企業会計審議会第51回監査部会議事録
1.日時:令和3年4月26日(月)15時30分~18時00分
2.場所:中央合同庁舎第7号館 9階 金融庁共用会議室3
○西山開示業務室長
定刻になりましたので、これより企業会計審議会第51回監査部会を開催いたします。
私は、事務局の企業開示課開示業務室の西山でございます。
皆様には御多忙の中御参加いただき、誠にありがとうございます。本日の開催でございますが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、企業会計審議会議事規則にのっとり、オンライン開催とさせていただきます。議事録はこれまでどおり作成し、金融庁のホームページで公表させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
オンライン開催に関して、2点注意事項がございます。
まず、御発言されない間は、恐縮ですが、マイクをミュートの設定にしていただきますようにお願いいたします。御発言の際はマイクをオンにして、ミュートを解除していただき、御発言が終わられたらまたミュートにしていただくようお願いいたします。
また、支障のない範囲で構いませんが、会議中はお顔が見れるように、カメラの設定をオンにしていただきますようお願いいたします。
2点目として、御発言を希望されるときですが、チャット機能を使って、全員宛てに発言希望である旨とお名前を入れてお送りください。お名前については、協会名などの組織名でも結構ですので、御入力ください。それをこちらで確認させていただいた上で、部会長から指名させていただきたいと思います。なお、御発言に際しては、念のため御自身の名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただければと思います。
それでは、堀江部会長、よろしくお願いします。
○堀江部会長
西山室長、ありがとうございます。
それではまず、会議の公開についてお諮りいたします。企業会計審議会議事規則にのっとり、監査部会の審議について、公開することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○堀江部会長
御了解いただきましたので、本日の会議の模様は、ウェブ上でライブ中継させていただきます。
それでは、早速、審議に入りたいと思います。
本日はまず、事務局から、品質管理基準の改訂に向けた検討論点資料に基づきまして御説明いたします。その後、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○西山開示業務室長
事務局でございます。表示されております資料に基づいて説明させていただきます。
まず、目次と用語集をおめくりいただきまして、次の4ページ目、総論について御説明いたします。
ISQM1では、品質マネジメントシステムを整備・運用することを監査事務所に求めております。具体的な構成要素としては、同ページの現行基準とISQM1の左右の対照表のとおりとなっているところです。
5ページ目を御覧ください。
5つの品質マネジメントシステムにおいては、リスク評価プロセスが導入されることとなっております。構成要素ごとに目標の設定、品質リスクの識別・評価、当該リスクに対する対応の整備が求められ、リスクに基づくアプローチが組み込まれております。
また、下段にありますISQM1では、適用の柔軟性(Scalability)についても記載されており、事務所に対して品質マネジメントシステムの整備や運用について、監査事務所の状況や業務内容を考慮することを求めています。
こうした総論部分については、これまでの部会においても様々な御意見をいただいたところでございまして、その旨は資料の7ページに掲載しております。
続きまして、8ページ目、「ご議論いただきたい事項」に移ります。
1つ目、我が国の監査の品質管理について、ISQM1の品質マネジメントシステムと同様に、監査事務所において、品質への影響を及ぼす可能性のあるリスクの積極的な識別・対応にフォーカスしたアプローチを導入することについて、どう考えるか。
また、ISQM1の“Scalability”と同様に、我が国の品質管理基準においても、監査事務所の状況や業務内容に応じた柔軟性を導入することについて、どう考えるか。
また、中小規模監査事務所への適用について、柔軟性を持たせながら、品質を確保・向上するには、どのような対応が考えられるか。例えば、中小規模監査事務所における新基準の着実な導入とサポートであるとか、現行基準の要求水準をどう考えるか、協会や審査会による外部チェックの役割などをどう考えるかといったことについてが考えられます。
また、国際的な基準においては、“Quality Control”から“Quality Management”に用語を変更することで、今回の改訂の趣旨を明確化しているところです。これに対して、我が国の基準においては、“Quality Control”と“Quality Management”のいずれも品質管理と表現することが考えられるところ、今回の改訂の趣旨をどのように示していくことが適切と考えられるかという事項がございます。
次に、2.構成要素別の検討事項に移りたいと思います。ここから先は、監査事務所における品質管理実務を踏まえた、より具体的な規定について述べさせていただきます。
(1)ガバナンス及びリーダーシップです。
こちらでは、監査事務所に対し、トップが品質管理に対して責任を負うこと、組織風土を通じて品質へのコミットメントを示すこと、品質マネジメントシステムの整備・運用に適した組織構造やリソースの入手・配分を品質目標として設定することを求めております。
資料中の赤い文字は、現行基準と比較して新たに求められる事項となります。
次に、御議論していただきたい事項がこちらに表示されております。
今申し上げたような事項に基づきまして、原則的な規定を品質管理基準に取り入れ、それを補完する実務的・詳細な規定は協会の実務指針に取り入れていくことが考えられるがどうか。また、上記以外にも、基準や指針に取り入れることが考えられる事項あれば、伺えればと思っております。
次に、(2)職業倫理及び独立性に移りたいと思います。
こちらは、監査事務所に対し、監査事務所の内部の者や同一ネットワーク・ファームに所属する者だけでなく、監査事務所等の外部の者、サービスプロバイダーなどによる職業倫理規程の遵守を品質目標として設定することを求めております。
おめくりいただきまして、御議論いただきたい事項としましては、今申し上げたことについて、原則的な規定を基準に取り入れて、補完するような規定を協会の実務指針に取り入れることが考えられるどうか、というものでございます。
続きまして、(3)契約の新規の締結及び更新に移りたいと思います。
こちらは、監査事務所に対し、契約の新規の締結・更新時において、企業の誠実性や監査事務所の能力等に基づいて判断することに加え、財務上・業務上の目的を優先して不適切な判断をしないようにすることを、品質目標として設定することを求めております。
こちらの御議論していただきたい事項に関しましては、契約の新規の締結及び更新に関して、契約時の十分なリスク評価を行うこと等を含め、品質管理基準や協会の実務指針に取り入れることが考えられる事項はないかといったものでございます。
(4)では、審査を除く業務の実施について規定しております。
ISQM1では、監査事務所に対し、監査チームによる責任の理解、職業的専門家としての懐疑心の発揮を、品質目標として設定することを求めております。こちらも赤文字で追加の品質目標の例が記載されております。
おめくりいただきまして、御議論いただきたい事項としましては、監査部会での御意見を踏まえまして、1つ目のポツにあります、従来から品質管理基準において、監査事務所に対し、監査業務の実施に係る適切な指示・指導の体制整備を求めてきたが、監査事務所の状況や業務内容等に応じた指揮・監督・査閲に、よりフォーカスできるよう、品質目標として取り入れ、適切なリスク評価やリスク対応を求めることが考えられるがどうかといったこと。加えて、監査事務所内のコミュニケーションを促すことも考えられるがどうか、がございます。
こちらは、後の(7)情報コミュニケーションでも言及がございます。
また、従来から監査基準において職業的専門家としての懐疑心について規定しておりますが、監査チームによる責任の理解や職業的専門家としての懐疑心の発揮を監査事務所の品質目標として、品質管理基準にも入れることが考えられるがどうか、も取り上げております。
(5)審査に移ります。審査については、主に2点ございます。
1つ目は、19ページにございます審査の対象について、ISQM1では、上場会社の財務諸表監査や法令上審査が求められている監査等を対象としております。
また2つ目は、20ページ目を御覧ください。こちらは、審査担当者の適格性要件として、ISQM2では、業務執行責任者が同一業務の審査担当者となるために2年以上のクーリング・オフ期間を置くことを求めております。
審査に関して御議論いただきたい事項がこちらでございます。
1つ目、審査対象について、現行の監査基準では、監査意見が適切に形成されていることを確認できる場合を除き、原則として全ての監査について審査が求められており、国際的な基準における審査対象の範囲を包含できていることから、審査対象の見直しは行わないことが考えられるがどうか。
次に、審査担当者の適格性要件として、業務執行責任者が同一業務の審査担当者に就任するには、2年以上のクーリング・オフ期間の設定を求めることについて、協会の実務指針に追加することが考えられるがどうか。こちらにつきましては、実務的・詳細な規定と考えられますので、実務指針でいいかと考えております。
次は、適切な審査担当者を選任した上で、意見表明前だけでなく、監査期間中の適切なタイミングで審査を実施することを明確化すべく、監査基準の改訂についても検討してはどうか、という事項でございます。
続きまして、(6)リソースでございます。
ISQM1では、品質マネジメントシステムの整備・運用のために、人的資源のほか、テクノロジーや知的資源も含めてリソースと位置づけ、監査事務所に対し、人的資源について、採用、教育等を行うほか、不足する場合には監査事務所外から確保すること、また、テクノロジー資源や知的資源の入手、開発、維持等を品質目標として設定することを求めております。
また、スライド24ページ目にありますように、ISA220では、監査実施の責任者に対し、監査チームのリソースに関する適切な対応・責任を求めているところです。
これまでの部会では、監査事務所のテクノロジー面での対応の充実が必要との御意見もございました。
そこで、御議論いただきたい事項に関しましては、今申し上げましたリソースへの対応について、原則的な規定を品質管理基準に取り入れ、それを補完する実務的・詳細な規定を協会の実務指針に取り入れることが考えられるかどうか、また、監査部会での御意見を踏まえまして、ITやデジタル・トランスフォーメーションに関する知識を有する人材の育成・確保等に関して、品質管理基準や協会の実務指針に取り入れることが考えられるがどうか、といったことを挙げております。
次に、(7)情報とコミュニケーションに移りたいと思います。
ISQM1では、品質マネジメントシステムの整備・運用のため、監査事務所に対し、監査事務所内外との情報交換を品質目標として設定することや、上場会社監査において監査役等とのコミュニケーション等を実施するための方針及び手続を策定することを求めておりまして、こちらは現行の品質管理基準では、監査実施者の不適切な行為、判断等に関し、事務所内外からの情報に対処するための方針及び手続を策定する旨が規定されておりますけれども、中段、赤字で示されているISQM1においては、より具体的な品質目標が掲載されているところでございます。
次に、御議論していただきたい事項につきましては、こうした情報とコミュニケーションに関して、原則的な規定を品質管理基準に取り入れ、それを補完する実務的・詳細な規定は協会の実務指針に取り入れていくことについてどう考えるかといったこと、それから、財務諸表利用者の監査品質に関する情報開示へのニーズを踏まえて、後で掲載されます品質マネジメントシステムの評価の結果等について、開示を求めていくことが考えられるがどうか、といったことがございます。
次に、(8)モニタリング及び改善プロセスです。
ISQM1では、監査事務所に対して、モニタリング及び改善プロセスを構築するとともに、根本原因を分析し、根本原因に応じた改善活動を実施することを求めております。
また、ISA220では、監査実施の責任者に対し、監査事務所のモニタリング及び改善プロセスからの情報を理解して適切な措置を講じること等を求めております。
御議論していただきたい事項に移ります。監査事務所が、不備の根本原因の分析や、根本原因に応じた改善活動等を行うこと、それから、監査実施の責任者が、監査事務所等から伝達された、監査事務所のモニタリング及び改善プロセスからの情報を理解し、適切な措置を講じることについて、原則的な規定を品質管理基準に取り入れ、それを補完する実務的・詳細な規定は協会の実務指針に取り入れることについてどう考えるかということでございます。
次に、3.品質マネジメントシステムの評価に移りたいと思います。
スライド34を御覧ください。こちらでは、品質マネジメントシステムについて、年に一度、品質マネジメントシステムの目的が達成されていることの合理的な保証が得られるか評価することを求められております。
