金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第4回)議事録
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1.日時:
令和4年11月22日(火曜)16時00分~18時00分
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2.場所:
オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室
金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第4回)
令和4年11月22日
【神作座長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまより顧客本位タスクフォース第4回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところ、誠にありがとうございます。
それでは、早速ですが、議事に移らせていただきます。
顧客本位タスクフォースにおける本年9月以降の議論について、12月を目途に中間的な取りまとめができればと考えております。本日は中間的な取りまとめを見据え、事務局にて報告書案を御準備いただいております。本日は、資料1の中間報告(案)について、皆様に御議論をいただきたいと存じます。
まず、事務局より報告書案について御説明をいただいた後、皆様から御意見を頂戴したいと存じます。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【桑田市場企画管理官】 それでは、お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。本日は、これまで当タスクフォースにおいて御議論いただいたテーマに関する検討結果について、各委員の皆様より頂戴した御意見を盛り込む形で取りまとめた中間報告(案)をお示ししております。
まず1ページ目の28行目以降ですけれども、顧客・最終受益者の最善の利益を考えた業務運営の確保についてです。
2ページ目の35行目にありますとおり、顧客本位の業務運営に関する原則が作成されて以降、金融事業者による取組については一定の進展が見られるところです。
一方、47行目ですけれども、商品組成・選定や説明の在り方、提案方法等に関する課題が引き続き指摘されているほか、原則を採択していない、あるいは方針等を公表していない金融事業者も多く存在しており、取組は「道半ば」の状況にある旨も記載しております。こうした状況に照らして、顧客本位の業務運営に関する取組の定着と底上げを図ることの必要性について多くの御意見を頂戴いたしました。
そこで57行目ですけれども、金融事業者は顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきであることを広く金融事業者一般に共通する義務として定めるなどにより、こうした取組を一歩踏み込んだものとすることを促すべきである。
また、61行目ですが、年金関係も含めまして、広くインベストメント・チェーンの参加者を対象として、取組の一層の横断化を図るべきである旨を記載しております。
なお、前回のタスクフォースにおきまして、既存義務である金融商品取引法上の誠実公正義務との関係について御意見をいただきました。この点につきましては、脚注3におきまして、法定化により、誠実公正義務に内包されるべき最善利益義務が明確化されるとも考えられる旨を記載しております。
3ページ目に移りまして、顧客等への情報提供についてです。
まず、利益相反の可能性についてですが、72行目のとおり、現在、重要情報シートにおいて記載することが求められております。これについては、74行目のとおり、顧客への情報提供に加え、販売会社・現場の営業職員への規律付けとして機能することが期待される旨の御意見も頂戴したところです。
80行目ですが、こうした点を踏まえ、利益相反の可能性の顧客への情報提供についてはルール化を行うべきである。その際、少なくとも重要情報シートの記載事項とされている3点、ア、イ、ウを対象とすることが必要であり、また、87行目ですが、その内容も顧客が容易に理解できるよう工夫が必要である旨を記載しております。
次に、手数料についてですが、92行目のとおり、仕組債に関して、組成コストまで情報提供している販売会社は一部にとどまります。この組成コストが顧客判断に与える影響の重要性に鑑みれば、販売会社が組成会社に対して組成コストを開示するよう働きかけること。組成会社においては、開示に対応できる体制を整備することが重要であり、こうした取組を担保するための制度面での対応が求められること。また、96行目以降は、投資信託の信託報酬に関して、比較可能性を確保するため、交付目論見書に総経費率を記載することについて、可能な限り早期に対応することが必要である旨も記載しております。
101行目以降は、情報提供のデジタル化についてです。前回御紹介した各論点につきまして、それぞれの対応の方向性、出口について記載しております。
108行目ですが、契約締結前や契約締結時などの情報提供については、金融事業者において書面とデジタル手段を自由に選択できるようにすること。110行目では、実質的な説明の重要性に言及した上で、112行目、現在、内閣府令で規定されている実質的説明義務を法律上規定すべき。また、デジタル手段による情報提供について、単に電子化したものを交付するのではなく、閲覧する機器に最適化し、容易にアクセス可能な方法、かつ、顧客が比較分析に活用可能な方法で提供すべきであること。
118行目に移りまして、顧客属性に応じた方法で書面交付が可能であることの告知義務、121行目は、既存顧客に対して、制度変更がされた旨を必要な期間を確保した上で確実に伝達するという顧客保護のための配慮が必要であること。125行目は、書面交付時の費用負担についてですが、前回の各委員の御意見を踏まえまして、当面、書面交付に関して、顧客に追加的な手数料は求めず、金融事業者の負担とすることが求められる旨を記載しております。
次に、(2)として中立的なアドバイザーについてです。129行目にありますとおり、顧客が金融商品・サービスを比較・選定するに当たっては、顧客の立場に立って、その判断をサポートするアドバイザーの役割が重要です。134行目のとおり、顧客へのアドバイザーになり得る主体としては、様々な業者、業態が考えられるわけですけれども、140行目、顧客の立場に立ち、特定の金融事業者や金融商品に偏らない中立的なアドバイスを普及していくためには、中立性について、考え方を整理することが重要になります。
この点、149行目のとおり、中立的なアドバイザーの見える化を進めるべきであるとした上で、中立性の判断に当たっては、アドバイザーが金融商品の販売を行う金融事業を兼業しているかどうか、顧客からのみ報酬を得ているかどうか、といった点を考慮することが考えられると記載しております。また、日本のアドバイスは諸外国に比べて発展途上であることから、アドバイザーがビジネスとして成り立つよう育成していく観点も重要である旨の御意見も頂戴したところです。
そこで155行目ですが、中立的な助言サービスを受ける個人に対する国の支援の方向性を検討する旨、157行目ですが、例えばつみたてNISAやiDeCoの対象商品に助言対象を絞った投資助言業について、登録要件の緩和を検討すべきである旨も記載しております。
160行目以降は資産運用業についてです。まず170行目ですが、独立性の確保については、一定の進展が見られるものの、174行目以降、取締役会では、依然としてグループ販売会社出身の人材が多数を占める傾向にあること。社外取締役について、運用関連業務の経験者が少ないという課題について言及しております。
また、個別商品に関しては、181行目ですが、商品組成の課題として、組成する商品が想定している顧客層の設定が重要であるということ。また、実際に販売した顧客が当該商品について適合性を有していたかの検証が重要であること。
189行目以降は、商品の管理・検証の課題として、コスト控除後のパフォーマンス検証が十分に行われていないケース、長期視点での検証が行われていないケースが見られることについて言及しております。
196行目以降、資産運用会社に関するまとめといたしまして、金融グループ内におけるガバナンスや独立性の確保、プロダクトガバナンスの実践、組成会社・販売会社それぞれに求められる機能や役割の明確化を実現していくために必要な、「原則」の見直しや制度化に向けて、検討を深めていくべきであると記載させていただいております。
203行目以降は金融リテラシーについてです。これまでのタスクフォースでも御紹介してまいりましたが、211行目、金融経済教育を受けたと認識がある者は、全体の約7%にとどまっている。
214行目、企業型DCの事業主による継続投資教育を受けたと回答する加入者は1割にすぎないとの結果が示されており、金融経済教育が広く国民に行き届いているとは言えない状況にある旨を記載させていただいております。
こうした状況については、220行目ですが、政府、金融広報中央委員会、金融関係団体等による取組が十分調整されておらず、非効率な面もあるとの意見。したがって、業界横断的な取組や金融経済教育の推進主体の常設化が必要との意見を頂戴しました。
こうした指摘を踏まえ、223行目ですが、国全体として、中立的な立場から、資産形成に関する金融経済教育を提供していくための体制を早急に構築すべきである旨を記載しております。また、家計の安定的な資産形成と申しますと投資教育に偏重しがちな印象もありますけれども、本タスクフォースにおきましては、より広い視点から御議論いただいたと認識しておりますので、226行目のとおり、家計管理や生活設計等のほか、消費生活の基礎や金融トラブルに関する内容も含めて、広範な観点から金融リテラシーの向上に取り組むべきであるとしております。
金融経済教育を実際に進めるに当たっての論点ですけれども、これまで頂戴した意見を踏まえ、229行目の終わりから、中堅・中小企業が置き去りにされないよう留意すること。中立的なアドバイザーを中心とした積極的な活動に官民一体となって取り組むべきであること。233行目ですが、施策ごとにKPIを設定するほか、ゲームなどの要素を盛り込むなどして、無関心層にも興味を持たせるための工夫を検討すべきであることも記載しております。
また、236行目ですけれども、こうしたマス向けの金融経済教育だけではなかなか個人の行動変容にまではつながらないため、金融経済教育と、その後の個別商品、個別銘柄に関するアドバイスは地続きであるという認識に立ちまして、両者を一体として、統合的に取組を進めるべきであるとの御意見も頂戴いたしましたので、その旨を記載させていただいております。
最後に、240行目以降は、Ⅳ、総合的な資産形成支援と題しておりますが、243行目にありますとおり、家計の安定的な資産形成の実現に向けては、国全体として総合的に施策を進めていくことが重要です。この点につきましては、244行目のとおり、国だけではなく、地方公共団体や民間企業による主体的な取組と国との連携も不可欠であると考えられます。地方公共団体が行っている健康診断のように、金融経済教育や資産形成についても身近な場所で資産形成を開始する機会が得られるような取組を広く進めることが重要です。
