第17回金融審議会公認会計士制度部会議事録
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1.日時:
令和3年12月13日(月曜日)13時00分~14時40分
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2.場所:
オンライン会議(中央合同庁舎第7号館9階 共用第3会議室)
〇神田部会長
それでは、始めさせていただきます。ただいまから、第17回金融審議会公認会計士制度部会を開催させていただきます。
皆様方にはいつもお忙しいところ御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日の会合でございますけれども、これまでどおり新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの開催とさせていただきます。また、前回確認させていただきましたとおり、会議は公開とさせていただいておりまして、ウェブ上でライブ中継させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、議事に移らせていただきたいと思います。本日は、事務局において前回会合の議論を踏まえ、公認会計士制度の見直しの方向性の案を検討していただいております。まずは、その内容を確認したいと思います。その後に、日本公認会計士協会を代表して柳澤委員から会計基礎教育に関する御説明をお伺いしたいと思います。
それでは、まず事務局からの御説明をお願いいたします。廣川企業開示課長、よろしくお願いいたします。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。よろしくお願いいたします。
では、お手元の資料1、事務局資料に沿って御説明をさせていただきます。今回は論点ごとに、左側に前回(第16回)の議論、右側に、それを踏まえた公認会計士制度の見直しの方向性(案)をお示しさせていただいてございます。
早速、論点1から参ります。1ページを御覧ください。上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けでございまして、前回は、上場会社の監査を担う監査法人の登録制度を法定化することを考える局面にある。その際にできるだけ自主規制の流れを尊重すべき。さらに、上場会社の監査に求められる最低限の基準としては登録要件を適切に定める必要がある。また、事前規制を過度に厳しいものとせず、事後チェックを厳格に行うアプローチが適しているといったような御意見を頂戴いたしました。右側、公認会計士制度の見直しの方向性(案)でございます。1つ目、登録制の導入ということで、上場会社等の財務書類についての監査証明業務を行う監査事務所は、日本公認会計士協会への登録を受けることとする。
また、2番目に、登録時の適格性の確認ということで、登録を受けようとする監査事務所は、日本公認会計士協会に登録申請を行い、日本公認会計士協会から上場会社監査を実施する者としての適格性の確認を受けることとする。例えば、業務停止処分中でないことや、「一定の社員数」を有すること等が考えられる。「一定の社員数」とは、例えば、現行の公認会計士法において、監査法人に対し、公認会計士である社員を5人以上有することを求めていることに倣い、制度導入当初は「公認会計士である社員を5人以上有すること」とした上で、制度導入後、日本公認会計士協会が実施する中小監査事務所への育成支援による体制整備の進展を踏まえながら見直していくことが考えられる。
2ページに参ります。次に、3番目として登録後の継続的な規律付けに関してでございます。前回は、左側にありますように、監査法人のガバナンス・コードの受け入れや充実した情報開示を求めることが必要。あるいはソフトローも含め最適な規律付け、ベストミックスを模索すべきといったような御意見を頂戴したところでございます。右側に参りまして、登録後の継続的な規律付けの具体的な内容でございますが、登録を受けた監査事務所には、上場会社監査に係る体制整備や情報開示について、登録を受けていない監査事務所より高い規律付けを設ける。例えば、監査法人のガバナンス・コードの受け入れや、充実した情報開示を求めることなどが考えられるか。現行の公認会計士法上、監査法人には、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成し、公衆の縦覧に供することが求められている。上場会社監査を行う者に対し、充実した情報開示・付加的な情報開示を求めるべき事項は何か。また、それらを法令で定めるべきか、または自主規制に委ねるべきか。現行の公認会計士法上、公認会計士個人が上場会社監査を行うことも許容されているが、単独で監査を行うことは原則として認められておらず、他の公認会計士若しくは監査法人と共同し、又は他の公認会計士を補助者として使用して行わなければならないこととされている。上場会社監査を担う公認会計士については、今後、日本公認会計士協会が実施する中小監査事務所への育成支援を通じて組織的な対応に向けた取組みを促すことが考えられるか。登録後に上場会社監査を公正・的確に実施する体制が整備されていないこと等が確認された場合、日本公認会計士協会は登録を取り消すことができることとする、でございます。
次に、5ページを御覧ください。上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けに関連してでございますけれども、被監査会社側の手当てということで、右側にありますように、金融商品取引法の規定により上場会社等が提出する財務書類について、登録を受けた監査事務所から監査証明を受けなければならないこととするという見直しの方向性(案)を示させていただいております。
次の論点2に参ります。7ページを御覧ください。論点2は、公認会計士・監査審査会によるモニタリングについてでございます。前回は、公認会計士・監査審査会が監査法人の業務運営を検査する中で、虚偽証明等の疑義についても検証できるよう制度を見直すことに賛成といったような御意見を頂戴いたしました。右側に参りまして、公認会計士制度の見直しの方向性(案)ということで、公認会計士法上の立入検査等の権限について、金融庁から公認会計士・監査審査会へ権限委任する範囲を見直し、業務の運営の状況に関して行われるものか否かにかかわらず、公認会計士・監査審査会において権限行使できることとする、としてございます。
次の論点に参ります。9ページを御覧ください。論点3、配偶関係に基づく業務制限についてでございます。前回は、現行の業務制限は、時代の変化や監査法人の大規模化に対応できていない、早急に見直すべき。あるいは国際倫理規程における業務制限を参照し、適切な業務制限が検討されるべき、といったような御意見を頂戴いたしました。公認会計士制度の見直しの方向性(案)でございますけれども、監査法人の社員の配偶者が会社等の役員等である場合に、当該監査法人の監査証明業務が制限されることとなる社員の範囲を、現行の全ての社員から、当該会社等の財務書類について当該監査法人が行う監査証明業務に関与する社員等に限ることとする、としてございます。
次の論点に参ります。11ページを御覧ください。論点4でございます。組織内会計士の登録事項の整備についてでございます。前回の御議論では、組織内会計士として多くの分野で活躍している公認会計士がいるが、実態が必ずしも明確ではないため、日本公認会計士協会において実践的・有用な支援が行いにくい状況であり、組織内会計士の登録事項を整備すべきという御意見を頂戴いたしました。公認会計士制度の見直しの方向性(案)でございますけれども、組織内会計士の登録事項について、監査事務所以外の勤務先を記載することとする、としてございます。
次に、13ページを御覧ください。論点5、実務経験期間の見直しでございます。前回の御議論では、監査業務は高度化しており、実務経験を通じて学ぶ知見の重要性が高まっているといったような御意見を頂戴いたしました。公認会計士制度の見直しの方向性(案)についてでございますが、公認会計士の資格要件である実務経験期間(業務補助等の期間)を現行の2年以上から3年以上とする、としてございます。
15ページ、論点6でございます。継続的専門研修の確実な受講ということで、前回の御議論では、継続的専門研修の確実な受講を促すことは重要といったような御意見を頂戴いたしております。公認会計士制度の見直しの方向性(案)でございますけれども、継続的専門研修(CPE)の受講状況が著しく不適当な公認会計士について、資格審査会の議決に基づき登録を抹消することができることとする。併せて、虚偽の申請等に基づいて登録を受けた場合や、2年以上継続して所在が不明である場合についても、資格審査会の議決に基づき登録を抹消することができることとする。参考で下に資格審査会について記載がございますけれども、日本公認会計士協会に設置される機関でありまして、公認会計士等の登録の拒否や抹消について、必要な審査を行っているものでございます。
18ページに参ります。論点7、上記以外の個別の課題ということで、左側を見ていただきますと、前回、日本公認会計士協会による会計基礎教育の普及活動に制度的な位置付けを設けてほしいという御意見を頂戴いたしました。先ほど神田部会長からもお話がありましたように、後ほど柳澤委員から御説明を頂戴する予定となってございます。それ以外に左下ですけれども、中長期的課題といたしまして、監査法人の大規模化に伴い、現行の監査法人制度で対応できていない論点はほかにも存在する。中長期的には、監査法人形態の在り方や業務範囲についても検討がなされるべき。また、大学生の公認会計士試験合格者については、学業と実務補習との両立も課題。さらに、実務補習・継続的専門研修とともに、公認会計士試験制度についても一体的に見直すべき、こういったような御意見を頂戴したところでございます。