資料中段の赤文字①から③のように、合理的な保証を提供する、保証を提供しないといったような結論を出して、措置を講じることが求められております。
こちらに関して御議論していただきたい事項は、次のとおりです。
1つ目、少なくとも年に一度、品質マネジメントシステムを評価し、当該システムの目的を達成しているという合理的な保証を監査事務所に提供しているかどうか結論づけることを求めることを導入すること。
それから、次にあります品質マネジメントシステムの評価を含む、監査事務所における会計監査の品質向上に向けた取組み等について、監査事務所の規模にかかわらず、一定の開示を求めることが考えられるがどうか。
なお、開示の方法につきましては、スライドの「参考」の表に示しておりますとおり、既存の開示枠組みとして、公認会計士法による「業務及び財産の状況に関する説明書類」による開示や、協会の上場会社監査事務所登録情報における「品質管理システム概要書」による開示、監査法人のガバナンス・コードの「透明性報告書」に基づく開示がある旨を掲載しています。
新しく開示書類を求めるのではなく、参考に列挙されているような、既存の品質管理に関する開示書類の開示情報を充実させることが考えられる次第でございます。
次に、4.その他の論点に移りたいと思います。
こちらでは、監査チームの定義について、例えば企業グループ監査において、監査法人ネットワーク・ファーム以外の者も利用されていることを踏まえた見直しをすることについてどう考えるか。
また、そのほかにも、例えばスライド39、監査事務所間の引継についてでございますが、こちら、我が国独自の規定として、現行の品質管理基準でも監査事務所間の引継が設けられており、また、現行の不正リスク対応基準では、上場会社監査を行う監査事務所間の引継について、より具体的な規定が設けられているところです。
そこで、上場会社を対象として、不正リスク対応基準において規定されている手続を品質管理基準に追加することについても論点になるかと考えております。
また、共同監査についても規定をすることが考えられるといったことを挙げております。
次に、40ページ目になります。
ネットワーク及びネットワークのサービスについても、これまでの基準では規定がなかったことから、新しく基準に取り込むことや、文書化について、ISQM1で求められていることと同様の文書化を導入していくことが考えられる旨をお示ししております。
最後のスライドに移ります。
適用時期についてどのように考えるかということを上段に掲載しております。
また2つ目、適用対象につきましては、品質管理基準の中で、四半期レビューや内部統制監査も適用対象となる旨を明記することが考えられます。
また、我が国では、財務諸表の監査・レビュー以外の業務に関する品質管理基準はございませんが、ISQM1が監査事務所の業務全体を対象としていることをどう考えるかについては、事務所としての品質管理体制は一つであることを踏まえると、今回の品質管理基準の改訂は、財務諸表の監査・レビュー以外の業務においても参照され得るという考え方についても御意見を伺えればと思います。
以上が、事務局からの説明でございます。
○堀江部会長
西山室長、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関する御質問のほか、事務局説明資料の中の「ご議論いただきたい事項」、ここについての御意見を中心として、事務局説明資料の前半部分と後半部分に分けて、頂戴したいと思います。
まずは、事務局説明資料の前半、1.総論から2.構成要素別の検討事項の(5)審査までの部分、資料右下のページ番号で申し上げますと22ページ目まで、ここにつきまして、まず委員の皆様から御意見等をお願いしたいと思います。なお、1の総論の部分でございますけれども、ここにつきましては、これまでの監査部会でも御意見をいただいておりますので、これまでいただきました御意見以外で、特に新たな御意見等がございましたらお願いいたします。
それでは、前半部分、資料のページで言いますと22ページまでとなりますけれども、ここにつきまして、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。それでは、どなたからでも結構でございますので、チャット等の機能を使って御連絡いただければ幸いです。
それでは、松元委員からお願いいたします。松元先生、どうぞ。
○松元委員
御発言の機会をいただきありがとうございます。学習院大学の松元でございます。
1点だけ、コメントと申しますか、場合によっては、ほかの委員の先生方の御意見を御教示いただきたいというポイントですので、ちょっと早めに発言させていただければと思いました。
クーリング・オフ期間の点に関しまして、事務局説明資料の22ページの「御議論いただきたい事項」というところを拝見しますと、現在御提案いただいている原案は、上場会社を対象とする監査以外の監査も含めて、全ての監査について、2年以上のクーリング・オフ期間を設定するという内容を、協会の実務指針に追加するというものだと理解したのですけれども、この原案が果たして適切かどうかというポイントについてでございます。
ちょっとややこしいところですので敷衍いたしますと、19ページを拝見しますと、ISQM1、国際的な基準だと、この基準の対象は上場会社の監査についてだということが書かれていまして、それを前提にして20ページを拝見しますと、ISQM2で、その監査について、審査担当者についての2年間のクーリング・オフ期間を置いているということになるので、そうしますと、国際基準で求められているのは、あくまでも上場会社の監査に関する審査について、その審査担当者になるために、2年のクーリング・オフ期間を要求しているということだと理解をいたしました。
その上で、今22ページで御提案いただいている内容というのは、1つ目の黒ポツで、我が国の基準というのは、上場会社対象の監査以外も全てを含めていると。そこは特に変えずに、その全部についてクーリング・オフ期間を設定することにしてはどうかということになっていますので、そうすると、国際基準では、上場会社監査以外については2年間のクーリング・オフというのは求められていないのだけれども、この現在の御提案だと、日本では、上場会社監査以外についても2年以上のクーリング・オフ期間を要求するということになって、国際基準よりも、より厳格な基準を要求するということになるのではないかというふうに理解をいたしました。
それは果たして妥当なのかどうかというあたりでして、上場会社監査の場合は、監査対象が上場会社なので極めて重要なので、審査担当者についての2年間のクーリング・オフ期間を置くべきだということは、私も賛成なのですが、上場会社でない会社の監査についてまで、国際基準よりもより厳格なものを置く必要があるのかどうかということは、ちょっと御検討いただいた方がいいのではないかなと思いました。
もし上場会社でない会社の監査は対象から除くのであれば、協会の実務指針に書くときに、「上場会社監査でないものについては除く」とか書けば、技術的には不可能ではないと思いますので、クーリング・オフ期間の要求について、上場会社監査以外のものも含めるべきかについて、私、監査実務は存じ上げないものですから、実務をやっていらっしゃる皆様方の御意見もお伺いした上で、最終的な判断をされればよいのではないかと思いました。
すみません、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
○堀江部会長
松元委員、どうもありがとうございました。
御確認を含めて、それに対する先生のコメントも頂戴いたしましたので、これから適用対象等をどういうふうな形で整理するかということと関連して、非常にデリケートな問題の御指摘でもございますので、預からせていただいて検討させていただければと思います。よろしゅうございましょうか。
それでは、引き続きまして林田委員。御発言をお願いいたします。
○林田委員
読売の林田です。ありがとうございます。私は、3、4点、コメントと質問をしたいと思います。
1番目が、8ページ、品質マネジメントシステム⑤のところですけれども、ISQM1と同様に、上場企業を見るような大手監査法人と複雑でない監査事務所では、事務所の状況や業務内容はおのずから大きな違いがあるということですから、一定の柔軟性を導入するという方向性については賛成いたします。
ただ、柔軟性という言葉だけで、どの程度のレベルをクリアすればいいのかということを、中小監査法人の側も多分、判断がつかないんじゃないかということがあると思います。そこはしっかりとした実務上のサポートをしていただきたいということ。それから、柔軟性が持つ意味の明確化をどこかでしていただきたい。そして、その内容を周知していただきたいということをお願いしたいと思います。
なぜこんなことを申しますかといいますと、結果的に多くの中小監査法人が、どこまでやっていいのか分からないとなると、リスクの高い監査を忌避してしまって、監査難民のようなものが増えてしまうというおそれもなきにしもあらずと思っておりますので、当局や協会にはしっかりと対応していただきたいというのが1つ目です。
2つ目が、12ページでして、ガバナンス及びリーダーシップ③というところです。監査事務所のトップが品質に関して責任を負うことについて、原則的な規定は品質管理基準に定め、それを補完する形で実務指針などに取り入れていくという方向性、これはこれでよろしいと思います。
この原則、英語で言うと、プリンシプルというものを示す手法については、私が議論に加わった金融審議会の方で、金融機関の営業姿勢に関して「顧客本位の業務運営に関する原則」というプリンシプルを定めたことがありまして、そのときになぜプリンシプルを使うのかというと、原則を示されたものに沿って、同業他社よりも優れた対応を取ることによって、顧客に選択してもらうという前向きな形を取ることによって、何かミニマムスタンダードだけを守っていればいいんだということにしないという意味合いで、このときは設けました。
この今回の方式がそれと合致するのかどうかがよく分からないのですけれども、この原則的な規定を補完する実務的・詳細な規定、実務指針という位置付けにつきまして、この詳細な規定がいわゆるミニマムスタンダードになって、それをクリアしていればいいんだというようなことではなく、何か監査事務所のよりよい対応を引き出せるような形で定めていっていただければなおいいのかなというふうに思いました。
それから、3つ目です。駆け足でまいります。16ページ、契約の新規締結及び更新ですが、監査法人が企業に新規契約をしてもらえるのか、あるいは契約を継続していただけるのかということを考えていると、やはりどうしても企業側に対する遠慮とか配慮とかというものが働きがちになってしまうと思います。それが結果的に監査の品質を落としてきたという実例がこれまでもあったわけでありまして、いわゆる手心のようなものが加えられるリスクを排するという措置が必要だと思います。この資料の表現に、最後の段階で加えられた、「契約時の十分なリスク評価を行うこと等を含め」云々とありますけれども、この部分が具体的にどういうことを意味しているのかというのが私のような素人には分からないものですから、日本語をもう少しかみ砕いて御説明いただけたらありがたいと思います。
最後は、蛇足で申し訳ありませんが、22ページの最後の文章なんですが、これはいろいろと文書を継ぎ足し継ぎ足しで作ったような感じでありまして、全体として意味が取りにくいと。この、「意見表明前だけでなく、監査期間中の適切なタイミングで審査を実施する」というのは、今もやっていることなのか、これから新たにやることなのか。今こうやっているからそれを明確化すべく監査基準を改訂するという意味なのか、これから導入していくのか、この辺がちょっとはっきりしないなという気がいたしました。例えば、審査は意見表明前だけでなく、審査期間中の適切なタイミングでも実施していると、その点について明確化すべく監査基準の改訂についても検討してはどうかという意味なのかどうなのか。その辺りを教えていただければと思います。
少し長くなりましたが、以上です。ありがとうございます。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。率直な疑問点も提示していただきながら、かなり具体的に、ここをどういうふうに解釈すればいいのかということにつきましても様々御意見等いただきましたので、この点につきましてもこれからの具体的な基準づくりに向けて御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。
それでは、引き続きまして、小畑委員。御発言をお願いいたします。
○小畑委員
小畑でございます。発言の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
まず総論部分について1つお伺いしたいと思います。このISQM1につきましては、既に大手監査法人におきましては実質的な対応が図られていると伺っておりまして、そのような意味では今回の基準の改訂ということは大手監査法人における実務の対応についてそれほど大きな影響を及ぼすものではないと理解をしておりますけれども、まず、この理解について、もし間違っていれば御指摘いただければと思います。今後、基準改訂をしていく上で、やはりISQM1のリスクベースの品質管理の理念が非常に重要だと考えておりまして、この理念がしっかりと定着するように、まかり間違うとチェックリスト型の形式的な対応が図られてしまうというリスクもあるかと思っておりますので、あくまでもこのISQM1の理念に沿って、リスクベースの効率的な運用を図っていくというところはしっかりとこの審議会の意見書並びに実際の基準といったところにも反映していただければと思っているところでございます。以上が、総論部分でございます。
