金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第4回) 議事録
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1.日時:
令和4年12月15日(木曜日)10時00分~12時00分
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2.場所:
オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
- 【神田座長】
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ただいまから、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループの第4回目の会合を開催いたします。
皆様方にはいつもお忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日の会議ですけれども、これまでと同様、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン会議を併用した開催とさせていただきます。議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
会議を始めます前に、いつものように事務局から留意事項の説明をお願いいたします。
【廣川企業開示課長】
ありがとうございます。金融庁の企業開示課長の廣川でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、御発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛にお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございます。本日ですけれども、これまでのように、会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただきます。
それでは、早速ですが議事に移らせていただきます。本日は、事務局から資料の御説明をしていただきます。その後で質疑応答、討議の時間とさせていただきます。
では、事務局から資料についての御説明をお願いします。廣川企業開示課長、よろしくお願いいたします。
【廣川企業開示課長】
ありがとうございます。本日はディスクロージャーワーキング・グループの報告案を用意させていただいております。主にお手元の資料1に沿って、また、最後のほうで資料2も少し参照させていただきながら御説明を、駆け足になりますけれどもさせていただきたいと思います。
表紙をおめくりいただきまして、ローマ数字の1ページにメンバー名簿をつけておりまして、2ページに目次をつけてございます。
その上で本文に入りますけれども、改めまして1ページ、「はじめに」のところからでございます。1ページ、最初の段落では企業情報の開示の意義を書いておりまして、2段落目で経済・社会情勢が大きく変化する中、投資家の投資判断においてサステナビリティなど中長期的な企業価値に関連する非財務情報、それから企業から多様な媒体で随時発信される情報の重要性が高まっているといったようなことを書いてございます。
その上で3段落目では、今年の6月に公表されましたディスクロージャーワーキング・グループ報告、こちらのほうで、特に今回のテーマになりますサステナビリティ、それから四半期開示について、どのようなまとめがなされていたかということを簡単に書いてございます。四半期開示については、四半期決算短信に一本化する方向が示されたということ。サステナビリティ開示については、サステナビリティ基準委員会の役割の明確化、ロードマップについては引き続き検討されることとされたということを書いてございます。
2ページに参ります。ここから四半期開示についてでございますけれども、1ポツ、四半期開示をはじめとする情報開示の頻度・タイミングということで、さらに1ポツですけれども、四半期開示の見直しということで、最初の段落では、本年6月に公表されたワーキング・グループ報告での結論部分、四半期決算短信に一本化することが適切と考えられるとされたということを書いてございます。
その上で、次の長い段落ですけれども、こちらのほうは前回第3回で御議論いただきました開示の将来の方向性に関するお話がございました。この段落では最後の3行になりますけれども、将来的に期中における情報開示の在り方について信頼性を確保しつつ、投資判断における重要性が高まっている適時の情報開示に重点を置いた枠組みへと見直していくことも考えられるということで、様々な御意見がございましたので、私どもからも考え方を示させていただきましたが、「見直しをしていくことも考えられる」ということで、そのような書き方にしてございます。
それから次の2ページの(1)に参りまして、四半期決算短信の義務付けの有無ということで、これは前回の6月の報告でも書かれていたことではありますけれども、四半期開示については中長期の経営戦略の進捗状況を確認する上で有用等の御意見があったところでございました。
一方で、今回もいろいろ御議論いただいた中で、3ページの上にありますように、必ずしも一律に四半期開示を求める必要はないとの考え方も、そういう御意見もいただいたところでございます。
他方で、前回いろいろと多くの御意見をいただきましたけれども、中ほどにありますように、現時点において一本化後の四半期決算短信の任意化を決定することや、将来的な任意化のタイミングを検討することに反対の御意見を幾つかいただいておりましたので、そこを書かせていただいております。
その上で、そのページの一番下の段落からですけれども、日本企業の開示をめぐる現状に照らすと、経営戦略の進捗状況の確認としての意義、平均的な企業の開示姿勢の懸念等々あるということに鑑みまして、次の4ページの上ですけれども、当面は四半期決算短信を一律に義務付けることが考えられる。その上で、将来的な四半期決算短信の任意化については、まず企業の開示に対する意識の改善・向上や、企業が積極的に投資家へ充実した情報を提供するような市場環境の確立によって、上記の投資家からの懸念を払拭する必要がある。このため、今後適時開示の充実の達成状況や、開示をめぐる企業の意識の変化、有価証券報告書の開示タイミングの状況等を踏まえた上で、四半期決算短信の任意化について幅広い観点から継続的に検討していくことが考えられるというふうに、案では書いてございます。
次に、(2)適時開示の充実ということで、最初の段落では適時開示の枠組みで情報を充実させていくことは重要な課題であるということ。四半期開示の任意化を検討する前提として、適時開示の充実は重要な考慮要素となっていると。
次の段落で、まず、企業の積極的な適時開示を促すためには、取引所における好事例の公表やエンフォースメントの強化のほか、適時開示ルールの見直し(細則主義から原則主義への見直し、包括条項における軽微基準の見直し)について、取引所において継続的に検討を進めることが考えられる。
その際、適時開示ルールの見直しについては、細則が定められている中でこれまで実務が行われてきた点や、インサイダー取引規制との関係を考慮すべきとの意見があり、これらも踏まえた検討が必要であるとしてございます。
さらにその次の段落ですけれども、将来的な話として、中ほどからですが、将来的に重要な適時開示事項、例えば企業が公表する重要な財務情報等について臨時報告書の提出を求めることを検討することが考えられるとしてございますが、この点については、段落の下のほうで、具体化する際には重要な適時開示事項の範囲や、将来情報が含まれる場合の取扱いについて検討していくことが考えられる。
さらに次の段落で、その場合には、同じ情報を適時開示と臨時報告書とで二度提出することは避けるよう、制度上の整理やシステム連携によるワンストップ化に向けた検討を進めることも重要と。さらに将来的には、上場企業の開示情報に係るシステムの在り方について、中期的な視点で検討を行うことが考えられるとしてございます。
次の5ページの(3)四半期決算短信の開示内容に参ります。
ここでは、開示内容についても様々御意見があったということを、最初のほうの3段落で御紹介させていただいた上で、ページの一番下の段落ですけれども、原則として速報性を確保しつつ、投資家の要望が特に強い事項(セグメント情報、キャッシュ・フローの情報等)について、四半期決算短信の開示内容を追加する方向で、取引所において具体的に検討を進めることが考えられると。
6ページに参りまして、なお、四半期報告書において直近の有価証券報告書の記載内容から重要な変更があった場合に開示が求められてきた事項というのがございます。これらに重要な変更があれば、同じ金融商品取引法上の報告書である臨時報告書の提出事由とすることが考えられるとして、例えばとして、重要な契約というのを例として書いてございます。
(4)に参ります。四半期決算短信に対する監査人のレビューの有無ということで、こちらについては、監査人によるレビューの義務付けを求める意見があった。
他方で、第1・第3四半期における監査人のレビューを義務付けない場合でも、半期と年度の報告書に対してレビュー・監査を行うことで財務情報の信頼性を確保していくことが考えられるとの意見。また、速報性の観点から、監査人によるレビューの義務付けを不要とする意見もあったということで、多様な意見があったことを書きました上で、6ページの一番下のほうですけれども、速報性の観点等から、四半期決算短信については監査人によるレビューを一律には義務付けないことが考えられると。
他方、投資家から監査人によるレビューを求める意見が一定程度あることや、企業側にもレビューを受けるかどうかは企業側の判断に委ねるべきとの意見があったことを踏まえて、企業において、任意でレビューを受けることを妨げないこととするとともに、投資家への情報提供の観点から、レビューの有無を四半期決算短信において開示することが考えられると。
併せて、例えば会計不正が起こった場合(これに伴い、法定開示書類の提出が遅延した場合を含む)や、企業の内部統制の不備が判明した場合、信頼性確保の観点から、取引所規則により一定期間、監査人によるレビューを義務付けることが考えられる。取組所において具体的に検討を進めることが期待されるとしてございます。
(5)四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメント。こちらにつきましては、最初の段落で、まず、取引所においてエンフォースメントをより適切に実施していくことが考えられる。
その上で、次の段落、法令上のエンフォースメントについては、民刑事の責任や課徴金などの対象とすべきとの意見があったということであるのですけれども、しかしながら、これまで四半期報告書のみを対象とした課徴金納付命令は極めて少ないこと、それから、第1・第3四半期報告書廃止後の半期報告書及び有価証券報告書において法令上のエンフォースメントが維持されることを踏まえると、現時点ではこれを不要とすることが考えられると。
次のページに参りまして、ただし、こういった四半期決算短信を含む取引所の適時開示については、相場変動を図る目的など、意図的で悪質な虚偽記載が行われた場合には、現行でも金融商品取引法上の罰則の対象となると考えられるということで、脚注21では実際の事例も書いてございます。