私からの説明は以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして柳澤専門委員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
〇柳澤専門委員
柳澤でございます。本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
今、ご説明いただいた最後に出ましたけども、日本公認会計士協会における会計基礎教育の普及活動について制度の位置付け、具体的には会則の中に事業として入れることを公認会計士法で定めてもらいたいということでございます。
実は公認会計士法における団体の目的といいますか、協会の事業に定めるものの中に、会計基礎教育に関する定めはありません。一方、資料2の2ページにあるとおり、租税教育に関しては税理士法に定めがあり、税理士会の会則に租税教育というものを記載することが税理士法で定められています。また、金融商品取引法におきましても、これは金融経済教育だと思いますが、日本証券業協会などの認可金融商品取引業協会が教育活動について行うことを定めています。
ですから、租税教育と金融経済教育、そして我々としては、その下にあるような会計基礎教育というものも同じような立てつけで枠組みをつくっていただきたいということです。金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループでも、公認会計士に関する教育も重要であると謳っておられます。
会計に関しては、知識そのものではなく、それを使う力が大事であり、これを我々としては会計リテラシーと呼んでいるのですが、この会計リテラシーというものがとても重要です。言わずもがなですけれども、常に国民一人一人の生活に会計リテラシーは密接であって、欠かせないものと思っています。
例えば新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中小企業の飲食店の経営者の方が、今月の人件費は幾らで、家賃は幾らで、売上げはこうなってしまって、赤字が幾らですというようなことを電卓を叩きながらお話ししていたのをニュースの中で見たのですが、まさにこれが、会計リテラシーだなと思いました。
ですから、あらゆる職業において会計リテラシーというのは重要なのですが、これを今の制度の中で国民の方が学ぶ機会というのは実はあるようでないということで、我々としては、大げさかもしれませんが、豊かな国民生活や国民経済の発展、さらに言えば昨今のSDGsの達成のためにも、会計リテラシーの普及活動は必須ではないかと考えている次第です。
私ごとで大変恐縮ですけれども、私が公認会計士になったきっかけというのは、中学生の時に先生から、「君たちは、どんな職業についてもお金に無縁でいることはないのだ。必ずお金とは関係することになるよ。例えば学校の先生だって、教会の神父さんだって、パンを買うときはお金を払って買う。だから、君たちに対して、お金儲けをしろとは言わないけど、お金に困るようなことにならないように、お金に関する知識はちゃんと身につけるように。」と言われたことが記憶にあって、そのことを契機に私は公認会計士になったのですが、ぜひ日本公認会計士協会が会計リテラシーの普及のハブ機能を担えるような形になるとよいと思っている次第でございます。
簡単に、次の3ページから日本公認会計士協会の今までの取組みを少しお話しさせていただきます。ここで「ハロー!会計」という言葉が出てきますけれども、2005年から日本公認会計士協会が行っている、小学生、中学生向けに、実際に学校に出向いたり、会場で生徒を集めたりして行っている会計の授業のことです。
2005年からもう15年以上たちますけれども、どのようなことをしているかというと、例えばケーキの原価計算というテーマを出して、ケーキをお母さんが作ると、お砂糖を使ったり、ミルク使ったり、何だかんだ1,000円近く費用がかかります。でも、そのケーキが町では300円などで売られています。どうしてこうなるのだろうということを、ケーキをテーマにお話しすると、小学生でもよく理解していただけます。それが、最後は資本市場というものの存在、経済活動という存在につながっていくのだということをお話ししたりしました。
この資料にありますように、過去、学校訪問は延べ367回、会場での公開講義は182回、延べ4万人ぐらいの生徒さんが参加しておられます。中には、かつて小学生の時にこの授業を受けて、それがきっかけで公認会計士になったという人も何人かいます。
2005年、私が広報担当常務理事としてこの事業をスタートさせたものですから、余計思い入れがあるのですが、このような活動を今までもしております。
こういう活動を受けて日本公認会計士協会としましては、4ページにあるとおり会計基礎教育の推進に関する基本方針というものを既に2017年に定めて、活動を開始しております。
次の5ページにあるとおり、日本公認会計士協会では、会計リテラシー・マップを金融リテラシー・マップに倣って作ったのですが、幼児期から高齢期に至るまで、どういう会計リテラシーを身に付けるべきかということを、このリテラシー・マップによってお示ししています。
次の6ページですけども、学習指導要領の中に「会計情報の活用」という記載が入りまして、中学校では2021年度から、高校では2022年度から、いわゆる会計の授業というものもスタートしております。
ところが、7ページにあるとおり、教える側の学校の先生から、会計を授業で取り扱うことに対して、知識がないということや、材料がないということで、結構、不安な御意見をいただいておりますので、日本公認会計士協会としましては、8ページにある学校の授業をサポートするような様々な教材として、副教本や、先生向けの材料というものを提供している次第でございます。
そして、最後の9ページですけれども、日本公認会計士協会としましては、まさに会計リテラシー普及活動の推進体制として、中等教育に関しての教材を提供するような教材編集委員会、また、先ほどお話ししました直接学校に行ったり、会場に生徒を集めて講義する小学生、中学生向けの「ハロー!会計」を実行する運営委員会、さらには会計リテラシーを普及していくための普及活動を、日本公認会計士協会だけではなくて、ここに御参加の日本経済団体連合会様、また会計教育研修機構など、多くの関係団体の皆様と一緒になって、進めていきたいと思っている次第でございます。
今回、法規制の中に、この言葉が入りますと、我々の活動もより弾みがつくのではないかということで、御提案させていただいている次第でございます。
簡単でございますけれども、以上でございます。よろしくお願いいたします。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、以上の御説明を踏まえまして、討議に移らせていただきます。皆様方からの御発言に先立ちまして、本日御欠席の石原臨時委員から御意見をいただいておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。本日御欠席の石原臨時委員の意見書につきましては、詳細はお手元の意見書を御覧いただければと思いますので、ここでは簡単に御紹介させていただきます。
事務局資料の論点1、上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けのうち、登録時の適格性、登録後の継続的な規律付けの内容についての御意見を頂戴しているところでございます。
事業会社の立場で長年監査に関わってこられた御経験や感覚として、公認会計士である社員が5人の監査事務所や公認会計士個人が上場会社の監査を担うことは、制度として回避すべきではないかという観点から御意見を頂戴しております。
法改正を伴う今回の制度見直しは、上場会社監査の健全性を強固にする絶好の機会であり、委員の皆様におかれましては、改めて、こうした点も踏まえて御議論いただくことをお願いしたいという御意見も併せて頂戴しているところでございます。
なお、石原臨時委員の意見書は、本日の会議終了後、金融庁のウェブサイトにおいて公表予定でございます。以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方から御質問、御意見をお出しいただければと思います。
いつものことで恐縮ですけれども、時間の関係もございますので、皆様の御発言の時間はお一人当たり5分程度を目途としていただければありがたく存じます。
前回と同様でございますけれども、御質問、御意見等、御発言いただける方には、ウェブ会議システムのチャット機能を利用して、全員宛てに発言希望などと書いていただければありがたく存じます。私がそれを拝見して、御指名をさせていただきますので、お名前を名乗って御発言をいただければと思います。発言の際には、ミュートをオフにして、マイクをオンにして発言いただき、御発言が終わりましたら、恐縮ですけれども、またミュートをオン、マイクをオフに戻していただければと存じます。
それでは、どなたからでも、どの点についてでも結構でございますが、いかがでございましょうか。チャットにてお知らせいただけませんでしょうか。
ありがとうございます。それでは、弥永委員、どうぞお願いいたします。
〇弥永臨時委員
ありがとうございます。今日の御提案は、いずれについても基本的に私はまったく賛成なのですけれども、論点1と論点6について、少し発言させていただきたいと思います。
