認会計士協会が社員数の見直しに向けた検討を行い、実行すべきであるというこの文案については、当協会の考えを反映していないと考えておりますので、修正を御検討いただきたいと思います。
具体的には、「制度導入後における日本公認会計士協会による中小規模監査事務所への育成支援による体制整備の進展等を踏まえ、見直すことが考えられる」という一節について、「見直しの要否を改めて検討することが考えられる」というふうに修正することを御検討いただきたいと思います。
また、個人事務所の件についても、前回申し上げたとおり、個人事務所がその責任を果たすのかどうかということを慎重に見極めるべきだと考えています。この観点からは、6ページの「日本公認会計士協会において、スケジュールを明示した上で、中小監査事務所の育成支援の一環として、監査法人への移行に向けた取組みを進めるべきである」という一節に関連して、スケジュールを明示してという、現在登録されている事務所に退場あるいは監査法人へ移行を強制することを示唆するような表現は避けていただきたいと考えています。したがって、「スケジュールを明示した上で」という表現については削除することを御検討いただきたいと思います。
これは決して、私たちが現状維持を望んでいるということを申し上げているのではなく、上場会社監査事務所の登録制度については、我々に対して制度の詳細の設計と運用についてお任せいただけるということを前提として法定化に賛成をしています。この前提については、6ページや7ページにおいて配慮する記載をしていただいたので、それを踏まえて我々として中小監査事務所に対しての支援策の充実と、登録制度の改善をより一層進めてまいります。その趣旨から、5ページの「実行すべきである」ということについては、我々から実行するという意思表示をして金融庁に書き換えていただいたところです。
またもう一つ、公認会計士・監査審査会のモニタリングでございます。公認会計士・監査審査会のモニタリングについては、あくまで粉飾決算等の企業の不正の兆候が認められた際に、監査上の虚偽証明の疑いがある場合の調査権限を公認会計士・監査審査会に委任する趣旨であると理解しています。これについては、業務の運営の状況の調査と厳格に区別して運用される必要があると考えております。したがって、法律改正がなされた場合においても、業務の運営の状況の調査の手法や内容に影響を与えるものではないことを確認したいので、これについては当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
私からは、一旦以上でございます。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。最後は御質問だったかと思いますけれども、どういたしましょうか。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。
公認会計士・監査審査会の検査と、それから金融庁の調査手法の話をおっしゃられていたと思いますので、ここでは文面上、手法のことは何ら触れておりませんし、今回御議論をいただいた中で出てきた御意見でも、手法の話については触れられたものではなかったかと考えております。あくまでも御議論をいただき、かつ案としてお示しをさせていただいているものというのは、金融庁から公認会計士・監査審査会についての委任関係について、効率的・効果的なモニタリングを実施する上で現状課題であるということですので、あくまでも制度的なところで委任関係を整理するということまでを御議論いただいた上で取りまとめている、それを案としてお示ししているというつもりでございます。
〇神田部会長
ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
〇手塚専門委員
私が知りたかったことに対する直接のお答えにはなっていないように思いますが、制度としては、虚偽証明に関しての疑いがあるとき等の調査だと思いますので、通常の業務の運営の状況の調査とは別物であると理解をしています。そうであるならば、私としてはそれで結構だと思います。
〇神田部会長
ありがとうございます。
それでは、先に進ませていただきます。弥永委員、井口委員、石原委員の順になるかと思います。弥永委員、どうぞお願いいたします。
〇弥永臨時委員
ありがとうございます。まず、事務局におかれましては、この部会における議論を反映された報告(案)を取りまとめていただきましたことにつき、心より敬意を表したいと思います。
今回の報告(案)では、日本公認会計士協会に期待する役割というのが今まで以上に増えたという印象を持っておりますので、主として日本公認会計士協会、そして金融庁に2点ほどお願いを申し上げさせていただきたいと思います。
第1点は、この報告(案)に書き込んでいただいていますけれども、監査法人と個人の会計事務所との間で監査の質に差が出ないような方策、より正確に申しますと、質に差があるのではないかと社会的に見られるようなことがないように方策を講じていただければと思っております。
また、5ページとの関係ですけれども、手塚委員もおっしゃっていましたように、品質が確保された監査に必要な人数というのは、恐らく被監査会社の規模、タイプ、あるいは監査人の能力によって異なると思われますので、したがって、5人というのは絶対的な数字ではあり得ないのではないかと思います。監査法人を設立するために社員5人が必要なので、実際には規制強化することにはならないわけですけれども、ちょっと気になりますのは、かつて商法では発起人が7人以上必要だということで、いわば名目的な発起人、藁人形を使っていたということはよく知られていた事実ですし、さらに名目的取締役という議論もあるわけでして、したがって上場会社の監査事務所の品質を確保するという観点からすると、社員の人数という数字的なものではなく、本当に5人なりそれ以上の人数が監査法人の運営、監査法人による監査に関与しているのか。つまり、ほかにいろいろな仕事に携わっていて、名前だけ社員である方がいらっしゃるということは十分生じることなので、この点については、やはり御配慮いただいたほうがいいのではないかと思っております。これは日本公認会計士協会の手塚委員からはちょっと疑問が呈されているわけですが、仮に将来、一定数以上の社員数を要求するということになりますと、現在の公認会計士法の下では監査法人の合併というのは非常に難しい状況にございますので、そちらのほうも併せて見直す必要が出てくるのではないかというような印象を受けております。
第2点は非常に小さい点でございますけれども、15ページで書いていただいている、所在が不明な場合の登録抹消、これは非常に意味があると思っておりまして、心から賛成しているのです。けれども、実際には所在は分かるけれども、居留守を使われたり、日本公認会計士協会が一生懸命連絡しようとしても全く連絡できなかったりという状況というのは当然想定できるわけでして、このような場合に適切な対処ができることが、いわゆる日本公認会計士協会にとって与えられた権限を行使する、権限というよりは与えられた任務を遂行するために必要なのではないかと思われますので、そのあたりについてぜひ御配慮、御検討いただければと思います。
〇神田部会長
弥永委員、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、井口委員、どうぞお願いいたします。
〇井口臨時委員
ありがとうございます。まず、事務局には多様な意見をまとめていただき、ありがとうございました。
報告(案)の記載事項につきましては賛同いたしますが、賛同した上で投資家の視点で、主に上場企業監査のポイントについて幾つかコメントをさせていただきたいと思っております。5ページの一定の社員数につきましては、上場企業監査に求められる組織的な監査の充実の必要ということを考えますと、報告(案)にありますとおり、体制整備を踏まえた上で見直す方向性に賛同したく思いますし、その下の公認会計士個人のところにつきましても、監査法人への移行に向けた取組みを支援することが妥当ではないかと思っております。また、このような体制整備をした上で、報告(案)の6ページあたりにあります、上場企業監査において監査法人のガバナンス・コードの適用を要件とするということにも大いに賛同したく思っております。
ただ一方、その後の文章にあります監査法人の規模等に応じた規律となるよう改訂を検討するというところにつきましては、より実効的な適用になるということで、変更を検討するという趣旨は理解いたしますが、現状に合わせるため、ベストプラクティスとしてのコードの目線や目指す水準を大きく引き下げるということには、慎重に対応する必要があるのではないかと思っております。