また、249行目には、資産形成支援に関連する施策については、国全体として総合的かつ計画的に推進すべく、政府の「基本的な方針」を策定すべきである旨を記載しております。
事務局からの説明は以上になります。
【神作座長】 御説明どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの御説明を踏まえて、御意見を頂戴できればと思います。今回も多くの委員に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間といたしましては、4分ないし5分を目安にしていただければと存じます。4分を過ぎますと、事務局から、発言時間の残りが1分である旨のチャットが発言されている委員の方のみに送付されますので、発言時間の御参考にしていただければと思います。
それでは、御議論をお願いできればと存じます。チャットでお寄せください。
坂委員、御発言ください。
【坂委員】 坂です。ありがとうございます。全体として適切な方向に向けた取りまとめを進めていただいていると認識しておりますけども、5点ほど述べさせていただければと思います。
第1に、顧客の最善の利益についてですが、現行法の誠実公正義務は、具体的な行為規制を解釈する際の視点を提供すると同時に、具体的な行為規制が捕捉しづらい行為を規制する際の根拠規定としての役割を果たすとされております。57行目以下の誠実・公正、顧客の最善の利益を図る義務の法定化も同様の意味を有することを明確にすべきと考えます。
第2に、利益相反の可能性等の情報提供についてですが、81行目以下では、少なくとも重要情報シートの記載事項とされているアからウの事項を対象とすべきことが提言されております。この点、提供すべき情報は、顧客本位原則5の注1の内容に鑑み、利益相反の具体的内容とともに、それが取引または業務に及ぼす影響も含まれるとすべきと考えます。また、そもそも原則3では、利益相反の適切な管理を求めているところから、顧客に対し、利益相反の管理状況についても情報提供、または適切な開示を求めるべきと考えます。
第3に、顧客本位原則6について、これは前回の委員の先生方の御意見も踏まえて、改めて述べさせていただければと考えます。顧客本位原則6は、禁止規定の枠組みである現行の適合性原則に対し、顧客にふさわしい金融商品・サービスの組成、販売、推奨等を積極的に求める内容となっております。原則6の本文自体は、金融庁に報告を出している金融商品取引業者のほとんどが実施していると報告されていることからも、本文自体を適切な形で義務規定として、法令に定めるべきと考えます。
原則6が求める顧客の把握は、現行の適合性原則と共通するものであり、今後より高度化が望まれます。米国ではデータ関連技術の発達によって、顧客のリスク許容度を正確に測定するシステムツールなど、様々なイノベーティブな取組があるともお聞きします。また、金融商品・サービスの把握や合理的根拠という点も原則6や現行の適合性原則と枠組みにおいて共通しますが、勧誘商品の限定、禁止ではなく、顧客にふさわしいサービス提供を求める点において、これをいかに合理的、効率的に図るかが課題となると思います。もっともこの点は金融事業者が日々の事業として行っていることでもあります。ここもデータ関連技術を活用した高度かつ効率的なサービス開発が期待されるところであり、安全資産と投資性資産の適切な割合の検討などにおいて、イノベーティブな取組が期待されるところです。
こうした点に鑑みますと、法定化においても、まずはプリンシプルベースを重視した規定とし、市場行政監督、金融ADRを含めた司法による適切な統制を促すことも考えられます。原則6については、もう少し積極的に位置づけるべきと考えます。できれば、報告書の顧客への情報提供、アドバイスの項の中で、その法定化の提言を行うべきと考えます。
第4に、中立的なアドバイザーについてです。投資助言業者については、先月も虚偽告知等により業務停止となった事例が存します。健全な中立アドバイザーを育成するには、不適切な事業者の参入を排除することが極めて重要であり、要件の具体化や監督の在り方において十二分な留意が必要と考えます。
第5に、資産運用業のプロダクトガバナンスについてですが、制度化が可能なものからその実現を図っていくべきと考えます。注16に述べていただいていますが、組成業者に想定顧客属性の明記を求め、金融業者に想定顧客属性に沿った販売を求めることについては、法令上整備を具体的に進めることも可能ではないかと考えます。この点に関し、顧客属性について、顧客のリスク許容性を適切に範囲づけるなどのプリンシプルベースの基準を示して、事業者の取組と市場を市場監督、市場による統制に委ねるという枠組みもあり得るものと考えます。
以上でございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、野尻委員、御発言ください。
【野尻委員】 ありがとうございます。お時間頂戴します。事務局で短期間にこうした文書をつくっていただきまして、本当にありがとうございます。私からは6点、コメントさせていただきます。
行の番号ですが、57から59のところにある、「金融事業者は顧客に対して誠実・公正に業務を行い」等々のところに関しましては、賛成したいと思っております。
2点目です。82行目のところになります。その対価として、顧客に提供するサービスの内容をルール化する。この点に関しては賛同いたします。ただ、サービスの定義とか、手数料の定義などが各社ばらばらになっているという形を取るような場合ですと、なかなか顧客に分かりにくくなるのではないか。ここは統一できることが前提として必要ではないかと考えています。いわゆる手数料の透明化ではなくて、手数料の明確化というところが大事なポイントではないかと思っています。
それから、注8に当たるところですけど、利益相反の事項について重要情報シートの金融事業者編に記載する。これは大変重要なポイントだと考えていますが、その一方で、個別商品の間でもそれがまだ残るということも常に念頭に置く必要があると思います。例えば保険商品と投信そのものの比較みたいなものは重要になると思いますので、どちらかではなくて、どちらでも必要に応じて対応できるという形が重要ではないかと思います。
4点目です。140行目以降の中立的なアドバイザーとは何かの定義がやはりもう少ししっかりと押さえるべきではないかと思います。坂委員の御指摘にありました不適切な業者を排除するというところが重要なポイントではないかと思います。156行目からの中立的なアドバイザーが行う助言対象を絞った投資助言業、例えば、つみたてNISAやiDeCoなどの対象商品に限定ということについて、監督の在り方だとかを検討して、登録要件を緩和させていくべきである。この表現をそのまま読んでしまうと、中立的アドバイザーがつみたてNISAやiDeCoだけを対象にするというものに読み取れそうであります。
重要なのは、仕組債のような金融商品を高齢者に販売するというようなアドバイザーが減っていくことだと思います。中立的、すなわち顧客の側に立つアドバイザーを増やすことを念頭に置くということを考えると、やはり中立的なアドバイザーの定義は、顧客の側に立つこと、そして、商品を推奨するのであれば、顧客と契約を結ぶという投資助言業に登録すべきではないかと思います。もちろん投資助言業に登録するに当たっては、つみたてNISAとかiDeCoだけではなくて、個人向けということであるアドバイザーであれば、登録要件の緩和ということを検討してもいいのではないかと思います。
5点目です。179行目の資産運用会社において想定顧客を明確にし、顧客利益を最優先する等々のプロダクトガバナンスの確立、これが重要であるという点については、強く賛同いたします。
それから、6番目です。233行目の金融経済教育を推進するに当たって、施策ごとにKPIを設定する。これも非常に重要なポイントだと思っております。
私からは以上です。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、島田委員、御発言ください。
【島田委員】 島田です。よろしくお願いいたします。まず、最善の利益義務のルール化についてですが、広く金融事業者に義務化することには賛成です。既にプリンシプルベースのアプローチで能動的に組み込んで業務を行っている金融機関もありますけれども、現在、取組が遅れている金融事業者において、ルール化によって、例えばですが、リスクの所在は説明できるか、顧客に理解できる商品か、手数料が商品、サービスに見合ったものであるか。顧客ニーズに合った商品が推奨、販売されているかなど、顧客が直接影響を受ける業務の在り方についての検証や改善が、業態にかかわらず、普通の人々のほうを向いて進むことを期待しています。現在、顧客本位においてリードしている金融事業者の方にはぜひ引き続き、ルールにとどまらない独自の取組も続けていただきたいと思います。
情報提供の課題となっている利益相反の可能性、それから、手数料についても同様に、定着、底上げの観点からルール化が必要だと思います。ただし、なぜプリンシプルベースの取組を奨励してきたかというと、過去においてはルールがミニマムスタンダードになって、低いハードルに安住する弊害があったからだと記憶しております。重要情報シートの記載事項は、現状では定型的な表現で、実態が曖昧なままのものも目につきます。ルールはあくまでも底上げのためであって、望ましいやり方はもっと先にあると考えます。今後もルール遵守に安住して、定型的な開示にとどまることなく、より分かりやすく明確な開示となるよう実効性についての検証と前進をお願いしたいと思います。
また、細かいことになりますけれども、個別商品として仕組債の組成コストが例として挙げられています。これが課題であることは当然として、重要情報シートが作成されている、例えば保険や外国籍投信においてもコストの中身が明確でない商品は多々あります。仕組債はあくまでも一例であって、他の金融商品は他人事ではなく、各自の取り扱う商品についてもいま一度しっかり検証していただきたいと思います。投信の総経費率についても、投資信託のみならず、上場投資信託や外国投信も他人事ではないと思います。
中立的なアドバイザーについては、特定の金融商品の販売や特定の金融事業者への誘導などを行うものについて、中立的という言葉を削除しただけで、アドバイザーであると捉えられていることの妥当性も含めて、見える化に取り組んでいただければと思います。
個人向けに、業務範囲を絞った投資助言を登録要件を緩和して育成していくということについては、顧客のニーズに合ったアドバイスをできる知見などが不可欠である、そして、アドバイスをきちんとできる自由度もある程度必要であると考えます。この点もデジタル技術の活用で支援ができるのではないかと思います。
自主的に言及できる個別商品をつみたてNISAやiDeCoに絞ることは、それ以外の口座でも購入可能な商品も多いので、一定の妥当性があると思います。ただし、相談者が持ち込んでくる商品、例えば勤務先で加入している確定拠出年金や金融機関に推奨された金融商品について意見を求められることはあると思います。これはアドバイザーが推奨しているわけではないので、業務範囲に含めることが妥当ではないかと考えます。こうした質問に答えることこそ、総合的なポートフォリオからの資産形成へのアプローチだと思うからです。つまり、つみたてNISAやiDeCoの採用商品に絞ることは変わりませんが、商品ではなく、つみたてNISAやiDeCoに関する相談しか受けられないという理解をされる事態になれば、個人の最善の選択も不可能になりかねないので、そこを混同されぬように検討を進めていただければ幸いです。
