金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第5回)議事録

  • 1.日時:

    令和4年12月6日(火曜)13時00分~15時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
     

金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第5回)
令和4年12月6日


【神作座長】  定刻になりましたので、ただいまより、顧客本位タスクフォース第5回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところ、誠にありがとうございます。
 
 それでは、早速ですが、議事に移らせていただきます。前回会合でも申し上げましたとおり、本日は中間報告案について御議論いただきたいと思います。まず、事務局より報告案について御説明をいただき、その後、皆様から御意見をいただきたいと存じます。
 
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
 
【桑田市場企画管理官】  お配りしている事務局説明資料について御説明いたします。
 
 資料1といたしまして、前回御議論いただきました顧客本位タスクフォース中間報告(案)の改訂版をお示ししております。
 
 まず、1ページ目の28行目以降ですけれども、「1.インベストメント・チェーン全体における顧客・最終受益者の最善の利益を考えた業務運営の確保」です。
 
 全ての金融サービスの提供について、顧客本位の業務運営が求められる中、その取組の定着、底上げを図る観点から、金融事業者は、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきであることを広く金融事業者一般に共通する義務として定めること。また、金融事業者のほか企業年金制度等の運営に携わる者も規定の対象に加えることにより、取組の横断化を図るべきであることなどを、前回同様記載しております。
 
 この点に関しては、脚注2においてですが、前回の会合で頂戴した御意見を踏まえ、この義務は既存の誠実公正義務と同様に、具体的な行為規制が捕捉しづらい行為を規制する際の指針としての役割が期待されること。金融事業者一般に共通する義務であっても、金融事業者の業態等に応じて個別に判断されるべきであること。監督当局においては、金融事業者の創意工夫が発揮されるよう対話に臨むことが期待されることなどを記載しております。
 
 これに加えて、顧客にふさわしいサービスの提供を求める原則6の法定化や、企業年金について、年金加入者の意思決定に資する分かりやすい適時の情報提供等が望まれる旨の御意見があった点につきましても、2ページ目の脚注3、3ページ目の脚注4、それぞれに記載しております。
 
 次に3ページ目の「2.(1)顧客等への情報提供」についてです。ここでは現在、重要情報シートにおいて記載することが求められております利益相反の可能性、これについてはルール化を行うべきであり、その際、少なくとも重要情報シートの記載事項とされている3点、ア、イ、ウを対象とすることが必要であること。これも前回同様記載しております。
 
 こちらにつきましては、脚注8と脚注10になりますけれども、金融事業者がルール化されたミニマムスタンダードの遵守にとどまらず、独自の創意工夫を継続することが重要であること。個別商品ごとだけではなく、金融事業者の業務全般から見た顧客との間の利益相反の可能性を示す必要があること。利益相反の可能性の具体的な内容に加え、その可能性が取引や業務に及ぼす影響や利益相反管理状況についても情報提供を義務づけるべきではないか等の意見があった旨を記載しております。
 
 4ページ目の「②デジタル技術の情報提供への活用」に関しましては、117行目ですが、書面とデジタル手段の選択については、顧客本位の観点から行うものであることを加筆いたしましたほか、5ページ目に移りまして、130行目ですが、制度変更に伴う顧客保護のための配慮は、個々の金融事業者に加えて、行政や業界全体においても必要であることを加筆しております。
 
 また脚注14においては、受け取った情報を顧客が閲覧しているかを金融機関が確認し、内容を理解しているかをモニタリングするなど、デジタル化を活用した対応を行っていくべきだという意見や、デジタルデータの特性を活かして、関連情報の参照を可能とする工夫を行うべきという意見があったことも紹介しております。
 
 137行目以降は、「(2)顧客の立場に立ったアドバイザー」についてになります。前回多くの御意見を頂戴した項目になりますけれども、まず安定的な資産形成を実現していくためには、ライフプラン等を考慮した上で、家計管理、資金計画、税制優遇制度や金融商品について、手軽に良質なアドバイスを受けられることが重要ですので、インベストメント・チェーンにおいて顧客と販売会社の間に入り、顧客の判断をサポートするアドバイザーの役割が大きい旨を記載しております。
 
 しかしながら、146行目に書いておりますとおり、特定の金融事業者や金融商品に偏ったアドバイスが行われているケースが見られるなどの課題が指摘されているところです。
 
 この点につきましては、アドバイザーになり得る主体が様々であること等に鑑みますと、顧客の立場に立った良質なアドバイスの普及に向けては幅広く議論を進めていく必要がありますが、6ページ目の150行目に記載しておりますとおり、今回はその方策の1つとして、一定の中立性を有するアドバイザーの見える化、具体的には中立的な常設組織による認定アドバイザーのリスト化と公表、これを進めていくことが考えられます。
 
 この認定アドバイザーについてですが、日本のアドバイス・サービスの利用状況を踏まえ、こうしたサービスの立ち上がりを支援することを161行目以降に前回同様記載しております。
 
 また、認定アドバイザーについて、投資助言業登録の有無は問わないとすることが適当であると考えられますが、個人が個別商品についてのアドバイスを受けられる機会、これを拡大する観点から、認定アドバイザーが投資助言業登録を受けるという場合には、助言対象を絞った上で登録要件を緩和することが考えられる旨を前回同様166行目以降に記載しております。
 
 なお、脚注22ですけれども、この助言対象の絞り方につきましては、つみたてNISAやiDeCoの対象商品に加えて、企業型DCも含めるべきとの御意見、つみたてNISA等の制度内での投資に限定せず、同一の商品であれば、制度外の場合における助言も認めるべきとの意見があった点についても言及しております。
 
 7ページ目は、「3.資産運用業」に関する記載となりますが、前回御意見いただきましたとおり、金融機関グループにおける位置づけを明確にすることの必要性について、194行目、また8ページ目の216行目に加筆しております。
 
 同じく8ページ目の「Ⅲ.金融リテラシーの向上」に移りますけれども、金融経済教育に関する取組の量の少なさや各主体による取組が十分調整されていないため非効率な面もあるとの問題意識から、業界横断的な取組や金融経済教育の推進主体の常設化の必要性についての御意見があったことを前回同様記載しております。
 
 その上で、前回会合での御意見を踏まえ、9ページ目の245行目ですが、「誰一人取り残さず、広く、定期的に」こうした教育を受ける機会の提供が必要である旨を加筆した上で、246行目より、「国全体として、中立的な立場から」、金融経済教育を推進するための常設組織を早急に構築すべきであると締めくくっております。
 
 10ページ目の「Ⅳ 総合的な資産形成支援」については、前回会合から特段変更はしておりませんが、資産形成支援に関しては、関係省庁、地方自治体、民間団体等が連携して取り組む必要がありますので、276行目ですけれども、「国全体として総合的かつ計画的に推進すべく、政府の『基本的な方針』を策定すべきである」旨を記載しております。
 
