鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要

(令和4年9月29日(木曜)19時44分~19時56分)

【冒頭発言】

会合が大分押しておりましたものですから、皆さんお待たせをいたしまして、大変申し訳ありませんでした。最初に、今日の一連の動きにつきまして、私から話をさせていただきたいと思います。
本日は、午前中総務セミナーに出席をし、午後にはビジネスセッションで総務演説や、スリランカの大統領兼財務大臣及び浅川ADB総裁と面会をしてまいりました。
総務セミナーでは、私から、コロナ禍からの回復に向け、気候変動というチャレンジを好機と捉えて、質の高いインフラ投資を通じたグリーン成長戦略を進めるべき旨を指摘いたしました。
それから、総務演説では、日本が重視をしております課題として、保健、教育、食糧問題、気候変動、債務の5点につきまして申し述べ、ADBと共に積極的に取り組んでいくということを申し上げたところであります。
スリランカの大統領との面会では、IMFの支援プログラムが事務レベルの合意に至ったことへの歓迎をお伝えいたしました。その上で、IMFとの合意に基づいて改革を実施すること、十分な情報提供を行うこと、債務問題には中国・インドを含む全ての債権国が参加すること等が重要であって、こうした環境が整えば日本としてもしっかり役割を果たす用意があることをお伝えをしたところでございます。

【質疑応答】

問)

本日のADB総会の様子と、それから改めてにもなりますけれども成果について伺えますでしょうか。

答)

今回の総会の主なテーマでありますけれども、これは、コロナ後の時代を見据えて、持続可能なグリーン成長をどう実現していくかということでございました。
先程申し上げましたけれども、私からは、総務セミナーにおきまして、気候変動というのは、これはチャレンジなんだと。これを好機と捉えて、質の高いインフラ投資を通じたグリーン成長戦略を進めるべきという旨の発言をいたしました。
また、総務演説でも日本が重視する開発課題についての考えを述べることができました。
今回は、コロナウイルスの感染拡大以降、初めての対面形式での総会であって、バイ会談などを通じて、各国並びにADB関係者との間で率直なやりとりができまして、非常に有意義であったと思いました。私も今回出張に来まして、改めて、ADBの役割の重要性というものが実際に理解を深めることができまして、大変に有意義なことであったと思っております。会合の雰囲気は、久しぶりの対面の会合だということもあるのかもしれませんけれども、大変中身の密な会合であったんじゃないかなという、そういう印象を受けたところです。

問)

今、円ドル相場がまた145円前後ということで、このところの為替の状況についてはどこかで議題に上がったりはしましたでしょうか。

答)

これは議題に上がりませんでした。先程申し上げた点が今回の総会の主なテーマでありましたので、そのことについてのいろいろな発言があったということです。

問)

先程スリランカの大統領と会談されたとおっしゃっていましたけれども、具体的に債権国会議ですとか、日本との債権債務交渉について議論は及んだんでしょうか。あと、冒頭のご発言の中で日本としても用意があるというご発言があったと思うんですけれども、これは具体的にどういうことを意味するんでしょうか。

答)

会談は短時間ではありましたけれども、かなり率直に、言うべきことをお互いに言ったような会談で、有意義だったと思います。
中身については、相手のあることですから申し上げませんけれども、日本といたしまして、スリランカ政府が、IMFの支援プログラムについて事務レベルの合意に基づいて経済財政改革を実施していくこと、そしてスリランカの債務問題については、中国・インドを含む全ての公的二国間債権者が一堂に会して議論をすること、そのために、スリランカ政府が債権者に対して必要な情報を提供すること、民間債権者も公平な負担のもと、同国の債務問題に対処することなどが重要であるという、このスリランカの債務問題についての日本の基本的な考えを申し述べることができました。
日本としては、まずやはりスリランカが当事者でありますので、例えば中国やインドへの働きかけというようなものも、やはり自らの努力でまずやっていただかなければならないと。それからもう少し申し上げたことは、パリクラブのそうした実務の協力も得ることが必要なのではないかというようなことも申し上げたところであります。
ですから、日本としては、そういう前提条件が整えば、しっかりと日本の役割を果たしてまいりますよということを申し上げたところでありまして、その前提条件の中には、やはりスリランカの当事者としての行動といいますか、責任というんでしょうか、そういうことが必要なんだなということも伝えることができたと思っております。

問)

先程のスリランカの話ともつながるんですが、アジア各国で債務が重い国、例えばラオスとかパキスタンとか、こちらは中国の大きな債務がある国々ですが、と同時に日本もそれなりにお金を貸していると。どうしても中国を引き込まなければなかなか協議も進まないと思うんですが、日本側として中国に働きかけるということはあまり考えておられないんでしょうか。

答)

それは重要な点だと思います。私もいろいろな、G20、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議とか、様々な国際会議に出席をして債務問題に触れることがあります。そういうときには、やはり債権国全てが参加をして、要するにマルチの場でやっていくことが基本ではないかと。そしてお互いの、債権を持つ国が、データをきちんと公表すると。そして、債権国同士が全体としてそうした情報を共有すると。そういう透明性を上げていくことが重要だということは、常々申し上げているところでございます。個別に中国にというよりも、そうした国際会議の場で、そうした債権国が全体でやっていくんだと。もちろん中国が相当あちこちに貸し込んでいるのですから、当然そこに含まれるわけですけれども、そういうことは申し上げているということです。

問)

確認ですが、データというのは融資条件とか、そういうことでよろしいんですよね。

答)

額とか、実は額なんていうのは一番基本中の基本ですけれども、それも必ずしもつまびらかになっていない部分があるということですので、そうしたことを諸々含めたデータというふうに解釈していただいていいんだと思います。

問)

今の質問の補足なんですけれども、向こう側、大統領側からは、そこに合意であったりとか、分かったというような、そういった反応というのはどうだったんでしょうか。

答)

もちろん当事者でいらっしゃいますから、いろいろ考えておられます。そのことについて、日本は、日本としての条件と言ったらいいのか、考え方ですね、こういうことが前提だというお話をしましたし、スリランカはスリランカで、今後こういうふうにしていきたいというようなことを、中身は具体的に申し上げないけれども、そういうような表明があったということです。

問)

フィリピン側とは今回、この国際会議の場を通じて何か接触なんかはあったりしましたでしょうか。

答)

朝のセミナーで、私もパネリストで出させていただいて、そこにおいでになっておられましたけれども、そこでちょっと挨拶したぐらいで、バイの会合も持ちませんでしたので、そう深くはやりとりはありません。

問)

為替の話に戻ってしまって恐縮なんですけれども、為替介入前の数値、状況に戻りつつあるということについての受け止めだけいただけますでしょうか。

答)

かねがね申し上げておりますのは、為替というのは市場によって決定をされるべきものである、そして安定的なものが重要であって、急激な、しかも一方的なものは望ましくないと。ましてや今回のように、市場において、投機筋の動きによって、本来あるべき姿が投機によって変えられるというようなことでありますので、そういうことに対する是正をするということが重要であったと思います。
つまりは、急激な為替の変動がありますと企業も困っちゃいますし、家計も困っちゃうわけですね。ですから、こういうような投機的な動きを背景にした急激な動きがあるときは、これは断固としてこれをならしていくという、そういう営みが必要なんだと思います。そういう考えで為替介入をしたわけでありますが、今後とも為替の動向には十分に注意をしながら、そして必要があれば必要な措置をとっていくと、こういうことで臨んでいきたいと思っております。

(以上)

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