例えば、中小監査法人において、大きな課題となるのは、コードの脚注18にも載っておりますが、コードの指針の3と思っておりますが、こういった第三者の目を入れる仕組みは、監査法人のみならず、企業を含め、どのような組織においても重要でありまして、特に公共性の高い監査法人においては欠かせないと思いますので、その考え方は堅持した上で、あるいは維持した上で、実効的な改訂になるということを希望しております。
あと、これも前回申し上げましたが、現状の中小監査法人のコードの適用状況や開示状況を考えますと、コードを適用するというだけでは十分ではなくて、コードの適用を通じた品質管理の向上と情報開示の改善のサイクルの構築も併せてやる必要があると思っております。ちょうど報告(案)の脚注17にありますように、日本公認会計士協会の品質管理レビュー等を通じた指導というのが最も効果的ではないかというふうに考えておりますが、監査役会等によるモニタリングも有効ではないかと考えております。
最近、ある上場企業の有価証券報告書を見ていましたところ、監査の状況の会計監査人の評価のところで、監査法人のガバナンス・コードに全て適応していることから、会計監査人の再任を決定したという趣旨の開示がありました。このように、監査役会が監査法人のガバナンス・コードを利用して品質管理の改善のサイクルを主体的に回していく。また、こういったことを通じ、資本市場による監査品質の認知を受けるということは、自社の企業価値を高めるということにつながりますので、監査役会が監査法人のガバナンス・コードの開示内容の充実を監査法人に促すような仕組みづくりも併せて必要ではないかというふうに思っております。
このようなベストプラクティスも出てきておりますので、少し先の話になるかもしれませんが、ぜひ次回のコーポレートガバナンス・コードの改訂におきましては、監査役会の責務の中に、このような事項を織り込んでいただくということも御検討いただければと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、石原委員、どうぞお願いいたします。
〇石原臨時委員
日本製鉄の石原です。皆さん同様、このような形で取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。会計監査の在り方に関する懇談会も含めて、こういった方向性について、全体として異論はないところであります。その上で、記載の文章に関して1点と、先ほど手塚委員からあったお話について申し上げたいと思います。
まず、私自身が全体の中で少し違和感を持っておりますのは、本題ではないのですが、17ページの「その他」、最初の項目の4行目で、「中長期的には、サステナビリティ情報に関する保証業務のニーズが高まることが想定される中で、監査法人の形態や監査法人の業務範囲の在り方についても早期検討が必要ではないか」という記載です。これは誤解を生む表現だと思っております。これをそのまま自然に読んでしまうと、サステナビリティ情報に関しては保証していく必要があり、それについては監査法人が対応するというように単純に読めてしまいますが、実際この点に関しては、そもそもサステナビリティ情報の基準そのものの議論がこれからであり、どういう基準になるのかということがあって初めてどういう保証が可能なのか、保証をそもそもやる必要があるのかどうかも、基準とその適用次第ですし、時間をかけて積み重ねていく中で、保証の必要性は議論されるべきと考えております。
それから、仮に保証が必要になったとしても、その業務が監査法人の知見、育成、教育といったことも踏まえて、監査法人が相応しいのかどうかということについても全くこれからの話ということだと思います。そもそも本質的な問題は、監査法人の形態、監査法人の業務範囲に関して、従来から保証業務というのは一体どういうことなのか、どこまでがその対象スコープになってくるのかという論点もあるわけなので、少なくともサステナビリティ情報に紐づけたような記載は、誤解を招かないように削除していただいて、業務範囲の在り方について早期に検討が必要ではないのかといった記載にして頂きたく、対応をお願いしたいと思います。
それから、2点目につきましては手塚委員からお話しがあったことに関してです。前回の部会は、意見書だけで欠席してしまい大変申し訳ありませんでしたが、まず私自身の個人的な意見としては、やはり5人の監査事務所や公認会計士個人では上場会社の監査は厳しいのではないのかと思っております。したがって、当然体制整備等の進展等を踏まえてということで、一定の時間軸の中で徐々に改善していくということについては異論ありませんが、その要否を含めてとか、スケジュールは決めないといったようなことではなくて、やはり本件については、日本公認会計士協会として責任を持って、しっかりと進めていくということが、少なくとも今回の一連の議論における、各委員の皆さんの、どちらかといえばそれが全体としての御意見だったと認識しておりますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと強く願うところであります。したがって、ワーディングの変更は必要ないと私は考えております。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、チャットの順番ですと、神作委員、玉井委員、原田委員の順になると思います。神作委員、どうぞお願いいたします。
〇神作委員
神作でございます。御指名ありがとうございます。
私も、報告(案)に基本的に賛成いたします。その上で、監査法人のガバナンス・コードについて御意見と、それから、1つ御質問を申し上げたいと思います。
ハードローとソフトローを組み合わせるという観点から、上場会社監査事務所登録を受けた監査事務所に対して、監査法人のガバナンス・コードの受入れを求め、充実した情報開示を求めるということは、私は誠に適切であると思います。しかし、そういたしますと、やはり監査法人のガバナンス・コードの内容と実効性の確保というのが非常に重要な課題になると考えられます。
そのような観点から少し気になっておりますのは、報告(案)の6ページの終わりから7ページにかけて、現行のコードが大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員からなる大手監査法人における組織的な姿を念頭に策定されているということに留意し、改訂すべき点がないかを検討すべきであるとして、論点整理を引用しているところでございます。論点整理については、注がされております。
この報告(案)では、準大手監査法人とか中小監査法人における上場会社監査の品質確保にも資するコードになるような、そういった方向で見直しをするということが記載されております。冒頭の青さんの御指摘や、先ほどの井口委員の御発言とも関連する点があろうかと思いますけれども、準大手監査法人ですとか中小監査法人を視野に入れたコードの見直しが、上場会社監査を行う監査法人のベストプラクティスを緩和すると申しますか、負の影響を与えたり、監査法人のガバナンス・コードは不断の見直しが必要かと思いますけれども、不断の見直しの中でさらにベストプラクティスを向上させていくといったときに、足を引っ張ったりするようなことになると、それは望ましくないと思われます。
そこで御質問なのですけれども、監査法人のガバナンス・コードの見直しにおいては、1つのベストプラクティスということが想定されているのか、あるいは準大手監査法人や中小監査法人の受入れをにらんだ、ある意味でグラデーションのあるようなプリンシプルを提示することが想定されているのでしょうか。監査法人のガバナンス・コードの見直しの方向性について、もし一定の定まった方向性のようなものがございましたら、御教示をいただきたいと思います。
以上、意見と、最後に御質問を申し上げました。どうもありがとうございました。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。ありがとうございます。
現時点で定まった方向性というのが金融庁側であるわけではございませんが、今回の報告(案)でもそうですし、また、脚注18でも書かせていただいておりますけれども、監査法人のガバナンス・コードに改訂すべき点がないかの検討というのは、会計監査の在り方に関する懇談会の論点整理でも御指摘をいただいた点であるところでございます。また、今神作委員からもおっしゃっていただいたように、ある程度、準大手監査法人、中小監査法人について考えたときに、例えば、現時点でやっていらっしゃる中小監査事務所で、例えば監督評価機関についてのところは割とエクスプレインになっていることが多いのですけれども、そういったことがあるということは認識しつつ、一方で神作委員がおっしゃられたように、ベストプラクティスに負の影響を与えることがないようにという視点というのは一方で大事な論点かというふうに考えているところでございます。
そうした点も踏まえまして、今後これは金融庁のほうで、監査法人のガバナンス・コードの改善すべき点がないかについての検討を行うのですけれども、その際に、よく関係の方々の御意見を聞きながら、しっかりと考えていきたいというふうに考えてございます。
