令和4年3月1日
金融庁
「銀行の引当開示の充実に向けて」の公表について
金融庁では、「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(2019年12月公表)において、金融機関が自ら認識している信用リスクを、より的確に引当に反映するための見積りの道筋を示しました。金融機関の中には、その経営戦略・融資方針等と整合的な形で引当の考え方の見直しを進め、引当方法の工夫事例も見られます。
引当方法を見直す金融機関の中には、自らの引当方法について、開示を通じ、より丁寧に投資家等へ説明しようとする動きも見受けられます。他方、具体的にどの程度の開示が望ましいのか、判断が難しいとの指摘も、金融機関等から聞かれます。
さらに、新たに引当方法の見直しを検討している金融機関からは、引当開示が充実すれば、他の金融機関の取組みを参考とし、自らの検討に活かしたいとの声も聞かれます。
そこで、金融庁では、アナリスト、日本公認会計士協会、全国銀行協会の皆様に一堂に会していただき、「銀行の引当開示の充実に向けた勉強会」を2022年2月21日に開催しました。
今般、勉強会でお聞かせいただいた御意見や実例等の議論の成果を取りまとめましたので、「銀行の引当開示の充実に向けて」として公表します。
本資料を参考に、各金融機関の実態に即した引当方法の開示の充実が図られることを期待しています。
【勉強会の議論の概要】
〇 金融機関が引当や開示のあり方を考えるうえで、各行の事例等が共有されることは、検討材料になり有用。
〇 コロナの影響も踏まえ、各行の引当方法に違いが生じる中、投資家にとって、比較可能性(引当方法の背景や考え方)、継続性(引当方法を見直した場合の理由や修正金額)、企業価値に与える影響(各行の将来見通しに関する情報)に着目した情報が重要。
〇 開示のプラクティスも固まっていない状況では、法定開示と任意開示を併用しステークホルダーの方へ理解を求めていく策も考えられる。
〇 今後、定量情報の開示も課題となり得るが、どの程度具体的に開示するかの水準については、一律には決められず、各行の実態に応じて判断されるべき。
〇 将来予測情報を活用した引当を採用した場合には、まず、採用背景と採用指標とモデルの考え方を開示し、たとえば、事後検証を重ねるトライ&エラー等を通じて、モデルが安定化できてきたところで、モデルの内容(マクロ経済指標の予測値等)を開示するといった、段階的な開示の拡充も考えられるのではないか。
【資料】
〇「銀行の引当開示の充実に向けて」 |
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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
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