もう1点、各論部分で確認させていただきたい点がございまして、資料の14ページの、職業倫理及び独立性の項目の中で、サービスプロバイダーも監査チームの定義の中に盛り込むという記載がございますけれども、ここで1点御確認いただきたいのですが、例えば、監査において依頼した先の保険数理人の方や、あるいは品質管理システムの構築を担うITベンダーの方といった監査人ではない人に対して監査人と同様の職業倫理とか独立性を求めることはちょっと違うと思っておりまして、こういった人は含まれていないと理解してよろしいかどうかお伺いしたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。総論部分につきましてはISQM1の理念を、特にリスクベースド・アプローチという考え方、これが極めて重要で、形式的にならないようにという非常に貴重な御意見を頂戴いたしました。御意見を踏まえまして、これから構成要素別の内容について検討させていただきたいと思います。
また、ちょっと細かいところでサービスプロバイダーという概念が出てまいりますので、これにつきましても検討させていただきまして、次回あるいは次々回の審議会にて案をお示しさせていただき、皆様方から御意見を頂戴するといったプロセスで進めさせていただければと思います。
それでは、引き続きまして、引頭委員。お願いいたします。
○引頭委員
部会長、ありがとうございます。引頭でございます。
全部で3点ございます。まずは8ページ目、先ほど林田委員が御指摘されていたところですが、2つ目の黒丸に監査事務所の状況や業務内容に応じた柔軟性と書いてあります。前回も申し上げており、また繰り返しになってしまい恐縮ですが、やはり事務所の規模とか状況よりも業務内容というところがやはり第1にあるべきだろうというふうに思われます。これは例えばですけれども、今、上場会社の監査事務所の登録数が百二十数社ありますが、その中には公開会社の監査は1社しかやっておらず、ほとんどが非公開会社の監査だという監査法人もあれば、監査対象のほとんどが公開会社という監査法人もあるなど、様々です。このような現実を踏まえますと、もしかしたら同一の監査事務所の中においても、公開会社のための監査品質、目標とする監査品質と、そうでない監査対象に対する品質目標が必ずしも同じではないかもしれないと思われます。今回のISQM1の御提案では、監査の品質目標を追加的に入れてもいいというような言葉もありましたので、ぜひその業務内容に応じてさらに自分たちでリスク評価をリスクアプローチ方式で実施することによって実現していってほしいというふうに思います。これが1点目でございます。
2点目でございます。14ページ目の、職業倫理及び独立性の点ですが、先ほど小畑委員から、サービスプロバイダーを監査チームに含めるという話だけれども、監査人とは関係ない人たちをチームに含められますかという御質問があったと思います。実は私もその点について、ものすごく考えたんですけれども、そうは言っても利用者側から見ると、監査人以外の方々が実施した評価データも含めて監査というのは成り立っているというふうに理解すると、大きい意味では監査チームということになるのではないかと思います。しかしながら、他方で、全然監査人ではない監査チームの方々に対してどのようにして職業倫理だとか独立性などといったものを課していくのかが問題になります。これはやり方の話になりますが、やはり一義的には監査法人、非監査会社との契約を受嘱している日本の監査法人がそうしたサービスプロバイダーをもし使うときには、契約時にそうしたことを守ってほしいという形で、契約書に入れるか、お願いするか、具体的には協会の実務指針で考えていただくことになると思いますが、そうしたアプローチが考えられます。このほか、連結財務諸表をつくるときに、グローバルな中で自分たちのネットワーク以外の監査法人の監査結果を使わなきゃいけないという現実もあります。そういう場合においては、企業側、非監査会社にお願いして、そういう人たちもチームの一員だということで定義してほしいということになると思います、できれば契約書に書いていただくなどして、そうした形でどうにか有機的に監査チームである状態をつくり上げていくような工夫が必要ではないかと思いました。これが2点目でございます。
3点目でございますが、16ページ目でございます。契約の新規の締結及び更新についてです。とりわけIPO、新規公開される企業の監査についての受嘱に関しては、やはりその受嘱時にリスクアプローチで、深度あるリスク評価をする必要があると思います。一旦上場しますと、その後ずっと公開することになります。ですので、公開時の監査は大変重要だと思われます。ですので、契約受嘱においては、どのような監査対象企業かに応じてリスク評価のやり方もリスクアプローチの考え方も変わるかと思いますので、できればですが協会の実務指針で、どのようなプリンシプルを持って、リスク評価やリスクアプローチを考えていかなければならないかについて、考えていただけますと大変ありがたいです。こうした記載がもしあると非常に分かりやすいのではないかと思います。
以上でございます。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。これまでの委員の方々からの御発言でも、どうしても適用対象のところの問題が出てきて、今、引頭委員から業務内容に基づく適用についても非常に重要ではないかという御指摘もいただきましたので、持ち帰らせていただき検討させていただければと思います。
また、後段部分でグループ監査の問題やIPOの問題について御指摘いただきました。特にこのグループ監査における品質管理をどのように考えるかということは重要な論点になってくるかと思いますので、これにつきましても引き続き今の御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○引頭委員
ありがとうございます。
○堀江部会長
それでは、次に今給黎委員、御発言お願いいたします。
○今給黎委員
日立製作所の今給黎でございます。御説明ありがとうございます。
今回、監査事務所全体の内部の品質管理ということで、難しいところもございますけれども、少しコメントさせていただきたいと思います。
全体としては監査基準の国際的整合性や上場企業監査の監査品質レベルの一定以上の確保、維持といった方向性については共有しておりますけれども、新たに監査事務所の内部統制的な文書化なども必要ということで、まずは新たなコストについては監査事務所全体として吸収いただけるよう工夫、対応いただきたいということをお願いしたいと思います。
そうした中で、既に御発言ございましたけれども、大手と中小の監査事務所の中でのリソースの規模の差が相当あるということで、対応のアプローチについては、やはり大手と中小で分けて考えるべきではないかというふうに思っております。中小監査事務所の現場の実情につきましては詳しく存じ上げないところもございますけれども、よく監査人と企業の関係をかかりつけのお医者様のように例えられる方もおられまして、クライアント企業のニーズも地域性含めて多様なものと拝察しております。企業でも大規模な工場や小さな支店など様々な事業体があって、弊社でもこれまで多くの全社的な制度対応というのがございました。小規模の事業体への対応というのは、開発効率あるいはレベルの確保という面で非常に難しいところもあるわけですけれども、企業の対応例ですと、コーポレートが全体を主導して各所の意見を網羅的に収集してコンセンサスを醸成しながら、過剰スペックの整理や統制レベル確保のための最低限の標準プロセスの確立をまず行って、場合によっては各事業体と共同パイロットテストを実施して、標準のテンプレートを全体共有して個別展開を推進してきたように思います。
大手監査事務所は、グローバル提携の影響もあって先行適用されることもあるというふうに伺っておりますけれども、それらの先行事例や想定される事態を踏まえて、中小監査事務所全体としてベースとなる実務的なひな形を開発、共有した上で、それぞれの監査事務所がアレンジしていくといったような対応方法もあろうかと思いますので、難しいところもあるかもしれませんけれども、御議論をお願いできればと思いますのでよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○堀江部会長
実務的な観点に御配慮いただきました貴重な御意見ありがとうございました。やはりどうしても適用対象の問題となります監査事務所の規模、それともう一つは財務諸表の監査・レビュー以外にまで拡大するかどうかとか、この辺りですね。非常にデリケートな問題も含んでおりますので、慎重に検討を進めさせていただきたいと考えております。どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、紙谷委員。御発言をお願いいたします。
○紙谷委員
紙谷でございます。御指名ありがとうございます。私からは、全般的なことに関するコメントと個別項目に関するコメントの2点を発言したいと思います。
まず1点目でございますが、先ほど西山様からISQM1の構成要素ごとの品質目標について御説明いただきました。改めて見てみますとかなり網羅的に規定されているところですので、基本的にはこのISQM1の内容に沿ったところで原則的な部分を品質管理基準に取り入れていただきまして、それを補完する実務的・詳細な規定を協会の実務指針として入れていただく形で進めていただければと思っております。特に基準部分は重要となるキーワードみたいなところがしっかり入っており、あとは協会で受け入れるという形になればいいなと思っております。
もう1点、個別項目については22ページ目の審査についてです。審査の範囲についてはちょっと複雑な思いがある部分でして、現在、日本の監査法人でも監査の計画段階から監査報告書の発行まで、1つの監査業務に対して審査担当者を張りつけて審査を行っております。これを基本的には幼稚園等を除いて全ての監査業務で行っているのですが、国際的に見るとここまでやっている国というのは実は少ないと思っております。そういった意味で国際基準に合わせてもう少し審査の範囲を絞るというのも考え方としてあるなという思いがあります。一方、じゃあ何もしなくていいのかと、審査無しで監査報告させていいのかというと、それもないよねという思いがあります。ちょっとぐるぐる回っていて、結論的にはここで御記載いただいているように、審査対象の見直しは行わないのかなとは思っておりますけれども、実務家として複雑な思いがある部分なので、状況の御説明がてらコメントさせていただきました。
私からは以上でございます。
○堀江部会長
紙谷委員、どうもありがとうございました。総論部分につきましては、これまでもこのような考え方についていくつか御意見を頂戴しておりますが、品質管理基準として書き込むべき内容と、日本公認会計士協会の実務指針に委ねる部分との切り分けにつきましても、これから慎重に検討させていただきたいと思います。また、審査の問題につきましても、松元委員はじめ、細かな部分、かなり踏み込んだ部分について御意見を頂戴しておりますので、この部分につきましても預からせていただきまして、これから検討に入りたいと考えております。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、手塚委員、御発言をお願いいたします。
○手塚委員
手塚でございます。私も審査についてまずお話申し上げます。
22ページです。審査に関しては、監査期間を通じた審査、基本的には計画段階、その進捗に応じて最終的には意見表明前の審査ということになると思いますけど、これをやる対象を限定してはどうかという御提案です。先ほど紙谷さんからお話があったように、日本の場合はごく限られた事業体を除いては審査をやっていまして、必ずしも計画段階から意見表明までプロセス全体を審査しなくてもよいケースも実態的にはあるのだろうと思っています。したがって、例えば対象を上場会社をはじめ、いわゆるPIEというものに限定してプロセス全体での審査をするということにしたらどうかというのが1つでございます。
あと2つありまして、1つは審査に関してなんですか、松元先生おっしゃったクーリング・オフに関して、これはぜひ、松元先生の発言の御趣旨を踏まえて御検討いただけたらありがたいという、これはお願いです。
もう一つは、監査契約の受嘱の観点ですけれども、IPOの受嘱について。IPOを目指す企業に監査難民が出ているのではないかという報道が二、三年前から随分出ていて、これは監査法人の方で受嘱を絞っているのではないかというような報道も繰り返しなされています。そういう中で、私ども業界及び各監査法人は受嘱についてできる限りお受けする、また、お受けできない場合には丁寧に説明をするということをやっております。一方、IPOを望む企業というのはいまだにかなり多くて、やはり断られた方は非常に心外な思いを抱かれるケースも多々あると思います。これについては、監査法人側もきちんとリスク評価をして受嘱の判断をしているということで、ぜひ御理解を賜れればという、これはお願いでございます。この品質管理基準がどうこうというよりも、お願いということでお話申し上げました。