〇神作委員
どうもありがとうございました。
〇古澤企画市場局長
今の企業開示課長の発言に補足させていただきますと、まさにこの論点整理でも出てきたと思うのですけれども、監査法人のガバナンス・コードで必要な規律、求められる規律の種類というのは、やはり本当に規模の大きいところであれば、例えば監査業務と非監査業務との関係の利益相反の問題であったり、第三者の関与といった問題であったり、やはり規模に応じて出てくる問題というのは違うということだと思いますので、どういうふうな形になるかはともかく、何らかの形でやはり神作委員がおっしゃるようなグラデーションのあるような規律にして、要は規模に応じたベストプラクティスが薄まることのないような枠組みというのを考えていくということなのだと思っています。そういう意味では、幅広く検討を進めたいと思っております。
〇神作委員
どうもありがとうございました。
〇神田部会長
ありがとうございました。
それでは、次に、玉井委員、どうぞお願いいたします。
〇玉井専門委員
ありがとうございます。様々な意見をうまく取りまとめて報告(案)の形にしていただきましてありがとうございます。私も概ね報告(案)の内容には賛成でございます。2点ほどコメントを伝えさせていただきます。
1つ目は、上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けに関することで、登録事務所の適格性の要件のところ、規模の観点ですけれども、中小監査事務所を含んだ上場会社監査の担い手全体の監査品質の一層の向上が急務であるという点を確認されたことに、非常に意義があると思っています。まさに急務であるという御指摘が、この報告(案)の中にも二度出てきていると思います。この監査品質の向上に向けて、適格性の要件については、本来的には、やはり人数の点については5名より多い社員数を求めるような形で、一定の規模の確保を要請すべきであると考えています。理由は、既にお伝えしているので繰り返しません。この点に関しては、先ほど石原委員からも同様の御意見があったところかと思います。
これに関しまして、中小監査法人について、まずは現行法上のミニマムの5人からスタートして、日本公認会計士協会の育成支援による体制整備、その進展等を踏まえての見直しもあり得るべしという方向性には一応触れられてはいるのですけれども、時期的な目途については言及されておりません。ここは一定の猶予期間といいますか、あるいは期限の目途のようなものを示すことで、そこに向けて日本公認会計士協会の支援や体制の整備というのがより時間的に促進される、あるいは着実な達成につながりやすくなるという効果もあると思いますので、これについては何らかのスケジュールについての考え方の記載があったほうがいいのではないかと感じているところです。
ちょっと似て非なる問題ではあるのですけれども、公認会計士個人によります上場会社監査については、適切な対応を行うこともやはり急務とされている点に関して、これは6ページ目かと思いますが、スケジュールを明示した上で監査法人への移行に向けた取組みを進めるというふうにあります。これと同様に重要な観点だと思いますので、ここの問題については、一定の時期的な目途、何らかの形で言及することも御検討いただければと思います。最終的に言及のない形で報告(案)が取りまとめられる場合であっても、今後の取組みに際しては、ぜひタイミングの問題意識についても念頭に置いていただけると幸いです。それが1点目です。
もう一つは、実務経験の期間の見直しです。2年を3年とする点については、グローバルな動向にも沿っているということですし、これについては異存ございません。その代わり、例えば大学の3年次に合格した場合、現在は実務補習は3年、実務経験は2年ということで、いずれにしろ実務補習の期間がありますので、大学を卒業してから実務経験をするということで支障はなかったのかなと思うのですが、今後いずれについても3年ということになりますと、大学の4年次から実務経験をスタートするといったようなことが起こり得るのかなと推察します。
脚注33に挙げられているとおり、在学中に合格する者にとっての実務経験の意義というのを触れられているところではありますけれども、やはり早くに資格を得たいということで、4年次から実務経験をスタートすると、学業の両立という観点でちょっと心配な感じもいたします。やはり学生は学業が本業なので、ここは実際の対応としては各監査法人へお願いということになるのかもしれないですけれども、学業の両立について十分配慮いただく必要があるかなと思っています。
この点、中長期的な課題ということで、実務補習の受講と実務経験について、報告(案)の最後の17ページに問題提起されていますけれども、恐らく制度変更しますとすぐに問題になり得る点かと思いますので、報告(案)自体のドラフトの修正ということではないですけれども、一応コメントとしてお伝えさせていただきたいと思います。
以上になります。どうもありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、原田委員、どうぞお願いいたします。
〇原田委員
ありがとうございます。まず、事務局の皆さんには、取りまとめをしてくださりありがとうございます。私も、ここまで御発言なさった委員の方々と同様、報告(案)については、全体として異論はございませんので、報告(案)には賛同いたします。
少々コメントを申し上げますと、今回の議論の根本にある課題の1つといいますのが、監査法人の運営の実態が極めて多様になっていること。制度が実態を十分に反映したものになっていないのではないかというところからの検討課題というのが幾つもあるように感じております。報告(案)本文の冒頭にも書いていただいていますし、今日は会議の冒頭、青さん、井口委員などがおっしゃったように、高い監査品質の確保が求められているということについて、なお課題といいますか、重要な1つの論点でありまして、それで財務報告の信頼性の確保が不可欠であるということで、本来であれば中小監査法人の監査でも安心できるかどうかというところ、これは正しくといいますか、最適なのは投資家、あるいは市場がそれを判断できれば一番いいのですけれども、現実には難しいということで、中小監査法人でも質の高い監査をしてもらえるようにということで、5ページの下のほうに書いていただいているように育成を支援する、IT面での支援をするということが重要になっていると書いていただいているところ、まさしくそのとおりであると思います。
それで、脚注に何度も書かれていますモニタリングレポートを拝見しました。モニタリングレポートでは、監査人の異動の件数の統計などが出ておりまして、近年200件以上となっております。理由というのも書いてありまして、合併したからというところは直近ではわずか2件になります。大手監査法人から準大手監査法人、大手監査法人から中小監査法人への異動というのが極めて件数としては大きいという現状があります。その理由というのが、大手監査法人あるいは中小監査法人の監査報酬の値下げといいますか、そういう競争的な側面にあるということも1つあるのかなと思います。
そうすると、今後恐らく検討することとしては、監査報酬の水準と監査品質の確保、このバランスがどうなっているかというところも、もしかすると今後の検討課題に上がってくるのかなと思っております。そして、恐らくですが、今後検討していただくこととしては、諸外国にならってということであれば、1つのクライアントからの収入が大きな割合を占める場合に、一定の基準を設けることではないか。1つの上場会社からの収入が監査法人で非常に大きな割合を占めてはいけないというルールを導入するということであれば、今回の議論の1つになっている規模の問題というのは、またそこでも議論になるものではないかと思います。
そうしますと、やはり規模の問題、監査法人の形態ですとか、監査法人の業務範囲の在り方の検討というのは、ここの報告(案)に書いていただいているような形で今回まとめていただいて、その後、また別の観点からのルールの導入を議論するといったような、そういう方向性が重要なのではないかと思いました。市場参加者はグローバルな投資家ですので、彼らのニーズを汲むということであれば、現行制度の見直しということで人数の基準について、この報告(案)のとおりに進めていただくというのが正しいといいますか、あるべき方向としてはよりよいものになるのではないかと感じました。
以上になります。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、チャットの順番ですと、小倉委員、それから日証協の森本副会長、そして佐藤委員の順になると思います。小倉委員、どうぞお願いいたします。
〇小倉専門委員
日本公認会計士協会の小倉でございます。このたびは公認会計士制度について御議論いただきまして、大変ありがとうございました。