 続きまして、資料2について御説明いたします。先週11月28日に開催されました新しい資本主義実現会議におきまして、資産所得倍増プランが取りまとめられました。
 
 まず1ページ目はアドバイザーについてですが、顧客の立場に立ち、信頼されるアドバイザーの見える化を進めるため、新たに設置する公的組織によるアドバイザーの認定や支援策について記載されております。
 
 次に2ページ目の1つ目の丸ですけれども、助言対象を絞った投資助言業の登録要件の緩和について盛り込まれております。
 
 また、金融経済教育の実施に当たっては、金融経済教育推進機構を令和6年中に設置すること。その際、日本銀行が事務局を担う金融広報中央委員会の機能を移管・承継するほか、運営体制の整備や設立・運営経費の確保に当たっては、政府・日本銀行に加え、全国銀行協会・日本証券業協会等の民間団体からの協力も得る旨も盛り込まれております。
 
 この金融経済教育推進機構が中心となり、企業での職域教育や地方自治体による金融経済教育の実施、広く国民に訴求する広報戦略の展開などを、官民一体となって効率的・効果的に実施していくこととされております。
 
 3ページ目は顧客本位の業務運営についてになります。金融事業者や企業年金制度等の運営に携わる者について、横断的に、顧客等の利益を第一に考えた立場からの取組の定着や底上げが図られるよう、必要な取組を促すための環境整備を行うこと。ルール化等により、金融商品の手数料などのコストや利益相反の可能性の見える化を進めることにより、「顧客本位の業務運営」の推進を一層強化すること。企業年金等のアセットオーナーに関しては、関係省庁が連携して幅広い関係者との継続的対話の体制を整備し、運用体制・手法に係る調査研究の実施やベストプラクティスの共有・普及を図るなど、運用の改善に向けた対応を進めることが盛り込まれております。
 
 これらの施策の詳細につきましては、多くが顧客本位タスクフォースで御議論いただいているものになりますので、いただいた御意見、おまとめいただく報告内容に基づき、施策の実施に向けた検討を金融庁として進めてまいりたいと考えております。
 
 事務局の説明は以上になります。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。
 
 それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえて、御意見を頂戴できればと思います。今回も多くの委員の方に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間といたしましては4分ないし5分を目安としていただければと思います。4分を過ぎますと、事務局から発言時間の残りが1分である旨のチャットが発言されている委員の方のみに送付されますので、発言時間の御参考にしていただければと思います。
 
 それでは、御議論をお願いできればと思います。御発言の希望をチャットでお寄せください。
 
 岩城委員、御発言ください。
 
【岩城委員】  岩城でございます。ありがとうございます。御報告書、本当にありがとうございます。
 
 報告案に示されていますように、金融経済教育を進めていく公的機関は、国が主体となり、専ら国民のライフプランに合わせたマネープラン実現のための自助努力への支援、金融リテラシー向上のための金融経済教育の実行を目的にしていただきたいと思います。
 
 同時に、機構が認定、育成するアドバイザーは、顧客の立場に立ち、専ら顧客の利益のみを考えて必要なアドバイスができる顧客本位なアドバイザーであるべきだと思います。
 
 報告案に、「中立的な」ではなく、「顧客の立場に立ったアドバイザー」と明記され、ライフプランに基づいたマネープランを公的年金制度、私的年金制度も含めて考えていくこと、インベストメント・チェーンにおいて顧客と販売会社の間に入り、顧客の判断をサポートするアドバイザーの役割の重要性を御認識していただいたことは大きな進歩かと存じます。
 
 今後は何をもって顧客本位と定義するのか、認定基準を分かりやすく公表し、行く行くは誰が認定されたアドバイザーであるのか、認定者のリストの公表、そして、このアドバイザーがどんな人で、何を相談できるのか、育成プログラムの公表も不可欠だと考えます。これらを引き続き議論、検討していくことを強くお願いします。
 
 この報告書の報告案の方向性がぶれることなく、国民本位で、きめ細やかに、そして丁寧に進められていくことを重ねて強くお願いしたいと思います。
 
 以上です。ありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。
 
 続きまして、佐々木委員、御発言ください。
 
【佐々木委員】  ありがとうございます。私から簡単に3点だけ申し上げます。
 
 1つは、ルール化の部分ですが、これは本当に感想ですけれども、やはり規制をルールで当てはめるのは限界があるということでプリンシプルベースを目指してきたわけですが、実際は、インセンティブに合わない部分はなかなかプリンシプルベースでやっていっても守られないという部分があると思いますので、今回のルール化はそういう意味で必要なこととは思います。
 
 ただ、例えばこれまで様々な形で見える化を金融庁が進めてきたのは、やはりルールで何でも決めるのではなくて、自助努力などを施すといった側面があったと思いますので、今後もそういった面での顧客本位の業務運営の追求というものも同じく進めていっていただきたいという希望を持っております。
 
 また、2点目ですが、アドバイザーについては、我々の議論を非常によく取り入れていただいた形にしていただいてありがとうございます。
 
 ただ、これは、最終的な中間報告を見たときに、かなり具体的な案であり、認定アドバイザーという言葉を初めて見た人は、何か新しいものができるのかというインパクトを受けるだろうと私は思いました。
 
 これは資料2(第3回資産所得倍増分科会資料からの抜粋)のほうも併せて見てみますと、実際かなり具体的な案として進められるのかという印象を持ちました。同じく、これは3点目になりますが、金融リテラシーを考えていくに当たって、金融広報中央委員会を利用しつつ、うまく中立的なものをつくっていったほうがいいのではないかという意見は私も申し上げたので、それが具体化されていてよかったとは思いますが、資料2に書いてあるように、金融広報中央委員会を中心にしてそういった機関をつくり、また、認定アドバイザーという形のものをやっていくということは、我々としてはやったほうがいいという意見ではありましたけれども、具体的に進めていくということなのかどうかを、資料2との関係がよく分からなかったので、よろしければその点は教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
 私からは以上です。
 
【神作座長】  3点目は御質問であったと思います。事務局から御回答をお願いできますでしょうか。
 
【桑田市場企画管理官】  御質問ありがとうございます。顧客本位タスクフォースでの御意見に沿った形となっていると言っていただきましたが、それを踏まえてこの施策を進めていくということだと考えておりますので、引き続き、御助言、御指導などよろしくお願いいたします。
 
【佐々木委員】  分かりました。具体的にそういう形で進めていく、資料2のような形で、私たちの意見も反映した形で進められていくということがもう決まったということですね。そういうことでよろしいでしょうか。
 
