English新しいウィンドウで開きます

鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁共同記者会見の概要

(令和5年10月13日(金曜)18時47分~19時01分)
 

【冒頭発言】

大臣)

皆さんこんばんは。インド議長下での4回目のG20について、会議の主な成果をご報告いたします。
まず日本を含め多くの国がウクライナとの連帯を改めて表明するとともに、ロシアを最も強い言葉で非難しました。戦争が世界経済に悪影響を与えていることなどを含むG20ニューデリー首脳宣言の文言が成果文書に盛り込まれています。また、私からはモロッコ・アフガニスタンの地震及びリビアの洪水の被害者の皆様に心から哀悼の意を表し、イスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突に対する深刻な憂慮を表明いたしました。
世界経済については、最近のショックに対して強靱性を示している一方、引き続きリスクが下方に傾いているとの認識が共有されました。私からはロシアによる侵略戦争の影響などにより世界経済の回復は緩やかなものにとどまる中、我が国では総合経済対策の策定に取り組んでいること、世界的に金融引締めが継続される中、為替市場を含め金融市場の変動が高まるリスクに留意すべきであり、為替相場の過度な変動は望ましくないこと、場合によっては適切な対応を求められることもあるということなどを発言いたしました。
MDB改革につきましては、CAF提言のさらなる実施をMDBsに求めるとともに、よりよく、より大きく、より効果的なMDBsへの道筋を検討していくことなどを確認しました。
低所得国・中所得国の債務問題につきましては、ザンビア、ガーナ、スリランカの最近の進展とともに、債務の透明性向上に係る取組が歓迎されました。
暗号資産については、IMF-FSB統合報告書に示されたロードマップをG20が採択し、その迅速かつ協調した実施を求めることが合意されました。
冒頭、私からの発言は以上です。

総裁)

G20での議論ですけれども、主な内容については鈴木大臣からご説明があったとおりでございます。特に世界経済等に関するセッションがありまして、その中で世界的な金融環境のタイト化、あるいは根強いインフレ圧力を踏まえた世界経済の見通しとリスク要因などについて議論されました。そこで私からは日本の物価動向や日本銀行の金融政策対応について説明いたしました。
以上です。

【質疑応答】

問)

鈴木大臣にお伺いします。イスラエルとハマスについて、冒頭で大臣から憂慮を示したというお話がありましたけれど、これが共同声明には盛り込まれていない理由を教えてください。また、中でどのような議論があって、反対した国はどこだったかなども教えてください。

大臣)

この成果文書の中にはイスラエルとハマスとの衝突のことは触れられておりません。その経緯ということになりますと、これは財務官から。

財務官)

もとよりG20で、今おっしゃった件はアジェンダに入っておりませんでした。議論の中でイスラエルに対するハマスの行動について非難をしたご発言は何カ国からかありましたけれども、ただ、そこは議論の対象にしていなかったこともあって、この共同声明には書かれていないという次第だと考えております。

問)

大臣にお願いします。昨日のG7のことで恐縮なんですけれども、一部の報道でイスラエルとハマスについてのG7の声明の文言について、日本がちょっと、挿入する、あるいは文言について、ちょっと強いトーンにすることを躊躇したのではという報道がありました。日本としては戦争というか、対立について憂慮は示すも、イスラエルを非難するというG7の声明の強い方向と大臣の会見でのご発言、少しギャップがあるかなと思ったんですけれども、改めて日本のイスラエルとハマスの今の対立についての姿勢について確認をさせてください。

大臣)

最終合意の文章については、まさに昨日のG7の会合の中で様々な国が様々な立場を表明して、その議論の中で固まっていくものであります。したがいまして当初はいろいろな濃淡はあったと思いますが、結果としてああいう文章にまとまったということで、そこには揺るぎない一致ということが、結束というのがあります。

問)

植田総裁にお願いします。これまで今週の会議で、様々な会議で世界の経済情勢についていろいろ議論がなされたと思いますが、それを踏まえて日本経済を概観した際に、日銀が目指している持続的・安定的な物価目標の達成について、確信度合い、総裁、その度合いに変化があったのか、またIMFがブログではあるんですけれども、日銀が将来の本格的な政策変更に入った際は世界の債券市場に大きな影響があるのではないかと指摘しています。市場の動揺を抑えながら政策の修正、正常化をしていく上ではどのような工夫が考えられるのか、その辺りをお願いします。

総裁)

世界経済の見通しの方ですけれども、端的にお答えしますと、今回G7、G20に出席したことによって私どもの世界経済の見通し、その前の時点で持っていた見通しに大きく影響を与えるというような見方の変化はなかったというふうに私の中では思っていますが、いろいろ参考になることがあったということは申し上げられると思います。具体的にはちょっと申し上げにくいですけれども。
それから、私どもの政策と市場のボラティリティとの関係というご質問だったと思いますけれども、申し上げられることとしましては、例えば7月のYCCの修正、これはYCCの枠組みが市場のボラティリティを却って高めてしまうというようなことをなるべく避けるような意図を持ってなされた措置であるという面があるということでございます。

問)

債務問題もG20で非常に重要な議論だと思うんですが、今回スリランカの債務対応につきましては大筋合意というところまでは至らなかったと思うんですが、今回の一連の会合で、この債務再編とスリランカのことですね、どのように評価されていて、今後日本としてどのように進めていきたいと思っていらっしゃいますでしょうか。

大臣)

債務問題につきましては日本もこれまでも積極的に取り組み、議論をリードしてきた縁がございます。今回の総会において、スリランカの債権国会合の日本・フランス・インドにおきます次官級の共同議長会合、これを行いました。そして公的債務に係るグローバルラウンドテーブルの場で債務問題を議論しているところでございます。G20ではスリランカの適時の債務再編のための取組と足元の進展を歓迎し、それの迅速な完了を求めることを確認いたしました。債務問題、これは先送りのできない問題でありますので、日本といたしましても引き続き積極的に議論に参加していきたいと考えます。

問)

ロシアについてなんですが、G7の声明では非難するという文言が入っていましたが、今回G20共同声明では直接の名指しは避ける格好だったと思います。9月の首脳宣言での表現を踏襲しているように思われるんですが、そういう表現が盛り込まれなかった理由、原因、また今回、7会合ぶりに共同声明を出すことができたということなんですけれども、それになった理由というか、背景みたいなものを教えてください。

大臣)

まず後段のご質問からお答えいたしますが、議長声明などの形で成果文書が示されていた。最近のG20の会議におきましても、議長声明という形になったわけですけれども、ロシア非難の文言以外はおおむねコンセンサスが取れておりまして、そういう意味で有意義な議論が行われていたと評価をしております。
今回のG20におきましては、先月行われましたG20ニューデリーサミット、ここにおけます首脳間の合意を踏まえて、成果文書の全ての点について一致が見られたことからコミュニケが発出されたものということでございます。首脳間会合で合意されたことをカセット的に挿入するという形がとれたものですから、それでこのコミュニケが採択されたと、こういうことです。
先程のロシアの話も同様でありまして、ロシアに対する非難、特に厳しい非難ということにつきましても、この採決の首脳間会合に盛り込まれているわけでありますので、それが今回盛り込まれたということで、その中できちっと非難ということについても示されていると、こういうことであります。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る