鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(令和4年10月28日(金曜)17時55分~18時25分)

【質疑応答】

問)

先ほど、新たな総合経済対策が閣議決定しました。大臣の所見をお願いします。

答)

まず、本日お話のとおり、先ほど臨時閣議が開かれまして、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策が閣議決定されたところでございます。
今般の経済対策は、与党とも連携をしながら、関係省庁で議論を重ねまして、必要な施策を積み上げていった結果、財政支出の規模としては39.0兆円程度となったものです。
今般の経済対策については、世界経済の減速リスク、これを十分に視野に入れつつ、足元の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応し、新しい資本主義の加速によりまして、日本経済の再生を図るために必要な施策を盛り込み、これに必要となる十分な規模を確保したものになっていると考えております。
財務省としては、今後速やかに補正予算を編成して、今国会へ提出の上、年内できるだけ早くの成立を目指してまいりたいと、そのように思っております。

問)

大臣は以前から対策は規模ありきではなく、内容を積み重ねると話していました。今回、与党側から規模を積み増すよう強い要望もありましたが、正式に決定された対策の規模感についてはどう評価されていますでしょうか。また、電気代やガス代の支援に加えて、ガソリン代の支援も延長されました。支援を必要な層に重点的に絞り込むことができたとお考えでしょうか。

答)

先ほども規模感についても触れましたけれども、必要なものを積み上げる中において、結果として、財政支出の規模として39.0兆円程度になったということでありまして、規模感ということについて言えば、十分な規模を確保したものと考えております。
それから、電気・ガス代への支援ということでございますが、今回の経済対策では、電気料金、都市ガス料金、これについてエネルギー価格の高騰等を背景に、今後急激な上昇が見込まれることから、家計や価格転嫁の困難な企業の負担を直接的に軽減するための激変緩和対策を講ずることといたしました。
また、燃料油に対する激変緩和事業につきましては、原油価格の高騰等が国民生活や経済回復に悪影響を及ぼすことがないように、来年度前半にかけて引き続き実施することとしております。
必要な層に重点化できたかということについて、電気料金対策については、家庭に対しては、企業よりも手厚い支援とするなど重点化を図っております。
また、燃料油対策については、来年1月以降、補助上限を緩やかに調整して、来年6月以降は高騰リスクへの備えを強化しつつ、補助を段階的に縮減するということとしております。対策の延長に当たっては、一定の見直しを行うこともできたと考えております。

問)

今回の対策の裏づけとなる補正予算を今後提出されるとのことですが、赤字国債の発行は避けられない情勢にあると思います。先進国で最悪の債務状況にありますが、市場の信認を維持することはできるとお考えでしょうか、これがまず第1点です。2点目で今回ウクライナ危機に備えた予備費を新たに創設されるとのことですが、この使い道と狙いについてお考えをお聞かせください。

答)

今回、経済対策を裏づける補正予算ですね、これは多額の国債を発行することが見込まれるとのことで、財政健全化との関わり、関係についてのお尋ねでございますが、新型コロナや物価高騰を乗り越えて、経済をしっかり建て直す、そして財政健全化に向けて取り組んでいく、従来から、この経済あっての財政という方針は変わりはありません。
そのためにも、まず今般の総合経済対策によりまして、足元の物価高への対応と日本経済の再生に全力で当たり、持続的な経済成長の実現を図ってまいります。
一方で、これまでの新型コロナ対応や累次の補正予算の編成によりまして、足元の財政状況、これがより一層厳しさを増しているということは事実であります。
引き続き、歳出・歳入両面の改革の取組を続けまして、責任ある経済財政運営を進めていかなければならないと、そういうことを強く思っております。

問)

2点目で伺った予備費についてのお考えもお願いいたします。

答)

今回、新しく創設をいたしますウクライナ情勢経済緊急対応予備費でございますが、ウクライナ情勢について言えば、なかなか先が見通せないということで、どういうことが起こるか予断できない部分がたくさんあると思いますので、基本的にそうしたウクライナ情勢による経済の変化、そういうものに対しての予備費ということで、今回新たな予備費を創設したところでございます。
ただ世界的な景気後退懸念が高まる中で、こうしたウクライナ情勢だけではなくて、その他の国際情勢の変化とか、特にエネルギーに関わりがありますけど、仮に大きな寒波が来た場合とか、またその他災害というようなことから発生し得る経済危機、こういうようなものも考えられます。機動的・弾力的に対応するという観点から、この予備費を創設したということでございます。