【桑田市場企画管理官】  はい、結構です。詳細についてまたいろいろと御意見いただくこともあるかもしれませんが、進めていきたいと思っております。
 
【佐々木委員】  分かりました。どうもありがとうございます。以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、有吉委員、御発言ください。
 
【有吉委員】  有吉でございます。まず短期間で幅広い論点を取り扱う中、今回の中間報告案の取りまとめをなさったことに事務局に対して敬意を表したいと思います。少数意見も配慮していただいたような内容になっておりまして、私としては、この中間報告案の内容について、特に反論もなければ、追加のコメントもない状況でございます。
 
 1点だけ、アドバイザーの関係で発言させていただきたいと思います。このタスクフォースでは、制度論ということで、中立的なアドバイザーに関する検討が中心であったと思うわけでございますけれども、これまでの会合でも発言させていただいたことがありましたとおり、専門性や信頼性という観点からは、販売業者などの金融機関によるアドバイスの重要性についても引き続き高いものがあると考えております。
 
 このようなアドバイザーについては、今年の6月の市場制度ワーキング・グループの中間整理であるとか、それから、今回の中間報告の利益相反管理に関する情報提供の提案などを踏まえて、法令改正が進められていって、制度整備が図られていくと理解しております。
 
 そういった、今回の中間報告の言葉を使えば「中立性を有しない」アドバイザーについても、顧客の立場に立ったアドバイザーにはなり得ると思いますので、このようなアドバイザーの活用についても引き続き政策的な検討を進めていただきたいと思います。
 
 また同時に、日本証券業協会、全国銀行協会、信託協会といった業界団体の方々には、アドバイザーの活用という点について、ぜひ実務的な取組を進めていただきたいと期待しております。
 
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、島田委員、御発言ください。
 
【島田委員】  イボットソンの島田でございます。広範な議論を短期間でまとめ、細部の注釈まで意見を拾っていただいてどうもありがとうございます。今回の中間報告は、多くの国民にとって今後資産形成に取り組むための土台となると、大きな期待を寄せております。
 
 最も大切なのは、投資の連鎖に関わる業務を行う全ての者が、顧客、最終受益者の最善利益を最大化する、この機能を果たすべきものであるということを共通の認識としてさらに深め、実践としていく土台となるということです。
 
 ここをはっきりと掲げたことをメディア等も注目していただきたいと思います。今までも繰り返し言われてきましたけれども、掲げるだけではなくて、これが関係者、あるいは政策をつくる方たち、全てだと思いますけれども、皆様に定着して、業界の常識となるまで繰り返し肝に銘じるような組織・業務推進の形に整えていただく必要があります。
 
 今後も、その進展を注視し、評価を行い、よいところは共有できるよう発表し、必要に応じて迅速に軌道を整えて補強していただきたいと思います。
 
 貯蓄から投資へという旗を掲げることは、私たち国民を行動変容に導くことだけが目的ではなく、その結果、皆が貯蓄から投資へと一歩踏み出して本当によかったと、貯蓄だけをしていたよりも資産形成に役立ったと実感できることが最終目的だと思います。
 
 投資は自己責任ではありますけれども、投資へと誘導するならば、投資をさせて、あとは自己責任ですとは言い切れません。そのために、ここで議論されたような教育とアドバイスというインフラを、変容を求める者の責任としてまずは整えていくのだと思います。国民をサポートする両輪としてのこの2つの施策は非常に重要だと思いますけれども、皆さんがそれを活用していただく中で、インフラが整ったというだけではなくて、みんながそのプールに入ってみたら、サメがいた、衛生状態が悪かったといったような事態が起きないように監視していくことがますます重要になると思います。このプールが泳ぐのに妥当な場所だということを私たち国民が確認できるよう分かりやすく示していただく必要があります。
 
 果たして、中立的アドバイザーというものはどういう存在なのか、顧客の立場に立って最大利益を優先してくれるというのはどういう意味なのかということについての共通認識も知識も私たちにはまだない段階だと思います。
 
 そして、この要件を緩和して個人向けアドバイザーが認定されることになりますが、アドバイザーになりたいという人は、様々な職歴、業務経験や所属機関との関係を持った人々が想定されます。能力がある人がなりたいと思えることが最も重要ですが、同時に、認定する機関が関連団体からも資金や人材を提供されている新たな統一された金融教育組織であるならば、関連団体との利益の影響を受けない、顧客の立場に立った中立性の信頼が得られる認定となり、アドバイザーとの関係であるという信任を得ることも大切です。
 
 個々のアドバイザーについても、顧客がその中立性を自身の判断基準とできるよう、十分に分かりやすく、そして利益相反や収益の源泉について、さらに踏み込んだ開示をすることが課題となります。
 
 ルール化についても、ミニマムスタンダードでの底上げとともに、引き続きプリンシプルベースでの顧客本位の取組を推進するよう注釈にも書いていただいているところは非常にありがたいと思います。この動機づけを含めて、今後もぜひ改革を進めていただきたいと思います。
 
 今、報道において既に重要情報シートほかの記載事項のルール化について業界からの懸念を幾つか見かけております。非常に低いハードルを設けてもそのような意見が出てくるということ自体が、顧客本位という考え方が十分に浸透していないことを示しているようにも思われてなりません。ルールは一番低いハードルであり、その先の自主的な取組が求められていることを踏まえ、先駆的な企業に視線を合わせて評価を続けるよう、お願いしたいと思います。
 
 今回の議論を含めて、インベストメント・チェーンにより多くの投資家がつながり、より活力のある社会となることを期待しております。
 
 以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、渡辺委員、御発言ください。
 
【渡辺委員】  ありがとうございました。中間報告案については、いい形にまとめていただき、どうもありがとうございました。コメントも丁寧に反映していただきまして、どうもありがとうございます。大変よい内容になったのではないかと思っています。
 
 私からは2点のみです。どちらもこれまでもお伝えしてきたことですけれども、1点目は、金融経済教育推進機構についてです。これは設立時からきちんと意味のあるKPIを設定してそれをモニタリングするような体制を構築していただきたいと思います。
 
 また、政策の効果検証、特に金融教育は政策の効果検証が割としやすいような類いの政策かと思いますので、施策の効果検証をEBPMの観点を徹底して進めていただくようにしていただきたいと思います。
 
 もう一つは、アドバイザーの中立性の認定の見える化という話もありましたけれども、そこでコメントにも書いていただいていますように、それに限らず、この先、今回はそこまではいけないということだと思いますけれども、中長期的に顧客本位の業務運営ということを考えたときに、同じことを繰り返していますが、販売時のミクロデータを業者の方々から、基本的には金融庁のほうに見えるようにすることで、できればできる限り細かいレベルで見えるようにすることにより、常に顧客本位の業務運営になっているかということをモニタリングできるような仕組みを中長期的には進めていただけるとよいかと思っております。
 