金融リテラシーの向上の取組については、常設の推進主体が民間企業や地方自治体の積極的な参加を求めるということもよいのかもしれませんが、いずれにせよ、クオリティ・コントロールが一番重要なことだと考えます。その点で、むしろ参加者は限らずに、デジタル技術を活用して、現役世代がいつでもどこからでもアクセスできるようなコンテンツや、デジタルイベントなどを開催できる者たちが積極的に開催するといった形で、特定の事業者や公共団体だけに限らず、誰でも参加できるような形でやっていくことも考えられるのではないかと思います。
ぜひ各自の負担が減るような形で、多くの人たちが参加できる、そして、楽しく学習できるような方法を考えていただければと思います。
以上です。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続いて、佐々木委員、御発言ください。
【佐々木委員】 ありがとうございます。今回おまとめいただきまして、ありがとうございます。私からは、特別加えることはないですが、2点だけ大事だと思ったことをお話しさせていただきます。
まず一つ、「はじめに」にありますように、家計の安定的な資産形成を実現することを目的としているということですので、やはり家計からの目線というものを重視すべきだと思います。全体としてそこを意識したものになっているということは十分感じられるものになっていると思いますが、初めのほうで発言しましたように、やはり家計といっても所得や年齢によって選択肢も異なりますし、金融リテラシーも異なるというのが現状だと思います。ですので、最終的な、総合的な資産形成支援というところにその意味が込められているのかとは思いますが、特に、途中でも申し上げましたけれど、同じような税額控除のある保険や不動産、例えば保険でしたら、つみたてNISAと終身保険の積立て部分というものは、ある程度重複する人もいるでしょうし、不動産も個人の資産形成の中では非常に重要な部分を占めるものだと思います。ですので、取り立ててこちらでは詳しくは触れられていないのですが、やはり家計の立場から見たときにしっかりポートフォリオを考えていけるような選択肢を示し、正しい選択をしていけるように考えていっていただきたいと思いました。
また、2点目ですが、こちらは脚注の10に意見を入れていただいてはいますが、顧客目線で見て、書面を残すこと、あるいはスマホなど色々なもので見られるような配慮について触れられていると思いますが、さらに一歩進んで、ただ情報を提供するということだけではなくて、その情報を顧客が読んで理解しているか。そういったことのモニタリングもデジタル技術によって、今までに比べてかなり容易になると考えられますので、ぜひ今後、そういったことにつながるような方向で検討していただければと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、佃委員、御発言ください。
【佃委員】 どうもありがとうございます。まず、今までの議論を中間報告(案)として、大変よくまとめていただいたと思います。事務局の皆様、ありがとうございました。
私からは、160行から201行にかけての資産運用業、こちらのほうについて、これまで発言させていただいてきましたけれども、今回お示しいただいた案につきまして、特段違和感はございません。
1点だけコメントさせていただきたいと思います。197行から198行にかけてのところで、今後の方向性ということで、金融グループ内におけるガバナンスや独立性の確保、こういった点が指摘されておりますけれども、この大前提として、やはり金融グループ内における資産運用業の位置づけの明確化、まずこれがありきです。資産運用業を金融グループの中でどう位置づけるのか。この明確化ということがまずあって、その上でこのような取組をしていくことが大事であると考えます。この点につきましても、可能であれば言及いただくことを御検討いただければと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、沼田委員、御発言ください。
【沼田委員】 沼田です。お時間いただきまして、ありがとうございます。私から主に3点お話しさせていただければと思います。
まず1つ目がⅡのインベストメント・チェーンの機能発揮というところです。31行目、これが極めて重要だということ、それから、49行目、「道半ば」というのもこのとおりだと思います。そのために今回は、このインベストメント・チェーンの鎖の中でも、販売に関わる部分に注力した議論を行ってきたと感じております。
ただ、同様に重要なのが、この鎖に極端に弱いところがないか、つながっていないところはないかという検証だと思っております。顧客本位の業務運営の議論ですので、個人が基点になるべきです。そうすると、個人から見ればやはり金融資産に占める部分が大きいという意味で、年金は外せないと思います。
その点に関しては、50行から51行、61、62行でも繰り返し言及していただいていると思います。そうだとすると、個人から一番遠い、例えば確定給付型の企業年金も含めまして、予定利率や実績等、情報が分かりやすい形ですぐに手に入って、それを基に何か意思決定ができる仕組みづくりも御検討いただければと感じた次第です。その意味では、61行目のところ、「企業年金制度の運営に携わる者にも幅広く規定の対象に関わっていただきたい」に強く賛同いたします。
次が、顧客への情報提供・アドバイスの利益相反の可能性と手数料開示のルール化のところです。ここも全て賛成いたします。基本的にはこれまでどおり、プリンシプルベースの運用が維持される中で、比較可能性を高める必要がある部分を抽出して、ルール化を提言すると理解しております。
ただ、島田委員もおっしゃいましたように、やはりルール化は底上げのために行うことでございますので、これまでどおり、それ以外の部分では引き続き対話とモニタリングを続けていただきたいです。また佐々木委員がおっしゃるように、デジタル化を活用する形で、よりよい工夫が行われるように御検討いただければと感じた次第です。
最後が金融リテラシーの向上になります。私がキーワードだと感じたのが245行目の健康診断でした。改めて、健康診断がなぜ有益なのか考えてみました。まず1つ目は、眼科、耳鼻科、内科等が一堂に会することだと思います。金融も業界を超えた横断的な仕組みをつくらないとスタートラインにも立てないと感じました。また健康診断は職場で受けられます。そうでない人は自治体で受けられます。このように、こぼれ落ちる人がいない仕組みも重要と感じました。
さらに自覚症状がある人もない人も、年に1回、健康に意識を向けるように、金融に意識を向ける。そういう仕組みも必要だと思います。加えて健康診断が一番有益なのは、診断するからだと思いました。なので、金融においてもぜひ診断までできるような仕組みを御検討いただきたいです。
コロナの一件でも、コロナウイルスとは何かという情報をもらってもどうしようもありません。PCR診断を受け、結果に応じた行動指針を示してもらって、初めて適切な行動ができます。金融においてもこのような体制づくりを御検討いただければと思います。
私からは以上になります。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、松尾委員、御発言ください。
【松尾委員】 松尾でございます。私はまず報告書案の2ページのところですけれども、顧客の最善の利益を図る義務というものを法令上の義務とすることについてぜひ進めていただきたい。さらに、内容として、ややもすると販売業者と顧客の関係に注目が集まりがちですけれども、ここに広く金融事業者、一般に共通する義務として定めると明記していただいたことには非常に大きな意味があると考えております。
さらにそれを踏まえて、企業年金制度の運営に携わる人々もこの規定の対象に加えるということ、そして、そのこととの関係で、顧客・最終受益者ということで、年金の受益者について義務の対象になるということを示していただいたことには非常に大きな意味があると考えております。ぜひ法令化を進めるに当たっては、同じスピードで対象になる人々について義務を法令化することを進めていただきたいと考えております。
それから、5ページの終わりぐらいからでしょうか。6ページにかけての資産運用業のところですけれども、今回は、利益相反の開示等と比較しますと、具体的な法令上の義務を何か定めるということは、資産運用業に関してはないと思いますけれども、一方で、プロダクトガバナンスの点は非常に重要ですし、その中で、課題として181行辺りに書いておられるように、組成する商品が想定している顧客層というものが非常に重要だということが出てまいります。
これについては、脚注の15のように重要情報シートなのか、あるいは脚注16にあるように、目論見書との関係なのか、いろいろあり得ると思いますけれども、具体的にこれを開示して、実際に商品が想定顧客に適合しているかということを運用会社なり、組成者がチェックするということも求めているということですので、仮にこの点が法令上の義務ということにならないとしても、ぜひ自発的な取組として、このような意見があること、脚注15や16のような意見があることを踏まえて自発的な取組を進めていただきたいと考えております。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、永沢委員、どうぞ。
【永沢委員】 ありがとうございます。中間報告書案の取りまとめ、ありがとうございます。報告書案につきましては、私は、皆様と同様、顧客の最善の利益を図るべきことを義務化することをはじめ、全体として賛成でございます。
その上で、報告書の構成に従いまして、3点、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、4ページの109行目ですけれども、「事業者において書面とデジタル手段を自由に選択できるようにすることが考えられる」というくだりですが、ここに「顧客本位の観点から」という文言を入れていただくことを提案します。デジタル化は国策とされておりまして、原則は電子的交付になりつつあることは事業者の皆様はもう周知のことですが、一般国民にはまだ十分に浸透しているとは言えません。ここは、事業者が顧客属性を踏まえて、顧客に適した方法を選択することを推進する趣旨だということが伝わるようにということで、このような提案をさせていただきます。
2つ目は、同じく4ページの下から始まる中立的なアドバイザーの章ですけれども、私は、136行目の「アドバイザーがビジネスとして成り立つよう育成していく観点から」という文言は、削除いただくか、脚注に持っていっていただくことをご提案させていただきたいと思います。国が支援して、アドバイザーの収入を確保するための施策を打つようにも読めてしまいます。中立的アドバイザーの育成が必要という考えには、私も同感ですが、この一文は余計な臆測を呼んでしまい、あまりよろしくないのではないかと思っておりますし、「アドバイザーがビジネスとして成り立つよう育成していく」ことが、果たしてこのタスクフォースの総意だったかというところにも少々引っかかるところがございまして、そのような扱いをしていただいてはどうかとは思いました。