先々の話として、次の段落、将来的に重要な適時開示事項を臨時報告書の提出事由とする場合には、四半期決算短信に含まれる情報も臨時報告書の提出事由とすることを検討していくことが考えられるとしてございます。
(6)半期報告書及び中間監査の在り方。8ページの一番下の段落、最後の3行ですけれども、上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容と監査人のレビューを求め、提出期限を決算後45日以内とすることが考えられると。
次のページに参りまして、非上場企業についてですけれども、現行法上も任意で上場企業に義務付けられている四半期報告書を提出することができる枠組みがあると。最後の3行ですが、今回の四半期開示の見直し後においても、上場企業に義務付けられる半期報告書の枠組みを選択可能とすることが考えられるとしてございます。
なお、上場企業である銀行・保険会社等、いわゆる特定事業会社につきましては、特定事業会社用の規定がございますけれども、これについては、最後の4行ですが、上場企業と同様の制度に見直すべきとの意見があったということであるのですが、しかしながら、本件については、破綻処理制度等々の関連も踏まえ、金融監督上の観点から引き続き検討していくことが必要であるとしてございます。
(7)その他の論点に参ります。①会計基準・監査基準の整備ということで、こちらについては、結論的な部分はページの一番下、当局、企業会計基準委員会(ASBJ)、取引所、日本公認会計士協会などの関係者において、今回の見直しに伴う必要な対応を行うことが考えられるとしてございます。
次のページ、10ページに参りまして、②公衆縦覧期間の延長ということで、これについては、2段落目の最後のほうですけれども、半期報告書及び臨時報告書の公衆縦覧期間については、金融商品取引法を改正し、有価証券報告書の公衆縦覧期間及び課徴金の除斥期間である5年間へ延長することが考えられる。
また、一番最後ですけれども、将来的に、コスト面も考慮しながら、公衆縦覧期間や閲覧期間のさらなる延長を検討することが期待されるというふうにしてございます。
11ページに参りまして、サステナビリティに関する企業取組みの開示ということで、大きく2つ目のテーマでございます。
1、サステナビリティ開示をめぐる国際的な動向と我が国における対応。(1)国際的な動向と我が国における今後の議論ということで、最初の段落では、本年6月のワーキング・グループ報告、サステナビリティ情報の記載欄を新設すべきであるとして、さらに国内基準設定主体の役割の明確化、サステナビリティ情報に対する保証の在り方、企業や投資家の実務的準備に資するロードマップについて、さらなる検討を進める必要があるとしていたということで、前回の報告を振り返ってございます。
その上で、その後の内外の動きを以下に書いてございまして、最初は、本年7月に公益財団法人財務会計基準機構において、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が正式に設立されたということで、7月には国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準案に対して意見発信を行っていること。また、その後も我が国における開示基準の検討を行っている。また、本年11月に運営方針について公表しているということを書いてございます。
次に、国際的にはですけれども、ISSBですが、サステナビリティ開示基準を2023年前半に最終化することを目指して議論を行っているという状況でございます。
欧州では企業サステナビリティ報告指令、いわゆるCSRDですけれども、こちらが本年の11月に最終化されているということで、その下での開示基準、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)ですけれども、こちらの案が現在検討を進められているということでございます。
なお、EU市場での純売上高が大きいEU域外企業グループについても、2028年度から、ESRSまたはこれと同等と認めた第三国の基準に準拠して報告することが求められるということで、我が国の企業様にも少し影響がある話と思いましたので、書かせていただいております。
アメリカの動きは、本年3月に規則案が公表されて以来、大きく確認できる動きが見られておりませんので、検討が進められているということを書いてございます。
その上で、次の段落ですけれども、中ほどから、国内の開示基準の検討や有価証券報告書への取り込み、保証の在り方の議論、さらにはこれらを支える人材育成等が必要になるというふうにしてございます。
その上で、(2)に参ります。まず、我が国におけるサステナビリティ開示基準ですけれども、こちらについては、最初の段落で、ISSBにおける基準開発の方向性を見据えながら、国内の開示基準の開発に向けた議論を進めていくことが重要であると。
その際に、国内で検討される開示基準に関しては、市場区分や規模等に応じた段階的な対応を検討することが考えられるとの意見があったということなのですが、ここは一方で、市場区分等にはかかわらないのだという御意見とか、国際的な比較可能性を求める御意見といったような、様々な御意見があったということを紹介しているということでございます。
その上で次の段落ですけれども、最終的には全ての有価証券報告書提出企業が必要なサステナビリティ情報を開示することを目標としつつ、今後、円滑な導入方策を検討していくことが考えられるとしてございます。
その際に、国内及びグローバルでの比較可能性を確保する観点から、我が国における基準については、国内において統一的に適用し得る開示基準を策定すべきとの意見があったということで、法定開示である有価証券報告書には、このような統一的な開示基準を取り込んでいくことが考えられるとしてございます。
13ページに参ります。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の役割、開示基準の位置付けということで、こちらについては、最初の段落では、我が国の開示基準を開発し、法定開示である有価証券報告書に取り込んでいく場合には、開示基準設定主体、それから開示基準、法令の枠組みの中で位置付けることが重要であるとしてございます。
次の段落では、会計基準設定主体、それから企業会計基準について、金融商品取引法令上の枠組みの中で位置付けられていることが参考になるということで、特に基準設定主体については5つの要件があるということ。また、基準については告示指定されているということを書いてございます。
これを参考に、次の段落ですけれども、サステナビリティ情報についても、基準設定主体、基準自体を金融商品取引法令の中で位置付けることが考えられるとした上で、会計基準設計主体についての要件の一つに国際的収れんというのが挙げられていますが、これについては、例えば国際的な整合性の観点から継続的な基準開発を行うという要件にすることが考えられるとしまして、その下の段落で、SSBJは5つの要件を満たし得ると考えられると。今後、関係法令の整備を行うとともに、SSBJが開発する開示基準について、個別の告示指定により基準として設定することについて重要であるとしてございます。
14ページに参ります。3ポツのサステナビリティ情報に対する保証の在り方ということで、こちらについては、国際的に、欧州・米国では限定的保証から導入し、合理的保証に移行するアプローチが提案されているということ。また、国際的な基準設定主体において基準の審議が開始されていて、予定も公表されているということ。
それを書いた上で、次の段落ですが、有価証券報告書において、我が国の開示基準に基づくサステナビリティ情報が記載される場合には、将来的にこうした情報に対して保証を求めていくことが考えられるということで、まず、どの範囲に対して保証を求めるかについて検討する必要があるということ。
「また」の段落ですが、現行で、有価証券報告書の財務諸表に対しては公認会計士または監査法人による監査が義務付けられているということを踏まえると、サステナビリティ情報に対して保証を求める場合には、金融商品取引法において規定をすることが必要になると考えられると。
その上で、保証の担い手については、ISSBの開示基準においても、財務情報との結合性を前提としているということを踏まえると、財務諸表の監査業務を行っている公認会計士・監査法人によって担われることが考えられると。
その上でなお、サステナビリティというテーマは広範で、多様な専門性を必要とする領域であることを踏まえると、保証の担い手を広く確保することも重要だと考えられるということで、次の段落で、担い手の要件については、独立性や高い専門性、品質管理体制の整備、当局による監督対象となっていることなどが考えられると。特に、保証の担い手を法制度の中で位置付けることで、当局の監督対象とすることが考えられるとしてございます。
また、保証基準や保証水準については、国際的な保証基準と整合的な形で行われることが比較可能性の確保に資すると考えられると。
「なお」のところは、今の話を書いてございます。現在でも、企業が任意で保証を受ける動きが見られているということで、今後、有価証券報告書において保証を受けている旨を記載する場合には、例えば保証業務の提供者の名称、準拠した基準や枠組み、保証水準、保証業務の結果、保証業務の提供者の独立性等について明記することが重要であり、必要に応じてこのような取扱いを明確化することが考えられるとしてございます。
4ポツで、サステナビリティの最後ですけど、ロードマップです。企業や投資家における予見可能性を高め、実務的な準備を確実に進める観点から、我が国におけるロードマップを示していくことが考えられると。
その際、これは随時見直しすることを前提とすることが考えられるとした上で、16ページに参りますけれども、サステナビリティ開示基準の開発、その法定開示への取り込み、サステナビリティ情報に対する保証の在り方の議論を進めるほか、人材育成にも取り組むということで、開示の充実を着実に進めていくことが期待されるとしております。これに関しましては、資料2ということでロードマップ案をつけてございます。
本体に戻ります。「おわりに」ということで、17ページでありますけれども、今後、関係者において、四半期開示については金融商品取引法上の四半期開示義務の廃止に向けて金融商品取引法の改正案を速やかに検討するとともに、その後必要となる政府令や取引所規則を整備する。
サステナビリティ開示については、開示基準設定主体やその開示基準について、法令上の枠組みを明確化する等、制度見直しのために必要な対応を進めることが期待されるというふうにしてございます。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、今からは委員の皆様方から御意見、御質問等をお出しいただく討議の時間とさせていただきます。
いつものように、まず委員の皆様方から御発言をいただき、その後で時間がありましたらオブザーバーの皆様方からも御発言をいただく機会を設けたいと思います。
いつものように時間が限られておりますので、恐縮ですが、皆様方の御発言のお時間を確保できるよう、お一人当たり三、四分程度がめどかなというところかと思います。
それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言いただける方はチャットに1行入れて、全員宛てに送信していただければと思います。いかがでしょうか。チャットいただきました。ありがとうございます。
井口委員、どうぞお願いいたします。
【井口委員】
御説明どうもありがとうございました。また、事務局には多様な意見をまとめていただきありがとうございました。報告書案に賛同いたします。その上で3点コメントをさせていただければと思っております。
最初の1点目ですが、ちょうど4ページ最初のほうにあります、当面、四半期決算短信の義務付けを維持した上で、任意化についても検討するという結論に賛成します。
ただ、この任意化へのハードルというのは極めて高いと考えております。これは適時開示の制度を整えることだけではなくて、報告書にも御記載がありますように、企業の開示姿勢に対する意識の改善が求められているからです。こういうことがあって初めて適時・適切な開示が行われるようになると思っています。
ただ、現状では、一部の先進的な企業を除けば、日本の企業の開示姿勢は先進国の平均を大きく下回ると思っておりますので、ですので、まだ義務付け解除というのは時期尚早だと思っております。
実際、報告書の注4にも記載されていますが、アナリスト協会の調査では、80%以上のアナリストが四半期開示の任意化に反対していますが、こういった背景には、四半期開示が任意化されますと、企業は年度途中の開示に創意工夫を凝らすというのではなくて、開示コストを理由に開示を取りやめて、単なる開示の後退につながるのではないかという、企業の開示姿勢に対する根強い不信感があると思っております。
例えばその重要な一例として挙げられますのが、有価証券報告書の総会前開示になると思っております。前回も申し上げましたし、報告書にも御記載いただいておりますが、長年グローバル投資家、そして国内投資家は、株主総会の1か月前程度の有価証券報告書の開示を強く要望しておりましたが、これが全く実現されない形となっております。
このような株主総会前開示がなされていない国というのは、先進国だけでは日本だけでありまして、日本の企業の開示姿勢が非常に低いということを示していると思っています。
よく四半期開示の任意化ということで取り上げられます、欧州でももちろんのこと、投資家の意向を踏まえて、年次報告書の総会1か月以上前開示が長年行われている状況になっておりますし、また、マスコミの方も時々間違って引用されることがあるのですが、長期経営で有名なユニリーバなど主要企業においても、優れた年次報告書だけではなくて、企業の特性に合わせた充実した四半期開示も行われるということで、開示姿勢は高いというふうに理解しています。
このような日本企業の開示姿勢が大きく改善されたと認識されたときに初めて、この報告書にもあります任意化の検討があるのではないかと考えております。
したがって、現状の開示姿勢での任意化というのは、日本市場の信認の低下につながるだけと思っております。
この意味で、4ページにも御記載のある、申し上げました有価証券報告書の開示タイミングも含めて、幅広い視点で、今後、企業情報の開示の底上げを図る検討が行われる必要があると思っております。
続きまして2点目は、6ページにあります四半期レビューとなります。これまでも申し上げてきましたように、四半期レビューの効果というのは投資家の観点で見ますと大きかったというふうに認識しておりまして、したがって、第1・第3四半期のレビューが任意化されるとなりますと、今までどおり、監査役等と会計監査人のコミュニケーションが継続される仕組みというのも併せてつくることが必要になるのではないかと思っております。
最後の3点目は14ページのほうにありました、サステナビリティ情報の保証の在り方です。報告書にも御記載がありますように、論理的には、公認会計士・監査法人が財務諸表とのコネクティビティを意識しつつ実施するというのが理想だとは思います。
ただ、現状の保証の状況やグローバルな潮流、それから保証の担い手の確保ということを考えますと、保証の担い手を広げることもやむなしと考えております。
ただ一方、高品質の保証の確保においては、財務諸表監査と同様の利益相反管理や、組織的な保証体制確保の課題もあると思います。
ですので、報告書にも御記載のあるとおり、当局の監督対象とすると同時に、公認会計士法同様の法的な仕組みを整える必要があるというふうに考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいています順番で、次に三瓶委員、どうぞお願いいたします。
【三瓶委員】
三瓶です。御指名いただきありがとうございます。まず、事務局には報告案の取りまとめ、ありがとうございます。そこで3点ほどコメント申し上げたいと思います。
まず最初に、報告案の2ページから4ページにわたって、ちょっとロジックがねじれているかなというふうに思っています。
まず1ページ目の初めには、企業情報開示の目的として、投資家の投資判断の基礎となる情報の提供、資本市場の効率的な資源配分ということが書いてあります。
これが実際どうなっているのか、機能しているのかどうかということについては、2ページの下のほう、(1)の黒丸2つ、ここに、企業情報開示の利用者は、四半期開示は有用であるというふうに言っている。また、国内外の実証研究において市場の効率性に寄与しているというふうに言っているわけです。
ところが、この後すぐ「一方で」ということで、一律に四半期開示を求める必要はないというふうに、いきなり任意化の議論になっています。
なので、これを受けて仕方なくというか、「他方で」というのが始まるのですけれども、「他方で」の段落で言っていることは、一本化後の四半期開示の任意化の決定とか、将来的な任意化のタイミングを決定することに反対しているわけです。
そこで主な理由が3つ挙げられていますが、これは全て、そもそもその目的と果たしている機能、それが今現状どうなのかということに照らして有用であるということなので、それをなくすというのはどうかということで、こういう点を挙げられているのですけども、ここで、前回のワーキング・グループで議論された中で重要なポイントが一つ欠けていると思います。
それが脚注5にあるのですけれども、適時開示と定時開示というのは違うものであり、両者の性質は違うのだから単純に代替できるものではないということが言われています。
これは、6名の委員の方が少なくともこういったことをおっしゃっていて、ですから、これは脚注に書くようなものではなくて、本文に書くべき内容だというふうに思います。
何故こういう展開になっているかというと、2ページ目のところに、将来的に適時開示のほうに寄せるということも考えられるというような、一つの考え方として示してロジカルに繋げているように見えますけれども、結局こちらのほうに誘導しているからだと思うんです。
なので、この辺がちょっと違和感のあるところです。ですから、この項目の締めくくり、4ページ目の最後、「このため、今後」というところからなのですけれども、ここに、「適時開示と定時開示の性質の違いを整理・検討した上で」という文言を挿入していただきたいと思います。
そうしないと、このままでいくと適時開示と定時開示の性質の違いということをちゃんと整理して検討しないまま、先に進んでしまう可能性があるというふうに懸念するからです。
次に2点目ですが、適時開示の充実です。ここでは真ん中辺に、「その際」というところから、インサイダー取引との関係も踏まえた検討すべきというふうにありますけれども、インサイダー取引だけではなくてフェア・ディスクロージャー・ルールとの関係も踏まえるべきだというふうに思います。
それは、インサイダー取引規制とディスクロージャー・ルールは、ほぼほぼ情報の範囲が一緒なのですけども、その重要情報の範囲がディスクロージャー・ルールのほうが若干広め、そして、その情報を公表する際の公表の方法も少し広めになっています。ですから、その辺も踏まえて検討する必要があると思います。
このインサイダー取引規制の中にそういうことも含まれた意味があるのかもしれませんけれども、実際に検討する際にそういった点を忘れないようにするために、書いておいていただきたいというふうに思います。
3点目は、サステナビリティ情報に対する保証の在り方です。14ページの2つ目のパラグラフに、「有価証券報告書において」から始まるところですけれども、ここで最後の締めくくり、「将来的に、…保証を求めていくことが考えられる」というふうにありますけれども、この「将来的に」というのは要らないのではないか。
もう、これは、先ほどロードマップにも記されていますけれども、早々に開示基準と並行して具体的な検討を進めるべきことだというふうに思います。
これ以外の内容については賛同いたします。私からは以上です。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に渋澤委員、どうぞ、お願いいたします。
【渋澤委員】
ありがとうございます。事務局の皆様の御尽力に感謝いたします。私は後半のサステナビリティ開示基準のほうですが、ISSBとSSBJの関係性のところで、私の理解が正しければ、ISSBというのはグローバル・ベースラインを引くという理解で、そういう意味では、本来のSSBJに対する役割・期待というのは、それに上乗せてさらにという、そんなイメージだと思うのです。
ところが何となくこう、いろんなところから議論を聞いていますと、取りあえずISSBでどのような概念ができますかと。それで、それを日本の企業との移行とか、いろいろなやり方とかそういうところにも適用させましょうというような、そのような考えがあるかと思いますけども、そうしますと懸念としては、ISSBがベースラインではなくてゴールになってしまって、そこに達成できないところが幾つかあるというイメージが、ちょっと漠然としてありまして、そこら辺のところの考えを、報告書でもうちょっときちんと整理して表現したほうがよろしいのではないのかなと思うのです。
日本は来年、G7の議長国なのです。そういう意味では先進国です、当たり前ながら。そうすると、先進国を代表する立場である中、このグローバル水準のところがゴールではなくて、それがベースになるという、そのような意思表明も日本からは大事なのではないのかなと思います。
もちろん、日本は上場企業の数が多くて、そういうグローバル水準を達成できない企業様がたくさんいらっしゃるということは理解しているのですけれども、そこのところは、個人的な意見としては、言い訳にしてほしくないなということがございます。
本来であれば、これはちょっとこの報告書から離れるところなのかもしれませんけども、含みとして置くべきだと思っているのは東京証券取引所のほうなのではないのかなと思うのです。
せっかくいろいろ区分けしていただきましたが、多分、必要なのはさらなる、プライムの上のグローバルプライム市場なのではないかなと思うのです。そこは本当にグローバルの色々なところの基準をきちんと満たすという、そのようなところが本来あるべきなのではないのかなと思っています。