 私からは以上2点でございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、竹川委員、どうぞ御発言ください。
 
【竹川委員】  竹川です。報告書、非常に詳しくまとめていただきまして、ありがとうございました。私のほうから意見として4点、最後に申し上げたいと思います。
 
 まず1点目は、顧客本位の業務運営原則についてです。一部ルール化の方向性が示されたとはいえ、3ページ目の注の8に、「金融事業者がルール化されたミニマムスタンダードの遵守にとどまることがないよう独自の創意工夫を続けていくことが重要」とありますが、ここが本当に重要だと思っています。今でも創意工夫に取り組んでいる事業者もありますが、ルール化されたミニマムスタンダードの遵守にとどまらず、プリンシプルベースで継続的に(創意工夫に)取り組んでいただきたいです。
 
 2点目はアドバイザーについてです。まず、認定アドバイザーについてですが、今回1つの方策として、金融経済教育推進機構が認定アドバイザーを認定するという話が出ました。その際に、能力や実務経験など資格要件についても機構はよくよく検討をしていただきたいです。認定基準については公表をしていただくことが必要だと思います。
 
 また、認定するだけではなくて、認定した後のほうが大事で、監督やフォローアップをどこが行うのか、また、どうなると認定が取り消されるのかといった基準をあらかじめつくっておくことが必要だと思います。
 
 そして、今回は認定アドバイザーに限った議論になっていますが、将来的にはもう少し幅広い視点での議論が必要だと考えます。
 
 例えば、FA(ファイナンシャルアドバイザー)でも、(取り扱う)投信の信託報酬を一律にして顧客からのアドバイスフィーを受け取る事業者もありますし、販売金融機関でも、購入時手数料を無料にし、投資助言会社を別途つくってアドバイザーフィーを取る取組を行う事業者も出てきています。
 
 ですので、今後は、それぞれの業態に合った顧客の立場に立ったアドバイスの形、手数料体系などについて、もう少し俯瞰して議論していく必要があるのではないかと考えます。
 
 3点目は、確定拠出年金についてです。前にも申し上げましたが、情報開示や継続教育研修などについてはまだまだ課題も多いので、ぜひ厚生労働省と協力をして、横断的に顧客本位の業務運営が進むように取組を進めていただきたいと思います。
 
 最後に4点目です。顧客本位の業務運営ということで話し合ってきましたが、国も顧客本位の業務運営を考えていただきたいと思います。個人が使いやすいようなシンプルな制度の構築、また、ライフスタイルが多様化する中で、各種手続きや資産の移換等に手間や時間がかかるという課題があります。そうしたことも国として改善に取り組んでいただきたいと考えます。
 
 以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、松尾委員、御発言ください。
 
【松尾委員】  ありがとうございます。松尾です。適切に報告案をおまとめいただき、ありがとうございます。内容には全く異存ございません。
 
 1点、アドバイザーに関してお願いを申し上げます。アドバイザーについては、現在、アドバイザーと言えないような不誠実、悪質な業者が投資助言的なことをして、そういったところに飛びついた人に被害が及んでいるという現状があるかと思います。
 
 そういった悪質、不誠実な人々が跋扈しているようでは健全で誠実なアドバイザーを育成するということの妨げになりますし、国民の投資に対するイメージも悪くするということになろうかと思います。
 
 ですので、ぜひそういう悪質な投資助言的なことをやっている業者、特に投資助言に該当するようなことをやっておりながら投資助言業の登録をしていないというような人々の取締りを強化していただきたいです。
 
 それからもう一つは、今回の認定アドバイザーという制度がそういった不誠実な人々に利用されないように、もちろん入り口のところで適切にそういった人々を排除していただくということが必要かと思いますし、一旦認定を受けてからも、何かしらの理由でそういった悪い方向に進んでしまうような方が出てこないように継続的にモニタリングをしていただきたいということを申し上げます。ありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、佃委員、御発言ください。
 
【佃委員】  どうもありがとうございます。この中間報告案につきまして、短期間に大変よくまとめていただいたと思います。まず事務局に敬意を表したいと思います。その上で1点だけコメントさせてください。
 
 この中間報告案の2の3、資産運用業についてですが、194から195行目、そして216から217行目で、先ほど事務局から御説明ありましたとおり、日本の資産運用会社の金融機関グループ内における位置づけ明確化の必要性につき、記載いただき、ありがとうございました。私といたしましては、この中間報告案の内容に賛同いたします。
 
 そして、この中間報告案が顧客本位の業務運営の高度化につながり、日本の金融事業者全体の発展につながることを切に祈っています。
 
 以上です。ありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、坂委員、御発言ください。
 
【坂委員】  おまとめありがとうございました。中間報告案につきましては、これまでの議論を踏まえて適切におまとめいただいております。報告については、この内容でお願いしたいと考えております。
 
 中間報告を前提に、今後の取組という視点から4点、手短に述べたいと思います。
 
 第1に、家計からの成長資金を企業価値の向上、経済の持続的成長につなげていくためには、適切な先に適切な形で資金が提供されるということが必要です。不適切な先や不適切な形で資金が提供されると、資金の流れが量的に増えたとしても、かえって成長を阻害することになりかねません。成長資金の提供について、量とともに質を高めることが必要であり、販売業者や投資者によるインベストメント・チェーンがある意味適切に役割を果たし合って成長を促す資金の流れをつくっていく。そのための制度という視点が肝要と考えます。
 
 第2に、中間報告のとおり、取組はいまだ道半ばの状況にあります。今回顧客の最善の利益義務の法定化が行われます。金融事業者の皆様におかれましては、指摘されている課題の克服や、さらに今後より洗練されたサービス提供を実現するために、これを機会に顧客の最善の利益のためにマインドセットをさらに高度化、あるいは変革をする取組を期待したいと思います。
 
 第3に、今後、プロダクトガバナンス等については引き続きの検討が行われるものと思いますが、今後の議論の中では顧客本位の業務運営原則の原則6についてもさらなる議論の深化を期待したいと考えます。
 
 アプローチとしては、原則6本文について、エンフォースメントの実行を図りつつ法定化すること、あるいは原則6の注記に記載されている各事項について、具体的にルールベースの法定化を図ることなどが考えられると思います。規制のベストミックスを念頭に複線的、複眼的に検討することも必要と考えます。
 