問)

1点目、予備費について伺います。大臣、先ほど必要な施策を積み上げたとおっしゃいましたが、予備費は特定の使い道を定めない経費です。今年度末まで残り半年を切る中で、5兆に近い予備費のさらなる積み増しがどうして必要なのかの積み増す理由がどこにあるのか教えてください。予算をかさ上げしたのではないのかという指摘も踏まえてお願いいたします。

答)

まず今回のことで申し上げますと、コロナ・物価予備費につきましては、今年度において、本日までに、半年強の期間で4.9兆円程度が使用されてまいりました。
今般の経済対策において、今後への備えとして、新型コロナの感染拡大や物価高騰に引き続き万全を期すべく、ほぼ同額であります5兆円程度を確保していくことが望ましいのではないかと、こういう考え方から残額の1.3兆円程度に対しまして、3.7兆円程度を増額することといたしました。
そして、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費につきましては1兆円でありますが、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
これらは、やはりなかなか先行きが見通せないものに、タイムリーに的確に対応するということが目的であるわけでありまして、この予備費が補正予算で認められるならば、こうした危機に対して、機動的・弾力的に対応をするために使ってまいりたいと思っております。

問)

2点目なんですけれども、萩生田政調会長が、一昨日の政調全体会議中に党の方で経済対策の議論をされている中で、鈴木大臣が総理のもとへ行き、経済対策の具体的なお話をしたのは禁じ手というふうに本日おっしゃったんですけれども、この発言の受け止めについてお願いいたします。

答)

私も後でそうしたご発言があったということをお聞きしたところでございますが、私はそういうつもりではなくて、今までも経済対策については、折々、総理のところに伺ってお話をさせていただいておりましたので、その一環という流れの中で伺ったということでございます。
一昨日のことを言えば、経済対策の調整の状況ということで、その策定に当たりましては与党の意見を踏まえるということ、これが大前提でありますから、何かこの与党の議論を無視して、財務省の考えを押し通すとか、そういうことは毛頭考えていないわけです。26日の政調全体会議で示された意見というものも十分承知しておりますから、そういうものを踏まえて、今回経済対策を取りまとめたところであります。
引き続き、政府・与党、これは連携しなければなりません。経済対策に盛り込まれた各施策を速やかに国民の皆様にお届けできますように、これからも連携をしながら、迅速な執行に尽くしていきたいと考えております。

問)

昨日の官邸であるとか、夜公邸に行かれてお話しされてたこともあったかと思うんですけれども、今回、結構難産だったのかなという気もするんですけれども、主に総理と話していたのは、そういう財政健全化の話などもされたのかなという気もするんですけれども、今回、最終的に今、数字としては固まったんですけれども、大臣としてのどういった思いが、決まるまでにあったのかを少しお話しいただければと思います。

答)

議論の過程においては様々ございます。ですけど、最終的に必要なものを積み上げて、この額に決まったということであります。議論の過程は、それはもちろんいろいろあるので、例えば議員連盟の皆さんが50兆円規模のものが必要ではないかということで提言を取りまとめてお持ちになったということもありますし、30兆円が発射台だという有力なご意見もありました。そのほかにもいろいろな数字というものがありましたけれども、しかし、これはいずれも正式に決定したものではないんですね。正式に決定したものが、何かそれが増えたり減ったりしたと、そういうことではなくて、決定に向けてのプロセスの中で、それはいろんな思いがあって、いろんな考えがありますから、そういうものを議論しながら、最終的に必要なものを積み上げるという中で、こういう結果になったということでご理解いただければと思います。

問)

今ポンド安の話、直近に市場の信認を失った形で、ポンドが急激に安くなるという、これを他山の石としようみたいな話とかも財審とかでもあったりして、そういった近々の現状というか、通貨に対する信認みたいなものに関する危機感みたいなものはお持ちだったんでしょうか。

答)