会計監査の在り方に関する懇談会には監査法人の立場で参加をしまして、監査法人の大規模化の現状と公認会計士法の規定の間で不都合が生じている点について主張をさせていただきました。その中で、配偶関係の業務制限については、公認会計士制度部会で御議論いただき、この報告(案)でも見直しに向けた形で取りまとめいただいたことに感謝を申し上げます。
他方、私は日本公認会計士協会で監査に関する実務指針や倫理規則の策定を所管しております。特に倫理規則においては、報告(案)に記載いただいているように非保証業務の監査先への提供の制限や、監査報酬の依存度に関する業務制限など、国際基準として確定した規則をまずは自主規制として導入すべく、各種の対応を行っております。自主規制による監査事務所の業務の制限は法的な裏づけがなく、また、会員のコンセンサスが必要であるという点で、導入は容易ではないところもございます。しかし、今回の報告(案)において、自律機能に期待を寄せられておりますので、高い倫理観を有する専門家集団として、適切に対応していきたいと考えております。
なお、今回は上場会社の監査事務所について御議論をいただきましたけれども、ちょうどこの12月に国際倫理基準審議会では、新しい規制として、預金受入金融機関や保険会社にも上場会社と同様の、先ほど御説明したような独立性を求める規則を確定させております。今後も日本公認会計士協会では、監査に関する品質管理基準や、品質管理レビューの前提となる会員が遵守する規則について、何よりもまずステークホルダーの意見を踏まえて、適時適切に導入していくように対応してまいりたいと考えております。そうしたことが、我が国金融市場の信頼性確保につながるものであると考えております。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、オブザーバーとして御参加の日本証券業協会の森本副会長、どうぞお願いいたします。
〇日本証券業協会
オブザーバーですが、日本証券業協会副会長の森本です。私は、証券市場の立場から、上場会社の監査の部分について、全般的な意見を申し上げたいと思います。なお、この報告(案)は大変よく書けていて、報告(案)そのものについては賛成でございます。
まず、現状認識ですが、現在、資本市場で求められる会計監査の水準というのは、やはりグローバルにも非常に高いものが求められるようになってきていると思います。近年、会計不祥事がかなり相次いでおりますし、そうした中で、大手監査法人はかなり今まで以上にリソースをかけてきっちり監査しなければいけないという状況になっておりまして、そうした状況で、日本は上場企業の数も非常に多く、それでスモールキャップという時価総額の小さな上場企業もたくさんありまして、そうしたところが大手監査法人には依頼できなくて、中小監査法人にシフトするという現象が起こっているわけですが、そうした上場企業の財務報告や会計監査の水準を、大手監査法人から監査を受けたときの水準を維持するだけでも大変だと思いますし、世界的に求められている高い品質に持っていくというのは容易でないと考えています。
そういうことで監査品質の向上が急務という認識が示されているわけですが、その方策として、日本公認会計士協会の自主規制である上場会社監査事務所登録制度、これに法的根拠を与えているということに私は賛成ですし、日本公認会計士協会も自主規制でやるのがいいと言っておられるわけです。ただ、それだけで今申し上げた、かなり難しい課題を達成できるのかというと、正直言って疑問なところがあるわけです。
それで何がほかに必要なのかといいますと、まず上場企業側の意識をちょっと変えてもらう必要もあるのではないか。それで現在、大手監査法人の監査報酬は高過ぎて払えないからといって中小監査法人受嘱してもらうというのを、やはりもっと財務報告を重視するというか、資本市場のスタンダードで求められているものは、やっぱりコストがかかっても達成していくのだといった意識をもうちょっと高めてもらう必要が1つあると思います。
それから、中小監査法人も、具体的な議論は専門の方がおっしゃるとおりだと思うのですが、資本市場に求められている水準に達するためには、やはり抜本的に体制を強化するという意識をもっと強くしていただかないといけないと思います。日本は上場企業が多くて、外国では上場企業というのは、大手監査法人がやっている比率が日本より高いわけです。ですから、そういうことからしても、ある程度中小監査法人の意識を変えて、体制の強化に抜本的に取り組んでいただくという、そういう環境整備が、やはりこの報告(案)に書いてあることの実行とともに必要ではないかというふうに考えます。そのためには、やはり金融庁や証券取引所がそうした環境が整うように、政策的に取り組んでいただくといったことが重要と考える次第です。
以上、要望ですが、意見として申し上げました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、佐藤委員、どうぞお願いいたします。
〇佐藤専門委員
ありがとうございます。ほかの皆さんもおっしゃっていましたように、短時間でこの部会における議論の中身を報告(案)のほうに組み込んでいただきました事務局には感謝申し上げます。これも皆さんと同じように、報告(案)については賛同いたします。
その中で意見を申し上げたいのが、1番は、上場会社の監査を担う監査事務所への規律という点でございます。まず規律付けにつきましては3点挙げていらっしゃいまして、ベースとしましては、日本公認会計士協会における自主規制を踏まえ、規律付けの根拠として法律を改正するといった枠組みであったかと思います。そういう意味では、やはり市場規制であったり、日本公認会計士協会によるサポートであったりが重要であると考えるわけでございます。
特に私がこのサポートについてコミットメントを日本公認会計士協会にしていただきたい点は2点ありまして、1点目は、情報開示でございます。規律付けについて、監査事務所の情報開示を主に自主的に開示してもらうということになったわけで、それから脚注のほうにも、例えばということで、項目が挙がっております。ただ、項目だけを挙げて、それに沿って箇条書きに書いているだけでは、規律に向けた取組みというのは伝わってこないと感じます。したがいまして、この項目を例示するだけではなくて、ロジカルに、またストーリー性を持って情報開示できるように、ぜひ日本公認会計士協会のほうにはサポートをお願いしたいと考えます。
2点目は、一定の社員数確保についてのスケジュールの明示についてでございます。監査法人への移行に向けた取組みを進めるべきということで、対象は絞っておりますけれども、これに限らず、一定程度実施に向けたスケジュールを明示されるとコミットメントの強さというのも打ち出すことができますので、石原委員と玉井委員もおっしゃっておりましたけれども、言いぶりというのはまた何かあるのかもしれませんが、趣旨としては、これは残したほうがいいと考えます。
次に、公認会計士・監査審査会のモニタリングのところですが、公認会計士・監査審査会によるモニタリングについては、かなり広範にわたっておりますので、一般的にはなかなか具体性というのが伝わりにくいというところも一部あるかと思います。今回の趣旨につきましても、実例が出ていないのでちょっと伝わりにくいかなという印象がございます。ですので、報告(案)につけなくても、この改訂といいますか取組みを説明するときに、どうしてこういうことが必要なのか、私が公認会計士・監査審査会に参加している経験においても、やはり中小監査事務所を中心とした監査事務所のいわゆる虚偽証明に関わる事例というのは、極めてマテリアリティーの高いものが多いと思いますので、そういう問題の重要性というものをぜひ説明するに当たってお示しいただければ、こういった対応の妥当性というのも伝わるのではないかなと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、協会の柳澤委員、どうぞお願いいたします。
〇柳澤専門委員
日本公認会計士協会の副会長の柳澤でございます。私は、長年中小監査事務所担当をやっておりまして、委員の皆様からの御指摘がダイレクトに私の胸にずさずさ刺さってくるものですから、大変緊張感を持って聞いておりました。
今回、特に中小監査事務所に対する、ある意味御期待を大変受けていると理解しております。従来あまりこういうことが議論にならず、資本市場でも端っこにいてあまり問題にされなかったのがこのように大きく取り上げられて、期待感を持っていただけるということは大変我々としてはよかったと感じており、これを機会に大いにいろいろなことが議論できるかと思っております。