 第4に、今の点とも関連しますが、今後の議論の深化には引き続き米国のベストインタレスト規制等、海外の実践が参考になると考えられます。海外の制度整備が販売業者や外務員の行動にどのような影響を及ぼしたのか、投資者行動にどのような影響を及ぼしたのか、あるいはどのような新たなイノベーティブな取組を生み出したかについて、今後さらに諸方面で認識、検討が深まることを期待します。
 
 イノベーションのためには適切な規制枠組みが必要と考えますが、インターネット社会における国際競争という環境に鑑みてもこのような検討が重要と考えます。
 
 いずれにせよ、まずは今回の中間報告に基づいた具体的な制度整備を着実に進められることを期待します。
 
 以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、野尻委員、御発言ください。チャットをお寄せいただいた順序と前後してしまい失礼いたしました。野尻委員、どうぞ。
 
【野尻委員】  ありがとうございます。まず、非常に広範な意見をまとめていただきました事務局には感謝したいと思います。
 
 文案の中身に関して、異論はありません。脚注でいろいろなところを意欲的に取り組んでいただいたのではないかと思っております。
 
 そういった中で、2つ付言をさせていただきたいと思っています。
 
 1つ目は、これも既に何人かの委員の方が言及されましたけども、インベストメント・チェーンに関わる関係者全てが、顧客の最善の利益とか、利益相反だとか、顧客本位とは何かとかといった、今回のこの議論の中核にあるものを改めて認識をし、最もいい形で自分たちがビジネスに反映させていくというところをぜひ文案だとか内容とは別な次元で考えていただけることが大事ではないかと考えています。
 
 2点目は、アドバイザーに関してですが、今回、資産形成に関するアドバイザーが中心となった議論がまとまってきた、進めてきたと理解しております。ただ、文案にもありましたように、仕組債などが販売されてトラブルになっているということは、どちらかといえば現役層よりも退職者世帯の層、高齢者層ではないかと思っています。私は本来、顧客の側に立ったアドバイスが一番必要なのは高齢者層だと思っています。この議論が、今回の議論だけではカバーできない部分、持ち越しになった部分だと私は感じておりまして、その点では、174行目以降の、今後とも幅広い関連から家計に対するアドバイス、アドバイザーの在り方についての検討を継続していくべきであるという点は非常に大事なポイントではないかと思っています。
 
 以上、私からは2点、付言をさせていただきました。ありがとうございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、松元委員、御発言ください。
 
【松元委員】  発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。まず、事務局にはこの間の様々な議論を適切におまとめいただきまして、誠にありがとうございました。内容としても大変充実した、そして非常に重要な事柄がたくさん盛り込まれた報告書になっていると思います。特に、プリンシプルベースだけでは対応がなかなか難しいのではないかという指摘があった利益相反の可能性の顧客への情報提供の部分についてピンポイントにルール化を行うべきであるという提案については、とても重要な部分だと思いますので、大変重要な方向性が示されたのではないかと思っております。
 
 あとは1点だけ、中長期的な視点でのコメントを差し上げられればと思います。6ページの辺りで、今回アドバイザーについてかなり重点的に御検討いただきましたが、アドバイザーとの関係で、これから顧客がどういった形で実際にアドバイスを受けるのかということについては、まだ何となくイメージがつかめないような状態でして、一体この後、日本の個人顧客がどういった形で金融アドバイスを受けるのかということは、少し長い視点で見ながら環境整備をしていく必要があると思います。
 
 報告書の6ページにも書いていただきましたように、159行目に記載のある、「これまでの我が国における金融ビジネスの慣行や家計のアドバイス・サービスの利用状況を踏まえれば、認定アドバイザーが行うアドバイスが持続可能なビジネスとして成立させていくことには困難が伴う」という点です。果たして個人顧客がどういった形で具体的にアドバイスを受ける形になっていくのでしょうか。
 
 おそらくは販売会社から利益相反についての開示も受けた上で、販売会社からアドバイスをもらうという形も重要な形としてこのまま残るでしょうし、アドバイザー・中立アドバイザー・認定アドバイザーからアドバイスをもらうという方法とあわせて、2つの大きな方法がおそらく併存することになると思いますので、両方の方法につきまして、適切なアドバイスを国民が受けられるように少し長い視点で検討していく必要があるのではないかと思います。
 
 私からは以上です。本当にありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、神田先生、御発言ください。
 
【神田委員】  どうもありがとうございます。神田です。これまでの議論をうまくまとめていただいているとお見受けしました。内容的にこれで大変結構と思いますし、私としても追加での意見等はありません。
 
 1点だけ気がついた言葉の問題を発言させていただきます。資産運用のところで、例えば185行目や198行目に「顧客利益最優先」という言葉が出てきます。その意味するところに異論はありませんけれども、言葉だけを読みますと、「資産運用会社を含む金融商品の組成・管理者には、顧客利益最優先のガバナンス」とあるので、それ以外の金融事業者は、顧客利益最優先ではない基準というか、端的に言いまして、顧客本位、あるいはベストインタレスト、顧客の最善の利益ということなのかという疑問を惹起する余地があるように思いまして、ここは顧客本位、顧客の最善の利益という言葉で整合性を取ったほうがいいかもしれないと少し感じました。
 
 具体的には、185行目でいえば、「顧客の最善の利益を図るガバナンス」とか、あるいは「顧客本位のガバナンス」といった形です。198行目のほうも同じようなことですけれども、ただ、ここは、資産運用会社についてやはり特に問題があるため、顧客利益最優先という言葉をここでは使うのだという、そういう意図であればそれで結構です。
 
 以上です。ありがとうございます。
 
【神作座長】  御指摘をどうもありがとうございました。神田先生の今の御指摘について、事務局から、資産運用会社については他の金融事業者と区別するという意図があるかどうかという御質問だったと思います。それでは、田原審議官、よろしくお願いします。
 
【田原審議官】  御指摘ありがとうございます。神田委員御指摘のとおり、ほかの金融事業者にも顧客利益最優先であるということは間違いがないわけでございますが、かねて当庁の高度化レポートなどでこの用語を使っていましたのは、やはり販売会社との関係に着眼して言葉をこのように使っているということでございますので、そういう意味では少し金融事業者と違う観点があるということは言えるのではないかと思いますが、用語につきましては少し検討させていただいて、また御相談させていただければと思います。
 
【神作座長】  神田先生、よろしいでしょうか。
 
【神田委員】  よく分かりました。どうもありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、永沢委員、御発言ください。
 
【永沢委員】  ありがとうございます。良質な金融商品を育てる会の永沢でございます。事務局の皆様には、報告書のお取りまとめをいただきまして、ありがとうございました。また、前回申し上げました意見を報告書案に反映いただきましたことにもお礼を申し上げます。
 