それはなかなか、現在調整が難しいとしても、少なくともこの1年間、いろいろこのISSBのガイドラインが決まる中、決まった後から対応するということだけではなくて、ぜひお願いしたいところというのは、ISSBとSSBJの皆様と、そして企業との、この三者の定期的な意見交換で、どういうところで適用できるのかとか、どのように調整できるとか、いろいろそのような議論の場を設けることを希望しますので、どうぞ御検討ください。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、続きまして小倉委員、どうぞ、お願いいたします。
【小倉委員】
小倉です。金融商品取引法による四半期開示とレビューが、このたび終焉を迎えることになりまして、改めて非常に大きな改正になったと考えます。
四半期決算短信情報は、これまでの客観性が担保された情報とは、今後、性質が大きく異なることになりますので、個人投資家等に十分に周知していく必要があります。
他方、自主的に企業がレビューを受ける場合には、そのこと自体が情報利用者にとって重要な情報となることから、分かりやすく開示されることが望まれます。
なお、7ページの、「企業において任意でレビューを受けることを妨げないこととする」という表現について、情報の信頼性や客観性を確保するために企業が追加の手続を実施することは、受託者責任の観点から推奨されるものです。コーポレートガバナンス・コードにおいても、適切な情報開示と透明性の確保が基本原則において挙げられています。そのようなコーポレートガバナンス・コードとの関係においても、「妨げない」という表現は違和感を覚えます。
それから3ページに、四半期開示は膨大な人的資源の投入を必要とし、企業に多大な事務負担をもたらしているということが記載をされておりますが、これが事実であり、本文に書くような状況だとすると、企業情報の開示等のためのデジタル・トランスフォーメーションを進めていく必要があると改めて感じました。
今後も投資家ニーズの観点から、四半期の決算短信の義務付けは維持されますので、人的資源を有効活用するためにもDX化が必須であると、改めて感じました。
それから7ページ、四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメントですけれども、これまでの議論を踏まえますと、報告書案のとおりになるかと考えます。しかし、不正会計の抑止には、少なくとも法令による罰則が必要と考えております。
脚注に例を挙げられましたように、相場変動を図る目的など意図的で悪質な虚偽記載が行われた場合には、現行でも金融商品取引法上の罰則の対象となると考えられるという点については、市場関係者に対して説明や周知を行っていくことが重要と考えます。
以上が四半期開示についてです。
サステナビリティに関しては、有価証券報告書における開示が、今春のディスクロージャーワーキング・グループの検討を経て2023年3月期から始まりますけれども、情報の利用が有効に行われることが期待されます。
今回の報告の中で、サステナビリティ情報の保証について、相当の分量を記載いただいております。この保証については、関係者の理解を深めていく必要があると考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、続きまして佐々木委員、どうぞ、お願いいたします。
【佐々木委員】
御指名ありがとうございます。今回の報告案でございますけれども、私ども企業側といいますか、作成者側の声をよく聞いていただいて取りまとめていただいていると思ってございます。基本的には方向性には賛同いたします。その上で、何点かコメントさせていただきたいと思います。
まず4ページ目のところでございますけれども、四半期決算短信の任意化について、継続的に検討としていただいているところは非常にありがたいと思ってございます。
ただ、勘案する項目として、「有価証券報告書の開示タイミング」と記載がありまして、これは四半期開示の任意化とは直接的な関係はないのかなと、少し違和感がございます。その手前の、適時開示の充実の達成状況や開示をめぐる企業の意識の変化と、この記載で十分ではないかと思います。
それから2つ目でございますけども、5ページ目でございますが、投資家サイドで四半期報告書の注記情報を活用しているという記載がございますけれども、私どもの企業の立場からは、ほとんど利用されていないと感じております。したがいまして、そういった意見があったということも、報告書には明記をしていただきたいと思います。
それから、一本化後の四半期決算短信の開示の内容でございますけれども、現行の開示事項を基本とし、追加するとしましてもセグメント情報、それからキャッシュ・フローの情報と、この2点に限定すべきだと考えてございます。
したがいまして、「四半期決算短信の開示内容を追加する方向で、取引所において具体的に検討を進めることが考えられる」という記載がございますけれども、ここには「企業の開示負担にも十分に留意して」という言葉を挿入いただきたいと思ってございます。
それから、四半期決算短信のレビューの関係ですけれども、レビューを任意とするという方針、これには賛同をいたします。
ただ、レビューの有無の開示を求めることで、四半期決算短信のレビューがある意味、慫慂されているといいますか、強いられていると感じるという懸念の声が幾つか挙がってございます。
私どもとしましては、レビューを行うかどうかはあくまで企業の判断であると思っているところでございますが、こういった理解でよいのかどうかを確認させていただければと思います。また、そうであれば、この点は十分に周知をしていく必要があると思ってございます。
最後ですけれども、サステナビリティ情報に対する保証の関係でございます。
15ページの脚注41のところに一つの意見として、「保証に関する国際的な基準開発の議論が進むに当たり」ということで、オールジャパンで検討・対応できるような体制が必要と書かれてございますけども、これは非常に重要なことだと思いますので、本文に記載してはどうかなと思うところでございます。
私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。最後のほうで確認というふうにおっしゃったと思うのですけども、7ページ目の上のほう、「あわせて」の段落の上のところの記述は、もちろん、各企業においてレビューを受けるかどうかは適切に御判断いただくということかと思います。
それでは、次に進ませていただきまして、チャットの順番で、次は近江委員、どうぞ、お願いいたします。
【近江委員】
近江です。御指名ありがとうございます。まず、これまでの様々な議論を踏まえまして報告案を取りまとめていただきまして、事務局の方々に感謝申し上げます。全体の趣旨に対して賛同いたします。
私から3つ、特にコメントをさせていただきたい点としましては、まずは、この四半期開示が投資家の合理的な意思決定に資する情報を提供するものだという認識の下、タイムリーに、かつ効率的にこういった情報が提供されるべく、四半期報告書を四半期決算短信に一本化して、これを義務化するということについて総意が得られたということの意義が非常に大きいと、そのように受け止めております。
今後は、四半期決算短信に開示される項目について、取引所において、特に四半期報告書に開示されてきた投資家にとって重要な情報であるキャッシュ・フローやセグメント情報について、開示に向けた前向きな議論がなされる、ここは必要があると、そのように考えているといったところをコメントさせていただきます。
また、今後もこの四半期開示の任意化に向けた検討は継続されると、このように記載されたことに関して、企業側が主体として、全体として積極的かつ機動的に適切な情報提供に取り組むということが大前提でありまして、この開示が進んでいる、あるいは進まない状況かどうかということについて、この進捗状況につきましては、企業と投資家との間で適宜、エンゲージメントなどを通してしっかり確認しながら、慎重な検討というものがなされるべきであるということを、改めて申し述べさせていただきます。
あとサステナビリティ開示についてですが、SSBJを明確に日本のサステナビリティ開示基準の設定主体として位置付けたということを高く評価いたします。
特に、グローバルに運用プロセスへのESGの統合が加速している中にあって、日本企業がグローバルで比較可能なサステナビリティ開示に迅速に取り組むことは喫緊の課題であると、このように認識しております。
そういった中で、このロードマップ、2024年から2026年の間に開示基準を法定化するというタイムラインを、少なくともこの期間ではやりますということを明確化したといったことによって、日本企業全体としての取組も一段と促されると考えます。
保証につきましても、グローバルの状況を踏まえて議論を継続していく必要があり、かつ人材面での対応力の強化といったところが非常に大事だと考えておりますので、この観点からも、ロードマップが明示されることの意義というものは非常に大きいと感じております。
私からは以上になります。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に中野委員、どうぞ、お願いいたします。
【中野委員】
御指名ありがとうございます。まず、今回、座長の神田先生および事務局の皆様に、この議論の取りまとめをしていただきましたことに御礼申し上げたいと存じます。その上で、大きく分けて3点、意見を申し上げます。
1点目は、「四半期決算短信の義務付けの有無」についてです。前回の審議を踏まえて、3ページに、「現時点において、『一本化』後の四半期決算短信の任意化を決定することや、将来的な任意化のタイミングを検討することに反対するものとして、以下の意見があった。」、さらに脚注5において、「適時開示」と「定期開示」は性格を異にしていることを、かなり丁寧に書いていただいた点につきまして、前回の議論を十分に踏まえているということで、高く評価をいたしたいと思います。
その上で、この脚注5に記述されている点ついては、前回の審議で「適時開示」と「定期開示」について、情報開示のあり方をめぐるかなり本質的な議論が交わされたという認識を持っています。
その点で、先ほど三瓶委員が指摘されたのですけれども、これはやはり脚注よりも、前回の議論の展開から見ると、先ほど三瓶委員が指摘されたような形で結構だと思うのですけれども、本文にも記述していただくのが妥当だと思います。
もう一点、同じく3ページですけれども、本文の上のほうで、「欧州では2014年から2015年に法令上の四半期開示義務が廃止され、各企業の判断により任意で四半期開示を行う実務が定着している」という記述について、私は以前から同様のことが指摘されていることが非常に気になっていまして、この場だけではないのですけれども、色々な箇所で指摘されておりまして、これはEUと日本の四半期開示制度をあたかも同列に扱うかのような記述になっているという印象をいつも持ちます。
私は以前も発言していますけれども、日本は、米国の四半期開示制度と親和性が高い。そもそもEUは、米国や日本の四半期開示制度とは異なり、定性情報を中心とした制度と理解していますので、日本とEUの制度を同列に議論すること自体が、妥当性を欠いているという認識を以前から持ってきました。