以上でございます。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。具体的な御提言、どうもありがとうございます。
本来であれば、委員の皆様方から御質問とか問題提起をされて、こちらでもある程度対応すべきかと思いますけれども、実は多くの方々が挙手されておられます。とりあえず今回は、ISQM1の内容を現行基準と照らし合わせたときにどういったところを議論すべきかということについて御議論いただいておりますので、恐縮ではございますが、次々と指名をさせていただきたいと思いますので、この点、お許しいただければと思います。
それでは、岡田委員、お願いいたします。
○岡田委員
岡田です。2点あります。ガバナンス及びリーダーシップですが、トップの品質へのコミット、あるいは説明責任におけるトップの責任は確かに重いんですが、一般の企業と同じで、トップが頑張ってもパートナー、スタッフにきちんと徹底されていなければ意味がありません。その確認は、JICPA・審査会が検査をする場合に考慮いただくとか、あるいは事務所内でスタッフにアンケートを取って、それをJICPA・審査会に報告する。更には組織の中で360度評価・多面評価を実施するなど工夫したらどうかと思います。
もう一点ですが、先ほどサービスプロバイダーの話が出ておりましたが、ここに書いてあるとおり、監査事務所がサービスプロバイダーにも倫理規程を遵守することについて責任を持つということはそのとおりだと思いますが、サービスプロバイダーもいろいろいると思います。ある意味いろんな作業を下請するような場合もあると思います。御議論いただきたい点としては、その場合の最終責任をどういうふうに誰が取るのかということをはっきりしておかないと、最終的にはサービスプロバイダーの責任で監査がうまくいかない可能性もあります。そういう意味で、契約内容についても品質管理の一環として管理者責任を明確にしてサービスプロバイダーを守るようにしていただくのがいいのではないかなと思います。
以上であります。
○堀江部会長
どうも、具体的な御提言、特にサービスプロバイダーについての留意事項について具体的な御意見等をいただきました。どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして、林委員、御発言をお願いいたします。
○林委員
林です。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、今後の議論に当たっての論点の洗い出しというふうに理解をしております。御提示いただきました提案、それから方向性についてはほとんど賛成でして、詳細については今後の議論で詰めていきたいと思っております。そのことを申し上げた上で、既にこれまでに出た意見と重複するものを除きまして、3点意見を申し上げます。
まず、1点目は総論部分、8ページの最後の論点になりますが、基準の名称は品質管理基準のままということだろうと思うんですけれども、最後の部分で改訂の趣旨をどのように示していくかという点ですが、皆さんお考えだろうと思うんですけれども、基準の前文のところで今回の改訂の趣旨とか特徴というものをきちんと書き込むことをすればよいだろうと考えております。ここは簡単に、以上です。
続きまして、2点目が16ページになります。新規の契約のところなんですけれども、御議論をいただきたい事項ということで示されているここの書きぶりを読みますと、一つ前のスライドの上の段、右側の欄で赤字で示されている、「財務上及び業務上の目的を優先して、契約の新規の締結及び更新について、不適切な判断をしないようにすること」、これを盛り込むということは考えられていないように読めます。他の箇所では、これは盛り込む、それ以外に何か盛り込むべきことはないかという聞き方をされているので、この理解が正しいとすれば、私はこの赤字の部分も盛り込むべきだと考えておりますので、そのことを申し上げたいと思います。
最後に、3点目ですけれども、22ページの審査のところで、ここも多くの方が意見をおっしゃっていますが、ちょっと違う観点から、資料に「協会の実務指針に追加することが考えられるかどうか」と書かれている点について、協会の実務指針自体は審議会でどうこうという事柄ではなくて協会に委ねられていることですし、皆さん御承知のとおり、協会はIFACのメンバーでISA等を取り入れる努力義務があるということを考えると、議論に当たっては、今回のISQM1、ISQM2、それからISA220で新設、改訂された内容は、少なくともそのまま実務指針に取り入れられるということを想定し、ISQM1、ISQM2、ISA220の内容を変更したり、あるいは超えるような要求をするときにはここで議論をして、それを記録に残すとか前文に書くという形で実務指針との連携を図るというのがいいんじゃないかと考えますので、ここで申し上げたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。今回の改訂の趣旨を基準前文で明確にすべき点、それから新規契約や審査に関連しまして、先ほど紙谷委員からも御提言がありましたとおり、本品質管理基準で書き込むべきところと、日本公認会計士協会の実務指針で書き込むべきところにつきお考えをいただきました。この点につきまして、今御議論いただいているのは品質管理基準でございますので、本部会の守備範囲との関連で今の林先生の御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。
それでは、引き続きまして、青山委員。御発言をお願いいたします。
○青山委員
2月に拝命いたしまして、先月は残念ながら出席することができませんでしたので、今月初めて出席いたします。皆様よろしくお願いいたします。NECの青山朝子と申します。
本日が初めての出席となりますので、私からは総論について1点と、それから各論について2点、意見をさせていただきたいと思います。
まず、1つ目に総論の点からなんですけれども、今回非常に大きな点としては、Scalability、柔軟性をどのように求めるのか、特に中小の監査法人についてどのように求めるのかという点があるのだというふうに理解しておりますが、やはり今、大手の監査法人とそれ以外の監査法人の規模が大きく異なる中、こういった柔軟性のような考え方は非常に分かるなと思う一方で、上場会社の監査については一定の品質を担保する必要があると私も思っております。そのような中で引頭委員がおっしゃっていたような、業務内容に応じて決められるのかどうかという点については、監査法人全体に対する品質管理という観点からすると、なかなか業務で分けて、それがきちんと、監査の結果を見る人に伝わるのかどうかという懸念はあるなと思いながら御意見を伺っておりました。
そういう中で重要になっていくのが、各論に入りますけれども、12ページのガバナンス及びリーダーシップに関してなんですが、やはりこれは規模の大小にかかわらず監査事務所のトップが品質に対して責任を負うというところにコミットしていただくことが非常に重要になると思っていまして、今後柔軟性がどういう形で決定するか如何にかかわらず、このコミットメントについてきっちりと基準の中に入れるということが重要だと感じております。
2つ目の各論につきましては、14ページのサービスプロバイダーの件なんですけれども、ここにつきましては弊社もネットワーク・ファーム以外の地元のファームにお願いするエリアもある中で、やはりこういったサービスプロバイダーに対してどのように職業倫理規程を遵守してもらうのかと。一義的には、お願いしているネットワーク・ファームにもきちんとここに対する品質やこういった職業倫理規程を守るんだよということを担保してほしいなと思う一方で、どんどんグローバルになる中ですので、ISQM1の規定に遵守する形で日本も決めておかないと、日本の側だけ厳しい、もしくは海外の方だけ厳しいということになりますと、どんどん企業がグローバル化していく中で平仄が合わなくなってしまうということを懸念しております。ですので、ここについては海外のルールと合わせていただければと考えております。
以上です。
○堀江部会長
ガバナンスやリーダーシップといったこれまであまり出てこなかった論点を含めまして、具体的な御提言、どうもありがとうございました。御意見を踏まえまして、検討させていただきます。
それでは、時間の関係もございますので、後半部分に議論を移させていただければと思います。事務局説明資料の後半部分、2の構成要素別の検討事項、(6)リソースからでございます。資料のページ番号で申し上げますと23ページ目以降全て、「その他の論点」まで含めて御意見等を頂戴したいと思います。
当然ですが、前半部分と関連する御意見・御提言も出てくる可能性もございますので、そういう場合にはその旨御発言いただければよろしいかと思います。
それでは、後半部分につきまして御意見を頂戴したいと思います。委員の皆様、いかがでございましょうか。チャットの機能を使ってお知らせいただければ、私から指名させていただきます。どなたからでも結構でございます。
それでは、白川様から手が挙がっておりますので、白川様、御発言をお願いいたします。
○白川委員
恐れ入ります。私は、資本市場においての開示、キャピタルマーケットにおいて開示などをよくやっておりまして、どちらかというと財務諸表利用者に近い立場というところかなというふうに理解をしているのですけれども、その中で監査の質というのは非常に大事な情報だと思っております。資料28ページ、29ページにおいて監査に関連する透明性報告書といった形で情報の開示をしていくというような話が出てきているのですけれども、市場参加者から見ると、ここにいらっしゃる方々皆さんすごく専門的でいらして、私は、どちらかというともっと市場にいる素人の代表という感じがしているのですけれども、そういった者の目から見ますと、例えば、透明性報告書とかもすごく立派なんですけれども、あまりにも量が多くて、しかも結構専門的にも書いてあって、ちょっとこれはややユーザーフレンドリーとは言い難いような気がしております。もっとシンプルに分かりやすく書いていただくというような視点をぜひやっていただきたいかなと。例えば有報なんかでありましても、よい開示というものが最近では金融庁などから公表されていて、皆がこういうのを目指すようにといった指導もあるところでございますので、ぜひそういったものがあるといいなと思っております。
それと、特にこれはScalabilityとも関係があるのかもしれないのですけれども、皆がこんなふうにちゃんとやっておりますみたいな、そういったことばかりが書かれているというのでは、結局何がどうなっているのかというのがユーザーには伝わりにくいと思っておりまして、でもこれはどちらかというと周りとの関係で、ちゃんとやれています、コンプライ・オア・エクスプレインみたいな感じになると、例えばコンプライしていますみたいな、そこにみんな行きたがるんですけれども、全然エクスプレインが悪いことないと。むしろこの状況に照らしてこういうふうになっているんですといったようなことを説明することが、むしろそれって実態をきちんと開示しようとしているすばらしい姿勢だと思うので、そういうのも促すような、そういった仕組みにできたらいいのかなと思います。多分そういうのはどちらかというと実務指針的なところでのやり方とか、さらにその運用とか、そういうことになって、やや細かい点になってしまっているかもしれないのですけれども、一ユーザーとしての意見を述べさせていただきました。
以上でございます。
○堀江部会長
白川委員、どうもありがとうございました。今のようなユーザー目線からの御発言というのは極めて重要だと認識しております。もう少し分かりやすく、基準の書きぶりを含めて考えてもらいたいというふうな御意見とも受け止めましたので、検討させていただければと思います。
○白川委員
ありがとうございます。
○堀江部会長
それでは、引き続きまして、金子委員。御発言をお願いいたします。
○金子委員
早稲田大学の金子です。私からは各論について3点ですけれども、その前に全般的な点について触れさせていただきます。やはり監査は社会からの信頼に応えるということが一番重要な点ですので、今回の基準の改訂で監査法人の規模の大小にかかわらず品質を上げていく努力というのは非常に重要なことであると思っております。それとともに、皆さんおっしゃったように骨子を基準に、詳細は実務指針でという方向に賛成でございます。
各論点について申し上げますと、先ほどは林先生がおっしゃられた点ですが、8ページの基準の名称につきましては今回“Quality Control”から“Quality Management”に変更されたことは基準の性格というか基本的な考え方が変わっているという観点から大きなポイントだと思っております。従来のコントロール統制は、どちらかというと一定の枠組みに合わせるというニュアンスがあったのに対し、マネージには品質システムの運営というようなニュアンスの違いがありますので前文などにしっかり書いていただきたいと考えております。