 改めまして出来上がりました報告書に目を通しまして、ワーキンググループでは様々な意見が出ましたが、いずれの意見も丁寧に反映いただいておりますし、かつ、国民の資産形成を後押しするために必要な施策についてかなり具体的に提案をいただいておりまして、国民からも賛同いただける内容ではないかと私も評価いたします。
 
 その上で私からは3点、感想を申し述べたいと思います。最初に、私は2004年に良質な金融商品を育てる会という会を有志6人で設立して活動を重ねてきましたけれども、会の設立の際に、良質な金融商品とは何かということについて、1か月半にわたって、かなり時間をかけて議論を重ねて、4つの要件を定めました。
 
 その4つとは、第1に、シンプルであること。第2に、コストが合理的で、どんなサービスに対するコストかが説明されていること。第3に、販売段階だけでなく、商品の組成段階から適合性の原則を満たしてほしいこと。そして第4に、商品の提供者としての責任を商品が償還されるまで全うしてほしいということ。この4つを定めて、皆様に公表させていただきました。
 
 1と2はかなり早期に御理解いただけましたけれども、第3と第4の要件については、金融事業者の方々にはなかなか御理解いただけず、残念に思ったことがしばしばございました。とりわけ、金融審議会のワーキンググループの席上で、金融事業者、投信業界の方でしたが、自分たちは部品提供者に過ぎず、商品がどんな人に販売されるかは分からない、販売会社のご要望に応じた部品提供を行うことが自分たちの務めであるという趣旨の発言をされて、とてもがっかりしたことを今思い出しております。
 
 このたびのタスクフォースでは、第3と第4の要件についても、委員の皆様には当然のこととして御審議いただき、18年かかりましたが、大変感慨深いものがございます。その上で、今回報告書には「良質なアドバイス」という言葉が何回か登場しております。先ほどもお話ししましたように、良質な金融商品を育てる会のメンバー6人の間でさえも良質の要件について合意形成するのにはかなりの時間がかかりました。「良質なアドバイス」については、抽象的な言葉にとどまらないよう、その要件の具体化を試みていただきたいと思いますし、また、時代とともにその内容も変わってくるものと思いますので、議論を継続していただくことを希望いたします。
 
 続きまして、2点目ですけれども、ワーキンググループの途中の回で金融広報中央委員会を活用してはどうかということを提言させていただきましたが、さらに一歩進めた、金融経済教育を推進する機構の新設という方針が示されたことを、私は高く評価したいと思います。
 
振り返りますと、2013年にリーマンショックの反省から、先進国の間で国民の金融リテラシーの向上は国の責務であることを確認し合い、金融経済教育の推進に国が積極的に取り組むことが公約となったという経緯でございました。日本においては、その公約を受けて、金融広報中央委員会の下に金融経済教育推進会議が設置され、官民が連携した取組を推進してきましたが、このたび改めて、金融経済教育は国の責務であることを確認し、さらに一歩進めて新機構を設立することとなったことと理解しました。
 
 新機構の活動については、例えば金融審議会のような国民に開かれた場で検討いただき、また、定期的に報告いただき、国民にその活動の見える化をしていただき、活動のPDCAを回していただきたいと思います。
 
 最後に、国の支援に関してでございます。若い世代は当然のことながら資産形成の経験がないわけですから、金融経済教育を受けることは、その後の人生において大変意味のあることです。そして、資産形成に向けた一歩を踏み出そうとする際に適切なアドバイスを受けることができる環境の整備も必要です。アドバイスを受けたいが、お金がないから受けられないというようなことはないようにしなくてはならないと思います。若い世代が、必要と思う時に適切なアドバイスを無償もしくは安価に受けることができることが望ましく、そのための国のサポートが本当に必要であると思います。例えばですが、若い世代にはアドバイスを無償で受けることができるようなクーポンを国が配るというようなこともあっていいのではないでしょうか。
 
 私からは、雑駁な意見ではございますが、以上です。委員の皆様からもいろいろとご教示いただき、ありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。御出席いただいております委員の方全員から御発言、コメントをいただきました。どうもありがとうございました。
 
 それでは、続きまして、オブザーバーの方から御意見がございましたらぜひ御発言をお願いいたします。チャットでご希望をお寄せいただければと思います。
 
 日本金融サービス仲介業協会の中村様、御発言ください。
 
【日本金融サービス仲介業協会】  ありがとうございます。日本金融サービス仲介業協会代表理事会長の中村でございます。
 
 「資産所得倍増プラン」の実現には中間報告に掲げられる大きな3本柱の取組を官民一体となって推進していくことが必要であり、全力で取り組んでまいります。私どもからは、1ページ目のⅡのインベストメント・チェーンの機能発揮について、4点、意見を述べさせていただきます。
 
 家計の安定的な資産形成を実現させていくためには、インベストメント・チェーンの各参加者が期待される機能を十二分に発揮することが重要であることは言うまでもありません。金融サービス仲介業は、金融サービス提供法により新しく創設された仲介制度で、銀行、証券、保険という分野をまたいで、顧客のために、多数の金融機関が提供する様々な金融商品・サービスをワンストップで提供できる利便性の高い仕組みでございます。
 
 さらに、特定の金融機関に「所属」することなく、金融機関からの委託ではなく、顧客からの委託を受けて仲介・媒介業務を行うこともできる業態となっており、顧客に対して、相手方金融機関との資本関係・人的関係・委託関係の有無や、顧客が金融サービス仲介業者に支払う手数料等に関する情報、相手方金融機関から受領した手数料等の明示義務などの措置が講じられております。また、取扱いができる金融商品・サービスは、複雑かつ高度に専門的な説明を要せず、顧客が分かりやすい日常生活に定着しているものに限られております。
 
 このように金融サービス仲介業は、特定の金融機関や金融商品に偏るというインセンティブが生じにくく、顧客に分かりやすい金融商品・サービスの提供が実現可能な制度となっており、「顧客の立場に立ったアドバイザー」で目指すところに沿うものと私たちは考えております。
 
 顧客の立場に立ったアドバイスのサービス主体の検討に当たっては、助言対象を絞った投資助言業の登録要件の緩和に加え、助言、アドバイスから発注等手続までをワンストップで提供できる金融サービス仲介業の活用について、ぜひ御検討いただきたいと存じます。
 
 具体的には、顧客ニーズにより一層応える金融商品・サービスの提供、事業者の金融サービス仲介業への参入促進のため、取り扱うことができる金融商品・サービスの拡充、保証金の供託義務の緩和等を、強くお願いいたします。
 
 次に、「顧客本位の業務運営」の定着化に向けたルール化やその在り方等の検討に当たっては、保険、不動産証券化商品の販売を加えた金融事業者全体及び企業年金制度等の運用に携わられる者を対象としていただきたいと存じます。
 