まず、論点1は、上場会社の監査を強化するという点から非常に意味のあることだと思われるわけです。ただ、今日、御紹介いただいた資料を拝見すると、監査法人の場合と公認会計士個人の場合でちょっと違った扱いがされるのではないかとも見えてしまうのです。上場会社の監査という観点から要求されることは、監査法人であろうが、個人の公認会計士であろうが、差を設けるということにあまり合理性はなさそうな気がいたします。したがって、監査法人に対する要求事項と公認会計士個人についての要求事項との均衡を図る必要があると感じます。
2つ目として、情報提供を求めることに賛成したいと思います。開示を求める事項について、法令で定めるべきか、自主規制に委ねるべきかという問いかけがなされておりますけれども、私は重要な事項については、例えば、これが本当に重要かどうか分かりませんが、品質管理レビューを直近、いつ受けたのかというくらいのことはやはり法令で要求すべきなのではないのかなという気はいたします。しかし、その他の点については、やはり様々な環境の変化に柔軟に対応できるという観点からも、日本公認会計士協会の自主規制に任せるという方法が現実的なのではないかと思っております。
次に、論点6についてですけれども、CPEの確実な受講は非常に重要な意味合いを持っていると私は考えておりまして、その実効性を担保するという観点から、資格審査会の議決によって登録を抹消することができるとすることには賛成したいと思います。とりわけ、CPEの受講との関係で申しますと、日本公認会計士協会からCPEの受講を促すといったことをなさるのだと思いますけれども、その観点からすると、所在が不明である場合についても登録を抹消することができるとすることによって実効性を担保できるのではないか。つまり、所在が不明であると、日本公認会計士協会としてもCPEの受講を促すとか、あるいは何らかの働きかけをするということは難しいと申しますか、不可能になってしまうわけですから、この組合せをしないと実効性は担保できないのではないかと思われますので、この2つの組合せには賛成したいと思います。
最後に、心配事を一言だけ申し上げますと、CPEとの関係では、一定の要件の下でCPEの免除ということが認められているわけですけれども、例えば免除を受けつつ実は監査業務を行ったという場合についても、きっちりした処分がなされるというような対策が必要なのではないかと感じます。
以上です。ありがとうございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に手塚委員、どうぞお願いいたします。
〇手塚専門委員
御説明ありがとうございます。また、発言の機会をいただきありがとうございます。
私としては、幾つかお願いしたいことがあります。まず、最初の「上場会社の監査を担う監査事務所の規律付け」に関して、公認会計士法上に上場会社監査事務所の登録制度について定めるということは、以前も申し上げましたとおり、日本公認会計士協会に詳細な制度設計や運用を委ねていただけるということを前提として賛成いたします。日本公認会計士協会としては、これまでも実効性、透明性、効率性の観点から制度の改善をしてきておりましたが、今後とも改善を図っていきたいと思います。
次に、2つ目に「一定の社員数」について論点で触れられています。上場会社監査事務所に係る社員の総数の要件については、上場会社監査事務所登録制度の法定化後、日本公認会計士協会が実施する中小監査法人への育成支援の効果等を見て見直すということについては賛成です。監査法人の社員の総数については、やはり法令によって定めることが必須であると考えておりますが、新規参入を排除したり、現在登録されている事務所に退場を強制したりするような、言わば競争制限のようなことになるといけないと考えています。したがって、社員の総数の変更に当たっては、今後の実態を踏まえて慎重に議論していき、必要と認めたときに変更するということでよいのではないかと考えています。
これは、個人事務所についても同様でございまして、今、極めて僅かな数の個人事務所がごく少数の上場会社の監査をしています。これについても、品質管理基準等の改訂に従って日本公認会計士協会として品質管理体制の整備を求めてまいりますので、その進展を踏まえつつ、先ほどの監査法人の社員の総数と同様に、実情を見て変更するという議論をしていただければよいかと思います。この論点に対する見方は2つあって、ごく僅かでごく少数の上場会社を監査しているのであれば、今、制度変更をしてもよいのではないかという意見もある一方で、今、私が申し上げたような慎重な意見もあるかと思います。今時点においては、その事務所の権利でありますから、その権利を担う事務所が責任を果たすかどうかということを慎重に見極めていきたいと私としては考えております。
それから、CPEにつきましては、弥永先生に御説明いただいたとおりでございまして、やはり厳格に対処すべき会員が、僅かではありますが、存在することは事実です。これは、CPEの義務を、日本公認会計士協会からの指示を受けながら何年も連続して果たさないという方や、住所が不明になってしまって、長期間、宛先が分からず連絡が取れない方がいます。こういった場合には、その会員の名義を使って誰かが会計士業務をしてしまうというような不都合も想定されますので、ここは御提案のとおり、厳格に対処できるようにしていただきたいと思います。
最後になりますけれども、18ページのその他の論点にある公認会計士制度のあるべき姿につきましては、今回は、喫緊の課題と短期的に対処可能な課題に絞って議論いただいておりますが、私どもがかねてから申し上げているとおり、例えば非財務情報に関する業務など公認会計士の業務が拡大している中、それに伴って公認会計士に求められる能力も変化していますので、公認会計士の試験制度が今のままでよいのか、また、監査法人が大規模化する中にあって、今の公認会計士法がそれに対応しているのかといったような、まだ議論が必要な重要な問題が残されています。
そして、この問題は、10年先に改正すればよいのかというと、そうではなく、比較的短期的に、例えば3年以内にいま一度議論していただくというような、そのような対応をしていただけると大変ありがたいと思っております。
私からは以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に井口委員、どうぞお願いいたします。
〇井口臨時委員
御指名ありがとうございます。
まず、事務局には御説明ありがとうございました。私は、前回同様、上場会社に主に投資する機関投資家の立場からということで発言させていただきたく思います。したがって、論点1の上場会社への監査というところが中心になって、あと、論点7の個別課題の中期的な課題についてもコメントさせていただければと思っております。
論点の2~6につきましては、事務局の見直しの方向に賛同いたします。
まず、論点1の1の登録制の導入につきましては、皆様もおっしゃっていましたが、上場会社への監査のクオリティーを支える制度として、上場会社監査事務所登録制度を法的な枠組みに位置付けるということには賛同いたします。
登録の可否においては、日本公認会計士協会の品質管理レビューがこれからも重要な役割を果たすと思いますが、公認会計士・監査審査会の検査と協働できる仕組みを維持・強化するとともに、この後の論点にありますが、論点2、3の議論にもありますように、これまで以上に上場会社監査の向上を促す体制の確保も併せて検討する必要があるのではないかと思っております。
それで、論点1の2の日本公認会計士協会における適格性の確認というところですが、前回も申し上げましたが、あと、石原委員も意見書でおっしゃっていますが、組織内での品質管理体制の整備を考えますと、一定以上の監査事務所の規模ということも考慮に入れる必要があるのではないかと思っています。ここにありますような適正な人数確保のほか、会計監査の在り方に関する懇談会の論点整理にもありました報酬依存度のルール設定の導入の検討も必要ではないかと思っております。また、規模の観点だけではなくて、監査における利益相反管理の観点でも報酬依存度の考え方というのは非常に重要ではないかというふうに思っております。
続きまして、論点1の3の登録後の継続的な規律付けの1つ目の矢羽根のところになります。ここは、既に会計監査の在り方に関する懇談会などでも多く議論されておったと思いますが、私もより高い組織運営を確保する指針であって、資本市場から見ると監査事務所等の活動が理解できる唯一の仕組みとなりますので、上場会社監査に関わる監査事務所については監査法人のガバナンス・コードの適用を要件とすべきと考えております。
ただ、これも前回も申し上げましたように、現状、監査事務所の規模が小さくなるに従って、コード適用において大きな課題が見られると考えておりまして、これを実効的な取組みにするためには、コードに沿って品質管理体制や情報開示を改善していく仕組みも同時に導入する必要があるのではないかと考えております。
この点も前回申し上げましたように、投資家の意見もよく御存じで、品質管理レビューを通じて監査事務所等とも対話する機会のある日本公認会計士協会の役割というのが重要になると思っております。ちょうど1のところで、先ほどの法的に位置づけられた登録制度に関わる品質管理レビューというのがありましたが、その中にコードに沿った改善の取組みを行うよう上場会社監査に関わる監査事務所に対して指導する事項を組み入れるということで、品質管理体制と情報開示の面での改善を図るといった施策を検討する必要があるのではないかと思っております。
また、本日の議論と直接的には関係ないかもしれませんが、監査品質の向上というのは企業価値の向上の観点からも重要であると思っています。したがって、監査役等の役割でもあると思いますので、次回のコーポレートガバナンス・コード改訂のときには、監査法人のガバナンス・コードを採用した監査事務所に対しそれに沿った指導を監査役等が行うということを定めることも検討する必要があると思っております。