それから、この章は全体に分かりにくいと私は感じていますが、その理由を考えてみましたところ、その一因として、中立的なアドバイスが必要とされる理由として、金融サービスの利用者である国民の目線が少し欠けているからではないかと感じております。前の文章とも重ねて読みますと、アドバイザーへの配慮が前面に出過ぎているということもありまして、新たなビジネス育成策と読めてしまうことを懸念しております。ニュービジネスの育成策を否定するわけではないですけども、ここでは、国民に真にニーズがあるとか、国民の資産形成を後押しする上で必要不可欠であるということを、もう少し書き込んでいただく必要があるように思います。
政府は2000年頃から、貯蓄から投資へというスローガンを掲げてきましたが、国民は一向に動こうとしませんでした。その理由ですが、最初から投資の経験がある人はいないわけで、経験がない投資に一歩踏み出すのには誰かの手助けが必要なところ、販売金融機関を必ずしも信用できないと感じる人が少なくないからではないでしょうか。そこで、販売金融機関とは異なる、信頼できる第三者の存在が、国民の資産形成の後押しには必要ということなのではないでしょうか。色々な御意見があるとは思いますけれども、この辺りをもう少し整理して、書き込んでいただけたらと思います。
それから、前回、私は中立的という言葉に違和感があるということを申し上げましたが、今回、報告書案の8ページの236行目に、金融経済教育とアドバイスは地続きであるという文言があることから、中立的という言葉を意識的に使うことには理解を示したいと思うようになりました。
ただし、アドバイスといいますと、様々なアドバイスが世の中にあるわけですが、ここで言う、この報告書案の中でしきりに言っているアドバイスとは、金融経済教育と地続きであるところにあるアドバイスと考えます。一つご提案ですが、金融経済教育と地続きであるところにあるアドバイスについては、括弧をつけるなどして、差別化していただいてはどうでしょうか。また、金融経済教育と地続きであるアドバイスについては、その外延については慎重に検討を継続していくことが必要と思います。
最後になりますけれども、金融経済教育において、「誰一人取り残さない」という記述が欲しいところです。金融リテラシーにおいても、多様な国民がいます。そうした実情を踏まえたきめ細かなプログラムの開発、金融経済教育を職域へと拡大していくことや、金融経済教育と地続きであるアドバイスを提供できる人材の育成などを具体的な目標としてこのたび掲げられたということは、国民の金融リテラシーの向上に向けて大きな一歩になるだろうと思います。
私からは、雑駁ですが、以上となります。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、竹川委員、御発言ください。
【竹川委員】 竹川です。よろしくお願いいたします。まず、2ページの62行からのインベストメント・チェーンについてですけれども、金融事業者のほか、企業年金制度等の運営に関わる者も規定の対象に加えるということについては賛同いたします。投資信託や保険に関して一般に販売されているものと確定拠出年金での開示方法については統一する方向で、顧客に分かりやすくなるように、ぜひ今後、議論を深めていっていただければと思います。
2点目は、顧客への情報提供についてです。3ページ目から4ページ目にかけて、組成コストの例として仕組債が挙がっていますが、仕組債は情報開示の仕方の問題ではないと思っておりまして、一般の生活者にポートフォリオを提案するときに、仕組債を組み入れる余地があるとは思いません。ここまで報告書に(仕組債の)開示の問題を書く必要があるかどうかは検討していただきたいです。逆に、保険商品等についてはより詳しい、組成コストも含めた開示が必要ではないでしょうか。
3点目は、中立アドバイザーについて申し上げたいと思います。まず、「中立的」という文言ですが、中立的というよりは、顧客の側に立ったアドバイザーを育成することが大切なのではないかと考えます。
4点目は、5ページ目の145行目から、「アドバイスの対象が」以下の意味が読んでもいま一つよく分かりませんでした。なぜなのか、と考えると、投資を念頭に置いた書き方になっているのではないかと思いました。アドバイザーというものはそもそもどういう人だろうと考えたときに、ファイナンシャルプランナーもそうですが、一人一人のライフプランや、B/S、P/Lなどを考慮した上で、全体最適を考えて提案するということが大前提だと思います。その上で、投資する人に対しては、今でもポートフォリオの提案までは行うことができるわけです。さらに個別商品まで踏み込んで助言するかどうかはその先の話です。国が(アドバイザーを)育成するのであれば、特に中間層を手厚くしたいという意味においては、前段でお話をした一人一人のライフプランやB/S、P/Lなどを考慮した上で、全体最適を考えて提案する人、ポートフォリオの提案ができる人を増やすところまでで現状では十分ではないか、とも思います。
今回の報告書案を見て、中立アドバイザーの定義が曖昧であること。あとは、説明の中で、情報提供、アドバイス、助言というものが出てきますけれども、それぞれの定義も曖昧であり、使い分けがきちんとなされていないような気がいたします。この状態のまま、個別商品の助言まで踏み込んで認めていくのは不安を感じます。また、先ほど島田委員からも少しありましたけれども、(投資助言代理業登録を緩和して)対象商品をつみたてNISAに限定して、つみたてNISAを普及する人を増やしていくようなイメージで捉えられてしまうと、本来のアドバイザーとはイメージが違ってくるのではないかという点は懸念しております。
中立アドバイザーの定義が不明確と考えるのは、どういう立場で、どのような収益構造で活動する人たちが主体になるのかということがいま一つ分からないからということもあります。金融庁はファイナンシャルプランナーの所管ではありませんが、そういったアドバイザーを育成するということであれば、金融事業者同様に金融庁が監督する立場となって、法令違反があったときに対応するといったことも含めた検討が必要だと考えます。
最後に金融リテラシーの向上についてです。8ページ目の226行辺りですけれども、この金融リテラシーの向上については、ライフプランニング、社会保障、税なども含めて、広い意味での金融知識を体系的に獲得できるようにすべきです。全体を通してやや投資に寄った書き方になっているように見受けられますので、そこはもう少し幅広に、体系的な金融知識を獲得できるようにという視点が大事だと考えます。
以上です。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、岩城委員、御発言ください。
【岩城委員】 岩城です。これまでの議論を丁寧におまとめいただきまして、ありがとうございます。大きな方向性はこのとおりだと思います。ただ、ようやく最も大切な顧客本位ということについて議論ができる場ですので、煙たいと思われるかもしれませんが、疑問点を含め、6つ述べさせていただきます。
1つ目は、まずインベストメント・チェーンの販売会社と家計の間に、独立した顧客本位のアドバイザーを入れることをお願いしました。資本市場で金融事業者は長期で安定した資金を調達し、また、家計は長期で資産形成をします。マーケットでは、両者のパワーバランスが均衡することが重要で、そのためには立場の弱い家計をサポートすることが必要だからです。これについて触れられていないようですけれども、その理由を教えてください。
2つ目ですが、60行目の「一歩踏み込んだものと促すべき」というのは、つまり、法制化が必要と言っているのでしょうか。
3つ目は、150行からの中立性の判断について、考慮ではなく、顧客からのみ報酬を得ていることと定義し、法規制することを議論していくと、一歩踏み込んでいかなければ、この場所から前には進めないのではないでしょうか。
そして、4つ目、157行ですけれども、登録要件の緩和の検討で、「つみたてNISAやiDeCo等の対象商品に限定」とありますが、これは厚生労働省との提携を進めているということで理解してもよろしいのでしょうか。これにつきまして、昨日、社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)でも議論のお願いをしました。資産運用は制度ごと、口座ごとではなく、企業型DC、iDeCo、NISAなど、お金の置き場所として、資産全体で資産クラスの配分、バランスを考えて総合的に管理し、投資方針を策定することが必要ですし、合理的です。また、リタイアメントプランを考える場合、公的年金の受給開始時期、私的年金をどのように取り崩していくかなどが重要になります。一人一人のライフプランに合ったマネープランを実行、支援するためには、企業型DC、iDeCoの商品についての助言も緩和対象としなければ十分なアドバイスが難しいと思います。
そしてもう1点、つみたてNISAの対象商品については、一般口座でも投資助言を行ってもよいと理解してもよろしいでしょうか。つみたてNISAの助言だけでは、たとえ志があったとしても、完全に独立した顧客本位のアドバイザー業務が職業として成立するのは難しいと思います。せっかく厳しい基準を設けて、つみたてNISAの対象商品を選んでいるのですから、それらの商品については一般口座でも助言ができるとすると、中間層から富裕層まで相談を受ける対象者をより広げていくことができます。もちろん顧客本位のアドバイザーの質を上げることを前提としますが、家計から求められる持続可能なビジネスモデルもつくっていけます。
5つ目は、153行、Ⅲの金融経済教育の実施ですが、ぜひ国が主体となって、誰もが安心して利用できる仕組み、家計の自助努力をバックアップすることだけを目的としたものにしてください。金融商品販売によるコミッションを一切得ず、顧客からのみフィーを収入源とする、顧客本位のアドバイザーを認定、育成していくという方向で、さらに議論を進めてほしいです。
創設、運営のための資金、人材について、もし具体的なお考えがあればお聞かせください。
最後に、兼業規制についてももっと議論を深めるべきだと思います。助言サービスが無償の場合、助言業務への忠実義務が課されていないということが、不適切な推奨に基づく商品購入につながっている面があると思います。有益な助言対価としてアドバイスフィーを支払う文化をつくっていくためにも、対価の有無にかかわらず、規制すべきではないかと思います。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】 ただいまの岩城委員の御発言の中に、幾つか御質問事項が含まれていたかと存じます。事務局から、もし御回答可能でしたらば、よろしくお願いいたします。
【桑田市場企画管理官】 御質問ありがとうございます。幾つかいただいておりますので、順番に、可能な範囲でお答えしたいと思いますけれども、インベストメント・チェーンの中で販売会社と家計の間の独立したアドバイザーという視点ですが、立場が弱い家計のためにということですが、まさに中立的アドバイザーというところに関して、複数回、顧客の立場に立ち、こういったアドバイスを提供していく者の普及という観点から文章を書かせていただいているわけですけれども、この辺り、先ほどほかの先生方からも御意見いただきましたが、顧客の立場に立ったという点について、もう少し分かりやすく書ける余地があるかどうか検討してみたいと思います。