 3点目は、顧客ニーズに合った金融商品の提供についての意見です。例えば保険商品の開発・販売では、現状、保険商品の審査から認可取得まで期間がおおむね6か月から1年を要します。金融サービス仲介業者として、顧客ニーズに合った金融商品をよりタイムリーに提供できるよう、保険商品の認可制・届出制の対象商品の見直しや、手続の簡素化・オンライン化による審査期間の短縮化など、運用面での改善をお願いいたします。
 
 最後に、家計の金融資産を拡大させるには、「顧客から投資したいと思われる金融商品」、「販売会社が提案したいと思う金融商品」の開発・組成及び運用が重要であり、必要不可欠であります。運用会社等におかれましては、引き続き、報告書に記載の「原則」の見直しやルール化について検討を深め、できるだけ早期に対応を進めて、顧客の最善の利益に適った商品組成・提供、運用の高度化の実現を目指していただきたいと存じます。
 
 私どもからは、以上でございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、日本証券業協会の荻野様、御発言ください。
 
【日本証券業協会】  オブザーバーとしての発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。日本証券業協会の荻野でございます。幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 
 まず、インベストメント・チェーン全体における顧客の最善の利益を考えた業務運営を確保する観点から、原則2の横断法制化が盛り込まれ、また、利益相反の可能性と手数料等についての顧客への情報提供のルール化が盛り込まれておりますけれども、日本証券業協会としましては、今回取りまとめられた内容を含め、顧客本位の業務運営をより高度なものとするべく、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。
 
 今後の制度化の過程におきましては、当然実務面も踏まえて検討することになろうかと思いますので、その際には具体的な意見を申し上げさせていただければと思います。
 
 なお、仕組債の組成コストに関しては、投資家にとって比較可能なデータが組成会社から販売会社に提供されるような制度整備に御尽力をいただければと思っております。
 
 次に法制化に関してでございます。62から64行目にありますように、今回の原則の法制化は、金融事業者による原則に沿った顧客の最善の利益を図る取組みを一歩踏み込んだものとすることを促すことを目指すものとされています。2ページの脚注の3になりますけれども、プリンシプルベースとルールベースとのベストミックスや、既に金融事業者が実践しているプリンシプルベースを重視した規定としての法定化に期待する意見も挙げられています。
 
 法制化後の運用に当たっては、プリンシプルベースにおける金融事業者の創意工夫や改善への顧客本位の取組みを萎縮させることのないよう、当局には各社との丁寧なコミュニケーションをお願いしたいと思います。
 
 続きまして、4ページ目になります。デジタル技術の情報提供への活用として、政府によるデジタル原則の方針の下、証券業界がこれまで要望してきた顧客への情報提供のデジタル化が盛り込まれたことについて、改めて感謝申し上げたいと思います。
 
 なお、個社だけでなく、証券業界全体での周知活動を行うとともに、より良いデジタル社会に向けた情報提供において各社の創意工夫が可能となるよう、実務的な観点から引き続き、協議をお願いできればと思っております。
 
 次に、6ページ目になります。認定アドバイザーについて、リスト化し、公表することが盛り込まれておりますけれども、今後、認定の判断等、施策の具体化に関しては、実務に精通したメンバーを加えて、実効的な制度となるよう議論をお願いしたいと思います。
 
 続きまして、金融リテラシーの向上に関してでございます。こちらは5ページ、それから、8ページから9ページでは、先月の28日に取りまとめられた「資産所得倍増プラン」の第三の柱にありますアドバイザー、そして、第四の柱の雇用者に対する資産形成の強化、第五の柱としての資産形成に関する金融経済教育の充実に相当する項目がそれぞれ盛り込まれております。
 
 国全体として、中立的な立場から資産形成に関する金融経済教育の機会提供に向けた取組みを推進するための体制を早急に構築すべきという意見には大いに賛同いたします。
 
 また、国民の資産形成支援のためには、関係省庁や地方自治体・民間団体等が連携し、国全体として事業を推進すべきであることにも賛成したいと思います。
 
 また、そもそもこうした取組みを国民に知ってもらう必要があり、継続して効果的な広報活動を併せて行っていただきたいと思います。
 
 安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実が図られつつ、約8,000万人にものぼる投資の未経験者の方々に資産形成に一歩を踏み出してもらうための働きかけが広く浸透していくことを期待するとともに、本協会としましても積極的に活動したいと考えております。
 
 最後になりますが、神作座長はじめ委員の皆様、また事務局の皆様の精力的な議論に改めて感謝いたします。どうもありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、国際銀行協会の中村様、御発言ください。
 
【国際銀行協会】  国際銀行協会の中村でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 
 これまで本会合の席上で弊協会が申し上げてきました公正価値の一言を99行目に記載していただきましたことを大変感謝申し上げたいと思っております。なお、もし可能であれば、今から申し上げる2点について脚注に追記いただければ幸いでございます。
 
 まず1点目は、公正価値そのものについてございますが、前回も申し上げましたとおり、公正価値は各社独自の計算モデルで計算されます。したがって、各社によって値が違うということです。関係者の皆様に正確に御理解いただくためにもその旨を脚注に追記いただければありがたいです。
 
 2点目ですが、組成コストについてです。この点についても前回触れておりますが、組成コストは販売会社への提供価格と公正価値の差額であり、この差額は弊社にとっての期待収益となっております。つまり、この値は確定した利ざやではなく、ヘッジしにくく流動性が低いものでコストがかかるものもあれば、全くヘッジできないというものもございます。この点についても脚注に追記いただければと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 以上でございます。ありがとうございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、生命保険協会の竹内様、御発言ください。
 
【生命保険協会】  生命保険協会の竹内でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 
 このたびの中間報告につきましては、大変多くの論点につきまして、大変重要な方向性を示していただいているものと考えております。
 
 改めて1点だけコメントさせていただきたいと思います。今回の中間報告に基づきまして、今後、具体的な制度設計に進んでいくことになろうかと思います。実施に向けましては、実務的な観点からも、業界との間で引き続き対話、議論をいただくようお願いしたいと考えております。
 
 例えば、利益相反等に関する開示のルール化に関しましては、現在既に行われている開示の状況や媒介者の特性、商品の特性、組成会社を含めた実務への影響等、そういったもろもろのことも考慮していただきながら、必要かつ十分なルールとなるような検討を進めていただくことをお願いしたいと考えております。
 
 私からは以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、ファイナンシャル・アドバイザー協会の福田様、御発言ください。
 
【ファイナンシャル・アドバイザー協会】  ファイナンシャル・アドバイザー協会の福田です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。当協会からは、顧客の立場に立ったアドバイザーの在り方とそれに関するアドバイザーの報酬についてコメントさせていただきます。
 