同じ論点、3の3つ目の矢羽根にあります単独監査に関わるところです。ここについては、既に議論が出ておりますが、ほかの公認会計士の補助を受けたとしても、公認会計士が個人で上場会社監査を行うことができるところに関しましては、これまでの議論にありました上場会社監査には、資本市場における信頼性の確保の観点で組織的な品質管理体制の整備が必要で、監査法人のガバナンス・コードの適用も必要とする議論、こういった考え方とは、そもそも相容れないのではないかと思っております。したがって、3つ目の矢羽根の部分の単独監査の定めのところは再検討する必要があるのではないかと考えております。
最後ですが、論点7の中長期的な課題についてコメントさせていただきます。先ほど手塚委員がおっしゃったところと少しかぶるところがあるかもしれませんが、監査、非監査の分類についてです。今般、国際資本市場協会(ICMA)のESG債の原則の改訂で、会社全体の取組みということも原則に入りました。投資家としては、こういった状況の中でESG債の保証業務等において、資金管理を含む会社全般の取組みをよく知っており、利益相反管理の責務もある監査法人の役割に期待するところが大です。しかしながら、保証業務というのは、現状、公認会計士法では第2条第2項の非監査証明業務に分類されておりまして、有価証券報告書の開示においても非監査証明業務の報酬に分類されるというふうに理解しております。一方、非監査証明業務の報酬拡大というのは、議決権行使業務などにおいて投資家からはネガティブに見られる状況になっております。また、今般、御存じのようにIFRS財団のサステナビリティ情報の基準設定に伴いまして、監査人の保証業務の拡大も予想されると思っています。グローバルとの整合性ということもありますので、簡単に結論が出る話ではないとは思いますが、今後、資本市場にとって重要となる監査人のサステナビリティ関連情報の保証を公認会計士法の中でどう位置付けるかということは、投資家の観点でも中長期的な課題と考えますので、コメントさせていただきました。
長くなり申し訳ありませんでした。以上でございます。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして原田委員、どうぞお願いいたします。
〇原田委員
ありがとうございます。私のほうからは前回意見を申し上げませんでした論点1について、それと論点4について意見を述べさせていただきます。
私は、この分野の専門家ではありませんので、今回、少々調べてみたのですけれども、昭和23年に公認会計士法ができたときは公認会計士が監査を行うことを前提にしていて、監査法人の制度が入ってきたのは、その後の昭和41年の公認会計士法の改正というタイミングです。金融商品取引法も含めて、条文上は、監査は公認会計士又は監査法人が行うということになっているというのが歴史的な経緯であるということは分かりました。
それで、今回の資料にも付けていただいている公認会計士法第24条の4にある論点1に関するところですけれども、共同で補助者を利用して個人も監査ができるというふうには書いていますが、実際、上場会社の監査を個人がこなすのは難しいと思います。今回、論点1の見直しのところで、登録の適格性を求める際に「一定の社員数」を有することを適格性の要件とするという見直し案がありまして、これには賛同いたします。個人で上場会社の監査を行うことは、共同でなら可能と認められている現状ですけれども、監査品質の向上という点から正しい方向性なのかどうかというのが少々疑問であります。意見としましては、資料3に出していただいている石原委員の意見ですとか、先ほど御発言なさった井口委員の意見と同様になります。上場会社の監査のかなりの割合は大手監査法人がやっているという国もあるというふうに聞いていますので、適格性の要件を中小監査法人に求めるということであれば、個人が共同で補助者を得て、上場会社の監査を行うことができるという現行の制度も併せて見直しをする、その議論が必要ではないかというふうに思いました。今回の見直しといいますか、中小監査法人の育成支援ということが挙がっていますけれども、体制を整備するということで関連するニュースが先週1つございました。中小監査法人のシステムを共同にすると導入コストが4分の1になって、中小監査法人のデジタル化の対応のために有益という新聞記事がありました。これはよい動きなのですけれども、中小の支援ということにとどまっていますので、個人というのは、依然としてデジタル化の遅れに対応する新しい支援策などには入ってこないという面があるかと思います。
そして、論点4に関しまして、事務局に調べていただいたのですけれども、監査法人に所属する公認会計士の割合は今や40%ちょっとなのです。監査法人に所属していない公認会計士の割合は57%ちょっとです。ということで、組織内会計士の登録事項として監査事務所以外の勤務先を記載するということは、ぜひとも導入していただくと、透明性の観点という点からも、CPEの観点からもいいのではないかというふうに思っております。
以上になります。ありがとうございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に佐藤委員、どうぞお願いいたします。
〇佐藤専門委員
ありがとうございます。私からは、論点1、2、それから5にも少し質問みたいな感じで発言させていただきます。
まず、1の1でございますが、登録時の適格性の確認において、既に何人かの委員から御指摘のありました「一定の社員数」を要件とするというのは賛同いたします。さらに公認会計士である社員5名というのは、従前から少ないのではないかという認識でおりましたので、これを機にできるだけ充実した形にしていただければというふうに考えております。
一方で、手塚委員もおっしゃっておりましたが、実際には上場会社の監査を少ない人数でやっているところもあると思われます。これは、監査法人のみならず被監査会社の意識も変えていかないと変わっていかないというふうに思うのです。したがいまして、方向性をしっかり示した上で、ある種、経過期間を活用して進展を踏まえながら見直していく、そういった方向性をぜひ、示していただければと考えております。
それから、論点1の3でございますが、登録後の継続的な規律付けにつきましては、基本的には監査法人のガバナンス・コードの受入れと情報開示から始めるということは賛同いたします。一方で、情報開示が目的になってしまいますと、それに合わせて形だけ整えるということが起きるおそれもありますので、例えば開示については自主規制に委ねるとして、その中身をぜひ充実させるところを重視して、その内容を報告するという流れで進めていただければと思います。それから、中小監査事務所の育成支援でございますが、これもやはり被監査会社の協力といいますか、意識がないとできないと思います。ちょっと有体に申しますと、報酬が少ないから中小監査事務所に頼んでいるというような被監査会社がたくさんあると上場会社を監査するための体制整備も進みにくいように思います。そのため、質の高い監査を中小監査事務所もやっていけるような体制づくりは、被監査会社にとっても重要なことである、という意識を高めていただくということが運用的には大切じゃないかというふうに考えております。
続いて、論点2でございますが、公認会計士・監査審査会によるモニタリングでございます。こちらも方向性としましては賛同なのですが、もしかしたら次回の部会でお話があるのかもしれないですけれども、具体的にどのように法律を改正して、虚偽証明等の疑義についても検証できるような権限の拡大をしていくのか。こちらをぜひ、また検討させていただければと思います。監査事務所のなかには、公認会計士・監査審査会が指摘することに対して理解が不十分であったり、疑問を持ったりする場合もあると認識しております。できるだけ早めに改善に着手いただいて、より質の高い監査を実現していくという意味では、そういった認識ギャップが少なくなるよう、ある程度、今の時点から考えて法律改正などをしていくとよろしいのではなかろうかというふうに考えます。
最後、論点5なのですけれども、実務経験を通じて学ぶ知見の重要性が高まっている。これは、私も前から思っているところなのですが、2年以上から3年以上とする、1年プラスするという背景としてもう少し具体的な根拠がはっきりすると取り組みやすいのではないかなというふうに考えました。
以上でございます。ありがとうございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に玉井委員、どうぞお願いいたします。
〇玉井専門委員
玉井です。よろしくお願いいたします。御指名ありがとうございました。私は、論点1について、少しコメントさせていただきます。
まず、上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けについては、前回、登録制度を見直しするということについて、賛成であると申し上げました。この登録制度の要件のところの問題についてなのですが、前回、一定の規模を求めること、それから、監査法人のガバナンス・コードの受入れを求めること、この2つを考えてもよいのではないかというふうに申しました。