それから、後半部分のリソースに関しましては、基準自体に関しては特に申し上げるところはないのですが、前回も少し申し上げたとおり、品質を向上させるためには優秀な人材の確保やIT投資等が非常に重要と考えられます。令和2年3月末現在で、公認会計士3万2千人のうち監査法人に所属しているのはもう半数以下の1万4千人です。そして監査法人に所属する人の比率が徐々に下がり続けているという実態があります。公認会計士が様々な分野で活躍するのはすばらしいことだと思うのですけれども、監査が、業務量の問題であるとか、色々なプレッシャーや責任から、若い人たちを中心に魅力のない仕事になっているとしたら、これは非常に重要な懸念材料であろうと思います。やはり高品質な監査を維持するために、監査時間や責任に見合う報酬の確保ということが非常に重要であるという点は基準自体に盛り込むのは難しいと思いますけれども、何らかの形で書けたらありがたいなと思っております。
それから開示の36ページの点ですけれども、今回の基準は、監査法人自体が品質を評価するという点がポイントであり、さらに外部からのモニタリングも重要と思いますので、監査法人自体がどのように評価をしているのかの開示は意義のあること思います。
白川さんから御指摘がありましたけれども、やはり皆さんに見ていただくための工夫が必要だと思います。現状の公表資料が36ページに記載されていますけれども、特に1番目、2番目の資料を目にしている方はそれほど多くはないのではないかと思いますので、皆さんに見ていただける形での開示が必要と思います。それから、なかなか難しいというのはおっしゃるとおりだと思うのですが、そこはプロの利用者であるアナリストなどの方々に少しかみ砕いた形での情報分析などもしていただいて、利用者からのフィードバックがあることも必要だと思います。さらに、マスコミや利用者の方々に正しく理解していただいて、問題点はあるけれども今改善しているというエクスプレインに対して、大問題だというような取り上げ方をしないように、説明や理解していただくことも重要だと思っております。
以上です。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。確かにコントロールから今度はマネジメントというふうに、単に言葉が変わっただけではなくて考え方が変わっているという認識で、取り組んでいかないといけない。そのときに、やっぱり今、先生が御指摘になられましたように、品質管理基準が品質の向上にブレーキをかけるようなことがあっては本末転倒でございますので、その点を含めましてこれからは細かいところを含めて検討させていただきたいと思います。また、人材の問題についても御意見をいただきましたので、御指摘の点を念頭に置きながら、基準の内容を検討させていただければと思います。
それでは、引き続きまして、水口委員。御発言をお願いいたします。
○水口委員
ありがとうございます。水口です。私からは3つの意見です。
1点目の意見は品質マネジメントシステムの評価及びその開示についてです。様々なステークホルダーにとって、監査事務所の監査品質を推しはかる手段として品質マネジメントシステムの評価を核とした情報パッケージは有用であると考えております。品質マネジメントシステムの評価の開示を求める場合を想定して、当該開示の有用性を高めるための追加的な関連開示については、私なりにイメージしたものいくつかの例に触れさせていただきたいと思います。
まず1点目は、監査事務所の監査品質に関する自己評価の適切性という視点から、監査事務所の自己評価である品質マネジメントシステムの評価結果と、例えば審査会検査とか協会レビュー等の第三者評価の間で相応の乖離がある場合には、その旨を開示する。
2点目は、第三者の指摘も踏まえたPDCAの観点から、審査会検査や協会レビューの主要な指摘事項等も背景とした監査事務所の改善施策などを開示する。
3点目は、監査リスクに見合った監査品質の担保に向けたリソースの十分性の視点から、社員の概況、人材育成、計算書類等の監査事務所の財務的及び人的リソースなどに関する開示に加えて、監査リスクのプロフィールの確認にもつながり得るところの被監査会社の一覧表を開示する。
4点目は、監査品質の担保に向けた組織上の仕組みの視点から、トップのコミットメントの記述、ガバナンス体制、品質管理の概要を開示すること、等です。
当該情報パッケージの開示対象としては監査の相当性の判断を担う監査役、潜在的な被監査会社などが想定され得ると思います。さらには情報品質に問題がないという前提で有価証券報告書を活用したいと思う財務諸表利用者も当該情報パッケージの開示対象として視野に入れて得るかと思います。こうした情報パッケージの開示を想定する際、ISQM1を視野に入れて審査会及び協会におけるモニタリング体制の工夫も必要になってくるのではないかと考えます。
2つ目の意見はISQM1の適用の柔軟性についてです。監査事務所に対して品質マネジメントシステムの整備や運用について監査事務所の状況や業務内容を考慮する余地があるとは考えますけれども、どのような事務所においても適切な監査品質の水準を担保することが肝要であると考えます。
例えば、幅広い投資家が存在している上場企業を監査する中小監査事務所については、大手監査法人と中小監査事務所の間で監査品質の水準に差があるということは許容しがたいと思っておりますので、仮に上場企業の監査に従事する中小監査事務所が有するリソースというのは適切な監査品質を担保するのに十分でない場合は、外部リソースなどの有効活用も視野に入れるなどの創意工夫が必要であると考えております。
最後になりますが、3つ目の意見は、品質管理基準及び協会実務指針などについてです。これは全般的な話となりますが、事務局の御提案をいただいたとおり、ISQM1などを視野に入れて原則的な根幹となる規定は品質管理基準に取り入れて、それを補完する実務的な細則は協会による実務指針に取り入れるというのが妥当だと考えます。ISQM1などを視野にいれて自前のリソースに限りのある中小監査事務所が外部リソースの活用、事務所間の連携の余地など様々な選択肢を模索することも想定されると思います。中小監査事務所がISQM1などの適用の準備を進める際、監査事務所が方向感を持って着実に準備を進めやすくするように協会が実務指針の文書化にとどまらない形で既に御尽力いただいていると思うのですけれども、様々な形で監査事務所に併走してサポートしていただけることに期待しております。
以上です。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。極めて幅広な観点から御提言をいただきました。
特に、評価とその開示につきましては極めて具体的なアイデアまで御提供いただきましたので、検討させていただければと思います。
それでは次に、町田委員。御発言をお願いいたします。
○町田委員
よろしくお願いいたします。今、後半についての審議ということなんですけども、前半のことについても論点出しということでコメントさせていただければと思います。御了承ください。
まず、最初に現行の我が国の監査に関する品質管理基準というのは2005年につくられたわけですけれども、当時も、ISQC1と平仄を全て合わせて策定されたわけではないということです。つまりISQC1ができたときに、それに合わせて日本でも品質管理基準を新設したのですけれども、それに当たっては、品質管理に関する事項で、我が国の法制度や監査の市場の状況を踏まえて重要と思われる項目を規定したということです。例えば、事務局資料でも残しておいてはどうかと御提案のあった共同監査の規定や、引継の規定などがそれに当たると思います。そして、前々回の事務局資料にもありましたけれども、現在、ISQM1を受けてアメリカやイギリスなどでも、各国の事情に応じて、各国が監査規制上どうしても入れておきたい項目を追加しているということだろうと思います。したがって、わが国でも、今般の品質管理基準の改訂に当たっては、そうした点をカバーして盛り込んでいく必要があるのではないかというふうに思っています。
その上でいくつか申し上げたいんですけども、一つは、このタイミングで、監査に関する品質管理基準を改訂していくというときに、これはリソースのところなのか、それとも職業倫理のところにも係るのか分かりませんけれども、やはりコロナ禍の中でのリモート監査に関する問題を検討しておく必要があるのではないかと思いました。つまり、現在、大手法人で行っているリモート監査の手続については、日本公認会計士協会や金融庁で設置しているコロナ対応の連絡協議会が公表している指針等で示されているガイダンスに基づいているところですが、それを安易に解釈して、現在のような状況では、あたかも監査はリモートでやるしかないんだからということで、中小の事務所でリモート監査を実施する適切な体制が整っていないにもかかわらず、単に現場に行かないだけのリモート対応をしているとしたら、それは監査証拠の問題としてどうなのかなということもあるかもしれませんので、その点を検討すべきだと考えます。
次に、品質マネジメントの評価のところですが、今回のISQM1の中で一番厳しい規定がこの品質マネジメント評価の部分だと思いますけれども、ぜひ評価結果を開示して、できれば、わが国で現在、監査法人のガバナンス・コードに基づいて公表されている監査の品質に関する報告書を、IOSCO等で言われているような透明性報告書という形で整備していただいてはどうかと思います。あるいは、中小の事務所でそうした報告書の公表が難しい場合には、品質マネジメントに対する評価の結果だけでも開示するようにしてはどうかというふうに考えます。
それから、ネットワーク・ファームのところです。ネットワーク・ファームの問題というのは、実はネットワーク・ファームを管理する実体的な組織がないということから、各国で規制がかからないということが問題になっているのだと理解しています。ただし、少なくともネットワークを通じての品質レビュー、ネットワーク・レビューの部分についてだけは、その内容を公表したりすることは可能なわけで、あるいは品質管理基準の中に取り入れていくことは可能なわけで、そうしたわが国の監査法人のうち、ネットワーク下にある監査法人に対して行われているレビューの部分については、監査法人にとっては重要な品質管理システムの一部ですので、きちんと品質管理基準の中に入れていくべきなのではないかと思いました。
加えて、職業倫理、独立性のところのお話がありましたが、現行基準では職業倫理及び独立性というふうになっていますが、実は、グローバル基準ではこういう言い方になっていません。独立性を含めたEthical Requirement、倫理的な要求事項ということになっているんです。それを現行基準のように、職業倫理ということを別立てのようにしたのは、現行の監査に関する品質管理基準が、当時、カネボウ事件で2005年の9月に担当していた監査人、公認会計士が日本で初めて監査に関して逮捕されたすぐ後だったことの影響なのですね。ですから、各法人で職業倫理に対する取組みをきちんと行いなさい、監査法人内で職業倫理に関しても方針と手続を定めなさいということを別立てにしたと記憶しています。
これを、今となってはやめるべきだとかそういうことを言っているわけではないんです。逆に、このわが国に固有の職業倫理に関して強調している部分を活かすべきではないか考えるわけです。現在の監査業務というのは、先ほど他の委員の方から御指摘もありましたけども、公認会計士やパートナーだけでやっているわけではないわけです。例えばデータアナリストとか、USCPAの資格で業務に参加している人、あるいは無資格者の人たちもいるわけです。先ほどのサービスベンダーの話というのは、主としてネットワーク・ファームの議論だろうと思いますので、一部の日本の大手法人についてはそういう議論になるのだろうと思いますけれども、そういった公認会計士ではない人々、あるいは公認会計士協会の倫理規則がカバーできない範囲の業務従事者に対して、監査法人として、監査業務に関わるに当たっていかにして倫理的な対応を求めるのかといったことも検討していただけたらと思います。
それと、長くなって恐縮ですが、監査契約におけるリスクについても申し上げたいと思います。これは、最近、監査に関する非違事例でもあったように思いますけれども、例えば、不正案件が起きて、それまでの監査法人が交代して、そして、そういった案件を非常に多く受け入れる監査事務所があるかのような状況が見受けられると認識しています。それは、本当に不正案件の後にただ引き受けただけなのか、それとも、オピニオンショッピングのおそれはないのか、それこそ、契約に当たっての予備調査、パイロットテストをきちんと行ったのか、といった問題も気になります。また、不正事案に限らず、契約に当たって、従来よりも監査報酬が大幅に低下していたとすれば、それで本当に、適切な監査時間や監査の人材、リソースが確保できるのかといったことも問題になるかと思いますので、ぜひ監査契約に当たってのリスクの評価ということを御検討いただきたいと思います。
それと、ガバナンス及びリーダーシップのところですけれども、現在、わが国には監査法人のガバナンス・コードがあります。監査法人のガバナンス・コードでは、トップの主体的な関与ということが、主要な点として謳われているわけですが、そのことと、ここに書かれようとしているガバナンス及びリーダーシップは、どういう関係にあって、どういう点が重なり合っているのかということを整理していただきたいと思います。