この点について、脚注2ですが、委員のどなたかが指摘してくださったのだと思うのですけれども、EUと米国の四半期開示の特徴を、脚注でそれぞれ、きちんと書いていただいています。これは適切な記述だと思うのですけれども、ただ、本文のほうがあたかもEUと日本の制度を同列に扱うような記述になっていまして、私は事実関係として正しいのは脚注2の方だと考えますので、本文を脚注2のほうに差し替えていただくのがベターと考えます。
ここになぜこだわるかといえば、任意化の問題が議論の俎上に載せられているわけですが、日本が任意化するというのは、EUの任意化とは性格をかなり異にしておりまして、むしろ米国が任意化するのに近い議論だと捉えているためです。その意味でやはり米国の制度を議論に含む必要があります。
次に大きい意味での2点目でございますが、7ページのレビューについて、先ほど小倉委員が御指摘になったところですが、2行目の「妨げない」という表現には私も違和感を覚えますので、小倉委員のご意見に賛成です。
3点目についてですけれども、12ページのサステナビリティ開示基準についてです。12ページの一番下の段落で、「国内及びグローバルな比較可能性を確保する観点から、我が国における開示基準については、国内において統一的に適用しうる開示基準を策定するべきとの意見があった。このため、法定開示である有価証券報告書には、このような統一的な開示基準を取り込んでいくことが考えられる。」という記述がございまして、ここで私が読み取ったところでは、日本は複数の基準を認めるのではなく、統一基準を策定していくという方針を明確化したと捉えられますので、この点を支持したいと思います。
今般、このように国内とグローバル双方の比較可能性を確保するということを目標に掲げ、そのために単一の開示基準を確立するという方針を国として表明するに至った意義は大きいと考えております。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に小林委員、どうぞ、お願いいたします。
【小林委員】
小林です。まず1点目ですが、今、中野委員、そしてその以前に小倉委員から御指摘がありました、「任意のレビューも可」という表現に関して、事前の説明のときに修正をお願いしたのは私です。これは単純に、任意である以上、可とか不可とか規定するものではないという意味合いで、この「任意でレビューを受けることは可能」という言い方はおかしいのではないかということを申し上げました。
ただ、今の小倉委員、中野委員からの御発言をお伺いして、確かに「妨げない」という言い方は適切ではないのかもしれないとも思います。
なので、任意のレビューが可か不可かという言い方ではなく、「企業においてレビューを受けるかどうかは任意である」という言い方にしてはどうか思いましたので、申し訳ありませんが事務局には再度お考えいただきたいと思います。
それからもう1点目は、サステナビリティに関して、保証の担い手についてです。15ページに独立性の担保ということがありますが、この「独立性」という意味が、どういう意味での独立性なのかということがはっきり分かりませんでした。私が危惧しておりますのは、サステナビリティに関してはいろいろな機関や組織がアドバイスを業としているわけです。そうした企業に対してアドバイスをしているところが、一方で評価をするとなりますと、これは利益相反になりかねませんので、もし「独立性」という言葉の意味の中に利益相反という意味が含まれていないのであれば、利益相反の規定を明確にしていただいたほうが良いと思います。
以上の2点です。いずれにしましても、本当に皆さんからの様々な意見をしっかりと組み込んでいただいた事務局には、感謝申し上げます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。最後の点は、おっしゃる意味は含まれていると思います。現在の財務諸表監査でいえば、金融商品取引法第193条の2において「特別の利害関係のない」という言葉が使われていたと思いますけども、独立性というのはそれに当然含まれることだと思います。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして柿原委員、どうぞお願いいたします。
【柿原委員】
川崎重工業の柿原でございます。よろしくお願いいたします。この一本化の議論に当たりましては、四半期決算短信の速報性の維持による投資家側の利便と、それから企業側の実利の双方が確保されることが重要ということ、また、サステナビリティ情報など、企業に求められる情報開示の範囲が拡大する中で、企業は投資家に真に求められる情報の速やかな開示に集中するということが、企業側・投資家側双方にとって重要という考えの下、これまで意見を述べさせていただきました。
これまでのワーキング・グループで出ました様々な意見を踏まえて報告書を取りまとめていただき、まずは事務局には感謝申し上げます。投資家側・企業側など関係者の声がしっかり入った内容になっていると思いますし、基本的にはこの内容で着実に進めていただきたいと思います。
本日は3点のみ、意見を述べさせていただきます。前回の発言内容と重なる点もございますが、御容赦ください。 まず1点目、四半期決算短信の義務付けにつきましては、四半期決算短信の任意化について、継続に検討するとされていますが、企業が積極的な情報開示・適時開示を行うことを前提として、中長期的な視点でのステークホルダーとの対話を促すという観点から、義務付け廃止は重要と考えておりますので、ぜひ継続的な検討をお願いしたいと思います。
2点目、監査人によるレビューの有無につきまして、前回も申し上げましたとおり、第1・第3四半期の監査人レビューを任意とする点について賛同いたします。
この点、レビューを義務付ける場合、四半期財務諸表の全ての注記の開示が求められ、タイムリー・ディスクロージャーが犠牲になるとともに、企業の負担が軽減されないことから、レビューの任意化はぜひとも実現いただきたいと思います。
また、本日の資料の7ページに記載があります、また、先ほど佐々木委員が確認され、座長が御回答された件ですけども、レビューの有無を四半期決算短信において開示するという方向性につきましては、注釈に記載のとおり、やはりレビューを推奨することにつながるという懸念があるため、前回同様、賛成しかねるという意見でございます。
3点目です。サステナビリティ開示のロードマップにつきまして、SSBJの法定開示への取り込みを検討の、この矢印の先の点線の括弧が、2024年が含まれていますけれども、SSBJによる我が国の開示基準作成は、ISSBの基準が完成する見込みの2023年前半以降になると思われることから、念のためですが、2024年3月期の対応・適用ということにつきましては現実的ではないように思います。法定開示への取り込みにつきましては、企業の準備状況を踏まえて検討をお願いしたいと思います。
また、第三者による保証につきましても、国際的な保証の基準づくりはまだ開始したばかりであります。これが最終化され、それに基づいた国内基準が開発され、保証実務に反映されるプロセスを考慮しますと、矢印の先の点線の括弧に含まれる2024年や2025年からの適用は現実的でなく、あくまでこれは検討・議論の期間であることを確認させていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、続きまして田代委員、どうぞお願いいたします。
【田代委員】
田代です。どうもありがとうございます。事務局の皆様が非常によくまとめてくださいまして、すばらしい報告書になっているかと思います。
私のほうからは一つだけ、これも以前からお伝えしているので、ちょっと重なってしまうかもしれませんが、また、先ほど小倉委員がおっしゃっていたことと重なることではあるのですけども、今後、この四半期開示やサステナビリティ開示において、企業への負担は確実に増えていくことはほぼ間違いないと思います。また、単体のみならず、やはり連結でいろいろな開示をしないと、グローバルな投資家からは評価されていないことも含めますと、人的資源及びDXも含めるコストの資源というのはかかってくると思います。そのことについて、ここで述べられている報告書の中で、やる、やらなければいけないとか、検討するようなことについて、「各企業で適切な資源を配分する」というような文言が入っているといいのではないでしょうか。実際、今やっていらっしゃる開示に対して、企業がどれだけコストをかけているかというところについては、企業に聞くと、もうどんどん増えているけど、なかなか人も来ないし専門知識も増えないし、ということはよく聞くので、この本体の中にぜひ、それに対応するだけの資源も確保するようにというようなことがあるといいのではないかと思いますので、述べさせていただきました。
私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、清原委員、どうぞお願いいたします。
【清原委員】
どうもありがとうございます。清原でございます。とてもすばらしい御意見をほかの委員から伺っていたところで、ちょっと名前を入れるのが遅くなってしまいまして申し訳ございません。
今回の報告書案については、非常によく取りまとめていただきました。事務局の方をはじめ、皆様には感謝申し上げたいと思っております。
既に委員の方からコメントされているところと重複しているところが一部あるかと思いますけれども、私のほうから数点述べさせていただきたいと思います。
冒頭やはり一番重要なところは、今回、大きな制度の改正があるけれども、開示の充実を図っていくということ、この基本が明確になることが大切というふうに考えております。
次に、ほかの委員の一部の方の御意見と異なるところでありますけれども、レビューの有無のところについて、開示することに対して異論が述べられている点について、透明性という観点からすると、やはりなかなか難しいなと感じているところです。ディスクロージャーワーキング・グループとしての取りまとめとして、レビューの有無についての開示を求めることが、取りまとめ案のとおりの方向性が正当ではないかなと考えております。
この点に関して、日本の企業の中にある横並び的なもの、「同調圧力」という言葉が脚注で使われていますが、その言葉をここに入れるのが適切かどうかというところもございますけれども、やはりここでは、各企業が自社の開示姿勢、自社の姿勢というものをしっかりと外に説明していただくこと、これが当然ですが重要であって、この報告書のところで取りまとめるときにそこがある、ないということ自体にあまりこだわるというのはどうなのかというところを、まず感じるところであります。
今回、報告書案を読んでいると一つ残念なところは、投資家の側から企業に対して懸念点が非常に明確に述べられているところです。そこは本文の中にも出てきていると。この点に対しては、やはり、日本の企業の方にもしっかりと対処していただくことが求められていると思います。
そして、今のガバナンス重視の流れからすると、企業の開示姿勢に対して、取締役会、特に社外の役員の方々、そういった方々の役割というのが非常に重要だということも、どこかでもし触れていただくことができれば、よいのでないかというふうに考えております。
先ほど田代委員のほうから御発言あったところも、とても正当なところだと思っておりまして、人的資源ですとか、また、ほかの委員の方からもご発言がありましたが、DXを含めて、開示を適切に行うために経営資源をどう配分していくか、ここの議論をしっかり取締役会においても行った上で企業が開示に取り組むこと、これがまさに求められているといえるのではないかと考えております。
