ASEAN+3議長国共同記者会見の概要

(令和5年5月2日(火曜)18時00分~18時40分)

ASEAN+3議長国共同記者会見における日本側の発言(日英同時通訳を媒介)の概要は以下のとおり。

【冒頭発言】

大臣)
共同ステートメントを踏まえまして、私からは数ある今回の成果の中から幾つか主なものについてご報告をしたいと思います。
まず地域金融セーフティネット(RFA)について、パンデミックや自然災害等に伴う対外収支困難に対応する緊急融資ファシリティ創設の議論が歓迎をされました。年末までに代理で具体案を検討させます。危機が多様化する中、RFAは常に進化していくことが重要です。本ファシリティ創設に関する議論が大臣・総裁間で歓迎されたことは大きな成果であったと、そのように考えます。
ABMIについて、ADBの支援のもと、これまでの取組を歓迎するとともに、今般、グリーンやデジタル等の新たな潮流を踏まえまして、新中期ロードマップが承認されました。これにより域内の現地通貨建て債券市場が一層発展することを期待いたしております。
そして自然災害の頻発が起こっておりますアジア地域において、災害リスクファイナンス(DRF)が重要となっており、本日の会議でASEAN+3財務プロセスの定例議題に格上げをされ、アクションプランが承認されました。これを契機にDRFの取組を強化していきたいと、そのように考えています。
さらに、域内の金融デジタル化が進む中、データセキュリティやプライバシー、危機の伝播速度の加速化といったデジタル化のリスクや、これに対する域内金融協力の提言をまとめたAMROのレポートを歓迎しました。

【質疑応答】

問)

植田総裁、ステートメントで幾つかのアジア経済についての下振れリスクに触れています。この地域は中国の再開の好影響を受けておりますけれども、経済の見通しはどちらかというと下振れなのでしょうか。あるいは、ほかの地域と比べてバランスがとれているのでしょうか。

総裁)
ASEAN+3地域のマクロ経済について、リスク、特に下方リスクが他の地域に比べて大きいかどうかというご質問だったと思います。これは既にガバナー・ペリーとスリ・ムルヤニ財務大臣の話にもあったところだと思いますけれども、私の感じでは、下方リスクは他のリージョンに比べて低いというふうに一応判断できるかと思います。
理由としては、既におふたりの話にも出てきましたけれども、1つは、2023年の、これからの世界経済の成長について、この地域(注)の成長への寄与が世界全体の3分の2くらい見込まれるという非常に強いものになっているという報告も今日ございました。その上でですが、これは今、ガバナー・ペリーもおっしゃいましたが、欧米の金融不安の波及効果というのは、一応、今後も含めて注意しておかないといけないわけですが、ご指摘がありましたように資本が十分に備えられている、アジアの銀行等ですね、それから欧米の問題の金融機関に対するエクスポージャーも少ないというようなことから、ここもダウンサイドリスクは他の地域に比べれば限定されているというふうに思います。さらに欧米経済が今後どうなるか分からないというリスク、それによるスピルオーバーは一応注意しておかなければならないとは思います。
その上で、アジア独自の要因として、例えば今日の議論の中に出てきた1つだけをご紹介しますと、中国経済、足元はリオープニングで好調であるわけですが、もう少し中長期を見た場合に、例えばジオポリティカルなリスクが深刻に中国経済に影響を及ぼすことによって、経済成長率にマイナスの影響が及び、それがリージョン全体に悪い影響を及ぼすというリスクについては、一応念頭に置いておかないといけないという議論もございました。
問)

鈴木財務大臣、共同声明とは違う部分なんですが、今日午前中に日韓の会談が行われて、これはASEAN+3の中でも注目のある会談だったと思うんですが、先月の段階では面会という表現を使っていて、今回の場では会談という発言がありました。この表現が変わったことの意味合いについてどう考えているのか、そこを伺えたらなと思います。

大臣)
今朝方、韓国のチュ経済副総理兼企画財政部長官と面会をしました。
私、2年前の10月に財務大臣に就任いたしましてから、様々な国際会議でチュ長官とはお目にかかるわけでありますけれども、今まではおはようございますとか、その程度の挨拶でございました。しかし4月13日に立ち話でありますけれども、今度ゆっくりとお目にかかってお話をしましょうということになりました。それが今日の会合であります。今日は立ち話でなく、席に座っての面会となりました。そしてその中身においても、今までずっと中断をしておりました日韓の財務当局間の連携を一層密にするために、適切なタイミングで大臣級の財務対話を開催することに合意をいたしました。そしてその準備のため、神田財務官を6月初めに韓国に派遣をいたします。
そうしたことで、この大臣級の財務対話は以前やっていたような単発的なものでなく、継続されたものになることを私はイメージしております。
そして総理もこの連休の後半に韓国においでになるということでありまして、これからも首脳間レベルでの政治対話、これも進む予定でありますから、財務トラックにおきましても、しっかりと共通認識を常に持てるような、そういうような体制を整えることができたらと思っています。
つまりは内容において、また形式において、前回の4月13日と違うわけでありますので、今回はそういうふうに表現をさせていただいたところです。

(注)「この地域」は、アジア太平洋地域です。

(以上)

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