ただ、5ページ、6ページの書きぶりについて、手塚委員も言っていましたが、この制度部会が一般の方も見ることができるということを踏まえて、多少分かりやすく言いますと、約4,000社ある上場企業となりますと、大手監査法人と中小監査事務所にすみ分けが絶対必要になります。例えばトラックで物を運ぶときに、ダンプカーで運ばなくてはならないものと、小さい荷物だったら2トン車ぐらいで運べるものを10トン車で運ぶ必要もないかもしれません。ですから、そういう意味においては、荷物の大きさとトラックの大きさというのは合理的にすみ分けていかないと、小さな荷物を運ぶのに10トン車とか20トン車を持ってきて運ぶというのは極めてコストがかかって、かつ小回りが効かないことにもなりかねず、いたずらにコストをかけてしまうことにもなりかねない。
ですから、何兆円企業という規模の企業はもちろん、グローバルな会社については、大手監査法人がそれなりの体制の中で行っていくのは当然ですし、監査報酬も高くなる。しかし、上場企業の中には数十億円という売上げの極めて小さいところもございますし、スタートアップ企業やローカルでやっと上場したばかりというところもたくさんございますから、そういうところに対しては、それに見合った大きさで荷物を運ぶということも、また必要と考えます。一番問題なのは、小さいトラックなのに大きな荷物を積んでしまって、積載過重で事故を起こしてしまうことです。そうならないように、小さい荷物は小さいトラックでもちゃんと運べるようにする。これをしっかり整理していくというのが、制度的な枠組みの中で必要なのではないかと思っています。
何が言いたいかといいますと、実は社員数5人がどうかとかいう点は、確かに重要な要素ではあるのですけれども、5人がいいか悪いかという議論というのは本当にone of themでして、ここだけにハイライトを当てて議論されるよりは、もう少し広く我々としては議論したいということです。
ですから、これは手塚委員も指摘しましたけれども、社員数5人ということについて、「見直すことが考えられる」と記載してしまいますと、もう見直さなければならないとなってしまうのは、ややどうかと思っております。
また、5人という数の多い少ないは別といたしましても、無限連帯責任を背負ってパートナーシップで行うということになりますと、それなりに重いものと我々も考えていますので、そういう意味においては、この人数だけを議論にハイライトされるのはどうかと思います。
大事なのは、6ページのスケジュールの明示というのも議論に出ていますけれども、もちろん我々も当然スケジュール感を持って議論しなければならないのですが、これもスケジュールを明示した上で、監査法人の移行へ向けた取組みを進めるべきであるとしてしまうと、要するに、個人会計士は上場会社監査から排除するということを前提にしたように読めてしまいます。ここがやや我々としては違和感があるわけでして、当然スケジュール感を持って進めますけれども、結論ありきの議論ではなくて、しっかりファクトを考えながら、どういう対応をしていくかということを議論していくというのが必要だと思います。
そして私が重要視しているのは、6ページの「第三に」から始まる2行目の情報開示です。委員の中から、中小監査事務所の内容が分からないので会社としても判断できないという御発言もあったと思いますが、ここの注15を見ていただきますと、前回も申し上げたとおり、今、日本公認会計士協会では、情報公開に関して、中小監査事務所の内容が見えないというのは大変御指摘いただいておりますものですから、ここに挙げていますように、品質管理面、ガバナンス面、IT・デジタル面、人材面、財務面、国際対応面の開示を考えています。例えば人材面にしましても、社員の数の問題だけではなくて、どういう経験を積んだマネージャー、シニアマネジャー、ジュニアクラスがいて、また新人はどういう形で教育されているのかということをしっかり開示することによって、その法人全体のイメージを把握できます。監査法人5人の社員だとしても、スタッフは大体20人から30人ぐらいが社員の下にいます。ですから、そういう20人から30人のスタッフがどのぐらいのレベル感でどういう体制で行っているのかということをしっかり開示していくことが大事なのではないかなと思っているところでございます。
あと、私の担当で、もう少し違う視点なのですけれども、14ページのCPEの問題のところで、真ん中辺に「しかしながら」があるのですけれども、ここで皆様に御理解いただきたいのは、近年、eラーニング研修の二重受講、早送りといった不正事項の事例に加え、受講単位数が不足したまま改善が認められなかった事例も確認されているとなっていますが、むしろCPE担当として問題に考えているのは、その後のほうでして、どうしても僅かですけれども受講単位が不足したまま、未達成の方がいます。そういう方に対してどのように制度的な枠組みで対応していくかということが問題だったわけでございまして、何かこの文章ですと、二重受講とか早送りのほうがメインで、プラスアルファで受講単位が未達成の人がいるとなっているのですが、むしろ我々がずっと問題視しているのは、未達成の方がずっと滞留しているということです。そういう人たちに対して、次のパラグラフで書いていますけれども、懲戒処分によってなお改善されない場合には、制度的な枠組みで登録抹消もするような対応策を講じてほしいというのが、メインです。ですから、この書き方ですと、先に二重受講とか早送りというのが来て、それがあったから何か今回、登録抹消の厳格な対応を準備するというように少し誤解されかねないかなと思っていますので、ここは少し修文できればと思います。
例えば、「しかしながら」のところは「加え」というのをやめていただいて、何か並列的に並べていただくとか、それから、「こうした事例のうち」の次は、「特に懲戒処分によって受講単位が不足したまま改善されないケースに備えて厳格な対応を望む」とするなど、「特に」という形で、受講単位の未達成の方をハイライトするような書きぶりにしていただくと、今回の制度的枠組みでの対応とのつながりが出てくるのではないかなと思います。
あと16ページ、17ページの会計教育についてです。前回私がプレゼンさせていただきました。御賛同いただきまして本当にありがとうございます。会計に関する教育啓発活動というものをしっかり日本公認会計士協会としても進めていきたいと思っております。
また、御指摘ありましたように、17ページの一番下にありますが、公認会計士試験に大学生が多く合格されております。ここについて我々としても大きな問題としており、合格されることは大変ウェルカムですし、若い方々が我が業界に入ってくることは大変うれしいことなのですが、こういう方々が大学との両立をどうしていくのかということは、本当に大きな問題として我々は取り組んでいきたいと思いますので、ここは実務補習の在り方とか、また業務補助等の在り方も含めて考えていきたいと思っているところでございます。
あと、18ページの最後のパラグラフで、制度面以外の取組みが大事であるとあり、「デジタル対応や人的基盤の支援といった取組み」と書かれていますが、取組みが大事であるということで終わっています。ぜひここは、もちろん日本公認会計士協会も積極的に取り組んでいきますけど、行政当局におかれましても、我々の取組みについてぜひ御支援いただきたいと考えています。これは先般の品質管理基準の中でも、前文の留意事項で記載されているかと思うのですけれど、何かそれが分かるような、日本公認会計士協会だけが取り組むのではなくて、行政当局も含めた関係機関も併せて取り組んでいただきたいという、そのようなことが分かるような文章になるといいかなと思っている次第でございます。
以上でございます。ありがとうございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、挽委員、どうぞお願いいたします。
〇挽臨時委員
一橋大学の挽です。ありがとうございます。事務局の皆様には、短時間でこのような形での報告(案)を取りまとめていただいてありがとうございます。多くの委員と同様、全体として異論はございません。
5ページから7ページに関してですけれども、上場会社の監査に高い規律を求める制度的枠組みとして、今回、日本公認会計士協会の知見・ノウハウを最大限有効に活用できるような記述をしていただいたと思います。自律機能を最大限に発揮するということは、それだけ大きな責任を伴うわけでございまして、これは文言には入れられていませんけれども、この部会において多くの専門委員、臨時委員の意見とは必ずしも一致はしていませんけれども、賛同を受けたわけですから、体制が変わっても、しっかり責任を負っていっていただきたい。7ページの最後のところになりますけれども、新制度の運用を担う日本公認会計士協会において、必要な人材確保などの体制整備を進めつつ、これまでの自主規制における知見・ノウハウを活用し、職業専門家団体としての高度な自律機能や責任を持って十分に発揮していっていただければ、その背中を見て魅力的だなと思うと学生は公認会計士を志すと思っております。
