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平成23年12月27日
金融庁
金融担当大臣談話
-中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等について-
1.本年3月末に、中小企業金融円滑化法(以下「円滑化法」)の期限を1年間延長し、平成24年3月末までとする改正円滑化法が国会で成立し、公布・施行されました。
また、円滑化法の期限の延長と併せ、運用面の改善として、
(1)金融機関によるコンサルティング機能の発揮を促すための、円滑化法に基づく金融監督に関する指針の策定、
(2)円滑化法にかかる内閣府令の改正による開示・報告資料の大幅な簡素化を通じた金融機関の負担軽減
といった措置を講じました。
2.その後、金融庁としては、金融経済情勢や中小企業者等の資金繰り、金融機関の金融の円滑化への対応状況について、各種データを分析するとともに、中小企業者や金融機関と意見交換を行いつつ、円滑化法の施行状況やその効果・影響などを注視してまいりました。
3.金融機関の円滑化法への対応状況を見ると、円滑化法施行以降の約2年間にわたる取組みにより、貸付条件の変更等の実行率が9割を超える水準となっているほか、金融機関の間の連携がよく行われるようになっているという声が聞かれるなど、基本的には、その取組みは定着してきていると考えられます。
一方で、貸付条件の再変更等が増加している、貸付条件の変更等を受けながら経営改善計画が策定されない中小企業者も存在しているなどの問題を指摘する声もあります。
4.このような点を勘案すると、金融規律の確保(健全性の確保・モラルハザード防止)のための施策を講じる一方、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を促すとともに、中小企業者等の真の意味での経営改善につながる支援を強力に押し進めていく(「出口戦略」)必要があります。
このためには、外部機関や関係者の協力も得つつ、検査・監督上の対応も含め、総合的な出口戦略を講じることにより、中小企業者等の事業再生等に向けた支援に軸足を移していかなければなりません。一方で、そうした移行は円滑に進めていく(「ソフトランディング」)必要があるため、現行の円滑化法を今回に限り25年3月末まで再延長することが適切と判断いたしました。
具体的には、以下のような施策に集中的に取り組んでまいります。
(1)金融の円滑化にかかる取組み
○金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮
○新規融資の促進を図るための、資本性借入金等の活用及び動産担保融資(ABL)等の開発・普及等
○金融機関の事務負担の軽減を図るための開示・報告資料の更なる簡素化等
(2)金融規律の確保にかかる取組み
○実現可能性の高い抜本的な経営再建計画の策定・進捗状況の適切なフォローアップ
○対象企業の実態に応じた適切な債務者区分・引当ての実施
○金融機能強化法の活用
(3)中小企業等に対する支援措置にかかる取組み
○企業診断、最適な解決策の提示・支援を図るためのコンサルティング機能の発揮等、地域密着型金融の深化を徹底
○中小企業再生支援協議会との連携強化
○産業復興機構、東日本大震災事業者再生支援機構等との連携強化
○事業再生等の支援を図るための、様々な制度・仕組みの活用
5.なお、このような出口戦略を進め、ソフトランディングを図っていくためには、中小企業者自身の積極的な経営改善等への取組みや、中小企業団体のサポートが不可欠です。
また、政府関係金融機関、信用保証協会などにおいても、引き続き、金融の円滑化、中小企業者等に対する経営改善支援を図っていただくことを強く期待しています。
6.金融庁としては、このような施策を推進することにより、金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に配意しつつ、金融の円滑化を図るとともに、中小企業者等の経営改善を積極的に支援してまいります。
(以上)