それは、確か先週の記者会見でもトラス政権のことで触れたと思います。日本とイギリスでは状況は違うわけでありますけれども、ひとたび経済財政運営に対する信認が損なわれると、市場が鋭く反応をしかねないということ、これは1つの教訓としてしっかり受け止めなければならないと思っております。
ですから日本の財政、これが市場からの信認を失われることがないように、財政規律というもの、これはもうしっかりと意識をしながら、責任ある経済財政運営を進めていかなければならないと強く思っております。そういう思いで、これからも財政運営していかなければいけないと思います。

問)

もろもろおっしゃっていただいた点もあると思うんですけれど、今回の議論を見ていると、自民党の中で、やっぱり財政規律とか財政健全化ということの主張が、かつてよりもちょっと聞こえなくなっていたりとか、財政拡張の議論が強まっているように思うんですが、こうした変化ということに対して、大臣はどのように感じていますか。

答)

党の議論は党の議論で、自由民主党は大変幅の広い政党でありますから、いろいろな議論が自由闊達になされるんだと思います。今、私も政府の方におりますので、党の議論についてコメントして、あらぬ軋轢を生んでもいけませんので申しませんけれども、我々財務省の立場としては、経済あっての財政ということでありまして、これからも経済の順調な、安定的な成長、これを目指しますけれども、一方において、こうした財政規律というもの、先ほどトラス政権も1つの教訓だということを申し上げましたけれども、そうした財政規律をしっかり守っていくという立場、これは堅持をして、しっかりやっていかなければならないと思っています。

問)

今回の経済対策では物価高対応への補助金など、負担軽減策が目立っています。一度始めると打切りが難しく、実際にガソリン補助金は出口が見えにくくなっています。補助金は価格の決定メカニズムを崩す政策だとの指摘もありますが、今後もこうした価格上昇時には、補助金などで支えていく方針なのでしょうか。

答)

やはり大切なのは、ある程度どこに重点化をしていくかということなんだと思います。今回の電気料金、都市ガスの料金につきましても、家計やそれから価格転嫁が難しい企業、そこの負担を直接的に軽減するための激変緩和措置ということで、対象を重点化しているということであります。
ただ、ご指摘のとおりに出口戦略と言ったらいいんでしょうか、それは重要なことでありまして、こうした一連の激変緩和事業については、財政状況に鑑みれば、巨額の措置を長続きさせるわけにはいきませんし、また、貿易赤字を通じた産資源国への国富流出にも留意する必要があると考えまして、その意味において出口戦略を考えることが重要だと思っております。
今回の経済対策では、電気料金・ガス料金への対応につきましては、来年9月に、それまでの補助金から縮減を行うということとして、また燃料油の対応につきましては、来年1月以降は補助上限を緩やかに調整をして、来年6月以降は補助を段階的に縮減するということでございます。こうしたことも行いながら、今後のエネルギー価格の動向もありますけれども、財政状況、これに十分配慮して適切に対応しなくてはいけないと、そういうふうに考えています。

問)

このような巨額の経済対策の背景には、国民の先行き不安とか企業のマインド悪化というのがあると思うんですけれども、そういった不安定な状況を考えると、年末に防衛費増の財源確保に対する増税議論など、そのようなことができるような状況にないのではないかと思うんですが、その点いかがお考えでしょうか。

答)

今回、新たな予備費の創設を含めて予備費を計上することにいたしました。これは先ほど申し上げましたが、新型コロナの再拡大や物価のさらなる高騰、さらにはウクライナ情勢等に伴い発生し得る経済危機など、必要な場合には機動的・弾力的に対応するための万全の備えとして行うものでございます。現時点において、必ずしも確実性を持って見込まれる事象ではないので、こうした予備費で対応したいと思っております。
その上で、防衛関係予算の財源確保の在り方につきましては、防衛費が恒常的に必要となる経費でありますので、そのことを踏まえて、歳出・歳入の両面から検討を進めて、必要な安定財源を確保していくことが重要であると思います。その検討に際しましては、経済社会の状況なども踏まえながら、国民の理解と納得を得ていくことが必要であると、こういうふうに思ってございます。
今足元の物価高騰、これに対応することが必要な状況であると、こういうふうに思っております。一方において、この国防力の強化ということも、現下の安全保障環境を考える場合は必要であるということでございますので、いずれにしても、必要な対応はしっかりやっていかなければならない、そういう中で、国民の皆さんのご理解を得るということ、これがまずは基本的に必要なことだと思います。有識者会議も始まりました。そういうところでの議論を含めて、そして防衛費の財源等について、国民の理解と納得を得ながら進めていかなければならないんだと思っております。