まず、規模についてなのですが、現状の公認会計士である社員が5人以上、これは監査法人の組成の際の最小限の人数との理解ですが、これでは少ないのではないかと思っております。前回の繰り返しになってしまいますけれども、監査品質の確保のためには一定の規模というのが必要なのではないかと考えています。監査法人内における上場会社監査の経験、あるいはスキルの蓄積というのも重要ですし、昨今の監査業務の複雑化、デジタル化を考えても、一定の規模、リソース、それから財務基盤、こういったものも求められるのではないかと思います。また、規模を確保することによって特定の被監査会社への報酬依存度の問題を防ぐことにつながるように思います。今、監査法人ではなく個人の公認会計士事務所なども含めて、現に対応されている監査事務所や被監査会社への影響ということも考えなければならないというご発言がありましたけれども、すぐには無理ということであれば、一定の明確な猶予期間というのを設けて、その間に規模要件の引上げを図るといったような形で対応することも考えられるのではないかと思います。こうした要件の有無にかかわらず、現にある動きとして中小規模の監査事務所間の合併、統合といったもの、これによって規模の確保を図る動きというのがあると理解しております。また、この間の育成の問題については、日本公認会計士協会にぜひサポートをお願いできればと思います。
それから、次に上場会社を監査する監査法人に監査法人のガバナンス・コードを適用することに関して、多くの方の御意見は賛成だったと思います。私も同様です。トップの組織運営に関する考え方、あるいは取組姿勢、法人のガバナンス自体が監査品質を支える重要な部分だと感じているためです。この点についてですけれども、事務局から御説明もありましたが、監査法人ではない個人事務所や共同事務所の形で受嘱しているケースも複数あるとのことです。こうした事務所は、監査法人ではないから監査法人のガバナンス・コードを採択する必要はないというような整理になってしまうと、これは本末転倒のように思われます。規模の問題もありますので、やはり監査法人のみとすることも考えるのかもしれませんけれども、仮に個人の共同の事務所も維持するということになった場合でも、同様の規模を求めることや、あるいは監査法人のガバナンス・コードの採択ができる程度の実態を備えたものにしていただくといった方向へ持っていくのが良いのではないかと思います。
それから、論点2、公認会計士・監査審査会のモニタリングのところですけれども、この点について、改正の方向性に異存はございませんが、これは、あくまで公認会計士・監査審査会の権限として、できるといった意味での権限拡充の話であって、業務の運営の状況に関するケースに加えて、その中で虚偽証明の疑義が生じているということであれば、そこから踏み込んだ調査ができるようにすると、そういった趣旨で出てきたものと理解しています。通常の業務運営の状況の監査では、ごく限られた数の個別監査業務の検査のみがされているわけですが、仮に通常業務の運営の状況に関する検査の中で、監査事務所の虚偽証明を見つけられなかったといったケースがあったとしても、それが検査自体に落ち度があったのではないかといった誤解を招くことがないように、権限と職責の立てつけと実務運用、外部への説明といったことには御留意いただきたいと思います。また、前回も言及がありましたけれども、リソースの確保、現場に過度の負担がかからないようにといった点は御配慮をお願いできればと思います。
以上です。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に小倉委員、どうぞお願いいたします。
〇小倉専門委員
日本公認会計士協会の小倉です。私は、論点1の3登録後の継続的な規律付けについて、意見を述べさせていただきます。
今、いろいろ御意見が出ておりましたけれども、この矢尻の1つ目、監査法人のガバナンス・コードの受入れということですが、現行の監査法人のガバナンス・コード自体は、大手監査法人における組織的な運営を念頭に策定されていると明確に書いてございますので、中小監査法人へ直ちに適用するという点では合わない箇所があると思います。先月、企業会計審議会において改訂された監査に関する品質管理基準において、各監査事務所は最高責任者がリーダーシップを発揮して、自らの業務内容や事務所の状況を考慮した上で、リスク・アプローチに基づいて管理体制を構築するということが要求されるようになります。特に、その中でも上場会社の監査を行う監査事務所については、監査業務の公益性に鑑み、充実した品質管理システムの整備及び運用が求められるとされています。監査事務所の品質管理システムに関する最高責任者は、自らの事務所の品質管理システムを評価して、その状況を公表することが望ましいとされておりますので、その基準の適用によりましても、今後、公表が検討されるものと理解しております。そのような監査に関する品質管理基準の適用とその状況の公表によりまして、監査事務所による監査品質向上のための実効的な組織運営への取組みが進展しますので、そういったところが今後期待されると考えております。監査法人のガバナンス・コード自体は、中小監査事務所への適用を踏まえて、内容の工夫・検討が行われることが必要であると考えております。上場会社の監査に関わる監査事務所については監査法人のガバナンス・コードの適用を要件とすべきということで御意見ございましたけれども、一番大きな上場会社は時価総額が30兆円以上、一番小さい上場会社は5億円以下ということで、約3,900の会社は非常に多様です。ビジネスモデルも非常に複雑なところから、極めてシンプルなビジネスモデルで経営されている会社もあると思いますので、そういったところの監査人が必ずしも全て同じような規律が求められるものではないのではないかと私としては考えているところでございます。
それから、もう一点、情報の開示についてです。現行の公認会計士法上は、説明書類を作成し、公衆の縦覧に供することになっておりますが、上場会社の監査を行う者に対する情報開示について、どういう情報を求めるべきか、どのように行うかという点ですけれども、法令に基づく情報開示の要求というのは法令遵守の意識が優先されますので、形式的な記載にとどまりがちとなることを懸念します。そのため監査事務所の品質向上のための取組みは、法令による開示ではなく、ソフトローとして定めていただくことがより有用な情報の開示につながるものと考えております。日本監査役協会と日本公認会計士協会との共同研究報告では、監査契約の新規締結時に監査人と意見交換すべき基本的な事項として、会社計算規則第131条に基づく独立性に関する事項や、会計監査人の職務遂行が適切に行われることを確保するための体制に関する事項などが挙げられています。また、監査人に関する重要な事項として規制当局、日本公認会計士協会による懲戒処分等の内容、第三者による検査の結果等を含むというものが挙げられております。先ほど弥永先生からも、そういった事項については法定で求めたほうがよいのではないかという御意見がございました。今申し上げたような事項については、パブリックの観点からも公表することは関心が高いのではないかと考えますので、今後、どういう項目を開示すべきかということについては、引き続き議論をさせていただければと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に堀江委員、どうぞお願いいたします。
〇堀江臨時委員
御指名ありがとうございます。論点1の上場会社の監査を担う監査事務所の規律付けでございますが、資料の方向性(案)1につきましては、その裏返しとしての4と併せて、上場会社を対象とした監査業務の公益性という観点から賛成いたします。
今般改訂されました新しい品質管理基準の審議の過程におきましても、上場会社の監査を行う監査事務所に対する規律付けが議論になったところでございまして、基準の前文におきまして、上場会社を監査する監査事務所には充実した品質管理システムの整備・運用を求める旨の文言が置かれたところでもございますので、公認会計士法に最低限の規制として登録を求めるといった一段高い規制を置くということについては賛成いたします。
そこで、具体的な内容ですけれども、ここまで議論になっております登録時の適格性確認ですが、現実に上場会社の監査を入口で監査法人に限定するかどうかというところが大きなポイントになってきているのではないかというふうに、ここまでの議論をお聞きして感じました。そこで、一口に上場会社といっても、大前提として考えなければいけないことは、会社の規模等を含め、極めて多様性があるということだと思います。その一方で上場会社に関する監査を含めて、会計が非常に複雑になってきている関係もあって、監査の手続も非常に複雑になっている。そういう意味で、一定の規律付けというのは当然必要になってまいります。
ただ、先ほど手塚委員が御心配になられておられましたような、個人事務所による監査が行われているという現実に照らし合わせたとき、何らかの形でのソフトランディングというのは当然必要だろうと考えます。ただ、そうはいっても個人が上場会社の監査を行う場合には共同監査が必要になりますので、組織的な監査を行う場合の具体的なガイドラインとか、そういったようなものをきちんとないで全てお任せというわけにはいかないので、もし個人事務所を残す場合には、組織監査、共同監査のためのガイドラインとか、そういったようなものが必要ではないかと思います。後でかまいませんので、参考までに監査法人以外の監査主体における監査がどの程度行われているのかについて、もし事務局でお分かりでしたら、具体的な数字を教えていただけますと幸いです。
次に、この論点1に関する意見でございますが、制度の実質化という点で見たときに、2ページの登録後の継続的な規律付けが重要かと思います。特に例示にあります監査法人のガバナンス・コードの受入れとか、それに基づく情報開示というのは、各監査事務所の自律的な取組みを促すという点で、とても意義があるものだと私は思います。ただ、監査法人のガバナンス・コードにつきましては、一部、監査法人にとってハードルが高くて、それだけで尻込みしてしまう可能性もあるかと思いますし、加えまして、魅力的な監査品質を打ち出せるということ、品質も商品でありサービスだと思いますので、そういう意味で、攻めの姿勢も取り入れるなど、今般の制度見直しの前提として、コードの一部見直しが必要ではないかというふうに考えております。