それから、60行目、「一歩踏み込んだものとする」というのは法制化のことをおっしゃっているのでしょうかというお話がありましたけれども、まさにここは58行目以降に書いておりますとおり、「顧客の最善の利益を図るべきであることを広く金融事業者一般に共通する義務として定めることなどにより」ということで、これまでFD原則の法定化を考えるべきではないかという御意見、複数の先生方から頂戴しておりましたので、そういった意見を踏まえて記載しているところです。
それから、つみたてNISA、iDeCo向けの投資助言業に関するところですけれども、こちらの発想としては、細かい制度設計というものは、今回、これまでいただいた各委員の先生方からの御意見を踏まえて、詳細はまた検討していきたいとは思っておりますが、金融庁において所管しています投資助言業の業務範囲について、助言対象をつみたてNISAやiDeCo、それと、ここで「例えば」と書いていますので、企業型DCというのも候補になり得ると思っておりますが、そういったところを絞る代わりに、登録要件の緩和を金融庁として考えるべきではないかという御意見だと理解しておりますので、厚生労働省とは適宜適切に意見交換などさせていただきますが、金融庁の中の枠組みにおいて御意見を踏まえて考えていきたいと思っております。
それから、助言対象を絞った結果、職業として成り立たせることが難しいのではないかといった御意見をいただきましたけれども、この中立的なアドバイザー自体の育成については、最終的な目標はやはり顧客が良質で、より良いアドバイスが手に入れられる、そんな環境をつくるということです。そのためにはアドバイザーのビジネスが持続可能であるということや、アドバイス業界が健全に発展していくということが重要ではないか。そういう意味で、アドバイザーを育成していく観点が重要だということかと思いますので、155行目ですけれども、個人に対する国の支援の可能性を検討する余地があるのではないかという点を書かせていただいているところです。
すみません。1件飛ばしてしまいましたが、つみたてNISAの対象商品を一般口座の場合でも、という話ですけれども、この辺りも詳細な制度設計は今回、タスクフォースで取りまとめていただく御意見を踏まえて検討していくことになりますが、登録要件を緩和する見合いとして、どういった助言対象であればよいか。そういったところを様々な御意見をいただきながら検討していきたいと思います。
金融リテラシーの推進主体の常設化に関しまして、運営資金等々に関するイメージについて御質問がありましたけれども、まさにこのタスクフォースで、官民一体となって望ましい体制を早急に構築していくべきであるといった御意見をいただいておりますので、そういうことを踏まえて、我々として検討していきたいと思っております。
最後に、アドバイスフィーの有無にかかわらずというところでありますけれども、まさに販売会社における無償のアドバイスの点も含めまして、我々はやはり最終的には、繰り返しになりますが、良質なアドバイスというものが顧客に行き渡る世の中がつくられることが重要であると思いますので、そういった観点も含めて、広く、今回、顧客の最善の利益に向けて、金融事業者が取り組んでいくことを促していくべきだという議論をしていただいておりますので、そういった文脈において、アドバイスフィーを受けている、受けていないにかかわらず、広く金融事業者が顧客のために良質なアドバイスを提供できるような環境をつくる枠組みを今回のいろいろな御意見を踏まえて検討させていただきたいと思っております。
以上です。
【神作座長】 田原審議官、御発言ください。
【田原審議官】 田原でございます。「一歩踏み込んだもの」についての質問に、今、桑田からも回答しましたように、文章としては、金融事業者全体による取組を一歩踏み込んだものにするということですので、法律上の根拠をプリンシプルベースの取組に与えることで、委員の先生方からもいただいたような金融事業者の方々の取組を底上げし、かつ、広げていくということを、一歩踏み込んだと書いているということでございます。補足させていただきます。
【神作座長】 岩城委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
【岩城委員】 ありがとうございます。今後とも議論をよろしくお願い申し上げます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、渡辺委員、御発言ください。
【渡辺委員】 よろしくお願いいたします。私、前回欠席してしまい、御迷惑をおかけしました。事務局に対しましては、このような中間報告を非常に短時間でまとめていただきまして、どうもありがとうございました。方向性については私も全く異論はございません。コメントは3点ほどでございます。
1点目は、最初の顧客への情報提供というところについてです。ここについて、どういうことを記載するのか、開示するのかということが主に議論されているのではないかと思いますけれども、そこに加えて、分かりやすさ、必ずしもリテラシーが高くない人でも、分かりやすく明確に理解できるようにするということが非常に重要なのではないかと思っています。
例えば重要情報シートについてですけれども、どれぐらい導入されているという話とか、何を期待するかということが主な論点だとは理解していますけれども、どれぐらい分かりやすいかということが重要だと思います。実際に何個か重要情報シートを見て、割と網羅的な記述になっていたりして、必要な情報は全部、これまでであれば記載されていなかったようなことも分かりやすく記載されているとは思いますけれども、必ずしもリテラシーが高くない人が見て、何が一番重要な話なのか、そこについてきちんと理解できるように分かりやすさを求める、明示的に何かの形で分かりやすさを求めるということもあってもいいかと思います。
では、実際に制度として、何が分かりやすくて、何は分かりにくいという点をどのように規制していくのか、という論点はあると思いますが、分かりやすさを明示的に求めることを考える必要があると思います。業者の側からすれば、場合によっては分かりにくくするとか、あえて網羅的にしてしまうことで一番開示したくないところが開示はしているけれども埋もれている、というような形になるという懸念がありえるため、このようなことが起きないようにするということが重要かと思います。
この後、89行目辺りで、手数料等の開示の話も書いていただいていますけれども、これもやはりどうやって比較しやすいかが重要だと思います。比較ができるような数字が開示されているかだけではなくて、離れたところに個別に開示されていると比較しにくいわけですから、それが必ずしもリテラシーが高くなくて、比較するコストというものが高い人にとっても明らかに分かりやすい形で比較できるようにするために、分かりやすさというものを論点の一つとしてもいいかと思いました。
2点目は、中立的なアドバイザーについてです。先ほどから少し議論があるところかと思っていますけれども、ここで報告書では中立性の判断については「金融事業を兼業しているかどうか、顧客から報酬を得ているかどうか」というような書き方がされていますが、一規制のモニタリングとしては、一番分かりやすいのは、最終的には、どういう行動をしているかという点だと思います。
具体的に、個々の顧客と話した結果、顧客がどのような商品を購入するようになったかといったものを見れば如実に分かるということだと思いますので、そういったものについて個別のデータを収集する体制の構築により、モニタリングが可能になるかと思いますので、このようなデータを逐次更新していきながら集めていくということは、技術面もコスト面でも、これまでの時代と違って、非常に簡単にできるような時代になっていますので、実際の行動の側から本当に中立かどうかというモニタリングができるような仕組みをつくってしまうということが一つ考えられる方向性かと思います。
これは中立アドバイザーに限らず、幅広く、ほかの金融商品販売の場面全てについて同じ議論ができるかと思っています。この報告書で書かれているデジタル技術の利用という話とは少し方向性が異なりますけれども、デジタル技術が最も端的に利用できるのは個別の販売の詳細なミクロデータを金融庁が収集して、それをモニタリングすることだと思いますので、そういった方向性について、今後御検討いただけるとよいかと思っています。
最後はリテラシーについてです。リテラシーのところで、「施策ごとにKPIを設定する」と書いていただいていますが、KPIは設定するだけではなくて、簡単なKPIを設定して、いつも問題ありませんというようにしてしまえば全く意味がないことになりますので、設定した上での施策の効果検証が重要だと思います。特にターゲット層ごとに設定したKPIを達成する、そのためにはどういう施策が有効なのか、そのKPIはどういう施策をやると、より達成ができているような形になるのか、ということを常に効果を検証しながら、EBPM的な観点をもって検討する必要があると考えます。さらにKPIが満たされたから問題ないといった考え方をするのではなくて、常に効果検証しながら明示的に施策の効果検証をして政策の改善をするというEBPMは、金融教育は比較的適用しやすい政策分野だと思いますので、それを次の政策形成に生かすというような形で考えていただけると良いかと思います。
私からは、以上、3点になります。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、松元委員、御発言ください。
【松元委員】 御発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。松元でございます。まずは事務局の皆様方に御礼を申し上げたいと思います。大変充実した内容、しかも、極めて重要な内容の報告書になっているのではないかと拝読しました。私からは3点、コメントを差し上げたいと思います。
まず80行目辺りからですけれども、今回の議論のきっかけというのが、プリンシプルベースだけではなかなか限界があるのではないか、どうしても最低限のルール化をする必要があるところがあるのではないかというのが議論の出発点の一つだったと理解しておりますところ、特に一番重要な利益相反の可能性について、利益相反を開示するという部分について、ルール化すべきであるという方向性を打ち出してくださったことについては、これはとても大事なところなのではないかと思います。
それから、2点目ですけれども、今度はプリンシプルベースの部分についてですけれども、前回の会議の際に、最善利益義務を法制化するということになると、これまでの忠実義務や誠実公正義務との関係がごちゃごちゃになって混乱するのではないかと申し上げました。今回ですが、注3の最後で、「顧客の最善の利益を図るべきことを法律上定めることにより」の次ですが、「誠実公正義務に内包されるべき最善利益義務が明確化されるとも考えられる」と整理してくださっていまして、今の現行の法律を前提にしますと、この整理というのは、違和感がないのではないかと感じたところです。
このような理解の仕方をして、そして、誠実公正義務に内包されているべき最善利益義務だけれども、この考え方というものをより明確に押し出す、打ち出す、クリアに外に見えるようにするために法制化するというのは、一つのあり得る方向かと思いました。
それから、3点目ですけれども、今回の報告書で、特に重要なポイントの一つが、これまでの顧客本位原則に関する議論は、かなり販売会社の部分に焦点を置いた議論が多かったように思うのですけれども、今回、アドバイザーについて、それから、資産運用会社、プロダクトガバナンスの話についても、かなり具体的に踏み込んでくださって、ここは今回の報告書で大変重要なところなのではないかと思いました。ぜひアドバイザーやプロダクトガバナンスのあたりについても今後議論を進めていただきたいと思います。