そして、先ほどから議論のある審査についてのクーリング・オフの議論ですけれども、もしも金融庁の事務局資料のとおり、その部分については公認会計士協会の実務指針で規定してはどうかということですと、これはおそらく公認会計士協会がISQM1を翻訳して取り入れるときに、グローバル基準と同じように、2年のクーリング・オフということを上場企業の監査に係る審査担当者に義務づけるというふうに規定することになるかと思います。一方で、審査の問題については、例えば大規模監査法人の筆頭業務執行社員等と呼ばれている審査担当の責任者については、5年・5年のローテーションを行うことを公認会計士法施行規則で決めているわけです。そういった形で、わが国の場合、パートナーローテーションに係る部分は、公認会計士法の下での政令と内閣府令の中で定めているわけです。となると、逆に、今回の審査担当者のローテーションの問題は公認会計士協会の自主規制に任せればいい、というのは何かアンバランスな印象を受けます。ですから、審査に関しては、もしもスケーラビリティを考えるのであれば、意見表明審査とそれ以外の期間中の審査とか、審査機構みたいなものを設置する、しないという議論は考えてもいいのかもしれませんけれども、パートナーローテーションの議論については、この審議会の議論ではないかもしれませんけれども、他のパートナーローテーションの問題と同様に、公認会計士法の下での政令・内閣府令の改正の議論に結びつけるべきだと思います。
最後に、今日の事務局資料にはなかったのですけれども、ISQM1の最初の目的のところには、Public Interest、公共の利益というのが掲げられています。今回、ISQM1を国内化していくに当たっては、少なくとも基準の目的に掲げられている事項については、それを全く取り上げないわけにもいかないだろうと思います。その場合には、監査に関する品質管理基準の改訂基準の前文に書くこととして、一体、わが国では、このPublic Interestをどう位置づけるのか、より具体的には、PIEと呼ばれる「公共の利益に資する事業体」というのは、どの範囲までなのかということを前文のところで示す必要があるのではないでしょうか。海外では、PIEは上場企業と金融機関となっているケースが多いようですが、わが国の場合、上場企業と金融機関だけではなくて、おそらく会社法上の大会社も含められることになると思うのですけれども、そういったところについて、改訂基準の前文で規定する必要があるのではないかと思っております。先ほどから議論がありますが、上場企業の監査についてみれば、つまりPIEの監査を行っているのだとすれば、それは大手も中小もなくて、その監査の品質については一定水準以上のものを求められるのだろうと思います。ISQM1では、そうしたPIEの監査における品質管理というのを最高水準の品質を保持すべきものとして、それ以外についてはそこから、それこそスケーラビリティを発揮して、実際の監査事務所の対応に任せていく、そういうふうに考えて、ISQM1では、Public Interestということを目的として掲げているということなのだと思うのです。そうすると、例えばアメリカではPCAOBが上場企業を管轄してAICPAがそれ以外を自主規制するという枠組みですけれども、わが国の場合は、公認会計士・監査審査会が監査法人全般、監査全般を管轄して、それに加えて、公認会計士協会も、加盟している会員の監査法人全般に対して品質管理レビューを行っているわけです。この検査と、品質管理レビューの重なりの問題というのは、法律上の決め事ですので、ここで動かすことはできないにしても、監査に関する品質管理基準、基準上の問題としては、PIEに絞った基準づくりをして、それ以外も含めた全体の監査の問題については、公認会計士協会の実務指針に基づく自主規制に任せるというやり方もできるのではないかとも思います。つまり、監査に関する品質管理基準に入れてしまうと、現在、不正リスク対応基準であれば範囲が上場企業等という形になっているのに対して、この品質管理基準では監査全般に及ぶものとなりますので、企業会計審議会の監査基準を踏まえてそれぞれの監査基準をつくっている公益法人の監査だとか、あるいは労働組合その他の監査といったところにも影響が出てくる可能性があります。今回のISQM1を取り入れるに当たって、ISQM1がPublic Interestということを強く打ち出しているので、監査に関する品質管理基準の適用範囲を、例えば不正リスク対応基準とか、あるいはKAMとか、そういった企業会計審議会で公表している監査に関する他の基準の適用範囲とそろえる形で限定していくという行き方もあるのではないかと思っています。
以上です。大変長くなってしまいまして、失礼いたしました。
○堀江部会長
基準に盛り込むべき内容の中でも、特にポイントとなりそうなところを、極めて網羅的に取り上げて具体的なアドバイスをいただき、ありがとうございました。かなり重要なポイントとなるところかと思いますので、こちらの方でも引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。
それでは、引き続きまして林田委員、御発言をお願いいたします。
○林田委員
ありがとうございます。林田です。2回目なので、短めにいきたいと思います。
最初は、29ページ、情報とコミュニケーション③、品質マネジメントシステムの評価の結果等の開示を求めていくということについては賛成いたします。ただ、開示の際に、これはあくまで監査法人自らの評価をするということでありますので、それを外向きによく見せようとして、実態とはやや違う自己評価をするリスクはないのかということを少し心配しております。
といいますのは、私、金融の取材歴が長いものですから、バブル崩壊後の金融危機のときに、金融機関は不良債権の自己評価、自己査定をかなり甘くしていた。そこで、金融再生法がつくられて開示する制度を設け、厳しい金融検査が行われ、度々、自己査定の修正を求められていたということは皆さんも御存じのことと思います。これは、この後、出てくる34ページからの品質マネジメントシステムの評価というところとも関わってくるかと思うんですが、自己評価を客観的に、あるいは定期的にチェックする仕組みをしっかり構築して、この際、それをしっかり世の中に示していくという仕組みづくりが求められるのではないかと思っています。そういう形で、草案がつくられることを願います。
それから、この資料の最後の文章のところですけれども、「今回の品質管理基準の改訂は、財務諸表の監査・レビュー以外の業務においても参照されると考えられるかどうか」と。この「参照される」について、ここは準用などよりも弱い表現として参照という言葉を使ったという意図は事務局から御説明を受けて納得したのですけれども、「参照されると考えられる」というのでは、何か気が向いた人が参照することもあるというニュアンスのような気がします。ここは、やはり参照されることが望ましいのではないかと思いますので、もう少し、一歩、半歩踏み込んだ形で処理していただければありがたいと思います。
最後、全体的な意見としてですけれども、この前、私も厳しいことを言って、不正会計が繰り返し表面化して監査に対する信頼度が落ちることを防ぐために、品質管理を高めるということは非常に意義があって、全面的に賛同いたします。ただ、監査法人は近年、ムチばかりがあてられていて、岡田先生が先日、意見書か何かで監査報酬が安過ぎるといった問題を指摘されていました。こうした監査報酬の問題も含めて、アメの部分の議論は全く行われていないような気がしております。さりとて、コロナ禍で厳しい情勢の中、監査コストの負担を増やすということを企業に求めるのも難しいので、どこかで折り合いをつける議論を始めなければいけないかと思っています。
監査の品質を高めて、不正の見逃しがないように、今回、品質を高める基準の改訂に取り組んでいるわけですけれども、それによって監査の現場が疲弊してしまって、先ほど金子委員も指摘されていましたけれども、若い人からブラック職場とみなされて、優秀な人材が集まらなくなるということになれば、これはかえって監査の質を落としてしまうことになり、部会長が言われたとおり本末転倒だと思います。
会計士の合格者は、近年、増加傾向だとはいえ、微増の域を出ておりませんで、かつて3千人を数えたときには遠く及ばないわけであります。厚生労働省の統計を少し調べたのですけれども、会計士の平均年収はこのところ少し弱含んでいるということで、仕事はきつくなる、待遇は悪くなるということでは、会計士を志す人が減ってしまう可能性があります。資本市場の公正性を守る防波堤、お目付役としての役割を今後もきちんと果たしていただくために、聖域のない議論をこれからも進めていただきたいとお願いをして、発言を終わります。
以上です。ありがとうございます。
○堀江部会長
ありがとうございました。金子委員からも御指摘がありましたように、やはり人材の問題まで幅広に、基準の底辺というか、根底にどういう考え方を置くのかというのは、今、御発言いただいたように非常に重要な問題だと思いますので、そこを忘れないように、細かな部分の検討に入っていきたいと思います。角を矯めて牛を殺すようなことがあってはいけないと思いますので、その辺りは気をつけて、今のアドバイスを受け止めさせていただきたいと考えております。
それでは、引き続きまして引頭委員、御発言をお願いいたします。
○引頭委員
部会長、ありがとうございます。大きく2点、申し上げたいと思います。
まず、26ページ目のリソースについてで2点あります。先ほど、町田委員からコロナ禍でのリモート監査のお話があり、今、林田委員の方から監査現場がブラック化しているというようなお話もあったわけですけれども、やはりこうした中では、監査法人のIT武装が不可欠であると思います。ITは監査プロセスの様々な部分で活用できます。このITの活用について実務指針に組み入れられるのかどうかはわかりませんが、単に人材を確保しようとか、育成しようとするだけではなくて、例えば監査のプラットフォームをつくっていったり、こういうITプロセスが必要要素なのだということを打ち出していくことが考えられます。協会としてといいますか、業界として、全体の監査の質を引き上げるための努力というのをどこかが担わなければならないと思っております。大手はかなりIT投資が進んでいますが、中小は必ずしもそうではない。そういうところでまた二極化して、品質も二極化していいのかという問題意識でございます。どのように書き込むのかは少し難しいかもしれませんが、その辺りも少し念頭に置いていただければと思います。これが1点目でございます。
2点目ですが、審査のリソースについてです。これは、今後、2年なのか5年なのか、どういう形でローテーションが入っていくのか等々にも関わりますが、やはり中小監査法人における審査の人員が、現在も不足していると思いますし、多分今後さらに、不足するというのが現実問題としてあるかと思います。前にも少し申し上げましたが、今まであまり活用されてこなかった委託審査、これは既に協会で規定がございますけれども、これをもう少し拡充していくような形で、考えるべき時代になったと思いますので、是非、実務指針等で御検討いただければと思います。
大きな2点目ですけれども、36ページ目でございます。開示のところですけれども、事務局からの御説明では、新たに何かをつくるのではなく、今あるものに品質マネジメントに対する評価を追加的に書き込んでいったらいいのではないかという考え方については、私は賛成でございます。ただ、これについては金子委員や水口委員から、どのように書いたらいいかという御発言がいろいろあったわけですけれども、一歩間違うと、ボイラープレート的な記載になってしまう懸念もあります。そこでですが、例えば有価証券報告書のMD&Aを見ますと、いろいろな工夫がされていて、企業によって開示の中身も全然変わってきている。こうしたことも参考にしながら、例えば品質マネジメントをこういうふうに改善してきたとか、こういうところについて私たちはすごく重きを置いているといったような、活動内容がわかるような記述を必ず入れるなどしますと、外部利用者もその情報を使いやすいのではないかと思いました。
以上でございます。
○堀江部会長
先ほどに引き続きまして、非常に具体的な御提言、特にリソースの部分とか、それから評価の開示、こういったようなところについて、ボイラープレート化は避けないといけないとか、かなり具体的な御提言をいただきましたので、それを踏まえて、これから基準をどういった形で変えていくのかということについて検討を進めさせていただきたいと思います。
それでは、紙谷委員、引き続きましてお願いいたします。
○紙谷委員
紙谷でございます。ありがとうございます。
1点だけ、最後のページの適用時期についてです。以前の審議会においても御説明させていただきましたが、大手監査法人は前もって準備を進めているところでして、恐らく国際的なネットワークの適用時期に合わせて適用していこうとしていますので、そういった早期適用ができる形にしていただきたいと思います。一方、もし中小規模の監査事務所でこれから準備を始められるという場合には、私の肌感覚からいくと、最低でも2年ぐらいは準備期間が必要かと思います。そうしますと、国際基準と比べますと最低でも1年遅れ、もしかしたら2年遅れぐらいで適用時期を設定し、しっかり準備期間を取って対応していただくのがいいのではないかと思っております。
以上です。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。適用時期の問題につきましては、これまで御発言のなかったポイントでもございますので、2年という具体的な数字も出てまいりましたので、持ち帰って検討させていただきたいと思います。
それでは、松本委員、お待たせいたしました。どうぞ御発言ください。
○松本委員
