金融庁
「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件の実験結果について
金融庁では、フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させる観点から、平成29年9月21日、フィンテック企業や金融機関等が、前例のない実証実験を行おうとする際に抱きがちな躊躇・懸念を払拭するため、「FinTech実証実験ハブ」を設置しました(FinTech実証実験ハブの設置について)。
今般、本スキームにおける支援を決定した第6号案件(令和2年4月10日公表)の実証実験が終了し、その実験結果について、お知らせします。
実験概要
(実験内容)
本実証実験では、インターネットバンキングにおける本人認証や顧客の登録情報管理において、スマートフォン等の端末の位置情報や顧客の生体情報等を活用することにより、インターネットバンキングにおけるセキュリティの確保や、銀行による顧客管理(カスタマー・デュー・ディリジェンス)の高度化が可能か等を検証。
(実験期間)
令和2年5月から令和3年9月まで
(申込者)
株式会社みずほ銀行
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
株式会社野村総合研究所
大日本印刷株式会社
(協力銀行)
株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社りそな銀行、ソニー銀行株式会社、株式会社北海道銀行、株式会社青森銀行、株式会社七十七銀行、株式会社東邦銀行、株式会社横浜銀行、株式会社第四北越銀行、株式会社山梨中央銀行、株式会社八十二銀行、株式会社静岡銀行、株式会社滋賀銀行、株式会社池田泉州銀行、株式会社中国銀行、株式会社広島銀行、株式会社琉球銀行、株式会社山口銀行、株式会社京都銀行、株式会社紀陽銀行、株式会社伊予銀行、株式会社四国銀行、株式会社福岡銀行、株式会社肥後銀行、株式会社鹿児島銀行、株式会社西日本シティ銀行、株式会社北九州銀行、株式会社北洋銀行、株式会社もみじ銀行、株式会社西京銀行、株式会社愛媛銀行、株式会社ゆうちょ銀行
結果概要
本実証実験では、実証実験用アプリケーションを用いて、主に以下の流れで、顔認証(口座開設時登録した顔情報と取引時の顔情報との照合)及び位置情報を用いた取引認証を行い、その認証精度やユーザビリティ等を検証。
- 新規口座開設段階におけるe-KYC時に位置情報を取得。また、本人確認書類(券面)の顔写真との一致を確認した顔画像情報を取得。
- 実証実験用アプリケーションでの疑似取引時に顔情報及び位置情報を取得し認証を実施。
※実験では、便宜的に、取引時における顔情報及び位置情報による認証とした。 - 住所や職場等取引場所として登録した場所以外での取引を検知した場合等に、居住性確認通知(登録場所での位置情報取得の要請)を実施。位置情報が登録場所と一致せず居住を確認できない場合には登録場所の変更を促す通知を送付。
(ア)顔認証と位置情報の組合せにより本人認証を行うことに関するセキュリティ確保について、監督指針等の観点から検証。
(イ)顧客が行う取引等を地理的側面から把握することにより、金融機関において顧客のリスク変化の兆候を早期に把握し、顧客に登録情報の更新を依頼した上、顧客リスク評価の見直しにつなげることについて、金融機関による「顧客管理」の観点から検証。
(ア)について、顔認証と位置情報の組み合わせによる本人認証ではなく、インターネットバンキングの本人認証における従来のID・パスワード方式の二要素目もしくは三要素目の機能として運用を行うことについては、「主要行等向けの総合的な監督指針」Ⅲ-3-7-1-2(5)⑦に定めるインターネット等の通信手段を利用した非対面取引を行う場合に講ずるべきセキュリティ確保の観点から、実現の可能性がある旨を金融庁から回答した。なお、実装に向けては、機能の詳細等を引き続き確認していく必要がある。
(イ)について、取引に利用された端末の位置情報は、これを金融機関において適切に把握できる態勢を構築する限り、「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」Ⅱ-2(3)(ⅱ)に定める顧客管理の観点から、他の顧客管理手法に加えて使用することを前提に、顧客情報の確認や最新化、顧客リスク評価の見直しのトリガーとして活用可能性がある旨を金融庁から回答した。なお、実装に向けては、技術的な課題や人員態勢など運用上の課題等について、引き続き検討していく必要がある。
今後、こうした位置情報等を活用した新たなサービスの実現により、金融機関等による金融取引の安全性・利便性の向上や、顧客管理の高度化の実現が期待される。
※ 参考
本実証実験の概要
参加金融機関等における実証実験に係るニュースリリースリンク先
https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20220325release_jp.pdf(株式会社みずほ銀行)
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総合政策局 総合政策課(内線2417、2917)