新 聞 発 表
日付:平成10年7月17日
金 融 監 督 庁 |
1.リスク管理債権の状況について
このリスク管理債権は、従来基準公表不良債権と比べて、延滞債権の範囲が3カ月以上延滞と広いほか、金利減免等債権だけではなく元利支払条件を緩和した全ての債権が貸出条件緩和債権として含まれている。 (3)今回の結果をみると、全金融機関の従来基準公表不良債権の総額は、25.0兆円と9年3月期の27.9兆円から着実に減少している。また、新基準リスク管理債権の金額(全国銀行の新基準リスク管理債権と協同組織金融機関の従来基準公表不良債権の合計額)は、35.2兆円となった。 他方、各金融機関は、9年度に徹底した償却・引当等を実施し、金融機関全体で債権償却特別勘定への繰入れ9.9兆円を含む15.0兆円の処理を行った結果、債権償却特別勘定残高は9年3月期の12.3兆円から19.0兆円へと大幅に増加した。 2.自己査定の状況について
今回は、本年4月から早期是正措置が導入され、その枠組みの中で各金融機関の自己査定が行われている状況に対応し、金融監督庁が全金融機関から公認会計士の外部監査を経た結果の報告を求めたものである。 (2)今回の結果をみると、各金融機関が9年度において、従来と比べて徹底した償却・引当等を行った結果、全国銀行についてII分類が65.8兆円、III分類が6.1兆円となった。ちなみに、本年1月に集計した試行結果では、全国銀行についてII分類が65.0兆円、III分類が8.7兆円、IV分類が2.7兆円であった。 なお、1月の集計では、中間決算前の数字が大宗を占めており、償却・引当対象のIV分類が含まれていたが、今回の計数は償却・引当後の数字であり、IV分類は全て償却・引当が行われていることから、表中にIV分類の欄は設けていない。 (3)自己査定における分類基準においては、I分類は「総与信額からII分類、III分類、IV分類の与信の額を控除した額」、II分類は「個別に適切なリスク管理を必要とすると判断された額」、III分類は「損失の発生の可能性が高いが、その損失発生時、その損失額についての合理的な推計が不可能な額」、IV分類は「回収不能又は無価値と判定される額」とすることになっている。 この自己査定結果については、
ことに十分留意する必要がある。 |
(注)1.協同組織金融機関は、信用金庫、信用組合、労働金庫、商工組合中央金庫及び農協系統金融機関(農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会) 2.計数は、億円を四捨五入し、10億円単位にまとめた。 3.北海道拓殖、徳陽シティ、京都共栄,なにわ、福徳、みどりの各行及び合併、事業譲渡等を決定している32信用組合を除く。 |
(注)1.計数は、億円を四捨五入し、10億円単位にまとめた。 2.北海道拓殖、徳陽シティ、京都共栄,なにわ、福徳、みどりの各行を除く。 |
(注)1.不良債権処分損は、債権償却特別勘定繰入、貸出金償却、共同債権買取機構への売却、その他の債権放棄や支援損等の合計額。 2.不良債権(破綻先、延滞、金利減免等債権)は、全国銀行統一開示基準に基づき金融機関が報告している額。 ただし、6年度以前は、破綻先債権、延滞債権の合計額。 3.全国銀行ベースの計数。ただし、6年度以前は、都銀、長信銀、信託の主要行のみの計数。 4.[ ]内は主要行のみの計数。 5.9年度については、北海道拓殖銀行を含まない。 |
(注)1.計数は、億円を四捨五入し、10億円単位にまとめた。 2.北海道拓殖、徳陽シティ、京都共栄,なにわ、福徳、みどりの各行及び合併、事業譲渡等を決定している32信用組合を除く。 3.償却・引当後の計数であることから、3月期決算のものについて、 II 分類、 III 分類の中に更に償却・引当を要するものはなく、また、 IV 分類は含まれていない。ただし、信託勘定を有する銀行については、信託勘定の決算期が銀行の決算期と異なることから10年3月末時点で未処理の分類債権( IV 分類1,180億円)が存在し、総与信額には当該分類額も含む。 |
(参考) 1.自己査定における分類基準の概要は以下のとおり。
→ 一定率(過去一定期間の貸倒実績等から算出した率)で引当。
→ 一定率(過去一定期間の貸倒実績等から算出した率)で引当。
→ 個別の債務者ごとに必要額を償却・引当。
→ 損失額全額を償却・引当。 2.本集計については、以下の点に十分留意する必要がある。
(2)II分類には、各金融機関において債権管理上注意を怠らなければ損失が発生しない債権が多数含まれており、例えば、「中小製造業者などのように、返済や利払いはきちんと行っているが、競争上常に新規投資を行わざるをえないため赤字決算が継続しているような企業に対する貸付金」が含まれている。 |