その関係で、アドバイザーについてのみ1点、コメントさせていただきます。148行目に、個人が良質なアドバイスを手軽に受けられるよう環境整備を行っていくことが重要であると書いてあって、この部分が実は極めて難しいところで、今後の課題なのではないかと理解しています。
まさにここの報告書の中で書いてくださっているとおり、イギリスでの例を書いてくださっていますけれども、一般の個人の投資家に、お金を払ってアドバイザーからアドバイスを受けたいという人が果たしてどのぐらいいるだろうかというと、そこはなかなか難しいところもあるように思います。もしかすると、利益相反の可能性があるとしても、その利益相反について最低限の開示はしてもらった上で、金融商品を買うときに、そのついでに、手数料は支払うわけですが、それでアドバイスをもらうというのが現実的という場合もあり得ます。そのように考えていきますと、顧客からのみお金をもらう中立的なアドバイザーの仕組みが絶対的に正しい唯一の解であるわけではないので、個人投資家がどうやってアドバイスをもらうのがいいのか、良質なアドバイスをどういう形で受けていくことがいいのか、どういう選択肢があるのかということは今後難しい問題として考えていく必要があるかと思いました。
以上でございます。取りまとめていただきまして、本当にありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、有吉委員、御発言ください。
【有吉委員】 有吉でございます。中間報告(案)の取りまとめ、どうもありがとうございました。あと、本日は遅参となりまして、誠に申し訳ございませんでした。
私からも何点かコメントをさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今の松元先生の2つ目のコメントと全く同旨でございますけど、顧客の最善の利益の点についてでございます。前回、私も最善利益義務の中身がよく分からないといった趣旨のコメントをさせていただいたところですが、脚注3にございますとおり、誠実公正義務に内包されるべき義務の明確化ということであれば、位置づけは大変捉えやすくなるかと感じております。
ただ、その上で、抽象的な義務であるということは否定できないと思いますので、脚注4にありますとおり、金融事業者に求める具体的な対応が不明確になると、こういったことで金融事業者を混乱ないし萎縮させるといったことや、あるいは当局側の対応が硬直的とか、少々言葉は悪いかもしれませんが、独善的となってしまうとか、こういったことのないように、検査、監督の局面では、運用にぜひ配慮していただきたいと思います。
また、顧客の最善の利益であるとか、あるいは最善利益義務というものは、金融事業者一般に共通する義務として法令に明記されるということであったとしても、その内容が全ての金融事業者に一律というものではないと思います。金融事業者の業態、ビジネスモデルなどの具体的な事情に応じて個別に判断されるべきものであるという義務内容だと考えられますので、この点もぜひそういった前提での監督を期待したいと思います。
それから、3ページ目の顧客への情報提供の関係でございますが、ルール化すべきことの理由として提供されている情報の中身の問題とともに、最善利益義務との関係で書かれているのと同様に、顧客本位の業務運営に関する原則を採択していない、あるいは方針等を公表していない、そういう金融事業者が多いからルール化すべきであるということでもあると思いますので、その点は明記すべきだと思います。
それから、デジタル化の関連でございますが、こちらは前回の会合でもコメントさせていただきましたとおり、私としては抜本的にデジタル化を進める観点から、デジタルによる情報提供を認めた上で、顧客が書面による情報提供を受ける選択肢を用意するかどうかは法令で定めるのではなくて、顧客本位の業務運営の観点から業者がそれぞれ判断するという立てつけにすべきであると考えております。この中間報告(案)の内容に反対するということまで申し上げるつもりはございませんが、こういった意見があったことはぜひ脚注にでも明記してほしいと思います。デジタルデバイドへの対応を軽視するつもりは全くございませんが、ただ、制度として紙での対応を残すことの社会的コストという観点も、制度を考えていく際の視点としては持っておく必要があるのではないかと強く思う次第です。
それから、助言対象を絞った投資助言業の登録要件を緩和するという提案についてでございますけれども、もともと現行の投資助言業規制というものは、相対的にはあまり重い規制ではないと思いますし、それから、度々議論に出ておりますとおり、業態としての収益性の観点もございますので、つみたてNISAやiDeCoに限定したり、あるいは対象商品を限定した投資助言業というもののビジネス上のニーズがあるのかどうかということが疑問に感じました。加えて、仮にそういったニーズがあったとしても、そのような投資助言業を行う人が中立的になりやすいのかどうかということもよく分からないところがございます。
とは言ってみたものの、こればかりはやってみないと分からないという面がございますので、新たな投資助言業制度を創設するということに反対するつもりはありませんが、ただ、この制度を導入した場合には、しばらく様子を見て、想定どおりに利用が進まないといった場合には、金融商品・サービスの販売に携わる者によるアドバイスといったことも含めたアドバイザーの活性化について改めて検討し直してほしいと思います。
最後に、金融リテラシーの向上の関係でございますが、この場で度々、私のほうでコメントしておりました無関心層にも興味を持たせるための工夫ということの必要性について言及していただいたことは大変ありがたく思います。おまけでゲームやエンターテインメントの要素といったことまで記述していただいたことは、さらにうれしく思っているところでございます。その点を含めて、この金融リテラシーの向上の部分の内容については、私としては全く異存ございません。
以上でございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
それでは、神田先生、御発言をお願いいたします。
【神田委員】 ありがとうございます。神田です。今回の中間整理の案ですけれども、このタスクフォースにおけるこれまでの議論をうまく取りまとめていただいているので、非常に結構かと思います。5点ほど、少々細かなことで恐縮ですけども、気がついたことを申し上げます。
1点目、顧客本位の業務運営です。内容は資料のとおりで結構かと思いますけれども、背景と言いますか、もともとこの原則でやってみて5年半たって、道半ばであると。だから、原則のうちの一部をルール化することによって、原則とルールの最適組合せでやってみようというところをまず一言、書いてはありますけれども、もう少し強調してもいいかなと思いました。
というのは、どの部分をルール化するかという話になると、これは今、ここにも書いてあります80行目以下の利益相反関連事項の開示というところからやりましょうということで大変結構だと思いますけれども、これもやってみて、将来、また次のステップということもあり得るかもしれませんので、そういう全体感を書いたほうが読みやすくなると思いました。
2点目はデジタル化です。デジタル化の内容はこのとおりで結構ですけれども、最近、グローバルな実務を見ていますと、データタギングと言いますか、そういう実務が進展していて、簡単に言いますと、デジタルのメリットというのはここに書いてあることですが、単なるコスト削減ではなくて、利用者により多くのデータや情報がワンクリックで行く、つまり、クリックすれば、そこで重要情報シートだとか、あるいは取組方針ですとか、関連する情報とか、データがすぐつながっていくということもあります。こうした試みを活用して、デジタル化のメリットというものをもう少し発揮できるような工夫ができるのではないかということを一言付け加えてもいいかと思いました。
3点目、アドバイスです。これは大変難しくて、私も今日、何人かの委員の方がおっしゃったとおり、少々読んでいて読みにくいなと。書いてあることはすごくいいのですけれども、そう思いました。
一つは何人かの方から御指摘のあった、「中立」という言葉が少々出過ぎているので、これは事務局が先ほどおっしゃっていた良質なアドバイスが顧客に届くような、そういう仕組みを考えていくという、そういう書き方をもう少し強調してはどうかと思いました。
私はもう少し別の面か少々読みにくいと思いました。書かれていること自体は大変結構なのですけれども、それはどういうことかというと、例えば、アドバイザーになり得る主体として、今、画面共有していただいていますが、134行目ぐらいから、これこれの様々な業種や業態が考えられる。そのとおりだと思いますけれども、そうだとすると、アドバイザーとしての制度整備というものは、この業態横断的にされるべきだと思います。さらに言えば、将来ということになるかと思いますけれども、制度としては、金融サービス助言業とでも言いましょうか、そういう方向を志向していくということが考えられるのではないでしょうか。
これが第1段としてあって、次に、第2段として、今、資産形成ということが言われているわけですから、その中でも、今で言えばなのですけれども、投資助言業や資産形成助言のところで、アドバイスのところがまた重要になっていることを書いて、それで第3段目として、例えばその中でもiDeCoやつみたてNISAに対象商品を限定したところについて、今ある制度を柔軟にするといったように、3段階で書いたほうがいいのではと思いました。竹川委員が御指摘になったことで、金融全体についてのアドバイスというのも大変大事ですので、金融サービスアドバイスであると書いて、次に資産形成アドバイス、次に商品限定という書き方をしたらどうかと思いました。やや思いつきです。
4点目ですけれども、プロダクトガバナンス、資産運用のところで、言葉として、原則の見直しということと併せて、制度化という言葉が出てきていますが、この制度化という意味が、上のほうで出てくるルール化と同じ意味ならルール化のほうがいいと思います。あるいはルール化よりももう少し広い意味で、例えばですけれども、監督の在り方なども含んでいるということであれば制度化という言葉でいいと思います。
最後に5点目、金融リテラシーです。ここに書いてあることで大変結構かと思いますけれども、1点、これは御指摘が既に今日あったところ、おそらく沼田委員から御指摘いただいたと思いますが、やはり定期的に繰り返しやっていただきたいということで、健康診断と同じ話ですが、年1回ですとか、金融リテラシーや金融知識も、当然、環境やマーケットも変わりますので、繰り返し定期的に同じ人に向けて実施されるようにということを一言付け加えていただいたらさらにいいと思いました。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
本日、御参加いただいた委員の先生方には全員御発言をいただきました。大変ありがとうございました。
それでは、オブザーバーの方から御意見がございましたら、ぜひこの機会に御発言をお願いいたします。チャットでお寄せください。
それでは、日本証券業協会の荻野様、御発言ください。
