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参議院財政金融委員会における自見金融担当大臣の発言要旨
(平成23年3月10日)
(はじめに)
金融担当大臣の自見庄三郎でございます。引き続き、御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
本日は、現下の金融行政について、一言申し述べます。
(我が国金融システムを巡る状況について)
はじめに、我が国金融システムを巡る状況について申し述べます。
我が国の景気は、持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつあります。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあります。
世界経済は、全体として回復しており、また、先行きについては、回復が続くと見込まれます。ただし、欧米の景気が下振れするリスクがあります。また、一次産品価格の上昇による影響に留意する必要があります。
このような国内外の実体経済の動向等については、引き続き、注視してまいります。
(金融の円滑化について)
こうした中、中小企業者等の業況や資金繰りは、改善しつつあるものの、引き続き厳しい状況にあります。
金融庁では、平成二十一年十二月の中小企業金融円滑化法の施行をはじめ、金融の円滑化に向けた様々な施策を講じてまいりましたが、今、申し上げたような、中小企業者等をめぐる状況及びその先行きの不透明感から、今後、貸付条件の変更等への需要は一定程度あると考えられます。
一方で、貸付条件の変更等に際しては、金融規律も考慮し、実効性ある経営再建計画を策定・実行することが重要であります。
このため、同法を機に、金融機関が、貸付条件の変更等を行う間に、借り手に対する経営相談・指導等のコンサルティング機能を十分発揮することにより、中小企業者の経営改善が着実に図られ、返済能力等の改善につながる、という流れを定着させる必要があります。
これらの点に鑑み、本年度末を期限とする同法の有効期限を一年間延長するとともに、その運用に当たっては、金融機関が、貸付条件の変更等と併せて借り手に対する経営相談・指導等を積極的に行うよう促すことや、これまでの同法の施行状況を勘案し、金融機関に義務付けられている開示・報告資料を大幅に簡素化することが適当であると考えます。
こうしたことを勘案し、今月期限を迎える中小企業金融円滑化法を一年延長するための「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案」を一月二十五日に国会に提出したところであり、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
(新成長戦略について)
次に、「新成長戦略」について申し上げます。
昨年六月に閣議決定された「新成長戦略」では、「金融戦略」が七つの戦略分野のうちの一つとして位置付けられており、金融には、「実体経済を支えること」、「金融自身が成長産業として経済をリードすること」という二つの役割が期待されています。これを踏まえ、昨年十二月に「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」を取りまとめたところであります。
このアクションプランの実行は、一月二十五日に閣議決定された「新成長戦略実現二〇一一」にも掲げられており、関連の施策を一体として盛り込んだ法案を国会に提出することを予定しております。
(預金保険法の一部を改正する法律案について)
次に、「預金保険法の一部を改正する法律案」について申し上げます。
住専債権については、住専処理法に基づき、本年十二月を目途としてその回収等を完了するものとされているところであります。これを踏まえ、住専処理に係る業務を終了するための措置を講ずるとともに、当該業務の終了に伴い、協定銀行の機能を見直す等、所要の改正法案の国会への提出を予定しております。
(国際的な金融規制改革について)
続きまして、国際的な金融規制改革の動向について申し上げます。
先般の世界的な金融危機を踏まえ、金融危機の再発防止と強固な金融システムの構築に向けた国際的な議論が進展しました。昨年十一月のG20ソウル・サミットでは、銀行の自己資本・流動性の新たな枠組み(バーゼルIII)が了承されました。この枠組みは、中長期的な自己資本の強化の必要性と、実体経済に対する影響の双方に配慮した、バランスの取れたものであると評価いたしております。
我が国としては、システム上重要な金融機関(SIFIs)への対応等、G20サミットで合意された幅広い課題に関する国際的な議論に引き続き積極的に参画し、金融危機の再発防止・金融システムの強化に向け、各国と協調して取り組んでまいりたいと考えております。
(結び)
以上、金融担当大臣として、一言御挨拶を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て、金融行政の運営に全力を傾注する所存です。藤田委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。