問)

まず1点は、補正予算の閣議決定なんですけれども、これの時期の見通しがあればお伺いしたいというのが1点と、それと電気・ガスの負担軽減策が、家計への対策ということで、そこは分かるのですけれども、家計の中にもやはりいろいろと状況というか、収入の状況とか所得の状況等がありまして、やはり今般のエネルギーの価格高騰というのは、相対的に所得が低い層に対しては非常に打撃になる一方で、比較的所得が高い層には、総体的には大きな打撃になっていないわけですけれども、そこら辺の先ほどのメリハリというところで、エネルギー価格高騰とか打撃になっている所得層へ絞った対策とか、そういう所得制限を付けるという対策というのは、今回取れなかったかどうかという、その点についてお伺いできますでしょうか。

答)

まず、補正予算の編成のスケジュール感でありますけれども、できる限り早く編成をして、今国会に提出をしたいと、そういうふうに思っています。それまで計数の精査でありますとか、予算書の作成とか、いろいろ物理的に手間がかかるところがございますので、作業を急いでもらって、でき得る限り早くこの国会に提出してまいりたいとそう思っております。
そして電気・ガスというのは、ある意味基本的なものであると思っておりますけれども、そこにメリハリを付けられなかったのかと、こういうお話だと思います。ご指摘の点につきましては、9月の対策で、非課税世帯に5万円を給付するということである程度対応できているというふうに思いますし、また地域によって実情は様々異なる部分がありますので、地方創生臨時交付金のようなもので、都道府県あるいは市町村で手当をする、そのための財源を確保する、交付するというようなことで、今ご指摘の点のところについては対応していると思います。

問)

今日、日銀の金融政策決定会合がありまして、金融緩和が発表されました。その後、為替が円安の方向に動いてるようですが、これについてのまず受け止めをお願いします。

答)

本日の金融政策決定会合におきまして、日本銀行はこれまでの金融市場調節の方針の維持というものを決定したと、そういうふうに承知をいたしております。
政府といたしましては、引き続き日銀との連携のもとで、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策運営を日銀がしてくださると、そういうことを期待しているところでございます。今日の金融政策決定会合における私の見解を問われれば、そういうことであります。

問)

関連して、今日、黒田総裁は、日銀が行っている金融緩和の中のイールドカーブコントロールは円安に影響しないという発言をされていらっしゃいました。先日、鈴木大臣は会見の中で、為替の変動要因の1つとして、内外の金利差など金融政策に関わる要因というふうにおっしゃっておりました。これは政府と日銀で認識の違いがあるようにも見えますが、その点についてご見解をお願いします。

答)

黒田さんの発言を詳細に全体として聞いているわけでありませんので、今の部分を取り出してのコメントというのは、これはちょっと控えさせていただきたいというふうに思います。
しかし、日銀と私共は共同声明を通じて、基本的な考えは共有していると、こういうふうに思っております。引き続き、日銀の自主性を、我々としては尊重しながら、適切な金融政策を取っていただきたいと、そのことを期待しております。

問)

今日の経済対策の効果として、物価を1.2%以上押し下げるというような試算が示されています。これによって2%物価安定目標を掲げる日銀は金融緩和を長期化させて、財政規律へのシグナルが効かないような状況が、また継続することになるかと思うんですが、それについてのご見解をお願いします。

答)

今日のこの経済対策において、物価を押し下げるということですか。むしろ財政出動によって需要が喚起されて、物価を押し上げるのではないかと、こういうような心配をする向きもあるんだと思いますが、その1.2%押し下げるということについては、内閣府の出した数字だと思います。私自身はそれは聞いておりませんでしたが、一般論としては、むしろ財政出動による影響の方があるんだと思いますが、その辺のことについては、内閣府の方に聞いていただければと思います。

(以上)

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