【日本証券業協会】 日本証券業協会の荻野でございます。オブザーバーとしての発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。事務局におかれましては、これまでのタスクフォースの議論について丁寧に取りまとめていただきまして、感謝申し上げます。その上で幾つかコメントさせていただければと思います。
まず2ページ目になります。顧客本位の業務運営の現状について、金融事業者として、さらに取組みを進めていかなければならないと考えています。顧客の最善の利益を図る取組みを一歩踏み込んだものとすることについては、方向性としては理解できるものでございます。
なお、その対応の在り方については、今後議論させていただきたいと思います。
また、顧客本位の業務運営の在り方は、各社において異なるものでございまして、そのやり方については、一面的に捉えた評価とならないように御留意をいただければと思います。
続きまして、3ページ目の中段ぐらいになります。手数料等の情報提供のルール化について申し上げます。仕組債の組成コストに関しては、御指摘のとおり、販売会社による組成会社への働きかけと同時に、組成会社において開示に対応できる体制整備の取組みを制度面で担保することが必要であると考えています。その際には、投資家にとって比較可能なデータが提供される制度となるよう、御尽力いただければと思います。また、顧客への情報提供のルール化につきましては、実務面を踏まえた詳細にわたる検討が必要だと思っておりまして、引き続き金融庁の方々には関係者との綿密な意見交換を是非ともお願いしたいと思います。
続きまして、4ページ目になります。顧客への情報提供のデジタル化について、これまで証券業界が要望してきたデジタル原則化の方向性が盛り込まれておりまして、こちらは支持したいと思っております。デジタルツールを活用した情報提供の充実につきましては、証券業界としても取り組みたいと考えておりますので、より良いデジタル社会に向けて各社の創意工夫が可能となるよう、引き続き実務的な観点を踏まえた協議をさせていただければと思っております。
続きまして、7ページ目になります。金融リテラシーの向上についても申し上げたいと思います。国全体として、中立的な立場から資産形成に関する金融経済教育の機会提供に向けた取組みを推進するための体制を早急に構築すべきという内容には大いに賛同いたします。さらに国家戦略として、資産形成教育・相談機能を担う公的な機関を設置し、統一的なウェブサイトの構築やシミュレーションツールの提供、地方公共団体や経済団体との連携を図りつつ、事業主あるいは学校からの依頼に基づく講師派遣、中立的なアドバイザーによる個別相談機能、言わば「家計の人間ドック」を備え、かつ、これらを無料で行うことが一つのアイデアとして考えられます。
その内容としては、家計管理、生活設計はもちろん、資産形成として、長期・積立て・分散投資の有効性、それを踏まえたNISA、iDeCo等を活用した金融経済教育が極めて重要だと思っております。
そして最後になります。8ページ目です。総合的な資産形成支援について、関係省庁や地方自治体・民間団体等が連携し、国全体として事業を推進すべきであることに賛成いたします。
なお、金融経済教育に関する取組みは、これまでも民間の業界団体等において行われてきたところでありますが、インストラクター、ウェブサイトやシミュレーションツールといった資産やノウハウを持ち合わせておりますので、当協会としても連携していきたいと考えております。
以上でございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、国際銀行協会の平山様、どうぞ御発言ください。
【国際銀行協会】 国際銀行協会、平山でございます。発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。また、事務局におかれましては、短期間に報告書案をおまとめいただきまして、感謝申し上げます。
大きく2点、仕組債について述べさせていただきます。
1点目、資料89行目から96行目までの仕組債の費用開示についてです。92行目に「時価」という表現がございます。こちら、一般的には発行後の有価証券のプレゼントバリューを連想させると思っております。「時価」という言葉が、発行される直前の仕組債の価格を意味するのであれば、本タスクフォースにて弊協会が以前申し上げました公正価値という表現がよろしいかと僣越ながら思っております。
なお、この公正価値について補足いたします。以前も申し上げましたとおり、公正価値というものは定義がございません。そのため、各社が独自の計算モデルを構築して計算しているのが、日本、そして、海外での実務でございます。また、公正価値を算出する際、仕組債発行時の市場価格を想定してプライシングしておりますので、他社への提供価格との差額は期待収益に基づく差額となります。すなわち、発行時における実際の差額は、市況次第で変化します。この点、金額が固定化された販売手数料と性質が異なります。
また、仕組債等を組成する際、通常、組成者はヘッジ取引を行いますが、ヘッジ取引に関わるコストを公正価値へ反映させる方法が各社で異なっています。また、ヘッジ手法も個別取引に対するフルヘッジ、保有ポートフォリオの既存の反対ポジションを利用するヘッジなど、様々な種類があります。加えて、ヘッジポジションのリスク量の捉え方も各社次第でございます。このように公正価値、そして、公正価値と販社への提供価格との差額である組成コストは多義的です。
そこで、いろいろ商品を運用する最終投資家の目線でこの点を考えた場合、最終投資家が同じような商品を簡単に比較することができるような仕組みをつくることが良いと考えております。つまり、組成業務を行う各社において計算、認識する方法が異なる組成コストを記載するというより、端的に、1、顧客が払い込む金額、例といたしまして、額面100に対して100を払い込むという情報。2、販売手数料、例といたしまして、額面100に対して5が手数料として支払われるという情報。そして、3、公正価値。これら3つを重要情報シートに記載すると、複数の組成者による仕組債を投資家が容易に比較できるようになると思います。
ちなみに、今後の御庁での御検討において組成コストという記載が必要な場合、誤解を避けるためにも、組成に関するコストとされたほうが実態に合っていると考えております。組成コストと記載いたしますと、ハードキャッシュの費用の積上げが可能な株式投資信託のように、仕組債も同じように、ハードキャッシュの費用を積み上げることで計算できるといった誤った印象を与えると思うからでございます。
2点目は資料167行目から201行目までに書かれておりますガバナンス体制についてです。その中の181行目に顧客層の設定とございます。この顧客層については、業界統一的な定義を定めないと、組成者の意図が販売会社に正確に伝わらない可能性がありますので、ぜひ御検討いただければと思います。
また、組成者と販売会社が相互連携して、金融商品の適合性を検証するためには、最終投資家情報を組成者が入手する必要があります。その際、販売会社と組成者が、個人が特定される情報を除いた、顧客の属性や顧客の資産規模などの情報を共有することが可能となる仕組みが必要になると思っております。
なお、ここに記載のガバナンス体制構築には準備のための期間が必要と考えております。公布から施行までの期間については御配慮いただければと存じます。
以上申し上げました、仕組債費用開示に関する論点とガバナンス体制に関する論点の大きな2点を、御庁における御検討の対象としていただけますと幸いでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、FINMACの丸野様、御発言ください。
【証券・金融商品あっせん相談センター】 FINMACの丸野でございます。発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私からは1点、指摘させていただければと思います。8ページの226行目から227行目のところでございます。金融トラブルに関する内容という言葉が出てまいりますが、この部分でこのような表現をされているというのは、金融トラブルに巻き込まれることを回避するためといった趣旨だと理解しています。この理解が正しいということであれば、このままの表現ですと少々舌足らずなのではないかと思う次第でございます。全体としてのバランス感もあるでしょうから、ここだけ長く書くというのは難しい部分もあるかもしれませんが、もう少し工夫していただければと考える次第です。
また、私どもの情報公開について御説明させていただきます。様々な相談、苦情の件数、あるいは商品別の件数などの開示に加えて、紛争解決事例についてはかなり細かく私どものホームページ上で開示させていただいているつもりです。しかしながら、私どものADR機関の情報公開に限って言うと、公開が原則の裁判と違って、あくまで非公開ということが前提の上で行われている手続ですので、おのずと限界もあるということを改めて御認識いただければ幸いです。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、生命保険協会の竹内様、御発言ください。
【生命保険協会】 ありがとうございます。私からは中間報告の案につきまして、原則のルール化に関して御配慮いただきたい事項を2点ほど述べさせていただきます。
まず、2ページの57行目以降におきまして、顧客の最善の利益を図るべきことをインベストメント・チェーンに関わるものに共通する義務とする等によって、原則に沿った取組を一歩踏み込んだものとする方向性を示していただいていますので、ここで言う「一歩踏み込む」の趣旨は、根拠となる法規定を置くことによって、従来のプリンシプルベースの取組を一層後押しするものという理解をしております。
一方で、本来、顧客の最善の利益の解釈や実現方法につきましては、業態や金融事業者と顧客との関係によって様々であるところ、横断的な法的義務とすることによりまして、事業者が義務の履行にばかり目を奪われて、画一的、形式的な対応に陥る結果となってしまうおそれもあろうかと思います。事業者が今回のルール化の趣旨にのっとって、顧客本位に向けて創意工夫をもって取り組めるように、中間報告におきましても、より明確に、金融事業者等の主体的な創意工夫を促すという趣旨であるといった旨を記載することや、今後の法令整備のプロセスにおきまして、その旨を明確に示していただくことなどを御検討いただければと考えます。
続いて、2点目につきましてですが、利益相反に関する開示のルール化に関しまして、3ページの80行目以降に御記載のとおり、現行の重要情報シートの記載事項についての開示を投資信託や外貨建て保険等の様々なリスク性商品を併売する販売会社などに対して求めることの必要性は大変理解できるところであります。
一方で、金融商品の媒介者は多種多様であります。例えば専属の媒介者で、自社商品のみを取り扱うようなケースなどでは、このタスクフォースで議論されてきたような複数の投資性商品を併売するときに問題となるような利益相反はあまり想定されないのではないかと思います。前回も申し上げておりますけれども、具体的な規定内容を考えていく上で、取り扱う商品特性や、媒介者の特性などを踏まえて、きめ細やかな御検討をお願いしたいと考えます。
以上です。ありがとうございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、ファイナンシャル・アドバイザー協会の中桐様、御発言ください。