もう一つは質問でございます。17ページになります。1つ目の点のところで、先ほど石原委員からも御意見があったと思うのですけれども、ここは何を言いたいのかということがちょっと全体の文脈から見て分かりかねることがありますので、できれば事務局の方から簡単に御説明いただければ幸いです。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、今の最後の点、いかがでしょうか。
〇廣川企業開示課長
挽先生、御質問ありがとうございます。企業開示課長の廣川でございます。
17ページ「その他」1つ目の点でございますけれども、ここは全体2つの文からなっているかと思います。2つの文からなっている中に、2つの話が入っております。1つ目の文章は、監査法人の形態、あるいは監査法人の制度ですけれども、こちらについて御意見をいただいたことを書いているものでありまして、具体的には今の監査法人というのは、合名会社の法人形態というのをある程度参照しつつ、公認会計士法上、監査法人の規定があるということなのですけれども、ここに書いていますように、5人以上の公認会計士により設立される法人ということで昭和41年にできた制度でございますが、今、一部の監査法人、大手監査法人の中には、社員、パートナーの方が500人を超えていらっしゃるような大きな監査法人ができている中で、今の監査法人の運営実態が多様になっているということに対して、公認会計士法上の監査法人制度というのが実態を十分反映したものになっているのかどうかという御指摘、これがあるという話が1点でございます。
2つ目の文章の「中長期的には」というところは、その話とはまた別に、サステナビリティ情報に関する保証業務のニーズが高まることが想定されるということで、これも制度部会で御意見があったところですけれども、この点に関しては、前回も確か御意見をいただいていたかと思いますけれども、保証業務というのが監査というもの、特にサステナビリティ情報とか非財務情報について保証するという場合にということですけれども、それは公認会計士法第2条第1項の監査証明業務には入らないと解されてされており、結果的に公認会計士法第2条第2項業務で考えていらっしゃるという場合が多く、そうしたときに、前回、御意見、御指摘で出ていたと思いますけれども、報酬の中の監査報酬比率というのを見るときに、こういった保証業務をやっているときにそれが監査報酬のほうに入らず、むしろ非監査報酬に入る。そうすると、例えばコンサルティングやアドバイザリーなど、そういったものと同じ区分になってしまう。そのときに、例えば投資家の目から見たときに、こういった保証業務をやると、結果的に非監査報酬の比率が高まるということで、場合によってはそれが投資家の評価に影響が出てくるというようなことがある、こういったような御意見もあったかと思います。
そうした中で、保証業務というのをやっている場合に、その位置づけというのをどういうふうに公認会計士法上考えていくのか。この第2条の公認会計士の業務との関係で、そういった御意見も出ていたと。それがもう一つあったかと思います。
「中長期的に」のこの文は、先ほど申し上げました1つ目の文章と、今申し上げました保証の2つ目の文章の前段の話を両方受けるような形で、中長期的な文章の後段のほうは、監査法人の形態や監査法人の業務範囲の在り方についても早期に検討が必要ではないかということで、ちょっと両方受ける形でまとめてしまっているので分かりにくくなっているのかもしれませんが、趣旨としてはそういうことでございます。
〇挽臨時委員
ありがとうございます。2つに分けていただいたほうが少し分かりやすいのかなと思うのが1点と、それから1つ目ですけれども、今回少なくとも監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限について見直しを行っておりますが、この文章だと、これを十分反映していない。必要とされる見直しを行ったわけではないということなのかもしれませんけれども、何が言いたいかがもうちょっとはっきり分かるといいなと思います。口頭の御説明のほうが分かりやすかったです。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。最終的な文言は、またちょっと工夫させていただけるのではないかと思います。
今の挽委員の御発言で、本日御出席の委員の方々からは全員に御発言をいただきました。また、オブザーバーの日証協の森本副会長からも御発言をいただきました。今、チャットで手塚委員と井口委員から御発言の希望をいただいていますので、それでは、手塚委員、どうぞお願いいたします。
〇手塚専門委員
どうもありがとうございます。
まず、日本公認会計士協会、前向きに取り組んでほしいというお話しがありました。我々は前向きに取り組むつもりでおります。そのため、例えば品質管理基準の改訂、倫理規則の改訂の報酬依存度などにはしっかりと適用できるように、中小監査事務所の支援をし、また、一方で上場会社監査事務所登録制度においては、監査法人のガバナンス・コードの適用を促すとともに、情報開示について改善し、監査法人の情報を世に出すということに取り組んでいくと申し上げています。時間軸的には、倫理規則や品質管理基準の改訂を踏まえると、その適用が2年後ぐらいになりますので、例えば報酬依存度の監査自体の期間が5年であるとすれば、ここ7年ぐらいの間にしっかりとしたマーケットをつくるというつもりでいるわけです。
それに対して、修文を要請したことによって前向きではないと捉えられてしまったのであれば、大変残念に思います。しかしながら、そういった御指摘を受けても、私としては、先ほどお願いした修文はぜひお願いしたい。既に法律で認められた仕事を現場においてやっている公認会計士、あるいは中小監査事務所の構成員は、その多くが真面目にやっているはずです。そういう方たちに関して、中小監査事務所だから監査が安心できないというような、仮にそういう印象でお話しがされているとすれば、私は認め難い。何の非違行為のない人たちに、日本公認会計士協会として退場を促す、強制するような修文は認め難いです。この主張は変えられません。ただ、議論の結果はどうなるかについては、これは制度部会の部会長にお任せします。
これはそんなに簡単な問題ではないのだということを、委員の皆さん全員にぜひ御理解いただきたいと思います。我々は、前向きにやると申し上げておりますので、それを信じてやらせていただきたいと思います。
それから、監査の品質、監査法人のガバナンス・コードについて、神作委員からお話しがありました。監査法人のガバナンス・コードは原則の1から5の5つの原則から成り立っています。私は、個人的にはですけれども、その1と5は全ての監査事務所に共通であると思っていますので、これは大手監査法人であろうが準大手監査法人であろうが中小監査法人であろうが個人事務所であろうが、組織的に監査をするということであれば、守らなければならない。一方で2と3と4は、ここは組織を前提にした話ですので、ここは大手監査法人を前提として作成されているわけですから、このまま適用するということについては、少々中小監査法人や個人事務所には酷だと思います。これについては、中身を改訂するのかどうか、今後鋭意金融庁とも議論させていただきたいと思いますが、例えば、コーポレートガバナンス・コードが市場区分によってその取扱いや適用を変えられているように、監査法人の実態に応じて適用を変えるということはあるのかもしれません。このあたりは議論させていただきたいと思います。
それからまた、アメリカの上場会社の監査事務所の状況というのは、私も最近までその実態を恥ずかしながら知らなかったのですが、SECに登録されている会社は6,030社あって、それらがLarge accelerated filersとAccelerated filers、Non―accelerated filers、Smaller reporting companyという4つの区分に、共通時価総額で、あるいは企業の規模によって分けられています。そのうち、Non―accelerated filersとかSmaller reporting companyという時価総額が低い企業においては、その数は3,300社ということです。これは多分、ニューヨークとかNASDAQとか、そういった上場会社全部集めての数ですが、3,300社あって、その61.5%を、上から大きい順に20のファームが監査しているということは、3,300社の38.5%は230あまりの小さな監査法人がやっているということです。そのうち87ファームは、Non―accelerated filersとかSmaller reporting companyを1社しか監査していない。アメリカの監査マーケットも、徐々にそれなりの規模のところに監査先は集約していっているようですけれども、日本でも、あるいは私どもの取組みについて、今ある監査事務所が適切な時期にしっかりとした基盤を整えるということを見守っていただきたいと思います。