また、情報開示という点では、新しい品質管理基準におきましても、監査事務所に品質管理システムの自己評価というものを求めまして、その結果の公表を推進する規定が置かれました。その点との関連で、公認会計士法で義務付けられております説明書類の公衆の縦覧といったものから、いわゆる透明性報告書と言われているようなものまで、様々な媒体が今使われておりますが、内容の重複感にも留意しながら、それらが本当に広く活用される、本当に読んでもらえるような内容にしないといけないと思います。監査事務所にとって事務負担の増加だけとなったり、やらされ感しか残らないものであってはいけないということは言うまでもなく、会社が監査事務所を選択する際の参考資料にとどまらず、監査主体の信頼性をもっと広く社会に知らしめる、そういう視点からの情報開示が必要ではないかと思います。
なお、ちょっと抽象的な話になって恐縮ではございますが、先ほど佐藤委員からも御発言があった点に関連して、論点1に関しまして不正会計が起こるのは、それを見つけられなかった監査が悪いという見方だけに陥らないようにすることが大事だと思います。もちろん監査がしっかりとしていれば発見できたというケースは、これまでもあったと思います。ですから、一定の規律付けは必要だと思うのですけれども、気をつけなければいけないことは、監査事務所の規模にかかわらず、監査の現場の管理事務の手続対応に追われてしまって、形式的な準拠になっては意味がないので、その点、本部会の範囲を超えてしまうかもしれませんけども、よく言われているフィナンシャルレポーティング・エコシステムといったような、つまり、監査を受ける側の対応も含めた、幅広の議論が必要だと思います。それに関連しまして、内部統制報告制度でも、これからは会社のガバナンス体制の評価・監査に重点を置くような見直しを含め、新たに監査を巡る大きな環境変化もありますので、そういった点からする議論も中長期的には必要ではないかというふうに思いました。
論点1につきましては以上でございます。もし時間が残りましたら論点2以降について簡単に意見を述べさせていただきますが、今、論点1が大きなポイントになっておりますので、取りあえず発言は、ここまでとさせていただきたいと思います。
〇神田部会長
ありがとうございました。
それでは、事務局に対する御質問があったようですが、いかがでしょうか。
〇廣川企業開示課長
企業開示課長の廣川でございます。
手元の集計でございますけれども、現在の上場会社監査事務所登録制度における、いわゆる個人事務所、共同事務所の登録件数は、品質管理レビュー済み、いわゆる審査済みになっているものも含めまして、11事務所と私どもとしては認識をしてございます。
以上でございます。
〇神田部会長
よろしいでしょうか。
〇堀江臨時委員
どうもありがとうございました。
〇神田部会長
それでは、堀江委員、論点2以降について今、御発言いただいても結構ですけど、あるいはチャットの順番で、あとお二方、委員の方。
〇堀江臨時委員
神田部会長、ありがとうございます。今、発言させていただいてもよろしいでしょうか。
〇神田部会長
結構でございます。よろしくお願いいたします。
〇堀江臨時委員
それでは、論点2、公認会計士・監査審査会によるモニタリングですが、権限委任の範囲の見直しにつきましては、現行の監査事務所の業務の運営の状況、つまり、監査事務所の品質管理の状況ですけども、これは注意義務違反等による虚偽証明の事項と極めて密接な因果関係にありますので、提案に異存ございません。監査事務所の業務の運営の状況の審査・検査におきましても、新しい品質管理基準の前文に追記されましたように、ぜひ公認会計士・監査審査会の検査等を通じて監査事務所による主体的な品質管理の定着に努めていただければ幸いでございます。
論点3の配偶関係でございますが、これも賛成いたします。外観的独立性の規制を緩めるような形になりますが、第1に、現行の公認会計士法でも取り入れられております監査法人の責任限定としての指定証明なんかとも相通ずるようなところもあるように思いますし、第2に、監査法人の規模が小さかったときの名残でもございますので、これはもう実態に即した改正ということで、大賛成です。
論点4の組織内会計士の登録事項の整備でございますが、これも提案に異存ございません。ただ、なぜ名簿登録が必要か、これがどう活用されるのかということとの関連もございますが、今後、公認会計士の働き方の多様性を推進する意味で、リボルビングとまでは言わなくても、職場の異動を阻害しないよう、できれば推進できるような形での改正が重要ではないかというふうに思います。なお、中長期的には監査法人から個人事務所、あるいは事業会社へという行き先が限られた一方通行になっている現実について検討するというのはやはり必要ではないかと思います。監査法人から事業会社へ転出されたある女性の公認会計士の方の「もう監査法人には戻りたくない」といった発言をお聞きして、この意味は重大なものとして受け止める必要があるのではないかと私は思います。
なお、論点5の実務経験の見直し、これも異存ございません。ただ、我が国では公認会計士試験に受験資格がございません。最年少合格16歳といったような現実もございますし、商業高校生が受かるといった報道もございました。その点とあわせて、教育の現場におりますと、会計の不人気というのは極めて深刻でございます。さらに、テクノロジーの進展等の環境変化を踏まえたとき、業界としてどういう人材を求めるのかということを含めて、合格後の人材の育成とか、CPEについて検討していただければと思います。
最後に、論点6、CPEの確実な受講ですが、個人的にはこれまでの処罰では足りないぐらいだと思っておりました。日本公認会計士協会の会長声明にもございますとおり、CPEの受講は公認会計士個人の資質の維持・向上だけではなくて、公認会計士制度に対する社会からの信頼維持にとって極めて重要な制度でありますので、そういった視点でも、この提案に賛成です。以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして挽委員、どうぞお願いいたします。
〇挽臨時委員
一橋大学の挽でございます。
会計教育に携わる立場から、まず論点7、日本公認会計士協会による会計基礎教育の普及活動に制度的な位置づけを設けてほしいということ、これには大賛成いたします。かねてより行われてきた小学校、中学校向けの教育に関して、日本公認会計士協会の祝賀会で、たしか辻山先生が表彰された年に、中学校の先生が表彰されたと思うのですけども、あの時から高く評価しております。今回、このような制度的な位置づけを設けてほしいという意見を出されたことを私のほうも高く評価しておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。先ほど柳澤委員が学生時代の先生の言葉で公認会計士を目指したというふうにおっしゃっていましたけれども、私どもの大学にも、中学の先生とか高校の先生から、そういう指摘を受けて、いいなと思ったというような意見はたくさん出ておりますので、そういう意味でも進めてほしい。それから、私、文部科学省の教科書検定の委員に今年含めて9年間携わっておりまして、財務会計、管理会計、原価計算、簿記については、研究者とか、あるいは商業高校等の専門の先生が入っていらっしゃるので、大きな間違いというのは検定の際にないのですけれども、会計というのは共通の言語なので、例えばマーケティングでありますとか、ほかの分野のテキストにも損益分岐点分析(CVP分析)など、基本的なことの説明があるのですけれども、そこが大きく間違っていることがあります。そういう意味でも会計リテラシーについて、テキストを専門の日本公認会計士協会の方が作ってくだされば、早くから、そういうことの正しい理解が進むのではないかという意味でも応援していますので、ぜひ実現をお願いいたします。
それから、1の論点につきまして、方向性は賛同いたします。それから、手塚委員がおっしゃっていたことも分かるのですけれども、監査事務所の権利を守る、競争制限という考え方も分かりますが、監査の質の観点からどうなのかという検討をしていかないことには、ちょっと難しいのではないか。先ほどの論点7にも関連しますが、会計基礎教育でテクニカルなことだけではなくて、やっぱり誠実性という会計倫理の問題をぜひとも教えていただきたいのですが、大学のテキストをいろいろ調べたところ、会計倫理について触れているテキストは意外と少なくて、私どものほうでも管理会計のほうでは触れているテキストを使っているのですけれども、そういうものが少ない現状です。先ほど佐藤委員がおっしゃっていた監査法人が誠実性を持って一生懸命監査を行っても、被監査会社の問題というのがあります。やっぱり不誠実な、情報を出さない、監査法人が工数をかけて出させようとしても出さないという大企業があることも承知しておりますので、教育も含めて誠実性の観点というのが重要になってきます。先ほど上場会社で、時価総額5億円以下でシンプルなビジネスモデルというお話がありましたけれども、その企業のトップが、あるいはミドルも、ロウアーも、みんな誠実であれば、確かに危険は少ないと思いますが、手塚委員がおっしゃったように、監査事務所の権利を守るという小善のために、実際には小規模の監査法人や個人で共同監査をされている方がリスクにさらされてしまうことがあってはならないと思うのです。ですから、監査の質の観点から、大局的に見ていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に長嶋委員、どうぞお願いいたします。
〇長嶋臨時委員
長嶋でございます。それでは、コメントをさせていただきます。