そういったことをすることもなく、ほかからプレッシャーがかかるから、というようなことにこだわるというのは、ちょっと違う方向に行ってしまいかねないので、やはりそこは考え方の整理をまずしっかりとする必要があるのではないかと思っております。
2点目として申し上げたいところは、井口委員から何度かご指摘があった、有価証券報告書の株主総会前の開示というところであります。
今回のサステナビリティ情報の開示というものが制度化された後には、ほかの委員、田代委員からも御発言ありましたとおり、開示は充実するけれども、間違いなく負担が増えるだろうと思われます。その意味でいうと、やはりその準備をする、有価証券報告書の準備そのものも時間がかかってくると。そのように考えると、今ある6月に株主総会を開催しているところを、恐らく7月に総会を開催するように変えていかないと、なかなか十分な開示の準備をすることもできない、それをベースとした株主総会の運営につながっていかないと回らないのではないか。
そのようになったとき、7月に総会を開催することを想定すると、私は第1四半期の開示と7月に総会を開催することは時間的に近い点でなかなか両立が微妙なところもあるので、第1四半期の決算短信というものがある程度柔軟に対応できるような、そういうものに今後なっていくことが、7月に総会を開催するほうに進んでいく上では、一つの重要なポイントになるのではないかというふうに考えているところでございます。
四半期決算短信ということを第1・第2・第3四半期、というように横並びで考えていくと、同じように議論していくことになると思うのですけれども、恐らく第1・第2・第3四半期のそれぞれの重要性、位置付けというのは、投資家にとっても性質の違いがあって、特に、株主総会が仮に7月に開催されるという場合の第1四半期の決算短信というものに対する情報ニーズ等は、やはり今の状況とは変わってくるし、また、有価証券報告書の内容が充実してきた中では、四半期決算短信、特に第1などについては、情報ニーズというものにおいて、今とは性質が異なる状況になってくるのではないか。そういった動態的なところも考えて対応できるように、その意味で任意化の議論というのを今後も続けていくことは必要だろうし、取引所において四半期決算短信の開示内容についてまとめていく上で重要なところとして、やはり実態、状況の変化に応じて企業側が自主的に対応することがある程度認められるような柔軟性、そういったことを踏まえていただくこと、それと投資家の情報ニーズというものをうまくバランスが取れるような、そういう制度設計としていただくことが求められるなと考えております。
その意味で、開示が厳しくなるというだけでなく、やはりそこはうまくバランスが取れるというような話というのは必要になるのではないか、と考えるところであります。
最後に、保証のところになりますが、今回、SEC規則案のところで上がっている項目について報告書案の中で触れていただき、任意で得ているサステナビリティの保証について言及していく場合には、投資家の誤解を招かないようにそういった項目を記載すべきだというところも入れていただきまして、ありがとうございます。
そういった形で、今後のサステナビリティの情報の開示の充実と、それから信頼性の向上、そういったことがつながる形でこの報告書が取りまとめられてきているということは、非常によかったのではないかというふうに考えるところであります。
以上になります。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に永沢委員、どうぞお願いいたします。
【永沢委員】
永沢でございます。遅れての参加となりまして申し訳ありません。今回の報告書案を拝見いたしまして、審議の途中に様々な意見が出ましたけれども、丁寧に反映されていると思います。情報開示の意義と課題について、一般の方でもよく理解できる内容になっていると思います。事務局の皆様には御礼を申し上げます。
また、多くの委員の方々から専門的なお話を伺うことができましたので、これも大変勉強になりました。ありがとうございました。
報告書案の内容に私は異存はないのですけれども、2点、意見といいますか感想を申し述べたいと思います。途中から参加しましたので、他にも同様の意見をおっしゃった方があったかもしれませんが、四半期開示のところにつきまして、三瓶委員、それから中野委員も御指摘されていましたけれども、適時開示を充実させれば定期開示に代替できるというようなものではないと考えます。
全体として報告書案に反対するものではありませんが、この点については、今後の議論の基礎にもなるようにも思いますので、私も、脚注ではなく本文に置いていただくことを希望いたします。
それからもう一点、EDINETのところですが、10ページのところになりますけれども、サステナビリティ情報はかなり先の将来に置いて検証されるべきものですから、長期間閲覧できるようにすべきということを書いていただいた点を評価します。
加えて、情報は財産でありますから、期間が来たら廃棄ということがなくなるようにしていただきたいと思っており、DXということが今言われているわけですから、それなりの予算を取っていただいて、長期保存・閲覧できるような体制を国として整えていただきたいと思っております。
最後に、小倉委員やほかの委員の方からもご指摘がありましたけれども、企業の皆様には大変なご負担がかかっていると言われている情報開示でございますけれども、開示された情報が個人投資家でも利用できるようになることを目指し、DX化やワンストップ化を進めていただきたいと思います。
私からは以上となります。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に高村委員、どうぞ、お願いいたします。
【高村委員】
ありがとうございます。今回、様々な議論がある中で、事務局で報告案を取りまとめていただき、どうもありがとうございます。全体的な大きな方向性としては異論なく、賛成をいたしたいと思います。特に私、11ページ以下のサステナビリティ開示の点で発言をさせていただこうと思います。
今回、開示基準の開発の方向性や、あるいは開示基準の設定主体、具体的にはSSBJですけれども、こうしたサステナビリティ開示を大きく進めていく制度的な基盤を明確にしていく、非常に重要な報告書を取りまとめていただいていると思います。
併せて、ロードマップを今回示していただいて、これはどなたか委員からもございましたけれども、開示をする企業の皆さんはもちろんですけれども、我々が今後審議をしていくときの見通しをつけるものとして、随時、状況に応じた見直しは必要だということは事務局も指摘をされているとおりですけれども、しかし、こうした見通しをつけるという意味で、大変重要なロードマップを示していただいているというふうに思います。
その上で2点、申し上げたいと思うのですが、一つはサステナビリティ情報に対する保証の在り方であります。保証の担い手を広く確保するという点について、全く異論ございませんけれども、複数の委員からも御指摘があったように、やはり保証あるいは保証の担い手の能力、担い手の質の確保というのが非常に重要だというふうに思います。
報告案の中でも、その点指摘をされていると思いますけれども、特にサステナビリティ情報という今までの財務情報と質の違う情報について、具体的にどのような、これは担い手の要件であり、あるいは開発すべき能力がどういうものであるかという能力開発、人材確保の点にも関わってまいりますけれども、具体的にどのような能力、機能というものを必要とするのかという点について、少し議論を深める必要があるように思います。それがまず1点目でございます。
それから2点目が、15ページ以下のロードマップのところです。こちらもどなたか委員の御指摘があったと記憶していますけれども、16ページの1行目にあります、今後の検討に向けたところの言及にある、「将来的に」という文言は必要ないのではないかと思っております。
むしろ、ここに掲げられている検討課題は、本日の議論の中にもありましたけれども、これから有価証券報告書の開示欄が設けられ、そしてさらにはSSBJ日本基準、開発される日本基準を踏まえて法定基準に取り込みを行っていくという具体的なサステナビリティ所の開示を進める中で、むしろ早期に、国際的な開示の進展に後れをとらずに開示を充実させていく上では、むしろ早急な検討が必要な事項であるというふうに思います。
これは例えば、今後開示を進めていく上で、統合報告書など、企業の様々な実務にも関わってくるところだと思っていまして、この「将来的に」という文言は取っていただいた上で、ロードマップについて非常に高く評価をしているわけですが、同時に、当面の検討課題、審議・検討が必要な課題についても、このサステナビリティ情報開示をできるだけ早く、しかしスムーズに円滑に導入が進んでいくための当面の検討課題を明確にするということも、また必要だというふうに思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に熊谷委員、どうぞ、お願いいたします。
【熊谷委員】
ありがとうございます。みずほ証券の熊谷です。アナリスト協会の企業会計部長を兼務しております。まず全体として、各利害関係者の意見をバランスよく取り入れていただいた報告書になっていると思います。特に、今回のディスクロージャーワーキング・グループの最大の懸案でありました四半期開示の見直しについては、今、いろいろな御意見が出ておりますけれども、誰もが100%納得できる解決策がない中、細かい点を除けば、各利害関係者が受入れ可能な見直し内容になっていると思います。このような提言をまとめていただきました神田座長、それから事務局の御努力に感謝いたします。
以下、4点ほどコメントさせていただきたいと思っております。まず、四半期開示が取引所の決算短信制度に一本化されまして維持されることになったと。これは先般の、昨年度のディスクロージャーワーキング・グループで決まっていたことでありますけれども、改めて歓迎したいと思っております。
ただ、三瓶委員、中野委員、永沢委員から御指摘ありました脚注5についてです。私も四半期が特定の期日で財務諸表、特定の期限までに開示するということは非常に重要なことであると思っております。
それによって財務諸表、あるいは財務情報の比較可能性が担保されるわけでありまして、これは適時開示としてばらばら出てくるというよりは、やはり同期間の企業業績の比較可能性を担保するためにも、これは非常に重要な論点であると思いますので、これまで何人かの委員から御指摘ありましたように、これは本文に持っていくべきであると思います。
それから、四半期開示の任意化の議論でございますけれども、先ほど中野委員から、欧州の四半期制度と米国の四半期制度と比較して、日本の四半期制度というのは欧州よりも米国の四半期制度と親和性が高いというようなお話がありました。
私からは、欧州で四半期開示が任意化されていることによる日欧の開示負担の差について、サステナビリティ情報の開示の差を無視すべきではない、ということを指摘したいと思います。
欧州の企業の非財務情報、企業のサステナビリティ開示負担というのは、先ほど、先般出てまいりましたCSDR等を見ても、日本と比べましてもはるかに重いのではないかなというふうに思います。