ありがとうございます。関西大学の松本です。お世話になります。
前回、欠席してしまいまして、申し訳ありませんでした。その際、欠席者のコメントという形で3枚程度のものを提出して、その中でも少し触れさせていただいておりますが、強調する意味で、改めて重要な点だけ指摘させていただきたいと思います。適用範囲の問題と、モニタリングと改善の2点についてです。
適用範囲に関しましては、以前、住田委員からもテーラーメイドである旨の御説明がありましたが、そもそもISQM1は、柔軟性、スケーラビリティを考慮した結果、引頭委員からも御発言ありましたけれども、監査業務内容の柔軟性に応じて、各事務所で自由に品質管理の方針と手続を設計してよいと認めた基準です。したがって、一定程度の監査の質が求められていて、それを前提とした監査証明業務において、この監査事務所には適用するけれども、こっちの監査事務所には適用しないということはあり得ない話ですので、公認会計士法2条1項業務としての監査証明業務を担当する全ての監査人にとっては、すべからく適用すべきだと思います。もし、幼稚園監査のようなところしかやっていない、つまり業務内容の複雑性や専門性が乏しいので柔軟性をもっと認めてほしい、監査資源投入量を少なくしたいならば、そういうふうにリスク評価を行って、品質リスクの低いことを審査担当者と共有し、会計士協会の品質管理レビューや公認会計士・監査審査会の検査で報告すればいい話であって、最初から適用対象からあらかじめ除外するというのは基準の立てつけとしてはおかしいと思います。それを除外するのであれば、ISQC1のままにしておくべきであって、ISQM1を入れる必要はないと思いますというのが1点目です。
2点目です。モニタリングと開示、情報開示の話ですけれども、36ページ目です。今回のISQM1の最も重要な点は、スケーラビリティを導入することで、業務内容、監査事務所の規模、複雑性、専門性に応じて、一定程度の監査の質を確保することは前提として自由に品質管理の方針と手続の設計を任せた点です。その結果、重要になってくるのは、品質管理の評価と適用、それから不備の改善が十分になされているかどうかを適時に検証する仕組みを設けることにあります。ですので、モニタリングと、モニタリングの結果、発見された不備への対応をどうやって開示するか、あるいは第三者が検査するのか、が非常に重要になります。以前より、はるかに重要になると思います。
そうなると、今現在、行われている監査法人内部の監査業務全体の品質レビュー、EQR(Engagement Quality Review)ですが、これは自己評価です。先ほど発言がありました。もう1つは、会計士協会が行なっておられる品質管理レビューです。さらに、公認会計士・監査審査会の検査という3重にモニタリングが行われていることになります。ただ、会計士協会の品質管理レビューと審査会の検査というのは、あくまでも事後的なレビューになりますので、事前的に、つまり監査意見が表明される前の段階で品質管理をどう維持するかというのが重要な点になります。そうなると、事前的に品質管理を維持するための仕組みは、先ほどから申し上げています自己評価としてのEngagement Quality Reviewを、監査法人内でいかに有効に整備させるかという点が重要になってくると思います。先ほど紙谷委員と手塚委員からも、もう既に監査法人によっては監査業務全体を通してのレビューを行っているという発言がありましたが、これは当然、ISQM1を導入するともっと強化する必要が出てくるかと思います。
最後にもう1点です。もう1点は、白川委員からの御発言は我が意を得たりという感じなんですが、どんなに詳細で、どんなに厳密な透明性報告書や、業務及び財産の状況に関する説明書類を開示したところで、開示することは有用であることは認めますが、一般投資家は見ないと思います。そうなりますと、何が大事かというと、先ほど白川委員もおっしゃっていましたが、監査の品質に関するシンプルで分かりやすい仕組みです。それは、今現在の制度でいうと、公認会計士協会が行っておられる上場会社監査事務所登録制度になります。これは、今までの委員の発言の中に、どなたも発言がなかったのであえて申し上げるのですが、上場会社監査事務所登録制度は、上場会社の監査を行うことのできる監査事務所の品質を示している、ある意味ブランドになっています。以前、SOX法が導入される前に、アメリカでは、AICPAの中にSEC Practice Sectionいう上場会社を監査できる事務所を会計士協会内で登録する制度を運用していました。その後、その制度がうまくいっていないということでPCAOBが取り上げて、PCAOBに登録されている事務所でなければ上場会社を監査してはいけないという制度に変わりました。ですから、日本の会計士協会が行っている上場会社監査事務所登録制度というのは、既にアメリカでは放棄された制度です。しかし、それを有効に機能させておけば、別にアメリカと同じ仕組みを導入する必要はないわけですから、この上場会社監査事務所登録制度を今以上に充実する形で会計士協会に運用していただきたい。監査部会で申し上げても、どの程度受け入れていただけるか分からないですが、少なくとも今までのISQC1だと、あらかじめ決められた品質管理の方針と手続どおりに準拠しているかどうかを点検すればよかっただけのものが、ISQM1的な品質管理基準を入ると、それぞれの事務所、それぞれの業務に合った目標設定が行われて、評価と対応が行われているかという点を点検していく必要がありますので、そういった点検結果をシンプルな分かりやすい形、つまり上場会社監査事務所名簿に登録されているところは、すべからく高品質の事務所として、高品質な監査を行っている事務所として信じてよいということが明らかになるように運営していただけると、非常にありがたいと思っています。
以上です。ありがとうございました。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。特に、前半部分で先生おっしゃられたようなISQM1の肝といいますか、基本的な考え方が誤解のないように、どういうふうに基準として示していくかということは、非常に重要なポイントになるのではないかと思います。これと併せて、分かりやすさについても十分留意させていただきたいと思います。
それでは、引き続きまして小畑委員、御発言をお願いいたします。
○小畑委員
2度目の発言、恐縮でございます。2点ほど簡単に申し上げます。
資料36ページで、品質マネジメントシステムの評価について書かれております。これは、重要なポイントだと思っておりまして、ぜひとも進めるべきだと考えております。一方で、既に会計士協会の品質管理レビューや公認会計士・監査審査会による検査といった外部のモニタリングの仕組みもあることから、内部的な評価と外部からの評価を一体として運用していく必要があるのではないかと思っておりまして、これらの関係をぜひともよく整理していただければと思っておるところでございます。また、同じページに評価についての開示という点も書かれておりますが、仮に開示に誤りがあった場合、どのような対応をお考えなのかという点も最終的には詰める必要があると思っております。これが1点目です。
2点目、最後の41ページでございます。その他の保証業務や関連業務について、今回の品質管理基準を参照するというくだりがあります。監査やレビューについては業務に関する基準がある上で品質管理が成り立っているわけですけれども、それ以外の業務についてはそもそもの基準すらない中で、どの程度のことを参照するのかは、いろいろ段階があると思いますので、その点もよくお考えいただければと思っております。
以上でございます。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。現行の多層的なモニタリングの仕組みの中でISQM1が想定している内部的なモニタリングとか評価、それは確かに明確化しておかないといけないことかと思いました。
それでは、引き続きまして手塚委員、御発言をお願いいたします。
○手塚委員
手塚です。私も2度目で恐縮ですが、簡単にお話しさせていただきます。
まず、品質管理基準の適用対象範囲に関しては、町田先生が御指摘されたことを踏まえて、引き続き御検討いただければと思います。
あとは、品質マネジメントシステムの評価結果の開示と文書化、適用時期についてお話ししたいと思います。適用時期は紙谷委員におっしゃっていただいたことと全く同じですので、それを踏まえて検討を進めていただければと思います。
開示については、上場会社監査事務所はやはり能動的に進めていく必要があると考えておりますので、その開示の内容等については我々としても検討を進めていきたいと考えております。ただ、文書化については、相当な負担がかかるのと、監査事務所それぞれの状況に応じてその程度も変わってくると思います。したがって、これはスケーラビリティの観点から、基準で定めることと実務指針で対応することと、そこの区分けについては議論させていただきたいと思っています。
最後になりますが、各監査事務所の品質マネジメントの程度というのは、監査対象会社の状況によっても変わってくると思います。例えば、ビジネスの複雑性とかグローバル化の程度、それと組織と人の在り方等ですね。何を申し上げたいかというと、中小だから品質が十分ではないというようなお話が定説のようになるのを、私の立場としては恐れております。当然、監査事務所として努力すべきところは努力しなければなりませんが、各監査事務所の実情についてはぜひ御理解をいただきたいと考えております。
以上でございます。
○堀江部会長
これまでの議論を踏まえられた極めてクリアな御提言、ありがとうございました。また、文書化についても、それが目的になることがないように、やはり管理イコール文書化ではありませんので、そういったところは十分に踏まえて検討していかなければいけないかと思います。
それでは、引き続きまして岡田委員、御発言をお願いいたします。
○岡田委員
岡田です。私も2度目なので、なおかつ皆さんが御発言された内容と重複する部分もありますので、簡潔にお話ししたいと思います。
まず、リソースに関してですが、人的資源が不足する場合には外から連れてくる、あるいは、ITについても、足りなければ育成したらいいじゃないかとあり、それはそのとおりですが、先ほど林田委員からありましたように、これは必ずコストを伴うわけです。そういう意味では、監査の品質を上げるためにはコストがかかることを強調しておきたいと思います。
以前米国の監査法人のパートナーと話をしたときに、SOX法以来、会計不祥事が起こったときのペナルティが非常に大きいので、企業は監査報酬を上乗せして払ってでも、監査法人に品質を確保してもらいたい、その結果監査報酬が上がることを受け入れているという話を聞きました。日本の場合には、そこまで企業が期待していないのか、あるいは期待に応えられていないのかよく分かりませんが、品質向上のためのコストをカバーできるような仕組みをつくっていかないと、監査法人が品質を向上していくのは難しいと思います。
また、情報とコミュニケーションですが、コストとの関係で、詳細にわたって調べることができない場合には、監査役あるいは内部監査部門とのコミュニケーションが重要だと思います。もちろん独立性や客観性に抵触しない範囲でということになりますが、工夫しながら進める必要があります。
最後に、品質の評価、品質向上の取組みなどを開示すべきであって、一定の開示が求められる、とあります。そのとおりだと思います。ただ、日本人は満点主義で、完璧にやっていますという答えしか出てこない可能性はあります。ボイラープレート化ですね。そういう意味では、開示するということは、開示した監査法人の責任でもあるし、一方では利用者の責任でもあります。何らか問題が起こったときには、それをどうやって解決するかが重要で、満点主義ではなくていいじゃないかと。監査法人も、コーポレートガバナンス・コードと同じように、コンプライ・オア・エクスプレインで、こういう問題を抱えていて、こういう部分が自分のところはまだ品質を保証するのには足りないんだというようなことも率直に開示して、それも利用者側も前向きに評価して、その改善の度合いを見ていく。温かく見守りながら改善を促していく、こういう姿勢があって初めて監査品質がよくなる、改善していくのかなというふうに感じます。
私からは以上でございます。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。品質の維持、向上にとって留意すべき事項を具体的に御指摘いただいたものと受け止めております。
それでは、髙田委員、御発言をお願いいたします。
○髙田委員
御指名いただきまして、ありがとうございます。まずは、参加が遅れまして申し訳ありませんでした。今から前半部分での議論も含めて発言をさせていただきますが、もしかすると既に議論をしていただいた、あるいは既出の論点かもしれません。その際は御容赦ください。
まずは、スライドの8番にありますISQM1の「品質マネジメントシステム」とタイトルのあるところです。まずは、総論的なところからコメントをさせていただきたいと思います。
学術研究等で議論されている内容を参考にしますと、基準は強制力を伴うことでその有効性を高めることができるというふうに考えられます。本件では、日本版のISQM1を中心に議論されているところではありますけれども、本基準の執行力や強制力の担保については、どのような状況にあるのでしょうかというのが疑問点として浮かびました。同時に、議論を進めなければ効果が期待できないと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