あと、監査の品質については、今回御指摘のあったように、経営者の意図的な不正を早期に発見できるかによって評価される、これはまさにそういう一面はあると思いますが、監査の品質がいいというのは、それだけで評価するわけではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
前回申し上げたとおり、東京証券取引所だけで3,800強の上場会社があり、その時価総額は700兆円を超えています。この膨大な時価総額の維持・向上に監査が貢献しているかどうかによって、本来評価されるべきだと思います。その中に不正の発見というものがあるわけです。もし公認会計士監査制度がなければ、金融機関の取引コストや企業側の資金調達コストは非常に高まってしまい、特定の本当に信頼できる企業にしか投資も融資も行われない、そういう実態が実情になってしまうと私は考えています。
ですから、そういった観点で評価していただきたい。また、現実には、日本中で3,900ある上場会社のほぼ全ての会社の財務諸表について、無限定適正意見が表明されるわけです。したがって、市場関係者の皆様には、もしかしたらそれが当たり前のことなのだと受けとめられているのではないかと私は懸念しています。しかしながら、私の経験も踏まえて申し上げると、決算や監査の過程で何の問題も生じない会社が大部分かというと、そういうわけではありません。監査を経て、決算日から2か月以内に会社法監査、3か月以内に金融商品取引法に基づく監査を終える過程では、多くの会社で様々な問題が生じ、監査報告書発行期限が迫る状況においてそれらを解決して、3,900社に対する監査意見を表明しているわけです。このことをぜひ御理解いただいた上で、監査の品質や意義について評価をしていただきたいと思います。
もう少し時間いただきまして、17ページのその他のところですけれども、石原委員の御指摘については、これは決して非財務情報、サステナビリティ情報の保証を特別に取り上げていっていることではなくて、先ほど事務局からも御説明があったとおり、既に公認会計士や監査法人の業務が、かなり監査以外に、財務諸表監査に広がっている中で、公認会計士法第2条第1項の財務諸表監査とそれ以外という区分けで十分整理できているのかどうかということでございます。それについて見直しをお願いするという趣旨なので、ここは石原委員の疑問に答えたような修文をしていただければと思います。
先ほどあった大規模監査法人を前提としていない今の公認会計士法においては、例えば、監査法人が合併するということに関していうと、総社員の同意が必要になります。中には合併するのは嫌だという人も出るわけです。また一方で、500人にも上るパートナーがいるということであれば、中にはパートナーになるまでは、パートナー適格者だと思っていたけれども、実際にパートナーとして仕事をしてみると、パートナーとしての職責を果たすことができない者も出てくるでしょう。そういった場合において、この方の脱退を促すには、任意脱退が原則になり、要するに総社員の同意がなければパートナーを脱退させることはできないということです。そうした制度上、見直しを図るべきところがあるのではないかということが表されていると理解しております。
それ以外にも、公認会計士に求められる能力が変化する中で、試験制度についても見直しが必要なのではないかという重要な課題が残されておりますので、今回、法律改正が実現した場合においても、比較的短期間、例えば3年以内という中で、改めて重要な課題について御議論いただきたいと考えています。その際に、個人的には、今議論になっている監査法人の社員数や個人事務所の取扱いについても議論ができるのではないかと考えている次第です。
最後になりますが、森本副会長からお話のあったことと関係しますけれども、上場会社の情報開示の信頼性は、市場運営者、発行体企業、また市場に関わる金融機関、監査人に対する規制がバランスよく実施されて初めて担保できると考えています。国内外問わず、粉飾決算が露見するたびに規制が強化されるわけですが、私には規制強化が監査人偏重となっているように感じられてなりません。また、今後サステナビリティ情報開示の拡充の要請など、企業にとっても監査人にとっても負担が増す制度改正が行われることは確実だと思っています。
こうした中で、企業や監査人に対する要求事項を積み重ねていくということだけではなくて、金融庁はじめ資本市場や企業情報開示に係る行政機関には、市場全体を俯瞰したバランスの取れた規制の整備をぜひお願いしたいと考えています。
私が申し上げたいことは以上でございます。
○神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、井口委員、どうぞお願いいたします。
○井口臨時委員
2度目の発言機会をいただき、どうもありがとうございます。石原委員が御指摘された17ページの中長期的な課題について、コメントさせていただければと思います。廣川企業開示課長からも御説明いただきましたが、私のほうもコメントさせていただければと思っています。
確かに石原委員がおっしゃったように、まだIFRS財団のサステナビリティ開示基準や、そのサステナビリティ情報の監査基準も決まってないということかと思います。ただ、既にESG債券を含めて、非財務情報の保証というのは始まっているところで、前回の部会で申し上げましたが、企業の全体像を把握している監査法人の役割というのが大きくなるのではないかと思っております。
それから、ここで取り上げていただいているのは、中長期的な検討課題の中でのサステナビリティ情報の保証の話と考えています。実際、投資家の強い希望も踏まえて、IFRS財団の考え方の中でも、中長期的には監査可能な基準の策定ということで策定されていると理解しております。
また、御存じのようにIFRS財団のサステナビリティ開示基準は、財務情報との関わりが求められておるので、個人的には監査法人の果たす役割というのが大きくなるのではないかと思っています。ただ、石原委員がおっしゃったように、必ずしも保証業務を行うのが監査法人に限定されているということではありません。しかし、逆に現状のように保証業務を非監査業務に位置づけますと、廣川企業開示課長からも御説明ありましたように、投資家としては非監査業務が多いというのはあまり良く取られないということもありますので、保証能力のある監査法人が競争劣位に置かれることになってしまうのではないかと懸念しており、中長期的には公認会計士法上第2条の改正の検討も必要ではないかと思う次第です。ですので、この項目を今後の中長期的な検討課題として残すということが妥当ではないか、と思っております。
ありがとうございました。以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、石原委員、どうぞお願いいたします。
〇石原臨時委員
ありがとうございます。私が発言したことに対しまして、いろいろ御意見をいただいていることもありますので、もう一度お話しをさせていただければと思います。
まず、今、井口委員からお話しがあった点については、そういう考え方があるということも理解しておりますが、我々としては、これからじっくりと議論していく必要があるという認識でありまして、手塚委員からもありましたとおり、監査法人の形態、監査法人の業務範囲の在り方について、きちんと検討することは必要だと思いますけれども、今この時点で何も定まっていないサステナビリティ情報に紐づけるということは回避していただきたいという趣旨であります。それが1点です。
それから、手塚委員からお話しがありまして、私が申し上げたことが誤解を生んでいるのかもしれませんので、改めて申し上げておきたいと思いますが、私はこれまで、公認会計士の皆さんと、長年監査現場も含めてお付き合いをさせていただいておりますし、そうした中で私自身も育てていただいたということも十分認識しておりまして、公認会計士の皆さんを大変リスペクトしております。ゆえに、いろいろな経緯を経て公認会計士、あるいは監査法人のレピュテーションがやはり下がってきてしまっているのではないのかということを大変懸念しているところであります。
皆様、一生懸命やられていることは重々承知をしております。しかしながら、今回の部会の議論を通じて改めてぜひ御認識いただきたいのは、別に私が社会を代表しているわけでもありませんし、この部会の委員の皆様だけで社会を代表しているわけでもありませんが、多くの委員の皆さんは、やはり手塚委員が言われたこととは違う方向性が、リスクの観点から見てもいいのではないのかと考えているということです。そういう御意見が多かったことは十分御認識いただいている通りで、そこに一般的な社会の期待と、日本公認会計士協会が考えられているところにギャップがあるのではないのか。そのことが監査に関するこういった議論の流れを導いてきてしまっているのではないのか。それを大変懸念しています。
