令和2年5月27日
(令和5年6月13日更新)
金融庁
資本性借入金の取扱いの明確化に係る「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正について
金融庁では、新型コロナウイルス感染症による影響が拡大する中、金融機関に対して事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう要請を行ってきました。
他方、新型コロナウイルス感染症により、多くの事業者が大幅な売上高減少と収益低下に見舞われているため、今後、事業を再開・回復させる過程で、資本の充実を図ることが必要になってくることもあると予想されます。
このような状況を踏まえ、円滑な事業の再開・回復を実現するための資本の充実の手法の一つとして、金融機関が「資本性借入金」を積極的に活用できるよう、金融庁としての考え方を明確にするため、以下のとおり監督指針を改正しましたので公表します。
1.背景と考え方
資本性借入金については、昨年12月に廃止された金融検査マニュアルにおいて、「十分な資本的性質が認められる借入金」とされていました。今般の改正では、資本性借入金が、急激な経営環境の変化により資本の充実が必要となった企業への支援の手法として有用であることを改めて確認するとともに、金融検査マニュアル廃止後も資本類似性を判断する際の観点に変更がない旨を明確化しました。
2.資本性借入金に係る資本類似性の判断の観点
資本類似性は、あくまでも借入金の実態的な性質に着目して判断されるものです。債務者の属性(企業の規模等)、債権者の属性(金融機関、事業法人、個人等)や資金使途等により左右されるものではなく、基本的には、償還条件、金利設定、劣後性といった観点から判断されます。一般的な条件として以下のようなものが考えられます。
[償還条件]
・償還期間が5年超
・期限一括償還(又は同等に評価できる長期の据置期間が設定されていること)
[金利設定]
・資本に準じ、配当可能利益に応じた金利設定
―業績連動型が原則
―債務者が厳しい状況にある期間は、これに応じて金利負担が抑えられるような仕組みが講じられていること
[劣後性]
・法的破綻時の劣後性が確保されていること
(又は、少なくとも法的破綻に至るまでの間において、他の債権に先んじて回収されない仕組みが備わっていること)
詳細は、別添1~4をご覧ください。
3.施行日
改正後の監督指針については、本日から適用いたします。
なお、本件の改正は、行政手続法第39条第4項第1号で定める「公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、手続を実施することが困難であるとき」に該当することから、同法に定める意見公募手続(パブリックコメント)は実施しておりません。
(別紙1) 主要行等向けの総合的な監督指針の一部改正(新旧対照表)
(別紙2) 中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正(新旧対照表)
(別紙3) 保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正(新旧対照表)
(別紙4) 資本性借入金関係FAQ(令和5年6月13日更新)
(参考1) 「資本性借入金」の積極的活用について(平成23年11月)
(参考2) 資本性借入金の税務上の取扱いについて
- お問い合わせ先
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金融庁監督局総務課
Tel 03-3506-6000(代表)(内線3308、3387)※本件に関する担当部署は複数にわたることから、お問い合わせの内容に応じて、上記のお問い合わせ先のほか、各担当部署により対応させていただくことがあります。