今回、事務局から御提示いただいた各論点に関して、前回コメントさせていただいた趣旨と大きく見解をたがえるコメントではありませんということが大前提です。その上で、より具体案を事務局からお示しいただいているところの論点について、プラスアルファのコメントをさせていただきます。
まず、論点1ですけれども、登録制の導入に関しては、前回から私も賛同しておりました。その適格性の判断に対して各論が出てきておりますけれども、各委員の方々らも様々な御意見があるところかと思いますが、私自身は、現行法の監査法人の最少社員数と同じソフトランディングを取られることに関して賛成です。公認会計士である社員5人以上という人数に課題があるのではないかという御意見に対して賛同する向きもありますけれども、やはり共同監査の実態であるとか、あとは、今のテクノロジーの活用によっては、人員だけがクオリティーを担保するものではないという実感は非常に持っております。ここは変革期の狭間だと思いますので、これから、そこがより進化していく中であれば、一旦は現行法の監査法人の最少社員数というところでよいのではないかというふうに考えております。特に、スピンアウトしたパートナーの方々が、そういったテクノロジーを活用して共同監査に当たっている、生産性の高い、でもクオリティーを担保しているというチームに遭遇することがございます。そういった方々の進化のスピードを止めては、逆にクオリティーの担保ができなくなるというふうに思いますので、ここは現行の具体的なアイデアに賛同いたします。特に、登録後に然るべき体制の整備がされていないということであれば、登録を取り消すことができることとする。これが一番厳しく効いておりますので、これがあればプロセスの細かい部分をチェックするというよりは、問題があったときには登録の取消しがあるのだということが一番効くポイントではないかというふうに考えております。
論点2から4に関しては、改善の方向性と理解して、全く異論はございません。
論点5、6について、大いなる異論があるわけではないのですけれども、5について2年を3年にするということに関しては、期間が問題なのでしょうか。緩い時間を3年過ごすよりは濃い時間を2年、そこで四半期の決算、厳しいものを8回やる。その2年が非常に能力開発に資するもの、実践で鍛えられるものもあるかというふうに思います。ですから、3年になっても、こういうクオリティーがあるのであれば、飛び級で2年でも可能というようなパスは考えられませんか。何でもかんでも、みんな3年にして、きちんとやりましょうということではなく、優れた人材がスピードパスを持つということのアイデアがあってもいいのではないかなというふうには考えます。大いなる異論ではないです。
論点の6点目のところですけれども、これは前回も少し申し上げていますが、今回の部会の問題の主因で公認会計士の能力向上に資する課題解決に資するものって本当は何でしょうかというところに根本の課題があると思っています。少し前に堀江委員もおっしゃっていましたけれども、上場会社の開示情報の品質というところは、そもそも上場会社の被監査会社、上場会社側のオーナーシップが一番ポイントになるところで、監査法人がいい加減な仕事をした場合は、オーナーシップを持つ企業が多大なマイナス影響が出てくるわけですから、誰が一番この課題を持つべきものなのかというところは、監査法人のクオリティー云々というところも一定程度必要ですけれども、やはり上場会社のスタンス、そこのオーナーシップをより問うていくことが一番大事だというふうに思います。ですので、緩い監査法人を選ぶというところ自体、そもそも課題があるでしょうというところだというふうに思います。企業は、監査事務所の品質について、日常的に努力を惜しまずに要望し続けることが大切なことですし、よりよい監査体制を望む関係性というのが大切なことで、ちょっと余談にはなりますが、私どもリクルートホールディングスでは、ある一定の期間でコンペも行います。我々の事業そのものが、5年前にはグループ全体の中でグローバルが3%ぐらいの売上シェアだったのですけれども、今ちょうど半分ぐらいの売上シェアになっています。そうなってくると、グローバルでどうマネジメントしていかなくてはいけないのかというような課題が出てきますので、同じ監査法人なのですけれども、チームを全取替えする。そのためには、英語でのインタビューなどを通して、東京のプライマリーチームが、それぞれのグローバルなチームをどこまで、コミュニケーション上もちゃんとコントロールして、マネジメントして、リーダーシップを発揮していただけるかというようなチェックをさせていただいたりもしています。それは、毎年毎年、各国のチームを含めてですけれども、どういうパートナーの方が、その下のどういうマネージャーの方とコミュニケーションをして、我々オーダーしている企業としては、その監査法人のマネージャー、メンバークラスまでも毎年1回レビューして、ちょっとクオリティーが足らないなと感じる方は、チェンジをしていただくというようなリクエストもしてまいります。そのためには、何が足りる条件で、何が足りない条件かということを事前に公開して、1年でレビューをさせていただくというようなことをやっております。こういう緊張関係の中で、お互いに執行が、先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、情報開示で何か渋ったようなことは無いかということは、私自身、監査役をやっておりますけれども、各チームにクォータリーでヒアリングをしまして、執行サイドの情報提供の方に課題がないかチェックをいたします。
要は、こういうコミュニケーション、要望のやり取りでクオリティーを担保していただけるのであれば、そのチームを使い続けます。我々の事業のことをマーケットで証明していただく一パートナーとして足りないのであれば、そこはチェンジをしていくというような厳しい透明度の高い関係性というのが、そこに担保できていることが大事で、では、それ、オーナー誰ですかというと、監査法人じゃなくて企業ですというところをポイントに、この問題の品質向上の改善に資するものを進めていければと思います。監査法人だけに、ここを厳しくするということに関しての課題意識として、ちょっと余談も含めてですけれども、お話をさせていただきました。
以上です。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に柳澤委員、どうぞお願いいたします。
〇柳澤専門委員
度々すみません、柳澤でございます。ありがとうございます。
まず、挽委員から会計基礎教育について御賛同いただきました。ありがとうございます。大変力強いお言葉をいただいて、本当に助かります。
今、委員の先生方のお話を聞いていますと、やはり情報開示は自主規制に委ねるべきという御意見が多数あり、これは、我々としては大変助かるといいますか、我々の趣旨と合うところなので、ありがたいと思っているところです。ただし、委員の皆様も自主規制に委ねるのだけれど、一体どのような開示になるのかというのは、いま一つ、不安に感じていらっしゃるとお見受けしました。現在、日本公認会計士協会の中で、自主規制を踏まえたところで、中小監査法人の基盤強化の観点からどういう情報開示が必要なのかといったことについては、6つの基盤をイメージして情報開示をしてもらおうと考えています。
1つ目は、品質管理基盤です。これは、堀江委員がお骨折りいただいています監査に関する品質管理基準の導入を踏まえ、それをしっかり適用しているかどうかということについて、その基盤を説明していく。
2つ目は、ガバナンス基盤です。これは、今もお話に出ていますように、監査法人のガバナンス・コードをしっかり受け入れて、その適用状況を説明していく。
それから、3つ目は、何といいましてもIT・デジタル基盤です。現在、監査法人がIT・デジタル基盤に対してどのような取組み、どのような方向性を持っているかということを説明していく。
4つ目は、人的基盤です。これは非常に大事です。しかし、先ほどから出ております、公認会計士である社員が5名というのは確かに重要なファクターではあるのですが、社員の数だけではなくて、どういうキャリアの社員なのかを説明することが重要です。また、社員はパートナーですから、一番大事なのは、そのパートナーの下にいるマネージャー、シニアクラスですので、どういったマネージャーがいるのか、どういうシニアがいるのかということ、また、新人がどのような形で採用されているのかという人的基盤をしっかり開示していく。
5つ目は、財務基盤です。やはり報酬依存度15%の問題もございますが、特定のクライアントに依存しない、しっかりした財務基盤を持っているということを開示していくことも大事だと思っています。
そして、6つ目は、先ほどお話に出ていますが、国際対応基盤です。中小監査事務所といえども国際対応していくのは必須の問題でございますので、もちろん程度の差、対応の仕方は様々あると思いますが、その監査事務所がどういうポリシーで国際対応を行っていくのかということを自ら開示していく。
この6つの基盤を自ら開示しますと、マーケットの方、企業の方が比較検討もできますし、また、日本公認会計士協会としましては、それぞれの基盤においてモデルケースをある程度示しながら、やっぱり、このハードルは越えてくださいねということを暗に示すことによって、一定のハードルをそれぞれの監査法人に求めていくようなことも、支援の一環として行っていけるのではないかと思っております。自主規制といっても、こういったことをベースにしながら、堀江委員も言っていただきましたけれども、最終的には魅力ある監査品質を我々自らがマーケットに訴えていき、自分たちの法人は、こういう魅力的な監査品質がありますよということが言えるような、そういう情報開示というものを実現したいと思っているところで、そのようなことを今、検討しているということでございます。
以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