もちろん、我が国でもサステナビリティ開示の負担が重くなる方向でありますけれども、欧州ほどではありません。そういう日欧のサステナビリティ情報の開示負担の差ということを考えますと、四半期開示制度だけを取り上げて欧州企業は負担が少ないというのは、ちょっとミスリーディングな議論ではないかと思っております。
それから3点目、レビューについてです。第1・第3四半期について、四半期報告書を廃止して決算短信に統一するのは速報性を優先するというのが論拠であったと理解しております。
第1・第3四半期決算短信にレビューを義務付けるということになりますと、平均的に決算短信の開示時期が遅くなるということが予想されますので、四半期報告書を廃止する論拠が曖昧になってしまうと思います。
したがいまして、先ほど、ここの表現についていろいろな御指摘がありますけれども、レビューを任意とすること自体は、よい落としどころではないかと思います。
レビューの義務付けは決算短信への一本化の論拠を曖昧にしてしまう一方、投資家、利用者としては、任意でレビューをつけるという前向きな姿勢の企業については歓迎すべきであると思います。
最後にサステナビリティに関してですけれども、我が国の開示制度におけるSSBJの位置付け、法令等によって明確化していくという方向性と、ロードマップを示していただいたことは高く評価したいと思います。これは昨年度のディスクロージャーワーキング・グループでも私が非常にこだわっておりました点でございました。
その上で一つ、今後のこのサステナビリティの保証に関する議論について、一つ事務局に御質問があります。サステナビリティの保証について審議していくべきだという御意見もありましたけれども、審議していくのは、このディスクロージャーワーキング・グループなのでしょうか。それとも企業会計審議会の監査部会のほうになるのでしょうか。
いろいろ、まだ見えていないところもあるので何ともいえないのかもしれませんけど、現状、事務局の御認識なり、お考えをお聞かせ願えたらというふうに思います。
最後に、今回の報告書でアナリスト協会のアンケート結果も脚注等で適宜触れていただきまして、フェアに扱っていただいていると思います。その点についても、改めて感謝したいと思います。
以上です。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。事務局への質問があったようですが、お願いします。
【廣川企業開示課長】
御質問ありがとうございます。お話がありました、仮にサステナビリティの保証について議論する場合に、金融審議会になるのか、企業会計審議会になるのかというお話をいただきました。
企業会計審議会の話から申し上げるのが分かりやすいかなと思いますけれども、金融庁の組織令という政令がございまして、そこの中で第24条第1項において「金融庁に、企業会計審議会を置く」と書いてございます。
その上で第2項において「企業会計審議会は、企業会計の基準及び監査基準の設定、原価計算の統一その他企業会計制度の整備改善について調査審議し、その結果を内閣総理大臣、金融庁長官又は関係各行政機関に対して報告し、又は建議する」というふうに書かれておりまして、これが企業会計審議会の役割でございます。
他方、金融審議会ですけど、これは金融庁設置法という法律に根拠規定がありまして、第6条第1項において「金融庁に、次の審議会等を置く」という中に金融審議会が書かれておりますが、具体的に何をやるかということについては、第7条で「金融審議会は、次に掲げる事務をつかさどる」ということで、具体的に、第7条第1項第1号において「内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議すること」とされております。
そのほかいろいろ書いてありますが、金融審議会のほうが一般的に幅広く、いろいろな検討をする場であるというふうに定めがございます。
先ほど申し上げましたように、企業会計審議会の定めのほうは、会計それから監査に関するものとして比較的限定をされてございますので、それも踏まえた、ふさわしい検討の場というのを今後考えていくことかと思います。
あえて申し上げますと、金融審議会のほうが幅広に、そういった新しい分野の検討はできるような条文構成になっているということが、少なくとも申し上げられるかと思います。
以上でございます。
【熊谷委員】
大変よく分かりました。どうもありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、本日御参加の委員の皆様方全員から御発言をいただくことができました。いろいろな角度から非常に貴重な御指摘、表現ぶりを含めての御指摘もいただきまして、どうもありがとうございました。
これまでいただきました御指摘について、もし事務局から何かあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
【廣川企業開示課長】
事務局から、逆に委員の方々から、答え漏れがあるようであれば御指摘をいただければですけれども、そうでなければ特に申し上げることはございませんが、いかがでしょうか。
【神田座長】
結構かと思います。どうもありがとうございました。それでは、オブザーバーの皆様方で御発言があれば承りたいと思います。チャットに入れていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
それでは、日本公認会計士協会の藤本オブザーバー、どうぞお願いいたします。
【藤本オブザーバー】
発言の機会をいただきありがとうございます。日本公認会計士協会の藤本でございます。まず、この取りまとめ、大変ありがとうございました。皆さんの御意見をうまくまとめていただいていると思います。
私からは4点、コメントをさせていただきたいと思います。まず、四半期開示の見直しについてでございますが、四半期決算短信に対する監査人のレビューについて、今後、実現に向けた実務上の課題を関係者の方々と協議を進め、資本市場にとって適切な形となるように、日本公認会計士協会としても尽力をしていく所存でございます。
なお、報告書の7ページ目のところで、委員の皆様からもコメントがあった点でございますが、投資家への情報提供の観点から、レビューの有無を四半期決算短信において開示することが考えられる、との記載について賛同いたします。四半期決算短信の客観性を担保する観点からは、この記載は必須ではないかと考えております。
続いて、サステナビリティ開示についてです。我が国におけるサステナビリティ開示基準の方向性について、国内及びグローバルでの比較可能性を確保することが重要と考えており、報告書案の方針に賛同いたします。
また、企業の開示負担を軽減する観点からも、国際的なビルディングブロックアプローチの下、相互運用性が確保され、我が国の開示基準に準拠することによって、ISSB基準や欧州EFRAG基準などにも準拠することができるということは、大変重要なことと考えております。
続いて、サステナビリティ保証についてでございます。国際的なサステナビリティ情報に対する保証基準は、現在、IAASBがかなり速いスピードで開発を進めております。国際的な整合性の観点から、IAASBにおける保証基準の開発状況や、主要な論点を適時に国内関係者と共有し、日本からIAASBの保証基準開発プロセスに貢献をしていくことが重要だと考えております。
また、保証の担い手について、報告書案14ページ目にも御記載をいただいたとおり、サステナビリティ情報と財務情報との結合性を前提としていることを踏まえると、財務諸表監査を含む保証業務に知見のある我々公認会計士・監査法人が、その知見を生かし資本市場に貢献すべきと考えております。
なお、サステナビリティ情報に関する知見・知識については、以前この会議の場でもコメントをさせていただきましたが、弊会から公表したサステナビリティ教育に関する報告を基に、今後、サステナビリティ情報の知見として備えるべきシラバスの開発、それから公認会計士の一体的能力開発を含む教育体制も構築してまいります。公認会計士だけではなく、関係者と協働して議論を進め、体制構築を着実に進めてまいりたいと思います。
また、最後、ロードマップでございますが、こちらを御提示いただき大変ありがとうございます。サステナビリティ開示の充実に向けた体制を適時に進めていくに当たり、関係者間の目線がそろっていくことによって、効果的かつ効率的に検討が進んでいくものと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に経団連の小畑オブザーバー、どうぞ、お願いいたします。
【小畑オブザーバー】
すみません、経団連の小畑でございます。今回、このペーパーを取りまとめていただきまして、基本的に、もうこのとおりで最終的にお取りまとめいただければと思っております。大変バランスの取れたお取りまとめになっておりまして、事務局の皆様には大変感謝申し上げるところでございます。ぜひ、このとおりで最終的に決定していただければと思います。
ただ、若干申し上げさせていただければ、今回、4ページ目のところで、今後の任意化について継続的に検討と、そういう前提として、いろいろ今後の適時開示の充実の達成状況等々を踏まえた上でというところを書いておられるわけですけれど、一点、私としてどうしても理解できないのが、有価証券報告書の開示タイミングの状況を踏まえるというところでございまして、四半期のお話をしているのに、なぜ年次の話がここへ、あたかもその検討の前提条件として出てくるのか、全く理解することができません。
できればこの点、「有価証券報告書の開示タイミングの状況」という文言を削除していただければというふうに思います。ここが修正のお願いでございます。
もうあと2つは、本日の御議論を聞いた上でのお願いでございますけれども、まず7ページでございます。
ここについて、監査業務のところで、企業において任意でレビューを受けることを妨げないこととするという点につきまして、むしろレビューを推奨すべしという御意見もあったと理解しておりますけれども、一旦推奨されますと、企業の立場としては、これはもうレビューをせざるを得なくなるということで、義務化とほぼほぼニアリーイコールだというふうに受け止めております。
今回、先ほど神田座長から、この点に関して企業の判断に委ねるという趣旨であるという御説明をいただいたところで、私としては非常に安心をしたところでございますけれども、その趣旨を貫徹していただいて、決して、推奨するなどということは、盛り込んでいただくことは避けていただければというふうに思います。
あと一点、14ページでございますけれども、サステナビリティ情報に対する保証の在り方というところで、将来的に当該情報に対して保証を求めていくことが考えられると。まさに私としては、「将来的に」ということだというふうに理解しています。
その保証をするに当たっては誰がするのか、あるいはその担い手をどうやって育成するのか、あるいはその資格はどうするのか、その保証の担い手に対する監督はどうするのか、さらには、そもそも保証のいろいろなことの基準はどうするのか。様々な課題を一個一個克服した上で、初めて保証という制度が出来上がるということからすれば、にわかに保証をやるということはおよそ考えられない、現実的ではないというふうに思っておりまして、「将来的に」という文言が適切であるというふうに考えております。