 顧客の立場に立ったアドバイザーに求められる要素として含まれるものには2つあると考えています。1つ目は、顧客のライフプラン等を通じて資金計画や運用目的に沿った金融商品の情報提供をすること、2つ目は、こうした計画や目的の実現に向けて継続的な支援を続けることです。どんなにすばらしいプランを立てても継続しないと意味がありません。
 
 米国においても、FDのあるアドバイスは継続的に行うことが義務づけられています。その際に、アドバイザーが受け取るフィーについてですが、アメリカにおいても、投資実行手段を伴わないアドバイスのみでフィーを受け取り続けて事業が成り立っている事業者はRIAでも少数派です。RIAの大部分は、資産運用配分や銘柄選択の助言だけでなく、投資一任の報酬として、残高連動を典型とするアドバイザリーフィーを受け取っています。だからこそ、長く顧客をサポートでき、事業としても成り立っています。
 
 このように、投資手段と切り離したアドバイスのみではなく、投資一任も含めたアドバイス報酬を商品業者からではなく顧客から受け取るモデルは、持続可能かつ貯蓄から投資への実現に資する成長余地が大きなモデルだと考えています。顧客にとっては、投資手段を伴わないアドバイスのみか、アドバイスと投資実行をセットにしたものか、選択できることがアドバイザー間の競争や顧客選択肢の提示の上で重要であると考えます。
 
 以上です。ありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。続きまして、全国銀行協会の江連様、御発言ください。
 
【全国銀行協会】  全国銀行協会の江連でございます。発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 
 このたびの報告書案につきましては、私ども金融に携わる事業者、従事者にとって非常に重要な論点を整理いただいたものと受け止めております。
 
 各項目につきましては、これまでの私どもの発言と重なる部分も多くありますので、ここでは割愛させていただきますが、本日は、参考資料の2ページに、金融経済教育に関する中立的な組織について、全銀協の記載もありますので、金融経済教育について発言させていただきます。
 
 これまでも全銀協の会見等を通じてお伝え申し上げておりますが、金融経済教育の目的は、社会生活を営む方々のお一人お一人が、社会情勢を含む多種多様な情報に基づいて自らのライフプランを自らで計画し、判断、実行できるようになり、その結果として豊かな暮らしを実現できるということにあると思います。現状、民間企業や各団体が独自で金融経済教育の取組みを行っておりますが、政府の旗振りの下でこれらの取組みが連携されていけば効率的な対応に繋がるものと思います。
 
 銀行界としても、官民一体での取組みが肝要と考えており、体制構築も含め、関係当局と一層協働を図っていきたいと考えております。
 
 以上でございます。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。それでは、沼田委員、御発言希望をお出していただいております。沼田委員、御発言いただけますでしょうか。
 
【沼田委員】  沼田と申します。遅参して申し訳ありません。せっかくの機会ですので、最後に意見を述べさせていただければと思います。
 
 まず、報告案のほうですけれども、これに関しては本当に取りまとめいただきありがとうございました。内容について異論はございませんので、今後は座長に一任したいと思っています。
 
 その上で今後議論いただきたいこととして、金融経済教育のアドバイザーについて1つだけお話しさせていただければと思います。137行目以降の顧客の立場に立ったアドバイザーという点では、どちらかというと中立性の議論がされ、これは非常に重要な論点であったと考えます。
 
 ただ、今後ということを考えますと、ぜひ専門性の議論もしていただきたいと思っております。新しいタイプのアドバイザーには、ポートフォリオ型のアドバイスの専門家になっていただきたいと考えています。
 
 といいますのは、金融リテラシーが高くない資産形成層の投資手段はもはやポートフォリオ型の運用以外にないと思っているからです。相場状況を見ながら単品の売買をしている場合ではないと思います。ただ、日本にはまだポートフォリオ型のアドバイスができる個人向けの専門家が少なく、しかも見える化されていないという課題があると思っています。
 
 この点ですけども、アメリカには、投資助言業者の多くが持っている資格がございます。証券外務員資格の資産運用業界版です。サーティファイド・インベストメント・マネジメント・アナリストという民間の資格もよく知られています。日米ともに外務員は、株、債券、投資信託といった投資商品の専門家で、あまり外務員試験の中にもポートフォリオ運用は入ってきません。ぜひ新しい機構で新しいアドバイザーを育てていくのであれば、この方々にはポートフォリオ運用の専門家として個人に対峙していただきたいと、そのように考えている次第でございます。
 
 お時間いただきましてありがとうございました。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。一通り、委員の方、それからオブザーバーの方に御発言いただきましたけれども、さらに追加の御発言等ございますでしょうか。
 
 よろしいでしょうか。
 
 中間報告の案につきましては、本日、御議論いただきましたところ、大筋では皆様から御賛同をいただけたものと思っております。前回、非常に貴重な多数の意見をいただきまして、事務局には本文または脚注の形で取り入れていただいたこともございます。
 
 本日、大筋で御賛同いただけましたが、本日いただいたその他の御意見、あるいは表現の問題等について若干の御指摘がございました。例えば、神田先生からは185行目、198行目の「顧客利益最優先」という文言について御指摘等をいただきましたので、そういった点を含めて、本日いただいた御意見の反映や表現の平仄などの精査につきましては、私に御一任をいただき、必要に応じて委員の皆様方にも修文案の部分について御確認をいただいた上で取りまとめさせていただきたいと存じますが、そのような方向でよろしゅうございますか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【神作座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 
 また、中間報告は、金融審議会の市場制度ワーキンググループに報告し公表するという段取りを想定しておりますけれども、中間報告の公表等の取扱いにつきましても、もしよろしければ私に御一任をいただきたいと存じますが、そのような手続で進めさせていただいてよろしゅうございますか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【神作座長】  どうもありがとうございます。
 
 それでは、そのようにさせていただきます。
 
 当タスクフォースは、9月以来、5回にわたって議論を重ねてまいりました。メンバーの皆様方には、大変お忙しい中、積極的に御参加いただき、また精力的な御議論をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 
 継続して議論を深めるべき論点につきましては、本日もたくさん御指摘をいただきましたけれども、中間報告の内容を踏まえ、引き続き当タスクフォースにおいて検討を行ってまいりますので、今後とも何とぞよろしくお願いいたします。
 
 最後に、事務局のほうから何か御連絡等がございましたらお願いいたします。
 
【桑田市場企画管理官】  今後のタスクフォースの日程等は未定ではありますが、しかるべきタイミングで別途事務局より御案内させていただきたいと思っております。
 
 以上です。
 
【神作座長】  どうもありがとうございました。
 
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。
 
 御多用のところ、誠にありがとうございました。
 
                                             ―― 了 ――
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