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参議院財政金融委員会における渡辺金融担当大臣の所信表明
(平成20年3月25日)
金融担当大臣の渡辺でございます。よろしくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言申し述べさせて頂きます。
(金融仲介機能の充実について)
我が国の金融システムを巡る状況についてご説明いたします。グローバルな金融市場においては、サブプライム・ローン問題に端を発した混乱が続いており、幅広い証券化商品の市場や株式市場を含めその影響が拡大し、米国を中心として、実体経済への影響も深刻に懸念されている状況と認識しています。
そうした中、我が国の主要行等の第三・四半期決算においても、サブプライム・ローン問題に関連する損失の拡大を主たる要因として大幅な減益が見られたところです。我が国の金融機関におけるサブプライム関連商品の保有額や評価損等の状況は、海外の状況に比べ、また、我が国金融機関の体力、すなわち、期間利益や自己資本の厚み等に比しても、相対的に限定されています。現時点において、この問題が直接我が国の金融システムに深刻な影響を与えるような状況にあるとは考えておりません。
しかしながら、現在のグローバルな金融市場の混乱は、正常化にある程度の時間を要するものと認識しております。今後、警戒水準を更に高めつつ、金融機関のリスク管理状況や、株式やクレジット、為替といった様々な市場の動向等について、内外の関係当局とも連携しながら、早め早めの情報収集に努めるなど、十分注視してまいります。
このような市場の混乱や米国経済の減速等により、内外経済に下振れリスクが一層高まる状況の中で、地域経済においては、中小企業金融の円滑化など金融仲介機能が適切に発揮されることが益々重要になっていると考えられます。こうした観点から、今後とも、地域密着型金融をはじめとする金融機関の自主的・持続的な取組みを促す枠組みを一層推進してまいります。
(利用者保護・利用者利便の向上について)
次に、利用者保護・利用者利便の向上の観点からの取組みをご説明いたします。昨秋、規制の横断化・柔軟化を通じて利用者保護ルールの整備と金融イノベーションの促進を図るべく、金融商品取引法を施行いたしましたが、引き続き、その適切な運用に努めるとともに、法律の趣旨を超えた過度の対応により実務が萎縮することのないよう、真摯に対応してまいります。また、多重債務問題の解決に向けて、引き続き関係省庁等と連携し、「多重債務問題改善プログラム」を効果的に実施するとともに、貸金業を巡る動向を注視しつつ、貸金業制度改革を円滑に進めてまいります。
(我が国金融・資本市場の競争力強化について)
続いて、我が国金融・資本市場の競争力強化に向けた取組みについてご説明いたします。「貯蓄から投資へ」の流れの中で、豊かさを実感できる社会の構築を目指し、千五百兆円に及ぶ家計部門の金融資産に適切な投資機会を提供するとともに、内外の企業等に成長資金の供給を適切に行っていくことが必要です。こうした観点から、金融庁は、昨年末、「金融・資本市場競争力強化プラン」を策定いたしました。
本プランは、「信頼と活力のある市場の構築」、「金融サービス業の活力と競争を促すビジネス環境の整備」、「より良い規制環境・ベターレギュレーションの実現」等の分野にわたり、競争力強化のための具体的な方策を包括的なパッケージとして盛り込んだものであります。金融庁としては、同プランに盛り込まれた諸施策を、スピード感をもって着実に実施に移してまいりたいと考えております。
(むすび)
本国会には、只今申し上げた我が国金融・資本市場の競争力強化等のため、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」を提出いたしました。当委員会の峰崎委員長及び委員の皆様におかれましては、よろしくお願い申し上げます。
(以上)