したがって、もし5人でも対応できる、あるいは、個人でも対応できるということであれば、責任を持ってそれで問題はないのだと御説明いただければ良いのだと思います。前向きにと申し上げたのはそういう趣旨で、委員の皆様の御意見からすれば、必ずそうすべきというところまでではないと思います。日本公認会計士協会として、本当に5人なり個人でも大丈夫ということであればしっかりと御説明いただくということが必要なのではないかと思います。
以上です。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。大変貴重な御指摘、また重要な御指摘をいただきましてありがとうございました。
今日まだ御発言がない幹事やオブザーバーの皆様方、もし御発言があれば承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。チャットに書き込むのに少し時間が要るかもしれませんけれども、よろしゅうございますか。
皆様方から大変貴重な御意見をいただきました。取りまとめの方向について、お諮りをさせていただきたいと思います。今日お示ししておりますこの部会の報告(案)について、大筋においてといいますか、趣旨については、委員の皆様方から御賛同いただいていると思います。表現ぶり等について、御指摘があった点が幾つかあるのですけれども、17ページは、もともとその他のところで指摘があったと書いているので、ちょっと分かりにくいという御指摘もありましたけれども、それに対して、また今日違う御指摘もいただいたというふうに理解しておりますので、書きぶり等は今後、工夫、検討させていただければと思います。
それから、ほかにもいろいろあるのですけれども、一番大きく御意見が分かれたと思われますのが5ページと6ページのところでありまして、これも趣旨について意見が違うということでは必ずしもないと思うのですけれども、5ページ、6ページの現在の文案を修正すべきであるという御意見は、日本公認会計士協会の手塚委員をはじめといいますか、日本公認会計士協会からというふうに言わせていただきますけれども、出されましたが、委員の皆様方からは、むしろ原案維持のほうがいいという意見のほうが多かったというふうに理解します。ただ、日本公認会計士協会の御意見はもちろん重たいものですし、手塚委員の御意見は重たいものですので、例えば、そういう御指摘があったということを脚注に記載させていただくとか、そういうことは考えられるかとは感じます。
ただ繰り返しになりますけれども、委員の皆様方からは、むしろしっかりやってほしいという意見もあり、その意味で原案の文章でいいし、さらに5ページのほうにもスケジュール明示という文言を入れるべきだという御意見、御指摘もあったところですので、ちょっと今日の記録をもう一度よく振り返った上で、最終的な文案を考えさせていただく必要があろうかと思います。
ほかの点は省略させていただきますけれども、いずれにしてもこの次にもう1回皆さん方にお集まりいただいて、会議をオンラインで開催するというところまでは不要ではないかという感じを持ちます。本日いただきました御意見、御指摘をうまく反映できないかを検討させていただいて、特に表現ぶり、それから平仄ということもあろうかと思います。そういったことも併せて、そういった作業を事務局と私のほうでさせていただきまして、委員の皆様方には、メールその他の方法で修正内容を御確認いただくということにさせていただき、委員の皆様方に御確認いただいたということでありましたら、それをもってこの部会としての取りまとめとさせていただくというプロセスでいかがかと思います。
それで取りまとめが固まりましたら、その後に今度は報告の公表等という段取りになるのですけれども、そのあたりの取扱いについては、大変恐縮ですけれども、私に御一任をいただければと思います。
報告の内容や公表というところにつきましては、私に御一任をお願いできればと思いますけれども、その手前で、本日いただきました御意見、御指摘を踏まえた修正というものをさせていただき、それにつきましては、委員の皆様方に御確認をいただく。そして、御確認いただいたものをもって取りまとめとさせていただくということでいかがかと思います。もちろん皆様方から、もう1回会議を開いて審議をしたほうがいいという御意見が多ければ、至急そういうことも考えさせてはいただきますけれども、私としてはそこまでの必要はなく、今申し上げた方法で取りまとめをお願いできるのではないか。言葉を換えて言いますと、皆様方の御意見、表現ぶり等分かれたところもあるのですけれども、御趣旨はほぼ異なっていないので、この部会として何か考え方において意見が分かれているということはないというふうに認識しておりますので、今の方法でいけるのではないかと感じました。
今申し上げたような方法で進めさせていただいてよろしいかどうか、ちょっとお諮りというかお伺いする前に、手塚委員からチャットをいただいていますので、どうぞお願いいたします。
〇手塚専門委員
最後いただいた、石原委員の御意見も重々承知していて、誤解をしているわけではありませんが、それぞれの立場から発言をしたということで、石原委員とはずっと長くお付き合いさせていただいている中でよく理解していますので、そこは誤解ないよう、こちらからお願いします。
それから、皆さんからいただいた御意見を踏まえて、どんな文章になろうとも、我々がやるべきことはしっかりやってまいりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、今、私が御提案させていただいた方向で取りまとめの作業を行わせていただくということで、御承認いただけますでしょうか。(「異議なし」の声あり)
〇神田部会長
どうもありがとうございます。チャットのシステム内で、頷いている方々を私のほうで確認したところ、何人かいらっしゃるので、御承認いただけたかなと思っておりますけれども、特に御異議はないようでございますので、御承認いただいたということとさせていただきます。どうもありがとうございます。
この部会は、今日で3回目なのですけれども、皆様方におかれましては大変お忙しい中御参加いただいた上、積極的、建設的、また重要な御指摘を多数いただきまして、誠にありがとうございました。オンライン開催という何かと不自由な中での御参加に厚く御礼申し上げます。
それでは、古澤企画市場局長から一言お願いいたします。
〇古澤企画市場局長
企画市場局長の古澤でございます。委員の皆様には、短い期間にもかかわらず、幅広い論点について丁寧に御議論いただきましてありがとうございました。
今、部会長からございましたとおり、部会長と御相談させていただきながら、早急に本日いただいたコメントを踏まえた内容の調整を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。また、それが取りまとまった段階で、今度は具体的な法改正の準備というふうになってございます。それはスピード感を持って進めたいと考えてございます。
最後になりますけれども、今回の御報告の中で、我々も大きな宿題だなと思っている点が19ページの最後でございます。本日いただいた議論の中でもあったかと思うのですけれども、やはり制度をつくるというだけではなくて、継続的に監査品質の向上といったものを進めていくということが大事ということだと思いますので、引き続き制度部会の皆様方に、ここにございます取組みの進捗を点検し、必要に応じて検討を進めていくというふうにいただいてございますので、また、皆様方にそういった点も御覧いただきながら御指導いただき、進めてまいりたいと考えてございます。
以上、簡単ではございますけれども、事務局を代表いたしまして御礼とさせていただきます。どうもありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、連絡事項等ございましたらお願いいたします。
〇廣川企業開示課長
本日、御議論いただきました報告(案)につきましては、先ほど神田部会長からお話しございましたとおり、取りまとめに向けた作業を進めさせていただきます。
なお、取りまとめ後は、金融審議会総会へ御報告をするという段取りを想定しております。
事務局からは以上でございます。メンバーの皆様方におかれましては、これまで精力的に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、今のようなことで進めさせていただきますし、取りまとめをした後も、引き続き皆様方には、また御支援、御指導をいただくことになると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。皆様、どうかよいお年をお迎えください。どうもありがとうございました。以上
お問い合わせ先
金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局企業開示課(内線3810)