【ファイナンシャル・アドバイザー協会】 ファイナンシャル・アドバイザー協会の中桐です。発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。当協会からは中立的なアドバイザーについてコメントさせていただきます。
中立性とは何かという点につきましては、推奨、助言、一任など、方法を問わず、投資商品の製造がグループ内、グループ外、いずれの場合でも商品選択を是々非々で行うオープンアーキテクチャー構造において、顧客への提案を行うべきと考えます。
また、その際に、特定の製造元の商品への販売にバイアスがかかるような営業員への報酬評価体系や、また、同じく本社の商品比較、デューディリ担当者の報酬評価体系にもバイアスがかからないようにすべきと考えます。
当協会としましては、顧客とアドバイザーが同じ側に立つ一つのモデルがフィーベースと考えており、米国において最も典型的なフィーベース事業モデルの投資実行手段であるマネージドアカウントは、顧客からのみ報酬を得ているフレームワークとなっております。さらに、米国のようにマネージアカウントに組み込まれている投資信託の代行手数料は最終的にゼロにすべきものと考えます。
アドバイザーがビジネスとして成り立つよう育成していくという観点におきましては、米国でも資産運用と切り離された形でのアドバイスのみ提供しているケースは極めてまれであり、どのようなサービスを選ぶかは、本来は顧客の選択肢にしていくことが個人投資家を正しい投資へ導くためにも有用であると考えます。
例えば2021年に31,669社ある米国RIAのうち、機関投資家向けRIA、ヘッジファンドやPBファンドその他、オルタナティブファンド運用会社及び開店休業状態にあるものを除いた約17,000余りの個人向けRIAの大部分は、マネージドアカウントによる資産運用サービスをアドバイスの対価として、セットで提供しております。これらも含めた、顧客からのみアドバイス料をいただくというモデルは、アドバイザーの自律的なビジネスを成り立たせるためにも必要不可欠であると考えております。
私の発言は以上となります。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、全国銀行協会の江連様、御発言ください。
【全国銀行協会】 全国銀行協会の江連でございます。発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。私からは2点、FD原則の法制化、顧客への情報提供のデジタル化について申し上げます。
1点目は法制化についてです。前回申し上げたとおり、法制化の大枠について異論ございません。具体的に求められる事業者の対応など、制度の詳細を詰めていくに当たっては、これまでの取組が後退せぬよう、現場実態を踏まえて引き続き議論いただきたいと考えております。
コスト開示については、解釈の余地を残すことによって販売会社間で取扱いが異なることや、製販業者間での調整による機会費用が発生することは好ましくないと考えられますので、開示のフィージビリティを確保しつつ、顧客にとって分かりやすく、比較可能な開示ルールを統一的に定めるべきと考えます。
また、組成コストの開示が受けられず、販売事業者が商品を販売できなくなるといった事象が生じぬよう、インベストメント・チェーンの各当事者が共通の目線で開示に取り組めることが担保されつつ、円滑に法制化が実現されるよう御配慮いただきたいと考えております。
2点目は、情報提供のデジタル化、書面に関わるコスト負担についてです。書面に関わるコスト負担に限らず、手数料は、サービスを提供する事業者がお客様に御理解をいただき、そのサービスに費やしているコストや提供価値に見合った対価をいただくという考え方が基本にあるものと思います。
また、競争の観点から、コスト負担の在り方は一律で定めるべきものではなく、本来、事業者の判断に委ねられ、それぞれの戦略に基づいて決定していくものと理解しております。発生しているコストは、通常、何かしらの形で利用者に御負担いただき、事業全体としてのサステナビリティを確保しているものであり、本文125行目にある「金融事業者の負担とすることが求められる」という記載については、実態に即して見直しを御検討いただきたいと考えております。
また、脚注に記載いただいている「本来は情報提供が義務であり、提供方法は顧客との関係で決めるものであるという考えに立った場合、書面交付希望者にコスト負担を求めることも考えられる」といった文言は、本文に記載いただくことも御検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、投資信託協会の杉江様、御発言ください。
【投資信託協会】 投資信託協会の杉江でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。5ページの資産運用業についてコメントいたします。ここで指摘されている顧客本位の業務運営の確保やプロダクトガバナンスはいずれも重要な課題であると考えております。資産運用業界としては、資産運用業宣言2020におきまして、顧客の利益を最優先にした業務運営を行うことを資産運用業界全体で宣言しております。引き続き、この中間報告で指摘されている諸点について資産運用会社において自ら検証し、よりよい業務運営の在り方を検討してまいりたいと考えております。
現在、顧客本位の業務運営に関する原則につきましては、ほとんどの投資信託委託会社がこれに対する対応方針やKPIについて策定し、自社ホームページにて公表しております。また、投資信託協会のホームページからも一覧性を持って、会員である各資産運用会社の取組にアクセスできるようになっております。各資産運用会社の取組につきましては、おのおのの会社の規模やビジネスモデルにより様々ですけれども、例えば既存の会議体や運用部門の役割について改めて見直し、アドバイザリーボードの設置などにより、顧客本位の業務運営の実効性について検証しているということや、運用パフォーマンスの向上を目指して、運用の効率化や体制整備に取り組むなど、顧客本位の、顧客の最善の利益の実現に向けた様々な積極的な取組を行っているところでございます。
投資信託協会としては、多様な資産運用会社が様々なビジネスモデルで資産運用業を営めるようにすることが資産運用業の高度化やプロダクトイノベーションを促す観点から重要であると考えております。そういう観点から、資産運用会社の業務運営やプロダクトガバナンスについては、基本的にはプリンシプルベースでの対応が適切であると考えております。引き続き、資産運用会社に対して顧客本位の業務運営の考え方がより浸透するよう努力するとともに、引き続き資産運用会社のベストプラクティスを会員間で共有し、資産運用業界全体のレベルアップ、底上げに努力していきたいと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、電子決済等代行事業者協会の瀧様、御発言をお願いいたします。
【電子決済等代行事業者協会】 電代協の瀧でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。3点申し上げます。
まず1点目に、デジタル技術の情報提供の活用のところですけれども、非常に重要な論点だと思いますが、議論がこのようなものということはどうしても入り口といいますか、販売時における情報の伝達というところにこの関連は集中しがちだと思っていまして、電代業は銀行口座のデータ集約を行う業でもありますけれども、お客様が典型的に今どんな契約をしているかをホリスティックに知る手段は中々なく、ほとんどの人たちがそういえばという形で契約を持っていたということを自覚したりすることも多いと思っています。なので、入り口だけではなくて、実は、保有中に保有しているという情報が手短に手に入る状況を確保することも本来は重要な観点なのではないかと思っております。この段階の御指摘となりまして恐縮ですが、そのような観点も今後考えていただければと思っております。
2点目ですが、中立的なアドバイザーの見える化ということは大変重要な取組だと思っております。一事業者としてこの論点に取り組んできた者として思いますのは、非常に難易度の高い問いだと思っております。中桐様のおっしゃるように、ラップといいますか、マネージドアカウントなどは非常にストレートな分かりやすさを持つ業だと思いますので、これらの業が何人ぐらいがどれぐらいの層に向けてサービスを提供しているのかということを把握していくのが大事だと思っています。放っておくとどうしても富裕層にという観点を抜け切れない傾向がこの業はあると思っており、できるだけマスにおいて普及するのかという観点からちゃんとPDCAを回すような取組に行けるとよいと思っておりますので、そういう事後検証の手段も見据えることが重要ではないかと思っております。
3点目に、教育についてでございます。私も金融広報中央委員会の様々なプロジェクトで関わりを持たせていただいておりますけれども、そういう中で教員向けの動画といったものに出演している中で、これは直接どういうプロジェクトが実施されているかも重要ですけれども、実際に教育する人のレベルの拡充手段というものも重要だと思っております。恐らく2つありまして、一つは教職員の方々のレベルの向上というものがどうしても重要ですということと、もう一つは、例えば中小企業やDCの観点で言うと企業の中にいる教育係となり得るような人たちというものがあると思っております。DCは特にそうだと思いますけれども、会社の中で教えられる人たちがどれぐらいちゃんと武装できているか、補助を得られているかということも非常に重要な観点だと思っておりまして、この辺りが充足してくると、教えられる人を増やすという形の効率のよい施策になってくるかと思っている次第でございます。
以上、やや散らかっておりますが、3点申し上げました。
以上でございます。
【神作座長】 どうもありがとうございました。オブザーバーの方からの御意見も以上で、全員御指名させていただいたと思います。若干時間が余っておりますけれども、委員の方から2回目の御発言のご希望がございましたら、この機会に御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
もしよろしければ、本日も、非常に貴重な御意見を多数いただき、ありがとうございました。本日御報告いただきました中間整理案の大方の方向性については御賛同いただいたと理解いたしました。ただ、個別の文言、個々の文言の修正ですとか、あるいは、本文ないしは注への追加等につきましては、先ほど申し上げましたように、大変示唆的な御意見を多数いただきましたので、事務局におきまして、さらに報告書案の内容について検討させていただき、次回もう一度開かせていただき、取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと考えております。そのような進め方でよろしゅうございますでしょうか。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。お忙しいところ、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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