私からは以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に関経連の松倉オブザーバー、どうぞお願いいたします。
【松倉オブザーバー】
関西経済連合会の松倉です。よろしくお願いいたします。今回の四半期開示の見直しの議論におきまして、投資家・企業などの立場によって様々な意見がある中、見直しの方向性を取りまとめるに当たりまして大変な御苦労があったかと思います。その点につきまして、神田先生はじめ事務局の皆様には感謝申し上げたいと思います。当会としましては、基本的にはこの内容で着実に進めていただきたいと考えております。
その上で、本日は2点だけ申し上げます。1点目は、四半期決算短信の義務付けの有無についてです。当会は従来より、投資家・株主と建設的な対話を行うためにも、企業は積極的な情報開示・適宜開示を行うことが前提となるということを繰り返し申し上げておりました。
その意味で、将来的な方向性として、適時開示の充実の状況を前提とした四半期決算短信の任意化について継続的に検討することが示されたことは、非常に意義深いと考えております。
ただ、その前提としまして、先ほどから佐々木委員や経団連の小畑オブザーバーから御指摘のありました、ページで言いますと4ページの上のパラグラフですが、「有価証券報告書の開示タイミングの状況」の文言の削除に加えまして、「適時開示の充実の達成状況を踏まえて」とされている点につきましては、達成の基準が曖昧なため、表現としては望ましくないと考えております。例えば前回の記述どおり、「適時開示の状況」という表現でよいのではないかと考えております。
2点目ですが、監査人によるレビューに関しまして、前回も申し上げましたが、第1・第3四半期の監査人レビューを任意とする点につきまして、賛同いたします。
この点、レビューを義務付ける場合、四半期財務諸表の全ての注記の開示が求められまして、速報性が犠牲になるとともに、企業の負担が軽減されないことから、このレビューの任意化はぜひとも実現していただきたいと思います。
最後になりますが、関経連では、今回の報告書で引用していただいたように、主な会員企業に向けアンケートを実施し、それを公表しておりまして、これまでこうした会員企業の声を踏まえて、企業側の意見を述べさせていただきました。
細かい点も申し上げましたが、改めて当会の大きな考えを申し上げますと、関経連では、義務付けに基づく一律の開示ではなく、企業の創意工夫による積極的な任意開示が重要と考えておりまして、当然ながら開示に消極的な姿勢は望ましくないと考えております。
その意味では、仮に積極的な任意開示をする企業が現状少ないとすれば、企業にそれを促すための官民一体となった取組がまずは求められると考えており、関経連でも、企業に働きかけを行ってまいりたいと考えております。そして、こうした考えの下、引き続き完全な義務付け廃止に向けた検討を求めてまいりたいと考えております。
金融庁におかれましても、今回示される方向性をベースに、ロードマップの作成など、全体を俯瞰した形で、新しい時代における企業の情報開示の在り方について、継続的な議論とともに、企業への後押しをぜひともお願いしたいと思います。
関経連からは以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に連合の小原オブザーバー、どうぞ、お願いいたします。
【小原オブザーバー】
連合の小原でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。ただいま事務局から御提案、御説明のあった報告案は、企業経営や投資判断におけるサステナビリティに関する取組み、それから情報開示の重要性の高まりに対応しつつ、四半期開示について、コストの削減や効率化の観点から丁寧に議論を重ねて取りまとめられたものと受け止めてございます。
委員、オブザーバーの皆様、それから取りまとめに御尽力された座長、事務局の皆様方に敬意を表したいと思います。
その上で、今回が本ワーキング・グループの一区切りになると思いますので、お願い事項を1点と、お伺いしたいことが1点ございます。
初めにお願い事項ですけれども、今後もサステナビリティ情報の拡充が求められてくると認識しております。また、日本も独自に、もしくは世界に先行して拡充が必要となることもあると考えております。
特に、連合が繰り返し求めてまいりました「サプライチェーンを含めた人権の尊重に対して、企業がどのような姿勢を示すのか」は、企業価値を向上させるためにも大変重要だと考えてございます。本ワーキング・グループを適宜開催するなど、引き続きの議論を行っていただくことを希望いたします。
次に、お伺いしたい事項でございます。6月のワーキング・グループ報告を踏まえて、本年11月に実施したパブリックコメントは、報告案の注記にもございましたけれども、取りまとめの最中と認識してございます。
パブリックコメントを実施した結果、「企業内容等の開示に関する内閣府令などの改正案」に修正の見込みはございますか、また、内閣府令の公布時期など、今後の予定について、お分かりになる範囲で御教示いただけたらと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
【神田座長】
どうもありがとうございました。最後のところ、御質問でしたが。
【廣川企業開示課長】
御質問ありがとうございます。12月7日まで、パブリックコメントを募集しておりました。サステナビリティ情報の記載欄の新設等を内容とします開示府令、及び開示ガイドライン等々、関係する制度改正のパブリックコメントについて、現在の状況でございますが、コメント件数でいきますと300件程いただいており、結構多くいただきました。パブリックコメントとして提出いただきました内容について、案の見直しをする必要があるのかどうか、また、どのようにお答えを差し上げるのがよいのか、これは一つ一つ真摯に受け止めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
ですので、具体的な方向性までは、はっきりは現時点で申し上げられませんが、件数が多いですので、時期的なことだけで言いますと、12月中に最終的な開示府令等々をお示しするのは少し難しいかな、1月にずれ込んでしまうのかなというふうには思いますが、ただ、2023年3月期適用を目指しておりますので、できるだけ速やかに、年明けに公表してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、いろいろと御指摘をいただきましてありがとうございました。
そこで、取りまとめの仕方について、皆様方に御相談するということになります。本日も、皆様方には大変いろいろな角度から、繰り返しになりますけども多くの貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
この秋からのワーキング・グループ、今日、特に資料1にてたたき台を示させていただいた2大テーマというのでしょうか、四半期開示制度の問題とサステナビリティ開示の問題というのは、大変重要な問題であると同時に難しい問題でもありまして、関係者の皆様方にはそれぞれのお立場もあり、意見が異なるというような事項もあったというか、あるということではないかと思います。
特に個別の項目になりますと、御意見が違うということがかなりはっきりしているようなこともあったかと思います。
そういった、これまで委員の皆様方から頂戴いたしました様々な御意見を踏まえて、本日の資料の1というものは、その上で事務局のほうでたたき台をまとめさせていただいたものということになります。
この資料1のたたき台につきまして、皆様方から今日の御議論をいただいたわけですけども、報告書の全体の方向性については御賛同いただけているというふうに言っていいのではないかと思います。繰り返しになりますけど、個別の項目になりますと、お立場により意見は異なる。特に企業サイドの方の御意見と投資家サイドの方の御意見とは異なっているというのが実際のところかと思います。
そういったところを御議論いただきまして、今ワーキング・グループでの報告書の取りまとめをしなければいけないということになるわけですけれども、できるだけ、いただいた御指摘というのはいろいろな形で報告書の中に盛り込めるような努力を、資料1でもしてきたということかと思います。
そこで、本日、様々な御意見をいただきまして、その中には中身に関する御意見、表現ぶりに関する御意見、脚注と本文のどちらに書くかという御意見等をいただきました。
今後の作業ですけれども、まずは本日いただきました御議論を事務局において反映していただいた、次のバージョンを作っていただきたいと思います。
皆様方に、いつもこういう時期になりますと御相談することになるのですけども、もう一度会合を開いて御意見をいただくというところまでは恐らく必要ないのではないかと思っております。本日の御議論を反映したものを事務局において作っていただき、メールその他の方法で、委員の皆様方に案文を御覧いただき、御相談をさせていただきたいと思います。
そういうプロセスを経て、特段大きな問題がなく、委員の皆様方の御了解をいただけるということであれば、その方向で正式の取りまとめということとさせていただいてはどうかと希望しております。
恐縮でございますけれども、今申し上げましたような進め方で今後取りまとめを行うということについて、私に御一任をいただければ大変ありがたく存じますけれども、そのようにさせていただくということで御承認いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【神田座長】
ありがとうございます。オンラインシステムで、なかなか皆様方の雰囲気が見えないのですけれども、声を上げていただきまして、またオンラインシステム上でサインを送っていただいたりしまして、大変ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
また、今後このワーキング・グループでの取りまとめということがされましたら、その結果につきましては、今後、金融審議会の総会に御報告をさせていただきたいと存じます。
ということでございまして、このワーキング・グループは本日、一つの区切りを迎えることができたと思います。これは言うまでもなく、ひとえに委員の皆様方が大変お忙しい中を毎回熱心に御参加いただき、精力的で多様な、そして多角的で建設的な御意見を多数お出しいただいたところによるものでございまして、改めて御礼を申し上げます。
ただ、これで終わりではございませんので、委員の皆様方には引き続き、このワーキング・グループでの審議というのも必要になると思いますし、また、より広く日本のディスクロージャー制度を一層充実・発展していくためにも、いろいろな機会に、また個別に、御意見、御指導をいただくことが続くと思いますけれども、どうか引き続き、その点よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日は以上とさせていただきたいと思います。皆様方、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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