次に、リスクの積極的な識別、対応にフォーカスしたアプローチを導入することについてです。
ISQM1に即した妥当な考え方であると思いますが、その一方で、リスクを適切に識別できなければ品質管理システムの意味がないことも、また重要であると考えます。また、リスクベースの考え方は、基本的に、事前に予測できるリスクにしか対応ができないという固有の限界もあるかと思います。昨今、新型コロナウイルスの蔓延によって監査業務の遂行において様々な障害が出ているかと思いますが、こういった問題は事前には必ずしも予測できなかったのではないかと思います。そのため、例え現時点においてリスクベースの品質管理システムを導入していたとしても、このような現状では、品質管理において様々な困難さがやはり存在していたのではないかと思われます。したがって、リスクスベースのアプローチは適切であるけれども完全ではないこと、及び留意点や脆弱性について、基準等の中で言及まで、明言する必要はないかもしれませんが、認識の共有は必要ではないかというふうに感じました。
続きまして、委員の皆様方、たくさんコメントをされておりますスライド36番目、品質マネジメントシステムの評価についてです。
この内容については、その結果を公表することによる効果について、事前の慎重な検討と議論が必要であるように感じました。より具体的には、情報利用者としては誰を想定するのか。これについては、既に議論もあったことかとは思うんですけれども、具体的には誰を想定するのか、そしてそれはなぜかということも考えるべき論点であるかと思います。例えば、上場企業等に対して発行される監査報告書を投資家や株主が利用する状況を想定しますと、当該監査報告書を発行した監査事務所における品質管理システムが目的の達成について合理的な保証を提供していないということが、それらの利用者に対して、どういうような媒体で、いつ提供されることで、どのように情報利用者の意思決定を促進することができるのかといった論点が十分に検討される必要があると思います。
また、品質マネジメントシステムが合理的な保証を提供していない場合でも、何らかの追加的な対応によって、当該事務所によって実施された監査業務等、表明された意見が信頼に足るものとなり得るのか、その場合にはどのような対応が期待されているのかについても具体的な議論が必要だというふうに感じました。
以上になります。機会をいただきまして、ありがとうございました。
○堀江部会長
どうもありがとうございました。十分な議論を尽くして検討すべき内容について、今いくつか非常に大事なことを御指摘いただいたかと思います。確かにリスクの識別がうまくいかなければ、リスクベースド・アプローチと言っても全く意味がないとか、あるいはステークホルダーに対して監査報告書とその監査の品質についての評価結果、このメッセージをどういうふうな形で出していくかとかということは非常に重要な論点になってくると思います。
それでは、今御参加いただいている委員の中で、御発言のない委員の方で、もし何か御発言希望等があればお知らせいただければと思います。いかがでございましょうか。
それでは、今チャットが入りましたので、住田委員、御発言をお願いいたします。
○住田委員
ありがとうございます。遅れての参加でしたので、皆様方の御意見とかぶる部分もあるかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
まず、品質管理基準の位置づけに関連して、名称の問題としては、内部統制的な発想からERMに転換していくというようなアナウンス効果があると思いますので、名称は品質マネジメント基準とした方がいいのかなと思います。そうすることによって、改正の趣旨を伝えるきっかけにもなると考えます。
また、位置づけなんですけれども、監査基準が公認会計士が行う全ての監査に適用する最も基本となる基準という位置づけであるように、品質管理基準も公認会計士、あるいは監査法人が何らかのプロフェッショナル業務を行うときに依るべき基準というふうにするのが、まずスタートラインとしては適切なのではないかというふうに考えます。
財務諸表監査とか内部統制監査、あるいは四半期レビューについては、審議会レベルで基準がつくられているので、品質管理基準をパラレルに適用するということを審議会では規定しやすいということとは思っているんですが、一方、JICPAの方では、例えばAgreed upon proceduresと言われている合意された手続基準や、財務諸表監査とか四半期レビュー以外の一般的な保証業務基準というものも実務指針レベルでつくっておりますので、少なくとも、それぞれの業務の行為規範は実務指針でつくられているものについてもカバーできるような形で品質管理基準をつくっていただいたほうが動きやすくなるのではないかというふうに思います。
特に今回のISQM1は原則主義でつくられておりますので、一定の品質目標を定めた上で、それに対するリスク評価はそれぞれの状況において判断してリスク対応を図るということですので、対象となる業務範囲を広げたとしても、それほど大きな負担にならないのではないかというふうに思います。もちろん、このISQM1はIAASBがつくっている基準をベースにしているので、対象エンゲージメントとしては、IAASBがつくっている業務基準があるものを対象にしているので、監査とかレビューとか保証業務と、そのほかの関連業務というふうに区切ってはいます。しかし、大規模法人になればなるほど様々な業務を提供していて、IAASBの業務基準に基づかないそのほかの業務の品質も、ひいてはその法人に対するレピュテーションに跳ね返ってまいりますので、本来的には全てをカバーするような基準の立ち位置にするのが最も望ましいのではないかと思っています。
それから、この品質マネジメントの考え方なんですけれども、ISQC1からISQM1になって、自由に方針及び手続を各法人がつくるように、本当にフリーになったかというと、必ずしもそんなことはなく、現行のISQC1で要求していたものは、そのまま、今回のスライドでいうと5ページ目に書いていただいていますけれども、「特定の対応」ということを求められております。ですから、現行のISQC1、日本の品質管理基準ですとか協会の実務指針で要求されていたことが、ほぼISQM1の中に求められていますので、完全にフリーに、各事務所が対応を決められるものでもない、ERMの概念をはっきりさせた上で柔軟性を持たせるというようなアプローチになっていますので、そこは自由に勝手にやっていいという印象がもしあるんだとしたら、必ずしもそうではないということを申し添えておきたいと思いました。
それから、先ほど来から開示の話が出ていると思うんですけれども、自己評価である品質マネジメントの結果を外部に開示するということを、ISQM1を超えて日本で独自に求めてはどうかという御提案なんだと思うんですけれども、それについては、果たしてそれがどれほどの効果があるのかということを確かによく考えていただきたいなと思ったところであります。といいますのも、こういう品質管理に関する説明を監査チームが監査役等、あるいは会社の経営者の方にしたとしても、それほど興味を持って聞いていただいているという実感は、多分監査チームにはないんだと思うんです。それは、ニワトリと卵のような関係でもあるんですけれども、通り一遍の説明を毎年していて、非常にボイラープレート的な説明に終始しているというのが今までの実務であったかなというふうには思います。開示を求めるんであれば、それをちゃんと理解できるような受け止め方もしていただく必要があると思います。自己評価の結果に過剰反応をしていただくと困りますし、そもそも内部統制とかERMに不備はつきものだということを、まず前提として、監査法人が真面目に評価した結果がたとえ不備があるという結果であったとしても、それはそれで、ではどうしたら改善できると考えているのかということを協議するとか、そういう前向きなところにつなげていただくのが、その趣旨であろうと思います。
あと、評価結果の開示の媒体なんですけれども、このスライド36の表にまとめていただいていますけれども、各法人から提出された、一番上に書いてある公認会計士法で求められています説明書類が協会の上場会社監査事務所登録制度のホームページで掲示されております。ですが、残念ながら、あんまりそこを御覧いただいていることがないのかなとは思うんですけれども、ぜひこういう制度も活用した上で興味を持って反応していただけるようなことが、開示を広げるのであれば不可欠かなというふうに思います。
それから、先ほど透明性報告書という名称が出ていたのですけれども、そもそも一番上の業務及び財産の状況に関する説明書類というのが日本に導入されたのは、年号は忘れましたけれども、EUの第8次法定監査指令がベースになっていたと思います。EUの当時のTransparency Report、透明性報告書を基に、この公認会計士法上の説明書類の制度を日本に入れたという経緯だったと思います。一般の上場会社でも、法定開示と任意開示の区別、使い分けというのがされているのと同じように、日本の監査法人も、この法定開示書類である説明書類と、監査法人ガバナンス・コードで一般に開示ができるような媒体として、監査品質に関する報告書という名称で公表していますけれども、そういう任意開示のものとが両方あります。そうすると、ガバナンス・コードの方で求められている任意の開示書類の方は、各法人、自分の言葉で、なるべくボイラープレートにならないように気をつけながらいろいろ開示をする工夫をしているんだと思います。任意開示が始まってもう3年ぐらいたっていますので、できればこの法定開示書類の方にも、そういうボイラープレートではない、読んでもらえるような記述をするということを、ぜひこの機会に奨励していただければと思います。そうすることによって、監査法人ガバナンス・コードを適用していない、上場会社を監査している中小法人ですとか個人事務所も、そういう記述の充実に向かう筋ができるんじゃないかなと思いますので、既存の制度をよりよい方向に持っていくという方向で、この開示のところは検討いただければと思います。
最後、審査に関してなんですけれども、審査は、今回のISQM2で、これはエンゲージメントレベルの品質管理ということではなくて、法人レベルで決める品質管理の方針及び手続ですが、それがエンゲージメントレベルに展開されるという整理がされました。ですので、法人レベルで審査をどういうふうに行っていくかということはしっかり考えていただく必要があるということだと思います。そのときに、先ほど審査員のクーリング・オフの話が出ていましたが、これは最低限国際基準には合わせていく必要があるだろうと思います。どのレベルで規定すればいいかというと、審議会レベルの方が適切なのかもしれませんが、一定のレベル感、基準の粒度の問題があると思いますので、合意さえ審議会でしていただければ、後は実務指針で記述するという方法も考え得るのではないかと思います。
あと、審査のタイミングなのですけれども、審査が終わらなければ監査報告書を出してはいけないということは従来から求められていることで、そこの部分は徹底されていると思います。また、リスク評価から監査意見形成に至るまで、監査の全フェーズを通して審査をしていかないと、意見形成段階になって急に審査と言われても、なかなか真相に迫られないというようなところがありますので、会社が大きくなればなるほど審査は監査と並行的に計画段階からやるということは、従来の協会の指針でもそれを求めてきています。したがって、必ずしも監査基準の中で、タイミングの問題として規定をし直す必要はないんじゃないかと。監査基準の改訂をするよりは、品質管理基準、新しい基準はマネジメント基準となるかもしれませんけど、そちらで審査というのはリスク段階からきちっとやっていかないとなかなか適切な意見形成につながらないんだから、適時にやる必要があるよということを書いていただければいいのではないかと思います。
以上です。
○堀江部会長
品質管理の仕組みの定着とか実質化ということについて、様々有益な御助言をいただきましたので、これからの基準のつくり込みに際して参考にさせていただければというふうに思います。
本日は、適用範囲という大きな枠、こういったところから個別的な論点まで、様々多数の貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございました。そろそろ定刻となりますので、本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。
部会長といたしましては、本日いただきました皆様からの御意見、これを踏まえさせていただいて、次回以降の監査部会におきましては、事務局から品質管理基準の具体的な改定案を提示させていただいて、それに基づいて、委員の皆様より御質問とか御意見を伺ってまいりたいと考えております。
それでは、最後に、次回の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○西山開示業務室長
事務局でございます。今後の日程につきましては、改めて事務局から御連絡させていただきます。
これにて本日の監査部会を終了いたします。ありがとうございました。
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