III 紛争解決等業務を行う者の指定に係る事務処理上の留意点
III -1 経理的基礎及び技術的基礎(金商法第156条の39第1項第5号関係)
金商法第156条の39第1項第5号においては、紛争解決等業務を行う者としての指定の要件として、「紛争解決等業務を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること」が規定されている。
なお、本項目は、紛争解決等業務を行う者としての指定の要件であるが、指定機関として業務開始後もこれらの維持が求められる。
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経理的基礎
「経理的基礎」とは、紛争解決等業務は、その性質上、安定的かつ継続的に提供される必要があると考えられることから、これを可能とするに足りる財産及び収支があることをいい、適切に作成された収支計画等に基づき判断する。
「経理的基礎」の判断に当たっては、以下の点に留意する。
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イ.当該業態又は類似する他の業態における過去の実績等に照らし、適切な費用見込額を計上しているか。
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ロ.当該費用計上見込額に応じ、適切な収入(負担金・料金等)を確保しているか。
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ハ.実際の費用が見込額を上回るなど、当初想定していた収入だけでは対応できなくなった場合の補てん措置を講じているか。
なお、紛争解決等業務は、その性質上大規模な設備を要しないことに鑑み、「経理的基礎」が備わっていれば、充実した基本財産等を自ら所有していない場合や、兼業により収入を補てんする場合等も許容されることに留意する。
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技術的基礎
「技術的基礎」とは、紛争解決等業務の適確な実施に当たっては、当該業態又は類似する業態における苦情・紛争の発生状況等を考慮した適切な態勢が確保される必要があると考えられることから、これを可能とするに足りる組織としての態勢、知識及び能力が備わっていることをいう。
「技術的基礎」の判断に当たっては、以下の点に留意する。
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イ.当該業態において発生する苦情・紛争について、一部の地域や分野に限定することなく対応できる態勢を整備しているか。
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ロ.苦情の発生状況等に応じ、苦情処理手続を適確に実施することができる知識・経験等を有する者を十分に確保しているか。
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ハ.紛争の発生状況等に応じ、紛争解決手続を適確に実施することができる金商法第156条の50第3項の要件を満たす紛争解決委員の候補者を十分に確保しているか。
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ニ.上記ロ及びハの補助者として十分な人員を確保しているか。
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III -2 役員又は職員の構成(金商法第156条の39第1項第6号関係)
金商法第156条の39第1項第6号においては、紛争解決等業務を行う者としての指定の要件として、「役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること」が規定されている。
なお、本項目は、紛争解決等業務を行う者としての指定の要件であるが、指定機関として業務開始後もこれらの維持が求められる。
「役員又は職員の構成」については、以下の点に留意する。
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金商法の関連諸規制や金融ADR制度に関する知識等、紛争解決等業務を公正に実施するに足りる知識・経験を有している者を確保しているか。
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紛争解決等業務の中立性を確保するため、同業務に従事する役職員の構成・配置が、例えば特定の金融機関に従事した経験を有する者に偏っていないなど、適切なものになっているか。
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紛争解決等業務の独立性を確保するため、役職員に対する不当な影響が排除されるよう、例えば応対記録の保存や定期的な監査の実施等の適切な措置を講じているか。
III -3 指定申請書の添付書類(金商法第156条の40第2項第6号、指定機関府令第6条第2項第3号ロ関係)
指定申請に当たっては、金商法第156条の40第2項に掲げる書類を添付する必要があるが、このうち、指定機関府令第5条第2項第3号ロにおいては、指定申請書の添付書類として、金融商品取引関係業者に対し業務規程等を送付したにもかかわらず、到達しなかった場合における「通常の送付方法によって到達しなかった原因」を証する書類が規定されている。
この場合、「通常の送付方法」とは、例えば、郵便又は信書便等又は同等の信頼性が確保された電磁的記録による方法が該当する。
また、「到達しなかった原因」を証する書類とは、例えば、金融庁長官が公表している金融商品取引関係業者の所在地に送付したにもかかわらず、所在地不明等で返送されてきた場合の当該返送書類の写し等をいう。
III -4 紛争解決等業務の周知(金商法第156条の44第2項第10号関係)
金商法第156条の44第2項第10号においては、手続実施基本契約で定めるべき事項として、「加入金融商品取引関係業者は、その顧客に対し指定紛争解決機関による紛争解決等業務の実施について周知するため、必要な情報の提供その他の措置を講じなければならないこと」が規定されている。
この場合、「必要な情報の提供その他の措置」としては、ホ-ムペ-ジ・ポスタ-等で広く周知することや契約書・商品説明書等に記載すること等が考えられる。なお、これらの措置については、加入金融商品取引関係業者(以下「業者」という。)の過大な負担とならないように配意しつつ、利用者保護の観点から適切に定められているかに留意する。
III -5 その他の留意事項
金商法第156条の39第1項第7号においては、紛争解決等業務を行う者としての指定の要件として、「業務規程が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ適確に実施するために十分であると認められること」が規定されている。このため、下記「IV 指定紛争解決機関の監督上の評価項目」のうち、以下の事項については、紛争解決等業務を行う者の指定に係る事務処理上の留意点としても用いるものとし、それぞれの項目の「意義」を踏まえ、業務規程に当該事項が適切に定められているかなどについて審査を行うものとする。
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「IV-1-2 職員の監督体制等」(2)(金商法第156条の44第1項第8号、指定機関府令第7条第3号関係)
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「IV-1-3 紛争解決委員の選任及び排除等」(2)、(金商法第156条の44第4項第2号関係)
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「IV-1-4 負担金及び料金」(2)、(金商法第156条の44第5項関係)
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「IV-2-3 紛争解決手続における留意事項」(2)(金商法第156条の44第4項第6号関係)
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「IV-3-2 紛争解決等業務の検証・評価」(2)(金商法第156条の44第1項第7号関係)
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「IV-5-1 他の指定紛争解決機関との連携」(2)(金商法第156条の44第1項第6号関係)
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「IV-5-2 その他の機関との連携」(2)(金商法第156条の44第1項第6号関係)