以上で、本日御出席の委員の皆様方全員から御意見をいただくことができました。どうもありがとうございました。
それでは、チャットいただいておりますので、手塚委員、どうぞお願いいたします。
〇手塚専門委員
すみません、2度目のお時間をいただきまして、ありがとうございます。委員の皆様の発言の中で、私がコメントをしたほうがいいと思ったことについて、幾つかお話しします。
まず1つ目は、個人事務所の件なのですけれども、個人事務所で日本公認会計士協会の上場会社監査事務所名簿に載っている事務所数は、先ほど御紹介あったとおり、11事務所です。そのうち2つは上場会社の監査をしていませんので、上場会社監査をしている事務所は、今年の3月末時点では9事務所です。その9事務所のうち1事務所は、今年の7月に監査法人になりましたので、現時点において個人事務所で上場会社を監査している事務所は8事務所、対象となる上場会社は5社。これ、本当に正確かどうかはまた後で確かめてもし間違っていたら次回訂正しますが、現時点における認識です。その対象となる上場会社は、比較的規模が小さい、また時価総額も小さい会社であって、個人的な実務感覚からいくと、1社ないしは2社だけを担当するのであれば、個人事務所でも監査することは可能であると私は思います。ただし、個人事務所だからこのままでよいと思っているわけではなく、やはり組織的運営をするのであれば、ガバナンスというものは必ず必要になります。それは、組織の規模、実態に応じてガバナンスのありようも方法論としては変わると思いますけれども、私が監査法人の経営をしてきて感じているのは、ガバナンスの根幹は組織の対応、規模にかかわらず共通だと思っています。日本で1つだけ解散をした大手監査法人がありますけども、そこの経営をした経験上、これは確信しております。したがって、監査法人のガバナンス・コードの適用が個人事務所だからといって直ちに適用除外になるとは考えていません。然るべき組織的な対応をしていただく、これに尽きると思います。そういう意味では、監査品質が大前提なのだという御発言に対しては、日本公認会計士協会としてしっかり応えたいと思います。
もう一つは、堀江委員から御指摘があった監査の意義です。当然、重大な不正を犯している企業に関しては、その不正を早期に発見する。あるいは、そういうリスクを抱えている企業に対しては不正を防止するという役割を監査事務所が担うことは当然であると思っています。しかしながら、その一方で見方を変えると、日本の上場会社というのは、東京証券取引所だけでも3,800社を超えています。時価総額は700兆円を超えているわけです。それに対して監査報酬は、私どもが把握していると2,000億円ぐらいです。ですから、時価総額の0.02%~0.03%のコストで700兆円を超える時価総額を支えているわけです。これについて、監査がなくなったとしたらどうなるかというと、大変なことになると思っているのです。700兆円の時価総額が幾ら減少するか。取引コスト、資金調達コストが非常に高くなって、特定の本当に信頼できる企業にしか投融資が行われないのではないかというのが私の仮説です。そうであるとすれば、マーケットの時価総額は明らかに落ちるはずで、そういった認識を持って、我々は監査をしているわけです。ですから、そこは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。そういった仕事に誇りを持って、上場会社の監査人は仕事ができるように対応していきたいと思っています。
あとは、長嶋委員から言及のあった実務経験3年というのは、佐藤委員からもお話がありましたけど、1つは、外国がおおむね3年ということと、過去のいろいろな議論の中で、やはり、実務補習の3年を少し短縮してもいいが、実務経験3年のほうがいいという議論はしてきたのです。これについては、最近、45%近くの論文式試験合格者が在学生で、そのうち3年生が多分一番多いのではないかと思います。そうすると、彼らには、挽委員の御指摘にもあったように、学生であることに配慮し、監査法人は仕事を多く与えてはならないと思っています。現在は、監査法人は規律正しくやってくれていると思っていますが、その一方、少し中途半端に実務経験を積んでしまうというケースはやはりあります。パートタイマーで働いて、一応、一定時間超えると実務経験に加算されるので、本当にそれでいいのかいうと、2年よりも3年にして、フルに働く期間を少し確保したほうが、世の中のためになるだけの能力を持って公認会計士登録していただけるのではないかという考えでございます。ただし、本当にそれがいいのかどうかというのは、しっかり議論する必要があると思いますので、いま一度、最終回までの間に検討してまいりたいと思います。
私としては、今日申し上げたいことは以上です。ありがとうございました。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。
あと、堀江先生からチャットをいただいておりますけれども、私の理解ではチャットは記録に残らないので、ちょっと読み上げさせていただきます。論点7についてのコメントを失念してしまいました。大賛成です。できれば、会計の魅力を伝え、育成するようお願い申し上げます。以上です。というチャットを全員宛てにいただいております。どうもありがとうございました。
それでは、幹事及びオブザーバーの皆様方で御発言ございましたら承りたいと思います。ちょっとその前に、今、長嶋委員からチャットいただきましたので、もし御発言があればお願いいたします。
〇長嶋臨時委員
恐れ入ります。御礼を手塚委員に申し上げようと思っていまして、実務経験2年、3年の議論のところですけれども、背景もよく理解できました。それと同時に、3年を正とするならば、非常に優秀な方のパスみたいなもの、こういうレベルの方々にインタビューがパスをすれば2年でもオーケーみたいな形で通るような道というか、日本は何事もすごく天才児みたいな人たちのパスが少ないと思うところもありまして、一定の要件を満たした場合の2年のパスみたいなのも残していただければという程度のリクエストを申し上げたのですが、背景を理解しました。
ありがとうございました。御礼申し上げます。
〇神田部会長
ありがとうございました。皆様方からは、非常に重要な御指摘、そしてまた貴重な御指摘を多数いただきまして、どうもありがとうございました。
幹事とオブザーバーの皆様方からもし御発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。チャット欄に記入していただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
東京証券取引所の青さん、どうぞお願いいたします。
〇東京証券取引所
御指名ありがとうございます。東京証券取引所の青と申します。
取引所といたしまして、市場運営をする立場から、3点ほどコメントさせていただければと思います。
まず、1点目につきましては、上場会社監査事務所の体制のところでございますけれども、(通信不良)
〇神田部会長
少し声が途切れて聞こえませんので、皆様方、大変申し訳ありませんが、カメラ、画面を一旦オフでお願いできませんでしょうか。青さん以外の方々にも御協力いただければありがたく存じます。
〇東京証券取引所
すみません、ちょっと音声が届きにくいようでございますので、次回にコメントさせていただきます。
○神田部会長
それでは事務局のほうに御意見をいただいて、それをまた皆様に御披露させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
○東京証券取引所
はい。
〇神田部会長
ありがとうございます。ちょっと回線が不安定なためにお声が途切れまして、そういうことになりました。扱いについては、また事務局と御相談させていただき、場合によっては、その御意見を議事録に付記させていただくという方法もあり得るかと思います。どうもありがとうございました。
それでは、東京証券取引所以外の幹事、オブザーバーの皆様方から、もし御発言があれば承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。なかなかすぐチャットに書き込めないということはあるかもしれませんけれども。
それでは、繰り返しになりますが、委員の皆様方からは非常に重要な御指摘や貴重な御指摘を多数いただきまして、誠にありがとうございました。
上場会社監査の問題ですとか、実務経験2年か3年かという議論も含めてかもしれませんけれども、少し御意見やニュアンスが分かれる点はあろうかと思いますが、大きな方向性については、おおむね御賛同いただけているように理解をいたしました。
そういうことでございますので、今日はちょっと予定の時間よりは早いのではありますけれども、もし追加で御発言等がないようでしたら、このあたりとさせていただきたいと感じます。委員の皆様方で、もし追加での御発言があれば承りますけれども、いかがでしょうか。
それでは、もしまた後ほどお気づきの点等ございましたら、メール、電話等で事務局までお知らせいただければありがたく存じます。
それでは、最後に事務局から連絡等ございましたらお願いいたします。
〇廣川企業開示課長
ありがとうございます。次回の日程等につきましては、皆様の御都合も踏まえまして、事務局より別途御案内をさせていただきます。
以上でございます。
〇神田部会長
どうもありがとうございました。本日も大変活発な御議論をいただきまして厚く御礼申し上げます。
以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
以上
お問い合わせ先
金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局企業開示課(内線3810)